説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】レイアウトする画像の数毎に装飾図柄のレイアウトを変更したり別途テンプレートを用意したりする必要なしに、画像とその装飾図柄とを適正に形成させる。
【解決手段】複数の写真枠A1〜A5を有する下層の背景画像と、下層の写真枠A1〜A5に相当する部分に各透明領域T1〜T5が予め施された上層のフレーム画像とからなるフレームレイアウトに写真をレイアウトする際、写真がレイアウトされない空白枠が生じる場合には、全面が透明領域の最上位層を作成し、作成した最上位層における下層の空白枠に対応する装飾図柄に相当する範囲に塗りつぶし画像をレイアウトする。これにより、背景画像とフレーム画像と塗りつぶし画像とを重ね合わせたときに、空白枠に対応する装飾図柄だけが塗りつぶし画像によって塗りつぶされたように見せることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の層の画像枠に複数の画像を所定数までレイアウト設定可能で、前記第1の層または該第1の層とは異なる第2の層に前記画像枠毎に対応する各装飾図柄が予めレイアウトされ、複数の層を重ねることにより画像の形成が可能な画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、画像とこれを装飾する装飾図柄とを一体的に合成した合成画像を複数のレイヤーの重ね合わせにより作成するものが提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。この装置では、重ね合わせのレイヤーとして、指定された領域が透明化された透明領域(嵌込領域)と装飾図柄が施された装飾領域とからなる装飾レイヤーと、装飾レイヤーの下層に設けられ上層の透明領域に相当する範囲に装飾図柄と同一および連続の図柄(隠蔽領域)を配置した補助レイヤーと、を備え、装飾レイヤーと補助レイヤーとの間で且つ上層の嵌込領域(透明領域)に相当する位置に画像を嵌め込むことにより、各レイヤーを重ね合わせた際に装飾レイヤー(装飾図柄)と補助レイヤー(隠蔽領域)と画像とが一体的となった合成画像を得る。このとき、補助レイヤーに装飾図柄と同じ図柄の隠蔽領域を設けているから、装飾レイヤーの嵌込領域のサイズが画像のサイズよりも大きく余白が生じる場合でも、余白部分は隠蔽領域により装飾図柄と同じ図柄となって隠蔽され、より自然な画像を表示することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−107327号公報
【特許文献2】特開2006−113742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の画像を複数の画像枠にレイアウトし、各画像毎に個別に装飾図柄を割り当てて表示する場合、用意するテンプレートをできる限り少なくするために、全ての画像枠に対して予め装飾図柄が割り当てられた装飾画像テンプレートを一つだけ用意することが考えられる。しかしながら、この場合、レイアウトすべき画像の数が画像枠の数よりも少なく、各画像枠のうち画像がレイアウトされない空白枠が生じると、空白枠に対しても装飾図柄が割り当てられてしまうから、不自然な画像となってしまう。
【0005】
本発明の画像形成装置およびその制御方法は、レイアウト設定する画像の数毎に装飾図柄のレイアウトを変更したり別途テンプレートを用意したりする必要なしに、画像とその装飾図柄とを適正に形成させることを主目的とする。
【0006】
本発明の画像形成装置およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、
第1の層の画像枠に複数の画像を所定数までレイアウト設定可能で、前記第1の層または該第1の層とは異なる第2の層に前記画像枠毎に対応する各装飾図柄が予めレイアウトされ、複数の層を重ねることにより画像の形成が可能な画像形成装置であって、
形成する画像を複数取得可能な画像取得手段と、
前記取得した数の画像を前記第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、前記各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には前記第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に該第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定するレイアウト設定手段と、
前記レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する画像形成手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像形成装置では、形成する画像を複数取得し、取得した数の画像を第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に第3の層における下層の空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定し、レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する。これにより、複数の層が重ねて形成された際に、画像がレイアウト設定されなかった空白枠に対応する装飾図柄が形成されないようにすることができる。この結果、レイアウト設定する画像の数毎に装飾図柄のレイアウトを変更したり別途テンプレートを用意したりする必要なしに、画像とその装飾図柄とを適正に形成させることができる。
