説明

画像形成装置、画像形成方法及び制御プログラム

【課題】画像を複数の走査ラインに分割して夫々の走査ライン毎に画像を形成する作像機構を用いる画像形成装置において、作像機構に入力する画像情報の生成及び作像機構への画像情報の転送の迅速化を図ること。
【解決手段】画像を複数の走査ラインに分割して走査ライン毎に出力するコントローラ制御部70であって、主走査ラインにおいて用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力し、副走査ラインにおいて用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力し、画像情報を生成し、生成された画像情報を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び制御プログラムに関し、特に、画像形成機構への画像情報の入力に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された情報の画像形成出力に用いられる画像形成装置においては、画像を走査ライン毎に分割して夫々の走査ライン毎に画像を形成する作像機構が用いられる。このような作像機構は、例えば電子写真方式やインクジェット方式の作像機構がある。このような作像機構に画像情報を入力する際、装置動作を制御するコントローラは、走査ライン毎に画像情報を入力することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置において用紙に対して画像形成出力を実行する際、用紙の全面には画像は出力されず、用紙の四辺に多少の余白が設けられることが一般的である。この場合において、特許文献1に開示されているような従来の画像形成装置におけるコントローラは、余白の部分についても空白の画像情報を生成して作像機構に入力している。上記空白の画像情報は、作像機構による画像形成において、出力される画像の内容には寄与しない情報である。
【0005】
他方、画像形成装置、特に作像機構として電子写真方式を用いる装置において、画像形成出力枚数の性能であるppm(Page Per Minute)は、作像機構に入力する画像情報の生成及び作像機構への画像情報の転送がボトルネックとなっている。従って、画像形成出力枚数の向上に際しては、作像機構に入力する画像情報の生成及び作像機構への画像情報の転送の迅速化が求められる。
【0006】
尚、このような課題は、上述したように、作像機構として電子写真方式を採用した画像形成装置において特に顕著であるが、その他の作像機構を用いる画像形成装置においても、同様に課題となり得る。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像を複数の走査ラインに分割して夫々の走査ライン毎に画像を形成する作像機構を用いる画像形成装置において、作像機構に入力する画像情報の生成及び作像機構への画像情報の転送の迅速化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に出力する画像処理装置であって、前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力する主走査ライン描画範囲信号出力部と、前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力する副走査ライン描画範囲信号出力部と、前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を生成する画像情報生成部と、前記生成された画像情報を出力する画像情報出力部とを含み、前記画像情報生成部は、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて前記画像情報を生成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記主走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙において余白となる範囲について、前記主走査ライン描画範囲信号として不描画範囲であることを示す信号を出力し、前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙において余白となる範囲について、前記副走査ライン描画範囲信号として不描画範囲であることを示す信号を出力し、前記画像情報出力部は、前記用紙において余白である範囲について、予め定められた情報を出力することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像情報出力部は、前記予め定められた情報として、Null値を示す情報を出力することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像情報出力部は、前記予め定められた情報として、ダミーの情報を出力することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4いずれかに記載の画像処理装置において、前記主走査ライン描画範囲信号出力部及び前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙の上下左右の余白部分について、前記不描画範囲であることを示す信号を出力することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の画像処理装置において、前記出力された画像情報を受信するためのクロック信号を出力するクロック出力部を更に含み、前記クロック出力部は、前記用紙において余白となる範囲に相当する画像情報を前記画像情報出力部が出力する期間は前記クロック信号の出力を停止し、且つ、前記用紙において画像が描画される範囲から余白となる範囲に遷移した後の所定範囲に相当する画像情報を前記画像情報出力部が出力する期間は前記クロック信号の出力を継続することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6いずれかに記載の画像処理装置において、前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、一の画像に係る画像情報の出力が開始された後、前記走査ライン毎の開始位置を示す基準水平方向同期信号を所定数カウントした後に、前記副走査ライン描画範囲信号として描画範囲であることを示す信号を出力することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に受信して前記画像形成機構を駆動する画像処理装置であって、前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を取得する主走査ライン描画範囲信号取得部と、前