説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】 ページの印刷順序に関する画像形成装置自身の印刷設定を外部に通知しなくてもXPSファイルを印刷することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 プリンタは、印刷部によるXPSファイルのページの印刷順序に関するXPSファイルの印刷設定であるXPS印刷順設定を取得し(S106)、印刷順序に関する画像形成装置の印刷設定である装置印刷順設定を取得し(S107)、取得したXPS印刷順設定および装置印刷順設定のうち優先情報に応じた方に基づいて印刷順序を決定し(S108)、決定した印刷順序で印刷部に印刷を行わせる(S109)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、XPS(XML(Extensible Markup Language) Paper Specification)ファイルを印刷することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子文書の規格として、XPSが知られている。XPSファイルは、複数のファイルがZIP形式で圧縮されたファイルである。XPSファイルは、例えばMicrosoft Office(登録商標) WordなどのアプリケーションのファイルをWindows Vista(登録商標)に標準インストールされているXPS Document Writerを使用して印刷することなどによって生成される。このようにして生成されたXPSファイル内の複数のファイルは、通常、ページが正順になるように並べられて圧縮されている。
【0003】
したがって、プリンタは、ページが正順になるように複数のファイルが並べられて圧縮されたXPSファイルを外部の情報処理装置から受信して印刷する場合、XPSファイル内の複数のファイルを先頭のページから末尾のページまで正順に外部の情報処理装置から受信することになる。
【0004】
ここで、プリンタは、印刷面を下に向けて用紙を排出するフェイスダウン出力が印刷設定で設定さている場合、先頭のページから末尾のページに向けて正順に印刷する必要がある。そのため、プリンタは、ページが正順になるように複数のファイルが並べられて圧縮されたXPSファイルに対してフェイスダウン出力を行う場合、XPSファイル内の複数のファイルを先頭のページから末尾のページまで正順に外部の情報処理装置から受信する度に、受信したページの印刷を実行することができる。
【0005】
一方、プリンタは、印刷面を上に向けて用紙を排出するフェイスアップ出力が印刷設定で設定さている場合、末尾のページから先頭のページに向けて逆順に印刷する必要がある。そのため、プリンタは、ページが正順になるように複数のファイルが並べられて圧縮されたXPSファイルに対してフェイスアップ出力を行う場合、XPSファイル内の複数のファイルを先頭のページから末尾のページまで正順に全て外部の情報処理装置から受信した後でなければ、受信したページの印刷を開始することができない。
【0006】
つまり、ページが正順になるように複数のファイルが並べられて圧縮されたXPSファイルの印刷において、フェイスアップ出力は、フェイスダウン出力と比較して印刷効率が低下する。
【0007】
このようなフェイスアップ出力の場合の印刷効率の低下の問題を解決するための方法として、まず、外部の情報処理装置のプリンタドライバによってプリンタの印刷設定をプリンタから取得し、次いで、取得した印刷設定でフェイスアップ出力が設定されているときに、ページが逆順になるように複数のファイルが並べられて圧縮された構造にXPSファイルの構造をプリンタドライバによって変更し、最後に、ページが逆順になるように複数のファイルが並べられて圧縮されたXPSファイルをプリンタドライバによってプリンタに送信する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によって、プリンタは、フェイスアップ出力を行う場合であっても、ページの印刷を開始するときに全てのページのファイルを外部の情報処理装置から受信する必要がなく、外部の情報処理装置からページのファイルを受信する度に、受信したページの印刷を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−145999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された方法においては、ページの印刷順序に関するプリンタの印刷設定を外部の情報処理装置のプリンタドライバがプリンタから取得しなければならないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、ページの印刷順序に関する画像形成装置自身の印刷設定を外部に通知しなくてもXPSファイルを印刷することