説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】用紙情報の管理のためにロール紙を消費しないようにし、ロール紙を有効に使用する。
【解決手段】画像形成装置1は、ロール状に巻かれたロール紙5を引き出してロール紙5に画像を形成する。この画像形成装置1は、ロール紙5の用紙情報に対応した用紙情報コードを、人の視覚で認知不能な用紙情報画像としてロール紙5に記録する記録手段44と、ロール紙5に記録された用紙情報画像を読み取る読取手段56と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、特にロール紙の用紙情報の管理を行なう画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙に印刷して画像を形成し、ロール紙(以下、用紙と呼ぶことがある。)をカッターにてカットしてカット紙として排出する画像形成装置がある。このような画像形成装置において、ロール紙を画像形成装置から取り出しても、用紙の種類や残量や幅などの情報(以後、用紙情報と表記)を維持管理できるようにしたものが知られている(特許文献1参照。)。このような画像形成装置は、取り出されたロール紙を再び装置に装着したときに、取り出される直前の用紙情報を引き継ぐよう構成されている。そのため、ユーザは、未使用のロール紙を画像形成装置に取り付けたときに用紙情報を一度だけ設定すればよく、容易に用紙情報を管理できるようになっている。
【0003】
用紙情報を管理する方法として、ロール紙の先端に用紙の種類や残量などの用紙情報を特定するバーコードを印刷する方法が実用化されている。まず、ユーザが未使用の新しいロール紙を画像形成装置に取り付けると、操作パネルなどからロール紙の種類やロール紙の長さなどの用紙情報を入力する。取り付けられたロール紙の使用中、入力された用紙情報は画像形成装置内に保持される。保持している用紙情報は、ユーザが印刷ジョブで指定した用紙情報と合致しているかを判断するために用いられたり、用紙の搬送や画像処理の制御パラメータを決定したりするために用いられる。また、ロール紙の長さは用紙の残量の初期値として使用され、印刷が行なわれるたびに使用した長さ分だけ減算して用紙の残量を算出する。用紙の残量は、ユーザによって指定された画像形成ジョブ(印刷ジョブ)を印刷可能かどうか判断するために用いられる。ロール紙を装置から取り出すときに、用紙の種類や残量を表すバーコードをロール紙の先端に印刷する。ユーザが再びロール紙を装置に装着したときに、画像形成装置がバーコードを読み取って、用紙の種類や残量に関する情報に変換し、以後の処理は変換された情報に基づいて動作する。このようにすることにより、バーコードが印刷されたロール紙を装置に装着した場合は、用紙の種類や残量をユーザが入力する手間を省くことができる。
【0004】
画像形成装置がバーコードを読み取った後、ロール紙が取り付けられている間は、用紙情報は画像形成装置内で管理されるため、ロール紙に印刷されたバーコードは不要となる。そのため通常は、バーコードを読み取った後にロール紙の先端のバーコードが印刷された部分は、カッターにてカットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−208464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した画像形成装置では、バーコードが印刷されたロール紙を画像形成装置に取り付けたとき、バーコードが印刷された部分に印刷することができないため、バーコードが印刷された部分はカットされて捨てられる。そのため、ロール紙の着脱を行なうたびに所定量の部分が消費されてしまい、本来の目的である印刷ジョブに基づく画像の形成に使用できる用紙の部分が少なくなってしまう。特に、大判印刷が可能な画像形成装置では、さまざまな種類の用紙で印刷が可能となっており、ユーザが複数種類のロール紙を取り替えながら印刷する場合が多い。そのような場合、ロール紙を取り替えるたびに所定量の用紙が消費されてしまうという課題がある。したがって、ロール紙の着脱を繰り返したときに用紙の消費量が低減される用紙情報の管理方法が求められている。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたもので、ロール紙を有効に使用できる画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のような課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、ロール状に巻かれたロール紙を引き出して該ロール紙に画像を形成する画像形成装置であって、前記ロール紙の用紙情報に対応した用紙情報コードを、人の視覚で認知不能な用紙情報画像として前記ロール紙に記録する記録手段と、前記ロール紙に記録された前記用紙情報画像を読み取る読取手段と、を備えている。
