説明

画像形成装置及び帯電装置

【課題】帯電フィルムによる感光ドラムの帯電を安定して行うための手段を提供する。
【解決手段】表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材を前記静電潜像担持体側に付勢する付勢部材とを備えた画像形成装置であって、前記帯電部材の表面へのトナーおよび外添剤の付着を防止する付着防止手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置及び帯電装置に関し、特に感光ドラムを帯電させる帯電フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、感光ドラムを帯電させるための帯電用フィルムを備え、その帯電用フィルムは片側端部が導電性の支持板によって支持され、自由端部側の一部が感光ドラムに接触することで、感光ドラムを帯電させている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−249270号公報(段落「0029」、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、帯電用フィルムの表面の異物等を落とすためのクリーニング機構を設けていないため、感光ドラムに付着していたトナーから脱離した外添剤が帯電用フィルムの表面に付着した場合、外添剤が帯電用フィルム表面にそのまま残って徐々に外添剤が帯電用フィルム表面に堆積してしまい、その外添剤が堆積した箇所と感光ドラムとが接触しても、その接触した箇所では感光ドラムをうまく帯電させることができず、印刷用紙へ印刷した際に縦すじの発生等、印刷の品質が悪くなって印刷不良を引き起こしてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材を前記静電潜像担持体側に付勢する付勢部材とを備えた画像形成装置であって、前記帯電部材の表面へのトナーおよび外添剤の付着を防止する付着防止手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、感光ドラムの帯電を安定して行い、印刷不良の発生を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の画像形成装置を示す説明図
【図2】実施例1の図1の帯電部を構成する帯電フィルムのスポンジ部によって付勢される部分を示す説明図
【図3】実施例1の画像形成装置を示すブロック図
【図4】実施例1の帯電フィルムがスポンジ部によって感光ドラム側に付勢された様子を示す説明図
【図5】実施例2の帯電フィルムのスポンジ部によって付勢される部分を示す説明図
【図6】実施例2の帯電フィルムの凹凸面を拡大した説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の画像形成装置を示す説明図である。
【0011】
図1において、1は画像形成装置である。
【0012】
2は用紙カセットであり、印刷媒体である印刷用紙を複数枚数積み重ねた状態で収納する集積底面を備える。
【0013】
3は給紙ローラであり、集積される印刷用紙を挟んで用紙カセット2の集積底面と対向する位置に配され、用紙カセット2に集積されている印刷用紙を繰出して給紙する。
【0014】
ここで、用紙カセット2の集積底面はバネ等の弾性材によって集積している印刷用紙を持ち上げることが可能な構成となっている。そのため集積底面上に集積する最上位の印刷用紙は給紙ローラ3に押し付けられた状態となり、そのまま給紙ローラ3を回転させることで、印刷用紙を用紙カセット2から繰出すようになっている。
【0015】
4は搬送ローラ部であり、一対の搬送ローラを対向配置し、給紙ローラ3から繰出され、図示しない搬送路により矢印A方向に沿って搬送されてきた印刷用紙をその搬送ローラ間で狭持して下流のプリンタ部8へと送り出す。
【0016】
8はプリンタ部であり、静電潜像担持体としての感光ドラム10と、感光ドラム10に対向する現像剤担持体としての現像ローラ11、現像ローラ11にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ12、収容しているトナーを供給するトナーカートリッジ13、トナーカートリッジ13と現像ローラ11との間に位置して現像ローラ11上に供給されたトナーを薄層形成する現像ブレード14等を備え、印刷用紙は矢印B方向に沿って搬送されていく。
【0017】