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を取得する副走査ライン描画範囲信号取得部と、前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を取得する画像情報取得部と、前記取得された画像情報に基づいて前記画像形成機構を駆動する画像形成実行部とを含み、前記画像形成実行部は、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に生成し、前記走査ライン毎に前記画像形成機構を駆動する画像処理装置であって、前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力する主走査ライン描画範囲信号出力部と、前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力する副走査ライン描画範囲信号出力部と、前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を生成する画像情報生成部と、前記生成された画像情報を出力する画像情報出力部と、前記出力された主走査ライン描画範囲信号を取得する主走査ライン描画範囲信号取得部と、前記出力された副走査ライン描画範囲信号を取得する副走査ライン描画範囲信号取得部と、前記出力された画像情報を取得する画像情報取得部と、前記取得された画像情報に基づいて前記画像形成機構を駆動する画像形成実行部とを含み、前記画像情報生成部は、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて前記画像情報を生成し、前記画像形成実行部は、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載の発明は、画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に生成し、前記走査ライン毎に前記画像形成機構を駆動する画像処理方法であって、主走査ライン描画範囲信号出力部が、前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力し、副走査ライン描画範囲信号出力部が、前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力し、画像情報生成部が、前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて生成し、画像情報出力部が、前記生成された画像情報を出力し、主走査ライン描画範囲信号取得部が、前記出力された主走査ライン描画範囲信号を取得し、副走査ライン描画範囲信号取得部が、前記出力された副走査ライン描画範囲信号を取得し、画像情報取得部が、前記出力された画像情報を取得し、前記画像形成実行部が、前記取得された画像情報に基づき、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像を複数の走査ラインに分割して夫々の走査ライン毎に画像を形成する作像機構を用いる画像形成装置において、作像機構に入力する画像情報の生成及び作像機構への画像情報の転送の迅速化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る露光機の内部を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るポリゴンモータ及びポリゴンミラーを示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る操作表示部を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る制御基板BOXの内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係るコントローラ制御部に係る画像データの処理機能を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係るデータ深さ切替機構部が出力するデータの例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るエンジン制御部の入出力I/Fの受信回路の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るエンジン制御部の入出力I/Fの受信回路の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る制御基板BOXにおける信号状態を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態に係る制御基板BOXにおける信号状態を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態に係る制御基板BOXにおける信号状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、作像機構として電子写真方式を用いる画像形成装置を例として説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、転写ベルト10に沿ってブラック(Bk),マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)の各色のオールインワン(All In One:AIO)カートリッジ(電子写真プロセス部)11Bk、11M、11C、11Yが並べられた構成を備えたカラー画像形成装置であり、いわゆる、タンデムタイプといわれるものである。
【0022】
転写ベルト10は、図1中では反時計回り(図中の矢示方向)に回転し、その回転方向の上流側から順に、複数のAIOカートリッジ11Bk、11M、11C、11Yが配列されている。これら複数のAIOカートリッジ11Bk、11M、11C、11Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。
【0023】
AIOカートリッジ11Bkはブラックの画像を、AIOカートリッジ11Mはマゼンタの画像を、AIOカートリッジ11Cはシアンの画像を、AIOカートリッジ11Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。以下の説明では、AIOカートリッジ11Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ11M、11C、11Yについても、AIOカートリッジ11Bkと同様であり、そのAIOカートリッジ11M、11C、11Yの画像形成部の各構成要素については、11Bkの画像形成部の各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するに止め、それぞれの詳細な説明を省略する。
