説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】コントローラのみが高速に起動し、プリンタ装置の起動待ち状態となり画像形成装置全体の起動完了に時間がかかってしまうといった課題を解決し、画像形成装置全体の起動を高速化すること。
【解決手段】コントローラ1の起動モードが設定された場合(S201)、コントローラ1から設定された起動モードをプリンタ装置4に通知しておく(S202)。そして、スイッチ10がオンされた際(S205)のコントローラ1の起動モードが通常起動モードより高速に起動する高速起動モードである場合(S206でYes)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4の初期化動作を変更してプリンタ装置4を高速起動するように制御する(S208〜S210)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の起動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置が多機能化するのに伴い、システムは複雑になり、ソフトウェアの起動にかかる時間は拡大傾向にある。この問題を解決するため、画像形成装置の電源スイッチをOffした場合にDRAMだけ通電しておき、次回電源スイッチOnされた場合に、その状態から電源スイッチのOff前の状態に復帰することによってソフトウェアの起動にかかる時間を短縮する技術が確立されている(以下、DRAM通電起動)。
【0003】
また、画像形成装置の電源スイッチがOffされた際にDRAMイメージを不揮発性の記憶領域(例えばハードディスクなど)に保存しておき、電源スイッチがOnされた際に、そのイメージをDRAMにロードして電源スイッチのOff前の状態に復帰することによってソフトウェアの起動にかかる時間を短縮する技術が確立されている(以下、ハイバーネーション起動)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−85020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置は通常ジョブを生成、処理するジョブコントローラ部(以下、コントローラ)とプリント処理を実行するプリンタ部(以下、プリンタ装置)から構成される。コントローラ、プリンタ装置は別々のCPUを持ち、独立したソフトウェアを実行する。
【0006】
上述したように、コントローラのソフトウェアに関しては、ソフトウェアの高速起動技術が実現されつつある。
しかし、プリンタ装置のソフトウェアに関しては、デバイスの初期化を主に行っていて、ソフトウェアの起動短縮技術をそのまま適用することは難しい。このため、現状では、コントローラのみが高速に起動し、プリンタ装置の起動待ち状態となり、結果、画像形成装置全体としては起動完了に時間がかかってしまうといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、画像形成装置全体の起動を高速化することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電源スイッチがオンされた際に通常起動モード又は前記通常起動モードより高速に起動可能な高速起動モードで起動するコントローラ部と、初期化処理を行って起動するプリンタ部とを有する画像形成装置であって、前記コントローラ部の起動モードを前記通常起動モード又は前記高速起動モードに設定する設定手段と、前記電源スイッチがオンされた際の前記コントローラ部の起動モードが前記高速起動モードである場合、前記プリンタ部の初期化動作を変更して前記プリンタ部を起動する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置全体の起動を高速化することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1を示す画像形成装置のコントローラ1及びプリンタ装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】コントローラ1の各起動モードにおける起動時間とプリンタ装置4の各初期化処理時間の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例2を示す画像形成装置のコントローラ1及びプリンタ装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、この実施の形態に記載している構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
図1(a)は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1(a)において、1は画像形成装置のコントローラであり、メインボード100と、サブボード120を有する。
メインボード100はいわゆる汎用的なCPUシステムである。CPU101は、メインボード100全体を制御する。ブートロム102は、ブートプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する。メモリ103は、CPU101によりワークメモリとして使用されるメインメモリである。
【0013】
バスコントローラ104は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発メモリ105は、電力供給が遮断された場合でもデータを継続して保持することができる記憶装置である。RTC110は、メインボード100への電力供給が遮断された場合でも電池により電力供給を受けて動作する時計である。