トナーカートリッジ13から落下したトナーは、現像ローラ11上に供給されていき、現像ブレード14によって現像ローラ11上で薄層化する。
【0018】
感光ドラム10、現像ローラ11、トナー供給ローラ12は、図1において各部上に示した矢印の方向に回転する。
【0019】
9は帯電部であり、後述する帯電フィルム15、保持部材16、スポンジ部17によって構成され、感光ドラム10を帯電させる機能を有する。
【0020】
ここで、図2は図1の帯電部を構成する帯電フィルムのスポンジ部によって付勢される部分を示す説明図であり、(a)は感光ドラムに対向する面の形状を示し、(b)は側面に形状を示している。
【0021】
図1、図2において、15は帯電部材としての帯電フィルムであり、感光ドラム10の上方に配置され、感光ドラム10を帯電させるフィルムであり、片側端部が導電性の保持部材16によって支持されており、中央部が付勢部材であるスポンジ部17によって感光ドラム10側に付勢されることで、自由端側が感光ドラム10に対して連れ回るように接触する。
【0022】
スポンジ部17は、多孔質体であって内部や表面に空洞や凹凸(セル)が存在し弾性を有している。ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル等の発泡性の樹脂またはゴムを材質としたものより選択される。スポンジ部17に設けられるセルの径は直径500μm以下であることが好ましく、直径50〜100μm程度がもっとも好ましい。
【0023】
帯電フィルム15は図2(b)に示すように厚さ50μmのPETフィルムの片側全面に電源と導通し、放電する面を確保するための導電性を有する塗料を厚さ10μm塗布して形成した導電層15aを有している。
【0024】
帯電フィルム15は、図2(a)に示すようにスポンジ部17によって付勢されて感光ドラム10と接触する導電層15aの長手方向(感光ドラム10の軸方向と平行な方向)の長さを224mm、短手方向の長さを20mmとしている。また図1に示す保持部材16に取り付ける部分の長さ保持部長として5mmの長さを確保している。
【0025】
また、帯電フィルム15は、感光ドラム10と接触する面に2mmピッチで均等に配置された直径1mmの孔15bを長手方向に向かって千鳥状に2列に並ぶようにして複数設けており、各孔15bは帯電フィルムを貫通している。
【0026】
なお、貫通穴である孔15bは直径1mmとしたがそれに限るものではなく、その最大口径は5mm以下であることが好ましい。
【0027】
また孔15bの後方(感光ドラム10の回転方向の下流方向)には、2mmピッチで均等に配置された、直径1mmで高さ数μm〜数十μmの凸部15cを長手方向に向かって千鳥状に2列に並ぶようにして複数設けている。
【0028】
なお、凸部15cの高さは、20μm以下とすることが好ましく、また10μm以下で形成することがより好ましい。また凸部15cを直径1mmとしたが、これに限るものではなく、最大径5mm以下で形成することが好ましい。
【0029】
帯電フィルム15の導電層15aを形成するために用いた塗料は、導電性を有する導電性部材であり、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、塩ビ、フェノール樹脂、アクリル、エポキシ等の合成樹脂に、金、銀、銅、鉄、クロム、ニッケル、白金、カーボンブラック、カーボンファイバー等の導電剤を添加しているものであればよい。
【0030】
そのとき付与した導電性に対して抵抗値が低すぎると、感光ドラム10のピンホールやキズに対して電流が局所的に流れ込んでしまうリークが発生してしまう。逆に抵抗値が高すぎると放電に使われる電流量が減少して感光ドラム10の表面帯電量が小さくなってしまうので、本発明における導電層15aの抵抗値は10E+3〜10E+8[Ω]程度が好ましい。
【0031】
本発明では帯電フィルム15の基材にPETフィルムを用いるものとして説明したが、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリイミド、ETEF、PVDF等の基材を用いれば、放電面である導電層15aを特に設ける必要もない。
【0032】
図1において、18はクリーニングブレードであり、帯電フィルム15の下方に設けられて、その先端部が感光ドラム10外周面に接触することにより、感光ドラム10表面に残留したトナーや異物、外添剤等を掻き落とす。
【0033】
19は回収容器であり、クリーニングブレード18の下方に位置し、クリーニングブレード18により掻き落とされたトナーを集積する。
【0034】