【0024】
転写ベルト10は、回転駆動される2次転写駆動ローラ20及び転写ベルトテンションローラ21に巻回されたエンドレスのベルトである。この2次転写駆動ローラ20は、図示を省略した駆動モータにより回転駆動され、その駆動モータと、2次転写駆動ローラ20と、転写ベルトテンションローラ21とにより転写ベルト10を移動させる手段として機能している。22はトナーマーク(Toner Mark:TM)センサであり、23は転写ベルトクリーナである。
【0025】
AIOカートリッジ11Bkの画像形成部は、トナーを撹拌するパドル12Bk、感光体としての感光体16Bk、この感光体16Bkの周囲に配置された帯電器17Bk、露光器19、現像器14Bk、トナーを現像器14Bkに供給する供給ローラ13Bk、現像ブレード15Bk、クリーナーブレード18Bk等から構成されている。露光器19は、各AIOカートリッジ11Bk、11M、11C、11Yが形成する画像色に対応する露光光であるブラックのレーザ光Bk、マゼンタのレーザ光M、シアンのレーザ光C、イエローのレーザ光Yを照射するように構成されている。
【0026】
画像形成動作を行うに際して、感光体16Bkの外周面は、暗中にて帯電器17Bkにより一様に帯電された後、露光器19からのブラック画像に対応したレーザ光Bkにより露光され、静電潜像が形成される。現像器14Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、これにより感光体16Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0027】
このトナー画像は、感光体16Bkと転写ベルト10とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ24Bkの働きにより転写ベルト10上に転写される。この転写動作によって転写ベルト10上にブラックのトナーによる画像が形成される。
【0028】
トナー画像の転写動作が終了した感光体16Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード18Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。これらの廃トナーは、廃トナーボックス27に送られる。廃トナーボックス27内の廃トナーは、廃トナーフル検知センサ28が満杯を検知すると、新たな廃トナーボックス27と交換される。
【0029】
以上のようにして、AIOカートリッジ11Bkでブラックのトナー画像を転写された転写ベルト10は、転写ベルト10によって次のAIOカートリッジ11Mに搬送される。また、AIOカートリッジ11Mでは、AIOカートリッジ11Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体16M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト10上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0030】
転写ベルト10は、さらに次のAIOカートリッジ11C、11Yにも搬送され、同様の動作によって感光体16C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体16Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト上に重畳されて転写される。このようにして、転写ベルト10上にフルカラーの画像を形成することができる。
【0031】
このフルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト10は、2次転写ローラ32の位置まで搬送される。なお、画像形成に際して、ブラックのみを印刷する場合は、一次転写ローラ24M、一次転写ローラ24C、一次転写ローラ24Yは、それぞれ感光体16M、感光体16C、感光体16Yから離間された位置に退避し、前述した画像形成プロセスをブラックの場合のみ行うようにする。
【0032】
画像形成時の用紙搬送動作に際して、給紙トレイ25に収納された用紙26は、最も上のものから給紙ローラ29を反時計回りに回転駆動することにより順に送り出され、レジストセンサ30により用紙26の存在有を検出、給紙ローラ29の回転駆動を止めるタイミングを制御することによりレジストローラ31の位置にて待機する。
【0033】
レジストローラ31の駆動開始は、上記した転写ベルト10により搬送されたトナー画像と2次転写ローラ32上で、トナー画像と用紙26の位置が重なり合うようなタイミングで行なわれる。この時、レジストローラ31と給紙ローラ29は、反時計方向に回転駆動することにより用紙26が送り出され、レジストセンサ30により用紙26の存在無を検出、給紙ローラ29の回転駆動を止める。
【0034】
レジストローラ31にて送り出された用紙26は、2次転写ローラ32にて転写ベルト10上のトナー画像を用紙26に転写した後、定着器33にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、時計回りに回転駆動された排紙ローラ35にて画像形成装置の外部に排紙される。
【0035】
両面印刷を行う場合は、用紙26の後端部が排紙センサ34を通過直後に、排紙ローラ35を停止させ、反時計回りに回転駆動して、用紙26を図1の更に右側に設けた両面搬送経路に搬送する。両面搬送経路に搬送された用紙26は、両面ローラ36を経由して再びレジストローラ31まで搬送される。両面ローラ36を通過したタイミングは、両面センサ37によって検知される。
【0036】
レジストローラ31に到達した用紙26は、再びレジストローラ31から再給紙され、2次転写ローラ32にて先程と逆側の用紙面にトナー画像を転写した後、定着器33にてトナー画像を熱および圧力にて定着させ、時計回りに回転駆動された排紙ローラ35にて画像形成装置の外部に排紙される。
【0037】
制御基板BOX38には制御部が内部に配置されており、画像形成装置の画像データ処理からエンジン制御、オペレータが各種入力操作を行う操作表示部39の全ての制御を司っている。
【0038】
図2は図1に示した露光器19の内部を示す概略上面図であり、図3は図2に示したポリゴンモータとポリゴンミラーの側面図である。露光器19は、画像情報をレーザ光のラスター走査により光の点の集合という形で感光体上に書き込むためのユニットであり、レーザ光源はHe−Neレーザなど様々あるが、本実施の形態においては半導体レーザを使用した場合を説明する。
【0039】
また、図2及び図3に示す通り、ポリゴンミラー54は正確な多角形をしており、上方面54aと下方面54bの上下2段構造を構成している。ポリゴンモータ65により一定方向に一定の速度で回転していて、この回転速度は感光体の回転速度と書込速度とポリゴンミラー54の面数により決定される。