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、XPSファイルを印刷する印刷部を備えている画像形成装置であって、前記印刷部による前記XPSファイルのページの印刷順序を決定する印刷順序決定手段と、前記印刷順序決定手段によって決定された前記印刷順序で前記印刷部に印刷を行わせる印刷制御手段と、前記印刷順序に関する前記XPSファイルの印刷設定であるXPS印刷順設定を取得するXPS印刷順設定取得手段と、前記印刷順序に関する前記画像形成装置の印刷設定である装置印刷順設定を取得する装置印刷順設定取得手段と、前記XPS印刷順設定および前記装置印刷順設定の何れを優先的に適用するかを示す優先情報を記憶する優先情報記憶手段とを備えており、前記印刷順序決定手段は、前記XPS印刷順設定取得手段によって取得された前記XPS印刷順設定と、前記装置印刷順設定取得手段によって取得された前記装置印刷順設定とのうち前記優先情報に応じた方に基づいて、前記印刷順序を決定することを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、ページの印刷順序に関するXPSファイルの印刷設定と、ページの印刷順序に関する画像形成装置自身の印刷設定とのうち優先情報に応じた方に基づいて、印刷順序を決定するので、ページの印刷順序に関する画像形成装置自身の印刷設定を外部に通知しなくてもXPSファイルを印刷することができる。
【0013】
本発明の画像形成プログラムは、XPSファイルを印刷する印刷部を備えている画像形成装置によって実行される画像形成プログラムであって、前記印刷部による前記XPSファイルのページの印刷順序を決定する印刷順序決定手段と、前記印刷順序決定手段によって決定された前記印刷順序で前記印刷部に印刷を行わせる印刷制御手段と、前記印刷順序に関する前記XPSファイルの印刷設定であるXPS印刷順設定を取得するXPS印刷順設定取得手段と、前記印刷順序に関する前記画像形成装置の印刷設定である装置印刷順設定を取得する装置印刷順設定取得手段と、前記XPS印刷順設定および前記装置印刷順設定の何れを優先的に適用するかを示す優先情報を記憶する優先情報記憶手段として前記画像形成装置を機能させ、前記印刷順序決定手段は、前記XPS印刷順設定取得手段によって取得された前記XPS印刷順設定と、前記装置印刷順設定取得手段によって取得された前記装置印刷順設定とのうち前記優先情報に応じた方に基づいて、前記印刷順序を決定することを特徴とする。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成プログラムを実行する画像形成装置は、ページの印刷順序に関するXPSファイルの印刷設定と、ページの印刷順序に関する画像形成装置の印刷設定とのうち優先情報に応じた方に基づいて、印刷順序を決定するので、ページの印刷順序に関する画像形成装置の印刷設定を画像形成装置の外部に通知しなくてもXPSファイルを印刷することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置は、ページの印刷順序に関する画像形成装置自身の印刷設定を外部に通知しなくてもXPSファイルを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】XPSファイルを印刷するときの図1に示すプリンタの動作のフローチャートである。
【図4】図2に示す制御部によって解析されるXPSファイルの構造を示す図である。
【図5】図2に示す制御部によってページの順序を正順に並べられたリストの例を示す図である。
【図6】図3に示す印刷順序決定処理のフローチャートである。
【図7】ページの順序を逆順に変更された図5に示すリストの例を示す図である。
【図8】ページの順序をXPS印刷順設定に基づいて変更された図5に示すリストの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10のシステム構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成システム10は、本発明の画像形成装置としてのプリンタ20と、プリンタ20に印刷させる印刷データをプリンタ20に送信したりプリンタ20によって読み取られた画像データを受信したりする情報処理装置であるPC(Personal Computer)30とを備えている。プリンタ20およびPC30は、互いに通信可能な状態でLAN(Local Area Network)などのネットワーク11に接続されている。
【0021】
図2は、プリンタ20の構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、プリンタ20は、プリンタ20全体を制御する制御部21と、種々の情報を記憶する記憶部22と、用紙などの記録媒体に印刷を行う印刷部23と、PC30などの外部の装置とネットワーク11を介して通信を行うための通信インターフェース24とを備えている。
