説明

画像形成装置、電気機器および信号転送方法

【課題】ケーブルのピンアサインや配回しあるいはケーブルのインピーダンスによらず、かつコストの増大を回避して、EMI低減効果を向上させること。
【解決手段】入力された印刷対象の画像データを前記複数の印字データに展開するプリンタ画像処理ロジック部204と、クロック1の位相と180°ずれるようにクロック1の位相をシフトしたクロック2を生成する位相シフト処理部207と、クロック1とクロック2とを、複数の第1信号線を介して記録ヘッド部112に転送するシフトレジスタクロック生成部205と、を備え、複数の第1信号線は、複数の記録ヘッド118,119,120の配置順に対応して隣接して割り当てられ、かつ互いに隣接する複数の第1信号線がクロック1とクロック2とを隣接する第1信号線で転送するようにFFC111内で配線されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、電気機器および信号転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器や画像形成装置から放射される電磁雑音を低減させる電磁妨害対策、すなわちEMI(Electro−Magnetic Interference)対策において、特に装置内部に配回されているハーネスやフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable、以下、「FFC」という。)から発生するEMIノイズの対策には、フェライトコアが広く一般的に使用されている。フェライトコアを用いたEMI対策では、フェライトコアの設置に際して、ケーブル配回しのレイアウトに影響を受け、EMI低減に効果的な位置に配置できない場合がある。特にケーブルが可動部のユニットに配回されている場合などは、EMI対策を行うことが困難となる。またさらには、フェライトコアを用いたEMI対策は部品コストが増大する。
【0003】
一方、ファライトコアを使用しないEMI低減の従来技術として、各カラーヘッドのクロック信号の位相をシフトすることによって、互いの放射電磁界を相殺し、これにより、電磁波ノイズの低減を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、ケーブルのピンアサインや配回しあるいはケーブルのインピーダンスによって、十分なEMI低減効果を得られない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ケーブルのピンアサインや配回しあるいはケーブルのインピーダンスによらず、かつコストの増大を回避して、EMI低減効果を向上させることができる画像形成装置、電気機器および信号転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、印字データを印字する複数の記録ヘッドを有する記録部と、前記複数の記録ヘッドごとに複数の印字データを生成する制御部と、前記複数の記録ヘッドに対応する複数の第1信号線のそれぞれ、および前記複数の記録ヘッドに対応する複数の第2信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記記録部と前記制御部とを接続する接続ケーブルと、第1クロック信号を発生するクロック発生器と、を備え、前記制御部は、前記第1クロック信号に同期して、入力された印刷対象の画像データを前記複数の印字データに展開する画像処理部と、前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する位相シフト部と、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の第1信号線を介して前記記録部に転送するクロック転送部と、を備え、前記複数の記録ヘッドは、前記第1クロック信号または前記第2クロック信号に同期して前記印字データを印字し、前記複数の第1信号線は、前記複数の記録ヘッドの配置順に対応して隣接して割り当てられ、かつ互いに隣接する複数の第1信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する第1信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる電気機器は、第1処理部と、第2処理部と、複数の信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記第1処理部と前記第2処理部とを接続する接続ケーブルと、第1クロック信号を発生するクロック発生器と、を備え、前記第1処理部は、前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する位相シフト部と、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の信号線を介して前記第2処理部に転送するクロック転送部と、を備え、前記複数の信号線は、互いに隣接する複数の信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる信号転送方法は、第1処理部と、第2処理部と、複数の信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記第1処理部と前記第2処理部とを接続する接続ケーブルと、第1クロック信号を発生するクロック発生器とを備えた電気機器で実行される制御方法であって、前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する生成ステップと、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の信号線を介して前記第2処理部に転送する転送ステップと、を含み、前記転送ステップは、互いに隣接する複数の信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する信号線で転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケーブルのピンアサインや配回しあるいはケーブルのインピーダンスによらず、かつコストの増大を回避して、EMI低減効果を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるインクジェット式プリンタ装置の概略構成図である。
