画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラム
【課題】原稿の画像を拡大して出力する場合であっても、画質の劣化を有効に抑制することができる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムを提供する。
【解決手段】主走査方向に沿って千鳥状に配置された複数のCISと、複数のCIS同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶し、また、誤差量と調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する不揮発性メモリと、複数のCIS同士の相対位置の設計値と調整用パラメータとに基づいて、複数のCISから出力される画像データを合成して原稿の画像を生成する画像生成手段411と、原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段412と、拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて拡大画像を補正する補正手段413とを備える。
【解決手段】主走査方向に沿って千鳥状に配置された複数のCISと、複数のCIS同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶し、また、誤差量と調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する不揮発性メモリと、複数のCIS同士の相対位置の設計値と調整用パラメータとに基づいて、複数のCISから出力される画像データを合成して原稿の画像を生成する画像生成手段411と、原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段412と、拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて拡大画像を補正する補正手段413とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを千鳥状に配置した原稿読取手段を備える画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機や複合機などの画像形成装置において、A0サイズなどの大きなサイズの原稿の読み取りを可能にするために、複数個のA3やA4サイズのCIS(Contact Image Sensor;密着イメージセンサ)を千鳥状に配置した千鳥方式センサを原稿読取手段として備えるものが知られている。CISは、原稿の画像をセルフォック(登録商標)レンズアレイなどの光学素子により、光電変換素子が多数配列された受光面に結像し、各光電変換素子からの出力信号を、例えば、CCD(電荷結合素子)などからなるアナログ転送ゲート回路に転送し、このアナログ転送ゲート回路の転送動作を主走査クロック信号で駆動することで、主走査クロックに同期した各画素の読取信号を出力するものである。このCISは、等倍に画像を読み取ることから、等倍イメージセンサとも言われる。
【0003】
一般に、A3やA4サイズのCISはコンシューマ向けに大量に生産されているため低コストである。これに対して、A0サイズのCISは需要が少ないために生産量が少なく、構成部品のセルフォックレンズアレイなどの光学素子も高価であるため部品コストが高い。そこで、装置コストを低減するために、低コストのA3やA4サイズのCISを用いてA0サイズの原稿の読み取りを実現できる千鳥方式センサが普及している。
【0004】
このような千鳥方式センサを原稿読取手段として用いる場合、各CISで読み取った原稿の画像を、あたかも単一CISで読み取った様に合成する必要がある。このため、通常は、主走査方向に隣り合うCIS同士で読取領域が重複する部分に繋ぎ目位置を設定し、この繋ぎ目位置を境に一方のCISで読み取った画像データと他方のCISで読み取った画像データとを繋ぎ合わせるとともに、副走査方向で異なる位置に設置されるCISのうち、先に原稿の読み取りが行われるCISからの画像データの出力を、後に読み取りが行われるCISとの副走査方向における位置の差に応じて遅延させることにより、単一CISで読み取った場合と同等の画像を生成するようにしている。
【0005】
上記の繋ぎ目位置や遅延量は、千鳥方式センサを構成する各CISのレイアウトに応じて決まるCIS同士の相対位置の設計値に基づいて、予め設定しておくことができる。しかしながら、実際には、各CISを設計値通りに正確に設置することは極めて困難であり、CIS同士の相対位置に、設計値に対する誤差が生じていることが多い。このため、通常は、画像形成装置の製造工程や保守作業時に調整用テストチャートの読み取りを行って、この設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に応じて、実際に原稿の読み取りを行う際に上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整することによって、画素の欠落や重複を最小限(例えば1画素以下)にして画質の劣化を抑制するようにしている(例えば、特許文献1、特許文献2等を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、各CISで読み取った画像データを合成する際の画素の欠落や重複を最小限にすることができるものの、これは等倍を想定したものであり、画像を拡大して出力する場合には、その拡大率に応じて、最小限にした画素の欠落や重複が拡大され、画質の劣化を招く場合があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原稿の画像を拡大して出力する場合であっても、画質の劣化を有効に抑制することができる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する画像生成手段と、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段と、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる画像形成方法は、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成するステップと、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成するステップと、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる画像形成プログラムは、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置の前記制御手段に、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する機能と、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する機能と、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿を読み取る複数のセンサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量と調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶しておき、原稿の画像を拡大した拡大画像を生成する場合は、拡大画像を拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて補正するので、拡大画像の画質の劣化を有効に抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、デジタル複写機の構造を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、デジタル複写機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、読み取り部の構造を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、読み取り部のレイアウトを説明する平面図である。
【図5】図5は、調整用テストチャートの一例を示す図である。
【図6】図6は、システム制御部のCPUにより実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、補正手段による補正処理を説明する図である。
【図8】図8は、典型的な拡大率と拡大補正用パラメータの値ごとに部分画像のシフト量を指定するテーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、原稿の読み取りを行って転写紙に画像を印刷するまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、読み取り速度の制御により原稿の画像を副走査方向に拡大する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、CISを用いた読み取り部で原稿の画像を読み取り、LED書き込み方式の書き込み部で原稿の画像を転写紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例である。
【0014】
[デジタル複写機の概要]
まず、本実施形態のデジタル複写機の概要について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施形態のデジタル複写機の構造を模式的に示す側面図、図2は、本実施形態のデジタル複写機の制御系の構成を示すブロック図である。また、図3は、本実施形態のデジタル複写機が備える読み取り部の構造を模式的に示す側面図、図4は、読み取り部のレイアウトを説明する平面図である。
【0015】
本実施形態のデジタル複写機は、図1に示すように、原稿の画像を読み取る読み取り部100と、読み取り部100で読み取った原稿の画像を転写紙に印刷する書き込み部500と、書き込み部500に転写紙を供給するロール給紙部610およびカセット給紙部620とを備える。また、本実施形態のデジタル複写機は、図2に示すように、読み取り部100で読み取った原稿の画像を格納する画像メモリ200と、画像メモリ200に格納された原稿の画像に対して各種画像処理を行う画像処理部300と、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御するシステム制御部400と、オペレータの操作入力を受け付ける操作部700と、デジタル複写機における各部に電源を供給する電源装置800などを備える。
【0016】
まず、書き込み部500について説明する。書き込み部500は、図2に示すように、書き込み制御部501と、書き込み用の光を出力するLEDヘッド502とを備える。書き込み制御部501は、システム制御部400による制御のもとで、同期クロックに従って画像メモリ200から転送された原稿の画像データを1画素単位にビット変換し、LEDヘッド502に供給する。LEDヘッド502は、書き込み制御部501からの信号に従って動作し、1画素単位で制御される書き込み用の光を出力して、画像信号に応じた画像の書き込みを行う。
【0017】
ここで、図1を参照しながら、LEDヘッド502を用いた一連の書き込みプロセスの概要を説明する。書き込み部500には、書き込みプロセスを実行する構成として、上記の書き込み制御部501およびLEDヘッド502のほか、感光体ドラム503、帯電チャージャ504、現像ユニット505、レジストローラ506、転写チャージャ507、分離チャージャ508および定着ユニット509が設けられている。
【0018】
帯電チャージャ504は、感光体ドラム503を例えば−900Vに一様に帯電させるグリッド付きのスコロトロンチャージャと呼ばれるものであり、非接触で帯電処理を行うことができる。LEDヘッド502は、発光素子であるLEDをアレイ状に並べた構成であり、画像データに応じて各LEDから発光した光を、セルフォック(登録商標)レンズアレイを介して感光体ドラム503に照射させる。
【0019】
帯電チャージャ504により帯電された感光体ドラム503は、LEDヘッド502からの光が照射された部分において光導電現象により電荷がアースに流れて減少する。ここで、原稿の画像の濃度の淡い部分は、LEDを発光させないようにし、原稿濃度の濃い部分はLEDを発光させる。これにより、感光体ドラム503上に原稿の画像の濃淡に対応した静電潜像が形成される。
【0020】
この感光体ドラム503上に形成された静電潜像は、現像ユニット505によって現像される。現像ユニット505内のトナーは、撹拌により負に帯電されており、バイアスは例えば−700Vに印加されている。このため、感光体ドラム503上でLEDヘッド503からの光が照射された部分だけトナーが付着し、感光体ドラム503上の静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0021】
一方、転写紙は、ロール給紙部610とカセット給紙部620から選択的に供給される。転写紙は、レジストローラ506により搬送のタイミングが制御され、所定のタイミングで感光体ドラム503の下部を通過する。このとき、転写チャージャ507により、感光体ドラム503上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された転写紙は、次に分離チャージャ508により感光体ドラム503から分離され、定着ユニット509に搬送される。そして、定着ユニット509により転写紙上に転写されたトナー像が転写紙に定着される。トナー像が定着された転写紙は、デジタル複写機の外部に排紙される。
【0022】
なお、以上は、LED書き込み方式の書き込み部500について説明したが、書き込み部500はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ書き込み方式の書き込み部や、インクジェット方式の書き込み部を備える構成であってもよい。
【0023】
次に、読み取り部100について説明する。読み取り部100は、図2に示すように、複数のCIS101およびA/D変換部102と、読取制御部103と、画像転送部104と、センサ群105とを備える。複数のCIS101は、画像の読み取りを行うセンサであり、これら複数のCIS101上に原稿を通過させることで、原稿全体の画像を取得している。各CIS101が読み取った原稿の画像は、A/D変換部102で画素ごとの多値デジタル画像信号(以下、画像データという。)に変換され、読取制御部103に入力される。なお、図2および図4においては、5つのCIS101を主走査方向に沿って千鳥状に配置した例を示しているが、CIS101の数やレイアウトなどはこの例に限定されるものではない。
【0024】
読取制御部103は、システム制御部400による制御のもとで各CIS101の動作を制御し、CIS101により読み取られた原稿の画像データを入力する。読取制御部103に入力された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、画像メモリ200に格納される。なお、センサ群105は、後述する原稿挿入センサ111、原稿レジストセンサ113、原稿排紙センサ114および原稿サイズ検知センサ112a〜112dの総称である。読取制御部103は、このセンサ群105からの信号を監視しながら、各CIS101の動作を制御している。
【0025】
ここで、図1、図3および図4を参照しながら、読み取り部100の具体的な構成例についてさらに詳しく説明する。複数のCIS101は、原稿テーブル106上から挿入された原稿Mを読み取るために、原稿Mの搬送方向である副走査方向(図3および図4中の矢印A方向)と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。主走査方向に隣接するCIS101は、その読取領域の端部同士を重複させている。また、複数のCIS101と対向する位置には、原稿Mの浮きを抑える白基準板107が配設されている。この白基準板107は、CIS101の白レベルの調整にも使用される。本実施形態では、CIS101が原稿Mの搬送経路の下方に配設されているため、オペレータは原稿面を下側にして原稿Mを挿入する。
【0026】
