説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】1つのブラシで潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーおよび逆極性のトナーを除去することができる画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】印字ジョブ後に感光体2が1周する間に、正規帯電極性と同極性の帯電バイアス(グリッド電圧)が帯電器5に印加され、感光体上に残留している正帯電トナーが負帯電トナーに変えられる。また、転写ローラに印加する転写バイアスVtを帯電器により帯電された感光体2の表面電位と同じ電位に設定している。このため、帯電器により正規帯電極性に揃えられた残留トナーは逆極性に戻されることなく、転写位置をそのまま通過し、クリーニング位置に搬送されてブラシクリーニングされる。したがって、1つのブラシで感光体2の表面に残留する正帯電トナーおよび負帯電トナーを除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜像担持体の表面にトナー像を形成し、当該トナー像を記録媒体に転写する、印字処理や印字工程を実行する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体上に形成された静電潜像を正規帯電極性のトナーにより現像することでトナー像を形成し、該トナー像を記録媒体に転写する画像形成装置および方法が知られている。この画像形成装置および画像形成方法においては、潜像担持体から記録媒体への転写効率が100%以下であるため、転写後の潜像担持体表面に少量ながら正規帯電極性のトナーが残留している場合がある。そこで、この種の画像形成装置では、潜像担持体の回転方向において転写位置よりも下流のクリーニング位置にクリーニングブレードを潜像担持体の表面に当接させて残留トナーを除去する、いわゆるブレード方式のクリーニング手段が多用されていた。
【0003】
しかしながら、近年では、画像の高精細化、プロセスの高速化および定着温度の低温化などの目的のために、これまでより粒径の小さなトナーが採用されつつある。このような小粒径トナーを用いた画像形成装置では、クリーニングブレードをすり抜けて潜像担持体からの残留トナーの除去が難しいという問題がある。
【0004】
そこで、ブレード方式に代えてブラシ方式クリーニング手段の採用が検討されている。このクリーニング手段はブラシを潜像担持体の表面に当接させて潜像担持体の表面に残留付着する正規帯電極性のトナーを除去するものである。また一般的には、静電潜像のうち本来トナーを付着させるべきでない非画像部に付着した、正規帯電極性と逆極性のトナー(いわゆるカブリトナー)も転写されずに残留しているが、上記クリーニング手段のみでは、正規帯電極性と逆極性の残留トナーも潜像担持体から除去することができない。その結果、印字処理を終了した後、潜像担持体上にトナーが残留した状態のまま放置されると、残留トナーが潜像担持体に固着し、このことが画像不良要因のひとつとなっていた。この問題を解消するためには、正規帯電極性の残留トナーだけでなく、逆極性の残留トナーも潜像担持体から除去する必要があり、例えば次のようなクリーニング技術を採用することも考えられる。
【0005】
例えば特許文献1に記載の装置では、転写位置とクリーニング位置の間にクリーニング前処理帯電器が設けられている。このクリーニング前処理帯電器では、交流を印加することにより残留トナーの除電が行われ、直流を重量することにより該残留トナーの極性が揃えられる。そして、このように残留トナーの帯電極性が揃えられていることから、クリーニング装置内への回収を極めて容易なものとしている。
【0006】
また、別の方法として、例えば特許文献2に記載の装置では、正規帯電極性の残留トナーを除去するための第1クリーニング手段と、正規帯電極性と逆極性の残留トナーを除去するための第2クリーニング手段とが設けられている。すなわち、第1クリーニング手段のブラシにはトナーの正規帯電極性と逆極性のクリーニングバイアスが印加されて潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性に帯電したトナーを除去する。一方、第2クリーニング手段のブラシにはトナーの正規帯電極性と同極性のクリーニングバイアスが印加されて潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性と逆極性に帯電した残留トナーを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−305239号公報(図2)
【特許文献2】特開平4−330482号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の装置ではブラシ以外にクリーニング前処理帯電器を別途設ける必要がある。また、特許文献2に記載の装置では、2つのブラシが必要となる。したがって、これらのクリーニング手段では、1つのブラシやブレードで残留トナーを除去する装置に比べ、追加構成を設ける分だけ装置サイズの大型化を招き、また装置コストの増大を招くという課題があった。