【図2】図2は、記録ヘッド部の概略構成図である。
【図3】図3は、プリンタ制御基板を主とした機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施の形態1の変形例1におけるシフトレジスタクロック出力のタイミングチャートである。
【図5】図5は、実施の形態1の変形例2におけるプリンタ制御基板を主とした機能的構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施の形態1の変形例2のクロック信号(シフトレジスタクロックからの出力)とラッチ信号の出力のタイミングチャートである。
【図7】図7は、実施の形態1の変形例3のプリンタ制御基板とヘッドリレー基板とを接続する第1信号線、第2信号線の配線図である。
【図8】図8は、実施の形態1の変形例4のプリンタ制御基板とヘッドリレー基板とを接続する第1信号線、第2信号線の配線図である。
【図9】図9は、実施の形態2のプリンタ制御基板を主とした機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、電気機器および信号転送方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるインクジェット式プリンタ装置の概略構成図である。図1では、本実施の形態のインクジェット式プリンタを備えた画像形成装置100(以下、「画像形成装置100」という。)にネットワークで接続されたホストPC(Personal Computer)101も示している。ここで、ホストPC101は、各種イメージの画像データを画像形成装置100に送出するコンピュータである。
【0013】
画像形成装置100は、図1に示すように、プリンタインタフェース103と、スキャナ107と、メモリコントローラ102と、プリンタ制御基板200と、操作パネル106と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)104と、HDD(Hard Disk Drive)105と、記録部としての記録ヘッド部112と、キャリッジ113と、搬送部114と、吸引フィン115と、排紙部116とを主に備えている。
【0014】
プリンタインタフェース103とメモリコントローラ102およびプリンタ制御基板200とはPCIバスで接続されている。
【0015】
プリンタインタフェース103は、USBやセントロニクス等のインタフェースであり、スキャナ107が接続されている。
【0016】
メモリコントローラ102には操作パネル106、SDRAM104、HDD105が接続されている。メモリコントローラ102は、ホストPC101からプリンタインタフェース103、PCIバスを介して画像データを受信し、受信した画像データをSDRAM104、HDD105へ一時的に保存する。メモリコントローラ102は、スキャナ107で読み取った画像データも同様に、プリンタインタフェース103、PCIバスを介して受信し、受信した画像データをSDRAM104、HDD105へ保存する。
【0017】
プリンタ制御基板200は、画像形成装置100の全体を制御するものである。プリンタ制御基板200は、SDRAM104、HDD105に格納されている画像データの転送をメモリコントローラ102に対して要求する。要求を受けたメモリコントローラ102は、HDD105、SDRAM104に格納されている画像データを、PCIバスを介してプリンタ制御基板200へ転送する。
【0018】
プリンタ制御基板200は、メモリコントローラ102から転送されてきた画像データを、内部の記録ヘッド制御ASIC(後述)によって画像処理し、記録ヘッド部112が受け取ることができるデータフォーマットに変換した後、接続ケーブルとしてのフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable、以下、「FFC111」という。)111を介して記録ヘッド部112へと転送される。
【0019】
記録ヘッド部112は、インクジェット式の記録ヘッドであり、搬送部114によって搬送されてきた用紙に対してインクを吐出することによって作像する。ここで、本実施の形態でが、記録する手段である記録部として記録ヘッド部112を用いているが、記録ヘッド部112は記録部の一例であり、記録可能な記録部であればいずれも用いることができる。
【0020】
キャリッジ113は、記録ヘッド部112を用紙搬送方向に対して垂直な方向に移動させる。この動作によって主走査方向の画像が用紙に形成される。吸引フィン115は、インク吐出の際に用紙位置を安定させるためのものである。作像された用紙は排紙部16によって画像形成装置100の外部に排出される。
【0021】
図2は、記録ヘッド部112の概略構成図である。プリンタ制御基板200より出力される各記録ヘッドへのクロック信号および印字データは、1本のFFCを伝送経路として、ヘッドリレー基板117に転送される。ヘッドリレー基板117は、プリンタ制御基板200から転送されてきたクロック信号および印字データを、記録ヘッドとしての、2つのモノクロヘッド118、119)および3つのカラーヘッド120のそれぞれに転送する。
【0022】
図2に示すように、カラーヘッド120は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色で3ヘッドから構成され、モノクロヘッド118、119は、K1、K2(ブラック)の2ヘッドで構成され、このため、記録ヘッドは合計5ヘッド構成となっている。モノクロヘッド118,119を2ヘッドとしているのは、図面などのモノクロ線画のアウトプットが多い広幅プリンタでは、生産性を上げるためにモノクロ印字のときに2つのヘッドを稼働させて印字を行うためである。
【0023】
記録ヘッド118、119、120とヘッドリレー基板117は、互いに近傍のキャリッジ113上に配置されており、互いを接続する信号伝送経路は極力短いケーブルで接続されている。
【0024】
一方、ヘッドリレー基板117とプリンタ制御基板200とを接続する信号伝送経路は、FFC111の1本で装置内部を這い回し、さらにはキャリッジ113の主走査方向の動作に追従できる長さが確保されている。
【0025】
画像形成装置のような電子機器に対しては、各国でFCC、VCCI、EN55022等の電磁波ノイズに関する規制が存在しており、機器から発生する電磁波ノイズはそれら規制値以内に抑制する必要がある。
