説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラム

【課題】出力される文書データのセキュリティ性を高めることと、操作者の利便性を保つこととを、両立する画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラムを提供すること。
【解決手段】外部メモリに格納されている鍵データを検知する鍵データ検知手段と、前記鍵データの正当性を認証する認証手段と、前記鍵データが正当性を有する場合に、前記鍵データに対応づけられる印刷データと操作情報とを取得する情報制御手段と、前記鍵データが正当性を有する場合に、前記操作情報に基づくジョブを前記印刷データに対して実行するジョブ実行手段と、を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷出力する文書に対するセキュリティ性を高める画像形成装置の発明がある。例えば、特開2009−284286号公報(特許文献1)には、記憶媒体に格納されている文書データを印刷出力する画像形成装置の発明が開示されている。特許文献1に開示の画像形成装置の発明によれば、印刷出力する文書データが格納された記憶媒体から、画像形成装置が文書データを取得した後に、記憶媒体上の文書データを消去する。
【0003】
また、複数のユーザが共用する画像形成装置において、操作者毎に認証を行うことにより、使用する機能の許可や制限等を行い、セキュリティ性を高める画像形成装置がある。
【0004】
例えば、特開2007−304722号公報(特許文献2)には、パソコンにSPキーを差し込むことにより、そのパソコンからのプリント要求動作を許可するセキュリティプリントシステムの発明が開示されている。
【0005】
ところで、印刷出力する文書に対するセキュリティを高めるためには、印刷出力の可否を制御する他に、プリンタから印刷される際のセキュリティを考慮する必要がある。より詳細には、パソコン等のホストコンピュータからプリンタに印刷要求をする場合には、操作者が印刷要求をしてからプリンタの設置されている場所に移動するまでの間、出力された文書を他の操作者が閲覧することが可能になる。
【0006】
そこで、例えば、操作者がホストコンピュータから印刷要求をしてから、プリンタが設置されている場所に移動し、プリンタの操作パネル等で操作者の認証を行った後に、印刷要求に基づく印刷出力が行われる画像形成装置の技術がある。この画像形成装置によれば、操作者がプリンタを操作するまでの間は、印刷要求された文書データが出力されることはなく、セキュリティ性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1等に開示の画像形成装置等の発明では、操作者毎の、印刷出力の許可・不許可を管理することはできるが、印刷要求毎の、印刷出力の許可・不許可については、考慮されていない。印刷要求毎に、許可・不許可を行うと、操作者がその都度、識別情報等を入力して認証しなくてはならず、手間が増える。そこでICカード等による認証を行う技術がある。しかしながら、操作者の認証をICカード等により行っている場合には、ICカードを不正に入手する者や、ICカードを一時的に借りた者が、その操作者の識別情報による印刷要求に基づく印刷出力を、全て行うことができてしまう。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、出力される文書データのセキュリティ性を高めることと、操作者の利便性を保つこととを、両立する画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は次の如き構成を採用した。本発明の画像形成装置は、外部メモリに格納されている鍵データを検知する鍵データ検知手段と、前記鍵データの正当性を認証する認証手段と、前記鍵データが正当性を有する場合に、前記鍵データに対応づけられる印刷データと操作情報とを取得する情報制御手段と、前記鍵データが正当性を有する場合に、前記操作情報に基づくジョブを前記印刷データに対して実行するジョブ実行手段と、を有する構成とすることができる。
【0010】
これにより、出力される文書データのセキュリティ性を高めることと、操作者の利便性を保つこととを、両立する画像形成装置を提供することができる。
【0011】
なお、上記目的を達成するため、本発明は、上記画像形成装置の制御方法としてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のコンピュータプログラムは次の如き構成を採用した。画像形成装置に対して、印刷データに対応する操作情報を送信する送信ステップと、前記印刷データ及び操作情報に対応する鍵データを受信する受信ステップと、前記鍵データを、記憶媒体に記憶させる記憶制御ステップと、を有することを特徴とする情報処理方法をコンピュータに実行させる構成とすることができる。
