説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】穴部を有する円形記録媒体に、できるだけ好ましい人物の配置で画像を形成する。
【解決手段】プリンター10は、元画像における1以上の顔領域を検出し、検出した1以上の顔領域のうち面積が最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定し、抽出した最大顔領域が光ディスク54のレーベル面54a上で最大となるように顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定する。このとき、最大顔領域から光ディスク54の穴部の直径より短い間隔で隣接しあう顔領域を含むように顔包含領域を設定する。また、最大顔領域の面積、顔包含領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の数、顔領域全体の面積、顔領域全体の数、最大顔領域が穴部に近い、穴部に対する最大顔領域の左右の位置、穴部に対する最大顔領域の上下の位置などの条件の優先順位でレイアウトを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円形記録媒体のレーベル面の印刷をする際に、印刷領域に接して貼り付けられた縁取りラベル上にはみだして印刷を行い、その後、縁取りラベルを除去することが知られている(例えば特許文献1参照)。こうすれば、縁取りラベルに隣接した印刷領域の端部まで印刷を行っても印刷装置等を汚すことがない。また、印刷領域の端部まで印刷されるため、縁取りラベルを除去すると余白のない状態とすることができ見栄えのよい印刷結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−174433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、写真などの画像を円形記録媒体のレーベル面に印刷する印刷装置では、元となる画像の中心とレーベル面の中心とが一致するような配置など、固定の配置で印刷を行うものが多い。このような印刷装置では、人物などの顔を含む画像を印刷する場合に、印刷したい人物などの顔が印刷されない場合があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、穴部を有する円形記録媒体にできるだけ好ましい人物の配置で画像を形成することができる画像形成装置及びプログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置及びプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像形成装置は、
穴部を有する円形記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
元画像における1以上の顔領域を検出し、前記検出した1以上の顔領域のうちサイズが最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも前記抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定する顔包含領域設定手段と、
前記抽出した最大顔領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するレイアウト手段と、
を備えるものである。
【0008】
この画像形成装置では、元画像における1以上の顔領域を検出し、検出した1以上の顔領域のうちサイズが最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定し、抽出した最大顔領域が円形記録媒体の印刷面上で最大となるように顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定する。このように、顔領域の面積が最大となる人物を主要人物とし、その領域の面積ができるだけ欠けずに大きくなるようにレイアウトをして画像を形成するのである。したがって、穴部を有する円形記録媒体にできるだけ好ましい人物の配置で画像を形成することができる。ここで、元画像は、印刷面に形成される画像の元となる画像のことをいい、任意のサイズのものとしてもよいし、印刷面の大きさにあわせてリサイズしたものとしてもよい。また、顔領域のサイズは、例えば、面積でもよいし、高さでもよいし、幅でもよい、輪郭の長さでもよい。また、印刷面は、画像が形成される部分のことをいい、穴部など画像が形成されない部分を除いた部分をいうものとする。
【0009】
本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記設定した顔包含領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、顔包含領域ができるだけ大きくなるようにレイアウトをするから、最大顔領域以外にも顔包含領域内に重要な部分がある場合には、その部分もできるだけ欠けないようなより好ましい配置で画像を形成することができる。また、本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記設定した顔包含領域に含まれる顔領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、顔包含領域に主要人物以外の人物が含まれている場合において、顔包含領域に含まれる顔の領域ができるだけ大きくなるようにレイアウトをして印刷するから、1以上の人物ができるだけ欠けないようなより好ましい配置で画像を形成することができる。また、穴部とは、画像が形成されない部分をいい、円形記録媒体を固定する穴の部分だけ画像が形成されない場合には、固定する穴の部分のみのことをいうものとしてもよいし、円形記録媒体を固定する穴周辺に画像が形成されない部分を有する場合には、その部分を含む部分のことをいうものとしてもよい。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記顔包含領域設定手段は、前記最大顔領域から前記穴部の直径より短い間隔で隣接しあう顔領域を含むように前記顔包含領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、主要人物の近くにいる人物は重要度の高い人物であるとして、重要度の高い人物をできるだけ含めた印刷レイアウトで画像を形成することができる。ここで、最大顔領域から穴部の直径より短い距離で隣接しあう顔領域とは、最大顔領域と穴部の直径より短い距離で隣接する顔領域のほか、最大顔領域から続いて隣接する顔領域であって、それぞれの間隔が穴部の直径より短い距離で隣接する顔領域全体をいうものとしてもよい。