【0026】
しばしば、長距離なクロック信号伝送経路が存在するシステムにおいては、上記の電磁波ノイズ規制値を超過することがある。本実施の形態の場合、FFC111は長く配回されており、その内部をクロック信号が転送されることによって、より強度なクロックからの放射電磁界による電磁波ノイズがFFC111から発生するため、上記規制値を超過してしまう。このため、FFC111から発生する電磁波ノイズを抑制する対策を施すことが必要となる。
【0027】
FFCなどのケーブルから発生する電磁波ノイズを抑制するために、フェライトコアを直接ケーブルに装着するという対策がありが、本実施の形態では、電磁波ノイズの発生源であるFFC111は、キャリッジ113の主走査方向への作像時の動作に追従して稼働するため、電磁波ノイズ抑制に有効となる位置にフェライトコアを装着ことが困難である。また、フェライトコアによる対策を行う場合には、フェライトコア部品の調達のためにコストが増大する。このため、本実施の形態では、以下に説明するように、FFC111内の信号線の配線とクロック信号の位相シフトによって、低コストで電磁波ノイズの抑制を図っている。
【0028】
図3は、プリンタ制御基板を主とした機能的構成を示すブロック図である。プリンタ制御基板200は、図3に示すように、水晶発振器201と、CPU209と、記録ヘッド制御ASIC(Application Specific Integrated Circuit)110とを備えている。
【0029】
CPU209は、画像形成装置100の全体制御を司る。水晶発振器201は、クロック1(第1クロック信号)を発振させる。
【0030】
記録ヘッド制御ASIC110は、記録ヘッド部112を制御する回路である。記録ヘッド制御ASICは、図3に示すように、画像処理部としてのプリンタ画像処理ロジック部204と、位相シフト処理部207と、5個のIOセルFF(Flip Flop)206206K1〜Yと、5個のシフトレジスタクロック生成部205K1〜Yとを備えている。
【0031】
位相シフト処理部207は、クロック1を入力し、クロック1の位相を180°ずらしてクロック2を生成し出力する。位相シフト部207は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)を用いる方法(一般的にPLLの機能の一部として位相シフト機能が含まれている)、信号遅延素子を複数個直列に接続して実現する方法、バッファを多段に接続して実現する方法等により、位相シフト処理を実現する。本実施の形態では、位相シフト処理の実現方法については、上記の方法のいずれかで行う他、任意の手法で実現することが可能である。
【0032】
プリンタ画像処理ロジック部204は、クロック1を入力し、メモリコントローラ102から転送されてきた画像データを記録ヘッド(2つのモノクロヘッド118,119,3つのカラーヘッド120)ごとの画像データに展開して振り分け、クロック1に同期して、展開された各色用の印字データを出力する。
【0033】
5個のIOセルFF206K1〜Y(以下、特に区別しない場合には、単に「IOセルFF206」という。)は、プリンタ画像処理ロジック部204から出力される記録ヘッド118,119,120ごとの印字データとクロック1とクロック2を入力する。そして、クロック1またはクロック2に同期して、各印字データをラッチしてヘッドリレー基板117に出力するフリップフロップである。
【0034】
5個のIOセルFF206は、5個の記録ヘッド118,119,120のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、IOセルFF(K1)206K1は、モノクロヘッド(K1)118に対応し、IOセルFF(K2)206K2は、モノクロヘッド(K2)119に対応し、IOセルFF(M)206Mはマゼンタのカラーヘッド(M)に対応し、IOセルFF(C)206Cはシアンのカラーヘッド(C)に対応し、IOセルFF(Y)206Yはイエローのカラーヘッド(Y)に対応している。そして、5個のIOセルFF206K1〜Yは、それぞれ第2信号線でヘッドリレー基板117と接続されている。より具体的には、5個の第2信号線は、記録ヘッド118,119,120の図3に示す配置順序で、IOセルFF206K1〜Yに接続されている。
【0035】
また、IOセルFF206のうち、IOセルFF(K1)206K1、IOセルFF(M)206M、IOセルFF(C)206Cは、それぞれ第3信号線で水晶発振器201と接続されており、第3信号線を介してクロック1を入力する。そして、IOセルFF(K1)206K1、IOセルFF(M)206M、IOセルFF(C)206Cは、クロック1に同期して、モノクロヘッド118用の印字データ、マゼンタのカラーヘッド(M)用の印字データ、シアンのカラーヘッド(C)用の印字データをそれぞれヘッドリレー基板117に出力する。
【0036】
また、IOセルFF206のうち、IOセルFF(K2)206K2、IOセルFF(Y)206Yは、それぞれ第2信号線で位相シフト処理部207と接続されており、第4信号線を介してクロック1と180°位相がシフトされたクロック2を入力する。そして、IOセルFF(K2)206K2、IOセルFF(Y)206Yは、クロック2に同期して、モノクロヘッド119、イエローのカラーヘッド(Y)用の印字データをそれぞれヘッドリレー基板117に出力する。
【0037】
すなわち、モノクロヘッド(K1)118、マゼンタのカラーヘッド(M)、シアンのカラーヘッド(C)120のそれぞれに対する印字データがIOセルFF206で同期化される際に使用されるクロック信号は、位相シフト処理されていないクロック1であり、モノクロヘッド(K2)119、イエローのカラーヘッド(Y)120に対する印字データが同期化されるクロック信号は、位相シフト処理部207でクロック1を180°位相シフトしたクロック2である。
【0038】
5個のシフトレジスタクロック生成部205K1,205K2,205M,205C,205Y(以下、区別する必要のない場合には、単に「シフトレジスタクロック生成部205」という。)は、印字データに付加するクロック信号を生成する。生成されるクロック信号は、生成元のクロック1あるいはクロック2を、印字データの転送に必要な数の分だけをゲートしたものであり、クロック1あるいはクロック2と同位相である。
【0039】
