説明

画像形成装置、搬送冷却装置及び冷却ローラ

【課題】トナー像の定着のために加熱されて高温となった記録シートの温度を効率よく降下させる。
【解決手段】 定着装置の下流側に冷却ローラ14を配置し、互いに圧接される冷却ローラと冷却対向ローラ18との間に記録シートを挟み込んで搬送する。これにより記録シートPを全幅にわたってほぼ均等に冷却ローラと接触させ、熱の移動によって記録シートを冷却する。冷却ローラは、中空の部材となっており、内周面から複数のリブ14aが立ち上げられている。このリブ14aの高さh1は冷却ローラの内周面の半径R1より小さくなっており、冷却ローラの中心軸線付近は軸線方向に貫通して空気の流路となっている。この冷却ローラの中空部には一端からファンによって空気流が送り込まれ、冷却ローラからの放熱が促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電電位の差による潜像にトナーを選択的に付着させてトナー像を形成し、このトナー像を加熱及び加圧して記録シート上に定着する画像形成装置及びこの画像形成装置で用いることができる搬送冷却装置、冷却ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉状のトナーの付着よって可視像を形成する画像形成装置において、トナー像を記録シート上に定着する工程は、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱及び加圧する方法、又は加熱されたトナー像を記録媒体上に圧着する方法が広く採用されている。この他の手段が採用される場合であっても、トナー像の定着にはトナー像を加熱して定着することが一般に行われている。
このようにトナー像を記録シート上に定着した場合には、トナー像の加熱とともに記録シートも加熱され、定着部から送り出された記録シートは高温状態となっていることが多い。このように記録シートが高温となることによって次のような不都合が生じることがある。
片面のみに画像を形成する場合は、定着部から送り出された記録シート上のトナー像が高温となっているために、その後の搬送路上に設けられているガイド部材にトナー像がこすりつけられ、画像に摺擦痕が生じることがある。また、排出トレイに送り出され積み重ねられたときに先行して排出された記録シート上のトナー像が後から排出された記録シートの裏面に転移する等のトラブルが発生することがある。両面にトナー像を形成する場合には、さらに記録シートの温度が高くなるため、トナー像にトラブルが起こりやすくなる。
【0003】
上記のような事情により、定着部から送り出された記録シートの温度を低下させる技術が、例えば特許文献1に提案されている。この技術は、定着装置から送り出された高温の記録シートに空気流を吹き付け、温度の降下を促進させようとするものである。
【特許文献1】特開平9−160311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、記録シートに直接に空気流を吹き付けて温度を低下させようとすると、記録シートの表面の広い範囲に多くの空気量を吹き付ける必要があり、ファン等の設備を配置するために大きなスペースが必要となる。また、空気流の吹きつけによって記録シートが波打つように振動したり、変形して記録シートの搬送を阻害することが考えられる。例えば、大きな変形によって円滑に搬送ローラ対に記録シートの先端が送り込まれず、いわゆる紙詰まりが生じることがある。
【0005】
本願に係る発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、加熱されて高温となった記録シートの温度を効率よく低下させる画像形成装置及びこの画像形成装置で用いられる冷却ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 粉状のトナーの付着によってトナー像を形成する像形成部と、 前記トナー像を加熱して記録シート上に定着する定着手段と、 前記定着手段によってトナー像が定着された記録シートの全幅にわたって密接され、該記録シートを冷却する冷却ローラとを有し、 前記冷却ローラは、中空の部材からなり、中空部分には軸線方向に冷却用気体が通過するものである画像形成装置を提供する。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 中空となった前記冷却ローラの内側には、内周面から立ち上げられて軸線方向に伸びる板状のリブが複数設けられ、 前記冷却ローラの内周面から前記リブが立ち上げられた高さが該冷却ローラの内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該冷却ローラの軸線方向に貫通しているものとする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 中空となった前記冷却ローラの内側には、内周面から立ち上げられ、該冷却ローラの回転によって中空部内に空気流を形成する複数のひれ状部材が設けられ、 前記冷却ローラの内周面から前記ひれ状部材が立ち上げられた高さが該冷却ローラの内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該冷却ローラの軸線方向に貫通しているものとする。