【0009】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、追加構成を設けることなく、1つのブラシで潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーおよび逆極性のトナーを除去することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる画像形成装置は、所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の表面に正規帯電極性を有するトナーにより形成されたトナー像を記録媒体に転写する、印字処理を実行する画像形成装置であって、上記目的を達成するため、所定の帯電位置で、潜像担持体の表面を正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、回転方向において帯電位置よりも下流の転写位置で、潜像担持体に転写部材を当接させるとともに転写部材に転写バイアスを印加して潜像担持体と転写部材の間を通過する記録媒体にトナー像を転写する転写手段と、回転方向において転写位置よりも下流のクリーニング位置でブラシを潜像担持体の表面に当接させて潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーを除去するクリーニング手段とを備え、印字処理後に潜像担持体が1周する間、正規帯電極性と同極性の帯電バイアスが帯電手段に印加され、帯電手段により帯電された潜像担持体の表面と転写手段との間で放電を生じさせず、かつ帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位と同じ若しくは正規帯電極性と同極性で表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性の転写バイアスが転写部材に印加されることを特徴としている。
【0011】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に潜像担持体を周回移動しながら、所定の帯電位置に配置された帯電手段により潜像担持体の表面を正規帯電極性の電位に帯電し、潜像担持体の表面上に正規帯電極性のトナーによりトナー像を形成し、回転方向において帯電位置よりも下流の転写位置で当該トナー像を転写手段により記録媒体に転写する印字工程と、印字工程後に、潜像担持体を1周移動しながら、潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング工程とを備え、クリーニング工程は、正規帯電極性と同極性の帯電バイアスを帯電手段に印加し、帯電手段により帯電された潜像担持体の表面と転写手段との間で放電を生じさせず、かつ帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位と同じ若しくは正規帯電極性と同極性で表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性の転写バイアスを転写手段に印加し、回転方向において転写位置よりも下流のクリーニング位置でブラシを潜像担持体の表面に当接させて潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーを除去する工程であることを特徴としている。
【0012】
このように構成された発明(画像形成装置および画像形成方法)では、印字処理や印字工程後に潜像担持体が1周する間、正規帯電極性と同極性の帯電バイアスが帯電手段に印加され、潜像担持体上に残留している正規帯電極性と逆極性のトナー、例えばカブリトナーは帯電位置を通過する際に正規帯電極性に変えられ、潜像担持体の表面に残留するトナーは帯電位置を通過した時点で全て正規帯電極性を有することとなる。こうして正規帯電極性に揃えられたトナーはクリーニング位置まで搬送されるまでに転写位置を通過する。本発明では転写手段に印加される転写バイアスは、2つの条件を満足するように設定されている。すなわち、まず最初の条件(1)は、帯電手段により帯電された潜像担持体の表面と転写手段との間で放電を生じさせないことであり、この条件(1)を満足することで転写位置で潜像担持体上のトナーの極性が大きく変えられるのを防止することができる。また、2つ目の条件(2)は、転写バイアスが次のいずれか
(2-1)帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位と同じ電位である、
(2-2)正規帯電極性と同極性で表面電位より小さい電位である、
(2-3)正規帯電極性と逆極性である、
に設定されるというものである。このような2つの条件を満足することで、上記のように帯電手段により正規帯電極性に揃えられた残留トナーは逆極性に変わることなく、潜像担持体の表面に担持されたまま転写位置を通過し、クリーニング位置に搬送される。そして、これらの正規帯電極性の残留トナーはブラシにより除去される。
【0013】
なお、印字処理(印字工程)を行っている間やクリーニング処理(クリーニング工程)を行っている間に、潜像担持体の表面に付着している正規帯電極性トナーの一部が転写手段に移る可能性がある。この場合、上記したように潜像担持体を1周させた後に潜像担持体が1周以上移動する間、転写バイアスを調整することで転写手段に移動してきた正規帯電極性のトナーを潜像担持体に戻し、ブラシにより除去することが可能である。つまり、帯電手段により帯電された潜像担持体の表面と転写手段との間で放電を生じさせず、かつ転写バイアスを正規帯電極性と同極性で帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位より大きい値に設定すればよい。
【0014】
ここで、転写バイアスを帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位と同じ電位とすると、潜像担持体上に残留している正規帯電極性トナーが潜像担持体から転写手段に移るのを確実に防止することができる。もちろん、同電位に設定した場合には潜像担持体の表面と転写手段との間で放電は発生せず、帯電手段により正規帯電極性に揃えられたトナーはそのまま転写位置を通過してクリーニング位置に搬送されてブラシにより潜像担持体の表面から除去される。