5個のシフトレジスタクロック生成部205は、5個の記録ヘッド118,119,120のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、シフトレジスタクロック生成部(K1)205K1は、モノクロヘッド(K1)118に対応し、シフトレジスタクロック生成部(K2)205K2は、モノクロヘッド(K2)119に対応し、シフトレジスタクロック生成部(M)205Mはマゼンタのカラーヘッド(M)に対応し、シフトレジスタクロック生成部(C)205Cはシアンのカラーヘッド(C)に対応し、シフトレジスタクロック生成部(Y)205Yはイエローのカラーヘッド(Y)に対応している。そして、5個のシフトレジスタクロック生成部205K1〜Yは、それぞれ第1信号線でヘッドリレー基板117と接続されている。より具体的には、5個の第1信号線は、記録ヘッド118,119,120の図3に示す配置順序で、シフトレジスタクロック生成部205K1〜Yに接続されている。
【0040】
そして、シフトレジスタクロック生成部(K1)205K1、シフトレジスタクロック生成部(M)205M、シフトレジスタクロック生成部(C)205Cは、それぞれクロック1を入力し、クロック1を、それぞれ、モノクロヘッド(K1)118用の用印字データ、カラーヘッド(M)用の印字データ、カラーヘッド(C)用の印字データの各転送に必要な数の分だけをゲートし、第1信号線を介してヘッドリレー基板117に転送する。
【0041】
また、シフトレジスタクロック生成部(K2)205K2、シフトレジスタクロック生成部(Y)205Yは、それぞれクロック1の位相を180°シフトしたクロック2を入力し、クロック2を、それぞれ、モノクロヘッド(K2)119用の印字データ、カラーヘッド(Y)用の印字データの各転送に必要な数の分だけをゲートし、第1信号線を介してヘッドリレー基板117に転送する。
【0042】
すなわち、印字データの同期化のためのクロックと同様に、モノクロヘッド(K1)118、カラーヘッド(M)、カラーヘッド(C)用の印字データに付加するクロックは、位相シフト処理されていないクロック1から生成され、モノクロヘッド2(K2)、イエローヘッド(Y)用の印字データに付加するクロックはクロック2から生成され、各第1信号線を介してヘッドリレー基板117に転送される。
【0043】
ここで、1本のFFC111は、上記5本の第1信号線、上記5本の第2信号線をそれぞれ平行に配線して含んでいる。このときのFFC111の信号アサインは、モノクロヘッド(K1)118用の第1信号線、モノクロヘッド(K2)119用の第1信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第1信号線で3本の組(第1グループ)で隣接させる。また、シアンのカラーヘッド(C)用の第1信号線、イエローのカラーヘッド(Y)用の第1信号線を2本の組(第2グループ)で隣接させる。
【0044】
すなわち、モノクロヘッド(K1)118、モノクロヘッド(K2)119、マゼンタのカラーヘッド(M)に対応する第1信号線の3本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板117の隣接した端子にアサインする。また、シアンのカラーヘッド(C)、イエロー用のパラ−ヘッド(Y)に対応する第1信号線の2本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板117の隣接した端子にアサインする。ここで、隣接とは、複数のクロック信号をFFC111の番線が連続するようにアサインする意である。
【0045】
そして、上述したとおり、3本の組において、モノクロヘッド(K1)118用の第1信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第1信号線を介して、位相シフトされていないクロック1が転送され、モノクロヘッド(K2)119用の第1信号線を介して、位相シフトされたクロック2が転送される。
【0046】
また、2本の組において、シアンのカラーヘッド(C)用の第1信号線を介して、位相シフトされていないクロック1が転送され、イエローのカラーヘッド(Y)用の第1信号線を介して位相シフトされたクロック2が転送される。
【0047】
このため、3本の組、2本の組のそれぞれにおいて、互いの第1信号線を介して転送されるクロック信号から発生している放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果が生じる。このため、基本波及び外部輻射電磁波が低減することによって、FFC111から発生する電磁波ノイズを低減することができる。
【0048】
第3信号線のアサインについても、モノクロヘッド(K1)118用の第3信号線、モノクロヘッド(K2)119用の第4信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第3信号線で3本の組(ペア)で隣接させる。また、シアンのカラーヘッド(C)用の第3信号線、イエローのカラーヘッド(Y)用の第4信号線を2本の組(ペア)で隣接させる。
【0049】
そして、上述したとおり、3本の組において、モノクロヘッド(K1)118用の第3信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第3信号線を介して、位相シフトされていないクロック1が転送され、モノクロヘッド(K2)119用の第4信号線を介して、位相シフトされたクロック2が転送される。
【0050】
また、2本の組において、シアンのカラーヘッド(C)用の第3信号線を介して、位相シフトされていないクロック1が転送され、イエローのカラーヘッド(Y)用の第4信号線を介して位相シフトされたクロック2が転送される。
【0051】
このため、3本の組、2本の組のそれぞれにおいて、互いの第3信号線を介して転送されるクロック信号から発生している放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果が生じる。このため、基本波及び外部輻射電磁波が低減することによって、プリンタ制御基板200から発生する電磁波ノイズを低減することができる。
【0052】
ヘッドリレー基板117に入力された各ヘッドの印字データ及びクロック信号は、各記録ヘッド118,119,120へとそれぞれに振り分けられて転送される。
【0053】