【0014】
ディスクコントローラ106は、ストレージ装置を制御する。USBコントローラ108は、USBを制御する。フラッシュディスク107は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である(例えば、SSD;Solid State Drive等)。
【0015】
メインボード100には、USBメモリ9、操作部5、ハードディスク装置6、が接続される。ハードディスク装置6は、不揮発の記憶装置であればハードディスクである必要は必ずしも無く、その種を問わない。
【0016】
サブボード120は、比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアから構成される。CPU121は、サブボード120全体を制御する。メモリ123は、CPU121によりワークメモリとして使用される。バスコントローラ124は、外部バスとのブリッジ機能を有する。
【0017】
不揮発メモリ125は、電力供給が遮断された場合でもデータを継続して保持することができる記憶装置である。画像処理プロセッサ127は、リアルタイムデジタル画像処理を行う。
【0018】
スキャナ装置(スキャナ部)2とプリンタ装置(プリンタ部)4は、デバイスコントローラ126を介してデジタル画像データの受け渡しを行う。FAX装置(ファクシミリ部)7は、CPU121が直接制御を行う。
【0019】
電源装置8は、メインボード100とサブボード120に電力を供給する。電力制御部109は、電源装置8から給電される電力を、メインボード100上の必要な各部へ給電するように管理する。電力制御部128は、電源装置8から給電される電力を、サブボード120上の必要な各部へ給電するように管理する。
なお、USBメモリ、操作部5、ハードディスク装置6、プリンタ装置4、スキャナ装置2、FAX装置7等へは、コントローラ1を介して電力が入力される。
【0020】
スイッチ10は、ユーザの電源Off(電源オフ)/電源On(電源オン)の操作を受ける電源スイッチであり、スイッチ10が操作されるとCPU101へ割り込みが入る。CPU101は、割り込みを検知すると状態にあわせて、電力制御部109を制御する。また、CPU121は、バスコントローラ104、124を介してスイッチ10の操作を検知し、電力制御部128を制御する。
【0021】
なお、本図はブロック図であり簡略化している。例えばCPU101、CPU121等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、説明の粒度的に不必要であるため簡略化記載しており、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0022】
なお、プリンタ装置4は、装置内にCPU41、ROM42、RAM43、及び不揮発性記憶装置44を有し、CPU41がROM42に格納されるプログラムをRAM43を用いて実行することにより各種動作を実現する。さらに、プリンタ装置4は、不揮発性記憶装置44に、後述するコントローラ1の起動モードを格納する。
【0023】
以下、コントローラ1の動作について、紙デバイスによる画像複写を例に説明する。
ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、この指示をCPU101が検知し、CPU121を介してスキャナ装置2に画像読み取り命令を送る。スキャナ装置2は、画像読み取り命令を受信すると、紙原稿を光学スキャンしてデジタル画像データに変換し、該デジタル画像データを、デバイスコントローラ126を介して画像処理プロセッサ127に入力する。画像処理プロセッサ127は、デジタル画像データが入力されると、該デジタル画像データを、CPU121を介してメモリ123にDMA転送して該デジタル画像データの一時保存を行う。
【0024】
CPU101は、デジタル画像データがメモリ123に一定量もしくは全て入ったことが確認できると、CPU121を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出し、画像処理プロセッサ127にメモリ123上の画像データの位置(アドレス)を教える。この画像出力指示を受けた画像処理プロセッサ127は、プリンタ装置4からの同期信号に従って、前記通知されたメモリ123上の位置に格納される画像データを、デバイスコントローラ126を介してプリンタ装置4に送信する。
【0025】
プリンタ装置4は、画像データをデバイスコントローラ126を介して受信すると、該画像データを紙デバイスに印刷する。
なお、複数部印刷を行う場合、CPU101は、前記メモリ123上の画像データをハードディスク装置6に保存しておく。そして、2部目以降の印刷を行う場合にはスキャナ装置2から画像データを入力するとこなく、CPU101が、ハードディスク装置6に保存しておいた画像データを、プリンタ装置4に送信してプリンタ装置4で印刷を行うように制御する。
【0026】
以下、図1(b)を用いて、コントローラ1がDRAM通電起動モードで電源Offされた場合の画像形成装置の電力状態について説明する。
図1(b)は、コントローラ1がDRAM通電起動モードで電源Offされた場合の画像形成装置の電力状態の一例を示す図である。