【0015】
また、ブラシに印加するクリーニングバイアスについても、2つの条件を満足させるのが望ましい。まず第1の条件は、帯電手段により帯電された潜像担持体の表面とブラシとの間で放電を生じさせない電位に設定することであり、この条件を満足することで残留トナーのブラシクリーニング能力が低下することができる。その上で、さらに第2の条件としてクリーニングバイアスが次のいずれか、
・正規帯電極性と同極性で帯電手段により帯電された潜像担持体の表面電位より小さい、
・正規帯電極性と逆極性の電位である、
に設定されることであり、この第2の条件を満足することでクリーニング位置に搬送されてきた正規帯電極性の残留トナーがブラシにより確実に除去される。このように上記2つの条件を満足させることでクリーニング位置で残留トナーを効率よく、しかも確実に潜像担持体の表面からクリーニン除去することができる。
【0016】
また、潜像担持体の表面では、トナー像が形成される画像部と、トナー像が形成されない非画像部とが混在している。これら画像部と非画像部の表面電位は互いに異なっている。そこで、回転方向において転写位置よりも下流でかつクリーニング位置よりも上流の除電位置で潜像担持体の除電を行う除電手段を設けてクリーニング前に潜像担持体の表面電位を均一に均すことで潜像担持体の表面全体を均一にクリーニングすることができる。また、このようにクリーニング前に潜像担持体の表面を除電した場合には、ブラシに印加するクリーニングバイアスが次の2つの条件を満足するように設定するのが好適である。すなわち、それらの条件の1つが、除電手段により除電された潜像担持体の表面とブラシとの間で放電を生じさせない電位に設定することであり、この条件を満足することでブラシクリーニング能力を低下させることなく良好なブラシクリーニングが可能となる。その上で、さらに第2の条件としてクリーニングバイアスが次のいずれか、
・正規帯電極性と同極性で除電手段により除電された潜像担持体の表面電位より小さい、
・正規帯電極性と逆極性の電位である、
に設定されることであり、この第2の条件を満足することで、クリーニング位置に搬送されてきた正規帯電極性の残留トナーがブラシにより確実に除去される。このように上記2つの条件を満足させることでクリーニング位置で残留トナーを効率よく、しかも確実に潜像担持体の表面からクリーニン除去することができる。
【0017】
また、帯電手段としては種々のものを用いることができるが、特にスコロトロン帯電器を帯電手段として用いるのが好ましい。例えば接触DCローラ帯電方式により潜像担持体の帯電処理を行う場合、耐久により潜像担持体表面に形成された感光体膜厚が変動するのに応じて接触DCローラ帯電により帯電処理された潜像担持体の表面電位は変化してしまう。したがって、この場合、表面電位の変化に応じて転写バイアスを変更させる必要がある。これに対し、スコロトロン帯電器では、潜像担持体の感光体膜厚にかかわらず、潜像担持体の表面電位をスコロトロン帯電器のグリッド電極に与える電位とほぼ一致し、耐久の影響を受けない。
【0018】
さらに、本発明では、印字処理後に潜像担持体の表面に残留しているトナーを帯電手段により正規帯電極性に揃えた上でブラシにより潜像担持体から除去しているので、体積平均粒径が5μm以下であり、円形度が0.95以上である、小粒径トナーであっても潜像担持体上に残留するものも確実にクリーニング除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態の主要構成を模式的に示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】図1の画像形成装置の動作を示すタイミングチャート。
【図4】図1の画像形成装置の動作(印字中)を示す模式図。
【図5】図1の画像形成装置の動作(紙間)を示す模式図。
【図6】図1の画像形成装置の動作(クリーニング1周目)を示す模式図。
【図7】図1の画像形成装置の動作(クリーニング2〜3周目)を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の一実施形態の主要構成を模式的に示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1においては、非磁性一成分系負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。すなわち、この実施形態では、負極性が「正規帯電極性」である。もちろん、正極性を正規帯電極性とする正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、単に「トナー」という場合には、トナー母粒子に外添剤が外添されてなる粒子全体を指すものとする。
【0021】
図1に示すように、この画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚(例えば25μm)の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。
【0022】
感光体2の周囲には、感光体2表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器5、感光体2表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット6、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット7、該トナー像を転写される転写ユニット8、感光体2の表面に除電光を照射して除電する除電器3およびクリーニングユニット4が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向D2(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0023】