【0011】
本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記穴部の直径より長い間隔で配置されている顔領域がある場合には、該長い間隔で配置されている顔領域の間に前記穴部が位置するように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、顔領域のない部分に穴部を設けることが可能であるため、顔領域ができるだけ欠けないようなより好ましい印刷レイアウトで画像を形成することができる。このとき、長い間隔の部分のうち最も間隔が短い部分に穴部が位置するように顔包含領域を配置することが好ましい。こうすれば、より顔領域が欠けない印刷レイアウトで画像を形成することができる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記円形記録媒体の印刷面上で前記顔領域の数が最大となる位置に前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、できるだけ多くの顔領域を含めた印刷レイアウトで画像を形成することができる。また、本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記設定した顔包含領域に含まれる顔領域の数が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、顔包含領域中の顔領域をできるだけ多く含めた印刷レイアウトで画像を形成することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置において、前記顔包含領域設定手段は、前記1以上の顔領域のうち、前記最大顔領域の面積に対する面積比が所定の値以上であるものを含むように前記顔包含領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、極端に小さい顔領域の存在する範囲まで顔包含領域を広げないから、より適切な顔包含領域を設定して、より適切な印刷レイアウトで画像を形成することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記レイアウト手段は、前記元画像が長辺と短辺とを有する長方形である場合に、2つの長辺に前記印刷面の外縁が接する状態で前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、長辺方向の移動だけで印刷レイアウトを設定するから、好ましい配置で画像を形成する処理をより単純な処理で行うことができる。このとき、前記元画像の2つの短辺の内側に前記印刷面の外縁が配置される状態で前記印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、印刷面に空白のない印刷レイアウトで画像を形成することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、
穴部を有する円形記録媒体に画像を形成するプログラムであって、
(a)レイアウト前の元画像における1以上の顔領域を検出し、前記検出した1以上の顔領域のうちサイズが最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも前記抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定するステップと、
(b)前記抽出した最大顔領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するステップと、
を含むものである。
【0016】
このプログラムでは、上述した画像形成装置と同様に、顔領域のサイズが最大となる人物を主要人物とし、その領域のサイズができるだけ大きくなるようにレイアウトをして画像を形成するのである。したがって、穴部を有する円形記録媒体にできるだけ好ましい人物の配置で画像を形成することができる。このプログラムにおいて、上述した画像処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記憶されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した画像形成装置と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリンター10の構成の概略を示す構成図。
【図2】レーベル画像作成印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図3】顔包含領域を設定する一例を示す説明図。
【図4】レイアウト設定処理の一例を示す説明図。
【図5】別のレイアウト設定処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンター10の構成の概略を示す構成図である。
【0019】