【0009】
本発明の画像形成装置の制御方法は、ロール状に巻かれたロール紙を引き出して該ロール紙に画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、前記ロール紙を前記画像形成装置から取り出す際に、該ロール紙の用紙情報に対応した用紙情報コードを、人の視覚で認知不能な用紙情報画像として前記ロール紙に記録するステップと、前記ロール紙を前記画像形成装置に装着した際に、該ロール紙に記録されている用紙情報画像を読み取る読取ステップと、を有する。
【0010】
また、上記の画像形成装置の制御方法をコンピュータにより実行させるプログラムや、当該プログラムを格納してコンピュータで読み取り可能な記憶媒体も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、用紙情報画像は、人の視覚で認知できないように、ロール紙に形成される。そのため、用紙情報画像の上に他の画像、例えば本体の画像形成ジョブ(印刷ジョブ)に基づく画像を重ねて印刷しても、画像形成ジョブに基づく画像の品質が損なわれない。したがって、用紙情報画像が形成された部分も印刷ジョブに基づく画像の形成に使用できるため、用紙情報の管理だけのためにロール紙を消費する必要はなくなり、ロール紙を有効に使用することができる。特に、さまざまな種類のロール紙を頻繁に取り替えて使用するユーザにとっての効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施例の画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】第1〜第2の実施例の画像形成装置の構成の概要を示したブロック図である。
【図3】第1〜第2の実施例の画像形成装置の構成の概要を示した図である。
【図4】第1〜第2の実施例での動作を示すフローチャートである。
【図5】第1〜第2の実施例での動作を示すフローチャートである。
【図6】第1〜第2の実施例での動作を示すフローチャートである。
【図7】第1〜第2の実施例での動作を示すフローチャートである。
【図8】第1〜第2の実施例での用紙情報コードについて示した図である。
【図9】第1の実施例での動作を示すフローチャートである。
【図10】第1〜第2の実施例での用紙情報コードの合致度の計算について示した図である。
【図11】第2の実施例の画像形成システムの構成を示す図である。
【図12】第2の実施例での動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の実施例では、ロール状に巻かれたロール紙(用紙)にインクを吐出して画像を形成する画像形成装置を例に挙げて説明するが、本発明は、任意の方法でロール紙に画像を形成する画像形成装置全般に適用できる。ここで、画像とは、文字や記号などを含み、さらに人の目で知覚できないものも含むものとする。
【0014】
(第1の実施例)
図1(a)は、本発明の第1の実施例の画像形成装置1を示す図である。画像形成装置1は、外部から入力した情報や、あらかじめ内部に保持している情報を元に用紙に印刷を行なう。本実施例では、複数のホストコンピュータ(以下、「ホスト」とも呼ぶ)2がネットワークハブ3及びネットワークケーブル4を介して画像形成装置1と接続されている。ホスト2から画像形成装置1に印刷データの情報や画像形成装置1を制御するための情報(以下印刷ジョブと表記)が転送される。画像形成装置1は、ロール状に巻き取られたロール紙(以下、単に「用紙」と呼ぶことがある。)をセットしておくことができる。メインカバー6は、ロール紙5を着脱するときや、後述するヘッドやカッターユニットを交換するときに開けられる。図1(a)ではメインカバーが閉められた状態を示している。リリースレバー7は、後述するローラをプラテンに押し付けてロール紙5を保持した状態にしたり、プラテンから離してロール紙5を着脱可能とする。図1(a)ではロール紙を保持した状態を示している。操作キー8は、画像形成装置1の動作に関するさまざまな設定を行なったり、画像形成装置1を単独で使用する場合に操作される部分である。表示パネル9は、画像形成装置1の状態を表示したり、操作キー8を用いて画像形成装置1の動作設定を行なう場合の設定内容を表示したりする。印刷する用紙の種類や印刷画質なども操作キー8及び表示パネル9で設定することができる。画像形成装置1はインクタンクカバー53を備えており、インクタンクカバー53を開けることにより後述するインクタンクの装着や交換を行なう。