【0013】
これにより、画像形成装置から出力される文書データのセキュリティ性を高めることと、操作者の利便性を保つこととを、両立するコンピュータプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラムによれば、出力される文書データのセキュリティ性を高めることと、操作者の利便性を保つこととを、両立する画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、コンピュータプログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の機能構成の例を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係る印刷要求と認証を行うシステムを説明する図である。
【図3】図3は、自動操作による蓄積印刷の準備を行う処理を説明するシーケンス図である。
【図4】図4は、自動操作による印刷出力を行う処理を説明するフロー図である。
【図5】図5は、既に格納されている文書データに対し、自動操作による蓄積印刷を行う処理を説明する図である。
【図6】図6は、既に蓄積されている印刷データに対する自動操作による蓄積印刷の準備を行う処理のシーケンス図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を実現するコンピュータの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施の形態を図面に基づき説明する。以下の実施の形態において「蓄積印刷」とは、ホストPCから送信された印刷ジョブを、一旦、ハードディスク装置等に格納した後に、操作者が操作パネル等から指示することにより、印刷出力するジョブである。また、「自動操作」とは、操作者が識別情報等を入力することなく、SDメモリカード(以下、「SDカード」という。)等の記憶媒体に格納される鍵等を認証することにより、その鍵に対応づけられるジョブを行う機能である。
【0017】
以下の実施の形態では、主に記憶媒体としてSDカードを用いる例について、説明するが、本発明の実施の形態は、SDカードを用いる例に限らない。他の記憶媒体でもよく、非接触ICカード等でもよい。
【0018】
〔本実施の形態〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の機能構成の例を示す図である。図1の画像形成装置は、ネットワーク等を介してホストPC3に接続される。画像形成装置は、また、記憶媒体の図示しないドライブを有し、そのドライブに挿入される記憶媒体4に記録されている情報を読み出し、また、記憶媒体4に情報を書き込む。
【0019】
図1の画像形成装置は、ホスト3から要求される印刷ジョブに対し、鍵データを生成して出力する。ホスト3では、その鍵データを、記憶媒体4に格納させる。
【0020】
画像形成装置は、その鍵データが格納される記憶媒体4が図示しないドライブに挿入等される場合に、その鍵データに対応する印刷ジョブを実行する。すなわち、操作者が、鍵データが格納されている記憶媒体4を、画像形成装置が設置されている場所まで来た後に挿入することにより、印刷ジョブが開始される。これにより、印刷出力される情報を、他の操作者が閲覧することを避けることができる。
【0021】
図1の画像形成装置は、制御部1、操作部2、及び、エンジン8を有する。制御部1は、画像形成装置の各部の制御を行う。制御部1は、また、ホストPC3との通信を行い、記憶媒体4に対するアクセスを制御する。
【0022】
制御部1は、鍵生成手段11、情報管理手段12、情報制御手段13、鍵データ検知手段14、認証手段15、記憶手段16、通信手段17、ジョブ実行手段18、及び、制御手段19を有する。
【0023】
通信手段17は、ホストPC3との通信を行う。通信手段17は、ホストPC3から印刷要求を受信する。この印刷要求には、印刷出力する画像データ又は文書データと、印刷ジョブに係る操作情報とを含む。印刷出力する画像データ又は文書データを、「印刷データ」という。操作情報は、印刷データに対する処理の情報を含む。操作情報は、さらに、その処理に対する有効時間の情報を含んでもよい。
【0024】
通信手段17は、また、鍵生成手段11が生成した鍵データの写しを、ホストPC3に対して送信する。
【0025】
鍵生成手段11は、通信手段17が受信した、操作情報及び印刷データに対応する鍵を生成する。生成した鍵の鍵データは、操作情報及び印刷データと対応づけて、記憶手段16に格納させる。鍵生成手段11は、また、生成した鍵データの写しを生成してもよい。
【0026】