20は印刷ヘッドであり、感光ドラム10の表面に向かってLEDによる光を照射して感光ドラム10の表面を露光し、静電潜像を生成する。ここでは静電潜像を形成している箇所が負の電荷の電圧が弱まるようになる。
【0035】
21は転写ローラであり、正電圧と圧接力によって感光ドラム10に付着したトナーを印刷用紙に転写する。
【0036】
22は定着器であり、印刷用紙の搬送方向におけるプリンタ部8の下流側に設けられ、図示しないハロゲンランプ等の熱源を有し印刷用紙に上方から接する定着ローラ23と、定着ローラ23側へ押圧力を受けて定着ローラ23に従動して回転するバックアップローラ24とを備え、熱源に電力を投入することで定着ローラ23を加熱し、バックアップローラ24と定着ローラ23との間で印刷用紙を挟持すると共に、印刷用紙に付着したトナーを定着ローラ23の熱で融着し、トナーを印刷用紙に定着させる。
【0037】
25は排出ローラであり、定着器22によってトナーが定着し、矢印C方向に沿って搬送されてきた印刷用紙を排出口26へと搬送し、印刷用紙を矢印Dで示す方向、つまり画像形成装置1の外に排出する。
【0038】
ここで、図3は実施例1の画像形成装置を示すブロック図である。
【0039】
図3において、30はマイクロプロセッサ、ROM、RAM、入力ポート、タイマ等によって構成される制御部であり、画像形成装置1と接続する図示しない上位装置からインターフェイス(I/F)制御部31を介して印刷データ及び制御コマンドを受信して画像形成装置1の全体のシーケンスを制御し印刷処理を遂行する。
【0040】
また、制御部30は、感光ドラム10の回転数をカウントするドラムカウンタ30aと、印刷ドットをカウントするドットカウンタ30bを備えている。
【0041】
32は受信メモリであり、図示しない上位装置からインターフェイス制御部31を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。
【0042】
33は画像データ編集メモリであり、受信メモリ32に記録された印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データを記憶する。
【0043】
34は表示操作部であり、LED等の表示画面と、画像形成装置に操作者からの指示を与えるためのスイッチ等を備える。
【0044】
35はセンサ群であり、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば用紙位置検出センサ、温湿度センサ、濃度センサ等である。
【0045】
36は帯電フィルム用電源であり、制御部30の指示によって帯電部9の帯電フィルム15に電圧を印加し、感光ドラム10の表面を帯電させる。
【0046】
37は現像ローラ用電源であり、静電潜像にトナーを付着させるために現像ローラ11に所定の電圧を印加する。
【0047】
38は供給ローラ用電源であり、現像ローラ11にトナーを供給するためにトナー供給ローラ12に所定の電圧を印加する。
【0048】
39は転写ローラ用電源であり、感光ドラム10に形成されたトナー像を印刷用紙に転写するために転写ローラ21に所定の電圧を印加する。
【0049】
なお、帯電フィルム用電源36、現像ローラ用電源37および供給ローラ用電源38は制御部30の指示によって電圧を変更することができるようになっている。
【0050】
40はヒューズ用電源であり、画像形成装置1が未使用の状態であるか否かを判別するための新旧判別ヒューズ41に電源を流す。
【0051】
42はヘッド駆動制御部であり、画像データ編集メモリ33に記録された画像データに基づいて印刷ヘッド20の駆動を制御する。
【0052】
43は定着制御部であり、印刷用紙に転写されたトナー像を定着させる際に、定着器22の熱源に通電し、定着器22を一定の温度にする等定着器22の動作を制御する。
【0053】
44は搬送モータ制御部であり、印刷用紙を搬送するための給紙ローラ3や搬送ローラ部4、排出ローラ25等の各種ローラを回転させる用紙搬送モータ45の駆動を制御し、制御部30からの指示によって所定のタイミングで印刷用紙を搬送させたり、停止させたりする。
【0054】
46は駆動制御部であり、感光ドラム10を動作させるための駆動モータ47の駆動を制御する。
【0055】
上述した構成の作用について説明する。まず、画像形成装置1による印刷処理について説明する。
【0056】
制御部30は、図示しない上位装置からインターフェイス制御部31を介して印刷データを受信すると、その印刷データを受信メモリ32に一時的に記憶する。
