画像形成装置及び画像処理装置
【課題】原稿の画像を読み取って得られる画像データを用いて記入欄の位置を認識できるように原稿中に記入欄を設けるにあたって、原稿中に設けた固定の位置指標を利用する場合よりも、記入欄の位置を柔軟に設定することができるようにする。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、原稿の画像を読み取って画像データを取得するスキャナ部14と、そこで取得された画像データに基づく原稿画像を表示する表示部172と、そこに表示された原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部171と、そこでの操作によって記入欄が設定された原稿画像に、記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み処理を行うシステム制御部11と、付加情報が埋め込まれた原稿画像を記録媒体に印刷出力するプリンタ部15とを備える。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、原稿の画像を読み取って画像データを取得するスキャナ部14と、そこで取得された画像データに基づく原稿画像を表示する表示部172と、そこに表示された原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部171と、そこでの操作によって記入欄が設定された原稿画像に、記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み処理を行うシステム制御部11と、付加情報が埋め込まれた原稿画像を記録媒体に印刷出力するプリンタ部15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像が記録された原稿を光学的に読み取って得られる画像データを用いて、その原稿に含まれる記入欄の位置を認識(検出)する技術として、例えば特許文献1には、原稿中に予め位置指標を設けておき、上記画像データ内の位置指標に基づいて、記入欄の位置を認識する技術が知られている。
【0003】
上記の技術では、記入欄の二次元位置を示す位置指標を予め原稿の縦方向と横方向に複数個ずつ並べて設けておき、縦方向に並べられた位置指標が示す縦方向座標位置と横方向に並べられた位置指標が示す横方向座標位置の交差部(縦横の二次元位置座標)を、記入欄の位置として認識する仕組みになっている。このため、原稿の画像を読み取って得られる画像データ(位置指標を含む)に基づいて記入欄の位置を認識するには、予め原稿を作成する段階で、原稿中に固定の位置指標を設け、この位置指標の座標に合わせて記入欄の位置を設定する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−272607号公報(請求項2、第4図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、原稿の画像を読み取って得られる画像データを用いて記入欄の位置を認識できるように原稿中に記入欄を設けるにあたって、原稿中に設けた固定の位置指標を利用する場合よりも、記入欄の位置を柔軟に設定することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
原稿の画像を読み取って得られる画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記画像データに基づく原稿画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部と、
前記操作部での操作によって前記記入欄が設定された前記原稿画像に、前記記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み手段と、
前記情報埋め込み手段によって前記付加情報が埋め込まれた前記原稿画像を記録媒体に印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の識別情報を含む
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の索引情報を含む
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の記入形式情報を含む
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の配布先情報を含む
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置によって印刷出力された、前記付加画像を含む前記記録媒体の画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段によって読み取られた画像に含まれる前記付加情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を用いて、前記記録媒体の画像中の記入欄から書き込み情報を読み出す情報読み出し手段と、
前記情報読み出しによって読み出された前記書き込み情報に基づく情報処理を行なう情報処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、原稿の画像を読み取って得られる画像データを用いて記入欄の位置を認識できるように原稿中に記入欄を設けるにあたって、原稿中に設けた固定の位置指標を利用する場合よりも、記入欄の位置を柔軟に設定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、付加情報に原稿の識別情報を含めることで、原稿の識別情報が共通する記録媒体ごとに、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を処理することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、付加情報に記入欄の索引情報を含めることで、記入欄の位置特定情報とそれ以外の記入欄に関する情報を、索引情報で対応付けることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、付加情報に記入欄の記入形式情報を含めることで、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を記入形式に合わせて読み出すことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、付加情報に原稿の配布先情報を含めることで、原稿の配布情報が共通する記録媒体ごとに、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を処理することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、画像読み取り手段で読み取った記録媒体の画像を用いて、当該画像中の記入欄からの書き込み情報の読み出しと、その書き込み情報に基づく情報処理を、迅速かつ的確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0019】
図1は本発明が適用される情報処理システムの概略構成図である。図1においては、複数台(図例では合計で5台)の画像形成装置1と1台の集計サーバ2が、通信回線3やネットワーク4を介して、相互に通信可能に接続されている。各々の画像形成装置1は、例えばコピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能といった複数の機能を備える複合機を用いて構成されている。集計サーバ2は、各々の画像形成装置1から送られる集計データを受信し、集計管理するものである。通信回線3は、例えばIP(internet protocol)網、公衆回線網(ISDN網/PSTN網)などで構成されるものである。通信回線3はネットワーク4につながっている。
【0020】
複数台の画像形成装置1のうち、1台の画像形成装置1は通信回線3に接続され、それ以外の画像形成装置1はネットワーク4に接続されている。また、ネットワーク4に対しては、画像形成装置1が2台ずつ組になって個別に接続され、そのうちの一方の組に属するかたちで集計サーバ2がネットワーク4に接続されている。各々の画像形成装置1は、後述するアンケート用紙を作成する機能と、記入済みのアンケート用紙を集計処理する機能を有している。各々の画像形成装置1でアンケート用紙を集計処理して得られた集計データは、各々の画像形成装置1から個別に、通信回線3やネットワーク4を経由して集計サーバ2に送信される仕組みになっている。具体的には、例えば、各々の画像形成装置1には集計サーバ2のネットワーク上のアドレス情報が保持されており、このアドレス情報を宛先に指定して各々の画像形成装置1が集計データを送信することにより、各々の画像形成装置1と集計サーバ2との間で集計データの送受信が個別に行なわれるようになっている。
【0021】
