説明

画像形成装置、画像形成装置における課金処理方法、画像形成システム、および、プログラム

【課題】サーバ装置の負担を増加させることなく、画像形成装置において適用される印刷設定に対応して適切なコンテンツ利用料を含む課金額を決定できるようにする。
【解決手段】画像形成装置7は、サーバ装置から、コンテンツデータと、当該コンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報とを取得するデータ送受信部41と、コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行う印刷設定部44と、その印刷設定に基づいてコンテンツ課金情報を参照することにより、印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定する課金処理部43と、コンテンツデータに対して印刷設定を反映させたデータに変換するデータ処理部46と、その変換されたデータに基づいて印刷出力を行う印刷出力部28とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置における課金処理方法、画像形成システム、および、プログラムに関し、特に画像形成装置を利用してコンテンツの有料提供サービスを行う場合の課金処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストアなどに設置される複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置において、ネットワークを介して著作物などの有料のデジタルコンテンツをダウンロードして印刷出力することにより、利用者に対し、コンテンツ提供サービスを提供できるようになりつつある。このような状況の下、従来の画像形成装置は、著作物などのコンテンツデータに基づいて印刷出力を行った場合、コンテンツデータの利用料と、印刷出力サービスの使用料との双方を加算することにより、著作物などの複製に要する課金額を計算するものが公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
またこの他にも、従来は、画像データをコンピュータにダウンロードし、そのコンピュータにおいて画像データの編集処理を行って画像形成装置に出力することにより、その編集処理の内容に応じて課金額を変更するものが公知である(例えば特許文献2)。例えば、利用者がコンピュータを操作して行う編集作業により、著作物の画像に対して他の画像が合成されると、著作物の画像が隠れてしまうことがある。そのため、このような場合には、コンピュータにおいて編集処理が行われた結果、隠れずに印刷される画像の面積に応じて課金額を変更する処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−7737号公報
【特許文献2】特開2006−12058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようにコンビニエンスストアなどに設置される画像形成装置において、有料のデジタルコンテンツをダウンロードして印刷出力する場合、上述した特許文献2の技術とは異なり、画像形成装置がサーバ装置から直接コンテンツデータをダウンロードし、そのコンテンツデータに基づいて印刷出力を行う。このとき、利用者は、画像形成装置を操作することにより、印刷出力時のカラー設定や、複数ページ分を1枚の出力用紙に印刷するNin1設定、両面印刷設定などの各種の印刷設定を行うことができる。このような場合において、利用者がモノクロ印刷を行ったにもかかわらず、フルカラー印刷を行った場合と同等の金額がコンテンツ利用料として課金されるのは妥当ではない。
【0006】
しかしながら、従来の課金方法では、画像形成装置において選択される印刷設定に対応させたコンテンツ利用料の課金を行う場合、コンテンツデータを保持するサーバ装置側の負担が増加するという問題がある。
【0007】
例えば、上記特許文献1の場合、フルカラー印刷用のコンテンツデータと、モノクロ印刷用のコンテンツデータとを別にサーバ装置に保持しておき、それぞれのコンテンツデータに対して適切なコンテンツ利用料を予め設定しておく必要がある。そのため、サーバ装置には、印刷設定の組合せの数に応じて同種のコンテンツデータを予め多数記憶しておく必要があるので、ハードディスク装置の多くの記憶領域がそれにより占有されるという問題がある。
【0008】
また特許文献2のように、画像形成装置で選択される印刷設定に応じてサーバ装置が、その都度、コンテンツデータに対するデータ処理を行うことでその印刷設定に対応したコンテンツデータを生成すると共に、そのデータ処理の内容に応じて課金額を変更することも考えられる。しかし、この場合は、画像形成装置からのダウンロード要求がある都度、印刷設定に対応したデータ処理を行う必要があるのでサーバ装置の処理負担が増大するという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、サーバ装置の負担を増加させることなく、画像形成装置において適用される印刷設定に対応したコンテンツ利用料を含む課金額を決定することをできるようにした画像形成装置、画像形成装置における課金処理方法、画像形成システム、および、プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、ネットワークを介してサーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置であって、前記サーバ装置から、コンテンツデータと、当該コンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報とを取得するデータ取得手段と、前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行う設定手段と、前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定する課金処理手段と、前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するデータ処理手段と、前記データ処理手段によって変換されたデータを印刷出力する出力手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記コンテンツ課金情報には、前記コンテンツデータの基本利用料と、前記印刷設定に対応して前記基本利用料から割り引くための割引額とが含まれることを特徴とする構成である。