図1(b)に示すように、コントローラ1がDRAM通電起動モードで電源Offされた場合、画像形成装置は、コントローラ1のメインボード100のメモリ103、スイッチ10のみ通電された状態となる。メモリ103に、電源Off前のメモリイメージを保持しておくことによって、電源オンされた際に、コントローラ1の高速起動を実現する。即ち、DRAM通電起動モードでは、コントローラ1は、スイッチ10がOffされている間もコントローラ1のメモリ103への電力供給を継続しておき、スイッチ10がオンされた際にはメモリ103に記憶されたデータを用いてスイッチ10がOffされる前の状態に復帰する。
【0027】
一方、コントローラ1がハイバーネーション起動モードで電源Offされた場合、画像形成装置は全てのデバイスへの通電が遮断された状態となる。電源Off前のメモリイメージをハードディスク装置6またはフラッシュディスク107へ保存しておき、起動時にDMA転送を用いてメモリ103へ電源Off前のメモリイメージを展開することにより、コントローラ1の高速起動を実現する。即ち、ハイバーネーション起動モードでは、コントローラ1は、スイッチ10がOffされた際にメモリ103に記憶されていたデータをフラッシュディスク107に保存しておき、スイッチ10がオンされた際にはフラッシュディスク107に保存された前記データをメモリ103にロードしてスイッチ10がOffされる前の状態に復帰する。
【0028】
通常、DRAM通電起動モードでの起動に比べ、ハイバーネーション起動モードで起動する場合、電源Off時の消費電力がメモリ103及びスイッチ10への通電分だけ少ない。しかし、ハイバーネーション起動モードで起動する場合、ハードディスク装置6又はフラッシュディスク107からメモリイメージをメモリ103に展開する時間だけ、DRAM通信モードで起動する場合に比べて起動時間が長くなる。
【0029】
また、通常起動モードで起動する場合には、CPU101がハードディスク装置6又はフラッシュディスク107からメモリ103へイメージの読み出しを逐次行うため、起動に時間が掛かる。しかし、通常起動モードで起動する場合、コントローラ1は常に毎回初期状態からの起動となるので、動作の安定性が保証される。
【0030】
電源Off時にわずかな電力は消費するが高速に画像形成装置を起動させたい場合には、DRAM通電起動モードを利用する。また、電源Off時に電力を消費したくないが、高速に起動させたい場合には、ハイバーネーション起動モードを利用する。起動に時間が掛かっても良い場合には通常起動モードを利用する。
【0031】
通常起動モード、DRAM通電起動モード、ハイバーネーション起動モードの切り替えは、操作部5を使用して行う。操作部5は、操作部5に備えられた表示部に表示される起動モード切り替えメニューに、前述の各起動モードの特徴を表示し、ユーザ選択により設定を受け付ける。なお、以下、DRAM通電起動モード、ハイバーネーション起動モードを合わせて高速起動モードという。また、DRAM通電起動モードを第1高速起動モード、ハイバーネーション起動モードを第2高速起動モードともいう。
【0032】
以下、図2を用いて、本発明の実施例1を示す画像形成装置の動作について説明する。
図2は、本発明の実施例1を示す画像形成装置のコントローラ1及びプリンタ装置4の動作の一例を示すフローチャートである。なお、コントローラ1の動作は、コントローラ1のCPU101がブートロム102にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、プリンタ装置4の動作は、プリンタ装置4のCPU41がROM42にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0033】
S201において、CPU101は、ユーザが操作部5を使用してコントローラ1に対して起動モードの設定を行ったことを検知すると、設定された起動モードを不揮発メモリ105に保存し、次回起動時にコントローラ1をこの起動モードで起動するように制御する。
【0034】
次に、S202において、CPU101は、バスコントローラ104,124を介して、前記S201で設定された起動モードをCPU121へ通知する。この通知を受けたCPU121は、前記CPU101から通知された起動モードを、デバイスコントローラ126を介して、プリンタ装置4へ通知する。
【0035】
CPU121から起動モードの通知を受信すると、プリンタ装置4のCPU41は、前記CPU121から通知された起動モードを、不揮発性記憶装置44に記憶する(S203)。
【0036】
ユーザがスイッチ10を操作してOffにすると、CPU101は、スイッチ10がOffされたことを検知し、必要な終了処理を行ない、電力制御部109を介して、画像形成装置の電源をOffにする(S204)。
【0037】
ユーザがスイッチ10を操作してOnにすると(S205)、コントローラ1、プリンタ装置4を含む各装置に電力が供給され、コントローラ1、プリンタ装置4を含む各装置では、必要な各種起動処理の実行を開始する。
【0038】
プリンタ装置4のCPU41は、S206において、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードを読み出し、高速起動モードであるか否かを判定する。
【0039】
コントローラ1が高速モードでない(通常起動モードである)と判定した場合(S206でNo)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4の各種初期化動作を全て実行する通常起動を行う(S207)。
【0040】