情報管理手段12は、操作情報、印刷データ、及び、鍵データを対応づけて管理する。管理するこれらの情報は、記憶手段16が保持する。
【0027】
情報制御手段13は、記憶媒体4に格納されている鍵データを取得する。情報制御手段13は、取得した鍵データを記憶手段16に格納させ、記憶媒体4に格納されている鍵データを消去する。
【0028】
情報制御手段13は、また、処理等に用いられたデータの消去を行う。より詳細には、情報制御手段13は、記憶手段16に格納されている鍵データが、記憶媒体4から取得された鍵データの認証に使われた後に、記憶手段16に格納されている鍵データを消去する。情報制御手段13は、さらに、記憶手段16に格納されている操作情報と印刷データとに基づくジョブが実行される際に、これらの情報を、記憶手段16から消去する。
【0029】
鍵データ検知手段14は、記憶媒体4に鍵データが格納されている場合に、それを検知する。
【0030】
認証手段15は、記憶媒体4から取得した鍵データの正当性を認証する。認証手段15は、記憶媒体4から取得した鍵データと、記憶手段16に格納されている鍵データが、同一か否かを判断することにより、正当性の認証を行う。認証手段15は、さらに、鍵データに対応する操作情報が、有効時間を過ぎていないか否かを判断する。
【0031】
記憶手段16は、操作情報、印刷データ、及び、鍵データを対応づけて保持する。記憶手段16は、また、記憶媒体4から取得される鍵データを保持してもよい。記憶手段16は、例えば、ハードディスク装置、及び、RAM等である。例えば、情報管理手段12により管理される、操作情報、印刷データ、及び、鍵データは、ハードディスク装置に格納されるとよい。また、情報制御手段13により取得される鍵データ、及び、認証手段15が認証する際に用いる2つの鍵データは、RAMに格納されるとよい。
【0032】
ジョブ実行手段18は、操作情報に基づいて、印刷データに対するジョブを実行する。ジョブ実行手段18は、印刷データに対する画像処理を行い、エンジン8を制御して、印刷ジョブを実現する。
【0033】
制御手段19は、画像形成装置の各部の制御を行う。制御手段19は、また、操作部2に表示する画面の生成、操作部2から入力される指示を受け付ける等の処理を行う。
【0034】
操作部2は、入力手段21、及び、表示手段22を有する。入力手段21は、操作者による指示、及び、ジョブの条件等が入力される。表示手段22は、操作者に対し、画像形成装置の状態、及び、ジョブに係る情報等を表示する。
【0035】
エンジン8は、媒体に画像を形成して出力する。エンジン8は、ジョブ実行手段18により制御されるとよい。
【0036】
ホストPC3は、画像形成装置に対してジョブの要求等を行う。ホストPC3は、通信手段37、及び、ドライブ装置34を有する。通信手段37は、画像形成装置に対して印刷ジョブの要求を出力する。印刷ジョブの要求には、操作情報が含まれる。印刷ジョブの要求には、また、印刷データが含まれてもよい。通信手段37は、また、要求した印刷ジョブに対応する鍵データを、画像形成装置から受信する。この鍵データは、画像形成装置の記憶手段16に格納される鍵データの写しである。
【0037】
ドライブ装置34は、記憶媒体4が挿入され、記憶媒体4に対するデータの書き込み及び読み出しを行う。ドライブ装置34は、通信手段37が受信した鍵データを、記憶媒体4に書き込む。
【0038】
図2は、本実施の形態に係る印刷要求と認証を行うシステムを説明する図である。図2のシステムは、PC300、プリンタ100、及び、SDカード400を有する。プリンタ100は、記憶手段として、HDD161及び揮発メモリ162を有する。また、図2では、印刷データが文書データの例について説明する。
【0039】
図2の(1)では、PC300からプリンタ100に対し、文書蓄積の指定と操作指定の操作が行われる。この操作は、処理する文書データの送信と、処理の内容である操作情報の送信とを含む。
【0040】
より詳細には、先ず、操作者が、PC300のプリンタドライバ上にて、自動操作指定を有効にする操作を行う。自動操作指定とは、後に、プリンタ100上でSDカード400により、認証と操作指定を自動で行う機能である。操作者は、さらに、その自動操作指定に対する有効時間を指定してもよい。以上の操作の後に、操作者は、処理する文書を指定して、「蓄積印刷」ジョブを指示する。
【0041】
これらの操作により、プリンタドライバは、操作情報をPDL(Printer Description Language)に付加して、プリンタ100に送信する。
【0042】
(2)では、情報制御手段13が、プリンタ100のHDD161に、(1)で送信されたPDLに含まれる文書データを蓄積する。PDLに、操作情報が含まれない場合には、通常の蓄積印刷ジョブを実行する。一方、PDLに操作情報が含まれる場合には、(3)に進む。
