説明

画像形成装置および処理プログラム

【課題】中間転写方式により記録媒体に画像を形成する場合にバンディングを防止することのできる画像形成装置および処理プログラムを提供する。
【解決手段】中間転写方式の画像形成装置1において、用紙Pの厚さが予め設定された厚さ以上の場合、二次転写部STに用紙Pが到達した後は、一次転写部FTにおいて中間転写ベルト26に対して予め設定された用紙Pの枚数分のトナー像の転写を行わず、スキップさせる制御を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー複写機、カラープリンタ、あるいは、これらの機能を併せ持つ複合機等のような画像を形成する画像形成装置には、中間転写方式を採用する画像形成装置がある。
【0003】
中間転写方式は、複数色のトナー像を、例えば、樹脂、ゴムまたはこれらの積層体をベースとして形成された中間転写ベルト上に重ね合わせて転写(一次転写)し、その中間転写ベルト上のトナー像を用紙等に一括転写(二次転写)する方式である。
【0004】
このような中間転写方式の画像形成装置については、厚紙の搬送時に生じる色ずれの防止のために転写ベルトと二次転写ローラとの間隔を規制する部材を設ける技術(例えば特許文献1参照)や中間転写ベルトの波打ちを防止するために転写ベルトに力をかける吸引機構を設ける技術(例えば特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−281930号公報
【特許文献2】特開2005−239369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、中間転写方式により記録媒体に画像を形成する場合においてバンディングを防止することのできる画像形成装置および処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、像保持体に現像されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写部と、前記中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写部と、前記二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さ以上の場合には、前記二次転写部に記録媒体が到達する前は前記一次転写部において前記中間転写体に対してトナー像の転写を行い、前記二次転写部に記録媒体が到達した後は前記中間転写体に転写されたトナー像を前記二次転写部において記録媒体に転写するとともに、前記一次転写部において前記中間転写体に対して予め設定された記録媒体の枚数分のトナー像の転写を行わないように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記記録媒体の厚さは、当該記録媒体そのものの厚さ、または当該記録媒体および記録媒体に転写されたトナー像を含んだ厚さであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の本発明の処理プログラムは、中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さか否かを判断する過程と、前記二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さ以上の場合には、前記二次転写部に記録媒体が到達する前は像保持体に現像されたトナー像を一次転写部において前記中間転写体に転写し、前記二次転写部に記録媒体が到達した後は前記中間転写体に転写されたトナー像を前記二次転写部において記録媒体に転写するとともに、前記一次転写部において前記中間転写体に対して予め設定された記録媒体の枚数分のトナー像の転写を行わないように制御する過程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、中間転写方式により記録媒体に画像を形成する場合においてバンディングを防止することのできる画像形成装置を提供することが可能になる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、片面印刷、両面印刷または追い刷り印刷等の印刷モードにおいても中間転写方式により記録媒体に画像を形成する場合にバンディングを防止することのできる画像形成装置を提供することが可能になる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、中間転写方式の画像形成装置により記録媒体に画像を形成する場合においてバンディングを防止することのできる処理プログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成例を示す構成図である。
【図3】図2の画像形成装置の画像形成部および後処理部を拡大して示した構成図である。
【図4】図1の画像形成装置の画像形成プロセスのフローチャートの一例を示す図である。
【図5】図1の画像形成装置による画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図6】図5に続く画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図7】図6に続く画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図8】図7に続く画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図9】図8に続く画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図10】図9に続く画像形成プロセス中の画像形成部の要部構成図である。