【0009】
請求項4に係る発明は、 加熱されたシートと全幅にわたって密接され、該シートを冷却する冷却ローラと、 軸線周りに回転する前記冷却ローラとの間に前記シートは挟み込み、前記冷却ローラの回転にともなって搬送されるシートを前記冷却ローラに押し付ける押圧部材とを有し、 前記冷却ローラは、中空の部材からなり、中空部分には軸線方向に冷却用気体が通過するものである搬送冷却装置を提供するものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、 外周面に、加熱されたシートが全幅にわたって密接される中空の円筒部と、 内周面から立ち上げられた複数の板状部材とを有し、 前記円筒部の内周面から立ち上げられた前記板状部材の高さが前記円筒部の内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該円筒部の軸線方向に貫通している冷却ローラを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成を備えることにより、請求項1に係る発明では、トナー像が定着され、高温となった記録シートは冷却ローラと接触することによって熱が奪われ、温度が低下する。そして、冷却ローラは中空部分を通過する気体に放熱され、冷却ローラの温度上昇が抑制される。したがって、冷却ローラによる記録シートの冷却が効率よく行われる。
【0012】
請求項2に係る発明では、リブによって中空部分での表面積が大きくなるとともに、冷却ローラの中心部分に部材がなく、冷却ローラ内の軸線方向の空気流に対する抵抗が少なくなる。したがって、冷却ローラからの放熱がさらに効率よく行われる。
【0013】
請求項3に係る発明では、冷却ローラの回転時にひれ状部材が空気流を形成し、これによって冷却ローラからの放熱が促進される。したがって、冷却ローラの中空部分に空気流を形成する手段、例えばファン等を省略したり、ファンの機能を補助して効率の良い冷却が可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明では、加熱された後のシートを効率よく冷却することができる。また、請求項5に係る発明では、冷却ローラからの放熱が促進され、多数枚のシートを連続して冷却する場合にも、シートを効率よく冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、帯電状態で像光が照射されることにより表面に静電電位の差による潜像が形成される円筒状の感光体ドラム1を備えており、この感光体ドラム1の周囲に、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる帯電装置2と、感光体ドラム1に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置3と、感光体ドラム上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像ユニット4と、感光体ドラム1と対向し、周面の周回が可能に支持される無端ベルト状の中間転写体5と、トナー像の転写後に感光体ドラム1に残留するトナーを除去するクリーニング装置6と、感光体ドラム1の表面を除電する除電露光装置7とを備えている。
【0016】
また、上記中間転写体5の内側には、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写体5に一次転写させる転写帯電器8と、2つの支持ローラ9a、9bと、二次転写を行うための転写対向ローラ10とが配置されており、これらによって中間転写体5が周回可能に張架されている。該転写対向ローラ10と中間転写体5を介して対向する位置には、中間転写体上のトナー像を記録シートに二次転写する転写ローラ11が配設されており、転写対向ローラ10と転写ローラ11との対向部でこれらの間にシートトレイ13から記録シートPが送り込まれる。また、上記対向部の下流側には、記録シート上のトナー像を加熱溶融して記録シートPに圧着する定着装置12、及びその下流側には定着装置12を通過した記録シートを搬送するとともに記録シートを冷却する冷却ローラ14が設けられている。そして、冷却ローラ14から排出トレイ15に至る搬送経路には、一枚の記録シートの両面に画像を形成するときに、記録シートを両面用搬送路16に送り込むゲート17が設けられている。両面用搬送路16は表裏が反転された記録シートを再度転写ローラ11と中間転写体5との圧接部に送り込むものである。
【0017】
上記感光体ドラム1は、金属製ドラム表面にSe、a-Si、a-SiC、Cds等の各種無機感光材料、有機感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等からなる感光体層を形成したものを用いることができる。
【0018】
上記帯電装置2は、ステンレススチール、アルミニウム等の導電性を有する金属のローラに高抵抗材料のコーティングを施したものであり、感光体ドラム1に当接され、従動回転するようになっている。そして、所定の電圧が印加されることにより、該ローラと感光体ドラム1との接触部近傍における微小間隙内で継続的な放電を生じ、感光体ドラム1の表面をほぼ一様に帯電するものである。
【0019】