このように本実施の形態では、第1信号線、第3信号線および第4信号線を3本の組(第1グループ)もしくは2本の組(第2グループ)で隣接するようにアサインし、これら3本の組、2本の組のうち1本の信号線を介して転送されるクロック2が、隣接する他の信号線を介して転送されるクロック1を180°位相シフトさせたものとすることで、互いのクロック信号から発生している放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合いにより、FFC111やプリンタ制御基板200からの電磁波ノイズ発生を低減することができる。
【0054】
なお、3本の組の第1信号線のクロック信号(モノクロヘッドK1、モノクロヘッドK2、マゼンタのカラーヘッド)を隣接してアサインする際には、180°位相シフトされているクロック2が転送されるモノクロヘッドK2用の第1信号線を、位相シフトされていないクロック1が転送されるモノクロヘッドK1、マゼンタのカラーヘッド(M)に対応した第1信号線を挟むように真中にアサインすることが、電磁波ノイズ低減効果には好適である。
【0055】
(変形例1)
記録ヘッド部112へ出力するクロック信号は、印字データの転送期間中のみ出力する必要があり、記録ヘッド118,119,120が決められたノズル数分の印字データをラッチするための立ち上がりエッジが必要となる。この立ち上がりエッジは、印字データ数より少なくても、多くても、正しく記録ヘッド部112へデータを転送することができなくなる。
【0056】
180°の位相差が生じているクロック1,クロック2同士は互いの放射電磁界の電磁界成分を打ち消し合うが、いずれか一方が出力していない場合には、電磁界成分の打ち消し合いは期待できなくなる。
【0057】
図4は、実施の形態1の変形例1におけるシフトレジスタクロック出力のタイミングチャートである。このため、本変形例では、シフトレジスタクロック生成部205によって、印字データのタイミングを、図4に示すように、各記録ヘッドで、できる限り重複した期間を設けるように制御する。これにより、電磁界成分の打ち消し合い効果は最大となり、さらなる電磁波ノイズの発生を低減することができる。
【0058】
(変形例2)
印字データを、変形例1のタイミングでIOセルFF206から記録ヘッド部120に転送した場合、各記録ヘッド118,119,120は同時のタイミングで印字データを受信する必要がある。各記録ヘッド118,119,120で、インクの吐出タイミングが同時であれば問題ないが、画質向上のために、各記録ヘッド118,119,120で吐出タイミングをずらしている場合がある。タイミングのずれが必要な場合、インク吐出のタイミングまでに印字データの転送が終了していることが必要なため、印字データ転送もそれぞれの記録ヘッドに合わせて時間のずれが必要な場合が生じる。
【0059】
このため、本変形例では、図5に示すように、プリンタ画像処理ロジック部504から各IOセルFF206に対してラッチ信号(LATCH)を送出することにより、印字データ及びラッチ信号を各記録ヘッド118,119,120のインク吐出タイミングに合わせて時間のずれを生じさせて、クロック信号(クロック1、クロック2)を常時出力できるように構成している。
【0060】
図6は、実施の形態1の変形例2のクロック信号(シフトレジスタクロックからの出力)とラッチ信号の出力のタイミングチャートである。図6に示すように、クロック信号を常時出力することで、180°の位相差のクロック1,クロック2同士は常時に放射電磁界の電磁界成分を打ち消し合って、FFC111から発生する電磁波ノイズをより低減することができる。
【0061】
(変形例3)
図7は、実施の形態1の変形例3のプリンタ制御基板700とヘッドリレー基板717とを接続する第1信号線、第2信号線の配線図である。本変形例では、実施の形態1と同様に、モノクロヘッド(K1)118用の第1信号線、モノクロヘッドK2用の第1信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第1信号線を3本の組とし、モノクロヘッドK2用の第1信号線を介して転送されるクロック信号をクロック2としている。また、シアンのカラーヘッド(C)用の第1信号線、イエローのカラーヘッド(Y)用の第1信号線を2本の組とし、イエローのカラーヘッド(Y)用の第1信号線を介して転送されるクロック信号をクロック2としている。
【0062】
本変形例では、図7に示すように、プリンタ制御基板700、ヘッドリレー基板717のそれぞれのコネクタと端子の間で、モノクロヘッド(K1)118、モノクロヘッド(K2)119、マゼンタのカラーヘッド(M)のそれぞれに対応する第1信号線を3本の組として両端を挟むようグランドパターンを配回し接地する。また、プリンタ制御基板700、ヘッドリレー基板717のそれぞれのコネクタと端子の間で、シアンのカラーヘッド(C)、イエローのカラーヘッド(Y)のそれぞれに対応する第1信号線を2本の組として両端を挟むようグランドパターンを配回し接地する。
【0063】
これにより、FFC111内の第1信号線を伝搬するクロック1,クロック2の放射電磁界に対するシールド効果が向上し、FFC111から発生する電磁波ノイズを抑制することができる。
【0064】
(変形例4)
図8は、実施の形態1の変形例4のプリンタ制御基板700とヘッドリレー基板717とを接続する第1信号線、第2信号線の配線図である。
【0065】
本変形例では、図8に示すように、FFC111の信号アサインにおいて、3本の組の第1信号線及び2本の組の第1信号線のそれぞれにおいて、プリンタ制御基板700の記録ヘッド制御ASIC204の出力端子からヘッドリレー基板717のヘッドドライバ入力端子までの転送経路上で、ヘッドリレー基板717側に終端抵抗820を設けている。
【0066】
終端抵抗820を設けることによって、FFC111の伝送経路のインピーダンスが安定し、さらにクロック信号の不要反射を防ぐことが可能となり、各クロック信号から発生する放射電磁界のレベルが安定する。これにより、放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果も向上し、FFC111から発生する電磁波ノイズをより抑制することができる。
【0067】
また、本変形例では、終端抵抗820の抵抗値をそれぞれ異なった値に設定している。これにより、放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果を向上させ、FFC111から発生する電磁波ノイズを、さらに抑制することができる。