一方、S206において、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが高速起動モードであると判定した場合(Yes)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4が各種初期化動作を変更する高速起動を行う(S208〜S210)。
【0041】
S208において、プリンタ装置4のCPU41は、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが第1高速起動モードであるか否かを判定する。
【0042】
コントローラ1が第1高速モードである(DRAM通電起動モード)と判定した場合(S208でYes)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4のCPU41は、第1高速起動を行う(S209)。
【0043】
一方、S208において、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが第1高速起動モードでない、即ち第2高速起動モード(ハイバーネーション起動モード)であると判定した場合(No)、プリンタ装置4のCPU41は、第2高速起動を行う(S210)。
【0044】
なお、前記S202で示した、コントローラ1からプリンタ装置4への起動モード通知は、前記S204の処理中、又は、前記S205の直後にも実行することが可能である。なお、前記S205の直後に起動モードの通知を行う場合、前記S203の不揮発領域への記憶も必要なくなる。この場合、前記S205の直後の出来る限り早いタイミングで起動モードの通知を行わないと、プリンタ装置4の起動処理を切り替えることが難しくなる。
【0045】
図3は、コントローラ1の各起動モードにおける起動時間とプリンタ装置4の各初期化処理時間の一例を示す図である。
図3において、301は、コントローラ1の各起動モードにおける起動時間の例である。ここでは、通常起動モードでの起動時間を30秒とする。また、ハイバーネーション起動モードでの起動時間を15秒、DRAM通電起動モードでの起動時間を5秒とする。これらの起動モードは、図2のS202でコントローラ1からプリンタ装置4へ通知する起動モードに対応する。プリンタ装置4は、通知されたコントローラ1の起動モードの起動時間に合わせて、各種初期化動作を実行する。
【0046】
302,303はプリンタ装置4のデバイスの各種初期化動作の例である。本実施例では、プリンタ装置4の初期化動作は、トナーの撹拌動作302と、トナーの濃度調整動作303の2つの動作系を含む。
【0047】
302はトナーの撹拌動作であり、動作時間(動作開始から終了までにかかる時間)は10秒とする。
303はトナーの濃度調整である。濃度調整の調整方法は3種類存在し(濃度調整1〜3)、それぞれの動作時間は異なる。濃度調整1の動作時間は10秒、濃度調整2の動作時間は15秒、濃度調整3の動作時間は5秒とする。
【0048】
なお、動作系303を構成するそれぞれの濃度調整動作(濃度調整1〜3)は、並列動作不可能とする。また、撹拌動作302と濃度調整動作303とは、並列動作可能とする。
【0049】
例えば、図2のS202でコントローラ1からプリンタ装置4へ通知する起動モードが「通常起動モード」の場合、コントローラ1の起動に30秒かかる。このため、プリンタ装置4は、撹拌動作、濃度調整1、濃度調整2、濃度調整3の全ての初起動作を実行する(計30秒)起動を行う。よって、画像形成装置全体が30秒で起動する。
【0050】
また、図2のS202でコントローラ1からプリンタ装置4へ通知する起動モードが「ハイバーネーションン起動モード」の場合、コントローラ1の起動に15秒かかる。このため、プリンタ装置4は、初起動作の一部を省略して実行して起動する。具体的には、プリンタ装置4は、濃度調整1と濃度調整3を省略するか、濃度調整2を省略した起動を行う。これにより、プリンタ装置4は、(コントローラ1の起動時間に合わせた)15秒で高速に起動することができる。よって、画像形成装置全体を15秒で高速に起動することができる。
【0051】
また、図2のS202でコントローラ1からプリンタ装置4へ通知する起動モードが「DRAM通電起動モード」の場合、コントローラ1の起動に5秒かかる。このため、プリンタ装置4は、初起動作の一部を省略して実行して起動する。具体的には、プリンタ装置4は、濃度調整1と濃度調整2を省略し、濃度調整3のみを実行する起動を行う。これにより、プリンタ装置4は、(コントローラ1の起動時間に合わせた)5秒で高速に起動することができる。よって、画像形成装置全体を5秒で高速に起動することができる。
【0052】
即ち、本実施例では、プリンタ装置4の初期化動作は、並列処理可能な複数の動作系を含み、前記各動作系は、それぞれ1又は並列処理不可能な複数の動作で構成されている。そして、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4の初期化動作を変更する場合、前記一部又は全ての動作系においてそれぞれ、コントローラ1の起動時間に合わせて、該動作系を構成する動作の一部又は全てを省略する。これにより、プリンタ装置4を高速起動することができる。なお、プリンタ装置4の初期化動作の全てを省略する構成であってもよい。
また、プリンタ装置4の初期化動作の一部又は全てを、より実行時間の短い他の動作に差し替える構成であってもよい。さらに、プリンタ装置4の初期化動作の一部をより実行時間の短い他の動作に差し替え、また一部を省略する構成(差し替えと省略を組み合わせた構成)であってもよい。即ち、コントローラ1の起動時間に合わせてプリンタ装置4の初期化動作を変更する構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0053】
