説明

画像形成装置、マニュアル提示方法及びマニュアル提示プログラム

【課題】利用者に機能説明や操作方法等を簡便に提示することにより、利用者の新機能への理解や利用を促進させる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、ユーザの認証を行う認証手段と、機能の実行に伴い、当該機能の利用履歴情報を前記ユーザ毎に記録し、記憶する記録手段と、機能のマニュアルを記憶した記憶手段と、利用履歴情報に基づき、ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得判定する判定手段と、ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを、当該ユーザに提示する提示手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者にマニュアルを簡便に提示する画像形成装置、マニュアル提示方法及びマニュアル提示プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置が知られている。現在の画像形成装置(MFP:Multi-Function Peripheral)は、CPUの性能向上、メモリの大容量化、通信技術の高速化及びデジタル画像技術の高度化等、MFPに関連する技術の進化に伴い、単にデジタル複写機としての機能だけでなく、例えば、ネットワークやファクシミリ等で画像や文書などのデータの送受信を可能とし、ユーザ環境において様々な利用形態や機能を提供するものである。
【0003】
また、このようなMFPに搭載され、ユーザに機能を提供するアプリケーションは、ユーザニーズに合わせた仕様にカスタマイズできることが知られている。MFPのコントローラソフトは、提供する機能のカスタマイズの容易性が重視されて設計されており、アプリケーションをプラグイン機能としてユーザに提供することができるため、ユーザは利用したい機能をプラグイン単位で購入して、MFPに対して容易にインストール又はアンインストールすることができる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
さて一方、このようなMFPの多機能化に伴い、日々様々な機能を提供する新たなアプリケーションソフトウェアがリリースされ、また新たなパッチ(更新プログラム)も提供されている。サービスマン(保守担当者)は、USBメモリやSDメモリカード等の携帯型記憶媒体でソフトウェア等を持参のうえ定期的に顧客先を訪問し、個々のMFPに対してソフトウェアやパッチを更新(追加、削除も含む)していく。またもしくは、MFP提供側はWeb上にダウンロードサーバを設けていることもあり、MFPはネットワークを介し、各種のソフトウェアやパッチをダウンロードし、更新を行うことができる。この仕組みを利用して、同様に、個々のMFPに対してソフトウェアやパッチを更新(追加、削除も含む)していく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、MFPの多機能化に伴い日々様々な機能を提供する新たなアプリケーションソフトウェアがリリースされ、ソフトウェアやパッチの更新作業によりMFP上、新たな機能として追加される。しかしながら、従来、せっかく新たな機能をMFPにインストールしても、利用者(ユーザ)に認識されずに全く利用されなかったり、仮に認識されていてその有用性や操作方法が理解されておらず、実際に利用者に全く利用されていないことが多かった。
【0006】
MFP提供側、例えば開発部門からすると、利用者の利便性の向上の観点から開発した新機能であるので、新機能が利用者に全く利用されていないことは本意ではないし、また例えば営業・推進部門からしても、新機能を利用してもらうことで利用者に便利に本製品を利用してもらいたいし、また本製品の機能的優位性を認識してもらいたいところ、やはりその新機能が利用者に全く利用されていないことは本意ではない。
【0007】
ここで、利用者が新機能を利用すべく、新機能の機能説明、操作方法、効用、留意点等を理解するためには、MFPのマニュアル(説明書)を参照する必要がある。従来、マニュアルは、冊子やCD媒体で提供されているものの、その取り扱いは非常に煩雑になりがちであり、ほとんどの利用者に利用されていないのが実情である。実際、マニュアルは、MFPの多機能化に伴い、その質・量ともに膨大であり、ときに目的のページを探し出すだけでも時間と手間を要してしまう。
【0008】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、利用者に機能説明や操作方法等を簡便に提示することにより、利用者の新機能への理解や利用を促進させる画像形成装置、マニュアル提示方法及びマニュアル提示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ユーザの認証を行う認証手段と、機能の実行に伴い、当該機能の利用履歴情報を前記ユーザ毎に記録し、記憶する記録手段と、前記機能のマニュアルを記憶した記憶手段と、前記利用履歴情報に基づき、前記ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得判定する判定手段と、ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを、当該ユーザに提示する提示手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、前記ソフトウェアによる機能を自装置に対し更新する更新手段を有し、前記判定手段は、前記ソフトウェアよる機能が更新されたとき、全ての前記ユーザにおいて当該機能は利用実績が所定回数以下の機能であると判定し、前記提示手段は、当該ソフトウェアのマニュアルを、全ての前記ユーザに提示することを特徴とする。
