説明

画像形成装置及び当該画像形成装置用の管理装置

【課題】画像形成装置が備えるハードウェアの構成を変更せずに、ユーザに応じた特定機能を実現することができる。
【解決手段】特定機能実行部9に特定機能を実現させるプログラム32の実行に制限をかける特定機能制限部51と、プログラム32の制限を解除するための解除情報を入力部81を介して取得させる取得部(入出力制御部)42と、取得部42が取得した解除情報と特定機能識別情報311とが対応している場合にプログラム32の制限を解除する特定機能解除部52と、特定機能解除部52がプログラム32の制限を解除した場合に、特定機能実行部9に当該特定機能を実現させる特定機能制御部53と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定機能を備える画像形成装置及び当該画像形成装置用の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、スキャナー装置、プリンタ部とスキャナー部を備える複合機等の画像形成装置が備える各機能は、画像形成装置のユーザが各機能を使用するか、使用しないかに関わらず、ユーザが使うであろうと想定する機能を販売時に備える構成とするのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−88416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、画像形成装置が備える機能を実現するための機能実行部(例えば、LANインタフェース、IEEE1394インタフェース等のハードウェア)のコストを含んだ形で、画像形成装置の販売価格は設定される。
【0005】
しかしながら、ユーザによっては、使用しない機能を実現するためのハードウェア機能の代金まで支払っているので都合が悪い。例えば、個人ユーザでは、画像形成装置をLAN(Local Area Network)に接続しない場合が多いので、画像形成装置にLANインタフェースは不要であり、USBインタフェースが備えられていれば十分ということがある。また、画像形成装置の販売者としても、個々のユーザに合わせて、各機能のすべてのパターンを網羅する形で、複数のバリエーションの画像形成装置をそれぞれ生産することは困難である。
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置が備えるハードウェアの構成を変更せずに、個々のユーザに応じた特定機能を実現することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、画像形成装置が備える各特定機能に特定機能を識別する識別情報を付与するとともに、特定機能の動作を制御するプログラムに制限をかけて特定機能の実行を禁止し、特定機能の制限を解除するために取得した解除情報が特定機能識別情報に対応している場合にプログラムの制限を解除し、特定機能の実行を行う。
【0008】
例えば、本発明に係る画像形成装置は、制御部と、特定機能を実現する特定機能実行部と、前記特定機能を識別する特定機能識別情報、及び前記特定機能実行部に前記制御部と協働して前記特定機能を実現させるプログラムが格納された不揮発性記憶部とを備え、前記制御部は、前記不揮発性記憶部に格納された前記プログラムの実行に制限をかける特定機能制限部と、前記プログラムの制限を解除するための解除情報を入力部を介して取得させる取得部と、前記取得部が取得した前記解除情報と前記不揮発性記憶部に記憶された前記特定機能識別情報とが対応している場合に前記プログラムの制限を解除する特定機能解除部と、前記特定機能解除部が前記プログラムの制限を解除した場合に、前記特定機能実行部に当該特定機能を実現させる特定機能制御部とをさらに有する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る管理装置は、画像形成装置の特定機能の制限の有無を管理する管理装置であって、前記画像形成装置の特定機能を実現させるプログラムの制限の解除に必要な必要情報をユーザに入力させるための入力画面を生成して、インターネットを介して当該入力画面をユーザのコンピュータに提供する画像生成部と、前記インターネットを介して、ユーザによって前記入力画面に入力された入力必要情報及び前記画像形成装置の記憶部に記憶されている記憶必要情報を取得して、取得された当該入力必要情報と当該記憶必要情報とデータベースに予め記憶されている画像形成装置毎の管理情報とに基づいて、前記プログラムの制限を解除するための解除情報の送信の可否を判定するデータ管理部とを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、画像形成装置が備えるハードウェアの構成を変更せずに、個々のユーザに応じた特定機能を実現することができる。