【0015】
図1(b)は、画像形成装置1のメインカバー6を開けた状態及びリリースレバー7を解除した状態を示している。メインカバー6の内部にはキャリッジ10及びそれと一体となったカッターユニット11が設けられている。キャリッジ10及びカッターユニット11は、図の左右方向に移動して、ロール紙に印刷したり及びロール紙をカットしたりする。引き出されたロール紙はプラテン12上を図1の前後方向に搬送される。
【0016】
図2は、画像形成装置1の構成の概要を示したブロック図である。図2において、画像形成装置1はコントローラ部13とエンジン部14を備えている。コントローラ部13は、ホスト2から印刷ジョブが入力され、印刷ジョブの解析などの処理を行なって、エンジン部14で印刷可能な形式の印刷データを生成する。また、コントローラ部13は、操作キー8からの入力を受け付けて画像形成装置1の動作環境の設定などを行なうとともに、表示パネル9に画像形成装置1の状態表示やユーザに対して操作キー8による操作を促すための表示などを行なう。エンジン部14は、ロール紙の給紙(引き出し)を行ない、コントローラ部13で生成された印刷データをロール紙に印刷して排紙する。エンジン部14で用紙詰まりや用紙切れなどの異常が発生した場合はコントローラ部13に通知され、コントローラ部13は表示パネル9に異常が発生したことを表示したり、ホスト2への通知処理などを行なう。
【0017】
次に、コントローラ部13の内部構成について説明する。コントローラ部13は、コントローラマイコン(制御部)17、システムメモリ18、インターフェース回路19(以下I/F回路と表記)、受信バッファ20、画像処理回路21、コントローラメモリ(記憶手段)22などを備えている。
【0018】
次に、図2のブロック図に示された各構成要素おける動作について説明する。外部から入力された印刷ジョブの解析、画像処理、ビットマップへの変換処理などの制御はコントローラマイコン17が司る。印刷データの流れは次のようになる。ホスト2から入力された印刷ジョブはI/F回路19を介して受信バッファ20に格納され、印刷ジョブを受信したことがI/F回路19からコントローラマイコン17に通知される。印刷ジョブには、画像データや、用紙のサイズや種類などのさまざまな設定情報が含まれる。コントローラマイコン17は受信した印刷ジョブを解析し、画像処理回路21やエンジン部14に指示を送る。受信バッファ20に格納された画像データは画像処理回路21により画像処理されてビットマップ形式とされ、コントローラメモリ22に格納された後、エンジン部14へ送出される。
【0019】
コントローラマイコン17は操作キー8の操作内容に応じて適切な処理を行なう。また、エンジン部14からは、印刷の状況やエラーが発生時のエラーの内容などがコントローラマイコン17に通知される。コントローラマイコン17は、その通知に基づいて、表示パネル9に所定の表示をしたり、ホスト2に通知したりする。
【0020】
図3(a)はエンジン部14の内部構成を示す図であり、画像形成装置1を横から見た場合のイメージを示している。図3(a)は、ロール紙5が給紙されておらず、メインカバー6が開かれており、かつリリースレバー7が解除された状態を示している。エンジン部14は、エンジンマイコン41、エンジンメモリ42、キャリッジモータ43、ヘッド44、ヘッドドライバ45を備えている。エンジン部14は、ローラ46、LFモータ47、給紙センサ48、排紙センサ49、カッターモータ50、ソレノイド51、プログラムメモリ52、インクタンクカバー53、インクタンク54、インクチューブ55をさらに備えている。本実施例では、インクタンク54及びインクチューブ55は6色分あるものとする。また、画像形成装置1は、用紙センサ56および信号処理回路57を備えている。給紙センサ48や排紙センサ49などは、ロール紙の搬送経路上に配置されている。
【0021】
