説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】画像形成装置の電源状態の確認の信頼性を向上させることができる。
【解決手段】画像形成装置12は、複数種類の電源状態のうち現在の電源状態を示す電源状態データを記憶するバッファと、外部サーバからネットワークを介して送信された現在の電源状態を確認するための電源確認データを受信した場合に、バッファに記憶された電源状態データを、ネットワークを介して外部サーバ14へ送信するMAC30Aを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遠隔管理システムにおいて、複写機等の情報処理装置の電源がOFF状態であるために情報処理装置の監視情報がホストコンピュータに届かないのか、情報処理装置が故障しているために情報処理装置の監視情報がホストコンピュータに届かないのかを判断するために、情報処理装置を監視するために用いる監視データだけでなく、情報処理装置の電源状態を示す電源状態データを情報処理装置から取得し、通信回線を介して、取得した監視データ及び電源状態データをホストコンピュータに送出する遠隔監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−271875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置の電源状態の確認の信頼性を向上させることができる画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の画像形成装置は、複数種類の電源状態のうち装置の現在の電源状態を示す電源状態データを記憶する記憶手段と、外部装置から通信回線を介して送信された前記現在の電源状態を確認するための電源確認データを受信する電源確認データ受信手段と、前記受信手段により前記電源確認データを受信した場合に、前記記憶手段に記憶された前記電源状態データを、前記通信回線を介して前記外部装置へ送信する電源状態データ送信手段と、を備えたハードウェアモジュールを備えている。
【0006】
請求項2記載の発明の画像形成システムは、前記請求項1記載の画像形成装置と、前記画像形成装置の現在の電源状態を確認するための電源確認データを前記通信回線を介して送信する電源確認データ送信手段と、前記画像形成装置から送信された前記電源状態データを受信する電源状態データ受信手段と、受信した前記電源状態データの履歴を記憶する履歴記憶手段と、を備えた外部装置と、を備えている。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記履歴記憶手段に記憶された前記電源状態データを、前記電源状態データの受信時刻から予め定めた時間経過後に順次消去する消去手段をさらに備えている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置の電源状態の確認の信頼性を向上させることができる、という効果を有する。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置に高温による異常が発生した場合でも、その画像形成装置内にあるのか外部にあるのかを容易に特定することができる、という効果を有する。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、履歴記憶手段の容量を抑えることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成システムの概略構成図である。
【図2】画像形成装置の概略構成図である。
【図3】MACの概略構成図である。
【図4】外部サーバの概略構成図である。
【図5】パケットの構成を示す図である。
【図6】電源状態と電源状態パケットとの関係を示す図である。
【図7】外部サーバで実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る画像形成システム10の概略構成を示した。同図に示すように、画像形成システム10は、複数の画像形成装置12及び外部サーバ14がネットワーク16を介して相互に接続された構成となっている。
【0014】
図2には、画像形成装置12の概略構成を示した。同図に示すように、画像形成装置12は、コンピュータ18を含んで構成されている。
【0015】
コンピュータ18は、CPU(Central Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、不揮発性メモリ18D、及び入出力インターフェースとしてのブリッジ18Eがバス18Fを介して各々接続された構成となっている。
【0016】
ブリッジ18Eには、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、ネットワーク通信インターフェース(I/F)30、電話回線インターフェース(I/F)32、及びハードディスク34等の各機能部が接続されている。
【0017】
また、ブリッジ18Eは、DMA(Direct Memory Access)転送を行うDMAコントローラとしての機能を有している。
【0018】
操作表示部20は、例えばコピー開始等を指示するためのスタートボタンやテンキー等の各種ボタン、コピー濃度等の各種の画像形成条件を設定するための設定画面や装置の状態等の各種画面を表示するためのタッチパネル等を含んで構成される。
【0019】
画像読取部22は、ラインCCD等の画像読取センサや当該画像読取センサを走査するための走査機構等を含んで構成され、装置にセットされた原稿の画像を読み取る。
【0020】
画像形成部24は、例えば所謂電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。具体的には、画像形成部24は、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上を画像に応じた光で露光することにより感光体ドラム上に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置、感光体ドラム上に形成された画像に応じたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された画像に応じたトナー像を定着する定着装置等を含んで構成される。