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記課金処理手段は、さらに前記印刷設定が反映された印刷出力に伴って課金すべき印刷出力使用料を算出し、当該印刷出力使用料と前記コンテンツ利用料との合計額を算出して前記課金額を決定することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、各種情報を表示可能な表示手段をさらに備え、前記課金処理手段は、前記設定手段による前記印刷設定が行われると、前記出力手段が印刷出力を行う前に、前記課金額を決定して前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記出力手段による印刷出力が行われる前に、前記設定手段によって前記印刷設定の設定変更が行われる都度、前記課金処理手段は、設定変更後の設定内容に基づいて前記課金額を決定し、前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項6にかかる発明は、ネットワークを介してサーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置における課金処理方法であって、前記サーバ装置で保持されるコンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報を取得するステップと、前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行うステップと、前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定するステップと、前記サーバ装置から前記コンテンツデータを取得するステップと、前記サーバ装置から取得した前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するステップと、前記変換されたデータの印刷出力を行うステップと、前記課金額に基づく課金を行うステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項7にかかる発明は、サーバ装置と画像形成装置とがネットワークを介して相互にデータ通信可能に接続された画像形成システムであって、前記サーバ装置は、コンテンツデータと当該コンテンツデータに対応するコンテンツ課金情報とを互いに対応付けて記憶する記憶手段と、前記コンテンツデータと前記コンテンツ課金情報とを前記画像形成装置に送信するデータ送信手段と、を備えており、前記画像形成装置は、前記サーバ装置から、前記コンテンツデータと前記コンテンツ課金情報とを取得するデータ取得手段と、前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行う設定手段と、前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定する課金処理手段と、前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するデータ処理手段と、前記データ処理手段によって変換されたデータを印刷出力する出力手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項8にかかる発明は、サーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置によって実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記サーバ装置で保持されるコンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報を取得するステップと、前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行うステップと、前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定するステップと、前記サーバ装置から前記コンテンツデータを取得するステップと、前記サーバ装置から取得した前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するステップと、前記変換されたデータの印刷出力を行うステップと、前記課金額に基づく課金を行うステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サーバ装置において同種のコンテンツデータを多数記憶しておく必要がなくなり、しかも、印刷設定に対応したコンテンツデータに変換するデータ処理を行う必要がなくなる。そのため、サーバ装置の負担を軽減することができるようになる。加えて、本発明によれば、画像形成装置において適用される印刷設定に対応して妥当なコンテンツ利用料を含む課金額で課金を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成システムの一構成例を示す図である。
【図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】画像形成装置がサーバ装置からコンテンツデータをダウンロードして印刷出力を行う場合の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】コンテンツ課金情報の一例を示す図である。
【図6】課金処理部により課金額が決定された場合に表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】サーバ装置および画像形成装置で行われる処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】画像形成装置における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置における課金額算出処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】サーバ装置における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本実施形態における画像形成システム1の一構成例を示す図である。この画像形成システム1は、コンピュータ3と、サーバ装置5と、画像形成装置7とを備えている。コンピュータ3とサーバ装置5とは、インターネットなどの通信網8を介してデータ通信可能に接続されている。またサーバ装置5と画像形成装置7とは、インターネットなどの通信網9を介してデータ通信可能に接続されている。
【0022】
コンピュータ3は、例えばコンテンツ作成会社2などに設置される。このコンピュータ3は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)で構成されており、コンテンツ作成者が文書データや画像データなどから成るコンテンツデータを作成するためのコンピュータである。