また、本発明の管理装置によれば、画像形成装置が備えるハードウェアの構成を変更せずに、特定機能の実行を許容することで、個々のユーザに応じた特定機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る特定機能管理システムの構成図である。
【図2】第1実施形態に係る特定機能識別情報の算出方法の一例を示す図ある。
【図3】第1実施形態に係る入出力部の説明図である。
【図4】第1実施形態に係る特定機能管理システムの特定機能管理動作を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に表示部に表示される表示画面例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る特定機能管理システムの構成図である。
【図7】第2実施形態に係る管理装置が画像処理装置に送信する入力画面の一例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る管理装置が画像処理装置に送信する機能解除情報のデータ構成図の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係るデータベースのデータ構成図の一例を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る特定機能管理システムの特定機能管理動作を表すフローチャート(1)である。
【図11】第2実施形態に係る特定機能管理システムの特定機能管理動作を表すフローチャート(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪第1実施形態に係る特定機能管理システムの構成≫
<概要>
図1は、第1実施形態に係る特定機能管理システム1の構成図である。
画像形成装置としてのプリンタ2は、ページプリンタであり、不揮発性記憶部3、制御部4、印刷部6、送受信部7、操作パネル8、及び特定機能実行部9を備えて構成される。
第1実施形態では、画像形成装置2としてプリンタを使用する場合を説明するが、画像形成装置2としては、プリンタの他に、複写機、ファクシミリ装置、スキャナー装置、プリンタ部とスキャナー部とを備える複合機等を用いることができる。
【0013】
<不揮発性記憶部>
不揮発性記憶部3(以下、単に「記憶部3」と呼ぶときがある)は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等で構成される。記憶部3には、装置固有の情報であるシリアルNo31、及び特定機能制御プログラム32が格納されている。また、記憶部3には、前記したプログラム以外にも、プリンタ2を制御する図示しないプログラムが格納されている。
【0014】
装置固有情報としてのシリアルNo31は、プリンタ2の製造時に製造者により付与されるシリアル番号(通し番号)である。シリアルNo31は、英字、数字等で構成され、例えば「AF85123456A0」のように表される。
特定機能制御プログラム32は、特定機能実行部9(例えば、LANインタフェース91、IEEE1394インタフェース92等のハードウェア)を制御するためのプログラムであり、制御部4で展開及び実行される。
【0015】
<制御部>
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びこれらの周辺回路等(いずれも図示せず)で構成される。制御部4は、不揮発性記憶部3に格納される特定機能制御プログラム32、及びプリンタ2を制御するためのその他の図示しないプログラムを実行することで、プリンタ2の動作を制御する。図1に示す制御部4は、それらのプログラムが実行可能に展開されたときの様子を表している。
【0016】
制御部4は、エンジン制御部41、入出力制御部42、USBインタフェース制御部43、特定機能管理部5、及び特定機能制御部53を備えて構成される。さらに、特定機能管理部5は、特定機能制限部51、及び特定機能解除部52を含んで構成される。
【0017】
エンジン制御部41は、印刷部6を制御して、印刷を実行する。
入出力制御部42は、入出力部としての操作パネル8を制御して、操作パネル8を介したデータの入力及び出力を実現する。
USBインタフェース制御部43は、送受信部としてのUSBインタフェース7を制御して、USBインタフェース7を介したデータの送受信を実現する。