原稿Mの搬送経路には、CIS101および白基準板107を挟んだ前後に、原稿入口ローラ108と、原稿出口ローラ109とが配設されている。これら原稿入口ローラ108および原稿出口ローラ109は、原稿搬送モータ110により駆動され、原稿テーブル106上から挿入された原稿Mを副走査方向に搬送する。原稿入口ローラ108および原稿出口ローラ109は、ローラ軸の偏芯による原稿Mの送り量の誤差が1/2画素以内となるように調整されている。
【0027】
読み取り部100の原稿Mが挿入される入口部には、原稿Mの挿入を検知する原稿挿入検知センサ111と、原稿Mの主走査方向のサイズを判定するための原稿サイズ検知センサ112a〜112dが配設されている。原稿サイズ検知センサ112a〜112dは、主走査方向に沿って配置されており、これら原稿サイズ検知センサ112a〜112dの検出信号をもとに、読取制御部103が原稿Mの主走査方向のサイズを判定する。例えば、読取制御部103は、原稿サイズ検知センサ112aのみが反応している場合は原稿MをA3サイズ、原稿サイズ検知センサ112a,112bが反応している場合は原稿MをA2サイズ、原稿サイズ検知センサ112a〜112cが反応している場合は原稿MをA1サイズ、原稿検知センサ112a〜112dが反応している場合は原稿MをA0サイズ、原稿検知センサ112a〜112dのいずれも反応していない場合は原稿MをA4サイズ以下と判定する。読取制御部103は、この判定結果に従って、動作させるCIS101を選択する。
【0028】
なお、以上の原稿サイズ検知センサ112a〜112dのレイアウトは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、以上の例はA系列(A0,A1,A2,A3,A4)に対応したものとなっているが、B系列に対応させて原稿サイズ検知センサ112a〜112dを配置してもよい。また、搬送経路の中心よりも右側にA系列に対応させた複数の原稿サイズ検知センサを配置するとともに、搬送経路の中心よりも左側にB系列に対応させた複数の原稿サイズ検知センサを配置するなど、設置するセンサの数を増やすことによって、A系列とB系列の双方に対応させることも可能である。
【0029】
原稿Mの搬送経路において、原稿挿入検知センサ111の下流側には、CIS101による原稿Mの読み取りのタイミングを制御するための原稿レジストセンサ113が配設されている。また、CIS101よりもさらに下流側には、原稿Mの排出を検出するための原稿排出センサ114が配設されている。読取制御部103は、原稿レジストセンサ113が原稿Mの先端を検知したタイミングを基準として、CIS101による原稿Mの読み取りを開始させる。また、読取制御部103は、原稿排出センサ114の信号をもとに原稿Mの排出を検出し、CIS101の動作を停止させる。
【0030】
読み取り部100には、オペレータの操作入力を受け付ける操作部700が一体に設けられている。操作部700は、オペレータが印刷条件を設定できるように、テンキーやスタートキー、ストップキー、設定を初期に戻すためのリセットキー、変倍や集約などの画像処理を設定するためのモード設定キーなどを備えている。
【0031】
読み取り部100から転送されて画像メモリ200に格納された原稿の画像データは、適宜、画像メモリ200から読み出され、オペレータが操作部700を用いて設定した印刷条件に従って画像処理部300により画像処理が行われた後、書き込み部500へと転送される。
【0032】
[画像データの合成]
読み取り部100の複数のCIS101は、上述したように、主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。このため、これら複数のCIS101のレイアウトに応じて、各CIS101から出力される画像データを合成して1つの画像を生成する必要がある。そこで、読取制御部103が、主走査方向に隣接するCIS101のオーバーラップ部分に設定された繋ぎ目位置を境に、一方のCIS101から出力される画像データと他方のCIS101から出力される画像データを繋ぎ合わせるとともに、原稿Mの搬送経路の上流側に配置されたCIS101からの画像データの出力を、下流側に配置されたCIS101との副走査方向における位置の差に応じて遅延させることで、違和感のない画像を生成するようにしている。
【0033】
具体的には、例えば、読取制御部103に設けられた制御FPGA103aに、各CIS101の設置位置の設計値に基づいて予め定めた繋ぎ目位置や遅延量をセットしておく。制御FPGA103aは、この繋ぎ目位置に従って、主走査方向に隣接する2つのCIS101のオーバーラップ部分における有効画素と無効画素とを識別し、有効画素のみを読み出して繋ぎ合わせることで連続した画像とする。また、制御FPGA103aは、セットされた遅延量に基づいて、原稿Mの搬送経路の上流側に配置されたCIS101からの画像データの出力を遅延させることで、副走査方向において異なる位置に設置されたCIS101から出力される画像データを同期させ、連続した画像とする。
【0034】
各CIS101が設計した通りに正確に設置されている場合は、制御FPGA103aが、予めセットされた繋ぎ目位置や遅延量に基づいて上記の処理を行うことで、原稿の画像を正確に生成することができる。しかしながら、実際には、各CIS101を設計値通りに正確に設置することは極めて困難であり、CIS101同士の相対位置に、設計値に対する誤差が生じていることが多い。そこで、例えば、デジタル複写機の製造工程や保守作業時において、調整用テストチャートの読み取りなどによってCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に基づいて算出した調整用パラメータにより、上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整するようにしている。
【0035】
図5は、調整用テストチャートの一例を示す図である。この図5に示す調整用テストチャートTは特許文献2に開示されたものであるが、調整用テストチャートはこれに限らず、様々なものを利用することができる。また、CIS101の相対位置について設計値に対する誤差量を求めることができる方法であれば、調整用テストチャートを読み取る方法に限らず、様々な方法を利用することができる。
【0036】
以下、図5に示す調整用テストチャートTを用いてCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求める方法を簡単に説明する。なお、ここでは3つのCIS101a〜101cが、図5に示すようなレイアウトで配置されているものとする。各CIS101a〜101c内に示した四角は画素を表し、予め定めた繋ぎ目位置に従って読み出される有効画素を黒、読み出しが行われない無効画素を白抜きの四角で示している。
【0037】
調整用テストチャートTは、副走査方向に延びる一対の平行な直線からなるパターンP,P1,P2を有する。これらパターンP,P1,P2は、一対の直線間の間隔がすべて等しい。パターンPは、中央に配置されたCIS101aのみで読み取りが行われる位置に設けられている。パターンP1は、CIS101aとCIS101bの繋ぎ目位置を挟み、一方の直線がCIS101aで読み取られ、他方の直線がCIS101bで読み取られる位置に設けられている。パターンP2は、CIS101aとCIS101cの繋ぎ目位置を挟み、一方の直線がCIS101aで読み取られ、他方の直線がCIS101cで読み取られる位置に設けられている。
【0038】
CIS101a〜101cの主走査方向における相対位置が設計値通りであれば、調整用テストチャートTをこれらCIS101a〜101cで読み取ってパターンP,P1,P2の読み取り画像を比較したときに、元のパターンP,P1,P2と同様に、一対の直線間の間隔がすべて等しくなる。一方、CIS101aとCIS101bとの主走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、その誤差に応じてパターンP1の読み取り画像における一対の直線間の間隔が変動し、CIS101aとCIS101cとの主走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、その誤差に応じてパターンP2の読み取り画像における一対の直線間の間隔が変動する。したがって、パターンPの読み取り画像における一対の直線間の間隔と、パターンP1の読み取り画像における一対の直線間の間隔との差分(以下、この差分をP−P1と表記する。)から、CIS101aとCIS101bとの主走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。また、パターンPの読み取り画像における一対の直線間の間隔と、パターンP2の読み取り画像における一対の直線間の間隔との差分(以下、この差分をP−P2と表記する。)から、CIS101aとCIS101cとの主走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。
【0039】
また、調整用テストチャートTは、主走査方向に延びる複数の平行な直線からなるパターンLを有する。CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置が設計値通りであれば、調整用テストチャートTをこれらCIS101a〜101cで読み取ることで得られるパターンLの読み取り画像は、元のパターンLの複数の直線を再現して連続した直線となる。一方、CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、パターンLの読み取り画像は、CIS101aとCIS101b,101cの繋ぎ目位置において、誤差に応じた段差のある画像となる。したがって、この段差の大きさを計測することによって、CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。なお、調整用テストチャートTに2つ設けられているパターンLは、一方がCIS101aに対するCIS101bの誤差量を求めるために用いられ、他方がCIS101aに対するCIS101cの誤差量を求めるために用いられる。
【0040】
以上のようにして、各CIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量が分かると、この誤差量から、各CIS101からの画像データを合成して原稿の画像を生成する際の画素のずれ量を半画素以下にするための調整用パラメータが求められる。例えば、上記のP−P1が+1.4画素であった場合、基準となるCIS101aに対してCIS101bが設計値よりもCIS101a側に1.4画素分ずれて設置されていることが分かる。したがって、+1.0画素を主走査方向調整用パラメータとして記憶しておき、CIS101bの繋ぎ目位置(有効画素の読み出しの開始位置)を、この主走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101aから離れる方向に1画素分シフトすることで、CIS101aとCIS101bの繋ぎ目位置における主走査方向の画素のずれ量を0.4画素に抑えることができる。
【0041】
また、例えば、上記のP−P2が−1.6画素であった場合、基準となるCIS101aに対してCIS101cが設計値よりもCIS101aから離れる方向に1.6画素分ずれて設置されていることが分かる。したがって、−2.0画素を主走査方向調整用パラメータとして記憶しておき、CIS101cの繋ぎ目位置(有効画素の読み出しの開始位置)を、この主走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101a側に2画素分シフトすることで、CIS101aとCIS101cの繋ぎ目位置における主走査方向の画素のずれ量を画素のずれ量を0.4画素に抑えることができる。
【0042】
副走査方向についても同様に、パターンLの読み取り画像からCIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における誤差量が分かると、副走査方向における画素のずれ量を半画素以下にするための副走査方向調整用パラメータを算出することができ、この副走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101aが画像データを出力する際の遅延量を調整することにより、副走査方向における画素のずれ量を半画素以下に抑えることができる。なお、以上の説明では、調整用テストチャートTの読み取りによって、予め設定した遅延量を調整するための副走査方向調整用パラメータを算出するものとしているが、調整用テストチャートTの読み取りによって、副走査方向調整用パラメータで調整した後の遅延量そのものを算出するようにしてもよい。すなわち、調整用テストチャートTの読み取りを行う前は、原稿Mの搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量を0としておき、調整用テストチャートTの読み取りによって、副走査方向調整用パラメータで調整したのと同等の遅延量を求め、これを制御FPGA103aにセットするようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように、調整用パラメータにより各CIS101における上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整することで、各CIS101から出力される画像データを合成して生成した原稿の画像は、画素のずれ量が最小限となる。しかしながら、オペレータが操作部700を利用して行った印刷設定に従って、原稿の画像を拡大した拡大画像を生成して出力する場合は、等倍時の原稿の画像における僅かな画素のずれ量が、指定された拡大率に応じて拡大されるため、拡大画像上で目立つスジ状の欠陥となり、拡大画像の画質の劣化を招く場合があった。
【0044】
そこで、本実施形態のデジタル複写機では、例えば調整用テストチャートの読み取りなどによってCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に基づいて調整用パラメータを算出する際に、誤差量と調整用パラメータとの差分を拡大補正用パラメータとして求め、この拡大補正用パラメータを記憶しておく。そして、原稿画像を拡大して出力する際には、拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて、生成した拡大画像を補正することで、画質の劣化を有効に抑制できるようにしている。
【0045】
[システム制御部の機能構成]
以上説明した本実施形態のデジタル複写機の特徴的な機能は、例えば、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御するシステム制御部400の機能として実現することができる。システム制御部400は、図2に示すように、CPU401、ROM402、RAM403、不揮発性メモリ404などを備え、例えば、CPU401がRAM403をワークエリアとして利用して、ROM402に格納された画像形成プログラムを実行することにより、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御する。
【0046】
図6は、システム制御部400のCPU401が画像形成プログラムを実行することで実現する機能構成のうち、本実施形態に特徴的な機能構成を示した機能ブロック図である。システム制御部400のCPU401は、画像形成プログラムの実行により、図6に示すように、画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413の各機能構成を備える。なお、システム制御部400の不揮発性メモリ404は、上述した調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータ)を記憶する調整用パラメータ記憶手段、および、拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータおよび副走査方向拡大補正用パラメータ)を記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段として用いられる。なお、本実施形態では、上記画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413の各機能構成を、システム制御部400のCPU401が画像形成プログラムを実行することで実現するものとしているが、これらの機能構成の一部あるいは全部を、デジタル複写機内の他の制御手段、例えば読取制御部103の制御FPGA103aなどで実現するようにしてもよい。また、本実施形態では、調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを1つの不揮発性メモリ404に記憶させるようにしているが、調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを個別の記憶装置に記憶させるようにしてもよい。