【0023】
またサーバ装置5は、コンテンツ提供会社やコンビニエンスストアなどのデータセンター4に設置される。このサーバ装置5も、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。さらに、画像形成装置7は、複合機やMFPなどと称される装置であり、コンビニエンスストアなどの店舗6に設置される。
【0024】
上記のような画像形成システム1は、画像形成装置7において文書や画像などのデジタルコンテンツを印刷出力することにより、利用者に対して有料でコンテンツの提供サービスを行うように構成される。
【0025】
すなわち、コンテンツ作成者がコンピュータ3を操作することにより、コンテンツデータ152を作成すると、通信網8を介してコンピュータ3からサーバ装置5に対してそのコンテンツデータ152が送信され、サーバ装置5にアップロードされる。またコンテンツ作成者は、コンテンツデータ152を作成すると、そのコンテンツデータ152に基づく印刷出力が行われる際に課金すべきコンテンツ利用料を決定し、コンピュータ3を操作することによりコンテンツ課金情報153を生成する。そしてコンピュータ3がコンテンツデータ152をサーバ装置5に送信する際には、そのコンテンツデータ152に対してコンテンツ課金情報153が付加される。
【0026】
サーバ装置5は、コンピュータ3から送信されるコンテンツデータ152とコンテンツ課金情報153とを互いに対応付けて記憶する。ただし、コンテンツ課金情報153は、必ずしもコンピュータ3から受信する場合に限られず、コンテンツ提供会社やコンビニエンスストアなどのデータセンター4において管理者がサーバ装置5を操作することにより、サーバ装置5がコンテンツデータ152に対してコンテンツ課金情報153を付加するものであっても構わない。
【0027】
サーバ装置5は、上記のようなコンテンツデータ152とコンテンツ課金情報153との組合せを多数保持し、画像形成装置7からの要求に応じてコンテンツデータ152およびコンテンツ課金情報153を送信する。ここで、本実施形態のサーバ装置5が保持するコンテンツデータ152は、1つのコンテンツに対して1つである。例えば、コンテンツ作成者がフルカラーの画像コンテンツを作成した場合、サーバ装置5で保持するコンテンツデータ152はそのフルカラーの画像コンテンツに対応したデータのみであり、それ以外の例えばモノクロ印刷用のデータなどは保持しない。そのため、画像形成装置7においてモノクロ印刷が行われる場合であっても、サーバ装置5はフルカラーのコンテンツデータ152を画像形成装置7に送信する。
【0028】
画像形成装置7は利用者が操作する操作パネル25と、利用者が画像形成装置7を使用することに伴って利用者に課金すべき課金額の決済を行う決済装置33とを備えている。
【0029】
画像形成装置7の利用者がコンテンツ購入を行う場合、操作パネル25を操作することにより、画像形成装置7とサーバ装置5との間でデータ通信が行われる。その結果、画像形成装置7の操作パネル25に、サーバ装置5で保持されているコンテンツの一覧表示が行われる。そして利用者が一のコンテンツを選択すると、サーバ装置5から画像形成装置7に対して、コンテンツデータ152とコンテンツ課金情報153のそれぞれが送信される。
【0030】
画像形成装置7は、利用者によるコンテンツの選択操作が行われると、それに引き続きコンテンツデータ152に基づいて印刷出力を行う際の印刷設定を行う。すなわち、画像形成装置7は、操作パネル25に対して行われる利用者の設定操作を受け付け、その設定操作に基づいて印刷出力時の印刷設定を行う。そして画像形成装置7は、サーバ装置5から受信するコンテンツデータ152に対して印刷設定を反映させるべくデータ処理を施す。例えば、コンテンツデータ152がフルカラーデータであるにもかかわらず、利用者がモノクロ印刷を指定した場合には、フルカラーデータをモノクロデータに変換する。またコンテンツデータ152がA4サイズの10ページから成る文書データあるにもかかわらず、利用者がA4サイズの用紙に2in1出力することを指定した場合には、コンテンツデータ152を縮小して1枚の用紙に2ページ分の文書データが収まるようにデータ変換する。そして画像形成装置7は、印刷設定が反映されたコンテンツデータ152に基づき印刷出力を行う。
【0031】
また画像形成装置7は、サーバ装置5から受信するコンテンツ課金情報153に基づいてコンテンツ利用料を算出する。コンテンツ課金情報153には、後述するように、コンテンツデータ152に基づいて印刷出力を行う際の基本料金と、画像形成装置7で適用される印刷設定の各項目に対応して基本料金から料金を割り引くための割引額とが設定されている。そのため、画像形成装置7は、コンテンツ利用料を算出する際、印刷出力時の印刷設定に対応したコンテンツ利用料を算出する。
【0032】
また画像形成装置7は、印刷出力に伴って利用者に対して課金すべき印刷出力使用料を算出する。この印刷出力使用料は、コンテンツ利用料とは別に、印刷出力を行うサービスの提供費用として利用者に課金するものである。例えば印刷出力時のトナー消費量や出力用紙枚数などの利用資源に応じて印刷出力使用料が算出される。
【0033】
そして画像形成装置7は、コンテンツ利用料と印刷出力使用料とを合計した課金額を利用者に課金する。例えば、決済装置33を制御することにより、コンテンツ利用料と印刷出力使用料とを合計した課金額の決済処理を行う。尚、決済装置33は、例えば電子マネー決済、現金決済、又は、プリペイドカード決済などを行うことができるように構成されている。
【0034】
以下、このような画像形成システム1におけるサーバ装置5および画像形成装置7の詳細について更に詳しく説明する。
【0035】
図2は、サーバ装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置5は、制御部11と、通信インタフェース14と、記憶装置15とを備え、これらがデータバス16を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。制御部11は、CPU12とメモリ13とを備え、サーバ装置5の各部を制御する。通信インタフェース14は、通信網8,9を介してコンピュータ3又は画像形成装置7とデータ通信を行うためのものである。記憶装置15は、ハードディスク装置などで構成される不揮発性記憶手段である。
【0036】