以上のように、コントローラ1の起動モードをプリンタ装置4に通知することによって、プリンタ装置4は、コントローラ1の起動時間に合わせて初期動作を変更して高速な起動を行うことができる。この結果、コントローラのみが高速に起動し、プリンタ装置の起動待ち状態となり画像形成装置全体の起動完了に時間がかかってしまうといった課題を解決し、画像形成装置全体の起動を高速化することができる。
【0054】
以上説明したように、プリンタ装置4のCPU41が、スイッチ10がOnされた際のコントローラ1の起動モードが高速起動モードである場合、高速起動モードで起動した場合のコントローラ部の起動時間に合わせて、プリンタ装置4の初期化動作を変更してプリンタ装置4を起動する。例えば、プリンタ装置4のCPU41が、高速起動モードで起動した場合のコントローラ1の起動時間を超えないように、プリンタ装置4の初期化動作を変更(省略、差し替え)する。
【0055】
また、プリンタ装置4のCPU41は、高速起動モードで起動した場合のコントローラ1の起動時間を所定時間以上超えないように(例えば5秒以上超えないように)、プリンタ装置4の初期化動作を変更(省略、差し替え)するようにしてもよい。
【0056】
また、プリンタ装置4のCPU41は、高速起動モードで起動した場合のコントローラ1の起動時間とプリンタ装置4の起動時間との差を最少にするように、プリンタ装置4の初期化動作を変更(省略、差し替え)するようにしてもよい。例えば、ハイバーネーション起動モードでのコントローラ1の起動時間が「13秒」とする。この場合、プリンタ装置4は、濃度調整1と濃度調整3を省略するか、濃度調整2を省略した起動を行う。これにより、プリンタ装置4は、コントローラ1の起動時間はオーバーするが、コントローラ1の起動時間との差が最少となる15秒で高速に起動することができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1では、コントローラ1に高速起動モードが設定されている場合、プリンタ装置4は常に初期化動作を変更した高速起動を実行する。なお、プリンタ装置4の初期化動作を変更(省略、差し替え)すると、電源Off期間が長い際に、トナーの状態などによって色味などが変動してしまったりする可能性がある。実施例2では、電源Off期間が所定の時間より長い場合には、プリンタ装置4の初期化動作を変更すること無く、通常の初起動作を実行してプリンタ装置4を起動するように構成する。以下、図4を用いて、詳細に説明する。
【0058】
図4は、本発明の実施例2を示す画像形成装置のコントローラ1及びプリンタ装置4の動作の一例を示すフローチャートである。なお、コントローラ1の動作は、コントローラ1のCPU101がブートロム102にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、プリンタ装置4の動作は、プリンタ装置4のCPU41がROM42にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0059】
S401において、CPU101は、ユーザが操作部5を使用してコントローラ1に対して起動モードの設定を行ったことを検知すると、設定された起動モードを不揮発メモリ105に保存し、次回起動時にコントローラ1をこの起動モードで起動するように制御する。
【0060】
次に、S402において、CPU101は、バスコントローラ104,124を介して、前記S401で設定された起動モードをCPU121へ通知する。この通知を受けたCPU121は、前記CPU101から通知された起動モードを、デバイスコントローラ126を介して、プリンタ装置4へ通知する。
【0061】
CPU121から起動モードの通知を受信すると、プリンタ装置4のCPU41は、前記CPU121から通知された起動モードを、不揮発性記憶装置44に記憶する(S403)。
【0062】
ユーザがスイッチ10を操作してOffにすると、CPU101は、スイッチ10がOffされたことを検知し、画像形成装置の電源Off期間を計測するためにRTC110をスタートする。その後、CPU101は、必要な終了処理を行ない、電力制御部109を介して、画像形成装置の電源をOffにする(S404)。
【0063】
ユーザがスイッチ10を操作してOnにすると(S405)、コントローラ1、プリンタ装置4を含む各装置に電力が供給され、コントローラ1、プリンタ装置4を含む各装置では、必要な各種起動処理の実行を開始する。コントローラ1のCPU101は、前記S404でスタートしたRTC110をストップする。
【0064】
次に、S406において、CPU101は、スイッチ10がOffされていた期間(S405からS405の経過時間)を示す電源Off期間(電源オフ期間)を、前記RTC110のタイマ値に基づいて計算し(取得し)、該電源Off期間を、バスコントローラ104,124を介して、CPU121へ通知する。この通知を受けたCPU121は、前記CPU101から通知された電源Off期間を、デバイスコントローラ126を介して、プリンタ装置4へ通知する。
【0065】
プリンタ装置4のCPU41は、S407において、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードを読み出し、高速起動モードであるか否かを判定する。
【0066】