帯電器5は感光体2の表面に接触しないものであり、この帯電器5には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bには負のワイヤ電流Iwが流されるとともに、グリッド5aには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVgが印加される。帯電器5によりトナーと同極性(負極性)のコロナ放電で感光体2が帯電されることで、感光体2の表面の電位が略均一の負電位、より具体的には画像形成時に設定される電位Voに設定される。
【0024】
露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLにより感光体2表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。より具体的には、図2に示すように、画像信号を生成するホストコンピュータなどの外部装置からインタフェース112を介して画像信号が与えられると、この画像信号が画像処理ユニット111によって所定の処理を施される。この画像信号は、装置全体の動作を制御するCPU101を介して露光ユニット6に受け渡される。露光ユニット6は画像信号に応じて感光体2表面に光ビームLを照射して露光し、露光された感光体2の表面領域(露光部)では電荷が中和されて、露光されなかった表面領域(非露光部)とは異なる表面電位に変化する。こうして感光体2上に画像信号に対応した静電潜像が形成される。
【0025】
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット7からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像ユニット7は、現像ローラ7aが感光体2に接触しない非接触現像方式の現像器である。現像ローラ7aは感光体2と所定のギャップを隔てて対向配置されており、図1の矢印方向D7に回転駆動される。現像ローラ7aには現像バイアス電源71から所定の現像バイアスVbが印加される。
【0026】
また、転写ユニット8は本発明の「転写部材」として転写ローラ8aを有している。この転写ローラ8aは感光体2に圧接されて転写ニップ部を形成しており、当該転写ニップ部に対して記録紙、用紙などの記録媒体Mが搬入される。また、転写ローラ8aには転写バイアス電源81からトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスVtが印加されており、その作用により感光体2上で現像されたトナー像が記録媒体Mに転写される。こうしてトナー像が転写された記録媒体Mは図示を省略する搬送機構により定着ユニット9に搬送され、当該定着ユニット9よって記録媒体M上に永久定着されて出力される。
【0027】
クリーニングユニット4は、回転可能に設けられたブラシローラ4aを有している。このブラシローラ4aは金属製の芯材で形成されており、当該ブラシローラ4aに対し、例えばアクリル−カーボン、ナイロン−カーボン、ポリエステル−カーボン、ポリプロピレン−カーボンなどの導電性ブラシ毛4bが複数本巻き付けられており、これらのブラシ毛4bが感光体2の表面に当接するようにブラシローラ4aが配設されている。ブラシローラ4aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛4bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛4bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)、すなわちいわゆるウィズ回転で回転するように構成されている。なお、本実施形態では、ブラシ原糸抵抗が1.0×10〜1.0×10Ωの導電性ブラシ毛4bを用いている。
【0028】
このブラシローラ4aには、トナーの正規帯電極性とは逆極性、つまり正極性の直流(DC)のクリーニングバイアスVbrが印加される。これにより、転写位置、つまり転写ニップ部を通過した感光体2上の転写残りトナー(残留トナー)のうち、正規帯電極性に帯電したものがブラシローラ4aへ引き寄せられてブラシ毛4bに付着する。このようにブラシ方式のクリーニングユニット4を用いることで、ブレード方式のクリーニングユニットでは回収が困難であった小粒径トナー(例えば体積平均粒径が5μm以下であり、トナーの円形度は0.95以上であるトナー)についても確実に感光体2の表面から回収除去可能となっている。
【0029】
なお、以下の説明においては、感光体2と帯電器5との対向位置を帯電位置CP、感光体2表面に露光ユニット6からの光ビームLが照射される位置を露光位置EP、感光体2と現像ローラ7aとの対向位置を現像位置DP、感光体2と転写ローラ8aとの当接位置を転写位置TP、除電光が照射される位置をクリーニング前除電位置PP、感光体2にクリーニングユニット4が当接する位置をクリーニング位置BPと称する。この実施形態では、これらの各位置が感光体2の回転方向D2の上流側から下流側に向けて上記順序で設けられている。
【0030】
次に上記のように構成された実施形態の動作について図3ないし図7を参照しつつ説明する。図3は図1の画像形成装置の動作を示すタイミングチャートである。また、図4ないし図7は図1の画像形成装置の動作を示す模式図であり、各図中の白丸印は負帯電トナーを示す一方、斜線が付された丸印は正帯電トナーを示している。
【0031】