【0023】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、本発明の画像形成プログラムを含むプログラムや各種のデータを予め記憶している不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)となどから構成されているコンピュータである。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部21を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
制御部21は、画像形成プログラムを実行することによって、後述するように、印刷部23によるXPSファイル22aのページの印刷順序を決定する印刷順序決定手段21aと、印刷順序決定手段21aによって決定された印刷順序で印刷部23に印刷を行わせる印刷制御手段21bと、印刷順序に関するXPSファイル22aの印刷設定であるXPS印刷順設定22bを取得するXPS印刷順設定取得手段21cと、印刷順序に関するプリンタ20の印刷設定である装置印刷順設定22cを取得する装置印刷順設定取得手段21dとして機能するようになっている。
【0025】
ここで、装置印刷順設定22cについて説明する。フェイスダウン出力が行われる排紙トレイと、フェイスアップ出力が行われる排紙トレイとがプリンタ20に備わっている場合、プリンタ20は、何れの排紙トレイに優先的に出力するかを例えば利用者の指示によって設定されることができる。この設定が装置印刷順設定22cである。フェイスダウン出力が行われる排紙トレイに優先的に出力することが装置印刷順設定22cに設定されているということは、装置印刷順設定22cに正順印刷が設定されているということである。一方、フェイスアップ出力が行われる排紙トレイに優先的に出力することが装置印刷順設定22cに設定されているということは、装置印刷順設定22cに逆順印刷が設定されているということである。
【0026】
記憶部22は、例えば、RAMや、HDD(Hard Disk Drive)などによって構成されている。記憶部22は、例えば、XPSファイル22a、XPS印刷順設定22bおよび装置印刷順設定22cと、XPSファイル22aのページの順序を表すリスト22dと、XPS印刷順設定22bおよび装置印刷順設定22cの何れを優先的に適用するかを示す優先情報22eとを記憶するようになっており、本発明の優先情報記憶手段を構成している。なお、XPSファイル22a、XPS印刷順設定22bおよびリスト22dは、プリンタ20がPC30からXPSファイル22aを受信した後で記憶部22に記憶される情報であるが、装置印刷順設定22cおよび優先情報22eは、プリンタ20がPC30からXPSファイル22aを受信する前に予め記憶されておくべき情報である。
【0027】
優先情報22eは、例えば利用者の指示によって設定されることができる。
【0028】
印刷部23は、PC30からの印刷データの印刷ジョブを印刷する印刷デバイスである。
【0029】
通信インターフェース24は、例えば、印刷部23によって印刷されるための印刷データをネットワーク11を介して外部のPC30から受信するようになっている。
【0030】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0031】
図3は、XPSファイル22aを印刷するときのプリンタ20の動作のフローチャートである。
【0032】
利用者は、PC30を操作することによってPC30上のXPSファイル22aをプリンタ20に印刷させることができる。このとき、PC30上のプリンタドライバは、XPSファイル22aをネットワーク11を介してプリンタ20に送信する。
【0033】
プリンタ20の制御部21は、通信インターフェース24を介してPC30からXPSファイル22aが送信されてくると、図3に示す処理を開始する。
【0034】
図3に示すように、制御部21は、まず、PC30から送信されてきたXPSファイル22aの全てを受信し、受信したXPSファイル22aを記憶部22に記憶させる(S101)。
【0035】
次いで、制御部21は、S101において記憶部22に記憶させたXPSファイル22aの構造を解析する(S102)。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶させたXPSファイル22aをZIP解凍し、XPSファイル22aのページの順序を取得する。
【0036】
図4は、制御部21によって解析されるXPSファイル22aの構造を示す図である。
【0037】
XPSファイル22aは、ジョブ、ドキュメント、ページという3段階の階層で構成されている。
【0038】
図4に示す例において、XPSファイル22aのジョブのフォルダであるJobフォルダは、Metadataフォルダと、Documentsフォルダとを有している。
【0039】
Jobフォルダの直下のMetadataフォルダは、ジョブの印刷設定などが記述されているファイルであるJob_PT.xmlを有している。