【0068】
この場合、終端抵抗820の抵抗値を、FFC111の長さ、配回し場所、プリンタ制御基板700、ヘッドリレー基板717のパターン長さ等の条件によって変更するように構成すればよい。例えば、オーバーシュート、アンダーシュートが多い場合や、不要反射が多いような場合は、終端抵抗820の抵抗値を高い値に設定することにより、オーバーシュート、アンダーシュート、不要反射を除去することができ、これによって、クロック信号から輻射される放射電磁界は安定したレベルとなり、放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果を向上させ、FFC111から発生する電磁波ノイズを、さらに抑制することができる。
【0069】
また、3本の組の第1信号線にアサインされているクロック信号においては、そのうちの2本は第1信号線にアサインされているクロック信号(クロック1)は同位相であり、残り1本の第1信号線にアサインされているクロック信号(クロック2)は、クロック1と180°位相がシフトされている。これら3本の第1信号線のクロック信号から発生する放射電磁界の電磁界成分を打ち消し合わせる効果を最大限にするためには、同位相の2本の第1信号線にアサインされたクロック1から発生する放射電磁界と、180°の位相差のクロック2からの発生する放射電磁界を同じレベルにすることが必要がある。
【0070】
このため、本変形例では、各終端抵抗820の抵抗値を、同位相のクロック1がアサインされた2本の第1信号線の終端抵抗820の抵抗値に対して、クロック2がアサインされた1本の第1信号線の終端抵抗820の抵抗値を1/2に構成する。例えば、本変形例において、モノクロヘッド(K1)118、マゼンタのカラーヘッド(M)に対応する第1信号線の終端抵抗820の抵抗値を1KΩにし、、モノクロヘッド(K2)119に対応する第1信号線の終端抵抗820の抵抗値を500Ωに構成すればよい。
【0071】
このように、各記録ヘッド118,119,120に対応する第1信号線の終端抵抗の抵抗値を異なる値とすることにより、各クロック信号の外部輻射電磁波の打ち消し合い効果を最大限に向上させることができ、FFC111から発生する電磁波ノイズの低減効果をさらに向上させることができる。
【0072】
さらに、本変形例では、プリンタ制御基板700及びヘッドリレー基板717のPCBパターンに放射電磁界をシールドするためのグランドパターンを設けている。すなわち、図8に示すように、プリンタ制御基板700、ヘッドリレー基板717のそれぞれのコネクタと端子の間で、モノクロヘッド(K1)118、モノクロヘッド(K2)119、マゼンタのカラーヘッド(M)のそれぞれに対応する第1信号線を3本の組として両端を挟むようグランドパターンを配回し接地する。また、プリンタ制御基板700、ヘッドリレー基板717のそれぞれのコネクタと端子の間で、シアンのカラーヘッド(C)、イエローのカラーヘッド(Y)のそれぞれに対応する第1信号線を2本の組として両端を挟むようグランドパターンを配回し接地する。
【0073】
これにより、変形例3と同様に、グランドシールド効果がさらに向上し、FFC111から発生する電磁波ノイズのさらなる低減を図ることができる。
【0074】
また、本変形例では、実施の形態1と同様に、モノクロヘッド(K1)118、モノクロヘッド(K2)119、マゼンタのカラーヘッド(M)に対応する第1信号線の3本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板717の隣接した端子にアサインする。また、シアンのカラーヘッド(C)、イエロー用のパラ−ヘッド(Y)に対応する第1信号線の2本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板717の隣接した端子にアサインする。
【0075】
これによって、各クロック信号のPWBパターンの隣接距離を接近させることが容易となり、また、等長配線も容易となるため、さらにグランドパターンによるシールド効果が向上し、FFC111から発生する電磁波ノイズのさらなる低減を図ることができる。
【0076】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2のプリンタ制御基板を主とした機能的構成を示すブロック図である。プリンタ制御基板900は、図9に示すように、水晶発振器201と、CPU209と、記録ヘッド制御ASIC910とを備えている。ここで、水晶発振器201と、CPU209の機能、構成については実施の形態1と同様である。
【0077】
記録ヘッド制御ASIC910は、記録ヘッド部112を制御する回路である。記録ヘッド制御ASICは、図3に示すように、画像処理部としてのプリンタ画像処理ロジック部204と、PLL回路208と、2つの位相シフト処理部207a,207bと、5個のIOセルFF206K1〜Yと、5個のシフトレジスタクロック生成部205K1〜Yとを備えている。
【0078】
ここで、プリンタ画像処理ロジック部204と、IOセルFF206、シフトレジスタクロック生成部205の機能および構成は、実施の形態1と同様である。
【0079】
水晶発振器201で生成されたクロック1は、プリンタ画像処理ロジック部204と、IOセルFF(K1)206K1と、IOセルFF(M)206Mと、シフトレジスタクロック生成部(K1)205K1と、シフトレジスタクロック生成部(M)205Mと、位相シフト処理部207aと、PLL208に出力される。
【0080】
PLL回路208(以下、「PLL208」という。)は、リファレンスクロックとしてクロック1を入力して、クロック1の周波数を逓倍した周波数で同期発振してクロック3を出力する。周波数逓倍されたクロック3は、位相シフト処理部207bとIOセルFF(C)206Cとシフトレジスタクロック生成部(C)205Cとに入力される。
【0081】
位相シフト処理部207aは、クロック1を入力し、クロック1の位相を180°ずらしてクロック2を生成し、クロック2を、IOセルFF(K2)206K2と、シフトレジスタクロック生成部(K2)205K2に出力する。
【0082】
位相シフト処理部207bは、PLL208からクロック3を入力し、クロック3の位相を180°ずらしてクロック4を生成し、クロック4を、IOセルFF(Y)206Yと、シフトレジスタクロック生成部(Y)205Yに出力する。