【0011】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、前記提示手段は、前記ソフトウェアのマニュアルを、自装置の操作パネル上若しくはユーザ端末に提示し、又は印刷出力することを特徴とする。
【0012】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、前記ソフトウェアのマニュアルは、ユーザの習熟レベル毎に作成されたマニュアルを含み、前記提示手段は、ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを当該ユーザに提示するとき、さらに、当該利用実績の回数に応じた習熟レベルのマニュアルを当該ユーザに提示することを特徴とする。
【0013】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、前記利用履歴情報に基づき、前記ユーザ毎の前記機能の利用状況の情報を管理者端末に通知する利用状況通知手段を有することを特徴とする。
【0014】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用者に機能説明や操作方法等を簡便に提示することにより、利用者の新機能への理解や利用を促進させる画像形成装置、マニュアル提示方法及びマニュアル提示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係るMFPのハードウェア構成の一例を示す。
【図3】本実施形態に係るMFPの一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施形態に係る利用履歴情報(ログ)の一例を示す。
【図5】本実施形態に係るマニュアルの一例を示す。
【図6】本実施形態に係るMFPの処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る操作パネルの画面例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0018】
[システム構成]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム構成図である。図に示されるように、MFP(画像形成装置)1〜5及びPC(Personal Computer)6、7、携帯情報端末8が、ネットワークを介して接続されている。
【0019】
図中、複数のMFP1〜5は、いずれもコピー、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置である。またPC6、7は、ユーザが一般的に使用するユーザ端末であり、例えばPC上で作成したデータをMFPに送信し、データをプリントできる。携帯情報端末8は、携帯電話、PDA等の携帯型の情報端末である。PCのモバイル型としての端末であるので、PCと同様に使い方ができる。
【0020】
なお本システム構成はあくまで一実施形態であり、MFPやPCは、これ以上複数台あってもよく、またネットワーク上相互に接続される限り、如何様に構成され配置されてもよい。また以下、単にMFPという場合は、MFP1〜5の区別なく指し、同様にPCという場合はPC1〜2区別なく指すものとする。
【0021】
(ハードウェア)
ここで、本実施形態に係るMFPのハードウェア構成について簡単に説明しておく。図2は、本実施形態に係るMFPのハードウェア構成の一例を示す。
【0022】
本実施形態に係るMFPは、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0023】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、装置本体に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、ディスプレイなどで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、画像形成装置をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェースである。HDD17は、画像形成装置で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データ、各アプリケーションにより利用されるデータなど、各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0024】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0025】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、画像形成装置が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