露光装置3は、画像信号に基づいて点滅するレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーによって感光体ドラム1の主走査方向にスキャンするものである。これにより感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。
【0020】
上記現像ユニット4は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容した4台の現像器4a ,4b,4c,4dが回転可能に支持されており、順次各現像器が感光体ドラム1と近接・対向し、各色に対応した潜像にトナーを転移して可視像を形成するものである。
この現像器で用いられるトナーは、主に磁性キャリアとの摩擦により負極性に帯電されるものであり、色材とバインダ樹脂とを含むものである。また、パラフィンワックスを含むものであってもよい。
【0021】
ベルト状の上記中間転写体5は、ベース層と表面層との2層構造となっており、ベース層には、耐熱性・強度・表面平滑性を考慮して、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂や、アルミニウム、ステンレス等の金属が用いられ、表面層には、耐熱性およびトナーとの離型性の高いシリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられている。
【0022】
上記転写帯電器8は、感光体ドラム1上のトナー像が、効率よく中間転写体5へ転移するように電圧を印加して中間転写体5の裏面に電荷を付与するものである。また、上記転写ローラ11は、導電性もしくは半導電性のローラ状部材からなり、転写対向ローラ10との間に電圧を印加することによって、中間転写体5上のトナー像を記録シートPに一括転写するものである。
【0023】
上記定着装置12は、加熱源を内蔵した加熱ローラ12aと、この加熱ローラ12aに圧接される加圧ローラ12bとを備えており、これらが平行に配置されて互いに圧接されるニップ部を形成している。トナー像が転写された記録シートPは、上記ニップ部に送り込まれ、回転駆動される加熱ローラ12aと加圧ローラ12bとの間で加熱されるとともに加圧され、軟化したトナーが記録シート上に圧着されるものとなっている。
【0024】
上記加熱ローラ12aは、金属製の芯金の周面上に耐熱性ゴム等の弾性体層が形成され、その表面に離型層が形成されたものであり、加熱源としてハロゲンヒーターを内蔵している。加圧ローラ12bは、上記加熱ローラ12aと同様に金属製の芯金に弾性体層と表面離型層とを積層して被覆したものである。
【0025】
上記冷却ローラ14は、定着装置12の下流側における記録シートの搬送経路に、冷却対向ローラ18と対向するように設けられている。これらのローラは互いに平行に支持され、接触していずれか一方が回転駆動されるものであり、これらの間に送り込まれた記録シートを挟み込んで搬送するものとなっている。そして、双方のローラは用いられる最大サイズの記録シートの全幅でほぼ均等に接触するものである。
【0026】
上記冷却ローラ14は、外径が30mmで中空となっており、図2に示すように外周面が軸受け19によって回転可能に支持されている。これによりローラの中空部分は軸線方向に貫通し、一方の端部からファン20によって空気流が送り込まれる。この冷却ローラ14の内周面からは、図3に示すように中心に向かって複数のリブ14aが立ち上げられ、これらのリブ14aは軸線方向に連続するものとなっている。これにより、冷却ローラの内側の表面積が増大されており、中空部分を通過する空気流との接触面積が大きくなって放熱が促進される。また、リブ14aは、内周面から立ち上げられた高さh1が内周面の半径R1より小さくなっており、冷却ローラの中心軸線付近14cに部材が設けられておらず、空気流の通路として軸線方向に貫通している。これにより空気流への抵抗を小さくしている。
一方、円筒状となった外周部14bは、放熱が速やかに生じるように薄くなっており、冷却対向ローラ18との圧接による変形が生じないように上記リブ14aによって剛性を増大するものとなっている。
【0027】
上記冷却ローラ14はアルミニウムやステンレススチール等の金属で形成することができ、アルミニウムを用いる場合には押し出し成型により、外周部14bとリブ14aとを一体に成型することができる。また、リブ14aを板金のプレス加工等により形成し、アルミニウムやステンレススチールの円筒体内に嵌め入れて固定したり、溶接によってリブを固着することもできる。
【0028】
トナー像が定着された記録シートの表面と接触する冷却ローラ14の外周面は、表面粗さがRaで3.2程度に仕上げられていればよい。また、厚さが10〜20μm程度のフッ素樹脂(例えば、PFA)からなる表面層が形成されていてもよい。このように表面粗さが調整され、又は表面層が形成されていることにより、定着時に加熱されてまだ高温状態となっているトナーが冷却ローラ14に転移するのが防止される。
【0029】
一方、冷却対向ローラ18はステンレススチール(SUS304)の軸部材18aの周囲に、ゴム硬度(JIS−A)が50〜70程度のEPDMで円筒状部材18bを形成し、外径が25mm程度に形成したものである。そして、軸部材18aの両端部を軸受け21を介して支持し、この軸受けに作用する押圧力によって冷却ローラ14と互いに圧接される。