本実施形態のプリンター10は、図1に示すように、筐体14の背面から給紙された用紙にインクジェット方式による印刷を行ない筐体14の前面に設けられた排出口18から印刷された用紙を排出するプリンターユニット20と、筐体14の上面に嵌め込まれた原稿台31に載置された原稿を読み取るスキャナーユニット30と、メモリーカードスロット42に挿入されたメモリーカード44とのデータの入出力を司るメモリーカードコントローラー40と、接続された外部機器との間で情報の入出力が可能なインターフェイス(I/F)50と、各種情報を表示部62に表示したりユーザーの指示をボタン群64の操作を介して入力したりする操作パネル60と、装置全体の制御を司るメインコントローラー70とを備えている。このプリンター10は、プリンターユニット20やスキャナーユニット30,メモリーカードコントローラー40,I/F50、メインコントローラー70などがバス12を介して各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
【0020】
プリンターユニット20は、プリンターASIC22とプリンターエンジン24とを備えている。プリンターASIC22は、プリンターエンジン24を制御する集積回路であり、メインコントローラー70から印刷指令を受けると、印刷指令の対象となる画像ファイルに基づいて用紙に印刷するようプリンターエンジン24を制御する。プリンターエンジン24は、印刷ヘッドから用紙へインクを吐出することにより印刷を行なう周知のインクジェット方式のカラープリンター機構として構成されている。このプリンターユニット20は、CD−Rなどの光ディスク54のレーベル面54aを上向きとして印刷用トレイ26に載せて所定位置にセットしてレーベル面54aに印刷するレーベル印刷機能を有する。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。
【0021】
スキャナーユニット30は、スキャナーASIC32とスキャナーエンジン34とを備えている。スキャナーASIC32は、スキャナーエンジン34を制御する集積回路であり、メインコントローラー70からのスキャン指令を受けると、原稿台31に載置された原稿を画像データとして読み取るようスキャナーエンジン34を制御する。また、スキャナーエンジン34は、周知のイメージスキャナーとして構成され、原稿に向かって発光したあとの反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとする周知のカラーイメージセンサーを備えている。
【0022】
メモリーカードコントローラー40は、メモリーカードスロット42に挿入されたメモリーカード44との間でデータの入出力を行なうものである。このメモリーカードコントローラー40は、メモリーカードスロット42にメモリーカード44が接続されているとき、メモリーカード44に保存されているファイルを読み出してメインコントローラー70に送信したりメインコントローラー70からの命令を入力し該命令に基づいてメモリーカード44にデータを書き込んだりする。
【0023】
操作パネル60は、表示部62とボタン群64とを備えている。表示部62は、液晶ディスプレイであり、メニューの選択や設定を行なう各種操作画面などが表示される。また、ボタン群64は、電源をオンオフするための電源ボタンや印刷などの処理を実行するスタートボタン,選択された処理をキャンセルしたり一つ前の画面に戻る戻るボタン,各種モードを選択するモード選択ボタンなどがあり、メインコントローラー70にユーザーの指示を入力できるようになっている。ここで、モード選択ボタンにより選択可能なモードとしては、原稿台31にセットした原稿をスキャンしてコピーするコピーモードやメモリーカード44に記憶された画像を用いて印刷したり原稿をスキャンしてデータ化してメモリーカード44に保存するメモリーカードモード,印刷用トレイ26に載せてプリンター10の所定の位置にセットされた光ディスク54のレーベル面54aに印刷するレーベル印刷モードなどがある。
【0024】
メインコントローラー70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したフラッシュROM74と、一時的にスキャンデータや印刷データ、メモリーカード44から読み取ったデータなどの各種データを記憶するRAM76と、元画像に含まれる顔領域を検出し、顔包含領域を設定する顔包含領域設定部77と、検出した顔領域に基づいて印刷レイアウトを設定するレイアウト設定部78とを備えている。このメインコントローラー70は、プリンターユニット20やスキャナーユニット30,メモリーカードコントローラー40からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル60のボタン群64の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、画像データを用紙に印刷する指令や光ディスク54のレーベル面54aに印刷する指令をプリンターユニット20に出力したり、メモリーカード44から画像ファイルを読み出してメインコントローラー70へ出力する指令をメモリーカードコントローラー40に出力したり、操作パネル60に表示部62の制御指令を出力したりする。
【0025】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター10の動作、特に、メモリーカード44に記憶された画像を元画像として、円形記録媒体(光ディスクなど)のレーベル面などに印刷する際の動作について説明する。図2は、メインコントローラー70のCPU72により実行されるレーベル画像作成印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、フラッシュROM74に記憶されており、ユーザーによるボタン群64の操作によって画像の選択とレーベル印刷指示とがなされたときにCPU72により実行される。なお、本実施形態では、メモリーカード44に記憶された長辺と短辺とを有する長方形の画像を元画像として光ディスクのレーベル面に印刷する場合について説明する。