【0026】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0027】
このように、本実施形態に係るMFPは、上記ハードウェア構成により、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなどの少なくとも画像形成に係る基本的な機能を実現している。
【0028】
(機能)
次に、本実施形態に係るMFPの主要機能構成についてそれぞれ簡単に説明する。図3は、本実施形態に係るMFPの一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。MFPは、主要な機能として、認証部101、機能実行部102、記録部103、記憶部104、判定部105、提示部106、更新部107、及び利用状況通知部108を有している。
【0029】
認証部101は、ユーザの認証を行う機能を有している。認証方法はユーザを特定できればよく、例えば、MFP上の操作パネルからユーザID及びパスワードの入力によるユーザ認証、ICカードを使用したユーザ認証、生体を利用したユーザ認証(指紋・静脈等)などによりユーザの認証を行うことができる。
【0030】
機能実行部102は、MFPの有する各種機能を実行する。本実施形態に係るMFPは、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなどの機能を有しているので、これら各機能の実行を行う。勿論、これら以外にもMFP上で実現される様々な新機能を含む。
【0031】
記録部103は、各機能の実行に伴い、利用履歴情報(ログ)を記録し、記憶する。具体的には、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなどの機能が実行されるに伴って、機能の実行履歴をログとして記録、保存する。この利用履歴情報の具体例は後述する。
【0032】
記憶部104は、各種情報を記憶する記憶装置として機能する。本実施形態では、例えば少なくともソフトウェア、利用履歴情報、マニュアル等が記憶されている。
【0033】
判定部105は、利用履歴情報に基づき、ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得・判定する機能を有している。この利用履歴情報の具体例は後述するが、利用履歴情報(ログ)には、ユーザ別に、使用した機能、使用時刻等々が記録されているので、判定部105は、ユーザ毎に、各機能の利用実績の回数を取得・判定が可能である。
【0034】
提示部106は、ユーザの利用実績(利用回数)が所定回数以下である機能のマニュアルを、当該ユーザに提示する機能を有している。ここで所定回数は任意に指定できる変数であるが、比較的小さい値(例えば0〜3程度)が指定される。提示部106は、ある機能についてユーザの利用実績が少ない場合に、その機能のマニュアルをユーザに提示するためである。なおこのとき、ユーザへの提示方法としては、マニュアルを、例えば自装置の操作パネル上に表示したり、ユーザ端末(PC6,7、携帯情報端末8等)に送信し表示させたり、MFPの印刷機能を利用して印刷出力(プリント)したりすることができる。
【0035】
更新部107は、ソフトウェアによる機能を自装置に対し更新(追加、削除を含む)する機能を有している。上述したようにMFPは、各種ソフトウェア(アプリケーション)をプラグイン機能として容易にインストール又はアンインストールすることができるようになっている。ソフトウェアが追加されると、そのソフトウェアにより実現される機能がMFP上に搭載されることになる。
【0036】
利用状況通知部108は、利用履歴情報に基づき、ユーザ毎の機能の利用状況の情報を管理者端末に通知する機能を有している。例えば、新しく追加されたソフトウェアのユーザ利用状況を管理者にフィードバックできるようにし、管理者はユーザへの新機能の浸透度等を確認できる。
【0037】
以上これらの機能は、実際には装置のCPU13cが実行するプログラムによりコンピュータに実現させるものである。
【0038】
(利用履歴情報例)
図4は、本実施形態に係る利用履歴情報(ログ)の一例を示す。上述したように、記録部102は、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなどの各機能が実行されるに伴って、機能の実行履歴をログとして記録、保存する。ログは、いつ(日時)、誰が(ユーザ名)、何を(機能名)、どの様に(条件、文書名)、機能を実行したか、またその結果(状態)が記録される。以下簡単に各項目を説明する。
【0039】
「ログID」は、ログ毎に付番される固有識別子示す。「日時」は、機能実行の日時を示す。「ユーザ名」は、機能実行の実行者を示す。なおMFP利用時には、既にユーザ・ログインがなされるなどしてユーザは特定されているものとする。「ジョブ」は、実行されたMFP上のジョブ(又は機能)を示す。「条件」は、機能実行に伴い指定された条件(例えば印刷条件)を示す。「文書名」は、対象となるデータ名やファイル名を示す。「状態」は、機能実行結果(完了/エラー)を示す。