【0018】
特定機能管理部5は、特定機能制限部51、及び特定機能解除部52を備え、特定機能の制限・解除を管理する。
特定機能制限部51は、特定機能制御部53が特定機能実行部9(例えば、LANインタフェース91、IEEE1394インタフェース92等のハードウェア)の制御を実行しないように制限をかける。制限方法は色々考えられ、例えば、各特定機能に対応する図示しないフラグ情報を図示しない揮発性記憶部(RAM)に備えておき、制限の有無をフラグ情報として格納し、特定機能制御部53がフラグ情報を参照することによって特定機能実行部9の制御の可否を判定する構成にしてもよい。
【0019】
特定機能解除部52は、特定機能実行部9を一意に識別する情報である特定機能識別情報を記憶部3に格納される装置固有情報としてのシリアルNo31から算出する。図2は、特定機能識別情報の算出方法の一例を示す図ある。
【0020】
特定機能解除部52は、シリアルNo31を特定機能ごとに決まったアルゴリズムで暗号化することで、特定機能識別情報を算出する。図2を参照して説明すると、シリアルNo31を特定機能1用のアルゴリズムで暗号化したものが機能1用特定機能識別情報311であり、シリアルNo31を特定機能2用のアルゴリズムで暗号化したものが機能2用特定機能識別情報312であり、シリアルNo31を特定機能3用のアルゴリズムで暗号化したものが機能3用特定機能識別情報313である。以下、同じように、異なるアルゴリズムを用いて複数の特定機能識別情報を算出する。したがって、特定機能識別情報311,312,313,314(以下、まとめて「特定機能識別情報311等」と呼ぶときがある)は、シリアルNo31ひとつについて唯一決まることになる。
【0021】
そして、算出された特定機能識別情報311等は、各特定機能に割り当てられる。例えば、機能1用特定機能情報311をLANインタフェース91に割り当て、機能2用特定機能識別情報をIEEE1394インタフェースに割り当てる。
なお、特定機能識別情報311等は、シリアルNo31から算出せずに、任意のユニークな数値を用いてもよい。その場合には、特定機能識別情報311等は、不揮発性記憶部3に格納しておく。
【0022】
また、特定機能解除部52は、特定機能制限部51により実行を制限されている特定機能実行部9の制限を解除し、特定機能制御部53が特定機能実行部9の制御を実行できるようにする。解除方法は、例えば、入力部81を介して解除情報を入力し、入力された解除情報と、特定機能を一意に識別する特定機能識別情報311等(図2参照)とが対応(一致)する場合に、機能の制限を解除する。
【0023】
特定機能制御部53は、特定機能制限解除部52により制限が解除されている場合に、特定機能実行部9(例えば、LANインタフェース91、IEEE1394インタフェース92等のハードウェア)を制御して各機能を実現する。
例えば、特定機能制限部53は、図示しない揮発性記憶部(RAM)に格納される図示しないフラグ情報を参照することで制限の有無を判定する。
【0024】
<印刷部>
印刷部6は、画像形成ユニット61、定着ユニット62、及び用紙搬送機構63を備えて構成される。印刷部6は、エンジン制御部41からの制御信号により印刷部6が備える画像形成ユニット61、定着ユニット62、及び用紙搬送機構63を動作させ、帯電、感光、現像、転写、定着等の各工程や媒体の搬送を実行する。
【0025】
画像形成ユニット61は、感光ドラムを帯電させる帯電ローラ、帯電した感光ドラムの表面を露光し、静電潜像を形成するLEDヘッド、LEDヘッドにより静電潜像が形成される感光ドラム、感光ドラムに形成された静電潜像をトナー像として顕在化する現像ローラ、感光ドラムに形成されたトナー像を媒体に転写する転写ローラ等(いずれも図示せず)をさらに備えて構成される。
【0026】
定着ユニット62は、加熱ローラ及び定着ローラ(いずれも図示せず)が互いに対向して備えられ、画像形成ユニット61で媒体に転写されたトナー像を加熱・加圧して、媒体に定着する。
用紙搬送機構63は、給紙カセットから媒体を1枚ずつ取り出す給紙ローラ、給紙ローラから取り出された媒体を画像形成ユニット61に送り込む搬送ローラ、及び定着ユニット62で画像が定着した媒体を排出トレイに排出する排出ローラ等(いずれも図示せず)をさらに備えて構成される。
【0027】
<送受信部>
送受信部7は、接続される他の装置との間で、データの送受信を行う。図1では説明の便宜上、送受信部7としてUSBインタフェースを示しているが、特定機能実行部9の中のLANインタフェース91、及びIEEE1394インタフェース92も送受信部7に該当する。