【0026】
このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、ユーザーによって選択された元画像をメモリーカード44から読み出し、顔包含領域設定部77を用いて少なくとも最大顔領域を含む顔包含領域の設定処理を実行する(ステップS100〜S120)。ここで、元画像は、レーベル面(印刷面)に形成される画像の元となる画像のことをいい、任意のサイズのものとしてもよいし、印刷面の大きさにあわせてリサイズしたものとしてもよい。また、レーベル面は、画像が形成される部分のことをいい、穴部など画像が形成されない部分を除いた部分をいう。図3は、顔包含領域84を設定する一例を示す説明図である。ここでは、複数の人物の顔領域81を含む横長の長方形の元画像80を用い、最大顔領域82を含む1以上の顔領域81を包含した顔包含領域84を設定する処理を主として説明する。具体的には、元画像に含まれる人物の顔領域を検出する(ステップS100)。この処理は、元画像のうち予め定められた肌色の範囲内の画素を肌色画素として抽出し、抽出した肌色画素に基づいて所定の特徴(例えば、肌色画素が顔に相当する形状で所定の面積を占めている領域)を有する肌色画素の領域を算出し、算出した肌色画素の領域の中央やや上部で肌色画素の領域よりも輝度値の低い領域を目の領域として抽出すると共に抽出した両目の下側の領域内で肌色画素の集合領域よりも輝度値の低い領域を口の領域として抽出し、目や口の領域が抽出されたときにこの肌色画素の領域を矩形の境界線で囲んで顔領域として検出するものとした。元画像80では、顔領域81a,81b,81cなどを顔領域として検出する。
【0027】
こうして元画像から顔領域を検出すると、各顔領域の面積を算出して最も面積の大きい最大顔領域を抽出し(ステップS110)、この最大顔領域を包含する顔包含領域を設定する(ステップS120)。この顔包含領域の設定処理では、最大顔領域及び、最大顔領域から後述するレイアウト枠における穴部の直径より短い間隔で隣接しあう顔領域を含むように矩形の顔包含領域を設定するものとした。また、このとき、最大顔領域の面積に対する面積比が所定値以上である顔領域を含むように顔包含領域を設定するものとした。即ち、この面積比が所定値未満の顔領域は顔包含領域に含めないものとした。この面積比の所定値は、例えば、最大顔領域の面積に対して1/4や1/8など、画像内において主要人物ではないと判定可能な値に定めることができる。元画像80では、最大面積であるものを最大顔領域82に設定する。次に、レイアウト枠85の穴部86の直径の長さよりも近い顔領域81a,81cを選択し、穴部の直径よりも遠い顔領域81bは選択しないものとした。続いて、選択した顔領域81のうち、最大顔領域82の面積に対する面積比が所定値未満(1/4未満など)である顔領域81cは選択しないものとした。このようにして、最終的に選択されている最大顔領域82や顔領域81aを含む矩形の領域として顔包含領域84を設定するのである。
【0028】
次に、CPU72は、レイアウト設定部78を用い、レーベル面54aに印刷する画像のレイアウトを設定するレイアウト設定処理を実行する(ステップS130〜S180)。図4は、レイアウト設定処理の一例を示す説明図である。このレイアウト設定処理では、まず、元画像の2本の長辺に光ディスクのレーベル面の外縁が内接するようにレイアウト枠サイズを導出し(ステップS130)、ステップS130で導出したサイズのレイアウト枠を画像の端部に接するように配置し(ステップS140)、レイアウト枠85内の最大顔領域82の面積を算出し、算出した面積値を現在の位置と共にRAM76に記憶する(ステップS150)。ここでは、画像の端部として左端にレイアウト枠85を配置するものとした(図4上段)。次に、レイアウト枠85が画像の他端に接している否かに基づいて終了位置であるか否かを判定し(ステップS160)、終了位置でない場合には、レイアウト枠を1ピクセル移動させ(ステップS170)、終了位置になるまで、ステップS150で最大顔領域82の面積を算出・記憶し、ステップS170でレイアウト枠を移動する処理を繰り返す。即ち、レイアウト枠85を画像の左端から右端まで移動し、そのときの位置とレイアウト枠85により切り取られる最大顔領域82の面積とを対応付けてRAM76に記憶するのである。そして、レイアウト枠が終了位置であるときには(図4中段)、導出した最大顔領域82の面積が最大となるレイアウトを選択し、レイアウトを設定する(ステップS180,図4下段)。ここでは、最大顔領域82の面積が最大となるレイアウトが複数ある場合には、顔包含領域84の面積がレイアウト枠内で最大となるレイアウトを選択するものとした。また、更に、顔包含領域84の面積がレイアウト枠内で最大となるレイアウトが複数ある場合には、顔包含領域84に含まれる顔領域81全体の面積が最大になるレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、顔包含領域84に含まれる顔領域の数が最大になるレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、顔包含領域84以外にあるものを含めた顔領域81全体の面積が最大になるレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、顔包含領域84以外にあるものを含めた顔領域81全体の数がより多くなるレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、最大顔領域82がより穴部86に近いレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、最大顔領域82が穴部の左側にあるレイアウトを選択し、更にそれが複数ある場合には、最大顔領域82が穴部の下側にあるレイアウトを選択するものとした。即ち、最大顔領域の面積、顔包含領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の数、顔領域全体の面積、顔領域全体の数、最大顔領域が穴部に近い、穴部に対する最大顔領域の左右の位置、穴部に対する最大顔領域の上下の位置などの条件の優先順位でレイアウトを設定するものとした。このようにレイアウトを設定することによりレイアウト画像90を作成することができる。