【0047】
画像生成手段411は、読取制御部103の制御FPGA103aの動作を制御することで、複数のCIS101から出力される画像データを合成して、原稿の画像を生成する。具体的には、画像生成手段411は、各CIS101の相対位置の設計値に基づいて制御FPGA103aに予め設定されている、上述した繋ぎ目位置および遅延量を、不揮発性メモリ404に記憶されている調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータ)に基づいて調整する。そして、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って各CIS101から読み出され、制御FPGA103aで合成された1ライン分の画像データを、画像転送部104から画像メモリ200に逐次格納させることにより、原稿の画像を生成する。つまり、画像生成手段411は、各CIS101の相対位置の設計値と調整用パラメータとに基づいて、各CIS101から出力される画像データを合成して原稿の画像を生成するプロセスを実行制御する機能である。
【0048】
拡大処理手段412は、オペレータが操作部700から所望の拡大率で画像を拡大する設定を行った場合に、この設定に従って画像処理部300の動作を制御することで、原稿Mの画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する。画像の拡大は、主走査方向と副走査方向とそれぞれ独立で行うことができる。拡大処理手段412は、オペレータによる印刷条件の設定が主走査方向の独立変倍による拡大処理を指定したものであれば、原稿Mの画像の主走査方向に対してのみ拡大処理を行う。また、拡大処理手段412は、オペレータによる印刷条件の設定が副走査方向の独立変倍による拡大処理を指定したものであれば、原稿Mの画像の副走査方向に対してのみ拡大処理を行う。なお、ここでは、主走査方向の拡大処理と副走査方向の拡大処理の双方を、画像処理部300による画像処理で行うことを想定しているが、副走査方向の拡大処理については、読み取り部100における原稿Mの搬送速度(読み取り速度)を、拡大率に応じて遅くすることでも実現できる。副走査方向の拡大処理を読み取り速度を遅くすることで実現する場合、拡大処理手段412は、オペレータにより指定された拡大率に応じて、読み取り部100の原稿搬送モータ110の動作を制御するとともに、読取制御部103の動作を制御する。
【0049】
補正手段413は、不揮発性メモリ404に記憶されている拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータおよび副走査方向拡大補正用パラメータ)と、印刷条件の設定により指定された拡大率とに基づき、画像処理部300の動作を制御することで、原稿Mの画像を拡大した拡大画像を補正する。具体的には、補正手段413は、拡大補正用パラメータで示される原稿Mの等倍の画像における半画素以下の画素のずれ量が、拡大処理によって半画素を超えるずれ量に拡大された場合に、拡大画像の画素のずれが生じている位置を基準に分けられる2つの部分画像のうち、一方の部分画像を他方の部分画像に近づける、もしくは離す方向にシフトさせることによって、画素のずれ量が半画素以下になるように補正する。
【0050】
図7は、この補正手段413による補正処理を説明する図であり、(a)が画像生成手段411により生成された原稿Mの等倍の画像、(b)が拡大処理手段412により生成された拡大画像、(c)が補正手段413による補正処理後の拡大画像をそれぞれ示している。
【0051】
画像生成手段411により生成された原稿Mの等倍の画像は、図7(a)に示すように、図中の一点鎖線で示す部分に画素のずれが生じていたとしても、その画素のずれ量N1は半画素以下に抑えられ、画質の劣化が抑制されている。しかしながら、拡大処理手段412により生成された拡大画像では、拡大率に応じて等倍の画像の画素のずれが拡大されるため、図7(b)に示すように、その画素のずれ量N2が大きくなって、画質が劣化する場合がある。そこで、補正手段413が、図7(c)に示すように、拡大画像の画素のずれが生じている位置を基準に分けられる2つの部分画像P1,P2のうち、例えば、一方の部分画像P1を他方の部分画像P2に近づける方向にシフトさせることによって、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑え、画質の劣化を有効に抑制することができる。なお、図7に示した例は、拡大画像を主走査方向に補正する例であるが、副走査方向についても同様に補正することができる。
【0052】
以上のような拡大画像の補正処理において、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑えるために部分画像を何画素分シフトさせるかは、例えば、補正手段413において、不揮発性メモリ404から読み出した拡大補正用パラメータに対して、印刷条件の設定により指定された拡大率を乗算することによって求めることができる。具体的には、例えば拡大補正用パラメータが+0.4であり、拡大率が3.0倍(300%)であれば、拡大画像における画素のずれ量は+1.2(=0.4×3.0)となっているため、部分画像を1画素分シフトさせることによって、画素のずれ量を半画素以下(0.2)に抑えることができる。
【0053】
また、例えば図8に示すように、印刷条件の設定により指定される典型的な拡大率と拡大補正用パラメータの値ごとに部分画像のシフト量を指定するテーブルを予め作成して不揮発性メモリ404などに記憶しておくようにすれば、補正手段413は、上記のような演算を行うことなく、図8に示すようなテーブルを参照することで、不揮発性メモリ404から読み出した拡大補正用パラメータと、印刷条件の設定により指定された拡大率とに基づいて、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑えるための部分画像のシフト量を求めることができる。なお、主走査方向と副走査方向とで拡大率が異なる場合は、主走査方向におけるシフト量と、副走査方向におけるシフト量とをそれぞれ求めるようにすればよい。
【0054】
[パラメータ算出の処理手順]
次に、本実施形態のデジタル複写機の動作について説明する。まず、図9のフローチャートを参照して、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる処理手順を説明する。ここでは、図5に示した調整用テストチャートTの読み取りを行って調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを算出する場合を例に挙げて説明する。図9のフローチャートで示す処理は、デジタル複写機の製造工程や保守作業時において実施される。
【0055】
まず、ステップS101において、調整モードの選択結果が判定される。調整モードには、通常モードと詳細モードがある。通常モードは、通常の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りを行うモードであり、デフォルトで設定されているモードである。詳細モードは、通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りを行うモードである。詳細モードでは調整用テストチャートの読み取りを行う時間が2倍になるが、調整用テストチャートを挿入する際のスキューが起こりにくいため、調整の精度が高くなる。
【0056】
ステップS101の判定の結果、通常モードが選択されている場合は、ステップS102において、原稿搬送モータ110の速度が等倍読み取り時の通常速度に設定され、通常読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われる。一方、詳細モードが選択されている場合は、ステップS103において、原稿搬送モータ110の速度が通常速度の1/2に設定され、通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われる。
【0057】
次に、ステップS104において、調整用テストチャートの読み取り画像をもとに、複数のCIS101の主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量が算出される。例えば、図5に示した例において、CIS101aとCIS101bの主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量は、P−P1により算出される。また、CIS101aとCIS101cの主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量は、P−P2により算出される。
【0058】
次に、ステップS105において、ステップS104で求めた誤差量から、各CIS101の繋ぎ目位置を調整するための調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータ)が算出される。具体的には、ステップS104で求めた誤差量との差分が0.5以下となる整数の値が、主走査方向調整用パラメータとして算出される。例えば、図5に示した例において、P−P1の値が+1.4の場合、主走査方向調整用パラメータは+1.0となる。また、図5に示した例において、P−P2の値が−1.6の場合、主走査方向調整用パラメータは−2.0となる。
【0059】
次に、ステップS106において、ステップS104で求めた誤差量と、ステップS105で求めた主走査方向調整用パラメータとの差分が、拡大画像を主走査方向に補正するための拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータ)として算出される。例えば、図5に示した例において、P−P1の値が+1.4であり、主走査方向調整用パラメータが+1.0である場合、これらの差分の+0.4が主走査方向拡大補正用パラメータとなる。また、図5に示した例において、P−P2の値が−1.6であり、主走査方向調整用パラメータが−2.0である場合、これらの差分の+0.4が主走査方向拡大補正用パラメータとなる。このように、拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータ)は、調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータ)が取り得る値の単位よりも小さな値を単位とする。つまり、主走査方向調整用パラメータが取り得る値が1の位の整数であるのに対して、主走査方向拡大補正用パラメータは、小数点以下第1位の値となる。
【0060】
次に、ステップS107において、調整用テストチャートの読み取り画像をもとに、複数のCIS101の副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量が算出される。例えば、図5に示した例では、パターンLの読み取り画像に生じる段差の大きさを計測することにより、CIS101aとCIS101b,101cの副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量を求めることができる。なお、調整モードとして詳細モードが選択され、ステップS103において通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われた場合には、パターンLの読み取り画像に生じる段差の大きさの1/2が、副走査方向における誤差量となる。
【0061】
次に、ステップS108において、ステップS107で求めた誤差量から、原稿搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量を調整するための調整用パラメータ(副走査方向調整用パラメータ)が算出される。具体的には、ステップS107で求めた誤差量との差分が0.5以下となる整数の値が、副走査方向調整用パラメータとして算出される。例えば、ステップS107で求めた誤差量が+3.4であった場合、副走査方向調整用パラメータは+3.0となる。なお、上述したように、原稿搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量が0に設定されている場合は、このステップS108で算出される値が、副走査方向調整用パラメータで調整したのと同等の遅延量となる。
【0062】
次に、ステップS109において、ステップS107で求めた誤差量と、ステップS108で求めた副走査方向調整用パラメータとの差分が、拡大画像を副走査方向に補正するための拡大補正用パラメータ(副走査方向拡大補正用パラメータ)として算出される。例えば、ステップS107で求めた誤差量が+3.4であり、ステップS108で求めた副走査方向調整用パラメータが+3.0である場合、これらの差分の+0.4が副走査方向拡大補正用パラメータとなる。このように、拡大補正用パラメータ(副走査方向拡大補正用パラメータ)は、調整用パラメータ(副走査方向調整用パラメータ)が取り得る値の単位よりも小さな値を単位とする。つまり、副走査方向調整用パラメータが取り得る値が1の位の整数であるのに対して、副走査方向拡大補正用パラメータは、小数点以下第1位の値となる。
【0063】
次に、ステップS110において、ステップS105で算出された主走査方向調整用パラメータ、ステップS106で算出された主走査方向拡大補正用パラメータ、ステップS108で算出された副走査方向調整用パラメータ、および、ステップS109で算出された副走査方向拡大補正用パラメータが、それぞれシステム制御部400の不揮発性メモリ404などに格納され、図9のフローチャートで示す一連の処理が終了する。なお、以上は、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる手順の一例であり、パラメータを算出する順番などは適宜変更することができる。また、算出した各パラメータの格納先としては、システム制御部400の不揮発性メモリ404に限らず、CPU401がアクセス可能なあらゆる記憶手段を利用することができる。
【0064】
[画像形成の手順]
次に、本実施形態のデジタル複写機において、読み取り部100により原稿Mの読み取りを行って書き込み部500により転写紙に画像を印刷するまでの処理手順の一例について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
まず、ステップS201において、オペレータが操作部700を利用して印刷条件の設定を行うと、設定された印刷条件の情報がシステム制御部400に入力される。
【0066】
次に、ステップS202において、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0067】
次に、ステップS203において、システム制御部400のCPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS204において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。なお、これらステップS203およびステップS204の処理は、CPU401の画像生成手段411の機能によって実施される処理である。
【0068】
次に、ステップS205において、CPU401により、ステップS201で設定された印刷条件が画像の拡大を指示するものであるか否かが判定される。そして、画像の拡大を指示する印刷条件が設定されている場合は(ステップS205:Yes)ステップS206に進み、画像の拡大を指示する印刷条件が設定されていない場合は(ステップS205:No)ステップS212に移行する。
【0069】
ステップS206では、CPU401により、画像の拡大が主走査方向の拡大を含むか否かが判定される。そして、主走査方向の拡大を含む場合は(ステップS206:Yes)ステップS207に進み、主走査方向の拡大を含まず、副走査方向の拡大のみの場合は(ステップS206:No)ステップS209に移行する。
【0070】