送受信部7としてのUSBインタフェースは、PC20と接続され、PC20内のプリンタドライバ23から送信されたデータの受信や、プリンタドラバ23へのデータの送信を行う。
【0028】
<入出力部>
入出力部としての操作パネル8は、入力部81及び表示部82を備えて構成される。図3は、入出力部としての操作パネル8の説明図である。
入出力部としての操作パネル8は、プリンタ2の各種設定を行ったり、解除情報の入力を行うための入力部81、及びプリンタ2の状態を示す表示部82を備える。入力部81は、さらにメニューキー811、セレクトキー812、決定キー813等のキーで構成される。
【0029】
<特定機能実行部>
特定機能実行部9は、LANインタフェース91、IEEE1394インタフェース92等のハードウェアである。図1では、LANインタフェース91、及びIEEE1394インタフェース92を記載しているが、他のハードウェアを特定機能実行部9に含めることができる。例えば、USBインタフェース7、印刷部6の一部を特定機能実行部9に含めてもよい。
【0030】
LANインタフェース91は、いずれも図示しないネットワークやインターネットと接続され、ネットワーク及びインターネットに接続された他の装置とデータの送受信を行う。
IEEE1394インタフェース92は、いずれも図示しないビデオカメラやデジタルカメラと接続され、ビデオカメラやデジタルカメラとデータの送受信を行う。
【0031】
≪第1実施形態に係る特定機能管理システムの特定機能管理動作≫
図4は、画像形成装置としてのプリンタ2の特定機能管理動作を表すフローチャートである。図5は、表示部82に表示される表示画面例を示す図である。
以下、図2、図4及び図5を参照して、LANインタフェース91の制限を解除することでLANインタフェース91の機能を追加する(LANインタフェース91の機能を実行可能にする)場合を例にとり、プリンタ2の特定機能管理動作を説明する。なお、LANインタフェース91の機能は、事前に(例えば、プリンタ2の出荷時に)制限がかけられているものとする。また、図2に示す「機能1」は、LANインタフェース91を指すものとする。
【0032】
図4を参照して、最初に、プリンタ2のユーザは、電話やFAXなどを使って、プリンタ2の供給元(製造元)からLANインタフェース91の制限を解除するためのLANインタフェース用解除情報(以下、単に「LAN用解除情報」と呼ぶときがある)を入手する(ステップS101)。ここで、入手したLAN用解除情報は「012345678912」である。
【0033】
次に、ユーザは、入手したLAN用解除情報をプリンタ2に入力するために、プリンタ2の電源を入れる(図中では「POWER ON」)(ステップS102)。プリンタ2の電源が入ると、ユーザは、入力部81のメニューキー811(図3参照)を押下する。メニューキー811が押下されることで、入出力制御部42は、図5(a)に示す「キノウツイカ」の項目を表示部82に表示し、さらにユーザが決定キー813を押下することで表示された機能追加の項目を選択する。次に、ユーザは、セレクトキー812を押下して、複数の機能の中から図5(b)に示すLANインタフェース91(図中では「LAN」)の機能を選択する(ステップS103)。
【0034】
次に、入出力制御部42は、図5(c)に示すように、表示部82に「カイジョジョウホウニュウリョク」の文言を表示させ、ユーザにLAN用解除情報の入力を促す。ユーザは、事前に入手しているLAN用解除情報「012345678912」を、セレクトキー812を操作して入力し(図5(d)参照)、入力が終了したら決定キー813を押下する(ステップS104)。
【0035】
次に、特定機能解除部52は、記憶部3に格納されたシリアルNo31を用いてあらかじめ決められた機能1用のアルゴリズムにより機能1用特定機能情報311を計算し、計算した機能1用特定機能情報311をLANインタフェース91に割り当てる。そして、特定機能解除部52は、ユーザが入力部81を介して入力したLAN用解除情報「012345678912」と計算した機能1用特定機能識別情報とが一致するかどうかの判定を行う(ステップS105)。一致していると判定された場合(ステップS105“Yes”)に、処理はステップS106に進む。一方、一致していないと判定された場合(ステップS105“No”)に、処理はステップS108に進む。
【0036】
ステップS105で“Yes”の場合に、特定機能解除部52は、特定機能制限部51により制限されているLANインタフェース91の機能を解除する(ステップS106)。このとき、入出力制御部42は、表示部82に「カクニン OK」文言(図5(e)参照)を表示させ、ユーザにLANインタフェース91の機能を解除したことを通知する。