【0029】
そして、設定したレイアウト画像90(図4下段右側参照)を印刷処理し(ステップS190)、このルーチンを終了する。印刷処理では、CPU72は、レイアウト画像90と共に印刷指令をプリンターASIC22へ出力する。これを受けたプリンターASIC22は、レイアウト画像90から印刷データを生成し、図示しない駆動モーターを駆動して図示しない供給ローラーなどを回転させて光ディスク54を図示しないプラテン上の印刷可能領域へ搬送し、図示しないキャリッジモーターを駆動しキャリッジをキャリッジ移動方向に移動させながら着色剤としてのインクをレーベル面54aへ吐出する処理を行う。このようにして、元画像80から自動生成されたレイアウト画像90を用いてレーベル印刷を行うのである。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のプリンター10が本発明の画像形成装置に相当し、光ディスク54が円形記録媒体に相当し、CPU72及び顔包含領域設定部77が顔包含領域設定手段に相当し、CPU72及びレイアウト設定部78がレイアウト手段に相当する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明のプログラムの一例も明らかにしている。
【0031】
以上説明したプリンター10によれば、顔領域の面積が最大となる人物を主要人物とし、その領域の面積ができるだけ大きくなるようにレイアウトをして画像を形成するから、光ディスク54に、できるだけ好ましい人物の配置でレーベル印刷を行うことができる。また、プリンター10でこのような処理を完結可能であるから、モニターなどがなくてもより好ましい配置でレーベル印刷を行うことができる。更に、ユーザーがレイアウト操作を行う必要がないため、ユーザーはより簡単な操作で、より好ましい配置でレーベル印刷を行うことができる。
【0032】
また、顔包含領域ができるだけ大きくなるようにレイアウトをして印刷するから、顔包含領域内に最大顔領域以外の重要な部分がある場合には、その部分もできるだけ欠けないようなより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。また、顔包含領域84に主要人物以外の人物が含まれている場合において、主要人物の顔ができるだけ大きくなるようにレイアウトをして印刷するから、主要人物ができるだけ欠けないようなより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。更に、主要人物の近くにいる人物は重要度の高い人物であるとし、重要度の高い人物をできるだけ含めた印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。更にまた、顔領域の数が印刷面上で最大となるようにレイアウトをして印刷するから、できるだけ多くの顔領域を含めた印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。そして、顔包含領域に含まれる顔領域の数が印刷面上で最大となるようにレイアウトをして印刷するから、重要な顔領域をできるだけ多く含めた印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。そしてまた、極端に小さい顔領域の存在する範囲まで顔包含領域を広げないから、より適切な顔包含領域を設定して、より適切な印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。そして更に、元画像が長方形である場合に、2つの長辺にレイアウト枠85の外縁が接する状態で印刷レイアウトを設定するから、レイアウト枠85を長辺方向へ移動するだけで印刷レイアウトを設定可能であり、好ましいレーベル印刷を行う処理をより単純な処理で行うことができる。そして更にまた、元画像からはみ出さない範囲でレイアウト枠を移動させてレイアウトをして印刷するから、レーベル面に空白のない印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、最大顔領域及び、最大顔領域からレイアウト枠における穴部の直径より短い間隔で隣接しあう顔領域を全て含むように顔包含領域を設定するものとしたが、顔包含領域の設定方法は特に限定されない。例えば、穴部の直径より長い間隔で隣接する顔領域も含むように顔包含領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、より多くの人物を含む印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。このとき、長い間隔で配置されている顔領域の間に穴部が位置するように顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。こうすれば、顔領域のない部分に穴部を設けることができるため、顔領域ができるだけ欠けないようなより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。更にこのとき、長い間隔の部分のうち最も間隔が短い部分に穴部が位置するように顔包含領域を配置するものとしてもよい。こうすれば、より顔領域が欠けない印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。また、例えば、最大顔領域をそのまま顔包含領域としてもよい。こうすれば、最も主要な人物の顔領域がより欠けない印刷レイアウトでレーベル印刷をすることができる。