【0040】
ブラックのLDユニットLD(Bk)50及びイエローのLDユニットLD(Y)52からのレーザ光は、上記の上下2段構造を取るポリゴンミラー54の下方面54bに入射し、ポリゴンミラー54が回転することによりレーザ光を偏向し、fθレンズ55及び56を通り、第1ミラー58及び60によって折り返され、感光体16Bk及び感光体16Yに露光される。
【0041】
マゼンタのLDユニットLD(M)51及びシアンのLDユニットLD(C)53からのレーザ光は、上記の上下2段構造を取るポリゴンミラー54の上方面54aに入射し、ポリゴンミラー54が回転することによりレーザ光を偏向し、fθレンズ55及び56を通り、第1ミラー57及び59によって折り返され、感光体16M及び感光体16Cに露光される。
【0042】
また、本実施の形態においては主走査方向書き出し端部に第1シリンダミラー(CYM1)61、第2シリンダミラー(CYM2)62、第1同期検知センサ63、第2同期検知センサ64が配置されており、fθレンズ55及び56を通ったレーザ光が第1シリンダミラー(CYM1)61及び第2シリンダミラー(CYM2)62によって反射集光されて、第1同期検知センサ63、第2同期検知センサ64に入射するような構成となっている。
【0043】
第1同期検知センサ63、第2同期検知センサ64は、スタート側同期検知信号XDETPを検出するための同期検知センサの役割を果たしている。LDユニットLD(Bk)50から出射されたレーザ光は、第1同期検知センサ63に入射され、その検知信号を用いてLDユニットLD(Bk)50、LDユニットLD(M)51の点灯制御を行う。
【0044】
逆に、LDユニットLD(M)51のレーザ光を検出し、その検知信号を用いてLDユニットLD(Bk)50、LDユニットLD(M)51の点灯制御を行うこともできる。LDユニットLD(Y)52、LDユニットLD(C)53の点灯制御についても同様である。
【0045】
第1同期検知センサ63、第2同期検知センサ64へ入射されたレーザ光より生成されるスタート側同期検知信号XDETPにより、ポリゴンミラー54の回転数と各感光体に形成する1ラインとを同期させる。この作業を順次繰り返すことにより1ラインずつ形成される画像が全体として一つの画像となり、各感光体に形成されることとなる。
【0046】
図2からも判るように、LDユニットLD(Bk)50とLDユニットLD(M)51に対し、LDユニットLD(Y)52とLDユニットLD(C)53が逆方向に走査している。
【0047】
図4は、図1に示した操作表示部39の概略上面図である。操作表示部39には、ユーザが各種の操作情報を入力する操作入力キー67と、ユーザに各種の作業画面や情報を表示する液晶表示画面68と、ユーザに各種のモードや装置の状態や警告を通知するLED69などが備わっている。
【0048】
図5は、図1に示した制御基板BOX38の内部の制御部の構成を示すブロック図である。制御基板BOX38の制御部は、例えば、外部のパーソナルコンピュータから入力された文書データのブラック,マゼンタ,シアン,イエローの各カラーの画像データ(又はスキャナから入力された画像データ)を生成してエンジン制御部80へ送信する処理をする第1制御手段に相当するコントローラ制御部70と、コントローラ制御部70から受信した各画像データを重ね合わせたカラー画像を形成して用紙に印刷する第2制御手段に相当するエンジン制御部80に分かれている。即ち、コントローラ制御部70が、画像情報生成部及び画像情報出力部として機能する。また、エンジン制御部80が、画像情報取得部及び画像形成実行部として機能する。本実施形態においては、コントローラ制御部70、エンジン制御部80並びにコントローラ制御部70及びエンジン制御部80からなるシステムのいずれもが画像情報を処理するという点において画像処理装置として機能する。
【0049】
画像データを処理及びその他入出力を制御するコントローラ制御部70は、エンジン制御部80へ各画像データを送信する際の各種の制御処理を行うCPU71と、各画像データ及び制御される各種情報を一時的に格納するメモリであるRAM72と、CPU71が各種の制御処理を行うための手順を示すプログラムを格納するROM73と、外部からのデータを入力する画像データ入力インタフェース(I/F)74と、エンジン制御部80との画像データを含む各種の信号をやり取りする制御を司る入出力インタフェース(I/F)75と、コントローラ制御部70内の各部間でデータをやり取りするバス76からなる。
【0050】
また、図示を省略するが、コントローラ制御部70は、操作表示部39をシリアル接続によって制御しており、液晶表示画面、LEDはCPU71からデータが送信され、各種入力操作データはCPU71に入力されて、その入力操作データに基づく制御が行われる。
【0051】
エンジン制御部80は、コントローラ制御部70からの各画像データの受信と印刷の際の各種の制御処理を行うCPU81と、CPU81が各種の制御処理を行うための作業領域と各画像データを一時的に格納するメモリであるRAM82と、CPU81が各種の制御処理を行うための手順を示すプログラムを格納するROM83と、コントローラ制御部70との画像データを含む各種の信号をやり取りする制御を司る入出力インタフェース(I/F)84と、エンジン制御部80内の各部間でデータをやり取りするバス85からなる。そして、コントローラ制御部70とエンジン制御部80とは、通信線90によって各種のデータのやり取りが可能に接続されている。
【0052】
通信線90は、コントローラ制御部70より、エンジン制御部80へ画像データを送信するためのインタフェースであり、コントローラ制御部70とエンジン制御部80との間でやり取りされる信号には、他の全ての信号の送受信のタイミングを計るための基準水平方向同期信号、画像データ有効領域信号、画像データ転送クロック信号、Bk垂直方向画像有効領域信号、Bk画像データ信号、M垂直方向画像有効領域信号、M画像データ信号、C垂直方向画像有効領域信号、C画像データ信号、Y垂直方向画像有効領域信号、Y画像データ信号がある。
【0053】
コントローラ制御部70からエンジン制御部80へは、CPU71の制御により、画像データ有効領域信号、画像データ転送クロック信号、Bk画像データ信号、M画像データ信号、C画像データ信号、Y画像データ信号が送信される。一方、エンジン制御部80からコントローラ制御部70へは、CPU81の制御により、基準水平方向同期信号、Bk垂直方向画像有効領域信号、M垂直方向画像有効領域信号、C垂直方向画像有効領域信号、Y垂直方向画像有効領域信号が送信される。
【0054】
図6は、図5に示したコントローラ制御部70のCPU71において実現される画像データを処理する回路構成を示すブロック図である。また、図7は、図6に示したデータ深さ切替機構部102が切り替える3タイプの出力データを表す図である。
【0055】
