説明

画像形成装置及びその印刷制御プログラム

【課題】 空白ページを生成して挿入する処理を必要とすることなく、逆順Nアップ印刷において、正順と同様のページレイアウトを得る。
【解決手段】
縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め(ステップS1)、求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し(ステップS2)、上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから(ステップS3)、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う(ステップS5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機あるいは複合機等の画像形成装置及びその印刷制御プログラムに関し、特に、印刷データに基づく複数のページの印刷内容を1ページに縮小して配置する印刷、所謂、Nアップ印刷を行う機能を備える画像形成装置及びその印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラフト印刷や用紙の節約の目的のためにNアップ印刷機能を備えた画像形成装置が提供されている。
【0003】
また、従来から知られている画像形成装置には、排紙装置として用紙の印刷面を上にして排紙するフェイスアップ排紙装置や用紙の印刷面を下にして排紙するフェイスダウン排紙装置等が用意されているものがある。
【0004】
フェイスダウン排紙の場合には、情報処理装置から受信した印刷データに基づくページ順に出力用紙が並ぶが、フェイスアップ排紙の場合には、情報処理装置から最後に受信した印刷データに基づくページが一番上になる出力結果となる。
【0005】
このため、フェイスアップ排紙の場合にページ順を正順にする方法として、情報処理装置から印刷データを送信する際に、ページ順を逆にして送信する方法が利用されている。出力装置側でページ順を逆順に出力する方法も考えられるが、この場合には、ジョブに含まれる全てのページの印刷データを一旦、出力装置内にスプールするためのメモリやディスクが必要となるか、または出力装置内で印刷済みの各用紙を逆順に並べ替える装置を用意する必要がある。しかし、これには多大なコストがかかるため、実際には情報処理装置から逆順に印刷データを送信する方法が一般的である。
【0006】
従来はフェイスアップ排紙を行う機能を有するプリンタに対して、アプリケーションから逆順印刷を行っていたので、更にプリンタのNアップ印刷機能を利用すると、プリンタではアプリケーションから受信した印刷データに基づく先頭ページからNページ分を1ページに縮小して配置するため、各ページに配置される縮小されたページの組み合わせが正順の場合と異なる場合があり、また、各ページに配置される縮小されたページの配置順も、正順の場合と異なってしまうという不都合があった。
【0007】
そこで、Nアップ印刷機能を利用する際に、空白ページを挿入することにより、上述の如き不都合を解消するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特許第3576819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、上述の如く、複数のページを1枚の用紙に印刷するNアップ処理において、総ページ数がNアップ数で割り切れない場合に逆順印刷を行なうと、正順印刷時と違うレイアウトになってしまうのを防止するために、空白ページを生成して挿入する処理を必要としていた。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、空白ページを生成して挿入する処理を必要とすることなく、逆順Nアップ印刷において、正順と同様のページレイアウトを得ることができるようにすることにある。
【0011】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数ページを1ページに縮小配置して印刷する縮小配置印刷機能を有する画像形成装置であって、縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め、求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し、上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う印刷制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、複数ページを1ページに縮小配置して印刷する縮小配置印刷機能を有する画像形成装置を制御するコンピュータにより実行される印刷制御プログラムであって、縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め、求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し、上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のページを1枚の用紙に印刷するNアップ処理において、総ページ数がNアップ数で割り切れない場合に逆順印刷を行なっても、空白ページを生成して挿入する処理を必要とすることなく、正順印刷時と違うレイアウトになってしまうことがないようにすることができる。
【0015】
すなわち、空白ページを生成して挿入する処理を必要とすることなく、逆順Nアップ印刷において、正順と同様のページレイアウトを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0017】
本発明は、例えば図1に示すようにホストコンピュータ10と画像形成装置20からなる印刷システム100に適用される。
【0018】
この印刷システム100において、画像形成装置20は、ホストコンピュータ10から供給される印刷データを印刷する機能やユーザがセットした原稿を読み取って印刷する機能を備えた多機能印刷装置であって、ホストコンピュータ10と接続するための通信インターフェース21、ユーザがセットした原稿を読み取るための画像スキャナ22、上記通信インターフェース21に接続された描画命令パーサ23、上記画像スキャナ22及び描画命令パーサ23に接続された描画ページバッファ24、上記描画ページバッファ24に接続された描画エンジン25、上記描画エンジン25に接続された画像バッファ26、上記画像バッファ26に接続された画像印刷装置27などからなる。
【0019】
この画像形成装置20において、通信インターフェース21は、ホストコンピュータ10からの印刷時のみ使用され、ホストコンピュータ10からの描画命令を受け取り、描画命令パーサ23に供給する。
【0020】
描画命令パーサ23は、ホストコンピュータ10からの描画命令を解釈し、ページ毎に印刷データを描画ページバッファ24に格納する。
【0021】
画像スキャナ22は、コピー機として動作する場合のみ使用され、ユーザがセットした原稿を読み取ることによって得られる印刷データを描画ページバッファ24に格納する。
【0022】
描画エンジン25は、ページ毎に印刷データを蓄えた描画ページバッファ24からデータを取り出し、画像バッファ26上にページ毎に描画を行なう。画像バッファ26は、1ページ分の画像を描画して一時的に格納する。
【0023】
画像印刷装置27は、画像バッファ26内に形成された画像を用紙に印刷する。
【0024】
この印刷システム100において、縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合の処理機能は、画像形成装置20の描画エンジン25に実装されており、図2のフローチャートに示す手順にしたがって、印刷処理が行われる。
【0025】
すなわち、縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合には、先ず、ステップS1において、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求める剰余算出処理を行う。
【0026】
次のステップS2では、上記ステップS1の剰余算出処理で求めた剰余[M]が0であるか否かを判定する。