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図2において、画像形成装置1の内部バス10には、システム制御部11、IPネットワーク通信制御部12、画像蓄積部13、スキャナ部14、プリンタ部15、FAX部16、ユーザインタフェース部(UI部)17、RAM(Random Access Memory)18、画像処理部19等が接続されている。
【0022】
システム制御部11は、画像形成装置1全体の制御処理を行なうものである。
【0023】
IPネットワーク通信制御部12は、IP(internet protocol)によるネットワーク通信を制御するものである。IPネットワーク通信制御部12は、トランスポートプロトコル制御部121と、TCP/UDP/IP制御部122と、ネットワークインタフェース部123とによって構成されている。トランスポートプロトコル制御部121は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、SIP(Session Initiation Protocol)のトランスポートプロトコル処理を行なうものである。TCP/UDP/IP制御部122は、インターネットのトランスポート層/ネットワーク層のプロトコル制御を行なうものである。ネットワークインタフェース部123は、データリンク層以下の通信制御を行なうものである。
【0024】
画像蓄積部13は、スキャナ部14で読み取られた画像や、FAX部16等で受信した画像を蓄積するものである。スキャナ部14は、所定の解像度で原稿の画像を光学的に読み取るものである。プリンタ部15は、所定の解像度で用紙等の記録媒体に画像を印刷出力するものである。プリンタ部15では、例えば周知の電子写真方式に基づいて記録媒体に画像を印刷する。FAX部16は、公衆回線網(ISDN網/PSTN網)を介してファクシミリ通信(FAXデータの送受信)を行なうものである。
【0025】
ユーザインタフェース部17は、ユーザに対して各種の情報を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりするためのインタフェースとなるものである。ユーザインタフェース部17は、操作部171と表示部172とを有している。操作部171は、各種の操作キー、操作ボタン等を用いて構成されるものである。表示部172は、表示画面を備えた表示器を用いて構成されるものである。ここでは、一例として、タッチパネル付きの液晶ディスプレイで表示部172が構成されているものとする。
【0026】
RAM18は、例えばシステムデータ、通信情報等を含めて、画像形成装置1での処理に必要となる各種のデータや情報を記憶するためのメモリ部となるものである。画像処理部19は、例えば画像データに対する符号化、復号化、拡大、縮小等の処理を含めて、各種の画像処理を施すものである。
【0027】
図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置1を用いてアンケート用紙を作成する場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは一例として、マーク式のアンケート用紙(マークシート)を作成する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
まず、画像形成装置1を使ってアンケート用紙を作成する場合は、それに先立って、アンケートの内容(質問事項)を記載した原稿(以下、「アンケート原稿」と記す)を用意する。図4はアンケート原稿の一例を示す図である。図示したアンケート原稿20には、「アンケート」というタイトル文字の下に、第1の質問事項として、「1.明日の天気を予想してください。」という文字と、当該質問事項に対する回答の選択肢となる「晴れ」、「曇り」、「雨」という文字が縦に並んで記載され、さらにその下に、第2の質問事項として、「2.昨日の天気を覚えていますか。」という文字と、当該質問事項に対する回答の選択肢となる「晴れ」、「曇り」、「雨」、「覚えていない」という文字が縦に並んで記載されている。
【0029】
上記のようなアンケート原稿20を用意したら、このアンケート原稿20をユーザがスキャナ部14にセットした後、ユーザインタフェース部17の操作部171でアンケート用紙の作成モードを選択した後、原稿画像の読み取り開始を指示する。そうすると、その指示を受けて、システム制御部11は、スキャナ部14を駆動してアンケート原稿20の画像を読み取られた後(ステップS1)、当該読み取りによって得られた画像データに基づく原稿画像を表示部172に表示させる(ステップS2)。これにより、図5に示すように、ユーザインタフェース部17の表示部172にアンケート原稿20の画像が表示された状態となる。図示したユーザインタフェース部17では、表示部172の下に操作部171が設けられている。
【0030】
なお、原稿画像の画像データは、自装置のスキャナ部14を取得手段として、アンケート原稿20の画像を自装置のスキャナ部14で読み取ることにより取得する以外にも、自装置以外の画像形成装置1で読み取ったアンケート原稿20の画像データや、外部のスキャナで読み取ったアンケート原稿20の画像データを、例えばUSBメモリ等の可搬性メモリやネットワークを利用して自装置に取り込むことにより取得してもよい。
【0031】
次に、システム制御部11は、表示部172に原稿画像を表示したままで、ユーザによる記入欄の設定操作を操作部171で受け付ける(ステップS3)。記入欄の設定操作とは、表示部172に表示された原稿画像中の空きスペース(文字が存在しない部分)に記入欄(本形態例ではアンケートの回答を記入するための欄)を設定するために行なわれる操作である。記入欄の設定操作は、例えば、記入欄の属性を操作部171で指定した後、表示部172に表示された原稿画像内で記入欄を設定したい位置(表示画面の一部)を指先やペン先などで押して指定することにより行なわれる。
【0032】
記入欄の属性としては、記入欄の枠形状(正方形、長方形、円形、菱形、三角形、楕円形など)、記入欄の枠の大きさ、記入欄の枠線の色、記入欄の枠線の太さなどがある。システム制御部11は、ユーザが1つの記入欄について設定操作を行なうたびに、表示部172の表示されている原稿画像に重ね合わせるかたちで、ユーザが指定した属性の記入欄を、ユーザが指定した位置に表示する。このとき、表示部172に表示される記入欄の画像データ(図形データ)は予め画像蓄積部13に記憶されており、ユーザが操作部171で記入欄の属性を指定すると、システム制御部11は、その属性に合致する記入欄の画像データを画像蓄積部13から読み出して表示部172に表示する。
【0033】
その後、ユーザは、アンケート用紙に埋め込んでおきたい情報があれば、その情報を操作部171で入力する。そうすると、システム制御部11は、ユーザの情報入力操作を操作部171で受け付ける(ステップS4)。情報入力操作で受け付けた入力情報はRAM18に記憶しておく。
【0034】
アンケート用紙への埋め込み対象となる情報としては、例えば、アンケート用紙の配布先を指定する情報(原稿の配布先情報)や、記入欄の記入形式を指定する情報(記入欄の記入形式情報)などがある。埋め込み対象となる情報の項目は、例えば、予めユーザインタフェース部17に選択項目として複数の項目を用意しておき、それらの選択項目の中からユーザが操作部171を操作して所望の項目を1つ又は複数選択し、かつ選択項目ごとに所望の情報を入力できる構成になっている。
【0035】
原稿となるアンケート用紙の配布先情報は、例えば、ある社内向けのアンケート用紙であれば、配布先となる部署名などが操作部171で入力され、ある地域向けのアンケート用紙であれば、配布場所を示す地域名(例えば、駅名など)などが操作部171で入力される。この配布先情報に関しては、その入力操作を操作部171で受け付けた段階で、システム制御部11が、図6に示すように、表示部172の表示画面内に原稿画像や記入欄21と一緒に、配布先を示す文字「CSW 開発部」を表示するようにしてもよい。
【0036】
記入欄の記入形式は、大きくは、マーク方式と文字入力方式に分けられる。マーク方式としては、記入欄を塗りつぶす塗りつぶし方式や、記入欄にレ印や丸印を書き込むチェック方式などが考えられるが、ここでは一例として、マーク方式が一義的に塗りつぶし方式で指定されるものとする。文字入力方式は、記入欄に文字(数字、英字、カタカナ、ひらがな、漢字など)を書き込む方式である。こうした記入形式情報は、例えば、マーク方式及び文字入力方式を選択肢として、ユーザがいずれか一方の方式を操作部171で選択することで入力(指定)される。
【0037】
その後、ユーザは、所望するすべての記入欄と埋め込み対象情報に関して、上記ステップS3での記入欄の設定操作と上記ステップS4での情報入力操作を終えると、操作部171に設けられた図示しない確定ボタンを押す。そうすると、システム制御部11は、操作部171の確定ボタンが押された段階(ステップS5でYesと判定した段階)で、それまでに設定されたすべての記入欄に関して、当該記入欄と1:1の対応関係で、記入欄の索引情報と、記入欄の位置特定情報を生成するとともに、原稿(本形態例ではアンケート原稿20)の識別情報を生成する(ステップS6)。