図3(a)のようにメインカバー6が開いていてリリースレバー7が解除されている状態では、ローラ46やキャリッジ10の駆動は行なわれない。また、リリースレバー7の解除によりローラ46がプラテン12から離れた状態になっているため、ロール紙5をプラテン12上に挿入することができる。メインカバー6及びリリースレバー7を閉じると、ロール紙5の給紙及び印刷動作が開始される。
【0022】
図3(b)は、ロール紙5が給紙され、メインカバー6及びリリースレバー7が閉じられた状態を示している。図3(b)のブロック図において、各構成要素の動作について説明する。ロール紙5の給紙と排紙や、インクを吐出するヘッド(記録手段)44の制御などの全ての制御はエンジンマイコン(制御部)41が司る。コントローラ部13から送出されたビットマップの情報は、エンジンメモリ(記憶手段)42に格納される。ロール紙5の給紙と排紙は、ユーザがロール紙5の先端を給紙部に挿入後、LFモータ47を駆動してローラ46を回転させることにより行なわれる。ここで、給紙部とは、ヘッド44やカッターユニット11が配置された部分に繋がる搬送経路の上流側の端部である。給紙と排紙が正常に動作しているかどうかは、給紙センサ48と排紙センサ49によりロール紙5の有無を検知することにより判別される。
【0023】
用紙センサ(読取手段)56はキャリッジ10上に設けられており、用紙の有無や濃度を検知する。用紙の紙面に平行、かつ用紙の搬送方向に垂直な方向にキャリッジ10を往復運動させながら用紙の有無を連続的に検知することにより、用紙の幅が検出できる。また、用紙の濃度を連続的に検知することにより、用紙に印刷されている画像パターンを検出することができる。用紙センサ56は、ロール紙に形成されている用紙情報画像を読み取ることもできる。用紙センサ56としては、例えば光学的なセンサを用いることができる。用紙センサ56で検出した信号は、信号処理回路57により増幅されてエンジンマイコン41に取り込まれる。ロール紙5の有無を検知する場合と濃度を検知する場合とで信号の増幅度を変化させることにより、精度よく信号を検出することができる。ヘッド44はキャリッジ10と一体になっており、ヘッドドライバ45により駆動される。インクタンク54内のインクは、インクチューブ55を通ってヘッド44へ供給される。キャリッジ10はキャリッジモータ43により、用紙の紙面に平行かつ用紙の搬送方向に垂直な方向に往復運動を行う。この往復運動にともなって、ヘッド44からインクを吐出してロール紙5上に画像を形成する。画像の形成が終了すると、キャリッジ10と一体となったカッターユニット11がカッターモータ50により降下し、キャリッジ10を往復移動させることによりロール紙5を切断する。ロール紙5の給紙中及びロール紙への画像形成中は、ソレノイド51によりメインカバー6及びリリースレバー7が閉じた状態にロックされることが好ましい。これにより、メインカバー6を開けたり、リリースレバー7を解除することはできないようになっている。給紙センサ48と排紙センサ49によりロール紙5が詰まったことを検知した場合は、画像の形成を中止し、コントローラ部13に通知する。
【0024】
図4、図5、図6、図7および図10は本発明の第1の実施例の動作を示すフローチャートである。これらのフローチャートは、図2に示すシステムメモリ18及び図3(a),図3(b)に示すプログラムメモリ52に内蔵され、コントローラマイコン17及びエンジンマイコン41で処理されるプログラムの処理フローを示す。コントローラマイコン17及びエンジンマイコン41は、協調して図4〜図7および図10に示すプログラムフローに従って制御動作を実行する。
【0025】
図4に示すフローでは、ユーザがロール紙を画像形成装置1に装着するときの処理を示している。以下に、このフローの各ステップに沿って説明する。
【0026】
ステップS101では、画像形成装置1にロール紙5が挿入されるまで待ち、挿入されたらステップS102に進む。ロール紙5の挿入は、メインカバー6及びリリースレバー7が開いた状態で行う。ロール紙5が挿入されたかどうかは、給紙センサ48により検知される。ステップS102とステップS103で、メインカバー6とリリースレバー7がユーザにより閉じられるまで待ち、ステップS104でロール紙5の給紙を行なう。ロール紙5の給紙は、LFモータ47を駆動してローラ46を回転させ、ロール紙5を繰り出す方向に搬送することにより行なわれる。ロール紙5の先端が用紙センサ56の位置まで到達したら、読取ステップS105で、用紙センサ56によりロール紙に記録されている用紙情報画像を読み取る。用紙情報画像は、ロール紙の残量、ロール紙の種類、ロール紙の幅のうちの少なくとも1つの情報を含むことが好ましい。後述するが、用紙情報画像は、既に画像形成装置1に装着されたことがあるロール紙に形成されている。用紙情報画像の詳細については後述する。ステップS106で用紙情報画像を読み取れたかどうかを判別する。これは、読み取った情報が用紙情報画像であることを識別するための情報を含むかどうかを識別することにより行われる。用紙情報画像が読み取れた場合はステップS107で用紙情報画像に基づいて用紙情報を解析する。この処理については図10に示すフローを用いて後述する。用紙情報画像を読み取れなかった場合はステップS108で新たに用紙情報を設定する。ステップS108の処理については図5に示すフローで説明する。