コントローラ制御部70に画像データ入力I/F74より入力された画像データ信号はRAM72に格納され、カラーマッチング変換回路100でカラーマッチングされた後にγ変換回路101に伝達される。γ変換回路101は、カラーマッチング変換回路100から受け取った画像データ信号を、この画像形成装置の入出力特性に合った画像データ信号に変換してデータ深さ切替機構部102へ出力する。
【0056】
γ変換回路101から出力された画像データ信号はデータ深さ切替機構部102の第1スイッチ(第1SW)で所定の量子化レベルに変換される。このデータ深さ切替機構部102は、コントローラ制御部70の出力する画像データを3タイプのデータ深さに切り替える働きをする。
【0057】
γ変換回路101は8ビット(bit)データ(図7の(a)参照)を出力し、4ビット(bit)化回路103は4ビット(bit)データ(図7の(b)参照)を出力し、2値化回路104は、入力される8ビット(bit)の多値データを、予め設定された固定しきい値によって2値データに変換して1ビット(bit)データ(図7の(c)参照)として出力する。
【0058】
ディザ回路105は、面積階調を作り出す1ビット(bit)データ(図7の(c)参照)を出力する。そして、第1スイッチ(第1SW)、第2スイッチ(第2SW)で上記4つのデータタイプの1つを選択してデータ(DATA)0〜データ(DATA)7で出力する。
【0059】
エンジン制御部80のCPU81の画像データの書込み制御は、上記の露光器19の内部にあるLDユニットLD(Bk)50、LDユニットLD(M)51、LDユニットLD(Y)52及びLDユニットLD(C)53の半導体レーザの発振制御や、第1同期検知センサ63、第2同期検知センサ64で検知された信号に基づいたポリゴンモータ65の制御等を行う。
【0060】
エンジン制御部80のCPU81の各感光体の制御は、感光体16Bk、感光体16M、感光体16C、感光体16Yの駆動制御や帯電器17Bk、帯電器17M、帯電器17C、帯電器17Y、クリーナーブレード18Bk、クリーナーブレード18M、クリーナーブレード18C、クリーナーブレード18Yの電圧制御等を行う。
【0061】
エンジン制御部80のCPU81は、各現像器の制御を行う。具体的に、CPU81は、現像器14Bk、現像器14M、現像器14C、現像器14Y、供給ローラ13Bk、供給ローラ13M、供給ローラ13C、供給ローラ13Y、現像ブレード15Bk、現像ブレード15M、現像ブレード15C、現像ブレード15Yの電圧制御等を行うことにより、夫々を制御する。
【0062】
また、エンジン制御部80のCPU81は、転写機構の制御も行う。具体的に、CPU81は、感光体16Bk、感光体16M、感光体16C及び感光体16Yの夫々と転写ベルト10とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ24Bk、一次転写ローラ24M、一次転写ローラ24C及び一次転写ローラ24Yの電圧制御等を行い、転写ベルト10上にフルカラー画像の一次転写を行う。
【0063】
また、CPU81は、フルカラーの重ね画像、即ちトナーが像が形成された転写ベルト10を回転駆動して、上記トナー画像を2次転写ローラ32の位置まで搬送する。そして、CPU81は、2次転写ローラ32の電流制御及び電圧制御を行うことにより、トナー画像と用紙26の位置が重なり合うようなタイミングで搬送される用紙26へトナー画像を転写する。
【0064】
エンジン制御部80のCPU81の給紙制御は、図示を省略した給紙を行うモータ、クラッチ、ソレノイドなどを制御するほか、レジストローラ31を転写ベルト10のトナー画像の位置に合致すべく転写紙を送り出すように制御する。
【0065】
図8は、図5に示したエンジン制御部80の入出力I/F84内の4つの受信回路の構成を示すブロック図である。この各受信回路は、それぞれコントローラ制御部70からのBk画像データ信号、M画像データ信号、C画像データ信号及びY画像データ信号を受信する回路であり、Bk,M,C,Yの各色の画像データの受信回路毎に1つのDフリップフロップ回路110と1つのORゲート回路111とで構成されている。
【0066】
ORゲート回路111は、コントローラ制御部70からの画像データ転送クロック信号と画像データ有効領域信号の電圧レベルからDフリップフロップ回路110のCLK端子へ出力する電圧レベルを判定する。Dフリップフロップ回路110は、CLK端子にORゲート回路111からのローレベルからハイレベルへの立ち上がり信号が入力されると、コントローラ制御部70からD端子へ送信されている画像データを取り込み、内部回路へ出力する。この画像データはRAM82に格納される。
【0067】
次に、図を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。図10(a)は、本実施形態に係る画像形成装置1において、1走査ライン分の画像情報をコントローラ制御部70からエンジン制御部80に転送する際の信号状態を示すタイミングチャートであり、図10(b)は、図10(a)のタイミングチャートが走査ライン分繰り返される結果、形成される画像を図10(a)のタイミングと対応させて示す図である。また、図11は、本実施形態に係る画像形成装置1において、1頁の画像を出力する際の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図10に示すように、コントローラ制御部70は、通信線90を介して、基準水平方向同期信号SLINEのアサートを一定間隔で受信する(図10(a)のタイミングt及びt´)。このSLINEに基づいてコントローラ制御部70が画像情報の出力動作を行う。尚、図10(a)に示すように、本実施形態においては、信号の立ち下がり期間をアサート期間とする。
【0069】
図11に示すように、画像形成装置1が印刷ジョブ等に基づいて画像形成出力を開始すると(S1101)、まず、エンジン制御部80が、基準水平方向同期信号SLINEのアサート数をカウントする(S1102)。SLINEのカウント数が、予め定められたカウント閾値であるNに達すると(S1103/YES)、エンジン制御部80は、最後にアサートされたSLINEの立ち下がりの後、所定のタイミング(図10(a)のタイミングt´)で垂直方向画像有効領域信号SVERをアサートする(S1104)。
【0070】
S1101からS1104までの期間が、図10(b)に示すTPREである。即ち、作像開始後、SLINEのアサート数をカウントする間、作像を停止することにより、図10(b)に示すTPREの期間、画像データ転送クロックCLK及び画像データ信号の出力を停止することができる。
【0071】