【0021】
なお、露光装置としては、半導体レーザや回転多面鏡、コリメータレンズやシリンドリカルレンズ、fθレンズ等の光学系を含んで構成された光走査装置、複数のLEDから成るLEDヘッド等がある。
【0022】
用紙供給部26は、記録用紙が収容される用紙トレイや、用紙トレイから画像形成部24へ記録用紙を供給する供給機構等を含んで構成される。
【0023】
用紙排出部28は、記録用紙が排出される排出トレイや、画像形成部24で画像が形成された記録用紙を排出トレイ上に排出させるための排出機構等を含んで構成される。
【0024】
ネットワーク通信I/F30は、ネットワーク16を介して外部サーバ14とデータ通信を行うためのインターフェースである。ネットワーク通信I/F30は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、図2に示すように、メディアアクセス制御の機能を有するMAC(Media Access Controller)30Aを含んで構成されている。
る。
【0025】
MAC30Aは、図3に示すように、ネットワーク16に接続された他の装置から送信されたパケットを一時的に記憶するバッファ36A、36B、コンピュータ18から出力され、ネットワーク16に接続された他の装置へ送信するためのパケットを一時的に格納するためのバッファ38A、38Bを備えている。ネットワーク16から受信したパケットは、バッファ36A又は36Bに一時格納され、ブリッジ18Eを介してCPU18Aに取り込まれる。また、CPU18Aからネットワーク16へ出力されるパケットは、ブリッジ18Eを介してバッファ38A又は38Bに一時格納され、ネットワーク16へ出力される。
【0026】
電話回線通信I/F32は、図示しない電話回線を介して接続された他の画像形成装置とファクシミリ通信を行うためのインターフェースである。
【0027】
ハードディスク34は、例えば装置の各部の状態や稼働状況等のログデータ、コピーやファクシミリ通信、プリント等の処理結果のログデータ、各種の設定データ、制御プログラム等が記憶される。
【0028】
図4には、外部サーバ14の概略構成を示した。同図に示すように、外部サーバ14は、コンピュータ40を含んで構成されている。
【0029】
コンピュータ40は、CPU40A、ROM40B、RAM40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成となっている。
【0030】
I/O40Eには、キーボードやマウス等を含んで構成された操作部42、液晶ディスプレイ等で構成された表示部44、ネットワーク16を介して画像形成装置12とデータ通信するためのネットワーク通信インターフェース(I/F)46、及び画像形成装置12から送信されたログデータ等を記憶するためのハードディスク48等が接続されている。
【0031】
図5には、本実施形態で外部サーバ14と画像形成装置12とが通信するパケットの構成を示した。
【0032】
図5に示すように、パケットPは、ソースアドレス(SA)、デスティネーションアドレス(DA)、Type値、IPヘッダ、TCPヘッダ、データペイロード、エラーコレクションソース(ECS)から構成されている。ソースアドレスはパケットの送信元のアドレスであり、デスティネーションアドレスはパケットの送信先のアドレスである。Type値はパケットの種類を表わすために用いる等、ユーザーが自由に使用してよいデータである。IPヘッダは、IP(Internet Protocol)層におけるIPパケットのヘッダ部の情報であり、TCPヘッダは、TCP(Transmission Control Protocol)層におけるTCPパケットのヘッダ部の情報であり、データペイロードは、ユーザーが使用するデータ本体であり、エラーコレクションソースは、パケットのエラーを訂正するためのエラー訂正符号である。
【0033】
本実施形態においては、外部サーバ14は、画像形成装置12の現在の電源状態を確認するための電源確認パケットを予め定めた時間毎に定期的に画像形成装置12に送信する。
【0034】
画像形成装置12では、電源確認パケットであるか他のパケットであるかはパケットPのType値で見分ける。例えばType値が16進数で123Hであれば電源確認パケットであると認識する。
【0035】
画像形成装置12のネットワーク通信I/F30のMAC30Aは、ネットワーク16から受信したパケットがバッファ36A又は36Bに格納され、そのパケットのType値が123Hの場合、バッファ38A又は38Bに格納された現在の電源状態を示す電源状態パケットをネットワーク16を介して外部サーバ14へ送信する。本実施形態では、例えば現在の電源状態を示す電源状態パケットをバッファ38Bに格納しておき、バッファ38Aは他のパケットの通信に用いる。
【0036】
画像形成装置12のCPU18Aは、画像形成装置12の電源状態が変わる毎に、バッファ38Bにその電源状態に応じた電源状態パケットを格納する。これにより、外部サーバ14から電源確認パケットを受信した際には、CPU18Aを介さずに速やかに電源状態パケットが外部サーバ14へ送信される。なお、受信したパケットが電源確認パケットでなかった場合には、例えばブリッジ18EによるDMA転送によりRAM18Cに転送される。
【0037】
画像形成装置12の電源状態としては、例えば図6に示すように、「フルパワー」、「スリープ」、「CPUオフ」、「サブスイッチオフ」、「メインスイッチオフ」等の状態がある。
【0038】