【0035】
上述した実施形態では、最大顔領域の面積、顔包含領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の数、顔領域全体の面積、顔領域全体の数、最大顔領域が穴部に近い、穴部に対する最大顔領域の左右の位置、穴部に対する最大顔領域の上下の位置などの条件の優先順位でレイアウトを設定するものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうちいずれか1以上の条件を省略してもよいし、優先順位を変更してもよいし、これらに含まれない他の条件を加えてもよい。例えば、顔領域のサイズや、輝度、明度、彩度などの基準により顔画像に優先順位を付けて、優先順位の高い顔領域がより欠けないように顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するものとしてもよい。すなわち、優先順位が1位の顔領域の面積がレイアウト枠内で最大となるようにし、それが複数ある場合には、優先順位が2位の顔領域の面積がレイアウト枠内で最大となるようにし、それが複数ある場合には、優先順位が3位の顔領域の面積がレイアウト枠内で最大となるようにする(優先順位が4位以下も同様とする)ものなどとしたり、優先順位が所定の値以上の顔領域の面積がレイアウト枠内で最大となるようにするものとしてもい。
【0036】
上述した実施形態では、最大顔領域の面積に対する面積比が所定値以上である顔領域を含むように顔包含領域を設定するものとしたが、この面積比が所定値未満のものを顔領域と判断しないものとしてもよい。なお、この面積比の所定値は、最大顔領域の面積の1/4以下のほか、適宜定めることができる。また、この最大顔領域に対する面積比に限られず、例えば、所定の面積以下の顔領域は顔領域と判断しないものとしてもよいし、あるいは顔包含領域に含めないものとしてもよい。
【0037】
上記別例を具体例を用いて説明する。図5は、別のレイアウト設定処理の説明図である。図5のレイアウト設定処理では、まず、CPU72は、元画像80Bの最大顔領域82を顔包含領域に設定する(図5上段)。次に、レイアウト枠85を移動し(図5中段)、レイアウト枠85により切り取られる顔領域81及び最大顔領域82の面積を算出し、算出した面積とレイアウト枠85の位置とをRAM76に記憶させる。続いて、最大顔領域82が含まれるようにレイアウトを設定する(図5下段左)。ここでは、穴部86の直径より長い間隔で配置されている顔領域81bがあり、これらの顔領域の間に穴部86が位置するように最大顔領域82(顔包含領域)を配置して印刷レイアウトを設定するものとした。また、最大顔領域の面積、顔包含領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の面積、顔包含領域に含まれる顔領域の数、顔領域全体の面積、顔領域全体の数、最大顔領域が穴部に近い、穴部に対する最大顔領域の左右の位置、穴部に対する最大顔領域の上下の位置などの条件の優先順位でレイアウトを設定するものとした。こうしても、最大顔領域が欠けないより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。また、その他の顔領域が欠けないより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷を行うことができる。
【0038】
上述した実施形態では、最大顔領域は、顔領域のうち面積が最大であるものとしたが、これに限定されない。例えば、顔領域の高さや幅であってもよいし、輪郭の長さなどであってもよい。
【0039】
上述した実施形態では、顔領域は矩形の領域としたが、これに限定されず、より人間の輪郭に近いもの(例えば楕円など)としてもよい。こうすれば、顔領域の面積をより正確に求めることができるから、より、顔領域が欠けない好ましいレイアウトでレーベル印刷を行うことができる。
【0040】
上述した実施形態では、矩形の顔包含領域を設定するものとしたが、矩形に限定されず、円形のものや凹凸を有するものなどとしてもよい。また、顔包含領域は複数の離散した領域であってもよい。例えば、複数の離散した顔領域を顔包含領域とすれば、顔包含領域に顔領域以外が含まれないから、顔領域がより欠けにくく、より好ましいレイアウトでレーベル印刷を行うことができる。
【0041】
上述した実施形態では、元画像の2本の長辺に、光ディスク54のレーベル面54aに相当するレイアウト枠の外縁が内接するようにレイアウト枠サイズを導出するものとしたが、最大顔領域がレーベル面上で最大となるように顔包含領域を配置するものとすれば特にこれに限定されず、例えば、元画像を拡大又は縮小したり、レイアウト枠を拡大又は縮小することにより、元画像のいずれか1辺にレイアウト枠が接するようにしてもよいし、元画像の内部にレイアウト枠が含まれるようにしてもよいし、レイアウト枠の内側に元画像が含まれるようにしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、レイアウト枠を画像の左端に接する位置から移動するものとしたが、これに限定されず、例えば、最大顔領域の中心がレイアウト枠の中心となる位置から移動するものとしてもよい。また、レイアウト枠を1ピクセルずつ移動させるものとしたが、1回あたりの移動量は、例えば2ピクセルや4ピクセルなど極端に顔領域の面積が変わらないような間隔に設定することができる。
【0043】