【0027】
図5に示すフローでは、用紙情報を設定する処理を示している。この処理は、ロール紙5を取り付けたときに、用紙情報画像を読み取れなかった場合に実行される。具体的には、未使用の新しいロール紙を画像形成装置1に取り付ける場合には、ロール紙に用紙情報画像が印刷されていないので、図5に示す処理が実行される。また、用紙情報画像が印刷されたロール紙であっても、解析可能な精度で用紙情報画像を読むことができなかった場合にも、この処理が実行される。
【0028】
ステップS201ではロール紙の幅を計測する。この計測は用紙センサ56により行われる。計測した値はエンジンマイコン41からコントローラマイコン17に通知され、システムメモリ18に格納される。ステップS202及びステップS203ではロール紙の種類とロール紙の残量を、操作キー8及び表示パネル9でユーザに入力させる。ユーザが入力した値はシステムメモリ18に格納される。ステップS201、S202、S203は、どのような順序で実行しても良い。
【0029】
図4に示すフローでは、ロール紙が挿入されたことを契機として一連の処理を開始しているが、操作キー8及び表示パネル9によりユーザがロール紙の取り付け操作を指示することを契機として処理を開始しても良い。
【0030】
図6に示すフローでは、ホスト2からの印刷ジョブを受信したときの処理を示している。ステップS301では、ホスト2から印刷ジョブを受信したかどうかの監視を行ない、印刷ジョブを受信したらステップS302で印刷ジョブを解析する。ステップS303では、印刷ジョブで指定された用紙の条件と、画像形成装置1にセットされている用紙とを比較する。以下では、用紙の条件として用紙の種類を比較する例を示す。画像形成装置1にセットされている用紙の種類は、ステップS202でユーザが入力した用紙の種類か、後述する図10に示すフローのステップS504で採用された用紙の種類である。用紙の種類が一致している場合はステップS304に進み、印刷ジョブに従ってロール紙に画像を形成する。ステップS305では、印刷で使用した用紙の長さを、用紙の残量の情報に反映させる処理を行なう。用紙残量は、ステップS203でユーザが入力した用紙残量か、後述する図10のフローのステップS504で採用された用紙残量である。ステップS303で用紙の条件が一致しなかった場合は、用紙の種類が一致せず、画像を形成印刷することができないため、ステップS306で表示パネル9にエラーを表示する。
【0031】
図7に示すフローでは、画像形成装置1に装着されているロール紙5を取り外すときの処理を示している。ユーザが別の種類や幅のロール紙を使用したい場合や、取り付けられているロール紙5を他の画像形成装置で使用したい場合などに、ロール紙が画像形成装置1から取り出される。ステップS401では、ユーザが操作キー8及び表示パネル9でロール紙5の取り外しを指示するまで待ち、この指示があった場合はステップS402でロール紙の用紙情報を用紙情報コードに変換する。この変換は、システムメモリ18に格納されている用紙の種類、用紙の残量、用紙の幅などの用紙情報を所定の規則に従ってバイナリ値に変換することにより行われる。ステップS403では、変換された用紙情報コードをシステムメモリ18に累積的に記憶する。システムメモリ18上には、図8に示すように、過去にロール紙5を取り外したときに記憶した用紙情報コードの履歴が、用紙情報IDとともに記憶されており、そこに追記する形で新しい用紙情報コードが記憶される。ステップS404で、用紙情報コードから当該用紙情報コードに対応した画像データを作成し、この画像データに基づいてロール紙5の先端付近に用紙情報画像を印刷する。この用紙情報画像は、電子透かし技術で用いられる地紋、例えば背景地紋法による印刷のように、人の視覚で認知不能な画像(文字や記号などを含む)として形成される。なお、認知不能とは、注視しなければ見えない程度に認知困難なことも含むものとする。このように、用紙情報画像を薄く印刷することで、用紙情報画像の上に別の画像(印刷ジョブに基づく画像)を印刷しても、印刷ジョブに基づく画像の品質が損なわれない。画像形成の終了後、ステップS405でロール紙を巻き戻す。ロール紙の巻き戻しは、LFモータ47を駆動してローラ46を回転させ、ロール紙5を巻き戻す方向に搬送することにより行なう。ロール紙5の先端が給紙センサ48を通過して一定時間経過後にLFモータ47を停止させて、ロール紙5の巻き戻しが終了する。この処理の終了後、ユーザはロール紙を画像形成装置から取り出すことができる。