ここで、SVERは、画像の垂直方向、即ち、副走査方向において画像が有効領域であることを示す信号であり、このSVERを設けることが本実施形態に係る要旨の1つとなる。換言すると、SVERは、副走査ラインにおいて画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号であり、副走査ライン描画範囲信号として用いられる。即ち、コントローラ制御部70が、副走査ライン描画範囲信号出力部として機能し、エンジン制御部80が、副走査ライン描画範囲信号取得部として機能する。図10(a)に示すように、SVERは、用紙において余白となる範囲に相当する期間は、不描画範囲であるため、ネゲートされている。
【0072】
VERのアサートタイミングは、上述したように、最後にアサートされたSLINEの立ち下がりの後、所定のタイミングであるが、具体的には、図10(a)に示すように、用紙の左端に相当するタイミング(図10(a)のタイミングt)から画像の有効領域の左端に相当するタイミング(図10(a)のタイミングt)の間とすることが好ましい。この他、図10(a)のタイミングtからtの間であっても良いし、t、t、tのいずれかと同時であっても良い。
【0073】
VERがアサートされた後、図10(b)に示すように画像の左端に相当するタイミング(図10(a)のタイミングt)になると、コントローラ制御部70は、画像データ有効領域信号SVALIDをアサートし、更に画像データ信号として、図10(b)に示す画像有効領域に応じた信号(以降、Valid Dataとする)を出力すると共に、画像データ転送クロックCLKを出力する(S1105)。
【0074】
VALIDは、主走査方向における画像有効領域を示す信号である。換言すると、SVALIDは、主走査ラインにおいて画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号であり、主走査ライン描画範囲信号として用いられる。即ち、コントローラ制御部70が、主走査ライン描画範囲信号出力部として機能し、エンジン制御部80が、主走査ライン描画範囲信号出力部として機能する。図10(a)に示すように、SVALIDは、用紙において余白となる範囲に相当する期間は、不描画範囲であるため、ネゲートされている。
【0075】
CLKは、入出力I/F84が、通信線90を介して入力された画像データ信号をラッチ、即ち、取得するためのクロックであり、Valid Dataの出力期間に応じて出力/停止が切り替えられる。即ち、コントローラ制御部70が、クロック出力部として機能する。これにより、エンジン制御部80において取得する必要のある有効な画像データの出力期間のみCLKが出力されるため、クロックによるノイズの低減及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0076】
S1105のタイミングtは、SLINEのアサートタイミングから所定期間経過後のタイミングである。このタイミングtは、上述したように、画像の有効領域の左端に相当するタイミングである。即ち、SVALIDは、画像の水平方向、即ち、主走査方向において画像が有効領域であることを示す信号である。
【0077】
コントローラ制御部70は、タイミングtにおいてCLKの出力を開始した後、図10(b)に示す画像の右端に相当するタイミング(図10(b)のタイミングt)において、SVALIDをネゲートすると共に、CLKの出力を停止する(S1106)。S1105からS1106までの処理により、1走査ライン、即ち、主走査方向の1ライン分の画像情報の出力が完了する。
【0078】
コントローラ制御部70は、SVERがアサートされている間(S1107/NO)、S1105及びS1106の処理を繰り返す。これにより、走査ライン毎の画像情報が垂直方向、即ち副走査方向に積み重ねられ、図10(b)に示すような画像が形成される。そして、SVERがネゲートされると(S1107/YES)、コントローラ制御部70は、1ページ分の画像情報の出力を完了する。
【0079】
VERがネゲートされるタイミングは、図10(a)に示すように、最後の走査ラインの画像情報の出力期間、即ち、tからt´の期間が終了した後のタイミング(図10(a)に示すタイミングt´)である。SVERがアサートされたタイミングt´の後、SVERがネゲートされるタイミングt´までの期間が、図10(b)に示すTVALIDであり、垂直方向において画像が有効な期間である。
【0080】
尚、SVERのネゲートタイミングは、最後の走査ラインにおけるSVALIDのネゲートタイミング以降の任意のタイミングとすることができる。例えば、画像の有効領域の右端に相当するタイミング(図10(a)のタイミングt)から用紙の右端に相当するタイミング(図10(a)のタイミングt)の間や、tからt´の間、若しくはt、t、tのいずれかと同時であっても良い。
【0081】
このような処理により、本実施形態に係る制御基板BOX38におけるコントローラ制御部70からエンジン制御部80への画像情報の出力が完了する。このように、本実施形態においては、画像の水平方向、即ち主走査方向の有効領域を示す画像データ有効領域信号SVALIDに加えて、画像の垂直方向、即ち副走査方向の有領域を示す垂直方向画像有効領域信号SVERが設けられる。そして、エンジン制御部80は、上記2つの信号がアサートされている場合のみ、取得した画像情データ信号を有効な画像情報として処理し、画像形成に用いる。換言すると、エンジン制御部80は、SVER及びSVALIDの少なくとも一方が、不描画範囲であることを示すネゲート状態である場合、用紙に余白が形成されるように画像形成機構を駆動する。
【0082】
従来であれば、コントローラ制御部70は、図10(b)に示す画像有効領域以外の領域についても、白紙の画像データを生成してエンジン制御部80に送信することにより、図10(b)に示すような画像に相当する画像情報が出力されていた。これに対して、本実施形態においては、用紙において余白となる部分については、Null値やダミーデータ等、予め定められた情報を出力し、SVER及びSVALIDをネゲートする。即ち、コントローラ制御部70は、画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じて画像情報を生成する。
【0083】
これにより、コントローラ制御部70が生成すべき画像情報の情報量が削減され、情報生成に要する時間を短縮することができると共に、エンジン制御部80に入力すべき情報量が削減され、情報転送に要する時間を短縮することができる。また、コントローラ制御部70の処理負荷を低減することができる。
【0084】
尚、図10(a)、(b)においては、1つのSVER及び画像データ信号を図示して説明したが、図5に示すように、黒、マゼンタ、シアン、イエローの夫々について、SVER及び画像データ信号があり、夫々の色毎に図10(a)に示すようなタイミング制御が行われる。
【0085】
また、図10(a)、(b)においては、用紙の上下左右の余白に対応する場合を例として説明した。しかしながら、文書画像等の場合、用紙の上下左右に限らず、図10(b)の画像有効領域内にも余白あるいは白地の領域が存在する可能性がある。そのような例について、図12(a)、(b)を参照して説明する。