ステップS207では、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この主走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する主走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0071】
次に、ステップS208において、CPU401により、画像の拡大が副走査方向の拡大を含むか否かが判定される。そして、副走査方向の拡大を含む場合は(ステップS208:Yes)ステップS209に進み、副走査方向の拡大を含まず、主走査方向の拡大のみの場合は(ステップS208:No)ステップS210に移行する。
【0072】
ステップS209では、CPU401により、不揮発性メモリ404から副走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この副走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている副走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する副走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0073】
次に、ステップS210において、CPU401による制御のもとで、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が読み出され、画像処理部300により、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている拡大率に応じて原稿Mの画像を拡大する処理が行われ、拡大画像が生成される。なお、このステップS210の処理は、CPU401の拡大処理手段412の機能によって実施される処理である。
【0074】
次に、ステップS211において、CPU401による制御のもとで、画像処理部300により、ステップS207やステップS209で決定された補正量に従って、ステップS210で生成された拡大画像を補正する処理が行われる。これにより、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となり、画質の劣化が抑制される。なお、上記のステップS207、ステップS209およびステップS211の処理は、CPU401の補正手段411の機能によって実施される処理である。
【0075】
補正された拡大画像の画像データは、一旦、画像メモリ200に格納された後、ステップS212において、書き込みの同期クロックに従って画像メモリ200から読み出され、書き込み部500に転送される。また、画像の拡大が印刷条件として設定されていない場合は(ステップS205:No)、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が拡大されることなく書き込み部500に転送される。このとき、画像メモリ200から書き込み部500への画像データの転送は、書き込み部500の各LEDヘッド502に対応したデータ分ずつ、分割して行われる。そして、ステップS213において、書き込み部500により、画像データに基づいた書き込みプロセスが実行され、転写紙に画像が印刷されて一連の処理が終了する。
【0076】
[読み取り速度の制御による副走査方向の拡大]
なお、以上説明した一連の処理は、主走査方向の拡大処理と副走査方向の拡大処理の双方を画像処理部300による画像処理で行う場合の例であるが、副走査方向の拡大処理については、上述したように、原稿Mの読み取り速度を制御することでも実現できる。以下では、読み取り速度の制御により原稿Mの画像を副走査方向に拡大する場合の処理手順の一例について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
まず、ステップS301において、オペレータが操作部700を利用して印刷条件の設定を行うと、設定された印刷条件の情報がシステム制御部400に入力される。
【0078】
次に、ステップS302において、システム制御部400のCPU401により、ステップS301で設定された印刷条件に副走査方向における画像の拡大の指示が含まれるか否かが判定される。そして、副走査方向における画像の拡大の指示が含まれる場合は(ステップS302:Yes)ステップS303に進み、副走査方向における画像の拡大の指示が含まれない場合は(ステップS302:No)ステップS307に移行する。
【0079】
ステップS303では、CPU401により、指定された副走査方向における拡大率に応じて、読み取り部100の原稿搬送モータ110の回転速度が等倍読み取り時の速度である通常速度よりも遅い速度に設定される。そして、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、副走査方向における拡大率に応じた読み取り速度で、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0080】
次に、ステップS304において、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS305において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、副走査方向にのみ拡大された原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。
【0081】
次に、ステップS306において、CPU401により、不揮発性メモリ404から副走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この副走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている副走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する副走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0082】
一方、ステップS307では、CPU401により、読み取り部100の原稿搬送モータ110の回転速度が通常速度に設定される。そして、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、等倍時の読み取り速度である通常の読み取り速度で、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0083】
次に、ステップS308において、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS309において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。
【0084】
次に、ステップS310において、CPU401により、ステップS301で設定された印刷条件に主走査方向における画像の拡大の指示が含まれるか否かが判定される。そして、主走査方向における画像の拡大の指示が含まれる場合は(ステップS310:Yes)ステップS311に進み、主走査方向における画像の拡大の指示が含まれない場合は(ステップS310:No)ステップS313に移行する。
【0085】
ステップS311では、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この主走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する主走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0086】
次に、ステップS312において、CPU401による制御のもとで、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が読み出され、画像処理部300により、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率に応じて原稿Mの画像を主走査方向に拡大する処理が行われ、拡大画像が生成される。
【0087】
一方、ステップS313では、CPU401により、原稿Mの読み取り速度の制御による副走査方向の拡大処理が行われたか否か、つまり、ステップS303〜ステップS306の処理が行われたか、あるいは、ステップS307〜ステップS309の処理が行われたかが判定される。そして、副走査方向の拡大処理が行われている場合は(ステップS313:Yes)ステップS313に進み、副走査方向の拡大処理が行われていない場合は(ステップS313:No)ステップS314に移行する。
【0088】
次に、ステップS314において、CPU401による制御のもとで、画像処理部300により、ステップS306やステップS311で決定された補正量に従って、主走査方向と副走査方向のいずれかまたは双方に拡大された拡大画像を補正する処理が行われる。これにより、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となり、画質の劣化が抑制される。
【0089】
補正された拡大画像の画像データは、一旦、画像メモリ200に格納された後、ステップS315において、書き込みの同期クロックに従って画像メモリ200から読み出され、書き込み部500に転送される。また、画像の拡大処理が行われていない場合は、原稿Mの画像がそのまま書き込み部500に転送される。このとき、画像メモリ200から書き込み部500への画像データの転送は、書き込み部500の各LEDヘッド502に対応したデータ分ずつ、分割して行われる。そして、ステップS316において、書き込み部500により、画像データに基づいた書き込みプロセスが実行され、転写紙に画像が印刷されて一連の処理が終了する。
【0090】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のデジタル複写機によれば、千鳥状に配置された複数のCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量から、CIS101の繋ぎ目位置や遅延量を調整するための調整用パラメータを算出して記憶しておくことに加え、誤差量と調整用パラメータとの差分を拡大補正用パラメータとして記憶するようにしている。そして、原稿Mの画像を拡大して拡大画像を生成した場合には、記憶した拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となるように拡大画像を補正するようにしている。したがって、原稿Mの画像を拡大して出力する場合であっても、画質の劣化を有効に抑制し、高品位な画像を出力することができる。
【0091】
なお、本実施形態のデジタル複写機における特徴的な処理は、例えば、システム制御部400のCPU401が、ROM402に予め組み込まれて提供される画像形成プログラムを実行することによって実現される。また、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0092】
さらに、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0093】
システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムは、上述した画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えばCPU401がROM402から画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM403上にロードされ、画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413がRAM413上に生成されるようになっている。
【0094】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、上記の実施形態では、CIS101を用いた読み取り部100で原稿Mの画像を読み取り、LED書き込み方式の書き込み部500で原稿Mの画像を転写紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明は、上記実施の形態で説明したデジタル複写機に限らず、千鳥状に配置された複数のセンサにより画像の読み取りを行うあらゆるタイプの画像形成装置に対して広く適用することができる。
【0095】
また、上記の実施形態は、読み取り部100と書き込み部500とを含む単体の画像形成装置であるデジタル複写機に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、読み取り部100としての機能を独立させた読取装置と、書き込み部500としての機能を独立させた印刷装置とを通信可能に接続した構成の画像形成装置に対しても有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 読み取り部
101 CIS
103 読取制御部
300 画像処理部
400 システム制御部
401 CPU
404 不揮発性メモリ
411 画像生成手段
412 拡大処理手段
413 補正手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【特許文献1】特許第4448427号公報
【特許文献2】特開2006−109406号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを千鳥状に配置した原稿読取手段を備える画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機や複合機などの画像形成装置において、A0サイズなどの大きなサイズの原稿の読み取りを可能にするために、複数個のA3やA4サイズのCIS(Contact Image Sensor;密着イメージセンサ)を千鳥状に配置した千鳥方式センサを原稿読取手段として備えるものが知られている。CISは、原稿の画像をセルフォック(登録商標)レンズアレイなどの光学素子により、光電変換素子が多数配列された受光面に結像し、各光電変換素子からの出力信号を、例えば、CCD(電荷結合素子)などからなるアナログ転送ゲート回路に転送し、このアナログ転送ゲート回路の転送動作を主走査クロック信号で駆動することで、主走査クロックに同期した各画素の読取信号を出力するものである。このCISは、等倍に画像を読み取ることから、等倍イメージセンサとも言われる。
【0003】
一般に、A3やA4サイズのCISはコンシューマ向けに大量に生産されているため低コストである。これに対して、A0サイズのCISは需要が少ないために生産量が少なく、構成部品のセルフォックレンズアレイなどの光学素子も高価であるため部品コストが高い。そこで、装置コストを低減するために、低コストのA3やA4サイズのCISを用いてA0サイズの原稿の読み取りを実現できる千鳥方式センサが普及している。
【0004】
このような千鳥方式センサを原稿読取手段として用いる場合、各CISで読み取った原稿の画像を、あたかも単一CISで読み取った様に合成する必要がある。このため、通常は、主走査方向に隣り合うCIS同士で読取領域が重複する部分に繋ぎ目位置を設定し、この繋ぎ目位置を境に一方のCISで読み取った画像データと他方のCISで読み取った画像データとを繋ぎ合わせるとともに、副走査方向で異なる位置に設置されるCISのうち、先に原稿の読み取りが行われるCISからの画像データの出力を、後に読み取りが行われるCISとの副走査方向における位置の差に応じて遅延させることにより、単一CISで読み取った場合と同等の画像を生成するようにしている。
【0005】