【0032】
図9に示すフローは、用紙情報を解析する情報処理ステップを示している。この情報処理ステップは、ロール紙5を取り付けたときに、ロール紙5上に用紙情報画像が印刷されていることが確認できた場合に実行される。このように、ロール紙5に形成された用紙情報画像を読み取ることで、ユーザが二回目以降に取り付けられたロール紙の用紙情報を設定しないでも、画像形成装置1はロール紙5の用紙情報を特定することができる。
【0033】
ただし、上記のように、用紙情報画像が薄く形成されている場合、読み取った用紙情報コードの内容が正確でない可能性もあるため、以下のステップを実行することが好ましい。
【0034】
ステップS501では読み取った用紙情報コードと、システムメモリ18に記憶されている用紙情報コードとを比較して合致度を算出し、システムメモリ18に記憶されている用紙情報コードの中から最も合致度の高い用紙情報コードを選択する。図8で説明したように、過去にロール紙5を取り外したときに記憶した用紙情報コードの履歴が、用紙情報IDとともに記憶されており、記憶されている各用紙情報コードと、読み取った用紙情報コードの合致度を計算する。合致度の計算方法(情報処理手段)の一例として、用紙情報コードをビット単位で比較して、一致するビット数を数える方法がある。これにより、図10に示すように、記憶されている各用紙情報コードとの一致ビット数が求められる。ステップS502では、最も合致度の高い用紙情報を選択する。図10に示す例では、最も一致ビット数の多いのは用紙情報IDが5の用紙情報コードであるので、画像形成装置1に装着されているロール紙5はIDが5の用紙情報コードに対応すると決定し、この用紙情報コードに基づいて、以降の処理が行われる。
【0035】
また、ステップS503に示すように、用紙情報コードの合致度が予め設定した所定の合致度以上であるかどうかを判断し、その結果に基づいて以下の処理の行うことが好ましい。所定の合致度以上の場合はステップS504へ進んで、読み取った用紙情報コードを採用し、所定の合致度未満の場合はステップS505に進んで用紙情報の設定を行なう。つまり、ステップS503、ステップS504、ステップS505では、読み取った用紙情報コードの信頼性を考慮し、信頼性が高いと判断できる場合のみ、読み取った用紙情報コードを採用する処理を行なっている。所定の合致度に関しては、ロール紙やインクの物性、用紙センサ56の特性などを考慮して予め設定される。ステップS504では特定された用紙情報コードを採用し、この用紙情報コードから用紙幅、用紙種類、用紙残量などの情報に変換後、システムメモリ18に格納する。この格納領域は図5のフローで格納している領域と同じであることが好ましい。ステップS505では、システムメモリ18から選択された用紙情報コードが画像形成装置1に装着されたロール紙に対するものでは無い可能性が高いため、未使用のロール紙を取り付けたときと同様に、図5で説明したフローを実行して新たに用紙情報を設定する。
【0036】
上述した例では、合致度の計算方法(情報処理手段)としてビット単位で比較する方法を説明した。これに代えて、合致度の計算方法は、画像の特徴量を抽出して類似性を求める方法や、パターンマッチングによる方法など、一般的に知られる他の方法であっても良いことは言うまでもない。
【0037】
本実施例では、ユーザが未使用のロール紙を画像形成装置1に取り付けたとき、用紙の種類と用紙の残量(ロール紙の長さ)を操作パネルから入力して設定する。このとき、画像形成装置1は、ロール紙の幅を計測する。用紙の幅、用紙の種類、用紙の残量などの用紙情報は印刷処理のために使用され、必要に応じて用紙情報は更新される。ロール紙を取り出すときに、用紙の幅、種類、残量などの用紙情報は用紙情報コードに変換されて、用紙情報画像としてロール紙の先端付近に印刷される。用紙情報画像は、用紙情報画像の上に他の画像を重ねて印刷しても当該他の画像の品質が損なわれないように、人の視覚で認識できない程度に薄く印刷される。そのため、用紙情報画像の上に通常の画像を重ねて印刷しても、通常の画像の品質の低下が抑制される。従来では、用紙情報を管理するため、一定量のロール紙を無駄に消費してしまっていたが、本発明によれば、用紙情報の管理だけのためにロール紙を消費する必要はなくなり、ロール紙を有効に使用することができる。特に、さまざまな種類のロール紙を頻繁に取り替えて使用するユーザにとっての効果は大きい。