【図11】図1の画像形成装置の用紙サイズおよびカラーモードに対するスキップ制御の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムSYのブロック図である。
【0016】
画像形成システムSYは、画像形成装置1と、ホストコンピュータ2とを有している。画像形成装置1は、例えばデジタルカラー複写機、デジタルカラープリンタまたはそれら機能を併せ持つ複合機であり、画像形成部3と、複数の用紙送り部4とを有している。この画像形成部3と各用紙送り部4とは通信回線5aを通じて電気的に接続されており、双方間で通信を行うことにより画像形成部3が各用紙送り部4の動作を制御するようになっている。
【0017】
また、ホストコンピュータ2と画像形成部3とは、例えばLAN(Local
Area Network)またはインターネットのような通信回線5bを通じて電気的に接続されており、ホストコンピュータ2から画像形成部3に各種プログラムをダウンロードした後、このプログラムを実行するようになっている。この場合、このプログラムのダウンロード先としては、RAM(Random Access Memory)等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記憶媒体の一例)が挙げられる。
【0018】
画像形成部3は、用紙(記録媒体の一例)に対して電子写真技術により画像を印刷する本体部分であり、システム制御部6、操作部7、画像入力部8、画像記憶部9、画像処理部10、画像出力部11、後処理装置制御部12および用紙搬送部13を有している。
【0019】
システム制御部6は、画像形成装置1の全体の動作を制御する制御部であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM(Read Only
Memory)およびこれらを互いに電気的に接続する配線を有している。
【0020】
システム制御部6は、上述の各用紙送り部4との間の通信制御を行う他に、画像入力部8、画像記憶部9、画像処理部10、画像出力部11、後処理装置制御部12および用紙搬送部13の動作を制御するようになっている。また、システム制御部6は、ホストコンピュータ2または操作部7から入力された処理要求を認識して、その処理要求を受け付けるようになっている。
【0021】
用紙送り部4は、用紙を画像形成部3に送る機構部であり、制御部15と、用紙搬送部16と、トレイ制御部17とを有している。制御部15は、用紙送り部の動作を制御しており、CPU、RAM、ROMおよびこれらを互いに電気的に接続する配線を有している。この制御部15は、上述の画像形成部3との間の情報の授受を行う他に、用紙搬送部16やトレイ制御部17の動作を制御するようになっている。トレイ制御部17は、制御部15からの指示に基づいて給紙トレイ(図1には図示せず)の動作を制御する制御部である。
【0022】
次に、図2は、図1の画像形成装置1の構成例を示す構成図である。
【0023】
画像形成装置1は、画像形成部3と、例えば3台の用紙送り部4と、操作部7と、後処理部20と、用紙搬送路21とを備えている。
【0024】
各用紙送り部4には、複数の給紙トレイ4aが設けられている。各給紙トレイ4aには種類(例えば用紙サイズ、厚さ、紙質)の異なる用紙が収容されており、これら複数の給紙トレイ4aのいずれか1つから送り出された用紙が画像形成部3に供給されるようになっている。
【0025】
操作部7は、例えば液晶表示画面を有するタッチ式のパネルからなり、利用者に対して画像形成装置1の状態を示す情報を表示する他、画像形成装置1に対する設定条件を入力する構成部である。画像形成装置1に対する設定条件には、例えば管理者条件および処理条件がある。
【0026】
管理者条件には、例えば用紙サイズ、紙質、排出段サイズおよび排出段紙質の設定がある。排出段サイズ(または排出段紙質)の設定は、同一サイズ(または同一紙質)の用紙が同一の排出段に排紙されるように設定するためのものである。
【0027】
処理条件には、例えば自動用紙選択、給紙段、排紙先、倍率、表紙モードおよび合紙モードの設定がある。給紙段の設定は、用紙送り部4の複数の給紙トレイ4aのうち、印刷させたい用紙が収容されたトレイを設定するためのものである。
【0028】
後処理部20は、画像形成後の用紙を排紙トレイ20aに排出する機構部である。また、後処理部20は、画像形成後の用紙に対して、例えばパンチ、ステープル、スタッカまたはオフセットあるいはこれらの組み合わせのような後処理機能を有する構成とされる。
【0029】
用紙搬送路21(太線で示す)は、用紙が搬送される経路であり、各用紙送り部4から画像形成部3を経て後処理部20に到るように設けられている。用紙搬送路21には、用紙の搬送を行うべく、用紙の搬送を促すローラ、用紙の搬送経路を切り替える経路切替手段、用紙の搬送を案内するガイドレールおよび用紙の通過や到達等を検知するセンサが設置されている。
【0030】
次に、図3は、図2の画像形成部3および後処理部20を拡大して示した構成図である。