記憶装置15には、プログラム151と、コンテンツデータ152と、コンテンツ課金情報153と、印刷出力課金情報154と、課金管理情報155とが記憶されている。プログラム151は、CPU12によって実行されることにより、サーバ装置5をコンテンツ提供サーバとして機能させるためのプログラムである。コンテンツデータ152は、コンピュータ3から受信することにより、記憶装置15に記憶される。またコンテンツ課金情報153は、コンテンツデータ152と関連付けられた状態で記憶装置15に記憶される。印刷出力課金情報154は、画像形成装置7において印刷出力が行われる際に、その印刷出力使用料を算出するための課金情報である。また課金管理情報155は、画像形成装置7において決済処理が行われた場合に、利用者に対して課金した課金額の履歴などを記録する情報である。
【0037】
CPU12は、プログラム151を読み出して実行することにより、コンピュータ3から通信網8を介して受信するコンテンツデータ152およびコンテンツ課金情報153を記憶装置15に格納して保存する。またCPU12は、画像形成装置7と通信網9を介してデータ通信を行い、画像形成装置7からの要求に応じてコンテンツデータ152、コンテンツ課金情報153および印刷出力課金情報154を記憶装置15から読み出し、それらを画像形成装置7に送信する。またCPU12は、画像形成装置7から利用者に課金した課金額を受信した場合、その課金額を課金管理情報155に登録する。メモリ13は、CPU12が上記のような処理を行う際に必要なデータなどを一時的に記憶するためのものである。
【0038】
次に図3は、画像形成装置7のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成装置7は、制御部21と、通信インタフェース24と、操作パネル25と、印刷出力部28と、外部接続インタフェース29と、記憶装置30とを備えており、これらがデータバス31を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。上述した決済装置33は、外部接続インタフェース29に接続されており、制御部21によって制御される。また操作パネル25は、液晶ディスプレイなどで構成された表示部26と、利用者が操作入力を行う入力部27とを備えている。入力部27は、例えば表示部26の表示画面に設けられたタッチパネルキーと、表示部26の周囲に配置された押しボタンキーとを備えており、押しボタンキーには利用者が印刷出力の開始を指示する際に操作するスタートキーが含まれる。
【0039】
記憶装置30は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性記憶手段であり、プログラム32を記憶している。また制御部21は、CPU22とメモリ23とを備えており、CPU22がプログラム32を読み出して実行することにより、画像形成装置7の各部を制御する。メモリ23は、CPU22がプログラム32を実行する際に一時的なデータを記憶するためのものである。また通信インタフェース24は、通信網9を介してサーバ装置5とデータ通信を行うためのものである。さらに、印刷出力部28は、制御部21からの指示に基づいて出力用紙などに画像形成を行って出力する処理部であり、例えばレーザプリンタなどで構成される。
【0040】
CPU22がプログラム32を実行することにより、制御部21は種々の処理部として機能する。そのうちの一部の機能を例示すると、図4に示すようになる。図4は、画像形成装置7がサーバ装置5からコンテンツデータ152をダウンロードして印刷出力を行う場合の制御部21の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部21は、データ送受信部41、パネル制御部42、課金処理部43、印刷設定部44および出力制御部45として機能する。
【0041】
データ送受信部41は、通信インタフェース24を介して、サーバ装置5とのデータの送受信を行う処理部である。このデータ送受信部41は、例えばサーバ装置5からコンテンツ一覧を取得してパネル制御部42に出力する。またデータ送受信部41は、利用者によって指定されたコンテンツに対応するコンテンツ課金情報153をサーバ装置5から取得すると共に、そのコンテンツに対応するコンテンツデータ152をサーバ装置5から取得する。そしてデータ送受信部41は、サーバ装置5から取得するコンテンツ課金情報153を課金処理部43に出力する。またサーバ装置5から取得するコンテンツデータ152を出力制御部45に出力する。
【0042】
また本実施形態におけるデータ送受信部41は、サーバ装置5から印刷出力課金情報154を取得するように構成される。そしてデータ送受信部41が、サーバ装置5から印刷出力課金情報154を取得すると、その情報を課金処理部43に出力する。ただし、このような形態に限られず、例えば画像形成装置7の記憶装置30に予め印刷出力課金情報154が保持されていても構わない。
【0043】
パネル制御部42は、操作パネル25を制御する処理部である。パネル制御部42は、表示部26に表示するための表示画面を生成し、操作パネル25に出力する。また、画像形成装置7の利用者が入力部27に対する操作を行うと、パネル制御部42がその操作内容を検知する。例えば、利用者が操作パネル25の初期画面においてコンテンツ購入を指定する操作を行った場合、パネル制御部42は、データ送受信部41を介してサーバ装置5からコンテンツ一覧情報を取得し、表示部26にその一覧を表示する。そして利用者がその一覧表示の中から一のコンテンツを購入対象として選択する操作を行うと、パネル制御部42は、データ送受信部41に対し、その指定されたコンテンツに対応するコンテンツ課金情報153の取得を指令する。
【0044】
またパネル制御部42は、利用者による購入対象のコンテンツ選択操作が行われると、表示部26に印刷設定を行うための表示画面を表示する。これにより、利用者はコンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う際の各種の印刷設定に関する項目を自由に設定操作することができるようになる。パネル制御部42は、利用者によって印刷設定に関する操作が行われると、その操作内容を課金処理部43および印刷設定部44に出力する。
【0045】
課金処理部43は、データ送受信部41によってコンテンツ課金情報153が取得された場合に機能する処理部であり、印刷出力に伴って利用者に課金すべき課金額を決定する。この課金額には、コンテンツデータ152を利用して印刷出力を行う場合のコンテンツ利用料と、画像形成装置7での印刷出力そのものに要する印刷出力使用料とが含まれる。課金処理部43は、サーバ装置5から受信するコンテンツ課金情報153に基づいてコンテンツ利用料を算出し、印刷出力課金情報154に基づいて印刷出力使用料を算出する。このとき、課金処理部43は、利用者によって指定される印刷出力時の印刷設定に応じてコンテンツ利用料と印刷出力使用料とを算出する。つまり、コンテンツ課金情報153は、利用者によって指定される印刷設定に応じてコンテンツ利用料が変動するように課金マップが設定されている。また印刷出力課金情報154についても、利用者によって指定される印刷設定に応じて印刷出力使用料が変動するように課金マップが設定されている。