【0038】
用紙情報画像が既に印刷されているロール紙が画像形成装置1に取り付けられたとき、画像形成装置1は用紙情報画像を読み取り、用紙情報コードに変換する。しかし、用紙情報画像が薄く印刷されているので、読み取った用紙情報画像から得られた用紙情報コードが必ずしも正確でない可能性がある。そこで、上記の実施例では、ロール紙に印刷した用紙情報画像に対応する用紙情報コードを画像形成装置内に累積的に記憶しておき、用紙情報画像に対応する用紙情報コードと最も合致度の高い用紙情報コードをシステムメモリ18から検索して採用する。このような処理を行うことにより、用紙情報コードをより正確に特定することができる。
【0039】
(第2の実施例)
図11は、本発明の第2の実施例の画像形成システムの構成を示す図である。画像形成システムは、図1に示した画像形成装置1と同様の画像形成装置1,61,62がネットワークケーブル4を介してネットワークハブ3に接続されて成る。各画像形成装置1,61,62の構成は図1とほぼ同様である。1つのネットワーク内に複数の画像形成装置1,61,62がネットワーク接続される構成となっており、画像形成装置1,61,62間で、用紙情報を含めたさまざまな情報をやりとりすることができる。
【0040】
図12は本発明の第2の実施例の動作を示すフローチャートである。図12に示すフローは、図9に示すフローの代わりに実行されるものであり、他のフローは第1の実施例と同じである(図4〜図7参照)。また、図12に示すフローは、図9のフローのステップS501とステップS502が、それぞれステップS601とステップS602に置き換えられている点のみが異なる。そのため、以下ではステップS601,S602についてのみ説明する。
【0041】
ステップS601では、ロール紙に形成された用紙情報画像を読みとって得られた用紙情報コードと画像形成装置に記憶された画像情報コードとの合致度を計算する。この際、1つの画像形成装置1だけでなく、ネットワーク接続されている全ての画像形成装置61及び62に記憶されている用紙情報コードも含めて合致度を計算する。ステップS602でも同様に、ネットワーク接続されている全ての画像形成装置1,61,62が記憶している用紙情報コードの中から、最も合致度の高い用紙情報コードを選択する。
【0042】
本実施例のフローを実行することにより、ある画像形成装置で使用されたロール紙を、ネットワーク接続された別の画像形成装置に取り付けた場合にも、ロール紙を消費せずに用紙情報の管理を引き継ぐことができる。そのため、さらに使い勝手の良い画像形成システムを提供することが可能となる。
【0043】
また、上記実施例では、図4〜7,図9および図12に示す処理フローは、画像形成装置1に備えられた制御部で行われている。この他に、上記処理フローをコンピュータにより実行させるプログラムや、当該プログラムを格納し、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
5 ロール紙
18 システムメモリ
41 エンジンマイコン
44 ヘッド
56 用紙センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたロール紙を引き出して該ロール紙に画像を形成する画像形成装置であって、
前記ロール紙の用紙情報に対応した用紙情報コードを、人の視覚で認知不能な用紙情報画像として前記ロール紙に記録する記録手段と、
前記ロール紙に記録された前記用紙情報画像を読み取る読取手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙情報コードは、ロール紙の残量、ロール紙の種類、ロール紙の幅のうちの少なくとも1つの情報を含んでいる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置から前記ロール紙を取り出す際に該ロール紙に前記用紙情報画像を記録するように前記記録手段を制御し、前記画像形成装置にロール紙を装着した際に該ロール紙に記録されている用紙情報画像を読み取るように前記記録手段を制御する制御部を備えている、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録手段が前記用紙情報画像を前記ロール紙に記録する毎に、該用紙情報画像に対応する用紙情報コードを累積的に記憶する記憶手段と、