【0031】
この画像形成部3には、例えばタンデム型で、かつ、中間転写方式の画像形成機構が採用されており、例えば6個の画像形成ユニット25(25K、25C,25M,25Y,25X,25X)が間隔をおいて並列的に配置されているとともに、その下方には、中間転写ベルト(中間転写体の一例)26が周回方向に回転駆動される状態で設置されている。
【0032】
画像形成ユニット25K,25C,25M,25Y,25X,25Xは、それぞれ黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、特別色(X)等の色のトナー像を中間転写ベルト26に重ねて転写するようになっている。特別色(X)には、例えば透明色(クリアトナー)やライトマゼンタがある。
【0033】
各画像形成ユニット25は、感光体ドラム(像保持体の一例)25drと、帯電手段25eと、露光手段25exと、現像手段25deと、クリーニング手段25cnと、一次転写ローラ(一次転写手段の一例)25rとを有している。
【0034】
帯電手段25eは、感光体ドラム25drの表面を帯電させる。露光手段25exは、帯電された感光体ドラム25drに向けて画像データに対応するレーザ光(露光光の一例)を照射して感光体ドラム25drの表面に静電潜像を形成する。現像手段25deは、感光体ドラム25drの表面に形成された静電潜像にトナー(現像剤の一例)を付与してトナー像を形成する。クリーニング手段25cnは、感光体ドラム25drの表面上の残留トナーを除去して回収する。
【0035】
一次転写ローラ25rは、感光体ドラム25drに形成されたトナー像を中間転写ベルト26に転写する。すなわち、各画像形成ユニット25の各一次転写ローラ25rは、各感光体ドラム25drに形成されたトナー像を、周方向に送り駆動する中間転写ベルト26の表面に順次重ねて転写する。感光体ドラム25drと一次転写ローラ25rとの対向部に一次転写部FTが形成される。
【0036】
なお、画像形成部3の上部には、各画像形成ユニット25K、25C,25M,25Y,25X,25Xに各色のトナーを供給するトナーカートリッジ27K、27C,27M,27Y,27X,27Xが設置されている。
【0037】
中間転写ベルト26は、例えば可撓性を有するポリアミド樹脂の単体層、ゴムの単体層またはそれらの積層体をベースとするフィルムを帯状に形成し、この帯状のフィルムの両端を溶着等の手段で接続することで無端ベルト状にして形成されている。
【0038】
画像形成部3において用紙搬送路21には、複数のレジストローラ31、二次転写ローラ(二次転写手段の一例)32および定着ユニット33が設置されている。なお、用紙搬送路21aは、両面印刷用の反転路である。
【0039】
レジストローラ31は、用紙送り部4から送られた用紙Pの画像形成位置と中間転写ベルト26のトナー像Tiの位置とが一致するように、用紙Pを二次転写ローラ32に送るタイミングを図る。
【0040】
二次転写ローラ32は、中間転写ベルト26のトナー像Tiを、二次転写ローラ32に送られた用紙Pに転写する構成部であり、中間転写ベルト26と用紙搬送路21とが接触した位置に配置されている。この二次転写ローラ32と中間転写ベルト26との対向部に二次転写部STが形成される。
【0041】
定着ユニット33は、二次転写ローラ32によりトナー像が転写された用紙Pに対して熱および圧力を与えてトナー像を定着させる。
【0042】
後処理部20において用紙搬送路21には、撓み修正部35が設置されている。撓み修正部35は、撓んだ用紙Pを機械的に平坦にする機構部であり、用紙Pに印刷されたトナー像の塗り具合で撓みの状態が分かるのでそれに応じて経路を切り替えて用紙Pの撓みを修正する。
【0043】
次に、本実施の形態の画像形成装置1の画像形成プロセスの一例を図4のフローチャートに沿って図3等を用いて説明する。
【0044】
本実施の形態においては、まず、バンディング対策の要否が判断される(図4のステップ101)。バンディングは、中間転写ベルト26に衝撃が加わる等の原因で中間転写ベルト26が波打ち、その状態で感光体ドラム25drのトナー像を中間転写ベルト26に一次転写することで帯状の濃度ムラが生じ、それが二次転写されて用紙Pの印刷画像に帯状の濃度ムラが生じる現象である。
【0045】
バンディング対策の必要が無い場合は、後述の一次転写のスキップ制御は行われず、通常の制御で一次転写および二次転写が順に行われる(図4のステップ102,103)。
【0046】
一方、バンディング対策の必要がある場合は、利用者により設定された用紙Pの厚さが、例えば105gsm(Gram per Square Meter)以上か否かが判断される(図4のステップ104)。用紙Pの厚さが105gsmより薄い場合は、一次転写のスキップ制御は行われず、通常の制御で一次転写および二次転写が順に行われる(図4のステップ102,103)。なお、この場合の用紙Pの厚さは、トナー像の厚さを含まない用紙Pそのものの厚さである。
【0047】
一方、用紙Pの厚さが105gsm以上の場合は、二次転写部STに到達した用紙Pにより中間転写ベルト26が衝撃を受けて波打ち状態になるため、その状態で一次転写部FTにおいて感光体ドラム25drのトナー像を中間転写ベルト26に転写し、これを二次転写部STにおいて用紙Pに転写すると、上述のバンディングが生じる。
【0048】