「フルパワー」は、画像形成装置12全体に電源が供給され、通常動作している状態である。「スリープ」は、CPU18A等には電源が供給されているが、例えば画像形成部24等に電源が供給されていない状態である。「CPUオフ」は、CPU18Aに電源が供給されていない状態である。「サブスイッチオフ」は、画像形成装置12に設けられた図示しないサブスイッチがオフの状態である。「メインスイッチオフ」は、画像形成装置12に設けられた図示しないメインスイッチがオフの状態である。例えばメインスイッチがオンだとCPU18Aの電源だけがオンする状態となり、メインスイッチがオフだと画像形成装置12全体の電源がオフの状態である。また、サブスイッチがオンの場合は、CPU18A以外にも電源が供給される状態であり、メインスイッチ及びサブスイッチがオンの状態が「フルパワー」の状態となる。
【0039】
そして、図6に示すように、電源状態の各々に対して固有のパターンの電源状態パケットが予め定められており、画像形成装置12のCPU18Aは、画像形成装置12の電源状態が変わる毎に、バッファ38Bにその電源状態に応じた電源状態パケットを格納する。電源状態パケットは、例えば図5に示すパケットPのデータペイロード部を異ならせることで各電源状態に固有のパターンとしてもよいし、パケットPのType値を異ならせることにより各電源状態に固有のパターンとしてもよい。
【0040】
次に、本実施形態の作用として、外部サーバ14のCPU40Aで実行される処理について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。図7に示す処理のプログラムは、本実施形態では一例としてハードディスク48に予め記憶され、CPU40Aがこの予め記憶されたプログラムを読み込むことにより実行される。また、図7に示す処理は、予め定めた時間毎に実行される。
【0041】
まず、ステップ100では、図5に示すパケットPのType値を123Hとした電源確認パケットをネットワーク16を介して画像形成装置12に送信する。
【0042】
画像形成装置12では、電源確認パケットを受信すると、ネットワーク通信I/F30のMAC30Aは、現在の電源状態を示す電源状態パケットが格納されたバッファ38Bから電源状態パケットを読み出し、ネットワーク16を介して外部サーバ14へ送信する。
【0043】
外部サーバ14では、ステップ102において画像形成装置12から電源状態パケットを受信したか否かを判断し、受信していない場合は受信するまでの待機し、受信した場合にはステップ104へ移行する。
【0044】
ステップ104では、受信した電源状態パケットが示す電源状態を電源状態データとして、電源状態パケットを受信した受信時刻と関連付けてハードディスク48に記憶する。
【0045】
ステップ106では、ハードディスク48に記憶された電源状態データのうち、受信時刻から予め定めた一定時間経過した電源状態データを削除する。これにより、電源状態データでハードディスク48の容量が不足することはない。
【0046】
このように、画像形成装置12は外部サーバ14からの電源確認パケットに対して、CPU18Aを介さずに現在の電源状態を表わす電源状態パケットを外部サーバ14に送信するので、CPU18Aの電源がオフでも、電源状態パケットが外部サーバ14に送信される。
【0047】
ここで、画像形成装置12に高温による異常が発生した場合、外部サーバ14に記憶された電源状態データにより、画像形成装置12内部が高温になることにより異常が発生したのか、画像形成装置12の外部が高温になることにより異常が発生したのかが判る。例えば夜間等、電源状態が「サブスイッチオフ」の状態で画像形成装置12に高温による異常が発生したような場合には、画像形成装置12内部が高温になったのではなく、画像形成装置12の外部が高温になることにより異常が発生したと判断される。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成システム
12 画像形成装置
14 外部サーバ
16 ネットワーク
18 コンピュータ
18A CPU
18B ROM
18C RAM
18D 不揮発性メモリ
18E ブリッジ
18F バス
20 操作表示部
22 画像読取部
24 画像形成部
26 用紙供給部
28 用紙排出部
30 ネットワーク通信I/F
30A MAC(ハードウェアモジュール)
32 電話回線通信I/F
34 ハードディスク
40 コンピュータ
40A CPU
40B ROM
40C RAM
40D 不揮発性メモリ
40E I/O
40F バス
42 操作部
44 表示部
46 ネットワーク通信I/F
48 ハードディスク(履歴記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の電源状態のうち装置の現在の電源状態を示す電源状態データを記憶する記憶手段と、
外部装置から通信回線を介して送信された前記現在の電源状態を確認するための電源確認データを受信する電源確認データ受信手段と、
前記受信手段により前記電源確認データを受信した場合に、前記記憶手段に記憶された前記電源状態データを、前記通信回線を介して前記外部装置へ送信する電源状態データ送信手段と、
を備えたハードウェアモジュールを備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置の現在の電源状態を確認するための電源確認データを前記通信回線を介して送信する電源確認データ送信手段と、前記画像形成装置から送信された前記電源状態データを受信する電源状態データ受信手段と、受信した前記電源状態データの履歴を記憶する履歴記憶手段と、を備えた外部装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項3】
前記履歴記憶手段に記憶された前記電源状態データを、前記電源状態データの受信時刻から予め定めた時間経過後に順次消去する消去手段
をさらに備えた請求項2記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−266516(P2010−266516A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115386(P2009−115386)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】