上記の繋ぎ目位置や遅延量は、千鳥方式センサを構成する各CISのレイアウトに応じて決まるCIS同士の相対位置の設計値に基づいて、予め設定しておくことができる。しかしながら、実際には、各CISを設計値通りに正確に設置することは極めて困難であり、CIS同士の相対位置に、設計値に対する誤差が生じていることが多い。このため、通常は、画像形成装置の製造工程や保守作業時に調整用テストチャートの読み取りを行って、この設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に応じて、実際に原稿の読み取りを行う際に上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整することによって、画素の欠落や重複を最小限(例えば1画素以下)にして画質の劣化を抑制するようにしている(例えば、特許文献1、特許文献2等を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、各CISで読み取った画像データを合成する際の画素の欠落や重複を最小限にすることができるものの、これは等倍を想定したものであり、画像を拡大して出力する場合には、その拡大率に応じて、最小限にした画素の欠落や重複が拡大され、画質の劣化を招く場合があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原稿の画像を拡大して出力する場合であっても、画質の劣化を有効に抑制することができる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する画像生成手段と、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段と、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる画像形成方法は、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成するステップと、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成するステップと、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる画像形成プログラムは、原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置の前記制御手段に、複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する機能と、前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する機能と、前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿を読み取る複数のセンサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量と調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶しておき、原稿の画像を拡大した拡大画像を生成する場合は、拡大画像を拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて補正するので、拡大画像の画質の劣化を有効に抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、デジタル複写機の構造を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、デジタル複写機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、読み取り部の構造を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、読み取り部のレイアウトを説明する平面図である。
【図5】図5は、調整用テストチャートの一例を示す図である。
【図6】図6は、システム制御部のCPUにより実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、補正手段による補正処理を説明する図である。
【図8】図8は、典型的な拡大率と拡大補正用パラメータの値ごとに部分画像のシフト量を指定するテーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、原稿の読み取りを行って転写紙に画像を印刷するまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、読み取り速度の制御により原稿の画像を副走査方向に拡大する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、CISを用いた読み取り部で原稿の画像を読み取り、LED書き込み方式の書き込み部で原稿の画像を転写紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例である。
【0014】
[デジタル複写機の概要]
まず、本実施形態のデジタル複写機の概要について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施形態のデジタル複写機の構造を模式的に示す側面図、図2は、本実施形態のデジタル複写機の制御系の構成を示すブロック図である。また、図3は、本実施形態のデジタル複写機が備える読み取り部の構造を模式的に示す側面図、図4は、読み取り部のレイアウトを説明する平面図である。
【0015】
本実施形態のデジタル複写機は、図1に示すように、原稿の画像を読み取る読み取り部100と、読み取り部100で読み取った原稿の画像を転写紙に印刷する書き込み部500と、書き込み部500に転写紙を供給するロール給紙部610およびカセット給紙部620とを備える。また、本実施形態のデジタル複写機は、図2に示すように、読み取り部100で読み取った原稿の画像を格納する画像メモリ200と、画像メモリ200に格納された原稿の画像に対して各種画像処理を行う画像処理部300と、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御するシステム制御部400と、オペレータの操作入力を受け付ける操作部700と、デジタル複写機における各部に電源を供給する電源装置800などを備える。
【0016】
まず、書き込み部500について説明する。書き込み部500は、図2に示すように、書き込み制御部501と、書き込み用の光を出力するLEDヘッド502とを備える。書き込み制御部501は、システム制御部400による制御のもとで、同期クロックに従って画像メモリ200から転送された原稿の画像データを1画素単位にビット変換し、LEDヘッド502に供給する。LEDヘッド502は、書き込み制御部501からの信号に従って動作し、1画素単位で制御される書き込み用の光を出力して、画像信号に応じた画像の書き込みを行う。
【0017】
ここで、図1を参照しながら、LEDヘッド502を用いた一連の書き込みプロセスの概要を説明する。書き込み部500には、書き込みプロセスを実行する構成として、上記の書き込み制御部501およびLEDヘッド502のほか、感光体ドラム503、帯電チャージャ504、現像ユニット505、レジストローラ506、転写チャージャ507、分離チャージャ508および定着ユニット509が設けられている。
【0018】
帯電チャージャ504は、感光体ドラム503を例えば−900Vに一様に帯電させるグリッド付きのスコロトロンチャージャと呼ばれるものであり、非接触で帯電処理を行うことができる。LEDヘッド502は、発光素子であるLEDをアレイ状に並べた構成であり、画像データに応じて各LEDから発光した光を、セルフォック(登録商標)レンズアレイを介して感光体ドラム503に照射させる。
【0019】
帯電チャージャ504により帯電された感光体ドラム503は、LEDヘッド502からの光が照射された部分において光導電現象により電荷がアースに流れて減少する。ここで、原稿の画像の濃度の淡い部分は、LEDを発光させないようにし、原稿濃度の濃い部分はLEDを発光させる。これにより、感光体ドラム503上に原稿の画像の濃淡に対応した静電潜像が形成される。
【0020】
この感光体ドラム503上に形成された静電潜像は、現像ユニット505によって現像される。現像ユニット505内のトナーは、撹拌により負に帯電されており、バイアスは例えば−700Vに印加されている。このため、感光体ドラム503上でLEDヘッド503からの光が照射された部分だけトナーが付着し、感光体ドラム503上の静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0021】
一方、転写紙は、ロール給紙部610とカセット給紙部620から選択的に供給される。転写紙は、レジストローラ506により搬送のタイミングが制御され、所定のタイミングで感光体ドラム503の下部を通過する。このとき、転写チャージャ507により、感光体ドラム503上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された転写紙は、次に分離チャージャ508により感光体ドラム503から分離され、定着ユニット509に搬送される。そして、定着ユニット509により転写紙上に転写されたトナー像が転写紙に定着される。トナー像が定着された転写紙は、デジタル複写機の外部に排紙される。
【0022】
なお、以上は、LED書き込み方式の書き込み部500について説明したが、書き込み部500はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ書き込み方式の書き込み部や、インクジェット方式の書き込み部を備える構成であってもよい。
【0023】
次に、読み取り部100について説明する。読み取り部100は、図2に示すように、複数のCIS101およびA/D変換部102と、読取制御部103と、画像転送部104と、センサ群105とを備える。複数のCIS101は、画像の読み取りを行うセンサであり、これら複数のCIS101上に原稿を通過させることで、原稿全体の画像を取得している。各CIS101が読み取った原稿の画像は、A/D変換部102で画素ごとの多値デジタル画像信号(以下、画像データという。)に変換され、読取制御部103に入力される。なお、図2および図4においては、5つのCIS101を主走査方向に沿って千鳥状に配置した例を示しているが、CIS101の数やレイアウトなどはこの例に限定されるものではない。
【0024】
読取制御部103は、システム制御部400による制御のもとで各CIS101の動作を制御し、CIS101により読み取られた原稿の画像データを入力する。読取制御部103に入力された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、画像メモリ200に格納される。なお、センサ群105は、後述する原稿挿入センサ111、原稿レジストセンサ113、原稿排紙センサ114および原稿サイズ検知センサ112a〜112dの総称である。読取制御部103は、このセンサ群105からの信号を監視しながら、各CIS101の動作を制御している。
【0025】
ここで、図1、図3および図4を参照しながら、読み取り部100の具体的な構成例についてさらに詳しく説明する。複数のCIS101は、原稿テーブル106上から挿入された原稿Mを読み取るために、原稿Mの搬送方向である副走査方向(図3および図4中の矢印A方向)と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。主走査方向に隣接するCIS101は、その読取領域の端部同士を重複させている。また、複数のCIS101と対向する位置には、原稿Mの浮きを抑える白基準板107が配設されている。この白基準板107は、CIS101の白レベルの調整にも使用される。本実施形態では、CIS101が原稿Mの搬送経路の下方に配設されているため、オペレータは原稿面を下側にして原稿Mを挿入する。
【0026】
原稿Mの搬送経路には、CIS101および白基準板107を挟んだ前後に、原稿入口ローラ108と、原稿出口ローラ109とが配設されている。これら原稿入口ローラ108および原稿出口ローラ109は、原稿搬送モータ110により駆動され、原稿テーブル106上から挿入された原稿Mを副走査方向に搬送する。原稿入口ローラ108および原稿出口ローラ109は、ローラ軸の偏芯による原稿Mの送り量の誤差が1/2画素以内となるように調整されている。
【0027】
読み取り部100の原稿Mが挿入される入口部には、原稿Mの挿入を検知する原稿挿入検知センサ111と、原稿Mの主走査方向のサイズを判定するための原稿サイズ検知センサ112a〜112dが配設されている。原稿サイズ検知センサ112a〜112dは、主走査方向に沿って配置されており、これら原稿サイズ検知センサ112a〜112dの検出信号をもとに、読取制御部103が原稿Mの主走査方向のサイズを判定する。例えば、読取制御部103は、原稿サイズ検知センサ112aのみが反応している場合は原稿MをA3サイズ、原稿サイズ検知センサ112a,112bが反応している場合は原稿MをA2サイズ、原稿サイズ検知センサ112a〜112cが反応している場合は原稿MをA1サイズ、原稿検知センサ112a〜112dが反応している場合は原稿MをA0サイズ、原稿検知センサ112a〜112dのいずれも反応していない場合は原稿MをA4サイズ以下と判定する。読取制御部103は、この判定結果に従って、動作させるCIS101を選択する。
【0028】
なお、以上の原稿サイズ検知センサ112a〜112dのレイアウトは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、以上の例はA系列(A0,A1,A2,A3,A4)に対応したものとなっているが、B系列に対応させて原稿サイズ検知センサ112a〜112dを配置してもよい。また、搬送経路の中心よりも右側にA系列に対応させた複数の原稿サイズ検知センサを配置するとともに、搬送経路の中心よりも左側にB系列に対応させた複数の原稿サイズ検知センサを配置するなど、設置するセンサの数を増やすことによって、A系列とB系列の双方に対応させることも可能である。
【0029】
原稿Mの搬送経路において、原稿挿入検知センサ111の下流側には、CIS101による原稿Mの読み取りのタイミングを制御するための原稿レジストセンサ113が配設されている。また、CIS101よりもさらに下流側には、原稿Mの排出を検出するための原稿排出センサ114が配設されている。読取制御部103は、原稿レジストセンサ113が原稿Mの先端を検知したタイミングを基準として、CIS101による原稿Mの読み取りを開始させる。また、読取制御部103は、原稿排出センサ114の信号をもとに原稿Mの排出を検出し、CIS101の動作を停止させる。
【0030】
読み取り部100には、オペレータの操作入力を受け付ける操作部700が一体に設けられている。操作部700は、オペレータが印刷条件を設定できるように、テンキーやスタートキー、ストップキー、設定を初期に戻すためのリセットキー、変倍や集約などの画像処理を設定するためのモード設定キーなどを備えている。
【0031】
読み取り部100から転送されて画像メモリ200に格納された原稿の画像データは、適宜、画像メモリ200から読み出され、オペレータが操作部700を用いて設定した印刷条件に従って画像処理部300により画像処理が行われた後、書き込み部500へと転送される。
【0032】
[画像データの合成]
読み取り部100の複数のCIS101は、上述したように、主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。このため、これら複数のCIS101のレイアウトに応じて、各CIS101から出力される画像データを合成して1つの画像を生成する必要がある。そこで、読取制御部103が、主走査方向に隣接するCIS101のオーバーラップ部分に設定された繋ぎ目位置を境に、一方のCIS101から出力される画像データと他方のCIS101から出力される画像データを繋ぎ合わせるとともに、原稿Mの搬送経路の上流側に配置されたCIS101からの画像データの出力を、下流側に配置されたCIS101との副走査方向における位置の差に応じて遅延させることで、違和感のない画像を生成するようにしている。
【0033】
具体的には、例えば、読取制御部103に設けられた制御FPGA103aに、各CIS101の設置位置の設計値に基づいて予め定めた繋ぎ目位置や遅延量をセットしておく。制御FPGA103aは、この繋ぎ目位置に従って、主走査方向に隣接する2つのCIS101のオーバーラップ部分における有効画素と無効画素とを識別し、有効画素のみを読み出して繋ぎ合わせることで連続した画像とする。また、制御FPGA103aは、セットされた遅延量に基づいて、原稿Mの搬送経路の上流側に配置されたCIS101からの画像データの出力を遅延させることで、副走査方向において異なる位置に設置されたCIS101から出力される画像データを同期させ、連続した画像とする。
【0034】