【0037】
そして、特定機能制御部53が実行可能になり、特定機能実行部9としてのLANインタフェース91が動作可能となる(ステップS107)。ユーザは、LANインタフェース91の各種設定、IPアドレスなどの設定を行い、LANインタフェース91の使用が可能となる。そして、入出力制御部42は、表示部82に通常状態を表す「オンライン」文言(図5(f)参照)を表示させる。これで、プリンタ2の機能の制限を解除することによる機能管理動作が終了する。
【0038】
一方、ステップS105で“No”の場合に、特定機能解除部52は、ユーザが単純に解除情報の入力を間違った場合を考慮して、解除情報の入力が規定回数であるN回目(任意に設定した回数)以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0039】
N回目未満である場合(ステップS108“No”)には、ユーザに解除情報の再入力を促す(ステップS109)。この場合には、ユーザは、解除情報を再度入力することになる。
【0040】
N回目以上である場合(ステップS108“Yes”)には、ユーザが解除情報を入手していないと判断し、制限している機能はそのままにする。そして、入出力制御部42は、表示部82に通常状態を表す「オンライン」文言(図5(f)参照)を表示し、通常の状態に戻る(ステップS211)。これで、プリンタ2の機能の制限を解除することによる機能管理動作が終了する。
以上で、第1実施形態に係る特定機能管理システム1の特定機能管理動作の説明を終了する。
【0041】
以上のように、第1実施形態に係る特定機能管理システム1によれば、画像形成装置2が備える特定機能実行部9(ハードウェア)の構成を変更せずに、個々のユーザに応じた特定機能を実現することができる。
【0042】
≪第2実施形態に係る特定機能管理システムの構成≫
<概要>
第1実施形態に係る特定機能管理システム1では、ユーザが電話やFAXを使って解除情報を入手し、入手した解除情報をユーザがプリンタ2に入力することで特定機能の制限を解除していた。
第2実施形態に係る特定機能追加システム1aでは、ユーザが使用するPC20aをインターネット27に接続し、ネットワーク経由で解除情報を入手し、入手した解除情報をプリンタ2に送信することで特定機能の制限を解除する。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る特定機能管理システム1aの構成図である。
図6に示す、特定機能管理システム1aは、インターネット27への接続を境にしてルータ26A側がユーザ側の構成を表し、ルータ26B側が機能を供給する側(メーカ側)の構成を表す。
図6に示すプリンタ2の構成は、第1実施形態におけるプリンタ2の構成と同様である。第1実施形態の特定機能管理システム1と第2実施形態の特定機能管理システム1aとの違いは、画像処理装置としてのPC20aがインターネット27を介して機能を供給する側(メーカ側)と接続されている点である。
【0044】
以下、図7を参照して、第2実施形態に係る特定機能追加システム1aについて説明する。なお、第1実施形態に係る特定機能追加システムと同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
<ルータ>
ルータ26A,26Bは、二つ以上の異なるネットワーク間を相互接続する通信機器である。
【0045】
<管理装置>
管理装置としてのPC28は、計算処理機能を備える一般的な情報処理装置である。
管理装置としてのPC28は、画面生成部28A、及びデータ管理部28Bを有している。
画面生成部28Aは、ユーザがプリンタ2の特定機能を追加する際に、画像形成装置としてのプリンタ2の特定機能を実現させる特定機能制御プログラム32の制限の解除に必要な必要情報をユーザに入力させるための入力画面281(図7参照)を生成し、生成した入力画面281をユーザのコンピュータ20aにインターネット27を介して提供する。入力画面281(図7参照)の詳細は後記する。
【0046】
データ管理部28Bは、インターネット27を介して、ユーザによって入力画面281(図7参照)に入力された入力必要情報をデータベース29に格納する。また、データ管理部28Bは、ユーザによって入力画面281(図7参照)に入力された入力必要情報及び画像形成装置としてのプリンタ2の記憶部3に記憶されている記憶必要情報としてのシリアルNo31を取得して、取得された当該入力必要情報とシリアルNo31とデータベース29に予め記憶されている画像形成装置毎の管理情報とを照合し、照合結果により特定機能制御プログラム32の制限を解除するための機能解除情報289(図8参照)の送信の可否を判定する。データ管理部28Bは、照合結果が正しい場合に、特定機能制御プログラム32の制限を解除するための機能解除情報289(図8参照)を、ユーザが使用するPC20aに送信する。機能解除情報289(図8参照)の詳細は後記する。