【0040】
このように利用履歴情報(ログ)には、ユーザ別に、使用した機能、使用時刻等々が記録されているので、判定部105は、ユーザ毎に、各機能の利用実績の回数を取得・判定が可能である。例えば本例から、ユーザ「user05」は、機能「プリント/色:白黒/縮小:2P→1P」を1回利用していることが分かる。
【0041】
(マニュアル例)
図5は、本実施形態に係るマニュアルの一例を示す。本実施形態のマニュアルは、MFP上に搭載される機能毎に用意されている。機能毎の利用実績に応じて、利用実績の少ない機能のマニュアルをユーザに提示するためである。
【0042】
具体的に、図5(a)では、「変倍機能」を説明するマニュアルが示されている。また一方、図5(b)では、「変倍機能」を説明するマニュアルであるが、さらに「基礎編」、「応用編」というように、ユーザの習熟レベルに見合ったマニュアルが示されている。「変倍機能」について、一から理解したいユーザは「基礎編」のマニュアルを参照すると適切であり、より高度に使用したいユーザは、「応用編」のマニュアルを参照すると適切である。
【0043】
[情報処理]
次に本実施形態に係るMFPの処理動作を説明する。概要としては、利用履歴情報(ログ)に基づき、ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得・判定し、ある機能についてユーザの利用実績(利用回数)が少ない場合に、その機能のマニュアルをユーザに提示する。このように実施形態に係るMFPは、ユーザに機能説明や操作方法等を簡便に提示し、ユーザの新機能への理解や利用を促進させるものである。
【0044】
図6は、本実施形態に係るMFPの処理動作を説明するフローチャートである。本実施形態では前提として、管理者は以下のパラメータを既知情報としてMFPに指定(設定)しておく。「マニュアル提示の対象となる機能」を指定するのは、MFPの全機能を対象とすることも可能であるが、特に管理者が利用を促したい機能についてのマニュアル提示を行えるようにするためである。
・マニュアル提示の対象となる機能:「変倍機能」
・所定回数の指定:「3」
・マニュアルのレベルがある場合(例えば図5(b))は、マニュアルのレベル毎の所定回数の指定:基礎編:「0、1」、応用編:「2、3」
・提示方法の指定:操作パネル
なおまた言うまでもなく、今回のログイン以前においても、MFPにおいては、機能実行部102により各種機能が実行され、また各機能の実行に伴い、記録部103により利用履歴情報(ログ)が記録され続けているものとする。以下図を参照しながら説明する。
【0045】
S1:まずMFPに対しユーザがログイン操作を行うと、認証部101は、ユーザの認証を行う。上述したように認証方法はユーザを特定できればよく、ユーザID及びパスワードの入力によるユーザ認証、ICカードを使用したユーザ認証、生体を利用したユーザ認証(指紋・静脈等)などによりユーザの認証を行うことができる。なおここで、ログインユーザは「user05」であるものとする。
【0046】
S2:ログインが成功すると、判定部105は、利用履歴情報(ログ)から、当該ログインユーザの、機能毎の利用回数を取得する。ここでは、上述のパラメータからマニュアル提示の対象となる機能:「変倍機能」であるので、ユーザ「user05」、機能「プリント/色:白黒/縮小:2P→1P」(変倍機能)、利用回数1回として取得する。
【0047】
S3:提示部106は、ユーザの利用回数が所定回数以下である機能の有無を判定する。ここでは、変倍機能の所定回数は3であるので、Yへ進む(S4へ)。
【0048】
S4:次に利用回数に応じて処理を分岐する。利用回数に応じて提示するマニュアルのレベルを変更するためである。ここでは、利用回数1回であるので、S5へ進む。
【0049】
S5:提示部106は、ユーザの利用回数が所定回数以下である機能であって、利用回数に応じたマニュアルを、記憶部104から取得する。ここでは、「変倍機能」マニュアルの「基礎編」が取得される。
【0050】
S6:そして提示部106は、取得したマニュアル、つまりユーザの利用回数が所定回数以下である機能であって、利用回数に応じたマニュアルを当該ユーザに提示する。具体的に提示部106は、「変倍機能」マニュアルの「基礎編」をユーザ「user05」に対し、操作パネルに表示することで提示を行う。
【0051】
図7は、本実施形態に係る操作パネルの画面例を示す。ログイン後の画面上、「変倍機能」マニュアルの「基礎編」が表示される。ユーザ「user05」は、変倍機能の説明書を参照したいと思えば、「次へ」を操作して変倍機能の機能説明、操作方法、効用、留意点等を学習できる。また一方、「閉じる」を操作すれば、通常のMFPの操作画面に進むことができるし、さらに「次回から表示しない。」をチェックしておけば次回からこのようなマニュアルが表示されることなく、通常のMFPの操作画面に進むことができる。
【0052】
なお、S4にて利用回数が2又は3である場合、S5へ進む。この場合は、上述と同様の要領で記憶部104から「変倍機能」マニュアルの「応用編」が取得され、ユーザ「user05」に対し、操作パネルに表示される。
【0053】