【0009】
こうした本発明の画像形成装置において、前記第2の層は、前記第1の層よりも上層で、前記装飾図柄として下層である前記第1の層の画像枠に相当する部分が視認可能に該画像枠毎に対応する透明領域が設定されたフレーム画像がレイアウトされた層であり、前記レイアウト設定手段は、前記第3の層における下層の前記空白枠に対応する透明領域に相当する部分に、前記フレーム画像の背景と同色および同模様の前記塗りつぶし用画像をレイアウト設定する手段であるものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記第1の層は、背景画像に前記所定数の画像枠と該画像枠毎に対応する前記装飾図柄とがレイアウト設定された層であり、前記レイアウト設定手段は、前記第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に、前記背景画像と同色および同模様の前記塗りつぶし用画像をレイアウト設定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
本発明の画像形成装置の制御方法は、
第1の層の画像枠に複数の画像を所定数までレイアウト設定可能で、前記第1の層または該第1の層とは異なる第2の層に前記画像枠毎に対応する各装飾図柄が予めレイアウトされ、複数の層を重ねることにより画像の形成が可能な画像形成装置を制御する画像形成装置の制御方法であって、
(a)形成する画像を複数取得し、
(b)前記取得した数の画像を前記第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、前記各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には前記第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に該第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定し、
(c)前記レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する
ことを要旨とする。
【0012】
この本発明の画像形成装置の制御方法によれば、形成する画像を複数取得し、取得した数の画像を第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に第3の層における下層の空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定し、レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する。これにより、複数の層が重ねて形成された際に、画像がレイアウト設定されなかった空白枠に対応する装飾図柄が形成されないようにすることができる。この結果、レイアウト設定する画像の数毎に装飾図柄のレイアウトを変更したり別途テンプレートを用意したりする必要なしに、画像とその装飾図柄とを適正に形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態であるプリンター20の外観を示す外観斜視図。
【図2】本実施形態のプリンター20の機能ブロックを示すブロック図。
【図3】トップメニュー画面70の一例を示す説明図。
【図4】レイアウトの一例を示す説明図。
【図5】レイアウト印刷処理の一例を示すフローチャート。
【図6】ギャラリーレイアウトにおける各層の合成結果の一例を示す説明図。
【図7】ギャラリーレイアウトの構成の一例を示す説明図。
【図8】塗りつぶし画像をレイアウトしなかった場合の出力結果を示す説明図。
【図9】フレームレイアウトにおける各層の合成結果の一例を示す説明図。
【図10】フレームレイアウトの構成の一例を示す説明図。
【図11】塗りつぶし画像をレイアウトしなかった場合の出力結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンター20の外観を示す外観斜視図であり、図2は、本実施形態のプリンター20の機能ブロックを示すブロック図である。
【0015】