前記読取手段によって読み取られた用紙情報画像に対応する用紙情報コードと、前記記憶手段に記憶されている用紙情報コードとを比較して合致度を算出し、前記記憶手段に記憶されている用紙情報コードの中から最も合致度の高い用紙情報コードを選択する情報処理手段と、を備えている、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記情報処理手段は、最も合致度の高い用紙情報コードの合致度が予め設定した所定の合致度以上である場合に前記画像形成装置に装着されているロール紙が前記最も合致度の高い用紙情報コードに対応すると決定し、前記所定の合致度未満である場合に前記読取手段により前記ロール紙の前記用紙情報画像が読み取れなかったものと判断する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記読取手段により前記ロール紙の前記用紙情報画像が読み取れなかったときに、前記ロール紙の用紙情報を新たに設定する設定手段を備えている、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
請求項4に記載の複数の画像形成装置がネットワーク接続されて成る画像形成システムであって、
各々の前記画像形成装置に備えられた前記情報処理手段は、前記読取手段によって読み取られた用紙情報画像に対応する用紙情報コードと、ネットワーク接続された全ての前記画像形成装置の前記記憶手段に記憶されている用紙情報コードとを比較して合致度を算出し、最も合致度の高い用紙情報コードを選択する、画像形成システム。
【請求項8】
ロール状に巻かれたロール紙を引き出して該ロール紙に画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
前記ロール紙を前記画像形成装置から取り出す際に、該ロール紙の用紙情報に対応した用紙情報コードを、人の視覚で認知不能な用紙情報画像として前記ロール紙に記録するステップと、
前記ロール紙を前記画像形成装置に装着した際に、該ロール紙に記録されている用紙情報画像を読み取る読取ステップと、を有する、画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
前記用紙情報コードは、ロール紙の残量、ロール紙の種類、ロール紙の幅のうちの少なくとも1つの情報を含んでいる、請求項8に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
前記用紙情報画像を前記ロール紙に記録する毎に、該用紙情報画像に対応する用紙情報コードを累積的に記憶するステップと、
前記読取ステップで読み取られた前記用紙情報画像に対応する前記用紙情報コードと、累積的に記憶した前記用紙情報コードとを比較して合致度を算出し、累積的に記憶している前記用紙情報コードの中から最も合致度の高い用紙情報コードを選択する情報処理ステップと、を備えている、請求項8または9に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
前記情報処理ステップでは、前記最も合致度の高い用紙情報コードの合致度が予め設定した所定の合致度以上である場合に前記画像形成装置に装着されているロール紙が前記最も合致度の高い用紙情報コードに対応すると決定し、前記所定の合致度未満である場合に前記ロール紙の前記用紙情報画像が読み取れなかったものと判断する、請求項10に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータにより実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納し、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−126012(P2012−126012A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279374(P2010−279374)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】