なおまた、マニュアルがレベル分けされておらず1のマニュアルしかない場合(例えば図5(a))には、S4で処理を分岐する必要はなく、1のマニュアルを記憶部104から取得し、S6において、取得したマニュアルを当該ユーザに提示すればよい。
【0054】
なおまた、マニュアルの提示方法は、上述の操作パネルへの提示のほかに、当該ユーザの端末(PC6、7)に送信し表示させてもよいし(メール含む)、そのMFPにおいて用紙に印刷出力するようにしてもよい。
【0055】
[変形例]
次に変形例として、ソフトウェア更新のケースにおけるMFPの処理動作を説明する。上述したようにMFPの更新部107は、ソフトウェアによる機能を自装置に対し更新(追加、削除を含む)する機能を有している。そして新しいソフトウェアが追加されたということは、管理者にとって、ユーザに追加された新機能への理解や利用を促進させたいところである。
【0056】
そこで、管理者は、ソフトウェア更新に伴い、以下のパラメータを既知情報としてMFPに指定(設定)しておく。
マニュアル提示の対象となる機能:「変倍機能」、「地紋」(新機能)
所定回数の指定:「3」
(マニュアルのレベルがある場合はレベル毎の所定回数の指定:基礎編:「0、1」、応用編:「2、3」)
提示方法の指定:操作パネル
この例の場合、新機能として地紋用ソフトウェアが追加され、MFP上地紋機能が搭載されたものとする。そして管理者は、新機能である地紋機能をユーザに周知徹底すべく、マニュアル提示の対象となる機能に指定(設定)する。
【0057】
なおここで、管理者がソフトウェア更新に伴い手動で「マニュアル提示の対象となる機能」を指定(設定)することも可能であるが、ソフトウェア更新に伴い、これを自動的にするようにするとより好適である。具体的に、ソフトウェアの更新プログラムにおいて、新機能が追加されたときは「マニュアル提示の対象となる機能」のパラメータにその新機能を追加させるようにすることで、これを実現できる。なお、ソフトウェア更新に伴い、そのソフトウェアに含まれる/又は付属される新機能のマニュアルもまたMFPの記憶部104に記憶される。
【0058】
ここで再び、図6のフローチャートを参照する。本変形例においては、ソフトウェア更新に伴い、地紋機能が搭載され、また「マニュアル提示の対象となる機能」には「地紋」が指定(設定)されていることになる。従って、上述のS2において、いずれのユーザがログインしようとも、追加直後の利用履歴情報からしても全ユーザにとって、地紋機能の利用回数は0である。よって上述と同様、S3、4、5、6を経て、新機能である地紋機能のマニュアルが全てのユーザに対し各ユーザ毎のログインの度に提示される。
【0059】
以上のように、ソフトウェア更新がなされ新機能が追加された場合、新機能のマニュアルを全ユーザに提示でき、ひいては全ユーザに当該新機能への理解や利用を促進させることができる。
【0060】
[補足]
なお、MFPの利用状況通知部108は、利用履歴情報に基づき、ユーザ毎に、更新されたソフトウェアによる機能の利用状況の情報を管理者端末(例えばPC6、7)に通知する機能を有している。管理者は、新しく追加されたソフトウェアを含め、各種機能の利用を浸透させたいところ、実際にどの程度ユーザに認知され利用されているのかの情報(データ)をユーザ別や組織別にも得ることができる。そしてデータが満足の行く結果が得られれば、MFPの機能がユーザに十分浸透したといえるし、一方依然利用が促進されていないような場合には、上述の所定回数の指定のパラメータを増加(例えば3→5)させ、当該機能の周知徹底を図ることができる。
【0061】
また、ユーザは、ログイン直後のみならず、記憶部104に記憶されているマニュアルを随時操作パネル等の操作により呼出して参照することができる。従来、マニュアルは、冊子やCD媒体で提供されているものの、その取り扱いは非常に煩雑になりがちであったが、このようにすることでユーザは、容易に電子データとしてのマニュアルを参照できる。
【0062】
なおまた、上述の本実施形態において、記憶部104に記憶されているマニュアルは、MFP上に搭載される機能毎に用意されているものとして説明した。ここで、MFP1に対してマニュアルのインストール時、例えば利用履歴情報に基づく利用実績に応じて、利用実績の多い機能のマニュアル(及びその機能関連のマニュアル)のみを記憶(保持)するようにすることもできる。仮にMFP1が保持していないマニュアルが必要となった場合は、他のMFP(例えば図1、MFP2〜5)に対し当該マニュアルの問合せを行い、マニュアルデータを取得してからMFP1上で表示する。このようにすると、マニュアルデータ(記憶容量域)の分散化を図ることができる。
【0063】
またもしくは、ネットワーク上の全てのMFP(例えば図1、MFP1〜5)において、1のMFPが全てのマニュアルを保持するのではなく、ネットワーク上の全ての各MFPでもって全てのマニュアルを保持するようにしてもよい。この場合もMFP1が保持していないマニュアルが必要となった場合は、他のMFP(例えば図1、MFP2〜5)に対し当該マニュアルの問合せを行い、マニュアルデータを取得してからMFP1上で表示する。ただこの場合、全てのマニュアルデータを各MFPに割り振りする必要があるが、例えば各MFPに対し均等のデータ量(マニュアル量)を振り分けることもできるし、MFPの記憶領域が平均的になるよう各MFPへのデータ量を調整して振り分けることもできる。