【0047】
図7は、管理装置としてのPC28が画像処理装置としてのPC20aに送信する入力画面の一例を示す図である。
入力画面281は、名前欄282、機種名欄283、追加機能欄284A,B,C,D(以下、単に「追加機能欄284」と呼ぶときがある)、シリアルNo欄285、及びクレジットカードNo欄286を備える。
【0048】
名前欄282には、ユーザ自身の氏名が入力される。
機種名欄283には、プリンタ2の機種名が入力される。機種名欄283は、図7に示すように、プルダウンメニューから該当する機種名を選択するようにしてもよい。
【0049】
追加機能欄284には、ユーザがプリンタ2に追加したい機能が入力される。追加機能欄284は、図7に示すように、プルダウンメニューから該当する機能名を選択するようにしてもよい。ここで、追加機能欄284Bに表示される「印刷枚数管理プログラム」とは、プリンタ2が印刷する枚数を管理する機能である(図6に図示せず)。また、追加機能欄284Cに表示される「速度アップ」とは、プリンタ2が印刷する速度を通常よりも上げる機能である(図6に図示せず)。
【0050】
シリアルNo欄285には、プリンタ2のシリアルNoが入力される。入力されるシリアルNoは、プリンタ2の記憶部3(図1参照)に格納されるシリアルNo31と同じものであり、例えば、シリアルNo31と同じ番号を、プリンタ2の外面に何らかの手段を用いて記載しておき、ユーザがその記載を確認してシリアルNoを入力する。
クレジットカードNo欄286には、ユーザが所有するクレジットカードの番号が入力される。
【0051】
図8は、管理装置としてのPC28が画像処理装置としてのPC20aに送信する機能解除情報のデータ構成図の一例を示す図である。
管理装置としてのPC28が送信するデータは、機能を解除するプリンタ2のシリアルNo287、及び機能を解除する数分の解除情報288A,288B,288C(以下、まとめて「解除情報288」と呼ぶときがある)で構成される。本実施形態では、3つの機能を解除することを想定し、LANインタフェース解除のための解除情報288A、印刷枚数管理プログラム解除のための解除情報288B、及び速度アップ解除のための解除情報288Cで構成されている。
【0052】
<データベース>
データベース29には、プリンタ2を含む、メーカが販売した画像形成装置の情報が記憶されている。図9は、データベース29のデータ構成図の一例を示す図である。データベース29に格納されるデータの内容は、機能制限の解除を希望するユーザに対して適性にデータを供給するため、及び誤って機能制限の解除を行う権利を持たないユーザに対して機能制限の解除をしてしまうことがないようにするために必要である。
【0053】
機種名291には、プリンタ2の機種名が格納される。
シリアルNo292には、メーカが販売したプリンタのシリアルNoが格納される。
機能293には、シリアルNo292に格納されるシリアルNoに対応する画像形成装置が備える機能のうち、機能制限が解除されている機能の情報が格納される。
ユーザ名294には、シリアルNo292に格納されるシリアルNoに対応する画像形成装置を所有するユーザの氏名が格納される。
【0054】
≪第2実施形態に係る特定機能管理動作≫
図10及び図11は、特定機能管理動作を表すフローチャートである。
以下、図6、図7、図10及び図11を参照して、LANインタフェース91、印刷枚数管理プログラム(図示せず)、及び速度アップ(図示せず)の機能の制限を解除する場合を例にとり、第2実施形態の特定機能管理動作を説明する。
【0055】
図10を参照して、最初に、ユーザは、画像形成装置としてのプリンタ2、画像処理装置としてのPC20a、及びルータ26Aを接続し(ステップS201)、すべての装置の電源をONする(図中では「POWER ON」)(ステップS202)。
【0056】
次に、ユーザは、画像処理装置としてのPC20aを使って、管理装置としてのPC28が提供する機能制限解除を行うためのサイトへインターネット27経由でアクセス(ステップS203)。
【0057】
次に、管理装置としてのPC28の画面生成部28Aは、機能制限解除をするために必要な情報を入手するための入力画面281(図7参照)を、ユーザが使用するPC20aに送信する。そして、ユーザは、受信した入力画面281に従い必要な情報を入力する(ステップS204)。