各CIS101が設計した通りに正確に設置されている場合は、制御FPGA103aが、予めセットされた繋ぎ目位置や遅延量に基づいて上記の処理を行うことで、原稿の画像を正確に生成することができる。しかしながら、実際には、各CIS101を設計値通りに正確に設置することは極めて困難であり、CIS101同士の相対位置に、設計値に対する誤差が生じていることが多い。そこで、例えば、デジタル複写機の製造工程や保守作業時において、調整用テストチャートの読み取りなどによってCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に基づいて算出した調整用パラメータにより、上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整するようにしている。
【0035】
図5は、調整用テストチャートの一例を示す図である。この図5に示す調整用テストチャートTは特許文献2に開示されたものであるが、調整用テストチャートはこれに限らず、様々なものを利用することができる。また、CIS101の相対位置について設計値に対する誤差量を求めることができる方法であれば、調整用テストチャートを読み取る方法に限らず、様々な方法を利用することができる。
【0036】
以下、図5に示す調整用テストチャートTを用いてCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求める方法を簡単に説明する。なお、ここでは3つのCIS101a〜101cが、図5に示すようなレイアウトで配置されているものとする。各CIS101a〜101c内に示した四角は画素を表し、予め定めた繋ぎ目位置に従って読み出される有効画素を黒、読み出しが行われない無効画素を白抜きの四角で示している。
【0037】
調整用テストチャートTは、副走査方向に延びる一対の平行な直線からなるパターンP,P1,P2を有する。これらパターンP,P1,P2は、一対の直線間の間隔がすべて等しい。パターンPは、中央に配置されたCIS101aのみで読み取りが行われる位置に設けられている。パターンP1は、CIS101aとCIS101bの繋ぎ目位置を挟み、一方の直線がCIS101aで読み取られ、他方の直線がCIS101bで読み取られる位置に設けられている。パターンP2は、CIS101aとCIS101cの繋ぎ目位置を挟み、一方の直線がCIS101aで読み取られ、他方の直線がCIS101cで読み取られる位置に設けられている。
【0038】
CIS101a〜101cの主走査方向における相対位置が設計値通りであれば、調整用テストチャートTをこれらCIS101a〜101cで読み取ってパターンP,P1,P2の読み取り画像を比較したときに、元のパターンP,P1,P2と同様に、一対の直線間の間隔がすべて等しくなる。一方、CIS101aとCIS101bとの主走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、その誤差に応じてパターンP1の読み取り画像における一対の直線間の間隔が変動し、CIS101aとCIS101cとの主走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、その誤差に応じてパターンP2の読み取り画像における一対の直線間の間隔が変動する。したがって、パターンPの読み取り画像における一対の直線間の間隔と、パターンP1の読み取り画像における一対の直線間の間隔との差分(以下、この差分をP−P1と表記する。)から、CIS101aとCIS101bとの主走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。また、パターンPの読み取り画像における一対の直線間の間隔と、パターンP2の読み取り画像における一対の直線間の間隔との差分(以下、この差分をP−P2と表記する。)から、CIS101aとCIS101cとの主走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。
【0039】
また、調整用テストチャートTは、主走査方向に延びる複数の平行な直線からなるパターンLを有する。CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置が設計値通りであれば、調整用テストチャートTをこれらCIS101a〜101cで読み取ることで得られるパターンLの読み取り画像は、元のパターンLの複数の直線を再現して連続した直線となる。一方、CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置に設計値に対する誤差があると、パターンLの読み取り画像は、CIS101aとCIS101b,101cの繋ぎ目位置において、誤差に応じた段差のある画像となる。したがって、この段差の大きさを計測することによって、CIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における相対位置の誤差量を求めることができる。なお、調整用テストチャートTに2つ設けられているパターンLは、一方がCIS101aに対するCIS101bの誤差量を求めるために用いられ、他方がCIS101aに対するCIS101cの誤差量を求めるために用いられる。
【0040】
以上のようにして、各CIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量が分かると、この誤差量から、各CIS101からの画像データを合成して原稿の画像を生成する際の画素のずれ量を半画素以下にするための調整用パラメータが求められる。例えば、上記のP−P1が+1.4画素であった場合、基準となるCIS101aに対してCIS101bが設計値よりもCIS101a側に1.4画素分ずれて設置されていることが分かる。したがって、+1.0画素を主走査方向調整用パラメータとして記憶しておき、CIS101bの繋ぎ目位置(有効画素の読み出しの開始位置)を、この主走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101aから離れる方向に1画素分シフトすることで、CIS101aとCIS101bの繋ぎ目位置における主走査方向の画素のずれ量を0.4画素に抑えることができる。
【0041】
また、例えば、上記のP−P2が−1.6画素であった場合、基準となるCIS101aに対してCIS101cが設計値よりもCIS101aから離れる方向に1.6画素分ずれて設置されていることが分かる。したがって、−2.0画素を主走査方向調整用パラメータとして記憶しておき、CIS101cの繋ぎ目位置(有効画素の読み出しの開始位置)を、この主走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101a側に2画素分シフトすることで、CIS101aとCIS101cの繋ぎ目位置における主走査方向の画素のずれ量を画素のずれ量を0.4画素に抑えることができる。
【0042】
副走査方向についても同様に、パターンLの読み取り画像からCIS101aに対するCIS101b,101cの副走査方向における誤差量が分かると、副走査方向における画素のずれ量を半画素以下にするための副走査方向調整用パラメータを算出することができ、この副走査方向調整用パラメータに基づいて、CIS101aが画像データを出力する際の遅延量を調整することにより、副走査方向における画素のずれ量を半画素以下に抑えることができる。なお、以上の説明では、調整用テストチャートTの読み取りによって、予め設定した遅延量を調整するための副走査方向調整用パラメータを算出するものとしているが、調整用テストチャートTの読み取りによって、副走査方向調整用パラメータで調整した後の遅延量そのものを算出するようにしてもよい。すなわち、調整用テストチャートTの読み取りを行う前は、原稿Mの搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量を0としておき、調整用テストチャートTの読み取りによって、副走査方向調整用パラメータで調整したのと同等の遅延量を求め、これを制御FPGA103aにセットするようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように、調整用パラメータにより各CIS101における上記の繋ぎ目位置や遅延量を調整することで、各CIS101から出力される画像データを合成して生成した原稿の画像は、画素のずれ量が最小限となる。しかしながら、オペレータが操作部700を利用して行った印刷設定に従って、原稿の画像を拡大した拡大画像を生成して出力する場合は、等倍時の原稿の画像における僅かな画素のずれ量が、指定された拡大率に応じて拡大されるため、拡大画像上で目立つスジ状の欠陥となり、拡大画像の画質の劣化を招く場合があった。
【0044】
そこで、本実施形態のデジタル複写機では、例えば調整用テストチャートの読み取りなどによってCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量を求め、この誤差量に基づいて調整用パラメータを算出する際に、誤差量と調整用パラメータとの差分を拡大補正用パラメータとして求め、この拡大補正用パラメータを記憶しておく。そして、原稿画像を拡大して出力する際には、拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて、生成した拡大画像を補正することで、画質の劣化を有効に抑制できるようにしている。
【0045】
[システム制御部の機能構成]
以上説明した本実施形態のデジタル複写機の特徴的な機能は、例えば、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御するシステム制御部400の機能として実現することができる。システム制御部400は、図2に示すように、CPU401、ROM402、RAM403、不揮発性メモリ404などを備え、例えば、CPU401がRAM403をワークエリアとして利用して、ROM402に格納された画像形成プログラムを実行することにより、デジタル複写機における一連のプロセスを実行制御する。
【0046】
図6は、システム制御部400のCPU401が画像形成プログラムを実行することで実現する機能構成のうち、本実施形態に特徴的な機能構成を示した機能ブロック図である。システム制御部400のCPU401は、画像形成プログラムの実行により、図6に示すように、画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413の各機能構成を備える。なお、システム制御部400の不揮発性メモリ404は、上述した調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータ)を記憶する調整用パラメータ記憶手段、および、拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータおよび副走査方向拡大補正用パラメータ)を記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段として用いられる。なお、本実施形態では、上記画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413の各機能構成を、システム制御部400のCPU401が画像形成プログラムを実行することで実現するものとしているが、これらの機能構成の一部あるいは全部を、デジタル複写機内の他の制御手段、例えば読取制御部103の制御FPGA103aなどで実現するようにしてもよい。また、本実施形態では、調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを1つの不揮発性メモリ404に記憶させるようにしているが、調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを個別の記憶装置に記憶させるようにしてもよい。
【0047】
画像生成手段411は、読取制御部103の制御FPGA103aの動作を制御することで、複数のCIS101から出力される画像データを合成して、原稿の画像を生成する。具体的には、画像生成手段411は、各CIS101の相対位置の設計値に基づいて制御FPGA103aに予め設定されている、上述した繋ぎ目位置および遅延量を、不揮発性メモリ404に記憶されている調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータ)に基づいて調整する。そして、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って各CIS101から読み出され、制御FPGA103aで合成された1ライン分の画像データを、画像転送部104から画像メモリ200に逐次格納させることにより、原稿の画像を生成する。つまり、画像生成手段411は、各CIS101の相対位置の設計値と調整用パラメータとに基づいて、各CIS101から出力される画像データを合成して原稿の画像を生成するプロセスを実行制御する機能である。
【0048】
拡大処理手段412は、オペレータが操作部700から所望の拡大率で画像を拡大する設定を行った場合に、この設定に従って画像処理部300の動作を制御することで、原稿Mの画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する。画像の拡大は、主走査方向と副走査方向とそれぞれ独立で行うことができる。拡大処理手段412は、オペレータによる印刷条件の設定が主走査方向の独立変倍による拡大処理を指定したものであれば、原稿Mの画像の主走査方向に対してのみ拡大処理を行う。また、拡大処理手段412は、オペレータによる印刷条件の設定が副走査方向の独立変倍による拡大処理を指定したものであれば、原稿Mの画像の副走査方向に対してのみ拡大処理を行う。なお、ここでは、主走査方向の拡大処理と副走査方向の拡大処理の双方を、画像処理部300による画像処理で行うことを想定しているが、副走査方向の拡大処理については、読み取り部100における原稿Mの搬送速度(読み取り速度)を、拡大率に応じて遅くすることでも実現できる。副走査方向の拡大処理を読み取り速度を遅くすることで実現する場合、拡大処理手段412は、オペレータにより指定された拡大率に応じて、読み取り部100の原稿搬送モータ110の動作を制御するとともに、読取制御部103の動作を制御する。
【0049】
補正手段413は、不揮発性メモリ404に記憶されている拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータおよび副走査方向拡大補正用パラメータ)と、印刷条件の設定により指定された拡大率とに基づき、画像処理部300の動作を制御することで、原稿Mの画像を拡大した拡大画像を補正する。具体的には、補正手段413は、拡大補正用パラメータで示される原稿Mの等倍の画像における半画素以下の画素のずれ量が、拡大処理によって半画素を超えるずれ量に拡大された場合に、拡大画像の画素のずれが生じている位置を基準に分けられる2つの部分画像のうち、一方の部分画像を他方の部分画像に近づける、もしくは離す方向にシフトさせることによって、画素のずれ量が半画素以下になるように補正する。
【0050】
図7は、この補正手段413による補正処理を説明する図であり、(a)が画像生成手段411により生成された原稿Mの等倍の画像、(b)が拡大処理手段412により生成された拡大画像、(c)が補正手段413による補正処理後の拡大画像をそれぞれ示している。
【0051】
画像生成手段411により生成された原稿Mの等倍の画像は、図7(a)に示すように、図中の一点鎖線で示す部分に画素のずれが生じていたとしても、その画素のずれ量N1は半画素以下に抑えられ、画質の劣化が抑制されている。しかしながら、拡大処理手段412により生成された拡大画像では、拡大率に応じて等倍の画像の画素のずれが拡大されるため、図7(b)に示すように、その画素のずれ量N2が大きくなって、画質が劣化する場合がある。そこで、補正手段413が、図7(c)に示すように、拡大画像の画素のずれが生じている位置を基準に分けられる2つの部分画像P1,P2のうち、例えば、一方の部分画像P1を他方の部分画像P2に近づける方向にシフトさせることによって、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑え、画質の劣化を有効に抑制することができる。なお、図7に示した例は、拡大画像を主走査方向に補正する例であるが、副走査方向についても同様に補正することができる。
【0052】