【0086】
図12(a)、(b)は、夫々図10(a)、(b)に対応する図であり、上述したように、用紙の上下左右端以外にも余白あるいは白地の領域が存在する場合の例を示す。図12(a)、(b)に示す例においては、図12(a)に示すタイミングtからタイミングtの期間において、任意のタイミングで画像データ有効領域信号がネゲートされる。これは、図10(a)、(b)の例において考慮されていた用紙の上下左右の余白に加えて、画像中の余白部分について考慮したものである。
【0087】
図12(a)、(b)の例において、コントローラ制御部70は、Valid Dataの出力期間、即ち、図12に示すタイミングtからtの期間は、CLKを出力している。しかしながら、各走査ラインにおいて、余白に対応する部分については、SVALIDをネゲートする。
【0088】
これに対して、エンジン制御部80は、入出力I/F84内の画像データ信号受信回路として、図9に示す構成になるようなインタフェースを用いる。図9に示すような構成により、エンジン制御部80は、SVALIDがアサートされている期間におけるValid Dataのみを有効な画像データとして取得し、出力処理を実行する。換言すると、エンジン制御部80は、CLKが入力され、且つSVALIDがネゲートされている期間のデータは、消去画像データとして判定し、白データとして出力する。若しくは、取得したValid Dataのうち、有効な画像データのみを抜き出して出力する。
【0089】
このような処理により、コントローラ制御部70は、Valid Dataのうち、余白となる部分、即ち、図12(a)に示すように、SVALIDがネゲートされている部分については、Null値やダミーデータ等を出力することが可能となる。従って、上述した上下左右の余白部分に加えて、画像中の余白部分についても、コントローラ制御部70が生成すべき画像情報の情報量が削減され、情報生成に要する時間を短縮することができると共に、エンジン制御部80に入力すべき情報量が削減され、情報転送に要する時間を短縮することができる。
【0090】
尚、図12(a)、(b)の例においては、用紙の縦方向に余白領域のラインが2つある場合を例としている。従って、SVALIDは、各走査ラインにおいてTVALIDの期間中同じタイミング、即ち、図12(a)に示すタイミングでネゲートされている。しかしながら、図12(b)に示す態様に限らず、画像中の余白領域は様々な部位に現れ得る。即ち、SVALIDは、画像中の余白領域に相当する期間においてネゲートされるものであり、夫々の走査ライン毎に異なり得る。
【0091】
次に、図13(a)、(b)を参照して、図10(a)、(b)の他の変形例について説明する。図13(a)、(b)は、図10(a)、(b)に対応した図であり、他の変形例を示す図である。上述したように、図10(a)、(b)の例において、コントローラ制御部70は、SVALIDをネゲートするのと同じタイミングでCLKの出力を停止する。これに対して、図13(a)、(b)の例において、コントローラ制御部70は、図13(a)に示すように、SVALIDがネゲートされた後の所定期間、追加パルスを出力する。
【0092】
エンジン制御部80においては、入出力I/F84が通信線90を介して取得した画像データ信号をRAM82が一時的に保持し、CPU81が後段の光書き込み装置等に転送する。この際、コントローラ制御部70が出力するCLKが停止していると、エンジン制御部80において生成された他のクロックによりRAM82への画像データ信号の格納処理等を実行することになる。
【0093】
これに対して、図13(a)、(b)の例において、エンジン制御部80は、図13(a)に示すように出力された追加パルスを利用して、入出力I/F84が取得した画像データ信号のRAM82への格納処理を実行する。これにより、エンジン制御部80側でクロックを生成する必要がなくなり、エンジン制御部80の構成を簡略化することが可能となる。
【符号の説明】
【0094】
1 画像形成装置、
10 転写ベルト、
11Bk、11C、11M、11Y AIOカートリッジ、
12Bk、12C、12M、12Y パドル、
13Bk、13C、13M、13Y 供給ローラ、
14Bk、14C、14M、14Y 現像器、
15Bk、15C、15M、15Y 現像ブレード、
16Bk、16C、16M、16Y 感光体、
17Bk、17C、17M、17Y 帯電器、
18Bk、18C、18M、18Y クリーナーブレード、
19 露光器、
20 2次転写駆動ローラ、
21 転写ベルトテンションローラ、
22 トナーマークセンサ、
23 転写ベルトクリーナ、
24Bk、24C、24M、24Y 一次転写ローラ、
25 給紙トレイ、
26 用紙、
27 廃トナーボックス、
28 廃トナーフル検知センサ、
29 給紙ローラ、
30 レジストセンサ、
31 レジストローラ、
32 2次転写ローラ、
33 定着器、
34 排紙センサ、
35 排紙ローラ、
36 両面ローラ、
37 両面センサ、
38 制御基板BOX、
39 操作表示部、
50、51、52、53 LDユニット、
54 ポリゴンミラー、
54a 上方面、
54b 下方面、
55、56 fθレンズ、
57、58、59、60 第1ミラー、
61 第1シリンダミラー、
62 第2シリンダミラー、
63 第1同期検知センサ、
64 第2同期検知センサ、
65 ポリゴンモータ、
67 操作入力キー、
68 液晶表示画面、
70 コントローラ制御部、
71、81 CPU、
72、82 RAM、
73、83 ROM、
74 画像データ入力I/F、
75、84 入出力I/F、
76、85 バス、
80 エンジン制御部、
90 通信線、
100 カラーマッチング変換回路、
101 γ変換回路、
102 データ深さ切替機構部、
103 4ビット化回路、
104 2値化回路、
105 ディザ回路、
110 フリップフロップ回路、
111 ゲート回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2000−218861号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に出力する画像処理装置であって、
前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力する主走査ライン描画範囲信号出力部と、
前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力する副走査ライン描画範囲信号出力部と、
前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記生成された画像情報を出力する画像情報出力部とを含み、