【0038】
記入欄の索引情報は、1つの原稿画像中に設定された記入欄を一義的に識別できる情報であれば、どのような情報で生成されてもよい。例えば、1,2,3,4,・・・のように数字で生成されてもよいし、A,B,C,D,・・・のようにローマ字で生成されてもよし、それらの組み合わせで生成されてもよい。本実施形態においては、一例として、第1の質問事項に関して設定された3つの記入欄には、それぞれ「1−1」,「1−2」,「1−3」の索引情報が付与され、第2の質問事項に関して設定された4つの記入欄には、それぞれ「2−1」,「2−2」,「2−3」,「2−4」の索引情報が付与されるものとする。原稿の識別情報は、原稿を一義的に識別情報であれば、どのような情報(ID)で生成されてもよい。原稿の識別情報は、例えば、複数桁の数字、ローマ字などの組み合わせで生成される。
【0039】
記入欄の位置特定情報は、原稿画像上の一点を共通の基準位置とするXY座標系(二次元座標系)の座標データで生成する。例えば、図7に示すアンケート原稿20の原稿画像であれば、その左上コーナー部を共通の基準位置として、当該基準位置をXY座標系の原点:(0,0)とし、記入欄21の範囲を示す長方形の対角コーナー部の座標データ「X,Y(1)」及び「X,Y(2)」を、1つの記入欄に関する位置特定情報として生成する。この場合、前述したようにスキャナ部14にアンケート原稿20をセットするにあたって、アンケート原稿20の向きは、常に同一の向きでセットされるものとする。スキャナ部14で読み取った原稿画像の向きが、正規の向きに対して上下逆さであった場合や縦横逆向きであった場合は、その旨の警告メッセージを表示部172に表示して、原稿画像の読み取りを再度行なうようにする。なお、記入欄の形状が例えば円形、菱形、三角形、楕円などの場合は、上記XY座標系の中で記入欄の中心位置を示す座標データと、当該中心位置から記入欄の最外までの距離データを、記入欄の位置特定情報として生成すればよい。
【0040】
図8は記入欄の索引情報、位置特定情報及び記入形式情報の対応関係を示す情報テーブルの一例を示す図である。この情報テーブルでは、記入欄の索引情報(Index)として、「1−1」,「1−2」,「1−3」,「2−1」,「2−2」,「2−3」,「2−4」「3−1」,「3−2」が登録されている。また、記入欄の位置特定情報として、記入欄の索引情報と1:1の対応関係で、XY座標系の座標データ「X,Y(1)」及び「X,Y(2)」が登録されている。さらに、記入欄の記入形式情報として、記入欄の索引情報と1:1の対応関係で、「チェック方式」又は「文字入力方式」が登録されている。記入欄の記入形式情報は、記入欄の設定操作に際してユーザが選択した記入方式で登録されている。
【0041】
続いて、システム制御部11は、操作部171での設定操作にしたがって記入欄が設定された原稿画像に対して、上記記入欄の位置特定情報を含む付加情報を埋め込む処理を、情報埋め込み手段となる画像処理部19に実行させる(ステップS7)。画像処理部19による付加情報の埋め込み処理は、当該付加情報の情報量に応じて、例えば、情報量が非常に少ない場合(記入欄の数が少ない場合)は、付加情報をバーコードに格納して埋め込む方法を採用可能であり、情報量がバーコードに格納し切れない量であれば、付加情報を二次元コード(好ましくはQRコード)に格納して埋め込む方法や、付加情報を電子透かし情報に変換して埋め込む方法などを採用可能である。
【0042】
付加情報の埋め込みにバーコード又は二次元コードを利用する場合は、付加情報を格納したバーコード又は二次元コードの画像データを生成し、記入欄を設定済みの原稿画像の空きスペースにバーコード又は二次元コードを配置するように、バーコード又は二次元コードを表す画像データを原稿画像の画像データに合成する。
【0043】
また、付加情報の埋め込みに電子透かし情報を利用する場合は、記入欄を設定済みの原稿画面全体に電子透かし情報を配置するように、電子透かし情報を表す画像データを原稿画像の画像データに合成する。電子透かしを利用した付加情報の埋め込み技術としては、例えば特開2003−134327号公報に記載された技術を採用可能である。本実施形態において、図9は付加情報が埋め込まれたアンケート原稿20の原稿画像を表示部172に表示した状態を示している。
【0044】
その後、システム制御部11は、画像処理部19での画像データの合成によって得られた合成画像データ(付加情報が埋め込まれた、記入欄設定済みの原稿画像の画像データ)を、出力手段となるプリンタ部15に送って印刷実行を指示することにより、当該合成画像データをプリンタ部15で記録媒体(用紙)に印刷出力させる(ステップS8)。これにより、図10に示すように、共通の付加情報が埋め込まれた複数枚のアンケート用紙22が得られる。
【0045】
このような手順で作成されたアンケート用紙は、アンケートの対象者に配布され、記入された後に回収される。図11は配布後に回収されたアンケート用紙の一例を示す図である。図示したアンケート用紙22には、各々の質問事項に対する回答が、チェック方式(塗りつぶし方式)で記入されている。このアンケート用紙22の場合は、第1の質問事項に対する回答が「曇り」、第2の質問事項に対する回答が「覚えていない」となっている。
【0046】
図12は回収したアンケート用紙(記録媒体)を画像処理装置で集計する場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理を行なう画像処理装置は、アンケート用紙の作成に使用した画像形成装置1であってもよいし、アンケート用紙の作成に使用しなかった画像形成装置1であってもよい。また、プリンタ部15を備えていない画像処理装置であってもよい。ただし、アンケート用紙の作成に用いた画像形成装置1の情報埋め込み方式に対応した情報読み出し機能を備えた画像処理装置であることを前提とする。例えば、バーコード、二次元コード又は電子透かし情報でアンケート用紙に付加情報を埋め込んである場合は、それを読み取って元の情報に復号する機能を備えた画像処理装置であることを前提とする。ここでは、一例として、以下の処理を画像形成装置1で行なうものとする。
【0047】
まず、アンケートの対象者から回収された1枚又は複数枚のアンケート用紙は、自動原稿送り機構を備えたスキャナ部14の原稿台にユーザの手によってまとめてセットされる。このとき、ユーザは、ユーザインタフェース部17の操作部171でアンケート用紙の集計モードを選択した後、アンケート用紙の読み取り開始を指示する。そうすると、その指示を受けて、システム制御部11は、スキャナ部14を駆動して1枚目のアンケート用紙の画像を読み取らせる(ステップS11)。この場合は、スキャナ部14が画像読み取り手段として機能する。
【0048】
次に、システム制御部11は、スキャナ部14によって読み取られたアンケート用紙の画像データから、当該アンケート用紙に埋め込まれている付加情報を抽出する(ステップS12)。ここで抽出される付加情報には、記入欄の位置特定情報の他に、記入欄の索引情報、記入欄の記入形式情報、アンケート用紙の識別情報、アンケート用紙の配布先情報などが含まれる。付加情報の抽出は、例えば付加情報をバーコード又は二次元コードでアンケート用紙に埋め込んである場合は、そのバーコード又は二次元コードの画像を読み取ることにより抽出する。その場合の読み取り位置は、例えば周知のパターンマッチング等の手法によって特定してもよいし、予めアンケート用紙の作成段階でバーコード又は二次元コードの印刷位置を規定しておいて、その規定に基づいて特定してもよい。また、付加情報を電子透かし情報でアンケート用紙に埋め込んである場合は、アンケート用紙の画像と一緒に付加情報を抽出する。
【0049】
次に、システム制御部11は、アンケート用紙の画像データから抽出した付加情報の中で、すべての記入欄に関する記入有無のチェックを終えたかどうかを判断し(ステップS13)、終えていない場合は、付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を1つ選択し、この位置特定情報が示す記入欄の範囲に記入(書き込み)が有るかどうかを判断する(ステップS14)。記入欄の位置特定情報は、前述したとおりアンケート原稿20の左上コーナー部を基準位置としたXY座標系の座標データ(四角形の記入欄であれば、対角コーナー部の座標データ)で指定されるため、アンケート用紙の画像を読み取った場合も、それと同じ位置基準、すなわちアンケート用紙の左上コーナー部を基準位置として、位置特定情報(座標データ)が示す記入欄の位置に記入(書き込み)が有るかどうかを判断する。記入欄での記入の有無は、例えば、位置特定情報が示す記入欄の範囲内で、当該記入欄への書き込みに伴い、所定の濃度を超える画素の数が閾値以上となっていた場合は「記入有り」と判断し、閾値未満となっていた場合は「記入無し」と判断すればよい。
【0050】