コントローラ1が高速モードでない(通常起動モードである)と判定した場合(S407でNo)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4の各種初期化動作を全て実行する通常起動を行う(S408)。
【0067】
一方、S407において、前記S203で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが高速起動モードであると判定した場合(Yes)、プリンタ装置4のCPU41は、S409に処理を進める。
【0068】
S409では、プリンタ装置4のCPU41は、前記S406で通知された電源Off期間が閾値を超えているか否かを判定する。なお、本実施例では、この閾値を8時間としている。前記閾値は、プリンタ装置4の特性によって定められ、任意の時間で良い。また閾値は何段階か存在する構成であってもよい。
【0069】
そして、電源Off期間が閾値を超えていると判定した場合(S409でYes)、プリンタ装置4のCPU41は、S408に処理を進め、プリンタ装置を通常起動する(S408)。即ち、プリンタ装置4のCPU41は、電源Off期間が閾値を超える場合には、コントローラ1の起動モードに関係なく、プリンタ装置4の初期化動作を変更しないように制御する。
【0070】
一方、電源Off期間が閾値を超えていないと判定した場合(S409でNo)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4が各種初期化動作を変更する高速起動を行う(S410〜S412)。
【0071】
S410において、プリンタ装置4のCPU41は、前記S403で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが第1高速起動モードであるか否かを判定する。
【0072】
コントローラ1が第1高速モードである(DRAM通電起動モード)と判定した場合(S410でYes)、プリンタ装置4のCPU41は、プリンタ装置4のCPU41は、第1高速起動を行う(S411)。
【0073】
一方、S410において、前記S403で不揮発性記憶装置44に記憶したコントローラ1の起動モードが第1高速起動モードでない、即ち第2高速起動モード(ハイバーネーション起動モード)であると判定した場合(No)、プリンタ装置4のCPU41は、第2高速起動を行う(S412)。
【0074】
なお、実施例1の場合と同様に、前記S402で示した、コントローラ1からプリンタ装置4への起動モード通知は、前記S404の処理中、前記S405の直後、又は前記S406においても実行することが可能である。なお、前記S405の直後、又は前記S406において、起動モードの通知を行う場合、前記S203の不揮発領域への記憶も必要なくなる。この場合、前記S205の直後又は前記S406の出来る限り早いタイミングで起動モードの通知を行わないと、プリンタ装置4の起動処理を切り替えることが難しくなる。
【0075】
以上示したように、コントローラ1の電源Off期間をプリンタ装置4に通知することによって、電源Off期間が長く、プリンタ装置4の初期化動作が必要な場合には、初期動作の変更を行わないようにすることができる。
【0076】
なお、本実施例では、コントローラ1のRTC110を利用して電源Off期間を測定する構成について説明した。しかし、プリンタ装置4に電源Off期間を測定するタイマを設けて、プリンタ装置4において電源Off期間を測定するように構成してもよい。
【0077】
また、上記S408において、電源Off期間が閾値より長い場合、プリンタ装置4が通常起動するので、コントローラ1は高速に起動する必要がない。プリンタ装置4が判断する閾値を予めコントローラ1の不揮発メモリ105に記憶しておき、電源Onされた際に(S405)、Off期間がその閾値を超えているかどうかを判定する。そして、Off期間がその閾値を超えている場合には、コントローラ1の高速起動を停止する。このように、プリンタ装置4の起動にコントローラ1の起動を合わせるように構成してもよい。
【0078】
また、コントローラ1が自信の特性に合わせた閾値を持ち、前記S405で電源Off期間を計算し、コントローラ1の高速起動を停止し、通常起動するように構成してもよい。この場合、前記S406でプリンタ装置4へ高速起動停止を通知し、プリンタ装置4も通常の起動を行うようにする。
【0079】
以上示したように、電源Offされていた期間が閾値を超える場合には、コントローラ1の起動モードが高速起動モードであっても、プリンタ装置4は初期動作の変更を行わず、通常の初期動作を行って通常起動する。これにより、短時間の電源Offでは画像形成装置全体を高速起動可能にし、一方、長時間電源Offされていた場合にはプリンタ装置4の初期化動作を変更することなく実行し、プリンタ装置4の状態を初期化し、形成される画像の品質劣化を防止可能にすることができる。即ち、高速起動と高品質の画像形成の双方を実現することができる。
【0080】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0081】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0082】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 コントローラ
4 プリンタ装置
10 スイッチ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 不揮発性記憶装置