本実施形態のプリンター20は、印刷機構40(図2参照)を内蔵しL版サイズの用紙に印刷を行なうフォトプリンターとして構成されており、その外観としては、図1に示すように、本体21の上面には本体21を持ち運ぶための取っ手22が、本体21の背面にはセットした用紙を自動給紙するオートシートフィーダー23が、本体21の側面には電源をオンオフするための電源ボタン26が、それぞれ設けられている。また、本体21の前面には、印刷機構40により印刷された用紙を保持する排紙トレイ24と、写真や印刷時の設定を確認するための液晶ディスプレイ(LCD)25と、排紙トレイ24に隣接した位置の赤外線通信ポート28とが設けられている。赤外線通信ポート28は、受光部が内蔵されており、リモートコントロール装置30の発光部30aからの発光を受光することにより、リモートコントロール装置30のボタン操作によってプリンター20を遠隔操作できるようになっている。なお、リモートコントロール装置30は、プリンター20を遠隔操作するためのボタン類として、電源をオンオフするための電源ボタン31と、印刷中に押されると印刷を中止し写真選択画面で押されると印刷枚数や写真の選択を解除するストップ/設定クリアボタン32と、トップメニュー画面を表示するためのトップメニューボタン33と、印刷枚数を設定するための印刷枚数設定ボタン(印刷枚数を1枚ずつ増やすプラスボタンおよび印刷枚数を1枚ずつ減らすマイナスボタン)34と、項目や設定値を選択するための上下左右ボタン35と、項目を決定したり次の画面に進むためのOKボタン36と、一つ前の画面に戻る戻るボタン37と、印刷を開始する印刷ボタン38と、設定画面を表示する設定ボタン39などを備える。
【0016】
印刷機構40は、図2に示すように、左右方向(主走査方向)にループ状に架け渡されたキャリッジベルト43により駆動されガイド42に沿って左右に往復するキャリッジ41と、キャリッジ41にシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の各色のインクを供給するインクカートリッジ44と、各インクカートリッジ44から供給された各インクに圧力をかけてノズルから用紙Sに向けてインクを吐出する印刷ヘッド45と、副走査方向に用紙Sを搬送する搬送ローラー46とを備える。インクカートリッジ44は、印刷機構40の下方に取り付けられており、インクカートリッジ44がキャリッジ41上に搭載されていない、いわゆるオフキャリッジタイプである。印刷ヘッド45は、ここでは圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
【0017】
LCD25は、LCDコントローラー54による表示制御を受けて文字や図形,記号などを表示する液晶ディスプレイである。LCD25は、本実施形態では、960ドット×240ドットの画素により構成されている。
【0018】
また、本実施形態のプリンター20は、その制御系としては、図2に示すように、プリンター全体の制御を司るメインコントローラー60と、印刷機構40を制御するプリンターASIC48と、赤外線通信ポート28を介して入力した赤外線信号を操作信号として処理する赤外線通信コントローラー52と、LCD25を表示制御するLCDコントローラー54と、メモリーカードスロット56に挿入されたメモリーカードMCに対するデータの書き込みや読み出しを制御するメモリーカードコントローラー58と、を備え、これらはバス59を介して互いに電気的に接続されている。
【0019】
メインコントローラー60は、CPU61を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶するROM62と、一時的にデータを記憶するRAM63と、書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリー64と、電源ボタン26からの操作信号を入力するインターフェース65(I/F)とを備える。このメインコントローラー60は、メモリーカードスロット56に挿入されたメモリーカードMCから画像ファイルなどを入力したり、赤外線通信コントローラー52からの操作信号や印刷機構40の各部からの検出信号などを入力したりする。また、メインコントローラー60は、メモリーカードMCに編集画像などを保存したり、プリンターASIC48への指令信号やLCDコントローラー54への制御信号を出力したりする。
【0020】
こうして構成された本実施形態のプリンター20では、トップメニューボタン33が押されると、トップメニュー画面を表示して各種項目の選択を受け付ける。図3にトップメニュー画面70の一例を示す。トップメニュー画面70では、本実施形態では、図示するように、メモリーカードMCやフラッシュメモリー64に記憶されている画像データを順次再生するための「スライドショー」や写真を印刷するための「写真の印刷」,写真を所望の形にトリミングして印刷するトリミング印刷や写真を多面レイアウトで印刷するレイアウト印刷,写真にフレームを付けて印刷するフレーム印刷などを行なうための「いろいろな印刷」,メモリーカードMC内のデータをフラッシュメモリー64にバックアップするための「データ管理」の項目がある。ユーザーは、これらの項目のいずれかを上下左右ボタン35により選択し、OKボタン36を押すことにより決定することができる。
【0021】