前記画像情報生成部は、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて前記画像情報を生成することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記主走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙において余白となる範囲について、前記主走査ライン描画範囲信号として不描画範囲であることを示す信号を出力し、
前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙において余白となる範囲について、前記副走査ライン描画範囲信号として不描画範囲であることを示す信号を出力し、
前記画像情報出力部は、前記用紙において余白である範囲について、予め定められた情報を出力することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像情報出力部は、前記予め定められた情報として、Null値を示す情報を出力することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像情報出力部は、前記予め定められた情報として、ダミーの情報を出力することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記主走査ライン描画範囲信号出力部及び前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、前記用紙の上下左右の余白部分について、前記不描画範囲であることを示す信号を出力することを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力された画像情報を受信するためのクロック信号を出力するクロック出力部を更に含み、
前記クロック出力部は、前記用紙において余白となる範囲に相当する画像情報を前記画像情報出力部が出力する期間は前記クロック信号の出力を停止し、且つ、前記用紙において画像が描画される範囲から余白となる範囲に遷移した後の所定範囲に相当する画像情報を前記画像情報出力部が出力する期間は前記クロック信号の出力を継続することを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記副走査ライン描画範囲信号出力部は、一の画像に係る画像情報の出力が開始された後、前記走査ライン毎の開始位置を示す基準水平方向同期信号を所定数カウントした後に、前記副走査ライン描画範囲信号として描画範囲であることを示す信号を出力することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に受信して前記画像形成機構を駆動する画像処理装置であって、
前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を取得する主走査ライン描画範囲信号取得部と、
前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を取得する副走査ライン描画範囲信号取得部と、
前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記取得された画像情報に基づいて前記画像形成機構を駆動する画像形成実行部とを含み、
前記画像形成実行部は、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項9】
画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に生成し、前記走査ライン毎に前記画像形成機構を駆動する画像処理装置であって、
前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力する主走査ライン描画範囲信号出力部と、
前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力する副走査ライン描画範囲信号出力部と、
前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記生成された画像情報を出力する画像情報出力部と、
前記出力された主走査ライン描画範囲信号を取得する主走査ライン描画範囲信号取得部と、
前記出力された副走査ライン描画範囲信号を取得する副走査ライン描画範囲信号取得部と、
前記出力された画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記取得された画像情報に基づいて前記画像形成機構を駆動する画像形成実行部とを含み、
前記画像情報生成部は、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて前記画像情報を生成し、
前記画像形成実行部は、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項10】
画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、画像を複数の走査ラインに分割して前記走査ライン毎に生成し、前記走査ライン毎に前記画像形成機構を駆動する画像処理方法であって、
主走査ライン描画範囲信号出力部が、前記走査ラインにおいて前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である主走査ライン描画範囲信号を出力し、
副走査ライン描画範囲信号出力部が、前記走査ラインと垂直な方向において前記画像形成機構が用紙に対して画像を描画する範囲に応じた信号である副走査ライン描画範囲信号を出力し、
画像情報生成部が、前記画像形成機構が画像形成出力を実行するための画像情報を、前記画像形成機構が画像形成出力対象の用紙に対して画像を描画する範囲に応じて生成し、
画像情報出力部が、前記生成された画像情報を出力し、
主走査ライン描画範囲信号取得部が、前記出力された主走査ライン描画範囲信号を取得し、
副走査ライン描画範囲信号取得部が、前記出力された副走査ライン描画範囲信号を取得し、
画像情報取得部が、前記出力された画像情報を取得し、
前記画像形成実行部が、前記取得された画像情報に基づき、前記主走査ライン描画範囲信号及び前記副走査ライン描画範囲信号の少なくとも一方が不描画範囲であることを示す信号である場合、前記用紙に余白が生成されるように前記画像形成機構を駆動することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−208228(P2010−208228A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58492(P2009−58492)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】