【0057】
制御部30は、印刷データを読み出して画像データ編集メモリ33によって画像データを形成すると共に、その画像データを画像データ編集メモリ33に記憶する。
【0058】
制御部30は、画像データ編集メモリ33から画像データを読み出し、その画像データに基づく印刷動作を行う。
【0059】
具体的には、制御部30は、搬送モータ制御部44に各種ローラを駆動させる信号を送信することで、用紙搬送モータ45を所定のタイミングで動作させて印刷用紙を搬送する。
【0060】
これによって印刷用紙は、給紙ローラ3によって用紙カセット2から繰出され、搬送ローラ部4へと搬送される。
【0061】
このようにして、搬送ローラ部4を通過した印刷用紙は、プリンタ部8へと到達し、感光ドラム10と転写ローラ21により物理的圧力と電気的静電力とで印刷用紙にトナーが転写される。
【0062】
なお、トナーの転写までのプロセスは、制御部30が駆動制御部46へ制御データを送信し、駆動モータ47により感光ドラム10を回転させることから始まり、このとき感光ドラム10表面には帯電フィルム15が当接している。
【0063】
制御部30は、帯電フィルム用電源36への動作指示を送ることで、帯電フィルム15へ負電圧を印加させて感光ドラム10を帯電し、さらにヘッド駆動制御部42を介して印刷ヘッド20を駆動することで、印刷ヘッド20によって感光ドラム10の表面を露光し、静電潜像を生成する。
【0064】
また、現像ローラ11上にはトナーが付着しており、現像ローラ11の回転と現像ブレード14とによって現像ローラ11上にトナーの薄層が形成される。
【0065】
制御部30は、プリンタ部8によって印刷用紙にトナー像が転写されると、その印刷用紙を定着器22に搬送すると共に、定着制御部43によって定着器22を制御してトナー像を印刷用紙に定着させる。
【0066】
制御部30は、印刷用紙を更に搬送して排出ローラ25によって排出し、印刷処理を終了する。
【0067】
次いで帯電フィルム15の詳細動作について説明する。
【0068】
感光ドラム10表面は、接触している帯電フィルム15の導電層15aからの放電により帯電する。
【0069】
放電現象は感光ドラム10表面と帯電フィルムの導電層にある程度のギャップが存在するときに発生するため、感光ドラム10表面と導電層の距離が離れすぎる部分、または接触している部分では放電現象は起こらない。
【0070】
放電可能なギャップ長は帯電フィルム15に印加する電圧によって決まるが、通常数μm〜十数μmであり、5μm程度が好ましい。
【0071】
ここで、図4は実施例1の帯電フィルムがスポンジ部によって感光ドラム側に付勢された様子を示す説明図であり、(a)は側断面図、(b)は斜視断面図である。
【0072】
帯電フィルム15には孔15bと凸部15cが設けられているため、図4(a)に示すように感光ドラム10表面と帯電フィルム15との間には、60〜65の番号で示す放電ギャップが形成される。
【0073】
孔15bで異物や転写残トナー、トナーから離脱した外添剤を感光ドラム10上から取り除き、かつ放電ギャップ61、62で感光ドラム10の予備帯電を行い、また凸部15cの放電ギャップ63、64にて所定の帯電量まで感光ドラム10を帯電する。
【0074】
例えば、孔15bと凸部15cを形成していない帯電フィルム15は、放電ギャップ61〜64が存在しないため、感光ドラム10が帯電される60と65で示した箇所に放電ギャップができる。
【0075】
一方で感光ドラム10の表面にはクリーニングブレード18で除去出来なかったトナーや外添剤、異物が無数に存在する。それらは印刷動作を繰り返すことで、感光ドラム10の回転方向の上流側である放電ギャップ60の部分にてせき止められ堆積する。
【0076】
特に外添剤は、摩擦帯電によって得た電子が逃げないように高い抵抗値を持っているため、放電ギャップ60に堆積すると感光ドラム10と導電層との間で高抵抗層として作用し、感光ドラム10の表面の帯電を妨げてしまう。
【0077】
また、感光ドラム10の回転方向下流側に存在する放電ギャップ65は、帯電フィルム15の自由端側にあるため、印刷処理における帯電フィルム15の自由端が振れることで、その間隔が変動するため安定した帯電を行うことができない。
【0078】
結果、孔15bと凸部15cを形成していない帯電フィルム15では感光ドラム10の帯電量がばらつき帯電不良が起こり、プリンタ部8を通過して定着器22で印刷用紙にトナーを定着させた際に、濃度ムラや縦スジ等が発生してしまう。
【0079】