【0043】
(3)では、鍵生成手段11が、鍵を生成し、情報管理手段12が、鍵データ、及び、操作情報を、(2)で蓄積された文書データに対応づけて、HDD161に格納させる。ここで格納される鍵データをPK1、操作情報をPO1とする。鍵データPK1は、例えば、ランダム生成で、バイナリ4096バイトのデータとする。また、操作情報PO1には、自動操作の内容が含まれる。ここでは、例えば、自動操作の有効期限、及び、処理対象の文書データの識別情報等を含む。
【0044】
なお、鍵データPK1のファイル名と操作情報PO1のファイル名とは、例えば、ファイル名の本体部分が同一で、拡張子が異なる名称でもよい。これにより、鍵データと操作情報との対応づけが容易になる。より詳細には、例えば、ファイル名の本体は、「プリンタ名」+「有効日時」とする。また、鍵データPK1のファイル名の拡張子は、「key」とし、操作情報PO1のファイル名の拡張子は、「ope」とするとよい。
【0045】
また、鍵データPK1は、ランダム生成に限らず、内容の解析が困難な方法であればよい。鍵データPK1のサイズは、他のファイルと偶然による一致がしにくいサイズが望ましい。
【0046】
(4)では、通信手段17が、鍵データPK1のコピーである鍵データUK1を生成して、PC300に送信する。
【0047】
(5)では、PC300のプリンタドライバが、プリンタ100から送信される鍵データUK1を、SDカード400に保存する。SDカード400に保存される鍵データをUK2とする。
【0048】
なお、SDカード400への鍵データUK2の保存は、プリンタドライバの機能によらず、他の機能により実現されてもよい。また例えば、PC300とプリンタ100とが、遠隔地に設けられている場合には、PC300の操作者が、プリンタ100の近傍にいる者に対し、電子メール等により鍵データUK2を送信してもよい。これにより、プリンタ100の近傍にいる者が、受信した鍵データUK2により、自動操作による蓄積印刷を実行することができる。これにより、鍵データUK2に対応づけられるジョブのみを、他の操作者が代行して指示することができ、セキュリティ性と利便性とを両立することができる。
【0049】
(6)では、操作者が、SDカード400を、プリンタ100が有する図示しないドライブに挿入し、格納されているデータをプリンタ100に読み込ませる。(7)では、鍵データ検知手段14が、SDカード400の中に、鍵データUK2があるか否かを検索する。
【0050】
(8)では、情報制御手段13が、SDカード400に格納されている鍵データUK2を、揮発メモリ162に格納させる。この鍵データを、UK3とする。(9)では、情報制御手段13が、SDカード400上の鍵データUK2を消去する。
【0051】
(10)では、認証手段15が、鍵データUK3と同一の鍵データの有無を確認する。ここでは、鍵データPK1が、鍵データUK3と同一の鍵データである。
【0052】
(11)では、情報制御手段13が、HDD161に格納されている鍵データPK1と対応する操作情報PO1とを、揮発メモリ162上に移動する。揮発メモリ162上に移動された鍵データをPK2、操作情報をPO2とする。
【0053】
(12)では、情報制御手段13が、HDD161上の鍵データPK1と操作情報PO1とを消去する。
【0054】
(13)では、認証手段15が、鍵データPK2に対応する操作情報PO2の有効期間が過ぎていないか否かを判断する。有効時間が過ぎていない場合には、(14)を実行する。
【0055】
(14)では、ジョブ実行手段18が、操作情報PO2に基づくジョブを、操作情報PO1に対応づけられ(2)で蓄積された文書データに対して実行する。
【0056】
(15)では、情報制御手段13が、揮発メモリ162上の、鍵データUK3、鍵データPK2、及び、操作情報PO2を消去する。情報制御手段13は、さらに、これらのデータに対応づけられる文書データを、HDD161から消去してもよい。
【0057】
図3は、自動操作による蓄積印刷の準備を行う処理を説明するシーケンス図である。図3のシーケンスは、図2の(1)から(5)までの処理に対応する。図3のステップS101では、PC300からプリンタ100に対し、文書蓄積の要求が出力される。この要求は、操作者がPC300を操作して、PC300のプリンタドライバにより、文書蓄積操作を指定し、さらに、自動操作を指定した後に、文書蓄積の実行を指示することに基づく。
【0058】
ステップS101に続くステップS102では、プリンタ200において、通常の文書蓄積処理が実行される。通常の文書蓄積処理とは、情報制御手段13が、PDLに含まれている印刷データを取得して、HDD161に格納する。情報制御手段13は、さらに、PDLに操作情報が含まれているか否かを判断する。操作情報が含まれている場合には、ステップS103以降の処理を実行する。