上記ステップS14で「記入無し」と判断した場合は、上記ステップS13に戻る。また、上記ステップS14で「記入有り」と判断した場合は、システム制御部11は、上記ステップS12で抽出した付加情報に含まれる「記入欄の記入形式情報」で指定された記入方式に基づいて、該当する記入欄に書き込まれた情報(以下、「書き込み情報」を記す)を読み取る(ステップS15)。例えば、記入欄の記入形式情報で指定された記入方式が「マーク方式(塗りつぶし方式)」であれば、記入欄に記入されている塗りつぶしの画像データを書き込み情報として読み取る。また、記入欄の記入形式情報で指定された記入方式が「文字入力方式」であれば、記入欄に記入されている文字の画像データを画像処理部19でOCR(Optical Character Reader)処理することにより、そこに書き込まれた文字(文字コード)を書き込み情報として読み取る。
【0051】
次に、システム制御部11は、上記ステップS15で読み取った書き込み情報に基づくデータ(情報)の集計処理を行なう(ステップS16)。アンケート結果の集計には、例えば画像形成装置1が備える複数の集計カウンタを用いるものとする。アンケート結果の集計に用いられる集計カウンタは、システム制御部11自身が備えた構成でも、別途、内部バス10に集計カウンタを接続した構成でもよい。
【0052】
上記ステップS16での集計処理は、付加情報に含まれるアンケート用紙の識別情報や配布先情報を用いて、当該識別情報が共通するアンケート用紙ごと、又は当該配布先情報が共通するアンケート用紙ごとに行なう。これにより、例えば、ある社内向けのアンケート用紙の作成に際して、配布先の部署ごとに異なる識別情報を、付加情報の1つとしてアンケート用紙に埋め込んでおいた場合は、配布先の部署ごとにアンケートの結果を集計することができる。また、ある地域向けのアンケート用紙の作成に際して、配布場所の地域名(駅名など)ごとに異なる識別情報を、付加情報の1つとしてアンケート用紙に埋め込んでおいた場合は、配布先の地域ごとにアンケートの結果を集計することができる。さらに、アンケート用紙の識別情報が共通であっても、社内の部署ごと、又は地域名ごとに、アンケート用紙の配布先情報を変えて埋め込んでおけば、配布先の部署ごと、又は配布先の地域ごとにアンケートの結果を集計することができる。
【0053】
また、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報が共通するアンケート用紙ごとの集計処理に際して、例えば、記入形式がマーク形式で指定された記入欄から読み取った書き込み情報に関しては、当該記入欄に対応する集計カウンタの値を1だけ加算する。一方、記入形式が文字入力形式で指定された記入欄から読み取った書き込み情報に関しては、例えば書き込み情報として読み取った文字がアンケート対象者の年齢を示す数字であった場合は、その数字が属する年代(20代、30代、40代など)に対応する集計カウンタの値を1だけ加算する。
【0054】
その後は、上記ステップS13に戻って同様の処理を行なう。また、上記ステップS13ですべての記入欄に関する記入有無のチェックを終えたと判断した場合は、スキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が残っているかどうかを、例えば原稿台に設けられた原稿センサによる原稿有無の検知結果に基づいて判断する(ステップS17)。そして、スキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が有ると判断すると、上記ステップS11に戻る。これにより、スキャナ部14の原稿台に複数枚のアンケート用紙がセットされている場合は、2枚目以降のアンケート用紙が上記同様に処理されることになる。
【0055】
また、上記ステップS17でスキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が無いと判断した場合は、それまでに得られた集計データを集計サーバ2に送信した後(ステップS18)、一連の処理を終える。集計サーバ2に集計データを送信する場合は、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報が共通する集計データを1単位として、上記集計処理を行なう画像処理装置(本形態例では画像形成装置1)で、各単位の集計データに、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報を付与して、集計サーバ2に送信する。
【0056】
図13は画像処理装置で集計処理されて集計サーバ2に送信された集計データの一例を示す模式図である。図13においては、アンケート用紙の配布先情報「CSW 開発部」でのアンケート集計結果として、「1.明日の天気を予想してください。」という質問事項に対して、「晴れ」と回答した人が「33人」、「曇り」と回答した人が「14人」、「雨」と回答した人が「13人」、「未回答」が「5人」という集計結果となっている。また、「2.昨日の天気を覚えていますか。」という質問事項に対して、「晴れ」と回答した人が「40人」、「曇り」と回答した人が「10人」、「雨」と回答した人が1人、「覚えていない」と回答した人が「9人」、「未回答」が「5人」という集計結果となっている。
【0057】
なお、上記実施形態においては、画像形成装置1で1枚のアンケート原稿から複数枚のアンケート用紙を作成し、それを配布、回収した後、画像形成装置1でアンケート結果を集計処理する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば画像形成装置1で1枚の試験問題原稿から、解答欄となる複数の記入欄が設定された複数枚の試験用紙を作成し、それを教室等の試験会場で配布し、試験後に回収した後、画像形成装置1で試験結果を採点処理する場合にも適用可能である。採点処理に際しては、例えば択一式の問題であれば、試験用紙を作成する段階で、正解となる記入欄の属性に得点情報を指定しておき、その記入欄が解答者によってマーク式(塗りぶつし式等)で選択されていた場合に、予め指定してある得点情報に基づいて加点する構成を採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明が適用される情報処理システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置を用いてアンケート用紙を作成する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】アンケート原稿の一例を示す図である。
【図5】スキャナ部で読み取ったアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図6】記入欄が設定されたアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図7】記入欄の位置特定情報の生成方式を説明する図である。
【図8】記入欄の索引情報、位置特定情報及び記入形式情報の対応関係を示す情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】付加情報が埋め込まれたアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図10】画像形成装置で印刷出力されたアンケート用紙を示す図である。
【図11】配布後に回収されたアンケート用紙の一例を示す図である。
【図12】回収したアンケート用紙(記録媒体)を画像処理装置で集計する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置で集計処理されて集計サーバに送信された集計データの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像形成装置、2…集計サーバ、3…通信回線、4…ネットワーク、11…システム制御部、13…画像蓄積部、14…スキャナ部、15…プリンタ部、17…ユーザインタフェース部、19…画像処理部、20…アンケート原稿、21…記入欄、22…アンケート用紙、171…操作部、172…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像が記録された原稿を光学的に読み取って得られる画像データを用いて、その原稿に含まれる記入欄の位置を認識(検出)する技術として、例えば特許文献1には、原稿中に予め位置指標を設けておき、上記画像データ内の位置指標に基づいて、記入欄の位置を認識する技術が知られている。
【0003】
上記の技術では、記入欄の二次元位置を示す位置指標を予め原稿の縦方向と横方向に複数個ずつ並べて設けておき、縦方向に並べられた位置指標が示す縦方向座標位置と横方向に並べられた位置指標が示す横方向座標位置の交差部(縦横の二次元位置座標)を、記入欄の位置として認識する仕組みになっている。このため、原稿の画像を読み取って得られる画像データ(位置指標を含む)に基づいて記入欄の位置を認識するには、予め原稿を作成する段階で、原稿中に固定の位置指標を設け、この位置指標の座標に合わせて記入欄の位置を設定する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−272607号公報(請求項2、第4図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、原稿の画像を読み取って得られる画像データを用いて記入欄の位置を認識できるように原稿中に記入欄を設けるにあたって、原稿中に設けた固定の位置指標を利用する場合よりも、記入欄の位置を柔軟に設定することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