そこで、本実施例で用いた帯電フィルム15では放電ギャップ60、65に関しては上述同様に帯電量がばらついてしまうが、孔15bと凸部15cを設けたことによる放電ギャップ61〜64によって感光ドラム10表面を均一に帯電することができる。
【0080】
先ず放電ギャップ60をすり抜けてきた感光ドラム10表面上のトナーや外添剤は、図4(b)の矢印にて示すように孔15bを通ってスポンジ部17に付着して回収(クリーニング)される。またそのとき放電ギャップ61、62によって感光ドラム10の帯電も行うが、クリーニング機能も兼ね備えているため帯電量自体は乏しく、特に放電ギャップ62には外添剤が堆積してしまうため帯電量は乏しくなる。
【0081】
その後、純粋な帯電のみを目的とした凸部15cの放電ギャップ63、64にて感光ドラム10を帯電することにより、感光ドラム10を安定して帯電することが可能となる。
【0082】
以上説明したように、本実施例では、帯電フィルムに孔と凸部を複数設けたことで放電ギャップを複数箇所に形成し、帯電フィルムをスポンジ部で感光ドラム側に付勢することで、感光ドラムと帯電フィルムとの間で放電ギャップを複数箇所に設けることができるので、感光ドラムの帯電を安定して行うことができる。
【0083】
また、感光ドラムに付着しているトナーから離脱した外添剤が帯電フィルムに付着したときには、帯電フィルムの孔からスポンジ部へと外添剤が回収されていくため、帯電フィルムに外添剤が堆積するのを防止することができる。
【0084】
なお、本実施例では直径1mmの孔15bと凸部15cを設けたが、直径5mm以下の孔、凸部であれば均等な帯電が可能である。しかし5mm以上の孔、凸部の場合は帯電フィルムのモーメントにも関わってくるが、帯電フィルムが歪んで帯電ムラにより均一な帯電ができなくなる。
【0085】
また配置される孔、凸部のピッチは直径の2倍以下が望ましく、千鳥状に配置されることが望ましい。孔、凸部の形状に関しては本実施例では円形を用いたが、たとえば三角形や四角形、楕円、半円等、孔および凸部の形状は何通りも存在する。
【実施例2】
【0086】
上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図5は実施例2の帯電フィルムのスポンジ部によって付勢される部分を示す説明図であり、(a)は感光ドラムに対向する面の形状を示し、(b)は側面の形状を示している。
【0088】
図5において、50は実施例2の帯電フィルムであり、厚さ50μmのPETフィルムの片側に、電源と導通し、かつ放電する面を確保するための導電性を有する塗料を片側全面に厚さ10μm塗布して形成した導電層50aを有している。
【0089】
帯電フィルム50の導電層50a側の表面は微小な凹凸を無秩序に配して形成した凹凸面としており、その凹凸面の溝の間隔や長さは無造作に存在するが、溝の深さは凹凸面の長手方向の10点平均粗さRzが少なくとも30μm以下であることが必要であり、本実施例では平均粗さRzを5〜15μm程度となるように凹凸面を形成している。
【0090】
ここで、図6は実施例2の帯電フィルムの凹凸面を拡大した説明図であり、感光ドラム10側から見た帯電フィルム50の凹凸面を示している。そのため図6に示すように凹凸面の凸部51の先端は感光ドラム10側に突き出ている。
【0091】
また、図6に示すように凸部51は感光ドラム10の回転方向に沿って所定の長さを有するように延びているため、凸部51間に形成される凹部52も感光ドラム10の回転方向に沿うように伸長する。
【0092】
上述した構成の作用について説明する。帯電フィルム50の導電層50aが感光ドラム10と接触すると、感光ドラム10の表面に導電層50aの凸部51が当接して導電層50aの凹部52と感光ドラム10との間で放電ギャップが形成される。よって感光ドラム10の帯電領域を所定量帯電させることが十分に可能となる。
【0093】
次に外添剤等の堆積について説明する。感光ドラム10に付着しているトナーから外添剤が離脱したとき、その外添剤は感光ドラム10の回転によって搬送され、図6に示すように感光ドラム10と帯電フィルム50とが接触する凸部51の端部に堆積する。
【0094】
また凸部51に堆積することの無い外添剤は感光ドラム10に付着したまま、感光ドラム10の回転に沿って凸部51の間をすり抜けるように移動し、クリーニングブレード18によって除去される。
【0095】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1の効果と同様にトナーや外添剤、異物の堆積によって引き起こされる帯電不良を防止することができ、かつ安定した帯電を行うことが可能である。