【0064】
[総括]
以上、本実施形態に係るMFPは、利用履歴情報(ログ)に基づき、ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得判定し、ユーザの利用実績(利用回数)が所定回数以下である機能のマニュアルを当該ユーザに提示するので、新しく追加されたソフトウェアを含め、各種機能への理解と利用を浸透させることができる。そしてまた、利用回数に相応しいマニュアルによる機能のガイダンスが可能になり、ユーザの未修得がなくなり、操作教育の徹底を図ることが可能になる。またこれにより、従来、MFPの操作説明書や機能説明書等のマニュアルは取扱が煩雑であったところ、目的の機能を探すまでの手間と時間を削減できる。
【0065】
即ち以上の本発明によれば、利用者に機能説明や操作方法等を簡便に提示することにより、利用者の新機能への理解や利用を促進させる画像形成装置等を提供することが可能となる。
【0066】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1−5 画像形成装置
6、7 PC
8 携帯情報端末
11 操作パネル
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
101 認証部
102 機能実行部
103 記録部
104 記憶部
105 判定部
106 提示部
107 更新部
108 利用状況通知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2006‐261970号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの認証を行う認証手段と、
機能の実行に伴い、当該機能の利用履歴情報を前記ユーザ毎に記録し、記憶する記録手段と、
前記機能のマニュアルを記憶した記憶手段と、
前記利用履歴情報に基づき、前記ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得判定する判定手段と、
ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを、当該ユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ソフトウェアによる機能を自装置に対し更新する更新手段を有し、
前記判定手段は、前記ソフトウェアよる機能が更新されたとき、全ての前記ユーザにおいて当該機能は利用実績が所定回数以下の機能であると判定し、
前記提示手段は、当該ソフトウェアのマニュアルを、全ての前記ユーザに提示すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記提示手段は、前記ソフトウェアのマニュアルを、自装置の操作パネル上若しくはユーザ端末に提示し、又は印刷出力すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ソフトウェアのマニュアルは、ユーザの習熟レベル毎に作成されたマニュアルを含み、
前記提示手段は、ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを当該ユーザに提示するとき、さらに、当該利用実績の回数に応じた習熟レベルのマニュアルを当該ユーザに提示すること、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記利用履歴情報に基づき、前記ユーザ毎の前記機能の利用状況の情報を管理者端末に通知する利用状況通知手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザの認証を行う認証手順と、
機能の実行に伴い、当該機能の利用履歴情報を前記ユーザ毎に記録し、記憶する記録手順と、
前記機能のマニュアルを記憶した記憶手順と、
前記利用履歴情報に基づき、前記ユーザ毎に、機能の利用実績の回数を取得判定する判定手順と、
ユーザの利用実績が所定回数以下である機能のマニュアルを、当該ユーザに提示する提示手順と、
を有することを特徴とするマニュアル提示方法。
【請求項7】
前記ソフトウェアによる機能を自装置に対し更新する更新手順を有し、
前記判定手順は、前記ソフトウェアよる機能が更新されたとき、全ての前記ユーザにおいて当該機能は利用実績が所定回数以下の機能であると判定し、
前記提示手順は、当該ソフトウェアのマニュアルを、全ての前記ユーザに提示すること、
を特徴とする請求項6記載のマニュアル提示方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載のマニュアル提示方法をコンピュータに実行させるためのマニュアル提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−259104(P2011−259104A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130385(P2010−130385)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】