原稿の画像を読み取って得られる画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記画像データに基づく原稿画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部と、
前記操作部での操作によって前記記入欄が設定された前記原稿画像に、前記記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み手段と、
前記情報埋め込み手段によって前記付加情報が埋め込まれた前記原稿画像を記録媒体に印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の識別情報を含む
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の索引情報を含む
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の記入形式情報を含む
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の配布先情報を含む
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
請求項1記載の画像形成装置によって印刷出力された、前記付加画像を含む前記記録媒体の画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段によって読み取られた画像に含まれる前記付加情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を用いて、前記記録媒体の画像中の記入欄から書き込み情報を読み出す情報読み出し手段と、
前記情報読み出しによって読み出された前記書き込み情報に基づく情報処理を行なう情報処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、原稿の画像を読み取って得られる画像データを用いて記入欄の位置を認識できるように原稿中に記入欄を設けるにあたって、原稿中に設けた固定の位置指標を利用する場合よりも、記入欄の位置を柔軟に設定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、付加情報に原稿の識別情報を含めることで、原稿の識別情報が共通する記録媒体ごとに、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を処理することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、付加情報に記入欄の索引情報を含めることで、記入欄の位置特定情報とそれ以外の記入欄に関する情報を、索引情報で対応付けることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、付加情報に記入欄の記入形式情報を含めることで、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を記入形式に合わせて読み出すことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、付加情報に原稿の配布先情報を含めることで、原稿の配布情報が共通する記録媒体ごとに、原稿画像に設定された記入欄への書き込み情報を処理することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、画像読み取り手段で読み取った記録媒体の画像を用いて、当該画像中の記入欄からの書き込み情報の読み出しと、その書き込み情報に基づく情報処理を、迅速かつ的確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0019】
図1は本発明が適用される情報処理システムの概略構成図である。図1においては、複数台(図例では合計で5台)の画像形成装置1と1台の集計サーバ2が、通信回線3やネットワーク4を介して、相互に通信可能に接続されている。各々の画像形成装置1は、例えばコピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能といった複数の機能を備える複合機を用いて構成されている。集計サーバ2は、各々の画像形成装置1から送られる集計データを受信し、集計管理するものである。通信回線3は、例えばIP(internet protocol)網、公衆回線網(ISDN網/PSTN網)などで構成されるものである。通信回線3はネットワーク4につながっている。
【0020】
複数台の画像形成装置1のうち、1台の画像形成装置1は通信回線3に接続され、それ以外の画像形成装置1はネットワーク4に接続されている。また、ネットワーク4に対しては、画像形成装置1が2台ずつ組になって個別に接続され、そのうちの一方の組に属するかたちで集計サーバ2がネットワーク4に接続されている。各々の画像形成装置1は、後述するアンケート用紙を作成する機能と、記入済みのアンケート用紙を集計処理する機能を有している。各々の画像形成装置1でアンケート用紙を集計処理して得られた集計データは、各々の画像形成装置1から個別に、通信回線3やネットワーク4を経由して集計サーバ2に送信される仕組みになっている。具体的には、例えば、各々の画像形成装置1には集計サーバ2のネットワーク上のアドレス情報が保持されており、このアドレス情報を宛先に指定して各々の画像形成装置1が集計データを送信することにより、各々の画像形成装置1と集計サーバ2との間で集計データの送受信が個別に行なわれるようになっている。
【0021】
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図2において、画像形成装置1の内部バス10には、システム制御部11、IPネットワーク通信制御部12、画像蓄積部13、スキャナ部14、プリンタ部15、FAX部16、ユーザインタフェース部(UI部)17、RAM(Random Access Memory)18、画像処理部19等が接続されている。
【0022】
システム制御部11は、画像形成装置1全体の制御処理を行なうものである。
【0023】
IPネットワーク通信制御部12は、IP(internet protocol)によるネットワーク通信を制御するものである。IPネットワーク通信制御部12は、トランスポートプロトコル制御部121と、TCP/UDP/IP制御部122と、ネットワークインタフェース部123とによって構成されている。トランスポートプロトコル制御部121は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、SIP(Session Initiation Protocol)のトランスポートプロトコル処理を行なうものである。TCP/UDP/IP制御部122は、インターネットのトランスポート層/ネットワーク層のプロトコル制御を行なうものである。ネットワークインタフェース部123は、データリンク層以下の通信制御を行なうものである。
【0024】
画像蓄積部13は、スキャナ部14で読み取られた画像や、FAX部16等で受信した画像を蓄積するものである。スキャナ部14は、所定の解像度で原稿の画像を光学的に読み取るものである。プリンタ部15は、所定の解像度で用紙等の記録媒体に画像を印刷出力するものである。プリンタ部15では、例えば周知の電子写真方式に基づいて記録媒体に画像を印刷する。FAX部16は、公衆回線網(ISDN網/PSTN網)を介してファクシミリ通信(FAXデータの送受信)を行なうものである。
【0025】
ユーザインタフェース部17は、ユーザに対して各種の情報を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりするためのインタフェースとなるものである。ユーザインタフェース部17は、操作部171と表示部172とを有している。操作部171は、各種の操作キー、操作ボタン等を用いて構成されるものである。表示部172は、表示画面を備えた表示器を用いて構成されるものである。ここでは、一例として、タッチパネル付きの液晶ディスプレイで表示部172が構成されているものとする。
【0026】
RAM18は、例えばシステムデータ、通信情報等を含めて、画像形成装置1での処理に必要となる各種のデータや情報を記憶するためのメモリ部となるものである。画像処理部19は、例えば画像データに対する符号化、復号化、拡大、縮小等の処理を含めて、各種の画像処理を施すものである。
【0027】
図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置1を用いてアンケート用紙を作成する場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは一例として、マーク式のアンケート用紙(マークシート)を作成する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