【0046】
図5はコンテンツ課金情報153の一例を示す図である。コンテンツ課金情報153は、コンテンツデータ152と一対一で対応させるための識別情報を有している。またコンテンツ課金情報153は、複数の設定項目を有しており、各設定項目に対する設定値と、経過日数と、課金額とが対応付けられた情報となっている。例えば、図5の例では、最上段の設定項目が、コンテンツデータ152に基づいて印刷出力を行う場合の基本料金を規定した項目となっており、その基本料金の課金額は2500円である。コンテンツ課金情報153に含まれる経過日数は、そのコンテンツデータ152がサーバ装置5にアップロードされてからの経過日数を示しており、サーバ装置5にアップロードされてからコンテンツ課金情報153に予め登録された所定の日数が経過すると、その設定項目の割引設定が有効になる。図例では、基本料金の他、印刷出力時の印刷設定のうちの、カラー設定、1枚の出力用紙に複数ページ分のコンテンツを印刷して出力するNin1設定(ただし、Nは2以上の整数)、両面印刷設定などに対して割引設定が登録されている。
【0047】
すなわち、図5の例では、コンテンツデータ152がサーバ装置5にアップロードされてから180日を経過するまでに、そのコンテンツデータ152に基づく印刷出力が行われると、基本料金(2500円)からの割引は生じない。これに対し、アップロードされてから180日が経過すると、まず基本料金に対して500円の割り引きが発生し、基本料金は2000円となる。また利用者が印刷出力時の印刷設定として特定の設定を行うと、それに応じて更なる割り引きが発生する。図例の場合、印刷出力時のカラー設定としてモノクロ印刷を選択すると、それに伴い、200円の割り引きが発生する。また2色カラー印刷を選択すると、それに伴い150円の割り引きが発生する。またNin1設定をオンにすると200円の割り引きが発生し、両面印刷設定をオンにすると50円の割り引きが発生する。
【0048】
課金処理部43は、上記のようなコンテンツ課金情報153を参照することにより、利用者によって指定される印刷設定に応じた割引額を決定し、基本料金から減算することによりコンテンツ利用料を算出する。
【0049】
尚、印刷出力課金情報154については、利用者によって指定される印刷設定に応じた利用資源に対応する課金額を設定した課金マップとなっているが、これについては従来公知のものを採用すれば良いのでここでの詳細な説明は省略する。
【0050】
そして課金処理部43は、利用者によって指定される印刷出力時の印刷設定に応じて算出されるコンテンツ利用料と印刷出力使用料とのそれぞれを加算して、その合計額を利用者に課金すべき課金額として決定する。課金処理部43は、印刷設定に応じた課金額を決定すると、その課金額をパネル制御部42に出力する。すると、パネル制御部42は、利用者の指定した印刷設定でコンテンツデータ152に基づく印刷出力を行った場合の課金額を示す表示画面を表示部26に表示する。
【0051】
図6は、課金処理部43により課金額が決定された場合に表示部26に表示される表示画面の一例を示す図である。図6に示すように、この表示画面には、利用者の指定したコンテンツデータ152に基づく印刷出力を行った場合の課金額がその明細と共に表示される。すなわち、コンテンツ利用料の明細として、コンテンツ基本料金と、印刷設定である各設定項目の現在の設定値に対応する割引額とが表示され、コンテンツ利用料は、コンテンツ基本料金からそれら割引額を減算した金額となっている。図例では、コンテンツデータ152がサーバ装置5にアップロードされてから割引設定が適用される経過日数(180日)を既に経過している場合を示している。また図例では、印刷出力使用料の明細は表示されていないが、この明細を表示するようにしても良い。そして表示画面の最下欄には、現在の印刷設定でのコンテンツ利用料と印刷出力使用料とを合計した合計課金額が表示されている。
【0052】
図6の表示画面には、各種印刷設定を行うための設定キーB11,B12,B13,B14が表示される。また画面右側には、現在の設定値を全てクリアするためのクリアキーB21と、コンテンツ購入を途中で終了するための終了キーB22とが表示される。
【0053】
設定キーB11は、コンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う際のカラー設定を行うための操作キーである。利用者がこの設定キーB11を操作すると、パネル制御部42の制御により、表示部26の表示画面は、印刷設定のうちのカラー設定を行うためのカラー設定画面に切り替わる。そして利用者がカラー設定画面に対する操作を行うことにより、それまでの設置値を異なる設定値に変えて設定操作を終了すると、再び図6のような表示画面に戻る。このとき表示部26には、利用者によって設定変更された設置値に基づいて課金額が再計算された結果が表示される。例えば、利用者がカラー設定を「モノクロ」から「2色カラー」に変更した場合、カラー設定に対応する割引額は150円となる(図5参照)。また利用者がカラー設定を「フルカラー」に変更した場合、コンテンツ課金情報153には割引設定が登録されていないので、「フルカラー」による割り引きは生じない。
【0054】
また設定キーB12は、コンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う際のNin1設定を行うための操作キーであり、利用者によりNin1設定がオンに設定されると、それに応じて基本料金からの割り引きが行われる。また設定キーB13は、コンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う際の両面印刷設定を行うための操作キーであり、設定キーB14は、製本印刷設定を行うための操作キーである。これらの操作キーB13,B14が利用者によってオン状態に設定されると、コンテンツ課金情報153に定められた割引額が適用される。尚、図5の例ではコンテンツ課金情報153において、製本印刷設定に関する割引額が登録されていないため、図6に示すように製本印刷設定の項目がオン状態となっていても割り引きは生じない。また設定キーB12,B13,B14のいずれかが利用者によって操作された場合には、印刷設定のうちのそれらの設定項目の設定を行うための設定画面に切り替わり、利用者が設定操作を終了すると、再び図6のような表示画面に戻る点は、設定キーB11の場合と同様である。
【0055】
一方、クリアキーB21は、印刷設定に関する各項目に対して利用者が設定した設定値をクリアすることにより、各項目の現在値をデフォルト値に戻すための操作キーである。また終了キーB22は、コンテンツ購入を行うことなく、操作パネル25の表示画面を初期画面に戻すための操作キーである。