100 メインボード
101 CPU
102 ブートロム
103 メモリ
104 不揮発メモリ
120 サブンボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源スイッチがオンされた際に通常起動モード又は前記通常起動モードより高速に起動可能な高速起動モードで起動するコントローラ部と、初期化処理を行って起動するプリンタ部とを有する画像形成装置であって、
前記コントローラ部の起動モードを前記通常起動モード又は前記高速起動モードに設定する設定手段と、
前記電源スイッチがオンされた際の前記コントローラ部の起動モードが前記高速起動モードである場合、前記プリンタ部の初期化動作を変更して前記プリンタ部を起動する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記高速起動モードで起動した場合のコントローラ部の起動時間に合わせて、前記プリンタ部の初期化動作を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記高速起動モードで起動した場合のコントローラ部の起動時間を超えないように、前記プリンタ部の初期化動作を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記高速起動モードで起動した場合のコントローラ部の起動時間を所定時間以上超えないように、前記プリンタ部の初期化動作を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記高速起動モードで起動した場合のコントローラ部の起動時間と前記プリンタ部の起動時間との差を最少にするように、前記プリンタ部の初期化動作を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プリンタ部の初期化動作は、並列処理可能な複数の動作系で構成され、
前記各動作系は、1又は並列処理不可能な複数の動作で構成され、
前記制御手段は、前記プリンタ部の初期化動作を変更する場合、前記一部又は全ての動作系においてそれぞれ、前記コントローラ部の起動時間に合わせて、該動作系を構成する動作の一部又は全てを省略することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電源スイッチがオンされた際に、前記電源スイッチがオフされていた期間を示す電源オフ期間を取得する取得手段と、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記電源オフ期間が閾値を超える場合には、前記コントローラ部の起動モードに関係なく、前記プリンタ部の初期化動作を変更しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記設定手段により前記起動モードが設定された際に、該設定された前記コントローラ部の起動モードを前記プリンタ部に通知する通知手段と、
前記通知手段に通知された起動モードを記憶するコントローラ部が備える不揮発性記憶手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電源スイッチがオフされた際に、前記コントローラ部の起動モードを前記プリンタ部に通知する通知手段と、
前記通知手段に通知された起動モードを記憶するコントローラ部の不揮発性記憶手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電源スイッチがオンされた際に、前記コントローラ部の起動モードを前記プリンタ部に通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記高速起動モードは、第1高速起動モードと第2高速起動モードを備え、
前記1高速起動モードでは、前記コントローラ部は、前記電源スイッチがオフされている間も前記コントローラ部のメインメモリへの電力供給を継続しておき、前記電源スイッチがオンされた際には前記メインメモリに記憶されたデータを用いて前記電源スイッチがオフされる前の状態に復帰する第1高速起動を行い、
前記2高速起動モードでは、前記コントローラ部は、前記電源スイッチがオフされた際に前記メインメモリに記憶されていたデータを不揮発性記憶手段に保存しておき、前記電源スイッチがオンされた際には前記不揮発性記憶手段に保存された前記データを前記メインメモリにロードして前記電源スイッチがオフされる前の状態に復帰する第2高速起動を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
電源スイッチがオンされた際に通常起動モード又は前記通常起動モードより高速に起動可能な高速起動モードで起動するコントローラ部と、初期化処理を行って起動するプリンタ部とを有する画像形成装置の制御方法であって、
前記コントローラ部の起動モードを前記通常起動モード又は前記高速起動モードに設定する設定ステップと、
前記電源スイッチがオンされた際の前記コントローラ部の起動モードが前記高速起動モードである場合、前記プリンタ部の初期化動作を変更して前記プリンタ部を起動する起動ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−101220(P2013−101220A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244671(P2011−244671)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】