まず、画像形成装置1を使ってアンケート用紙を作成する場合は、それに先立って、アンケートの内容(質問事項)を記載した原稿(以下、「アンケート原稿」と記す)を用意する。図4はアンケート原稿の一例を示す図である。図示したアンケート原稿20には、「アンケート」というタイトル文字の下に、第1の質問事項として、「1.明日の天気を予想してください。」という文字と、当該質問事項に対する回答の選択肢となる「晴れ」、「曇り」、「雨」という文字が縦に並んで記載され、さらにその下に、第2の質問事項として、「2.昨日の天気を覚えていますか。」という文字と、当該質問事項に対する回答の選択肢となる「晴れ」、「曇り」、「雨」、「覚えていない」という文字が縦に並んで記載されている。
【0029】
上記のようなアンケート原稿20を用意したら、このアンケート原稿20をユーザがスキャナ部14にセットした後、ユーザインタフェース部17の操作部171でアンケート用紙の作成モードを選択した後、原稿画像の読み取り開始を指示する。そうすると、その指示を受けて、システム制御部11は、スキャナ部14を駆動してアンケート原稿20の画像を読み取られた後(ステップS1)、当該読み取りによって得られた画像データに基づく原稿画像を表示部172に表示させる(ステップS2)。これにより、図5に示すように、ユーザインタフェース部17の表示部172にアンケート原稿20の画像が表示された状態となる。図示したユーザインタフェース部17では、表示部172の下に操作部171が設けられている。
【0030】
なお、原稿画像の画像データは、自装置のスキャナ部14を取得手段として、アンケート原稿20の画像を自装置のスキャナ部14で読み取ることにより取得する以外にも、自装置以外の画像形成装置1で読み取ったアンケート原稿20の画像データや、外部のスキャナで読み取ったアンケート原稿20の画像データを、例えばUSBメモリ等の可搬性メモリやネットワークを利用して自装置に取り込むことにより取得してもよい。
【0031】
次に、システム制御部11は、表示部172に原稿画像を表示したままで、ユーザによる記入欄の設定操作を操作部171で受け付ける(ステップS3)。記入欄の設定操作とは、表示部172に表示された原稿画像中の空きスペース(文字が存在しない部分)に記入欄(本形態例ではアンケートの回答を記入するための欄)を設定するために行なわれる操作である。記入欄の設定操作は、例えば、記入欄の属性を操作部171で指定した後、表示部172に表示された原稿画像内で記入欄を設定したい位置(表示画面の一部)を指先やペン先などで押して指定することにより行なわれる。
【0032】
記入欄の属性としては、記入欄の枠形状(正方形、長方形、円形、菱形、三角形、楕円形など)、記入欄の枠の大きさ、記入欄の枠線の色、記入欄の枠線の太さなどがある。システム制御部11は、ユーザが1つの記入欄について設定操作を行なうたびに、表示部172の表示されている原稿画像に重ね合わせるかたちで、ユーザが指定した属性の記入欄を、ユーザが指定した位置に表示する。このとき、表示部172に表示される記入欄の画像データ(図形データ)は予め画像蓄積部13に記憶されており、ユーザが操作部171で記入欄の属性を指定すると、システム制御部11は、その属性に合致する記入欄の画像データを画像蓄積部13から読み出して表示部172に表示する。
【0033】
その後、ユーザは、アンケート用紙に埋め込んでおきたい情報があれば、その情報を操作部171で入力する。そうすると、システム制御部11は、ユーザの情報入力操作を操作部171で受け付ける(ステップS4)。情報入力操作で受け付けた入力情報はRAM18に記憶しておく。
【0034】
アンケート用紙への埋め込み対象となる情報としては、例えば、アンケート用紙の配布先を指定する情報(原稿の配布先情報)や、記入欄の記入形式を指定する情報(記入欄の記入形式情報)などがある。埋め込み対象となる情報の項目は、例えば、予めユーザインタフェース部17に選択項目として複数の項目を用意しておき、それらの選択項目の中からユーザが操作部171を操作して所望の項目を1つ又は複数選択し、かつ選択項目ごとに所望の情報を入力できる構成になっている。
【0035】
原稿となるアンケート用紙の配布先情報は、例えば、ある社内向けのアンケート用紙であれば、配布先となる部署名などが操作部171で入力され、ある地域向けのアンケート用紙であれば、配布場所を示す地域名(例えば、駅名など)などが操作部171で入力される。この配布先情報に関しては、その入力操作を操作部171で受け付けた段階で、システム制御部11が、図6に示すように、表示部172の表示画面内に原稿画像や記入欄21と一緒に、配布先を示す文字「CSW 開発部」を表示するようにしてもよい。
【0036】
記入欄の記入形式は、大きくは、マーク方式と文字入力方式に分けられる。マーク方式としては、記入欄を塗りつぶす塗りつぶし方式や、記入欄にレ印や丸印を書き込むチェック方式などが考えられるが、ここでは一例として、マーク方式が一義的に塗りつぶし方式で指定されるものとする。文字入力方式は、記入欄に文字(数字、英字、カタカナ、ひらがな、漢字など)を書き込む方式である。こうした記入形式情報は、例えば、マーク方式及び文字入力方式を選択肢として、ユーザがいずれか一方の方式を操作部171で選択することで入力(指定)される。
【0037】
その後、ユーザは、所望するすべての記入欄と埋め込み対象情報に関して、上記ステップS3での記入欄の設定操作と上記ステップS4での情報入力操作を終えると、操作部171に設けられた図示しない確定ボタンを押す。そうすると、システム制御部11は、操作部171の確定ボタンが押された段階(ステップS5でYesと判定した段階)で、それまでに設定されたすべての記入欄に関して、当該記入欄と1:1の対応関係で、記入欄の索引情報と、記入欄の位置特定情報を生成するとともに、原稿(本形態例ではアンケート原稿20)の識別情報を生成する(ステップS6)。
【0038】
記入欄の索引情報は、1つの原稿画像中に設定された記入欄を一義的に識別できる情報であれば、どのような情報で生成されてもよい。例えば、1,2,3,4,・・・のように数字で生成されてもよいし、A,B,C,D,・・・のようにローマ字で生成されてもよし、それらの組み合わせで生成されてもよい。本実施形態においては、一例として、第1の質問事項に関して設定された3つの記入欄には、それぞれ「1−1」,「1−2」,「1−3」の索引情報が付与され、第2の質問事項に関して設定された4つの記入欄には、それぞれ「2−1」,「2−2」,「2−3」,「2−4」の索引情報が付与されるものとする。原稿の識別情報は、原稿を一義的に識別情報であれば、どのような情報(ID)で生成されてもよい。原稿の識別情報は、例えば、複数桁の数字、ローマ字などの組み合わせで生成される。
【0039】
記入欄の位置特定情報は、原稿画像上の一点を共通の基準位置とするXY座標系(二次元座標系)の座標データで生成する。例えば、図7に示すアンケート原稿20の原稿画像であれば、その左上コーナー部を共通の基準位置として、当該基準位置をXY座標系の原点:(0,0)とし、記入欄21の範囲を示す長方形の対角コーナー部の座標データ「X,Y(1)」及び「X,Y(2)」を、1つの記入欄に関する位置特定情報として生成する。この場合、前述したようにスキャナ部14にアンケート原稿20をセットするにあたって、アンケート原稿20の向きは、常に同一の向きでセットされるものとする。スキャナ部14で読み取った原稿画像の向きが、正規の向きに対して上下逆さであった場合や縦横逆向きであった場合は、その旨の警告メッセージを表示部172に表示して、原稿画像の読み取りを再度行なうようにする。なお、記入欄の形状が例えば円形、菱形、三角形、楕円などの場合は、上記XY座標系の中で記入欄の中心位置を示す座標データと、当該中心位置から記入欄の最外までの距離データを、記入欄の位置特定情報として生成すればよい。
【0040】
図8は記入欄の索引情報、位置特定情報及び記入形式情報の対応関係を示す情報テーブルの一例を示す図である。この情報テーブルでは、記入欄の索引情報(Index)として、「1−1」,「1−2」,「1−3」,「2−1」,「2−2」,「2−3」,「2−4」「3−1」,「3−2」が登録されている。また、記入欄の位置特定情報として、記入欄の索引情報と1:1の対応関係で、XY座標系の座標データ「X,Y(1)」及び「X,Y(2)」が登録されている。さらに、記入欄の記入形式情報として、記入欄の索引情報と1:1の対応関係で、「チェック方式」又は「文字入力方式」が登録されている。記入欄の記入形式情報は、記入欄の設定操作に際してユーザが選択した記入方式で登録されている。
【0041】