このように構成された画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号を含む印字指令信号がCPU101(図2参照)に与えられると、このCPU101からの指令に応じて装置各部が所定の画像形成動作を実行し、記録媒体Mたる記録紙に画像信号に対応する画像を形成する。なお、図3のタイミングチャートでは、6枚の記録紙Mに画像を形成する印字ジョブを本発明の「印字処理」や「印字工程」として実行した後、クリーニングシーケンスを本発明の「クリーニング工程」として実行する動作が一例として図示されている。以下、この動作例に沿って実施形態の特徴について説明する。
【0032】
印字ジョブが開始されると、帯電器5のチャージワイヤ5bに負のワイヤ電流Iwが流されるとともに、グリッド5aには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVgが印加される。この実施形態では、−600Vのグリッド帯電バイアスVgが印加される。これにより、トナーと同極性(負極性)のコロナ放電で感光体2が帯電されることで、感光体2の表面電位は略均一な負電位(−600V)に設定される。なお、帯電器5へのバイアス印加は印字ジョブの開始からクリーニングシーケンスの完了まで継続される。
【0033】
こうして負帯電された感光体2の表面に画像信号に応じた光ビームLが露光されて画像信号に対応する静電潜像が形成される。このように露光された感光体2の表面領域が「露光部」であり、露光されなかった表面領域、つまり「非露光部」とは異なる表面電位に変化している。この静電潜像は現像ユニット7によりトナー現像される。この実施形態では、体積平均粒径が5μm以下であり、円形度が0.95以上である重合トナーが用いられている。このため、高精細なトナー像を感光体2の表面に形成することができる。
【0034】
また、トナー像が転写位置TPに搬送されてくると、転写ユニット8により記録紙Mに転写される。このとき、転写ユニット8の転写ローラ8aには転写バイアス電源81から転写バイアスVtとして+1500Vが印加されており、その作用により感光体2上で現像されたトナー像が1枚の記録紙Mに転写される。また、記録紙Mへの転写が完了するたびに転写ローラ8aに印加される転写バイアスVtは+200Vに落とされる。これにより感光体2の表面電位が正電位側に帯電されるのを防止しながら感光体2の表面電位V0と転写バイアスVtの電位差を800Vに設定している。一般的な装置構成である感光層膜厚25μmの感光体2では放電開始電圧は600V程度であるため、上記のように電位差を800Vに設定することで感光体2と転写ローラ8aの間で放電が発生し、これによって転写位置TPに移動してくる感光体2上の負帯電トナーを正極性化して転写ローラ8aに移り難くしている。ただし、紙間中に転写位置TPに移動してきた負帯電トナーの全てを正極性化することは困難であり、図5に示すように一部の負帯電トナーは負極性のまま転写ローラ8aに移ってしまう。また、次の記録紙Mに対して転写処理を行う際には再び転写バイアスVtは1500Vに上げられる。つまり、印字ジョブ実行中の転写バイアスは、図4に示すように印字中においては+1500Vに設定される一方、図5に示すように紙間においては+200Vに設定される。なお、上記のようにしてトナー像が転写された記録紙Mは定着ユニット9に搬送されて所定の定着処理を受けた後、トレイ(図示省略)上に出力される。
【0035】
転写位置TPを通過してきた感光体2の表面領域は除電器3からの除電光を受けて除電され、露光部と非露光部との表面電位差がなくなり、感光体2の表面電位が所定電位、本実施形態では−50Vに均された後、クリーニング位置BPでクリーニングユニット4によりブラシクリーニングされる。この実施形態では、図3に示すように、印字ジョブの開始からクリーニングシーケンスの完了までクリーニングバイアスVbrとして+500Vがブラシローラ4aに印加されている。つまり、本実施形態では除電された感光体2の表面電位とクリーニングバイアスVbrの電位差は550V程度であり、放電開始電圧よりも低い電位差に抑えられている。したがって、感光体2とブラシとの間で放電が発生することなく、放電発生によるブラシクリーニング能力を低下させることなく、残留トナーを確実に感光体2からクリーニング除去することができる。つまり、転写位置TPおよび除電位置を通過してきた感光体2上の転写残りトナー(残留トナー)のうち、正規帯電極性に帯電した負帯電トナーがブラシローラ4aへ引き寄せられてブラシ毛4bにより感光体2の表面からクリーニング除去される。
【0036】
一方、正帯電トナーについてはクリーニングユニット4により回収されずに、そのまま帯電位置CPに移動し、その大半が負極性に帯電する。そして、印字中には現像ローラ7aに戻される。ただし、その際現像ローラ7aから正帯電トナーがカブリトナーとして感光体2に供給されるので、図4および図5に示すように印字ジョブ中には感光体2上には常に一定量の正帯電トナーが存在する。
【0037】
このようにトナーが感光体2上に残留したまま長時間放置されると、トナーが感光体2に固着されて画像不良を招くおそれがある。また、転写ローラ8a上にも負帯電トナーが残留することになるため、記録紙Mの裏面(紙裏)にトナーが付着して汚すという問題も発生する。そこで、本実施形態では、印字ジョブが完了した後、図3、図6および図7に示すクリーニングシーケンスが実行される。
【0038】