上述した実施形態では、元画像はメモリーカード44から読み出すものとしたが、スキャナーユニット30によって読み込んだものを元画像としてもよいし、インターフェース80に接続された図示しないデジタルカメラなどの外部機器から読み出すものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、検出した顔領域から最大顔領域を抽出し、顔包含領域を設定するものとしたが、検出した顔領域のうち、ユーザーが選択した顔領域について、最大顔領域を抽出し、顔包含領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、ユーザーは、より簡便な操作でより好ましい印刷レイアウトでレーベル印刷をすることができる。この場合、例えば、操作パネル60の表示部62をタッチパネルとして構成された液晶パネルとし、この液晶パネルに元画像と顔領域を示す枠を表示するものとして、ユーザーによる顔領域の押下により顔領域を選択可能に構成されたものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、人物の顔領域を検出するものとしたが、動物の顔領域を検出するものとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、プリンター10のプリンターユニット20は、インクを印刷媒体に吐出して印刷を行うインクジェット方式の機構であるものとしたが、電子写真方式のカラーレーザープリンターや、熱転写方式のカラープリンターや、ドットインパクト方式のカラープリンターとしてもよいし、これらのモノクロプリンターとしてもよい。また、プリンター10をプリンター機能、スキャナー機能及びコピー機能を有するいわゆるマルチファンクションプリンターとして説明したが、プリンター機能だけ有するものとしてもよいし、FAX機能を追加してもよい。また、上述した実施形態では、プリンター10を本発明の画像形成装置として説明したが、画像形成を実行するプログラムの形態としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 プリンター、12 バス、20 プリンターユニット、22 プリンターASIC、24 プリンターエンジン、26 印刷用トレイ、30 スキャナーユニット、31 原稿台、32 スキャナーASIC、34 スキャナーエンジン、40 メモリーカードコントローラー、42 メモリーカードスロット、44 メモリーカード、50 インターフェイス(I/F)、54 光ディスク、54a レーベル面、60 操作パネル、62 表示部、64 ボタン群、70 メインコントローラー、72 CPU、74 フラッシュROM、76 RAM、79 内部通信インターフェース、80,80B 元画像、81,81a,81b,81c 顔領域、82 最大顔領域、84 顔包含領域、85 レイアウト枠、86 穴部、90,90B レイアウト画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部を有する円形記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
元画像における1以上の顔領域を検出し、前記検出した1以上の顔領域のうちサイズが最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも前記抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定する顔包含領域設定手段と、
前記抽出した最大顔領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するレイアウト手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記レイアウト手段は、前記設定した顔包含領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記顔包含領域設定手段は、前記最大顔領域から前記穴部の直径より短い間隔で隣接しあう顔領域を含むように前記顔包含領域を設定する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記レイアウト手段は、前記穴部の直径より長い間隔で配置されている顔領域がある場合には、該長い間隔で配置されている顔領域の間に前記穴部が位置するように前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記レイアウト手段は、前記円形記録媒体の印刷面上で前記顔領域の数が最大となる位置に前記顔包含領域を配置して前記印刷レイアウトを設定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記顔包含領域設定手段は、前記1以上の顔領域のうち、前記最大顔領域の面積に対する面積比が所定の値以上であるものを含むように前記顔包含領域を設定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記レイアウト手段は、前記元画像が長辺と短辺とを有する長方形である場合に、2つの長辺に前記印刷面の外縁が接する状態で前記印刷レイアウトを設定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
穴部を有する円形記録媒体に画像を形成するプログラムであって、
(a)レイアウト前の元画像における1以上の顔領域を検出し、前記検出した1以上の顔領域のうちサイズが最大である最大顔領域を抽出し、少なくとも前記抽出した最大顔領域を包含する顔包含領域を設定するステップと、
(b)前記抽出した最大顔領域が前記円形記録媒体の印刷面上で最大となるように前記顔包含領域を配置して印刷レイアウトを設定するステップと、
を含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−166339(P2011−166339A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25175(P2010−25175)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】