続いて、システム制御部11は、操作部171での設定操作にしたがって記入欄が設定された原稿画像に対して、上記記入欄の位置特定情報を含む付加情報を埋め込む処理を、情報埋め込み手段となる画像処理部19に実行させる(ステップS7)。画像処理部19による付加情報の埋め込み処理は、当該付加情報の情報量に応じて、例えば、情報量が非常に少ない場合(記入欄の数が少ない場合)は、付加情報をバーコードに格納して埋め込む方法を採用可能であり、情報量がバーコードに格納し切れない量であれば、付加情報を二次元コード(好ましくはQRコード)に格納して埋め込む方法や、付加情報を電子透かし情報に変換して埋め込む方法などを採用可能である。
【0042】
付加情報の埋め込みにバーコード又は二次元コードを利用する場合は、付加情報を格納したバーコード又は二次元コードの画像データを生成し、記入欄を設定済みの原稿画像の空きスペースにバーコード又は二次元コードを配置するように、バーコード又は二次元コードを表す画像データを原稿画像の画像データに合成する。
【0043】
また、付加情報の埋め込みに電子透かし情報を利用する場合は、記入欄を設定済みの原稿画面全体に電子透かし情報を配置するように、電子透かし情報を表す画像データを原稿画像の画像データに合成する。電子透かしを利用した付加情報の埋め込み技術としては、例えば特開2003−134327号公報に記載された技術を採用可能である。本実施形態において、図9は付加情報が埋め込まれたアンケート原稿20の原稿画像を表示部172に表示した状態を示している。
【0044】
その後、システム制御部11は、画像処理部19での画像データの合成によって得られた合成画像データ(付加情報が埋め込まれた、記入欄設定済みの原稿画像の画像データ)を、出力手段となるプリンタ部15に送って印刷実行を指示することにより、当該合成画像データをプリンタ部15で記録媒体(用紙)に印刷出力させる(ステップS8)。これにより、図10に示すように、共通の付加情報が埋め込まれた複数枚のアンケート用紙22が得られる。
【0045】
このような手順で作成されたアンケート用紙は、アンケートの対象者に配布され、記入された後に回収される。図11は配布後に回収されたアンケート用紙の一例を示す図である。図示したアンケート用紙22には、各々の質問事項に対する回答が、チェック方式(塗りつぶし方式)で記入されている。このアンケート用紙22の場合は、第1の質問事項に対する回答が「曇り」、第2の質問事項に対する回答が「覚えていない」となっている。
【0046】
図12は回収したアンケート用紙(記録媒体)を画像処理装置で集計する場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理を行なう画像処理装置は、アンケート用紙の作成に使用した画像形成装置1であってもよいし、アンケート用紙の作成に使用しなかった画像形成装置1であってもよい。また、プリンタ部15を備えていない画像処理装置であってもよい。ただし、アンケート用紙の作成に用いた画像形成装置1の情報埋め込み方式に対応した情報読み出し機能を備えた画像処理装置であることを前提とする。例えば、バーコード、二次元コード又は電子透かし情報でアンケート用紙に付加情報を埋め込んである場合は、それを読み取って元の情報に復号する機能を備えた画像処理装置であることを前提とする。ここでは、一例として、以下の処理を画像形成装置1で行なうものとする。
【0047】
まず、アンケートの対象者から回収された1枚又は複数枚のアンケート用紙は、自動原稿送り機構を備えたスキャナ部14の原稿台にユーザの手によってまとめてセットされる。このとき、ユーザは、ユーザインタフェース部17の操作部171でアンケート用紙の集計モードを選択した後、アンケート用紙の読み取り開始を指示する。そうすると、その指示を受けて、システム制御部11は、スキャナ部14を駆動して1枚目のアンケート用紙の画像を読み取らせる(ステップS11)。この場合は、スキャナ部14が画像読み取り手段として機能する。
【0048】
次に、システム制御部11は、スキャナ部14によって読み取られたアンケート用紙の画像データから、当該アンケート用紙に埋め込まれている付加情報を抽出する(ステップS12)。ここで抽出される付加情報には、記入欄の位置特定情報の他に、記入欄の索引情報、記入欄の記入形式情報、アンケート用紙の識別情報、アンケート用紙の配布先情報などが含まれる。付加情報の抽出は、例えば付加情報をバーコード又は二次元コードでアンケート用紙に埋め込んである場合は、そのバーコード又は二次元コードの画像を読み取ることにより抽出する。その場合の読み取り位置は、例えば周知のパターンマッチング等の手法によって特定してもよいし、予めアンケート用紙の作成段階でバーコード又は二次元コードの印刷位置を規定しておいて、その規定に基づいて特定してもよい。また、付加情報を電子透かし情報でアンケート用紙に埋め込んである場合は、アンケート用紙の画像と一緒に付加情報を抽出する。
【0049】
次に、システム制御部11は、アンケート用紙の画像データから抽出した付加情報の中で、すべての記入欄に関する記入有無のチェックを終えたかどうかを判断し(ステップS13)、終えていない場合は、付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を1つ選択し、この位置特定情報が示す記入欄の範囲に記入(書き込み)が有るかどうかを判断する(ステップS14)。記入欄の位置特定情報は、前述したとおりアンケート原稿20の左上コーナー部を基準位置としたXY座標系の座標データ(四角形の記入欄であれば、対角コーナー部の座標データ)で指定されるため、アンケート用紙の画像を読み取った場合も、それと同じ位置基準、すなわちアンケート用紙の左上コーナー部を基準位置として、位置特定情報(座標データ)が示す記入欄の位置に記入(書き込み)が有るかどうかを判断する。記入欄での記入の有無は、例えば、位置特定情報が示す記入欄の範囲内で、当該記入欄への書き込みに伴い、所定の濃度を超える画素の数が閾値以上となっていた場合は「記入有り」と判断し、閾値未満となっていた場合は「記入無し」と判断すればよい。
【0050】
上記ステップS14で「記入無し」と判断した場合は、上記ステップS13に戻る。また、上記ステップS14で「記入有り」と判断した場合は、システム制御部11は、上記ステップS12で抽出した付加情報に含まれる「記入欄の記入形式情報」で指定された記入方式に基づいて、該当する記入欄に書き込まれた情報(以下、「書き込み情報」を記す)を読み取る(ステップS15)。例えば、記入欄の記入形式情報で指定された記入方式が「マーク方式(塗りつぶし方式)」であれば、記入欄に記入されている塗りつぶしの画像データを書き込み情報として読み取る。また、記入欄の記入形式情報で指定された記入方式が「文字入力方式」であれば、記入欄に記入されている文字の画像データを画像処理部19でOCR(Optical Character Reader)処理することにより、そこに書き込まれた文字(文字コード)を書き込み情報として読み取る。
【0051】
次に、システム制御部11は、上記ステップS15で読み取った書き込み情報に基づくデータ(情報)の集計処理を行なう(ステップS16)。アンケート結果の集計には、例えば画像形成装置1が備える複数の集計カウンタを用いるものとする。アンケート結果の集計に用いられる集計カウンタは、システム制御部11自身が備えた構成でも、別途、内部バス10に集計カウンタを接続した構成でもよい。
【0052】
上記ステップS16での集計処理は、付加情報に含まれるアンケート用紙の識別情報や配布先情報を用いて、当該識別情報が共通するアンケート用紙ごと、又は当該配布先情報が共通するアンケート用紙ごとに行なう。これにより、例えば、ある社内向けのアンケート用紙の作成に際して、配布先の部署ごとに異なる識別情報を、付加情報の1つとしてアンケート用紙に埋め込んでおいた場合は、配布先の部署ごとにアンケートの結果を集計することができる。また、ある地域向けのアンケート用紙の作成に際して、配布場所の地域名(駅名など)ごとに異なる識別情報を、付加情報の1つとしてアンケート用紙に埋め込んでおいた場合は、配布先の地域ごとにアンケートの結果を集計することができる。さらに、アンケート用紙の識別情報が共通であっても、社内の部署ごと、又は地域名ごとに、アンケート用紙の配布先情報を変えて埋め込んでおけば、配布先の部署ごと、又は配布先の地域ごとにアンケートの結果を集計することができる。
【0053】
また、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報が共通するアンケート用紙ごとの集計処理に際して、例えば、記入形式がマーク形式で指定された記入欄から読み取った書き込み情報に関しては、当該記入欄に対応する集計カウンタの値を1だけ加算する。一方、記入形式が文字入力形式で指定された記入欄から読み取った書き込み情報に関しては、例えば書き込み情報として読み取った文字がアンケート対象者の年齢を示す数字であった場合は、その数字が属する年代(20代、30代、40代など)に対応する集計カウンタの値を1だけ加算する。
【0054】