このクリーニングシーケンスでは、印字ジョブ完了後も感光体2を2ないし3周回転させるとともに、その間、−600Vのグリッド帯電バイアスVgが帯電器5に印加される。このため、感光体2の表面電位V0が−600Vとなるとともに、感光体2の表面に残留している正帯電トナーは帯電位置CPで負電位に帯電して負帯電トナーとなる。また、現像バイアスはOFF状態となり、感光体2から現像ローラ7aへの負帯電トナーの回収はなくなるものの、現像ローラ7aから感光体2へのカブリトナーの供給もなくなる。また、印字ジョブ完了後に感光体2を1周させる間、転写バイアスVtは帯電器5により帯電した感光体2の表面電位V0と同じ電位、つまり−600Vに設定される。このように表面電位V0と転写バイアスを同電位に設定することでトナー極性を問わず感光体2から転写ローラ8aにトナーは移り難くなっている。もちろん、表面電位V0と転写バイアスを同電位に設定しているため、感光体2と転写ローラ8aの間で放電は発生しない。よって、図6に示すように、印字ジョブ後に感光体2を1周させる間に正帯電トナーは負極性化されて感光体2の表面に残留するトナーは負極性に揃えられる。なお、この実施形態では、クリーニングシーケンスにおいてもクリーニング前に除電光を感光体2の表面に照射して感光体2の表面電位を−50Vに均すとともに、クリーニングバイアスVbrを+500Vに設定してクリーニングユニット4により負帯電トナーを確実に、しかも効率よく回収可能となっている。
【0039】
上記した図6に示す「ジョブ後のクリーニング1周目」の動作によりクリーニングユニット4により残留トナーがクリーニング回収されていくが、さらに転写ローラ8aに付着している負帯電トナーも回収するために、本実施形態では図3および図7に示すように感光体2をさらに1周または2周回転させるとともに、転写バイアスVtを−1000Vまで大きくして転写ローラ8aから感光体2に負帯電トナーを移している。なお、この実施形態では感光体2の表面電位と転写バイアスVtの電位差を放電開始電圧(600V)よりも小さく設定しているため、当該クリーニングシーケンスにおいては感光体2と転写ローラ8aの間で放電が発生するのを防止している。したがって、転写ローラ8aや感光体2の表面に付着するトナーが正極性化されることなく、負極性を保ったままクリーニング位置BPに搬送されてクリーニングユニット4により確実に回収される。
【0040】
このように図6に示す「ジョブ後のクリーニング1周目」により感光体2の表面に残留しているトナーの極性を正規帯電極性に揃えるとともにブラシクリーニングにより回収し、さらに図7に示す「ジョブ後のクリーニング2〜3周目」により転写ローラ8aに付着するトナーを含めて全残留トナーをクリーニングユニット4により回収する。こうしてクリーニングシーケンスが完了すると、除電光の照射が停止されるとともに、各部のバイアス印加が停止される。そして、次の印字指令信号が送られてくるのを待機する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、印字ジョブ(本発明の「印字処理」や「印字工程」に相当)後に感光体2が1周する間に、正規帯電極性(本実施形態では「負極性」)と同極性の帯電バイアスVgが帯電器5に印加され、感光体2上に残留している正帯電トナーを負帯電トナーに変えている。また、転写ローラ8aに印加する転写バイアスを帯電器5により帯電された感光体2の表面電位と同じ電位に設定している。このため、上記のように帯電器5により正規帯電極性に揃えられた残留トナーは逆極性に戻されることなく、転写位置TPをそのまま通過し、クリーニング位置BPに搬送されてブラシクリーニングされる。したがって、1つのブラシ(ブラシローラ4a+ブラシ毛4b)で感光体2の表面に残留する正帯電トナーおよび負帯電トナーを除去することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、図5に示すように印字ジョブ中に感光体2の表面に付着している正規帯電極性トナーの一部が転写ローラ8aに移ってしまうが、図7に示すように転写バイアスVtを帯電器5により帯電された感光体2の表面と転写ローラ8aとの間で放電を生じさせず、かつ正規帯電極性と同極性で帯電器5により帯電された感光体2の表面電位V0より大きい値に設定している。このため、図7に示すように転写ローラ8aに付着するトナーは感光体2に戻された後、クリーニング位置BPに搬送されてクリーニングユニット4により回収される。したがって、記録紙Mの裏面がトナーで汚れるのを効果的に防止することができる。
【0043】
また、上記実施形態ではブラシクリーニング前に除電光により感光体2の表面電位を均一に均すことで露光部に付着する残留トナーについても、また、非露光部に付着する残留トナーについてもブラシクリーニングに適した状態に調整されている。したがって、感光体2の表面全体を均一にクリーニングすることができる。
【0044】
さらに、帯電器5としては種々のものを用いることができるが、本実施形態では特にスコロトロン帯電器を帯電器5として用いているため、次のような作用効果が得られる。すなわち、例えば接触帯電方式により感光体2の帯電処理を行う場合には、耐久により感光体2表面に形成された感光体膜厚が変動するのに応じて帯電処理された感光体2の表面電位V0は変化する。したがって、クリーニングシーケンスを適切に行うためには、耐久に基づく表面電位V0の変化に応じて転写バイアスVtを変更設定する必要がある。これに対し、本実施形態では感光体2の感光体膜厚にかかわらず、感光体2の表面電位は帯電器5のグリッド電極に与える電位Vgとほぼ一致するため、接触帯電方式を採用した場合よりも制御を簡素化することができる。