【0096】
また、帯電フィルムの感光ドラムと対向する面の全面にわたって凹凸を設けたので、その凸部に引っ掛かる外添剤を一定量以上堆積させないようにすることができる。
【0097】
本発明は、電子写真方式の複写機やファクシミリ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
2 用紙カセット
3 給紙ローラ
4 搬送ローラ部
8 プリンタ部
9 帯電部
10 感光ドラム
11 現像ローラ
12 トナー供給ローラ
13 トナーカートリッジ
14 現像ブレード
15、50 帯電フィルム
15a、50a 導電層
15b 孔
15c 凸部
16 保持部材
17 スポンジ部
18 クリーニングブレード
19 回収容器
20 印刷ヘッド
21 転写ローラ
22 定着器
23 定着ローラ
24 バックアップローラ
25 排出ローラ
26 排出口
30 制御部
30a ドラムカウンタ
30b ドットカウンタ
31 インターフェイス制御部
32 受信メモリ
33 画像データ編集メモリ
34 表示操作部
35 センサ群
36 帯電フィルム用電源
37 現像ローラ用電源
38 供給ローラ用電源
39 転写ローラ用電源
40 ヒューズ用電源
41 新旧判別ヒューズ
42 ヘッド駆動制御部
43 定着制御部
44 搬送モータ制御部
45 用紙搬送モータ
46 駆動制御部
47 駆動モータ
60〜65 放電ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材を前記静電潜像担持体側に付勢する付勢部材とを備えた画像形成装置であって、
前記帯電部材の表面へのトナーおよび外添剤の付着を防止する付着防止手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記帯電部材に複数の孔を設け、前記付勢部材を前記帯電部材の各孔を通過したトナーおよび外添剤を吸収可能な多孔質体で形成し、前記帯電部材の孔と前記付勢部材を前記付着防止手段とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記帯電部材の前記静電潜像担持体と対向する面に前記静電潜像担持体の回転方向に沿って所定の長さを有する凸部を設け、該凸部を前記付着防止手段とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
静電潜像担持体に当接する帯電部と、該帯電部に電圧を印加する電源とを有する帯電装置であって、
前記帯電部は、導電性部材と、該導電性部材を保持する保持部と、前記導電性部材を前記静電潜像担持体へ付勢する付勢部材とを備え、
前記導電性部材は、前記静電潜像担持体と接触する箇所に貫通穴と凸部を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記貫通穴は、最大口径が5mm以下であることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記凸部は最大径が5mm以下で、高さが20μm以下であることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記凸部は前記静電潜像担持体の回転方向に対して、前記貫通穴の下流側に設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記貫通穴と前記凸部は、画像形成領域に渡って複数設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記貫通穴と前記凸部が前記静電潜像担持体の長手方向に対して千鳥状に設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項10】
請求項4に記載の帯電装置において、
前記付勢部材は、発泡体からなることを特徴とする帯電装置。
【請求項11】
請求項4〜請求項9または請求項10に記載の帯電装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203502(P2011−203502A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70862(P2010−70862)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】