【0030】
なお、上記冷却ローラ14と冷却対向ローラ18とは、いずれか一方又は双方が、端部より中央部で径がわずかに拡大されたものとすることができる。これらのローラは両端部を支持して押圧することによって軸線方向にたわみが生じることがあるが、上記のように中央部で径がわずかに拡大されていることにより、軸線方向に均等な接触圧が維持され、記録シートを幅方向にほぼ均等に冷却することができる。
【0031】
このような画像形成装置において、トナー像の形成は次のような工程によって行われる。
まず、感光体ドラム1の表面が帯電装置2でほぼ一様に帯電され、つづいて露光装置3から像光が照射されて感光体1の表面に静電電位の差による潜像が形成される。そして、感光体ドラム1の回転により、現像ユニット4の1つの現像器4aと対向する位置に移動し、現像器4aから1色目のトナーが転移され、トナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム1の回転により中間転写体5との対向位置に搬送され、中間転写体上に静電的に一次転写される。一方、トナー像転写後の感光体ドラム1上に残留するトナーはクリーニング装置6により除去され、感光体ドラム1の表面は除電露光装置7により電位的に初期化され、再び帯電装置2との対向位置に移動する。
【0032】
以後、現像ユニット4の3つの現像器4b,4c,4dが順次、感光体ドラム1と対向する位置に移動し、同様に2色目、3色目、4色目のトナー像が順次形成され、中間転写体5上に重ねて転写される。なお、このとき二次転写のための転写ローラ11は、中間転写体5と接触しない位置に後退している。
【0033】
中間転写体5上で重ね合わされたトナー像は、中間転写体5の周回移動により、転写ローラ11と転写対向ローラ10との対向位置に搬送され、シートトレイ13から送り込まれた記録シートPに当接される。転写ローラ11と転写対向ローラ10との間には転写用バイアス電圧が印加されており、トナー像は記録シート上に静電的に二次転写される。そして、トナー像が転写された記録シートPは定着装置12へと搬送される。
【0034】
定着装置12は、画像形成装置の電源が投入されるとともに予備加熱が行われて、加熱ローラ12aが所定の温度に加熱された待機状態となっており、画像形成動作の開始とともにさらに加熱されて、記録シートPが搬送されてきたときには、トナー像の定着に充分な温度となる。そして、加圧ローラ12bとの間のニップ部に導かれた記録シートを加熱するとともに加圧し、溶融したトナーを記録シート上に押し付けて定着画像とする。
【0035】
定着装置12から送り出された記録シートPは、冷却ローラ14と冷却対向ローラ18との間に送り込まれ、全面が冷却ローラ14と接触する。これにより高温となった記録シートP及びトナー像から冷却ローラ14へ熱が移動し、記録シートが冷却される。一方、冷却ローラ14は、中空部分に送り込まれた空気流によって放熱が促進され、温度の上昇が抑制される。このとき中空の冷却ローラ14の内部を軸線方向に流れる空気は、冷却ローラ14の内側の表面の影響を受け、表面近くでは流速が小さくなるが、上記冷却ローラ14では中心軸線付近に部材がなく、空気の流路として軸線方向の空間が確保されている。したがって、空気流の抵抗が少なくなり、円滑に流れる空気へ放熱が速やかに行われる。これにより、継続して多数枚の記録シートへの画像定着が行われても定着後の記録シートを有効に冷却することができる。
【0036】
冷却された記録シートは、片面のみに画像を形成するときには搬送ローラ22によって排出トレイ15に送り出される。このとき、記録シートは冷却されているので円滑に搬送され、画像に摺擦痕が生じたり、トナー像が重ね合わされた記録シートに転移したりすることはない。一方、両面に画像を形成するときには、ゲート17が動作して記録シートPを両面用搬送路16に送り込む。両面搬送路を搬送される記録シートは、一旦反転搬送路16aに送り込まれ、搬送方向を反転して再び二次転写部へと送り込まれる。搬送方向が反転されることによって記録シートは表裏が反転されており、先にトナー像が転写された面とは反対側の面にトナー像が転写される。そして、同様の工程によりトナー像の定着及び冷却が行われる。このとき、片面に画像の定着が行われた後に冷却されているので、最初の面とほぼ同様の条件で転写及び定着が行われ、良好な画像を記録シート上に形成することができる。
【0037】
以上に説明した実施の形態では、冷却ローラ14の内面に設けられたリブ14aは軸線方向へ直線となっているが、図4に示す冷却ローラ31のように螺旋状にリブ31aを設けてもよい。螺旋のピッチを中空部に送り込まれる空気流の速度に合わせて決定することにより、リブ31aが空気流の抵抗となるのを低減し、軸線方向に空気流が通過しやすいようにすることもできる。また、螺旋状のリブのピッチを適切に定めることにより、冷却ローラの回転で冷却ローラ内に空気流を発生させるようにすることもできる。
さらに軸線方向に連続するリブではなく、図5に示すように冷却ローラ32の内周面に所定長さのひれ状の翼体32aを複数設けることもできる。この翼体32aは、冷却ローラ32の内面の表面積を大きくして放熱を促進するだけではなく、その角度を適切に調整することにより冷却ローラ32の回転で冷却ローラ内に軸線方向の空気流を生じさせることができる。なお、この翼体32aも冷却ローラの内周面からの立ち上げ高さh2が内周面の半径R2より小さくなっており、中心軸線付近は貫通する空間32bとなっている。