【0056】
上記のように、利用者は、図6のような表示画面を参照することにより、現在の印刷設定でのコンテンツ利用料と印刷出力使用料とを合計した合計課金額を確認することができる。そして利用者が、表示部26の周囲に配置されたスタートキーを操作すると、それに伴い、課金処理部43は決済処理を行う。
【0057】
印刷設定部44は、利用者による入力操作に基づいて各種印刷設定の項目に対する現在の設定値を保持する処理部である。つまり、各種印刷設定に関する現在値は、この印刷設定部44によって管理される。そして利用者がスタートキーを操作すると、印刷設定部44は、それに伴い、各種印刷設定の現在の設定値を出力制御部45に出力する。
【0058】
出力制御部45は、データ送受信部41が取得するコンテンツデータ152に基づいて印刷出力部28による印刷出力を制御する処理部である。この出力制御部45は、データ処理部46を備えている。このデータ処理部46は、印刷設定部44から入力する各種印刷設定の設定値に基づき、必要に応じてコンテンツデータ152を、利用者によって指定された印刷設定を反映させたデータに変換する処理部である。例えば、データ送受信部41により受信されるコンテンツデータ152がフルカラーデータであるにもかかわらず、利用者がモノクロ印刷を指定した場合、データ処理部46は、フルカラーのコンテンツデータ152をモノクロデータに変換する。そして出力制御部45は、データ変換を行ったコンテンツデータ152を印刷出力部28に出力すると共に、印刷出力部28の駆動制御を行うことにより、コンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う。
【0059】
次に図7は、サーバ装置5および画像形成装置7で行われる処理の概要を示すフローチャートである。図7に示すように、まず画像形成装置7を利用する利用者がコンテンツ購入操作を行うと(プロセスP11)、それに伴い、画像形成装置7はサーバ装置5に対してコンテンツ一覧送信要求D1を送信する。サーバ装置5は、このコンテンツ一覧送信要求D1を受信すると、記憶装置15に記憶しているコンテンツデータ152の一覧を作成し、コンテンツ一覧情報D2を画像形成装置7に送信する(プロセスP21)。これにより、画像形成装置7の操作パネル25には、サーバ装置5で保持されているコンテンツの一覧が表示される。
【0060】
そして利用者がコンテンツ一覧の中から購入を希望する一のコンテンツを選択する操作を行うと(プロセスP12)、画像形成装置7はサーバ装置5に対して課金情報送信要求D3を送信する。この課金情報送信要求D3には、利用者の選択したコンテンツを識別するための識別情報が含まれる。サーバ装置5は、この課金情報送信要求D3を受信すると、課金情報D4を画像形成装置7に送信する(プロセスP22)。この課金情報D4には、利用者により選択された一のコンテンツに対応するコンテンツ課金情報153と、画像形成装置7に対応する印刷出力課金情報154とが含まれる。これにより、画像形成装置7では、利用者が選択したコンテンツデータ152に基づく印刷出力を行う場合の課金額が計算される(プロセスP13)。このとき、現在の印刷設定(例えば印刷設定のデフォルト値)に基づいてコンテンツ利用料と印刷出力使用料の双方が算出され、それらの合計額が課金額として操作パネル25に表示される。
【0061】
そして利用者は操作パネル25を操作することにより、印刷設定の変更操作を行う(プロセスP14)。これに伴い、画像形成装置7では、課金額の再計算が行われ、操作パネル25に表示される課金額の更新が行われる(プロセスP15)。このようなプロセスP14とP15は、利用者による印刷設定の変更操作が行われる都度、繰り返される。
【0062】
そして利用者がスタートキーを操作すると(プロセスP16)、画像形成装置7は、課金額決済処理を行い(プロセスP17)、サーバ装置5に対して課金額D5を送信する。これにより、サーバ装置5は、記憶装置15に記憶している課金管理情報155を更新する(プロセスP23)。そしてサーバ装置5は、記憶装置15からコンテンツデータ152を読み出し、そのコンテンツデータ152を含む情報D6を画像形成装置7に送信する(プロセスP24)。
【0063】
画像形成装置7は、サーバ装置5からコンテンツデータ152を受信すると、そのコンテンツデータ152に対して印刷設定を反映させるためのデータ処理を行い(プロセスP18)、その後、印刷出力を実行する(プロセスP19)。以上のような処理により、利用者は、所望のコンテンツが印刷された印刷物を得ることができる。
【0064】
以下、上記のような動作を行うための画像形成装置7およびサーバ装置5における詳細な動作について説明する。
【0065】
図8および図9は、画像形成装置7における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、主に上述した制御部21によって行われる処理である。まず、制御部21は、利用者によるコンテンツ購入操作を受け付け(ステップS101)、サーバ装置5に対してコンテンツ一覧送信要求D1を送信する(ステップS102)。その後、制御部21は、サーバ装置5からコンテンツ一覧情報D2を受信する(ステップS103)。そして操作パネル25の表示部26に対し、サーバ装置5で保持されているコンテンツのサムネイルなどを一覧形式で表示する(ステップS104)。そして制御部21は、利用者によるコンテンツ選択操作を受け付け(ステップS105)、一のコンテンツが選択されると、サーバ装置5に対して課金情報送信要求D3を送信する(ステップS106)。そして制御部21は、サーバ装置5から課金情報D4を受信する(ステップS107)。
【0066】
制御部21は、サーバ装置5から課金情報D4を受信すると、印刷設定のデフォルト値を読み出し(ステップS108)、課金額算出処理を実行する(ステップS109)。
【0067】
図9は、この課金額算出処理(ステップS109)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この課金額算出処理では、まず、各種印刷設定の現在値を取得する(ステップS121)。そしてサーバ装置5から取得した課金情報D4にコンテンツ課金情報153が含まれているか否かを判断する(ステップS122)。コンテンツ課金情報153が含まれている場合(ステップS122でYES)、制御部21は、そのコンテンツ課金情報153に基づき、各種印刷設定の現在値に対応したコンテンツ利用料を算出する(ステップS123)。一方、コンテンツ課金情報153が含まれていない場合(ステップS122でNO)、ステップS123の処理は行わない。例えば、サーバ装置5が保持するコンテンツの中には、コンテンツ利用料の課金を要さないフリーコンテンツの場合もあり、そのような場合、コンテンツデータ152に対してコンテンツ課金情報153が付加されていないこともある。そして制御部21は、課金情報D4に含まれる印刷出力課金情報154に基づいて、各種印刷設定の現在値に対応した印刷出力使用料を算出する(ステップS124)。