【0059】
ステップS102に続くステップS103では、鍵生成手段11が、鍵データPK1の生成を行う。ステップS103では、さらに、情報管理手段12が、PDLに含まれている操作情報PO1を取り出してファイルを生成し、鍵データPK1、及び、印刷データと対応づけて、HDD161に格納させる。
【0060】
ステップS103に続いてステップS104に進み、プリンタ100からPC300に対し、鍵データPK1の写しである鍵データUK1が送信される。ステップS104に続いてステップS105に進み、PC300のプリンタドライバが、ステップS104で受信した鍵データUK1を、SDカード400に格納させ、鍵データUK2とする。
【0061】
図4は、自動操作による印刷出力を行う処理を説明するフロー図である。図4のフローは、図3の(6)から(15)の処理に対応する。また、図4において、鍵データと操作情報のファイル名の本体は「プリンタ名」+「有効日時」である。また、鍵データのファイル名の拡張子は「key」であり、操作情報のファイル名の拡張子は「ope」である。
【0062】
図4のステップS11では、鍵データ検知手段14が、SDカード400上のファイル名を確認する。ステップS11に続いてステップS12に進み、鍵データ検知手段14が、SDカード400上に、鍵データがあるか否かを判断する。より詳細には、SDカード400上に、拡張子”key”のファイルがあるか否かを判断する。拡張子”key”のファイルがある場合には、ステップS13に進み、ない場合には、処理を終了する。
【0063】
ステップS12に続くステップS13では、ステップS12で確認されたファイルのファイル名の中に、プリンタ100のプリンタ名を含むか否かを判断する。含む場合には、ステップS14に進み、含まない場合には、処理を終了する。
【0064】
ステップS13に続くステップS14では、情報制御手段13が、SDカード400上の鍵データUK2を、揮発メモリ162上に展開して、鍵データUK3とし、SDカード400上の鍵データUK2を消去する。
【0065】
ステップS14に続いてステップS15に進み、認証手段15が、HDD161上に、鍵データUK3のファイル名と、同一のファイル名の鍵データがあるか否かを判断する。同一のファイル名の鍵データがある場合には、ステップS16に進み、ない場合には、ステップS21に進む。
【0066】
ステップS15に続くステップS16では、情報制御手段13が、HDD161上の同名の鍵データPK1と、操作情報PO1とを、揮発メモリ162上に展開し、それぞれ、鍵データPK2、及び、操作情報PO2とする。ステップS16では、さらに、情報制御手段13が、HDD161上の鍵データPK1、及び、操作情報PO1を削除する。
【0067】
ステップS16に続くステップS17では、認証手段15が、鍵データUK3と、鍵データPK2との内容が、完全に一致するか否かを判断する。ステップS17に続いてステップS18に進み、認証手段15が、ステップS17において、完全に一致すると判断する場合には、ステップS19に進み、そうではない場合には、ステップS21に進む。
【0068】
ステップS18に続くステップS19では、操作情報の中の有効時間の情報を取得する。ステップS19に続くステップS20では、認証手段15が、現在時刻が、ステップS19で取得した有効時間の中か否かを判断する。有効時間の中の場合には、ステップS22に進み、有効時間の中ではない場合には、ステップS21に進む。
【0069】
ステップS15、ステップS18、又は、ステップS20に続くステップS21では、操作部2の表示手段22に、認証エラーである旨の情報を表示させる。
【0070】
一方、ステップS20に続くステップS22では、ジョブ実行手段18が、操作情報PO2に書かれた印刷ジョブを実行する。これにより、操作情報PO2に対応づけられる印刷データが印刷出力される。ステップS22では、さらに、情報制御手段13が、揮発メモリ162上の鍵データUK3、鍵データPK2、及び、操作情報PO2を消去する。
【0071】
なお、情報制御手段13が、各データを消去するタイミングは、上記の例に限らない。例えば、認証手段15による認証が行われ、鍵データの正当性が確認された後に、SDカード400上の鍵データUK2、及び、HDD161上の鍵データPK1、操作情報PO1が消去されてもよい。
【0072】
図5は、既にプリンタ100のHDD161上に格納されている文書データに対し、自動操作による蓄積印刷を行う処理を説明する図である。図5の(21)では、PC300からプリンタ100に対し、文書データを蓄積する要求が出力される。この要求には、文書データを含んでもよい。
【0073】