そこで、用紙の厚さが、例えば105gsm以上の場合は、二次転写部STに到達した用紙により中間転写ベルト26が衝撃を受けてからその衝撃が治まるまでの期間(すなわち、中間転写ベルト26が衝撃を受けて波打ち、印刷画像の品質が劣化する期間)は、中間転写ベルト26に対する一次転写を一時的に停止し、中間転写ベルト26を空転写送り駆動する制御(スキップ制御)が行われる(図4のステップ105)。
【0049】
ここで、一次転写部FTのスキップ制御の具体的な方法例を図5〜図10により説明する。図5〜図10は画像形成プロセス中の画像形成部3の要部構成図である。図5〜図10の符号Niは中間転写ベルト26において一次転写をせずに空転写送りしたスキップ領域を示している。なお、ここでは、用紙サイズがSRA3Sで、画像形成装置のカラーモードが4色カラー(このため、図5〜図10では、例えば左から4個の感光体ドラム25drのみが転写に使用される)の場合を例にして説明する。
【0050】
まず、図5は用紙Pがレジストローラ(図5では図示せず)で待機し、二次転写部STに送られる前の状態を示している。この段階は中間転写ベルト26が衝撃を受ける前なので、各感光体ドラム25drのトナー像が中間転写ベルト26に重ねて転写される。ここでは、中間転写ベルト26に、例えば用紙Pの2枚分の一次転写が行われ、2つのトナー像Tiが形成される。
【0051】
続いて、中間転写ベルト26の1枚目の用紙Pのためのトナー像Tiの位置が二次転写部STに送られるように中間転写ベルト26が送り駆動されるとともに、その中間転写ベルト26のトナー像Tiに対して位置が合うように1枚目の用紙Pが二次転写部STに送られる。
【0052】
二次転写部STにおいては1枚目の用紙Pに中間転写ベルト26のトナー像Tiのトナー像が転写される。一方、二次転写部STに到達した用紙Pにより中間転写ベルト26が衝撃を受けて波打っている間、中間転写ベルト26に対する一次転写は行われず、中間転写ベルト26は空転写送りされる(スキップ制御)。ここでは、中間転写ベルト26において、例えば用紙Pの2枚分の一次転写がスキップされる。
【0053】
続いて、図6に示すように、中間転写ベルト26の2枚目の用紙Pのためのトナー像Tiの位置が二次転写部STに送られるように中間転写ベルト26が送り駆動されるとともに、その中間転写ベルト26のトナー像Tiに対して位置が合うように2枚目の用紙Pが二次転写部STに送られる。ここでは、中間転写ベルト26において、例えば用紙Pの3枚分の一次転写がスキップされる。
【0054】
二次転写部STにおいては2枚目の用紙Pに中間転写ベルト26のトナー像Tiのトナー像が転写される一方、中間転写ベルト26に対しては上記の一次転写のスキップ制御が行われる。図7に示すように、一枚目の用紙Pが二次転写部STに到達した後、中間転写ベルト26においては、例えば用紙Pの4枚分の一次転写がスキップされ、4個のスキップ領域Niが形成されるようになる。
【0055】
続いて、図8に示すように、2枚の用紙Pがレジストローラ(図8には図示せず)に送られ待機状態とされる。一方、中間転写ベルト26に対しては、衝撃による波打ちが収まりバンディングの虞がなくなったため、待機中の1枚目の用紙Pのためのトナー像の一次転写が再開される。
【0056】
続いて、図9に示すように、用紙Pはレジストローラ(図9には図示せず)で待機されたまま、中間転写ベルト26に対して、待機中の2枚目の用紙Pのためトナー像の一次転写が行われる。
【0057】
続いて、図10に示すように、中間転写ベルト26の1枚目の用紙Pのためのトナー像Tiの位置が二次転写部STに送られるように中間転写ベルト26が送り駆動されるとともに、その中間転写ベルト26のトナー像Tiに対して位置が合うように1枚目の用紙Pが二次転写部STに送られる。ここからは図5に戻り、同様の処理が繰り返し行われる。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、二次転写部STに送られた用紙Pにより中間転写ベルト26が衝撃を受けて波打っている間は一次転写をスキップし、中間転写ベルト26の波打ちが収まってから一次転写を行うことにより、バンディングが防止されるので、中間転写方式の画像形成装置1により用紙Pに形成される画像の品質が向上する。
【0059】
また、中間転写ベルト26に衝撃が発生するか否かを判断するために他の部材を追加するわけではなく、二次転写部STに送られる用紙Pの厚さにより判断することにより、新たな部材等を設けることなく、中間転写方式の画像形成装置1により用紙Pに形成される画像の品質が向上する。
【0060】
次に、図11は、用紙サイズおよびカラーモードに対する一次転写部FTでのスキップ制御の一例を示している。
【0061】
例えば用紙サイズがSRA3SまたはA3Sでカラーモードが4色カラーまたは5色カラーの場合は、二次転写部STにおいて用紙Pの2枚が印刷され、一次転写部FTにおいて用紙Pの4枚分がスキップされる。
【0062】
また、例えば用紙サイズがSRA3SまたはA3Sでカラーモードが6色カラーの場合は、二次転写部STにおいて用紙Pの2枚が印刷され、一次転写部FTにおいて用紙Pの5枚分がスキップされる。
【0063】
また、例えば用紙サイズがA4Lでは、カラーモードが4色、5色または6色カラーの場合、それぞれ二次転写部STにおいて用紙Pの4枚が印刷され、それぞれ一次転写部FTにおいて用紙Pの7枚分、8枚分または9枚分がスキップされる。
【0064】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0065】