以上のような拡大画像の補正処理において、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑えるために部分画像を何画素分シフトさせるかは、例えば、補正手段413において、不揮発性メモリ404から読み出した拡大補正用パラメータに対して、印刷条件の設定により指定された拡大率を乗算することによって求めることができる。具体的には、例えば拡大補正用パラメータが+0.4であり、拡大率が3.0倍(300%)であれば、拡大画像における画素のずれ量は+1.2(=0.4×3.0)となっているため、部分画像を1画素分シフトさせることによって、画素のずれ量を半画素以下(0.2)に抑えることができる。
【0053】
また、例えば図8に示すように、印刷条件の設定により指定される典型的な拡大率と拡大補正用パラメータの値ごとに部分画像のシフト量を指定するテーブルを予め作成して不揮発性メモリ404などに記憶しておくようにすれば、補正手段413は、上記のような演算を行うことなく、図8に示すようなテーブルを参照することで、不揮発性メモリ404から読み出した拡大補正用パラメータと、印刷条件の設定により指定された拡大率とに基づいて、拡大画像の画素のずれ量を半画素以下に抑えるための部分画像のシフト量を求めることができる。なお、主走査方向と副走査方向とで拡大率が異なる場合は、主走査方向におけるシフト量と、副走査方向におけるシフト量とをそれぞれ求めるようにすればよい。
【0054】
[パラメータ算出の処理手順]
次に、本実施形態のデジタル複写機の動作について説明する。まず、図9のフローチャートを参照して、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる処理手順を説明する。ここでは、図5に示した調整用テストチャートTの読み取りを行って調整用パラメータと拡大補正用パラメータとを算出する場合を例に挙げて説明する。図9のフローチャートで示す処理は、デジタル複写機の製造工程や保守作業時において実施される。
【0055】
まず、ステップS101において、調整モードの選択結果が判定される。調整モードには、通常モードと詳細モードがある。通常モードは、通常の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りを行うモードであり、デフォルトで設定されているモードである。詳細モードは、通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りを行うモードである。詳細モードでは調整用テストチャートの読み取りを行う時間が2倍になるが、調整用テストチャートを挿入する際のスキューが起こりにくいため、調整の精度が高くなる。
【0056】
ステップS101の判定の結果、通常モードが選択されている場合は、ステップS102において、原稿搬送モータ110の速度が等倍読み取り時の通常速度に設定され、通常読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われる。一方、詳細モードが選択されている場合は、ステップS103において、原稿搬送モータ110の速度が通常速度の1/2に設定され、通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われる。
【0057】
次に、ステップS104において、調整用テストチャートの読み取り画像をもとに、複数のCIS101の主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量が算出される。例えば、図5に示した例において、CIS101aとCIS101bの主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量は、P−P1により算出される。また、CIS101aとCIS101cの主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量は、P−P2により算出される。
【0058】
次に、ステップS105において、ステップS104で求めた誤差量から、各CIS101の繋ぎ目位置を調整するための調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータ)が算出される。具体的には、ステップS104で求めた誤差量との差分が0.5以下となる整数の値が、主走査方向調整用パラメータとして算出される。例えば、図5に示した例において、P−P1の値が+1.4の場合、主走査方向調整用パラメータは+1.0となる。また、図5に示した例において、P−P2の値が−1.6の場合、主走査方向調整用パラメータは−2.0となる。
【0059】
次に、ステップS106において、ステップS104で求めた誤差量と、ステップS105で求めた主走査方向調整用パラメータとの差分が、拡大画像を主走査方向に補正するための拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータ)として算出される。例えば、図5に示した例において、P−P1の値が+1.4であり、主走査方向調整用パラメータが+1.0である場合、これらの差分の+0.4が主走査方向拡大補正用パラメータとなる。また、図5に示した例において、P−P2の値が−1.6であり、主走査方向調整用パラメータが−2.0である場合、これらの差分の+0.4が主走査方向拡大補正用パラメータとなる。このように、拡大補正用パラメータ(主走査方向拡大補正用パラメータ)は、調整用パラメータ(主走査方向調整用パラメータ)が取り得る値の単位よりも小さな値を単位とする。つまり、主走査方向調整用パラメータが取り得る値が1の位の整数であるのに対して、主走査方向拡大補正用パラメータは、小数点以下第1位の値となる。
【0060】
次に、ステップS107において、調整用テストチャートの読み取り画像をもとに、複数のCIS101の副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量が算出される。例えば、図5に示した例では、パターンLの読み取り画像に生じる段差の大きさを計測することにより、CIS101aとCIS101b,101cの副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量を求めることができる。なお、調整モードとして詳細モードが選択され、ステップS103において通常モードの1/2の読み取り速度で調整用テストチャートの読み取りが行われた場合には、パターンLの読み取り画像に生じる段差の大きさの1/2が、副走査方向における誤差量となる。
【0061】
次に、ステップS108において、ステップS107で求めた誤差量から、原稿搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量を調整するための調整用パラメータ(副走査方向調整用パラメータ)が算出される。具体的には、ステップS107で求めた誤差量との差分が0.5以下となる整数の値が、副走査方向調整用パラメータとして算出される。例えば、ステップS107で求めた誤差量が+3.4であった場合、副走査方向調整用パラメータは+3.0となる。なお、上述したように、原稿搬送経路の上流側に設置されたCIS101の画像データ出力に対する遅延量が0に設定されている場合は、このステップS108で算出される値が、副走査方向調整用パラメータで調整したのと同等の遅延量となる。
【0062】
次に、ステップS109において、ステップS107で求めた誤差量と、ステップS108で求めた副走査方向調整用パラメータとの差分が、拡大画像を副走査方向に補正するための拡大補正用パラメータ(副走査方向拡大補正用パラメータ)として算出される。例えば、ステップS107で求めた誤差量が+3.4であり、ステップS108で求めた副走査方向調整用パラメータが+3.0である場合、これらの差分の+0.4が副走査方向拡大補正用パラメータとなる。このように、拡大補正用パラメータ(副走査方向拡大補正用パラメータ)は、調整用パラメータ(副走査方向調整用パラメータ)が取り得る値の単位よりも小さな値を単位とする。つまり、副走査方向調整用パラメータが取り得る値が1の位の整数であるのに対して、副走査方向拡大補正用パラメータは、小数点以下第1位の値となる。
【0063】
次に、ステップS110において、ステップS105で算出された主走査方向調整用パラメータ、ステップS106で算出された主走査方向拡大補正用パラメータ、ステップS108で算出された副走査方向調整用パラメータ、および、ステップS109で算出された副走査方向拡大補正用パラメータが、それぞれシステム制御部400の不揮発性メモリ404などに格納され、図9のフローチャートで示す一連の処理が終了する。なお、以上は、調整用パラメータおよび拡大補正用パラメータを算出して記憶させる手順の一例であり、パラメータを算出する順番などは適宜変更することができる。また、算出した各パラメータの格納先としては、システム制御部400の不揮発性メモリ404に限らず、CPU401がアクセス可能なあらゆる記憶手段を利用することができる。
【0064】
[画像形成の手順]
次に、本実施形態のデジタル複写機において、読み取り部100により原稿Mの読み取りを行って書き込み部500により転写紙に画像を印刷するまでの処理手順の一例について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
まず、ステップS201において、オペレータが操作部700を利用して印刷条件の設定を行うと、設定された印刷条件の情報がシステム制御部400に入力される。
【0066】
次に、ステップS202において、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0067】
次に、ステップS203において、システム制御部400のCPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS204において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。なお、これらステップS203およびステップS204の処理は、CPU401の画像生成手段411の機能によって実施される処理である。
【0068】
次に、ステップS205において、CPU401により、ステップS201で設定された印刷条件が画像の拡大を指示するものであるか否かが判定される。そして、画像の拡大を指示する印刷条件が設定されている場合は(ステップS205:Yes)ステップS206に進み、画像の拡大を指示する印刷条件が設定されていない場合は(ステップS205:No)ステップS212に移行する。
【0069】
ステップS206では、CPU401により、画像の拡大が主走査方向の拡大を含むか否かが判定される。そして、主走査方向の拡大を含む場合は(ステップS206:Yes)ステップS207に進み、主走査方向の拡大を含まず、副走査方向の拡大のみの場合は(ステップS206:No)ステップS209に移行する。
【0070】
ステップS207では、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この主走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する主走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0071】
次に、ステップS208において、CPU401により、画像の拡大が副走査方向の拡大を含むか否かが判定される。そして、副走査方向の拡大を含む場合は(ステップS208:Yes)ステップS209に進み、副走査方向の拡大を含まず、主走査方向の拡大のみの場合は(ステップS208:No)ステップS210に移行する。
【0072】
ステップS209では、CPU401により、不揮発性メモリ404から副走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この副走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている副走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する副走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0073】
次に、ステップS210において、CPU401による制御のもとで、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が読み出され、画像処理部300により、ステップS201で設定された印刷条件により指定されている拡大率に応じて原稿Mの画像を拡大する処理が行われ、拡大画像が生成される。なお、このステップS210の処理は、CPU401の拡大処理手段412の機能によって実施される処理である。
【0074】
次に、ステップS211において、CPU401による制御のもとで、画像処理部300により、ステップS207やステップS209で決定された補正量に従って、ステップS210で生成された拡大画像を補正する処理が行われる。これにより、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となり、画質の劣化が抑制される。なお、上記のステップS207、ステップS209およびステップS211の処理は、CPU401の補正手段411の機能によって実施される処理である。
【0075】
補正された拡大画像の画像データは、一旦、画像メモリ200に格納された後、ステップS212において、書き込みの同期クロックに従って画像メモリ200から読み出され、書き込み部500に転送される。また、画像の拡大が印刷条件として設定されていない場合は(ステップS205:No)、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が拡大されることなく書き込み部500に転送される。このとき、画像メモリ200から書き込み部500への画像データの転送は、書き込み部500の各LEDヘッド502に対応したデータ分ずつ、分割して行われる。そして、ステップS213において、書き込み部500により、画像データに基づいた書き込みプロセスが実行され、転写紙に画像が印刷されて一連の処理が終了する。
【0076】
[読み取り速度の制御による副走査方向の拡大]
なお、以上説明した一連の処理は、主走査方向の拡大処理と副走査方向の拡大処理の双方を画像処理部300による画像処理で行う場合の例であるが、副走査方向の拡大処理については、上述したように、原稿Mの読み取り速度を制御することでも実現できる。以下では、読み取り速度の制御により原稿Mの画像を副走査方向に拡大する場合の処理手順の一例について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
まず、ステップS301において、オペレータが操作部700を利用して印刷条件の設定を行うと、設定された印刷条件の情報がシステム制御部400に入力される。
【0078】
次に、ステップS302において、システム制御部400のCPU401により、ステップS301で設定された印刷条件に副走査方向における画像の拡大の指示が含まれるか否かが判定される。そして、副走査方向における画像の拡大の指示が含まれる場合は(ステップS302:Yes)ステップS303に進み、副走査方向における画像の拡大の指示が含まれない場合は(ステップS302:No)ステップS307に移行する。
【0079】
ステップS303では、CPU401により、指定された副走査方向における拡大率に応じて、読み取り部100の原稿搬送モータ110の回転速度が等倍読み取り時の速度である通常速度よりも遅い速度に設定される。そして、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、副走査方向における拡大率に応じた読み取り速度で、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0080】
次に、ステップS304において、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS305において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、副走査方向にのみ拡大された原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。
【0081】
次に、ステップS306において、CPU401により、不揮発性メモリ404から副走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この副走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている副走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する副走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0082】