【0083】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、モノクロヘッド(K1)118、モノクロヘッド(K2)119、マゼンタのカラーヘッド(M)に対応する第1信号線の3本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板717の隣接した端子にアサインしている。
【0084】
そして、3本の組において、モノクロヘッド(K1)118用の第1信号線、マゼンタのカラーヘッド(M)用の第1信号線を介して、位相シフトされていないクロック1が転送され、モノクロヘッド(K2)119用の第1信号線を介して、位相シフト処理部207aによって、クロック1を180°位相シフトされたクロック2が転送される。第3信号線についても同様である。
【0085】
また、シアンのカラーヘッド(C)、イエロー用のパラ−ヘッド(Y)に対応する第1信号線の2本の組を、記録ヘッド制御ASIC204およびヘッドリレー基板717の隣接した端子にアサインしている。
【0086】
そして、2本の組において、シアンのカラーヘッド(C)用の第1信号線を介して、クロック3が転送され、イエローのカラーヘッド(Y)用の第1信号線を介して、位相シフト処理部207bによってクロック3を180°位相シフトされたクロック4が転送される。第3信号線についても同様である。
【0087】
このため、実施の形態1と同様に、3本の組、2本の組のそれぞれにおいて、互いの第1信号線を介して転送されるクロック信号から発生している放射電磁界の電磁界成分の打ち消し合い効果が生じる。このため、基本波及び外部輻射電磁波が低減することによって、FFC111やプリンタ制御基板900から発生する電磁波ノイズを低減することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、2本の組の第1信号線および第3信号線を介して転送されるクロック3、クロック4のクロック信号周波数を、PLL208により、3本の組の第1信号線および第3信号線を介して転送されるクロック1、クロック2のクロック信号周波数と異ならせることによって、それぞれの組の電磁波ノイズは周波数帯域が異なり、2系統の第1信号線、第3信号線の組で電磁波ノイズが加算されることがなくなる。このため、本実施の形態によれば、FFC111やプリンタ制御基板900から発生する電磁波ノイズのさらなる低減を図ることができる。
【0089】
ここで、2つの組のクロック信号周波数を異ならせるために、PLL208によりクロック1の周波数を逓倍する場合には、出力周波数差が0.12MHz以上となるように構成することができる。電磁波ノイズ強度の規格値(EMC規格値)は、実際の使用での通信機器の帯域幅をもとに定められており、2つの組のクロック信号周波数が、この帯域幅である0.12MHz以上の差があれば、単独の周波数とみなされなくなる、2つの組の周波数帯のクロック信号による電磁波ノイズのスペクトラムが加算されることがなくなり、電磁波ノイズ測定値の低減を図ることができる。
【0090】
上記実施の形態1とその変形例、および実施の形態2では、3本の組の第1信号線と2本の組の第1信号線とを一つのFFC111に配線した構成を例にあげて説明したが、3本の組の第1信号線を単一のFFCに配線し、2本の組の第1信号線を別のFFCに配線して、2つのFFCによりプリンタ制御基板とヘッドリレー基板とを接続するように構成してもよい。この場合には、FFCから発生する電磁波ノイズをさらに低減することが可能となる。
【0091】
上記実施の形態1とその変形例、および実施の形態2では、プリンタ制御基板とヘッドリレー基板をFFC111で接続し、FFC111内で複数の第1信号線、複数の第2信号線を平行に配線して含める構成を例にあげて説明したが、プリンタ制御基板とヘッドリレー基板を接続するケーブルは、平行に配線可能な複数の第1信号線、複数の第2信号線を含むハーネス等であればよく、FFC111に限定されるものではない。
【0092】
また、上記実施の形態では、電気機器として画像形成装置を例にあげて説明したが、画像形成装置以外の電気機器において2つの処理部を信号線を含むケーブルで接続した場合にも上記実施の形態を適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
101 ホストPC
102 メモリコントローラ
103 プリンタインタフェース
105 HDD
106 操作パネル
107 スキャナ
110,510,910 記録ヘッド制御ASIC
111 フレキシブルフラットケーブル(FFC)
112 記録ヘッド部
113 キャリッジ
114 搬送部
115 吸引フィン
116 排紙部
117,717 ヘッドリレー基板
118,119 モノクロヘッド
120 カラーヘッド
121,122,123 ヘッドIF基板
200,500,700,900 プリンタ制御基板
201 水晶発振器
204 プリンタ画像処理ロジック部
205,205K1,205K2,205M,205C,205Y シフトレジスタクロック生成部
206,206K1,206K2,206M,206C,206Y IOセルFF
207,207a,207b 位相シフト処理部
208 PLL
209 CPU
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2000−255109号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字データを印字する複数の記録ヘッドを有する記録部と、
前記複数の記録ヘッドごとに複数の印字データを生成する制御部と、
前記複数の記録ヘッドに対応する複数の第1信号線のそれぞれ、および前記複数の記録ヘッドに対応する複数の第2信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記記録部と前記制御部とを接続する接続ケーブルと、
第1クロック信号を発生するクロック発生器と、を備え、
前記制御部は、
前記第1クロック信号に同期して、入力された印刷対象の画像データを前記複数の印字データに展開する画像処理部と、
前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する位相シフト部と、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の第1信号線を介して前記記録部に転送するクロック転送部と、を備え、