トップメニュー画面70でユーザーにより「いろいろな印刷」が選択された後に更に「レイアウト印刷」が選択されると、写真選択画面によりメモリーカードMCに記憶されている写真の中から印刷する写真の選択を受け付けると共にレイアウト選択画面により写真のレイアウトの選択を受け付け、レイアウトと写真とが選択されると続く設定画面により選択された写真の印刷枚数や用紙サイズ,用紙種類,フチ/日付の設定を受け付け、各設定項目が選択されるとプレビュー画面を表示して印刷ボタン38が押されるのを待つ。印刷ボタン38が押されると、選択された写真(圧縮画像ファイル)を読み出して解凍し、解凍後のRGBデータをリサイズしてCMYKデータに色変換し、色変換後のCMYKデータにハーフトーン処理を施すことにより2値化して印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷機構40を制御することにより印刷を実行する。図4に、レイアウト印刷に用いられるレイアウトの一例を示す。図4(a)のレイアウトでは、黒色で無地の背景画像(ALB0x003.png)に横方向に並んだ3つの写真枠A1〜A3が割り当てられており、各写真枠A1〜A3の上には照明IL1〜IL3が、各写真枠A1〜A3の下には照明IL1〜IL3や写真枠(フレーム)の影S1〜S3がそれぞれレイアウトされたギャラリーレイアウトである。このギャラリーレイアウトでは、照明IL1〜IL3や影S1〜S3は背景画像に予めレイアウトされたものを用いるものとした。図4(b)のレイアウトでは、黒色で無地の背景画像(ALB0x005.png)に横方向に並んだ5つの写真枠A1〜A5が割り当てられており、背景画像の上層の各写真枠A1〜A5に相当する位置に5つの円形の透明領域T1〜T5が予めレイアウトされた白色で無地のフレーム画像を備えるフレームレイアウトである。以下、ギャラリーレイアウトにおける照明IL1〜IL3や影S1〜S3,フレームレイアウトにおける透明領域T1〜T5を総称して装飾図柄と呼ぶこともある。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、レイアウト印刷が指示されたときの動作について説明する。図5は、レイアウト印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーによりレイアウト印刷が指示されたときに実行される。なお、レイアウト印刷の指示は、前述したように、トップメニュー画面70で「いろいろな印刷」を選択した後に、更に「レイアウト印刷」を選択することにより行なうことができる。
【0023】
レイアウト印刷処理ルーチンが実行されると、メインコントローラー60のCPU61は、まず、印刷する写真を選択すると共に(ステップS100)、写真を印刷するためのレイアウトを選択する処理を実行する(ステップS110)。ここで、写真の選択は、図示しない写真選択画面によりユーザーが1つずつ写真を選択することにより行なうものとしたり、ユーザーが撮影日付などの検索条件を指定することにより検索条件が一致する写真を自動選択することにより行なうことができる。また、レイアウトの選択は、図示しないレイアウト選択画面を用いて、前述したギャラリーレイアウトやフレームレイアウトなどを含む予め用意された複数のレイアウトの中から一つをユーザーが選択することにより行なうことができる。
【0024】
こうして印刷するレイアウトと写真が選択されると、選択された写真を選択されたレイアウトの写真枠にレイアウトする(ステップS120)。そして、選択されたレイアウトの写真枠のいずれかに空白が生じたか否かを判定する(ステップS130)。写真枠に空白が生じたか否かの判定は、選択された写真の数が選択されたレイアウトの写真枠の数よりも少ないか否かを判定することにより行なわれる。例えば、3枚分の写真枠A1〜A3を有する図4(a)のギャラリーレイアウトが選択されている場合には、選択された写真が2枚以下のときに空白が生じ、5枚分の写真枠A1〜A5を有する図4(b)のフレームレイアウトが選択されている場合には、選択された写真が4枚以下のときに空白が生じる。
【0025】
一方、写真枠に空白が生じると判定されると、全面が透明領域の最上位層を作成し(ステップS140)、作成した最上位層における空白枠に対応する装飾図柄に相当する範囲に塗りつぶし画像をレイアウトする(ステップS150)。これにより、各層を下層から重ね合わせたときに、各写真枠に対応する下層の装飾図柄のうち空白枠に対応する装飾図柄だけが塗りつぶし画像によって塗りつぶされることになる。
【0026】
こうしてステップS150で最上位層に塗りつぶし画像をレイアウトしたり、ステップS130でレイアウトに空白枠がないと判定されると、各層の重ね合わせにより画像を合成し(ステップS160)、合成した画像のプレビュー画像を作成すると共に作成したプレビュー画像をLCD25に出力して印刷ボタン38が押されるのを待つ(ステップS170,S180)。印刷ボタン38が押されると、印刷処理を実行して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。
【0027】
いま、ユーザーによって図4(a)に示すギャラリーレイアウトが選択されると共に2枚の写真が選択され、写真枠A2,A3に写真がレイアウトされて写真枠A1が空白となっている場合を考える。この場合、前述したように、キャラリーレイアウトの背景画像(ALB0x003.png)は黒色で無地の画像としていることから、これと同じ黒色で無地の画像を塗りつぶし画像として用いて最上位層の写真枠A1の照明IL1と影S1とを覆う範囲にレイアウトする(図6,図7参照)。これにより、予め照明IL1〜IL3と影S1〜S3がレイアウトされた背景画像と、背景画像よりも上位の層にレイアウトされた塗りつぶし画像とが重ね合わせされた合成画像は、照明IL1〜IL3と影S1〜S3のうち照明IL1と影S1だけが背景画像の背景色で塗りつぶされて見えなくなる。なお、塗りつぶし画像をレイアウトしない場合には、図8に示すように、写真がない写真枠に対しても照明と影が表われるため、不自然な画像となることがわかる。