【0040】
Documentsフォルダは、Metadataフォルダと、1つ目のドキュメントのフォルダである1フォルダと、2つ目のドキュメントのフォルダである2フォルダとを有している。Documentsフォルダは、1フォルダおよび2フォルダと同様に、3つ目以降のドキュメントのフォルダも有している。
【0041】
Documentsフォルダの直下のMetadataフォルダは、1つ目のドキュメントの印刷設定などが記述されているファイルであるDoc1_PT.xmlと、2つ目のドキュメントの印刷設定などが記述されているファイルであるDoc2_PT.xmlとを有している。Documentsフォルダの直下のMetadataフォルダは、Doc1_PT.xml、Doc2_PT.xmlと同様に、3つ目以降のドキュメントのファイルも有している。
【0042】
1フォルダは、Metadataフォルダと、Pagesフォルダとを有している。
【0043】
1フォルダの直下のMetadataフォルダは、1つ目のページの印刷設定などが記述されているファイルであるPage1_PT.xmlと、2つ目のページの印刷設定などが記述されているファイルであるPage2_PT.xmlとを有している。1フォルダの直下のMetadataフォルダは、Page1_PT.xml、Page2_PT.xmlと同様に、3つ目以降のページのファイルも有している。
【0044】
1フォルダの直下のPagesフォルダは、1つ目のページの印刷内容が記述されているファイルである1.fpageと、2つ目のページの印刷内容が記述されているファイルである2.fpageとを有している。1フォルダの直下のPagesフォルダは、1.fpage、2.fpageと同様に、3つ目以降のページのファイルも有している。
【0045】
以上においては、1フォルダについて説明したが、2フォルダや、3つ目以降のドキュメントのフォルダについても、1フォルダと同様である。
【0046】
図3に示すように、制御部21は、S102において取得したページの順序を正順にリスト22dとして記憶部22に記憶させる(S103)。
【0047】
図5は、制御部21によってページの順序を正順に並べられたリスト22dの例を示す図である。
【0048】
図5に示す例では、XPSファイル22aのジョブには、Documents/1/、Documents/2/、Documents/3/という3つのドキュメントが含まれており、Documents/1/には、Pages/1.fpage、Pages/2.fpage、Pages/3.fpageという3つのページが含まれており、Documents/2/には、Pages/1.fpage、Pages/2.fpageという2つのページが含まれており、Documents/3/には、Pages/1.fpage、Pages/2.fpage、Pages/3.fpageという3つのページが含まれている。
【0049】
図3に示すように、制御部21は、S102において解析したXPSファイル22aにPrintTicketが含まれているか否かを判断する(S104)。
【0050】
ここで、PrintTicketとは、XPSファイル22aの印刷設定などが記述されているファイルであり、上述したJob_PT.xml、Doc1_PT.xml、Doc2_PT.xml、Page1_PT.xml、Page2_PT.xmlなどのことである。
【0051】
制御部21は、XPSファイル22aにPrintTicketが含まれているとS104において判断すると、そのPrintTicketにXPS印刷順設定22bが含まれているか否かを判断する(S105)。
【0052】
ジョブのPrintTicketであるJob_PT.xmlは、ジョブの印刷順序を直接的に正順または逆順と設定することや、ジョブの出力結果である印刷物が排出される排紙トレイを指定することによってジョブの印刷順序を間接的に正順または逆順に設定することができる。Doc1_PT.xml、Doc2_PT.xmlなどのドキュメントのPrintTicketは、ドキュメントの印刷順序を直接的に正順または逆順と設定することや、ドキュメントの出力結果である印刷物が排出される排紙トレイを指定することによってドキュメントの印刷順序を間接的に正順または逆順に設定することができる。Page1_PT.xml、Page2_PT.xmlなどのページのPrintTicketは、ページの出力結果である印刷物が排出される排紙トレイを指定することによってページの印刷順序を間接的に正順または逆順に設定することができる。これらの印刷順序の設定がXPS印刷順設定22bである。
【0053】
なお、ジョブのPrintTicketの印刷順序の設定よりも、ドキュメントのPrintTicketの印刷順序の設定が優先される。また、ドキュメントのPrintTicketの印刷順序の設定よりも、ページのPrintTicketの印刷順序の設定が優先される。
【0054】