前記複数の記録ヘッドは、前記第1クロック信号または前記第2クロック信号に同期して前記印字データを印字し、
前記複数の第1信号線は、前記複数の記録ヘッドの配置順に対応して隣接して割り当てられ、かつ互いに隣接する複数の第1信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する第1信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録部は、前記複数の第1信号線のそれぞれに対して接続された複数の終端抵抗を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の終端抵抗のそれぞれは、互いに抵抗値が異なることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の第1信号線は、互いに隣接する第1グループの複数の第1信号線と、互いに隣接する第2グループの複数の第1信号線とを有し、前記第1グループの複数の第1信号線と前記第2グループの複数の第1信号線とは、それぞれ、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する第1信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1グループの複数の第1信号線の両側および前記第2グループの複数の第1信号線の両側において、前記クロック転送部側と前記記録部側で接地されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クロック転送部は、前記複数の第1信号線で転送される前記第1クロック信号および前記第2クロック信号を、重複するタイミングで前記記録部に転送することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クロック発振器と接続された複数の第3信号線を介して前記第1クロック信号を入力し、前記位相シフト部と接続された複数の第4信号線を介して前記第2クロック信号を入力し、前記画像処理部から出力された前記複数の印字データを、前記第1クロック信号または前記第2クロック信号と同期して前記記録部に出力する入出力制御部をさらに備え、
前記第3信号線と前記第4信号線は、互いに隣接して前記入力制御部に接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記入出力制御部のそれぞれにラッチ信号を出力し、
前記クロック転送部は、前記複数の第1信号線で転送される前記第1クロック信号および前記第2クロック信号を、前記ラッチ信号に基づいて常時重複するように前記記録部に転送することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1クロック信号を入力して、前記第1クロック信号の周波数を逓倍した周波数で同期発振して第3クロック信号を出力する位相同期回路と、
前記第3クロック信号の位相と180°ずれるように前記第3クロック信号の位相をシフトした第4クロック信号を生成する第2位相シフト部と、をさらに備え、
前記クロック転送部は、さらに、前記第3クロック信号と前記第4クロック信号とを前記複数の第1信号線を介して前記記録部に転送し、
前記複数の第1信号線は、前記第1グループの複数の第1信号線が、それぞれ前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する第1信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線され、前記第2グループの複数の第1信号線が、それぞれ前記第3クロック信号と前記第4クロック信号とを隣接する第1信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記接続ケーブルは、前記第1グループの複数の第1信号線が配線された第1ケーブルと、銭第2グループの複数の第1信号線が配線された第2ケーブルとを有することを特徴とする請求項4〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
第1処理部と、
第2処理部と、
複数の信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記第1処理部と前記第2処理部とを接続する接続ケーブルと、
第1クロック信号を発生するクロック発生器と、を備え、
前記第1処理部は、
前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する位相シフト部と、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の信号線を介して前記第2処理部に転送するクロック転送部と、を備え、
前記複数の信号線は、互いに隣接する複数の信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する信号線で転送するように前記接続ケーブル内で配線されていることを特徴とする電気機器。
【請求項12】
第1処理部と、第2処理部と、複数の信号線のそれぞれが、互いに平行に配線され、前記第1処理部と前記第2処理部とを接続する接続ケーブルと、第1クロック信号を発生するクロック発生器とを備えた電気機器で実行される信号転送方法であって、
前記第1クロック信号の位相と180°ずれるように前記第1クロック信号の位相をシフトした第2クロック信号を生成する生成ステップと、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを、前記複数の信号線を介して前記第2処理部に転送する転送ステップと、を含み、
前記転送ステップは、互いに隣接する複数の信号線が前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを隣接する信号線で転送することを特徴とする信号転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−61772(P2012−61772A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208629(P2010−208629)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】