【0028】
次に、ユーザーによって図4(b)に示すフレームレイアウトが選択されると共に写真枠A2〜A4に写真がレイアウトされて写真枠A1,A5が空白となっている場合を考える。この場合、前述したように、フレームレイアウトの背景画像(ALB0x005.png)はその上位層にあるフレーム画像によって隠されると共にフレーム画像が白色で無地の画像としていることから、フレーム画像の背景と同じ白色で無地の画像を塗りつぶし画像として用いて最上位層の写真枠A1の透明領域T1と写真枠A5の透明領域T5とを覆う範囲にレイアウトする(図9,図10参照)。これにより、背景画像と背景画像よりも上層で予め透明領域T1〜T5がレイアウトされたフレーム画像とフレーム画像よりも上層にレイアウトされた塗りつぶし画像とが重ね合わせされた合成画像は、透明領域T1〜T5のうち透明領域T1,T5の2つだけがフレーム画像の背景色で塗りつぶされて見えなくなる。なお、塗りつぶし画像をレイアウトしない場合には、図11に示すように、写真がない写真枠に対しても透明領域が表われ、その下層の背景画像が見えるため、不自然な画像となることがわかる。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のメモリーカードコントローラー58や図5のレイアウト印刷処理ルーチンのステップS100の処理を実行するメインコントローラー60が本発明の「画像取得手段」に相当し、レイアウト印刷処理ルーチンのステップS110〜S150の処理を実行するメインコントローラー60が本発明の「レイアウト設定手段」に相当し、レイアウト印刷処理ルーチンのステップS160〜S190の処理を実行するメインコントローラー60が「画像形成手段」に相当する。また、ギャラリーレイアウトにおける黒色で無地の背景画像(ALB0x003.png)と写真枠A1〜A3と照明IL1〜IL3と影S1〜S3とがレイアウト設定される層が「第1の層」に相当し、第1の層よりも上層で、下層の空白枠の周りに相当する部分に背景画像と同じ黒色で無地の塗りつぶし画像がレイアウト設定される層が「第3の層」に相当する。また、フレームレイアウトにおける背景画像(ALB0x005.png)と写真枠A1〜A5とがレイアウト設定される層が「第1の層」に相当し、第1の層よりも上層で、下層の各写真枠A1〜A5に相当する部分に5つの円形の透明領域T1〜T5を有する白色で無地のフレーム画像がレイアウト設定される層が「第2の層」に相当し、第2の層よりも上層で、下層の空白枠に相当する部分にフレーム画像の背景と同じ白色で無地の塗りつぶし画像がレイアウト設定される層が「第3の層」に相当する。なお、本実施形態では、プリンター20の動作を説明することにより本発明の画像形成装置の制御方法の一例も明らかにしている。
【0030】
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、複数の写真枠が割り当てられると共に写真枠毎に対応する装飾図柄が予め施されたレイアウトの写真枠に写真をレイアウトする際に、写真がレイアウトされない空白枠が生じる場合には、全面が透明領域の最上位層を作成し、作成した最上位層における下層の空白枠に対応する装飾図柄に相当する範囲に塗りつぶし画像をレイアウトするから、各層を下層から重ね合わせたときに、各写真枠に対応する装飾図柄のうち空白枠に対応する装飾図柄だけが塗りつぶし画像によって塗りつぶされたように見せることができる。この結果、レイアウト設定する画像の数毎に装飾図柄のレイアウトを変更したり別途テンプレートを用意したりする必要なしに、画像とその装飾図柄とを適正に形成することができる。
【0031】
上述した実施形態では、図4(a)に示すギャラリーレイアウトの背景画像として黒色で無地の画像を用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、如何なる色で如何なる模様の画像を背景画像として用いるものとしてもよい。この場合、塗りつぶし画像として、背景画像と同じ色で且つ同じ模様の画像を設定するものとすればよい。
【0032】
上述した実施形態では、図4(b)に示すフレームレイアウトのフレーム画像として白色で無地の画像を用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、下層の画像枠に相当する部分が視認可能な透明領域が複数形成されたものであれば、如何なる色で如何なる模様の画像をフレーム画像として用いるものとしてもよい。この場合、塗りつぶし画像として、フレーム画像の背景と同じ色で且つ同じ模様の画像を設定するものとすればよい。
【0033】