【0045】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、図6に示すように「ジョブ後のクリーニング1周目」において転写ローラ8aに印加する転写バイアスVtを帯電器5により帯電された感光体2の表面電位V0と同じ−600Vに設定しているが、正極性側の電位、つまり正規帯電極性と同極性で表面電位V0より小さい電位、または正規帯電極性と逆極性の電圧を印加してもよい。ただし、当該設定電位と表面電位V0の電位差が放電開始電圧以上となり、感光体2の表面と転写ローラ8aの間で放電を生じてしまうと、負極性に揃えた感光体表面上のトナーの一部が正極性に変わってしまう。したがって、「ジョブ後のクリーニング1周目」において転写ローラ8aに印加する転写バイアスVtについては、「課題を解決するための手段」の項に記載した条件(1)および条件(2)を満足するように設定すればよく、これにより上記実施形態と同様に、帯電器5により正規帯電極性に揃えられた残留トナーを逆極性に戻すことなく、転写位置TPを通過し、クリーニング位置BPで感光体2上の残留トナーをブラシクリーニングすることができる。また、上記条件(1)および(2)を満足させる限り、クリーニングシーケンスにおける帯電バイアスを印字ジョブと相違させてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、印字ジョブ後に感光体2を1周させて図6の「ジョブ後のクリーニング1周目」の動作を実行しているが、感光体2を1周以上移動させながら当該「ジョブ後のクリーニング1周目」と同一の動作を実行してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、除電器3によるクリーニング前除電を行っているが、これは必須構成要件ではなく、クリーニング前除電を省略することも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、クリーニングバイアスVbrを+500Vに設定しているが、その値に限定されるものではなく、除電器3によるクリーニング前除電された感光体2の表面とブラシとの間で放電を生じさせない電位で、しかも感光体2の表面電位よりも正極性側の電位(つまり、正規帯電極性と同極性で除電器3により除電された感光体2の表面電位より小さい電位、または正規帯電極性と逆極性の電位)に設定することができる。なお、上記したように除電器3によるクリーニング前除電を行わない装置では、帯電器5により帯電された感光体2の表面とブラシとの間で放電を生じさせない電位で、しかも感光体2の表面電位よりも正極性側の電位(つまり、正規帯電極性と同極性で帯電器5により帯電された感光体2の表面電位より小さい電位、または正規帯電極性と逆極性の電位)に設定すればよく、上記と同様にクリーニングユニット4により正規帯電極性のトナーを確実に、しかも効率よく回収可能となる。
【0049】
さらに、上記実施形態では、小粒径トナーを用いてトナー像を形成する画像形成装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、感光体などの潜像担持体の表面に帯電トナーによりトナー像を形成し、当該トナー像を記録紙や用紙などの記録媒体に転写する画像形成技術全般に適用することができる。
【実施例】
【0050】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
本願発明者は、クリーニングシーケンスの有効性を検証するため、温度35゜C、湿度65%の環境にて実施例1、比較例1および比較例2でA4記録紙1000枚に対して印字処理を行った後、12時間放置し、当該放置直後に印字処理を行った際に、記録紙の表面(印字面)における印字面汚れや裏面(転写ローラ8aと当接する面)における紙裏汚れが発生しているか否かを目視確認した。
実施例1:
印字処理を100枚行うたびに図3、図6および図7に示すクリーニングシーケンスを1回実行し、かつ1000枚印字処理後も同クリーニングシーケンスを実行した後に放置した。
比較例1:
印字処理を100枚行うたびに同クリーニングシーケンスを1回実行するものの1000枚印字処理後には同クリーニングシーケンスを実行することなく放置した。
比較例2:
クリーニングシーケンスを全く行うことなく、印字処理を実行した後に放置した。
そして、12時間放置直後に印字処理を行い、各記録紙の表面(印字面)と裏面(転写ローラ8aと当接する面)の汚れを目視観察した。
【0052】
その結果、実施例1では印字面汚れは認められないのに対し、比較例1および比較例2では印字面汚れが生じていた。また、実施例1および比較例1では紙裏汚れは認められないのに対し、比較例2では紙裏汚れが生じていた。このようにクリーニングシーケンスを全く行わない比較例2では、従来技術と同様に、長時間放置により画像不良が生じる。また、比較例1ではクリーニングシーケンスが行われるもの、放置前にクリーニングシーケンスが行われていないため、印字面汚れが発生している。これについては次のように考察することができる。すなわち、比較例1は100枚ごとのクリーニングシーケンスにより転写ローラ8aへのトナー付着は抑えられるため、紙裏汚れが発生しないが、放置前にクリーニングシーケンスを行っていないため、感光体2の表面にトナーが残留したまま放置されて感光体2表面でのトナー固着、特に転写ローラ8aが当接して転写ニップ部が形成されている表面領域でのトナー固着が発生していると考えられる。そして、このトナー固着の存在により露光が遮られて画像不良が発生したものと推測される。これらの検証結果から、印字処理や印字工程が完了した後にクリーニングシーケンスを実行して長時間放置に備えることが画像不良を防止する上で非常に重要であることがわかる。
【符号の説明】
【0053】
1…画像形成装置、 2…感光体(潜像担持体)、 3…除電器(除電手段)、 4…クリーニングユニット、 4a…ブラシローラ、 4b…導電性ブラシ毛、 5…帯電器、 5a…グリッド、 5b…チャージワイヤ、 8…転写ユニット、 8a…転写ローラ(転写部材)、 81…転写バイアス電源、 BP…クリーニング位置、 CP…帯電位置、 D2…回転方向、 M…記録紙(記録媒体)、 TP…転写位置、 Vbr…クリーニングバイアス、 Vg…帯電バイアス、 Vt…転写バイアス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の表面に正規帯電極性を有するトナーにより形成されたトナー像を記録媒体に転写する、印字処理を実行する画像形成装置において、