【0027】
そして、上記ステップS2における判定結果がNOすなわち上記剰余[M]が0でない場合にはステップS3で剰余ページ印刷処理を行ってからステップS4に進み、また、判定結果がYESすなわち上記剰余[M]が0である場合にはそのままステップS4に進む。
【0028】
ステップS3では、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷する剰余ページ印刷処理を行う。このステップS3の剰余ページ印刷処理では、[T]−[M]+1ページ目から[T]ページ目を順に割り付けて縮小配置印刷する。
【0029】
ステップS4では、残りページ数[L]=[T]−[M]が0であるか否かを判定する。
【0030】
そして、上記ステップS4における判定結果がNOすなわち残りページ数[L]が0でない場合にはステップS5に進み通常印刷処理を繰り返し行い、また、判定結果がYESすなわち残りページ数[L]が0である場合にはそのまま印刷を終了する。
【0031】
ステップS5の通常印刷処理では、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う。このステップS5の通常印刷処理では、[L]−[N]+1ページ目から[L]ページ目を順に割り付けて縮小配置印刷する。
【0032】
例えば、総ページ数[T]=11、1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]=4の場合を具体例とすると、上記ステップS1の剰余算出処理では、
[M]=[T]mod[N]
=[11]mod[4]
=[3]
で、余り[M]は[3]となるので、ステップS2における判定結果はNOであるから、先ず、ステップS3において、ジョブの末尾から剰余[M]=[3]ページ分を縮小配置印刷する剰余ページ印刷処理を行い、図3の(A)に示すように、9ページ目から11ページ目を順に割り付けて縮小配置印刷する。
【0033】
そして、この時点での残りページ数[L]は、
[L]=[T]−[M]
=[11]−[3]
=[8]
であるから、ステップS5の通常印刷処理では、残りのページ[L]=[8]について、逆順で[N]=[4]ページ分ずつ順に割り付けて、図3の(B)に示すように、5ページ目から8ページ目を順に割り付けて縮小配置印刷し、さらに、残りページ数[L]=[4]について、逆順で[N]=[4]ページ分ずつ順に割り付けて、図3の(C)に示すように、1ページ目から4ページ目を順に割り付けて縮小配置印刷し、残りページ数[L]が[0]になったら印刷を終了する。
【0034】
ここで、この印刷システム100において、上記縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合の処理機能は、画像形成装置20の描画エンジン15に実装したが、図4に示す印刷システム200のように、ホストコンピュータ10のプリンタドライバ13に実装するようにしてもよい。
【0035】
この印刷システム200において、ホストコンピュータ10は、印刷データを画像形成装置20に供給して印刷処理を行うものであって、ユーザが直接利用するソフトウェアであるアプリケーション11、グラフィックデバイスインターフェース(GDI:Graphic Device Interface)12、プリンタドライバ13、描画命令バッファ14、プリントスプーラ15、印刷データバッファ16などを備えている。
【0036】
GDI12は、OS側の描画インターフェースであり、アプリケーション11とプリンタドライバ13の仲介を行なう。
【0037】
プリンタドライバ13は、プリンタ製造者が供給するモジュールであり、GDI12からの描画命令をプリンタの描画コマンドに変換する。
【0038】
描画命令バッファ14は、プリンタドライバ13が描画命令を一時的にためておくためのバッファである。GDI12が先頭ページから順にしか描画命令を送らない場合、順序反転するために全体を一旦バッファに格納する必要がある。
【0039】
プリントスプーラ15は、プリンタドライバ13の出力を一旦蓄え、それをプリンタとの通信路においてフロー制御を行ないながら順次送信する。
【0040】
印刷データバッファ16は、プリントスプーラ15が印刷データを蓄えておくバッファである。
【0041】
このホストコンピュータ10において、アプリケーション11が縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、プリンタドライバ13は、アプリケーション11からGDI12を介して入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め、求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し、上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う印刷データをプリントスプーラ15から出力させる。
【0042】
上述の如き印刷システム100,200では、縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合、すなわち、逆順Nアップ印刷において、「空白ページ」を使用しないので、空白ページデータの生成・処理を必要とせずに、正順と同様のページレイアウトを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した印刷システムの要部構成例を示すブロック図である。
【図2】上記印刷システムにおける画像形成装置の描画エンジンにより実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】上記画像形成装置による印刷結果の例を示す図である。
【図4】本発明を適用した他の印刷システムの要部構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
10 ホストコンピュータ、
11 アプリケーション、
12 GDI、
13 プリンタドライバ、
14 描画命令バッファ、
15 プリントスプーラ、
16 印刷データバッファ、
20 画像形成装置、
21 通信インターフェース、
22 画像スキャナ、
23 描画命令パーサ、
24 描画ページバッファ、
25 描画エンジン、
26 画像バッファ、
27 画像印刷装置、
100,200 印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページを1ページに縮小配置して印刷する縮小配置印刷機能を有する画像形成装置であって、
縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め、求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し、上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う印刷制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数ページを1ページに縮小配置して印刷する縮小配置印刷制御機能を有する画像形成装置を制御するコンピュータにより実行される印刷制御プログラムであって、
縮小配置印刷で且つ逆順印刷を行う場合に、入力される総ページ数[T]を1ページの用紙に縮小配置して印刷するページ数[N]で割った余り[M]=[T]mod[N]を求め、
求めた剰余[M]が0であるか否かを判定し、
上記剰余[M]が0でない場合には、ジョブの末尾から剰余[M]ページ分を縮小配置印刷してから、残りのページ[L]=[T]−[M]について、逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行い、
上記剰余[M]が0である場合には、ジョブの末尾から逆順で[N]ページ分ずつ縮小配置印刷を行う
ことを特徴とする印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−203578(P2007−203578A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24534(P2006−24534)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】