上述した実施形態では、図4(a)に示すギャラリーレイアウトでは写真(写真枠A1〜A3)とその装飾図柄(照明IL1〜IL3や影S1〜S3)とを同じ層(背景画像)にレイアウトするものとしたが、これらを異なる層にレイアウトするものとしてもよい。例えば、写真を背景画像にレイアウトし、装飾図柄を背景画像よりも上層にレイアウトするものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、本発明をプリンター20に適用して説明したが、原稿の読み取りが可能なスキャナーを備えるマルチファンクションプリンターに適用するものとしたり、FAX機能を備えるFAX装置に適用するものとしてもよいし、画像を表示する表示装置に適用するものとしてもよい。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
20 プリンター、21 本体、22 取っ手、23 オートシードフィーダー、24 排紙トレイ、25 液晶ディスプレイ、26 電源ボタン、28 赤外線通信ポート、30 リモートコントロール装置、30a 発光部、31 電源ボタン、32 ストップ/設定クリアボタン、33 トップメニューボタン、34 印刷枚数設定ボタン、35 上下左右ボタン、36 OKボタン、37 戻るボタン、38 印刷ボタン、39 設定ボタン、40 印刷機構、41 キャリッジ、42 ガイド、43 キャリッジベルト、44 インクカートリッジ、45 印刷ヘッド、46 搬送ローラー、48 プリンターASIC、52 赤外線通信コントローラー、54 LCDコントローラー、56 メモリーカードスロット、58 メモリーカードコントローラー、59 バス、60 メインコントローラー、61 CPU、62 ROM、63 RAM、64 フラッシュメモリー、65 インターフェース(I/F)、70 トップメニュー画面、S 用紙、MC メモリーカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層の画像枠に複数の画像を所定数までレイアウト設定可能で、前記第1の層または該第1の層とは異なる第2の層に前記画像枠毎に対応する各装飾図柄が予めレイアウトされ、複数の層を重ねることにより画像の形成が可能な画像形成装置であって、
形成する画像を複数取得可能な画像取得手段と、
前記取得した数の画像を前記第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、前記各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には前記第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に該第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定するレイアウト設定手段と、
前記レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する画像形成手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記第2の層は、前記第1の層よりも上層で、前記装飾図柄として下層である前記第1の層の画像枠に相当する部分が視認可能に該画像枠毎に対応する透明領域が設定されたフレーム画像がレイアウトされた層であり、
前記レイアウト設定手段は、前記第3の層における下層の前記空白枠に対応する透明領域に相当する部分に、前記フレーム画像の背景と同色および同模様の前記塗りつぶし用画像をレイアウト設定する手段である
画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記第1の層は、背景画像に前記所定数の画像枠と該画像枠毎に対応する前記装飾図柄とがレイアウト設定された層であり、
前記レイアウト設定手段は、前記第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に、前記背景画像と同色および同模様の前記塗りつぶし用画像をレイアウト設定する手段である
画像形成装置。
【請求項4】
第1の層の画像枠に複数の画像を所定数までレイアウト設定可能で、前記第1の層または該第1の層とは異なる第2の層に前記画像枠毎に対応する各装飾図柄が予めレイアウトされ、複数の層を重ねることにより画像の形成が可能な画像形成装置を制御する画像形成装置の制御方法であって、
(a)形成する画像を複数取得し、
(b)前記取得した数の画像を前記第1の層の各画像枠にレイアウト設定し、前記各画像枠のうちで画像がレイアウト設定されなかった空白枠が生じた場合には前記第1および第2の層よりも上層の第3の層を設けると共に該第3の層における下層の前記空白枠に対応する装飾図柄に相当する部分に塗りつぶし用画像をレイアウト設定し、
(c)前記レイアウト設定された複数の層を重ねることにより画像を形成する
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−195802(P2012−195802A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58858(P2011−58858)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】