【0038】
また、冷却ローラの軸受けは、図2に示すように外周面と同じ半径方向の位置で支持するように設けても良いし、図6に示すように両端部で冷却ローラ33の外径を縮小し、この部分を軸受け34で指示するものであっても良い。
【0039】
一方、上記の装置では冷却ローラ14の中空部に送り込む冷却媒体として空気を用いているが、このほかの気体又は液体を用いても良い。この場合には冷却ローラの一端に接続され、他端に至る管路を設け、冷却媒体を循環させるのが望ましい。
【0040】
図2及び図3に示す冷却対向ローラは、これに代えて図7に示すようなローラ35,36とこれらに張架された無端状ベルト37を用いることができる。このようなローラ35,36と無端状ベルト37とを用いると、無端状ベルト37からの放熱が促進され、冷却ローラと対向する部材の温度が上昇するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置で用いられる冷却ローラ及び冷却対向ローラの側面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置で用いられる冷却ローラ及び冷却対向ローラの断面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置で用いることができる冷却ローラの他の例を示す概略斜視図である。
【図5】図1に示す画像形成装置で用いることができる冷却ローラの他の例を示す概略断面図及び側面図である。
【図6】冷却ローラの支持部の他の例を示す概略断面図である。
【図7】図1に示す画像形成装置で、冷却対向ローラに代えて用いることができる対向部材の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1:感光体ドラム, 2:帯電装置, 3:露光装置, 4:現像ユニット, 5:中間転写体, 6:クリーニング装置, 7:除電露光装置, 8:転写帯電器, 9:支持ローラ, 10:転写対向ローラ, 11:転写ローラ, 12:定着装置, 13:シートトレイ, 14:冷却ローラ, 15:排出トレイ, 16:両面用搬送路, 17:ゲート, 18:冷却対向ローラ, 19:冷却ローラの軸受け, 20:ファン, 21:冷却対向ローラの軸受け,
31,32,33:冷却ローラ, 34:軸受け, 35,36:ローラ, 37:無端状ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状のトナーの付着によってトナー像を形成する像形成部と、
前記トナー像を加熱して記録シート上に定着する定着手段と、
前記定着手段によってトナー像が定着された記録シートの全幅にわたって密接され、該記録シートを冷却する冷却ローラとを有し、
前記冷却ローラは、中空の部材からなり、中空部分には軸線方向に冷却用気体が通過するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
中空となった前記冷却ローラの内側には、内周面から立ち上げられて軸線方向に伸びる板状のリブが複数設けられ、
前記冷却ローラの内周面から前記リブが立ち上げられた高さが該冷却ローラの内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該冷却ローラの軸線方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
中空となった前記冷却ローラの内側には、内周面から立ち上げられ、該冷却ローラの回転によって中空部内に空気流を形成する複数のひれ状部材が設けられ、
前記冷却ローラの内周面から前記ひれ状部材が立ち上げられた高さが該冷却ローラの内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該冷却ローラの軸線方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
加熱されたシートと全幅にわたって密接され、該シートを冷却する冷却ローラと、
軸線周りに回転する前記冷却ローラとの間に前記シートは挟み込み、前記冷却ローラの回転にともなって搬送されるシートを前記冷却ローラに押し付ける押圧部材とを有し、
前記冷却ローラは、中空の部材からなり、中空部分には軸線方向に冷却用気体が通過するものであることを特徴とする搬送冷却装置。
【請求項5】
外周面に、加熱されたシートが全幅にわたって密接される中空の円筒部と、
内周面から立ち上げられた複数の板状部材とを有し、
前記円筒部の内周面から立ち上げられた前記板状部材の高さが前記円筒部の内周面の半径未満であり、中心部が中空となって該円筒部の軸線方向に貫通していることを特徴とする冷却ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−102346(P2008−102346A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285289(P2006−285289)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】