(22)では、情報管理手段12が、HDD161に、(21)で要求された文書データを格納する。(23)では、PC300からプリンタ100に対し、リモートログインが実行され、文書データに対する操作指定が出力される。この操作指定は、操作情報を含む。
【0074】
(24)では、情報管理手段12が、(23)で受信した操作指定に含まれる操作情報をPO1としてファイルを生成し、HDD161に格納する。さらに、鍵生成手段11が、操作情報PO1に対応する鍵データPK1を生成し、情報管理手段12が、操作情報PO1、及び、文書データと対応づけてHDD161に格納する。
【0075】
(25)ないし(36)の処理は、図2の(4)ないし(15)の処理と同一であるので、ここでは、説明を省略する。
【0076】
図6は、既に蓄積されている印刷データに対する自動操作による蓄積印刷の準備を行う処理のシーケンス図である。図6の処理は、図5の(23)ないし(26)に対応する。
【0077】
図6のステップS201では、操作者がPC300を操作することにより、PC300からプリンタ100に対し、プリンタ100のWebImageMonitorへアクセスする要求が出力される。WebImageMonitorは、プリンタ100のHDD161上に格納されている画像データ、文書データ等へアクセスするためのインタフェースを提供する機能である。
【0078】
ステップS201に続いてステップS202に進み、操作者が、WebImageMonitor上で、ユーザログインを実行する。ステップS202に続いてステップS203に進み、PC300を操作者が操作することにより、自動操作の要求が出力される。この要求には、HDD161上に格納されている画像データ、又は、文書データ等の識別情報、及び、操作情報を含む。
【0079】
ステップS203に続くステップS204では、鍵生成手段11が、ステップS203の要求に基づく鍵データを生成する。ステップS204では、さらに、情報管理手段12が、ステップS204で生成した鍵データPK1と、ステップS203の要求に含まれる操作情報PO1と、文書データとを対応づけて、HDD161に格納させる。
【0080】
ステップS204に続くステップS205及びステップS206は、図3のステップS104及びステップS105と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0081】
(コンピュータ等による実現 MFP)
図7は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を実現するコンピュータの構成を説明する図である。図7のコンピュータは、主処理部900、入力装置410、表示装置420、スキャナ430、プロッタ440、NIC460、ドライブ装置480、ハードディスク装置(以下、「HDD」という。)490、入力I/F419、表示I/F429、スキャナI/F439、プロッタI/F449、ドライブI/F489、及び、HDDI/F499を有する。
【0082】
主処理部900は、コンピュータプログラムを実行して各機能を実現する。主処理部900は、例えば、CPU401、ROM408、及び、RAM409を有する。CPU401は、コンピュータプログラムを実行することにより、コンピュータが有する各デバイス等の制御を行う。ROM408は、例えば、コンピュータプログラムやパラメータ等が格納され、CPU401にそれらが供せられる。RAM409は、例えば、CPU401がコンピュータプログラムを実行する際のワークメモリとして供せられる。
【0083】
入力装置410は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイスとして構成され、コンピュータに対する指示等が入力される。表示装置420は、コンピュータの状態等が表示される。スキャナ430は、画像を光学的に読み取って、画像データを生成する。プロッタ440は、媒体上に画像を形成して出力する。
【0084】
NIC460は、コンピュータと外部とをネットワークを介して接続する際のインタフェースの機能を実現し、その制御を行う。ドライブ装置480は、記憶媒体が挿入され、その記憶媒体に記録された情報を読み出し、またその記憶媒体に情報を記録する。HDD490は、大容量のデータを格納する記憶手段である。
【0085】
入力I/F419は、表示I/F429、スキャナI/F439、プロッタI/F449、ドライブI/F489、及び、HDD I/F499は、それぞれ、入力装置410、表示装置420、スキャナ430、プロッタ440、ドライブ装置480、及び、HDD490がバスを介して主処理部900と接続される際のインタフェースである。