PrintTicketにXPS印刷順設定22bが含まれているとS105において制御部21が判断すると、制御部21の機能の1つであるXPS印刷順設定取得手段21cは、そのXPS印刷順設定22bを取得して記憶部22に記憶させる(S106)。
【0055】
次いで、制御部21の機能の1つである装置印刷順設定取得手段21dは、記憶部22に記憶されている装置印刷順設定22cを取得する(S107)。なお、装置印刷順設定取得手段21dは、XPSファイル22aにPrintTicketが含まれていないとS104において制御部21が判断したときと、PrintTicketにXPS印刷順設定22bが含まれていないとS105において制御部21が判断したときも、S107の処理を実行する。
【0056】
次いで、制御部21の機能の1つである印刷順序決定手段21aは、S106においてXPS印刷順設定取得手段21cによって取得されたXPS印刷順設定22bと、S107において装置印刷順設定取得手段21dによって取得された装置印刷順設定22cとのうち、記憶部22に記憶されている優先情報22eに応じた方に基づいて、印刷部23によるXPSファイル22aのページの印刷順序を決定する印刷順序決定処理を実行する(S108)。
【0057】
図6は、印刷順序決定処理のフローチャートである。
【0058】
図6に示すように、印刷順序決定手段21aは、XPS印刷順設定22bおよび装置印刷順設定22cのうちXPS印刷順設定22bを優先的に適用することを優先情報22eが示しているか否かを判断する(S121)。
【0059】
印刷順序決定手段21aは、装置印刷順設定22cを優先的に適用することを優先情報22eが示しているとS121において判断すると、装置印刷順設定22cに逆順印刷が設定されているか否かを判断する(S122)。
【0060】
印刷順序決定手段21aは、装置印刷順設定22cに逆順印刷が設定されていないとS122において判断すると、図6に示す印刷順序決定処理を終了して図3に示す処理に戻る。
【0061】
一方、印刷順序決定手段21aは、装置印刷順設定22cに逆順印刷が設定されているとS122において判断すると、S103において記憶部22に記憶されたリスト22dを逆順に変更した後(S123)、図6に示す印刷順序決定処理を終了して図3に示す処理に戻る。
【0062】
図7は、ページの順序を逆順に変更されたリスト22dの例を示す図である。図7に示すリスト22dは、図5に示すリスト22dにおいてページの順序が逆順に変更されたものである。
【0063】
図6に示すように、印刷順序決定手段21aは、XPS印刷順設定22bを優先的に適用することを優先情報22eが示しているとS121において判断すると、S103において記憶部22に記憶されたリスト22dをXPS印刷順設定22bに基づいて変更した後(S124)、図6に示す印刷順序決定処理を終了して図3に示す処理に戻る。
【0064】
図8は、ページの順序をXPS印刷順設定22bに基づいて変更されたリスト22dの例を示す図である。図8に示すリスト22dは、Doc2_PT.xmlのみに逆順印刷が設定されていた場合のリストであって、図5に示すリスト22dにおいてDocuments/2/のPages/1.fpage、Pages/2.fpageのみが逆順に変更されたものである。印刷順序決定手段21aがどのようにリスト22dを変更するかは、XPSファイル22aに含まれるPrintTicket次第である。なお、印刷順序決定手段21aは、XPSファイル22aに含まれるPrintTicketが正順印刷に設定されているとき、S103において記憶部22に記憶されたリスト22dを変更しない。
【0065】
図3に示すように、印刷順序決定手段21aがS108の印刷順序決定処理の実行を終了すると、制御部21の機能の1つである印刷制御手段21bは、印刷順序決定手段21aによって決定された印刷順序であるリスト22dに従って、Documents/1/Pages/1.fpageなどの各ページのファイルにアクセスしてその描画データからビットマップを作成し、そのビットマップを印刷部23に印刷させる(S109)。
【0066】
以上に説明したように、プリンタ20は、ページの印刷順序に関するXPSファイル22aの印刷設定であるXPS印刷順設定22bと、ページの印刷順序に関するプリンタ20自身の印刷設定である装置印刷順設定22cとのうち優先情報22eに応じた方に基づいて、印刷部23によるXPSファイル22aのページの印刷順序を決定するので、装置印刷順設定22cを外部に通知しなくてもXPSファイル22aを印刷することができる。
【0067】
XPSファイル22aは、仕様上、各ページのファイルにランダムアクセスが可能である。したがって、本実施の形態に係るプリンタ20は、XPSファイル22aを正順ではなく印刷する場合であっても、特許文献1に記載された方法のようにXPSファイル22a自体を再構築する必要はない。
【0068】