所定の帯電位置で、前記潜像担持体の表面を正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、
前記回転方向において前記帯電位置よりも下流の転写位置で、前記潜像担持体に転写部材を当接させるとともに前記転写部材に転写バイアスを印加して前記潜像担持体と前記転写部材の間を通過する前記記録媒体に前記トナー像を転写する転写手段と、
前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置でブラシを前記潜像担持体の表面に当接させて前記潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーを除去するクリーニング手段とを備え、
前記印字処理後に前記潜像担持体が1周する間、
正規帯電極性と同極性の帯電バイアスが前記帯電手段に印加され、
前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面と前記転写手段との間で放電を生じさせず、かつ前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面電位と同じ若しくは正規帯電極性と同極性で前記表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性の転写バイアスが前記転写手段に印加される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印字処理後に前記潜像担持体が1周する間、前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面電位とほぼ同一の転写バイアスが前記転写手段に印加される請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印字処理後に前記潜像担持体が1周する間、前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面と前記ブラシとの間で放電を生じさせず、かつ正規帯電極性と同極性で前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性のクリーニングバイアスが前記ブラシに印加される請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転方向において前記転写位置よりも下流でかつ前記クリーニング位置よりも上流の除電位置で前記潜像担持体の除電を行う除電手段を備える請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印字処理後に、前記除電手段により除電された前記潜像担持体の表面と前記ブラシとの間で放電を生じさせず、かつ正規帯電極性と同極性で前記除電手段により除電された前記潜像担持体の表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性のクリーニングバイアスが前記ブラシに印加される請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電手段はスコロトロン帯電器である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーの体積平均粒径が5μm以下であり、前記トナーの円形度は0.95以上である請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
所定の回転方向に潜像担持体を周回移動しながら、所定の帯電位置に配置された帯電手段により前記潜像担持体の表面を正規帯電極性の電位に帯電し、前記潜像担持体の表面上に正規帯電極性のトナーによりトナー像を形成し、前記回転方向において前記帯電位置よりも下流の転写位置で前記トナー像を転写手段により記録媒体に転写する印字工程と、
前記印字工程後に、前記潜像担持体を1周移動しながら、前記潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング工程とを備え、
前記クリーニング工程は、
正規帯電極性と同極性の帯電バイアスを前記帯電手段に印加し、
前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面と前記転写手段との間で放電を生じさせず、かつ前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体の表面電位と同じ若しくは正規帯電極性と同極性で前記表面電位より小さい又は正規帯電極性と逆極性の転写バイアスを前記転写手段に印加し、
前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置でブラシを前記潜像担持体の表面に当接させて前記潜像担持体の表面に残留する正規帯電極性のトナーを除去する工程である
ことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−224402(P2010−224402A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73850(P2009−73850)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】