【0058】
次に、画像処理装置としてのPC20aは、プリンタ2にアクセスして、記憶部3に格納されている必要情報を取得する(ステップS205)。本実施形態では、PC20aは、装置固有情報としてのシリアルNo31を取得する。
【0059】
次に、画像処理装置としてのPC20aは、ステップS204においてユーザが入力画面281(図7参照)を介して入力した情報、及びステップS205において画像形成装置としてのプリンタ2から取得した情報を、インターネット27を介して管理装置としてのPC28に送信する(ステップS206)。
【0060】
次に、管理装置としてのパソコン28のデータ管理部28Bは、PC20aから送信された情報(入力必要情報及び記憶必要情報)をデータベース29に格納するとともに、送信された情報とすでにデータベース29に格納されている情報との照合を行う(ステップS207)。
【0061】
データ管理部28Bは、例えば、入力画面281(図7参照)のシリアルNo欄285に入力された番号が間違っている(データベース29のシリアルNo292に該当する番号が存在しない、又はプリンタ2から取得したシリアルNo31と番号が異なる)場合や、入力画面281の追加機能欄284に入力された機能の制限がすでに解除されている(データベース29の機能293に該当する機能が存在する)場合は、照合した結果が正しくないと判定する(ステップS208)。
【0062】
照合した結果が正しくない場合(ステップS208“No”)に、処理はステップS209に進む。一方、照合した結果が正しい場合(ステップS208“Yes”)に、処理はステップS212に進む。
【0063】
ステップS208で“No”の場合に、管理装置としてのPC28は、ユーザが単純に入力画面281の入力を間違った場合を考慮して、入力画面281の入力が規定回数であるN回目(任意に設定した回数)以上であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0064】
N回目未満である場合(ステップS209“No”)には、PC20aに入力画面281の再入力を促すメッセージをインターネット27経由で送信し、ユーザに入力画面281の再入力を促す(ステップS210)。
【0065】
N回目以上である場合(ステップS209“Yes”)には、ユーザがプリンタ2の正当な所有者ではないと判断し、制限している機能はそのままにする(ステップS211)。そして、機能管理動作は終了する。
【0066】
ステップS208で“Yes”の場合に、管理装置としてのPC28は、機能制限を解除するために必要な機能解除情報289(図8参照)をインターネット27経由で画像処理装置としてのPC20aに送信する(ステップS212)。画像処理装置としてのPC20aは、受信した機能解除情報289(図8参照)を、さらに画像形成装置としてのプリンタ2に送信する。
【0067】
次に、画像形成装置としてのプリンタ2の特定機能解除部52は、受信した機能解除情報289(図8参照)のシリアルNo287と記憶部3に格納されるシリアルNo31とが一致し、かつ、受信した機能解除情報の解除情報288と計算した特定機能識別情報とが一致するか照合する(ステップS213)。
【0068】
ステップS213で照合した結果が正しいか否かの判定を行う(ステップS214)。
照合した結果が正しくない場合(ステップS214“No”)に、処理はステップS211に進む。一方、照合した結果が正しい場合(ステップS214“Yes”)に、処理はステップS215に進む。
【0069】
ステップS214で“Yes”の場合に、特定機能解除部52は、受信した機能解除情報289(図8参照)に対応する機能の制限を解除する(ステップS215)。そして、特定機能制御部53が実行可能になり、対応する特定機能実行部9が動作可能となる(ステップS216)。本実施形態では、LANインタフェース91、印刷枚数管理プログラム(図示せず)、及び速度アップ(図示せず)の機能の制限が解除される。これで、機能管理動作が終了する。
以上で、第2実施形態に係る特定機能管理システム1aの特定機能管理動作の説明を終了する。
【0070】
以上のように、第2実施形態に係る特定機能管理システム1aによれば、ユーザが電話やFAXなどで解除情報を入手しなくても、ネットワーク経由で特定機能の制限を解除することができる。