【0086】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、蓄積印刷におけるセキュリティの向上と利便性との両立に有用であり、特に、複合機に適している。
【符号の説明】
【0088】
1 制御部
2 操作部
3 ホストPC
4 記憶媒体
8 エンジン
11 鍵生成手段
12 情報管理手段
13 情報制御手段
14 鍵データ検知手段
15 認証手段
16 記憶手段
17 通信手段
18 ジョブ実行手段
19 制御手段
21 入力手段
22 表示手段
100 プリンタ
161 HDD
162 揮発メモリ
400 SDカード
900 主処理部
410 入力装置
419 入力I/F
420 表示装置
429 表示I/F
430 スキャナ
439 スキャナI/F
440 プロッタ
449 プロッタI/F
480 ドライブ装置
489 ドライブI/F
490 ハードディスク装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2009−284286号公報
【特許文献2】特開2007−304722号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部メモリに格納されている鍵データを検知する鍵データ検知手段と、
前記鍵データの正当性を認証する認証手段と、
前記鍵データが正当性を有する場合に、前記鍵データに対応づけられる印刷データと操作情報とを取得する情報制御手段と、
前記鍵データが正当性を有する場合に、前記操作情報に基づくジョブを前記印刷データに対して実行するジョブ実行手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷データに対応する操作情報を受信する通信手段と、
前記印刷データ及び前記操作情報に対応する鍵データを生成する鍵生成手段と、
前記印刷データ、前記操作情報、及び、前記鍵データを対応づけて管理する情報管理手段と、
を有し、
前記通信手段は、前記鍵データの写しを前記外部装置に送信し、
前記認証手段は、前記外部メモリに格納されている鍵データと、前記情報管理手段が管理する鍵データと、に基づいて、前記外部メモリに格納されている鍵データの正当性の確認を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記鍵データ検知手段が、前記外部メモリに格納される鍵データを検知する場合に、
前記情報制御手段は、該鍵データを当の画像形成装置が有する記憶手段に格納させ、前記外部メモリに格納される鍵データを消去することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報制御手段は、前記ジョブ実行手段がジョブを実行した後に、該ジョブに対応する操作情報及び鍵データを消去することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記鍵データは、該鍵データが対応する操作情報の有効時間の情報を含み、
前記認証手段は、該鍵データの正当性を認証する際に、前記有効時間の情報を用いることを特徴とする請求項1ないし4何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記操作情報が対応づけられる印刷データを受信することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷データを記憶する記憶手段を有し、
前記通信手段は、前記印刷データに対応づけられる操作情報を受信することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項8】
外部メモリに格納されている鍵データを検知する鍵データ検知ステップと、
前記鍵データの正当性を認証する認証ステップと、
前記鍵データが正当性を有する場合に、前記鍵データに対応づけられる印刷データと操作情報とを取得する情報取得ステップと、
前記鍵データが正当性を有する場合に、前記操作情報に基づくジョブを前記印刷データに対して実行するジョブ実行ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
画像形成装置に対して、印刷データに対応する操作情報を送信する送信ステップと、
前記印刷データ及び操作情報に対応する鍵データを受信する受信ステップと、
前記鍵データを、記憶媒体に記憶させる記憶制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−223103(P2011−223103A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87249(P2010−87249)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】