その後は、上記ステップS13に戻って同様の処理を行なう。また、上記ステップS13ですべての記入欄に関する記入有無のチェックを終えたと判断した場合は、スキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が残っているかどうかを、例えば原稿台に設けられた原稿センサによる原稿有無の検知結果に基づいて判断する(ステップS17)。そして、スキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が有ると判断すると、上記ステップS11に戻る。これにより、スキャナ部14の原稿台に複数枚のアンケート用紙がセットされている場合は、2枚目以降のアンケート用紙が上記同様に処理されることになる。
【0055】
また、上記ステップS17でスキャナ部14の原稿台にアンケート用紙が無いと判断した場合は、それまでに得られた集計データを集計サーバ2に送信した後(ステップS18)、一連の処理を終える。集計サーバ2に集計データを送信する場合は、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報が共通する集計データを1単位として、上記集計処理を行なう画像処理装置(本形態例では画像形成装置1)で、各単位の集計データに、アンケート用紙の識別情報又は配布先情報を付与して、集計サーバ2に送信する。
【0056】
図13は画像処理装置で集計処理されて集計サーバ2に送信された集計データの一例を示す模式図である。図13においては、アンケート用紙の配布先情報「CSW 開発部」でのアンケート集計結果として、「1.明日の天気を予想してください。」という質問事項に対して、「晴れ」と回答した人が「33人」、「曇り」と回答した人が「14人」、「雨」と回答した人が「13人」、「未回答」が「5人」という集計結果となっている。また、「2.昨日の天気を覚えていますか。」という質問事項に対して、「晴れ」と回答した人が「40人」、「曇り」と回答した人が「10人」、「雨」と回答した人が1人、「覚えていない」と回答した人が「9人」、「未回答」が「5人」という集計結果となっている。
【0057】
なお、上記実施形態においては、画像形成装置1で1枚のアンケート原稿から複数枚のアンケート用紙を作成し、それを配布、回収した後、画像形成装置1でアンケート結果を集計処理する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば画像形成装置1で1枚の試験問題原稿から、解答欄となる複数の記入欄が設定された複数枚の試験用紙を作成し、それを教室等の試験会場で配布し、試験後に回収した後、画像形成装置1で試験結果を採点処理する場合にも適用可能である。採点処理に際しては、例えば択一式の問題であれば、試験用紙を作成する段階で、正解となる記入欄の属性に得点情報を指定しておき、その記入欄が解答者によってマーク式(塗りぶつし式等)で選択されていた場合に、予め指定してある得点情報に基づいて加点する構成を採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明が適用される情報処理システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置を用いてアンケート用紙を作成する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】アンケート原稿の一例を示す図である。
【図5】スキャナ部で読み取ったアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図6】記入欄が設定されたアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図7】記入欄の位置特定情報の生成方式を説明する図である。
【図8】記入欄の索引情報、位置特定情報及び記入形式情報の対応関係を示す情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】付加情報が埋め込まれたアンケート原稿の原稿画像を表示部に表示した状態を示す図である。
【図10】画像形成装置で印刷出力されたアンケート用紙を示す図である。
【図11】配布後に回収されたアンケート用紙の一例を示す図である。
【図12】回収したアンケート用紙(記録媒体)を画像処理装置で集計する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置で集計処理されて集計サーバに送信された集計データの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像形成装置、2…集計サーバ、3…通信回線、4…ネットワーク、11…システム制御部、13…画像蓄積部、14…スキャナ部、15…プリンタ部、17…ユーザインタフェース部、19…画像処理部、20…アンケート原稿、21…記入欄、22…アンケート用紙、171…操作部、172…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取って得られる画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記画像データに基づく原稿画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部と、
前記操作部での操作によって前記記入欄が設定された前記原稿画像に、前記記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み手段と、
前記情報埋め込み手段によって前記付加情報が埋め込まれた前記原稿画像を記録媒体に印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の識別情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の索引情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の記入形式情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の配布先情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置によって印刷出力された、前記付加画像を含む前記記録媒体の画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段によって読み取られた画像に含まれる前記付加情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を用いて、前記記録媒体の画像中の記入欄から書き込み情報を読み出す情報読み出し手段と、
前記情報読み出しによって読み出された前記書き込み情報に基づく情報処理を行なう情報処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
原稿の画像を読み取って得られる画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記画像データに基づく原稿画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記原稿画像に記入欄を設定する操作を受け付ける操作部と、
前記操作部での操作によって前記記入欄が設定された前記原稿画像に、前記記入欄の位置を特定する位置特定情報を含む付加情報を埋め込む情報埋め込み手段と、
前記情報埋め込み手段によって前記付加情報が埋め込まれた前記原稿画像を記録媒体に印刷出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の識別情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の索引情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記記入欄の記入形式情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記付加情報は、前記記入欄の位置特定情報の他に、前記原稿の配布先情報を含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置によって印刷出力された、前記付加画像を含む前記記録媒体の画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段によって読み取られた画像に含まれる前記付加情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記付加情報に含まれる記入欄の位置特定情報を用いて、前記記録媒体の画像中の記入欄から書き込み情報を読み出す情報読み出し手段と、
前記情報読み出しによって読み出された前記書き込み情報に基づく情報処理を行なう情報処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−147673(P2009−147673A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322778(P2007−322778)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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