また、第2実施形態に係る特定機能管理システム1aは、クレジットカードによる課金によって、ハードウェアを制御するプログラム部分の制限を解除する。したがって、第2実施形態に係る特定機能管理システム1aによれば、画像形成装置2販売時にはハードウェア部分に課金を行わず、画像形成装置2販売後にインターネット27を通じてハードウェアを制御するソフトウェア部分に課金することができる。
【0071】
≪変形例≫
第1実施形態では、解除情報を入手する手段として、電話及びFAXを用いる手段を記載したが、それ以外に、USBメモリなどの記憶媒体に解除情報を格納しておき、記憶媒体から解除情報を入手する方法も考えられる。この場合には、ユーザは、解除情報を入力する必要はなく、解除情報が格納されたUSBメモリを画像形成装置2へ接続することで、機能解除まで自動化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,1a 特定機能管理システム
2 プリンタ(画像形成装置)
3 不揮発性記憶部(不揮発性記憶部)
31 シリアルNo(装置固有情報)
311 特定機能識別情報
4 制御部
41 エンジン制御部
42 入出力制御部(取得部)
43 USBインタフェース制御部(取得部)
5 特定機能管理部
51 特定機能制限部
52 特定機能解除部
53 特定機能制御部
6 印刷部
7 USBインタフェース(送受信部)
8 操作パネル(入出力部)
81 入力部
82 表示部
9 特定機能実行部
91 LANインタフェース
92 IEEE1394インタフェース
20 PC(画像処理装置)
27 インターネット
28 PC(管理装置)
28A 画面生成部
28B データ管理部
281 入力画面
289 機能解除情報(解除情報)
29 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
特定機能を実現する特定機能実行部と、
前記特定機能を識別する特定機能識別情報、及び前記特定機能実行部に前記制御部と協働して前記特定機能を実現させるプログラムが格納された不揮発性記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記不揮発性記憶部に格納された前記プログラムの実行に制限をかける特定機能制限部と、
前記プログラムの制限を解除するための解除情報を入力部を介して取得させる取得部と、
前記取得部が取得した前記解除情報と前記不揮発性記憶部に記憶された前記特定機能識別情報とが対応している場合に前記プログラムの制限を解除する特定機能解除部と、
前記特定機能解除部が前記プログラムの制限を解除した場合に、前記特定機能実行部に当該特定機能を実現させる特定機能制御部とをさらに有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記入力部は、インターネットに接続されている送受信部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記不揮発性記憶部は、前記特定機能識別情報の代わりに装置固有情報を記憶しており、
前記特定機能識別情報は、前記特定機能解除部によって、前記特定機能ごとに異なるアルゴリズムを用いて、前記装置固有情報から算出される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置の特定機能の制限の有無を管理する管理装置であって、
前記画像形成装置の特定機能を実現させるプログラムの制限の解除に必要な必要情報をユーザに入力させるための入力画面を生成して、インターネットを介して当該入力画面をユーザのコンピュータに提供する画像生成部と、
前記インターネットを介して、ユーザによって前記入力画面に入力された入力必要情報及び前記画像形成装置の記憶部に記憶されている記憶必要情報を取得して、取得された当該入力必要情報と当該記憶必要情報とデータベースに予め記憶されている画像形成装置毎の管理情報とに基づいて、前記プログラムの制限を解除するための解除情報の送信の可否を判定するデータ管理部とを有する、
ことを特徴とする管理装置。
【請求項5】
前記入力必要情報は、各画像形成装置に固有な装置固有情報及び解除すべき特定機能を表す特定機能識別情報であり、
前記記憶必要情報は、各画像形成装置に固有な装置固有情報である、
ことを特徴とする請求項4に記載の管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−43179(P2012−43179A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183859(P2010−183859)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】