一方、ステップS307では、CPU401により、読み取り部100の原稿搬送モータ110の回転速度が通常速度に設定される。そして、オペレータが原稿Mを原稿テーブル106にセットし、操作部700のスタートキーを押下して印刷開始を指示すると、原稿Mの搬送が開始され、等倍時の読み取り速度である通常の読み取り速度で、CIS101による原稿Mの読み取りが行われる。
【0083】
次に、ステップS308において、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータが読み出され、これら主走査方向調整用パラメータおよび副走査方向調整用パラメータを用いて、読取制御部103の制御FPGA103aに予めセットされている繋ぎ目位置および遅延量が調整される。そして、ステップS309において、CPU401による制御のもとで、読取制御部103の制御FPGA103aが、調整された繋ぎ目位置および遅延量に従って、各CIS101から画像データを読み出して合成する。この合成された画像データは、画像転送部104により画像処理部300に転送され、原稿Mの画像として画像メモリ200に格納される。
【0084】
次に、ステップS310において、CPU401により、ステップS301で設定された印刷条件に主走査方向における画像の拡大の指示が含まれるか否かが判定される。そして、主走査方向における画像の拡大の指示が含まれる場合は(ステップS310:Yes)ステップS311に進み、主走査方向における画像の拡大の指示が含まれない場合は(ステップS310:No)ステップS313に移行する。
【0085】
ステップS311では、CPU401により、不揮発性メモリ404から主走査方向拡大補正用パラメータが読み出され、この主走査方向拡大補正用パラメータと、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率とに基づいて、拡大画像に対する主走査方向における補正量(上述した部分画像のシフト量)が決定される。
【0086】
次に、ステップS312において、CPU401による制御のもとで、画像メモリ200に格納された原稿Mの画像が読み出され、画像処理部300により、ステップS301で設定された印刷条件により指定されている主走査方向の拡大率に応じて原稿Mの画像を主走査方向に拡大する処理が行われ、拡大画像が生成される。
【0087】
一方、ステップS313では、CPU401により、原稿Mの読み取り速度の制御による副走査方向の拡大処理が行われたか否か、つまり、ステップS303〜ステップS306の処理が行われたか、あるいは、ステップS307〜ステップS309の処理が行われたかが判定される。そして、副走査方向の拡大処理が行われている場合は(ステップS313:Yes)ステップS313に進み、副走査方向の拡大処理が行われていない場合は(ステップS313:No)ステップS314に移行する。
【0088】
次に、ステップS314において、CPU401による制御のもとで、画像処理部300により、ステップS306やステップS311で決定された補正量に従って、主走査方向と副走査方向のいずれかまたは双方に拡大された拡大画像を補正する処理が行われる。これにより、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となり、画質の劣化が抑制される。
【0089】
補正された拡大画像の画像データは、一旦、画像メモリ200に格納された後、ステップS315において、書き込みの同期クロックに従って画像メモリ200から読み出され、書き込み部500に転送される。また、画像の拡大処理が行われていない場合は、原稿Mの画像がそのまま書き込み部500に転送される。このとき、画像メモリ200から書き込み部500への画像データの転送は、書き込み部500の各LEDヘッド502に対応したデータ分ずつ、分割して行われる。そして、ステップS316において、書き込み部500により、画像データに基づいた書き込みプロセスが実行され、転写紙に画像が印刷されて一連の処理が終了する。
【0090】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のデジタル複写機によれば、千鳥状に配置された複数のCIS101の相対位置についての設計値に対する誤差量から、CIS101の繋ぎ目位置や遅延量を調整するための調整用パラメータを算出して記憶しておくことに加え、誤差量と調整用パラメータとの差分を拡大補正用パラメータとして記憶するようにしている。そして、原稿Mの画像を拡大して拡大画像を生成した場合には、記憶した拡大補正用パラメータと拡大率とに基づいて、拡大画像における画素のずれ量が半画素以下となるように拡大画像を補正するようにしている。したがって、原稿Mの画像を拡大して出力する場合であっても、画質の劣化を有効に抑制し、高品位な画像を出力することができる。
【0091】
なお、本実施形態のデジタル複写機における特徴的な処理は、例えば、システム制御部400のCPU401が、ROM402に予め組み込まれて提供される画像形成プログラムを実行することによって実現される。また、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0092】
さらに、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0093】
システム制御部400のCPU401で実行される画像形成プログラムは、上述した画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えばCPU401がROM402から画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM403上にロードされ、画像生成手段411、拡大処理手段412および補正手段413がRAM413上に生成されるようになっている。
【0094】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、上記の実施形態では、CIS101を用いた読み取り部100で原稿Mの画像を読み取り、LED書き込み方式の書き込み部500で原稿Mの画像を転写紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明は、上記実施の形態で説明したデジタル複写機に限らず、千鳥状に配置された複数のセンサにより画像の読み取りを行うあらゆるタイプの画像形成装置に対して広く適用することができる。
【0095】
また、上記の実施形態は、読み取り部100と書き込み部500とを含む単体の画像形成装置であるデジタル複写機に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、読み取り部100としての機能を独立させた読取装置と、書き込み部500としての機能を独立させた印刷装置とを通信可能に接続した構成の画像形成装置に対しても有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 読み取り部
101 CIS
103 読取制御部
300 画像処理部
400 システム制御部
401 CPU
404 不揮発性メモリ
411 画像生成手段
412 拡大処理手段
413 補正手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【特許文献1】特許第4448427号公報
【特許文献2】特開2006−109406号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する画像生成手段と、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段と、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記拡大補正用パラメータは、前記調整用パラメータが取り得る値の単位よりも小さな値を単位とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整用パラメータは、複数の前記センサ同士の主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された主走査方向調整用パラメータと、複数の前記センサ同士の副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された副走査方向調整用パラメータとを含み、
前記拡大補正用パラメータは、主走査方向における前記誤差量と前記主走査方向調整用パラメータとの差分である主走査方向拡大補正用パラメータと、副走査方向における前記誤差量と前記副走査方向調整用パラメータとの差分である副走査方向拡大補正用パラメータとを含み、
前記画像生成手段は、複数の前記センサ同士の主走査方向における相対位置の設計値と、前記主走査方向調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサの主走査方向の繋ぎ目位置における画素のずれ量が半画素以下となるように、複数の前記センサから出力される画像データを合成するとともに、複数の前記センサ同士の副走査方向における相対位置の設計値と、前記副走査方向調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサの副走査方向の画素のずれ量が半画素以下となるように、複数の前記センサから出力される画像データを合成して、前記原稿の画像を生成し、
前記補正手段は、前記主走査方向拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、複数の前記センサの主走査方向の繋ぎ目位置における画素のずれ量が半画素以下となるように、前記拡大画像を補正するとともに、前記副走査方向拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、複数の前記センサの副走査方向の画素のずれ量が半画素以下となるように、前記拡大画像を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記拡大補正用パラメータに前記拡大率を乗算した値に応じて、前記拡大画像を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成するステップと、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成するステップと、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正するステップと、を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、
制御手段と、を備えた画像形成装置の前記制御手段に、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する機能と、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する機能と、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する機能と、を実現させることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項1】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する画像生成手段と、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する拡大処理手段と、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記拡大補正用パラメータは、前記調整用パラメータが取り得る値の単位よりも小さな値を単位とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整用パラメータは、複数の前記センサ同士の主走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された主走査方向調整用パラメータと、複数の前記センサ同士の副走査方向における相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された副走査方向調整用パラメータとを含み、
前記拡大補正用パラメータは、主走査方向における前記誤差量と前記主走査方向調整用パラメータとの差分である主走査方向拡大補正用パラメータと、副走査方向における前記誤差量と前記副走査方向調整用パラメータとの差分である副走査方向拡大補正用パラメータとを含み、
前記画像生成手段は、複数の前記センサ同士の主走査方向における相対位置の設計値と、前記主走査方向調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサの主走査方向の繋ぎ目位置における画素のずれ量が半画素以下となるように、複数の前記センサから出力される画像データを合成するとともに、複数の前記センサ同士の副走査方向における相対位置の設計値と、前記副走査方向調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサの副走査方向の画素のずれ量が半画素以下となるように、複数の前記センサから出力される画像データを合成して、前記原稿の画像を生成し、
前記補正手段は、前記主走査方向拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、複数の前記センサの主走査方向の繋ぎ目位置における画素のずれ量が半画素以下となるように、前記拡大画像を補正するとともに、前記副走査方向拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、複数の前記センサの副走査方向の画素のずれ量が半画素以下となるように、前記拡大画像を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記拡大補正用パラメータに前記拡大率を乗算した値に応じて、前記拡大画像を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成するステップと、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成するステップと、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正するステップと、を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
原稿を読み取る複数のセンサを、前記原稿の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に配置し、主走査方向に隣接する前記センサの読取領域を一部重複させた原稿読取手段と、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値に対する誤差量に基づいて算出された調整用パラメータを記憶する調整用パラメータ記憶手段と、
前記誤差量と前記調整用パラメータとの差分である拡大補正用パラメータを記憶する拡大補正用パラメータ記憶手段と、
制御手段と、を備えた画像形成装置の前記制御手段に、
複数の前記センサ同士の相対位置の設計値と前記調整用パラメータとに基づいて、複数の前記センサから出力される画像データを合成して前記原稿の画像を生成する機能と、
前記原稿の画像を指定された拡大率で拡大した拡大画像を生成する機能と、
前記拡大補正用パラメータと前記拡大率とに基づいて、前記拡大画像を補正する機能と、を実現させることを特徴とする画像形成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−199674(P2012−199674A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61394(P2011−61394)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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