【0068】
次に制御部21は、コンテンツ利用料と印刷出力使用料とを合計した合計課金額を算出し(ステップS125)、操作パネル25の表示部26に、図6で示したような課金額表示画面を表示する(ステップS126)。その後、利用者による印刷設定の変更操作が行われたか否かを判断し(ステップS127)、変更操作が行われた場合にはステップS121に戻り、上述した処理を繰り返す。また変更操作が行われなかった場合には課金額算出処理を終了する。
【0069】
図8のフローチャートに戻り、次に制御部21は、利用者がスタートキーを操作したか否かを判断する(ステップS110)。ここでスタートキーとは異なるキーが操作された場合には、再び課金額算出処理を実行する。これに対し、スタートキーが操作された場合(ステップS110でYES)、制御部21は課金額決済処理を実行する(ステップS111)。すなわち、決済装置33を制御することにより、それまでに算出されている合計課金額を利用者に課金して決済を行う。そして課金額決済処理が終了すると、制御部21は、サーバ装置5に対して決済した課金額D5を送信する(ステップS112)。その後、制御部21は、サーバ装置5からコンテンツデータ152を受信するので(ステップS113)、その受信したコンテンツデータ152に対し、印刷設定に基づくデータ処理を行うことにより、利用者によって設定された印刷設定を反映させる(ステップS114)。そしてそのデータ処理したコンテンツデータ152に基づいて印刷出力を行う(ステップS115)。
【0070】
次に図10は、サーバ装置5における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、サーバ装置5の制御部11によって行われる処理である。まず、制御部11は、画像形成装置7からコンテンツ一覧送信要求D1を受信したか否かを判断する(ステップS201)。コンテンツ一覧送信要求D1を受信していれば(ステップS201でYES)、制御部11は、記憶装置15に記憶されている全てのコンテンツデータ152を抽出してコンテンツ一覧情報を生成し、画像形成装置7に送信する(ステップS202)。一方、コンテンツ一覧送信要求D1を受信していない場合(ステップS201でNO)、ステップS202の処理は行わずにスキップする。
【0071】
次に制御部11は、画像形成装置7から課金情報送信要求D3を受信したか否かを判断する(ステップS203)。課金情報送信要求D3を受信していれば(ステップS203でYES)、その課金情報送信要求D3に含まれる識別情報に基づき、利用者によって選択されたコンテンツを特定し(ステップS204)、その特定したコンテンツデータ152にコンテンツ課金情報153が付加されているか否かを判断する(ステップS205)。そしてコンテンツ課金情報153が付加されていれば(ステップS205でYES)、そのコンテンツ課金情報153を記憶装置15から読み出す(ステップS206)。一方、特定したコンテンツにコンテンツ課金情報153が付加されていない場合、ステップS206の処理は行わずにスキップする。次に制御部11は、記憶装置15から印刷出力課金情報154を読み出す(ステップS207)。そしてステップS206で読み出したコンテンツ課金情報153と、ステップS207で読み出した印刷出力課金情報154とを含む課金情報D4を生成して画像形成装置7に送信する(ステップS208)。尚、特定されたコンテンツにコンテンツ課金情報153が付加されていなかった場合、画像形成装置7に送信される課金情報D4には、印刷出力課金情報154のみが含まれることになる。また、課金情報送信要求D3を受信していない場合(ステップS203でNO)、ステップS204〜S208の処理は行われずにスキップする。
【0072】
次に制御部11は、画像形成装置7から決済された課金額D5を受信したか否かを判断する(ステップS209)。課金額D5を受信していれば(ステップS209でYES)、その課金額に基づき、記憶装置15の課金管理情報155を更新する(ステップS210)。これにより、サーバ装置5では、コンテンツデータ152による売上を管理することができるようになると共に、各コンテンツがどのような印刷形態で購入されたかを管理することも可能となる。そして制御部11は、利用者によって購入指定されたコンテンツデータ152を記憶装置15から読み出し、画像形成装置7に送信する(ステップS211)。その後は、ステップS201に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0073】
以上のように本実施形態では、サーバ装置5において、あらゆる印刷設定に対応可能なコンテンツデータ152を1つだけ保持しており、そのコンテンツデータ152に対応付けて各種印刷設定が指定された場合のコンテンツ利用料を算出するためのコンテンツ課金情報153を保持している。そして、画像形成装置7がサーバ装置5からコンテンツデータ152をダウンロードして印刷出力を行う際、利用者によって指定される印刷設定に基づいてサーバ装置5からダウンロード取得したコンテンツデータ152にデータ処理を施すように構成されている。そしてコンテンツデータ152を利用して印刷出力を行う際の課金額は、画像形成装置7においてコンテンツ課金情報153で定められた印刷設定に応じた額として決定される。
【0074】
したがって、このような画像形成システム1では、フルカラー印刷用のコンテンツデータと、モノクロ印刷用のコンテンツデータとを別にサーバ装置5で保持しておく必要がなく、記憶装置15の記憶容量を少なくすることができる。またサーバ装置5では、画像形成装置7からのダウンロード要求がある都度、印刷設定に対応したデータ処理を行う必要もないのでサーバ装置5の処理負担を大幅に軽減することが可能である。
【0075】
そして本実施形態の画像形成システム1では、利用者がモノクロ印刷を行ったにもかかわらず、フルカラー印刷を行った場合と同等の金額がコンテンツ利用料として課金されるといった不具合を解消することができ、利用者が選択する印刷設定に適合した妥当な課金額でコンテンツ提供サービスを行うことができるようになる。
【0076】
(変形例)