特許文献1に記載された方法においては、プリンタは、外部の情報処理装置のプリンタドライバからXPSファイルのページのファイルが送られてくる度に、ページのファイルを印刷するようになっているので、プリンタドライバから送られてくるページの順序が何らかの原因によって誤った順序になってしまったとしても、誤った順序で印刷することになる。一方、本実施の形態に係るプリンタ20は、プリンタ20自身でページの印刷順序を決定し、プリンタ20自身でXPSファイル22aから各ページのファイルを取り出すので、誤った順序で印刷することを防止することができる。
【0069】
また、特許文献1に記載された方法においては、プリンタによって逆順印刷されたXPSファイルは、ページが逆順になるように再構築されているので、プリンタから取得されてXPS Viewerによって利用者に確認される場合、ページが逆順になっており電子文書として欠陥がある。一方、本実施の形態に係るプリンタ20によって逆順印刷されたXPSファイル22aは、XPSファイル22a自体が再構築される必要がないので、プリンタ20から取得されてXPS Viewerによって利用者に確認される場合であっても、ページが正順になっており電子文書として問題がない。
【0070】
なお、本実施の形態においては、PC30のプリンタドライバからネットワーク11を介してプリンタ20にXPSファイルの印刷を指示しているが、プリンタ20とPC30とがUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどによってローカルに接続されている場合も同様の作用効果を得ることができる。更に、USBメモリなどの記憶装置をプリンタ20に直に接続可能にし、記憶装置に記憶されているXPSファイルをプリンタ20で直接印刷する場合も同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、画像形成装置としてプリンタについて説明しているが、XPSファイルを印刷することができる画像形成装置であれば、複合機など、プリンタ以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0072】
20 プリンタ(画像形成装置)
21a 印刷順序決定手段
21b 印刷制御手段
21c XPS印刷順設定取得手段
21d 装置印刷順設定取得手段
22 記憶部(優先情報記憶手段)
22a XPSファイル
22b XPS印刷順設定
22c 装置印刷順設定
22e 優先情報
23 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XPSファイルを印刷する印刷部を備えている画像形成装置であって、
前記印刷部による前記XPSファイルのページの印刷順序を決定する印刷順序決定手段と、前記印刷順序決定手段によって決定された前記印刷順序で前記印刷部に印刷を行わせる印刷制御手段と、前記印刷順序に関する前記XPSファイルの印刷設定であるXPS印刷順設定を取得するXPS印刷順設定取得手段と、前記印刷順序に関する前記画像形成装置の印刷設定である装置印刷順設定を取得する装置印刷順設定取得手段と、前記XPS印刷順設定および前記装置印刷順設定の何れを優先的に適用するかを示す優先情報を記憶する優先情報記憶手段とを備えており、
前記印刷順序決定手段は、前記XPS印刷順設定取得手段によって取得された前記XPS印刷順設定と、前記装置印刷順設定取得手段によって取得された前記装置印刷順設定とのうち前記優先情報に応じた方に基づいて、前記印刷順序を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
XPSファイルを印刷する印刷部を備えている画像形成装置によって実行される画像形成プログラムであって、
前記印刷部による前記XPSファイルのページの印刷順序を決定する印刷順序決定手段と、前記印刷順序決定手段によって決定された前記印刷順序で前記印刷部に印刷を行わせる印刷制御手段と、前記印刷順序に関する前記XPSファイルの印刷設定であるXPS印刷順設定を取得するXPS印刷順設定取得手段と、前記印刷順序に関する前記画像形成装置の印刷設定である装置印刷順設定を取得する装置印刷順設定取得手段と、前記XPS印刷順設定および前記装置印刷順設定の何れを優先的に適用するかを示す優先情報を記憶する優先情報記憶手段として前記画像形成装置を機能させ、
前記印刷順序決定手段は、前記XPS印刷順設定取得手段によって取得された前記XPS印刷順設定と、前記装置印刷順設定取得手段によって取得された前記装置印刷順設定とのうち前記優先情報に応じた方に基づいて、前記印刷順序を決定することを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−203957(P2011−203957A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69947(P2010−69947)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】