例えば前記実施の形態においては、用紙の厚さにより一次転写部のスキップ制御を行うか否かを判断した場合について説明したが、これに限定されるものではなく印刷モードにより一次転写部のスキップ制御を行うか否かを判断しても良い。
【0066】
例えば、既に画像が形成された用紙の片面に対してさらに追加して画像を形成する追い刷り印刷や用紙の両面に画像を形成する両面印刷を行う場合にも一次転写部でのスキップ制御を行っても良い。追い刷り印刷や両面印刷の場合、1度目の画像形成時には問題ないが、2度目の画像形成時には用紙にトナー像が形成され厚みが増しているので、2度目に二次転写部に送られた用紙により中間転写ベルトが衝撃を受け上記したバンディングが生じる場合がある。そこで、追い刷りや両面印刷がある場合にも、一次転写部のスキップ制御を行うことにより、バンディングが防止され、用紙に形成される画像の品質が向上する。なお、これらの場合の用紙の厚さは、用紙そのものの厚さにトナー像の厚さを加えたものになる。
【0067】
また、前記実施の形態においては、プログラムを用いる場合、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供してもよい。
【0068】
すなわち、ステップ101〜105で構成される処理プログラムを含むプログラムをハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該プログラムを次のようにして提供してもよい。
【0069】
例えばプログラムをROMに格納しておき、CPUが、このプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0070】
また、上記プログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取りされる記憶媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上の説明では、本発明の画像形成装置において搬送される記録媒体としては、例えば、フィルム、はがき等、画像が形成される様々なものが適用される。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 ホストコンピュータ
3 画像形成部
4 用紙送り部
4a 給紙トレイ
5a 通信回線
5b 通信回線
6 システム制御部
7 操作部
8 画像入力部
9 画像記憶部
10 画像処理部
11 画像出力部
12 後処理装置制御部
13 用紙搬送部
15 制御部
16 用紙搬送部
17 トレイ制御部
20 後処理部
20a 排紙トレイ
21 用紙搬送路
25 画像形成ユニット
25K,25C,25M,25Y,25X,25X 画像形成ユニット
25dr 感光体ドラム
25e 帯電手段
25ex 露光手段
25de 現像手段
25cn クリーニング手段
25r 一次転写ローラ
26 中間転写ベルト
31 レジストローラ
32 二次転写ローラ
33 定着ユニット
SY 画像形成システム
Ti トナー像
Ni スキップ領域
FT 一次転写部
ST 二次転写部
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体に現像されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写部と、
前記中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写部と、
前記二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さ以上の場合には、前記二次転写部に記録媒体が到達する前は前記一次転写部において前記中間転写体に対してトナー像の転写を行い、前記二次転写部に記録媒体が到達した後は前記中間転写体に転写されたトナー像を前記二次転写部において記録媒体に転写するとともに、前記一次転写部において前記中間転写体に対して予め設定された記録媒体の枚数分のトナー像の転写を行わないように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体の厚さは、当該記録媒体そのものの厚さ、または当該記録媒体および記録媒体に転写されたトナー像を含んだ厚さ、
であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さか否かを判断する過程と、
前記二次転写部に送られる記録媒体の厚さが予め設定された厚さ以上の場合には、前記二次転写部に記録媒体が到達する前は像保持体に現像されたトナー像を一次転写部において前記中間転写体に転写し、前記二次転写部に記録媒体が到達した後は前記中間転写体に転写されたトナー像を前記二次転写部において記録媒体に転写するとともに、前記一次転写部において前記中間転写体に対して予め設定された記録媒体の枚数分のトナー像の転写を行わないように制御する過程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−64955(P2013−64955A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204785(P2011−204785)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】