以上、本発明に関する代表的な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明には、上述した実施形態以外にも種々の変形例が適用可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態における画像形成装置7は、サーバ装置5から先にコンテンツ課金情報153を取得し、その後、その決済が完了してからサーバ装置5よりコンテンツデータ152を取得する態様について説明した。しかしながら、画像形成装置7がコンテンツデータ152を取得するタイミングは、上述した内容のものに限られない。例えばコンテンツ課金情報153と同時にコンテンツデータ152を取得するようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成システム
5 サーバ装置
7 画像形成装置
15 記憶装置(記憶手段)
21 制御部
25 操作パネル
26 表示部(表示手段)
27 入力部(入力手段)
28 印刷出力部(出力手段)
32 プログラム
41 データ送受信部(データ取得手段)
42 パネル制御部
43 課金処理部(課金処理手段)
44 印刷設定部(設定手段)
45 出力制御部
46 データ処理部(データ処理手段)
152 コンテンツデータ
153 コンテンツ課金情報
154 印刷出力課金情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置であって、
前記サーバ装置から、コンテンツデータと、当該コンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報とを取得するデータ取得手段と、
前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行う設定手段と、
前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定する課金処理手段と、
前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するデータ処理手段と、
前記データ処理手段によって変換されたデータを印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コンテンツ課金情報には、前記コンテンツデータの基本利用料と、前記印刷設定に対応して前記基本利用料から割り引くための割引額とが含まれることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記課金処理手段は、さらに前記印刷設定が反映された印刷出力に伴って課金すべき印刷出力使用料を算出し、当該印刷出力使用料と前記コンテンツ利用料との合計額を算出して前記課金額を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
各種情報を表示可能な表示手段をさらに備え、
前記課金処理手段は、前記設定手段による前記印刷設定が行われると、前記出力手段が印刷出力を行う前に、前記課金額を決定して前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力手段による印刷出力が行われる前に、前記設定手段によって前記印刷設定の設定変更が行われる都度、前記課金処理手段は、設定変更後の設定内容に基づいて前記課金額を決定し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークを介してサーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置における課金処理方法であって、
前記サーバ装置で保持されるコンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報を取得するステップと、
前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行うステップと、
前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定するステップと、
前記サーバ装置から前記コンテンツデータを取得するステップと、
前記サーバ装置から取得した前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するステップと、
前記変換されたデータの印刷出力を行うステップと、
前記課金額に基づく課金を行うステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置における課金処理方法。
【請求項7】
サーバ装置と画像形成装置とがネットワークを介して相互にデータ通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記サーバ装置は、
コンテンツデータと当該コンテンツデータに対応するコンテンツ課金情報とを互いに対応付けて記憶する記憶手段と、
前記コンテンツデータと前記コンテンツ課金情報とを前記画像形成装置に送信するデータ送信手段と、
を備え、
前記画像形成装置は、
前記サーバ装置から、前記コンテンツデータと前記コンテンツ課金情報とを取得するデータ取得手段と、
前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行う設定手段と、
前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定する課金処理手段と、
前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するデータ処理手段と、
前記データ処理手段によって変換されたデータを印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
サーバ装置とデータ通信可能に接続された画像形成装置によって実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、
前記サーバ装置で保持されるコンテンツデータに対応付けられたコンテンツ課金情報を取得するステップと、
前記コンテンツデータに基づく印刷出力を行う際の印刷設定を行うステップと、
前記印刷設定に基づいて、前記印刷設定に対応する前記コンテンツ課金情報を参照することにより、前記印刷設定が反映された印刷出力に伴うコンテンツ利用料を算出して課金額を決定するステップと、
前記サーバ装置から前記コンテンツデータを取得するステップと、
前記サーバ装置から取得した前記コンテンツデータに対して前記印刷設定を反映させたデータに変換するステップと、
前記変換されたデータの印刷出力を行うステップと、
前記課金額に基づく課金を行うステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−126053(P2011−126053A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284710(P2009−284710)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】