画像形成装置及び画像形成システム
【課題】ジョブの実行管理をジョブの実行速度を低下させることなく行う。
【解決手段】画像形成装置10は、ジョブを実行する機能パック33−Kに対し、機能パック33−Kが必要とする必要Ticket数を問い合せ、機能パック33−Kから通知された要求Ticket数に基づき、ジョブが必要とするTicket数を算出し、許可要求として出力するTicket管理部37を備えているので、許可されたTicket数の範囲でジョブを連続して実行できる。このため、ジョブの実行速度を低下させることがない。更に、Ticketは、ジョブ実行量を表す共通の単位なので、ある利用者の特定ジョブのTicketが制限値に到達した場合には、Ticketに余裕がある他のジョブからTicketを流用できる。このため、ジョブ実行の管理を弾力的に行うことができ、利用者の利便性が高まる。
【解決手段】画像形成装置10は、ジョブを実行する機能パック33−Kに対し、機能パック33−Kが必要とする必要Ticket数を問い合せ、機能パック33−Kから通知された要求Ticket数に基づき、ジョブが必要とするTicket数を算出し、許可要求として出力するTicket管理部37を備えているので、許可されたTicket数の範囲でジョブを連続して実行できる。このため、ジョブの実行速度を低下させることがない。更に、Ticketは、ジョブ実行量を表す共通の単位なので、ある利用者の特定ジョブのTicketが制限値に到達した場合には、Ticketに余裕がある他のジョブからTicketを流用できる。このため、ジョブ実行の管理を弾力的に行うことができ、利用者の利便性が高まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者からのジョブ実行要求を受付けてジョブを実行し、画像を形成する画像形成装置、及びそれを有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置におけるジョブ実行量の管理は、例えば、次のような方法で行われている。
【0003】
画像形成装置において、印刷を行う場合、個人又はグループ毎に一定期間内に印刷可能な枚数を決めておき、その制限値である枚数まで、その画像形成装置を使用して印刷することができるようにし、印刷枚数が制限値に到達したときには、印刷ができないようにする。つまり、画像形成装置は、1枚印刷する毎に定められた制限値に達したか否かを確認し、制限値に達していない場合には、次の1枚を印刷する。制限値に達した場合には、次の印刷は行わない。
【0004】
下記の特許文献1には、デジタルコンテンツの配布を管理する管理サーバにおいて、予め利用者がチケットを購入し、購入済みのチケット分だけ、デジタルコンテンツの配布を可能とするコンテンツ管理サーバの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−178225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置及び画像形成システムでは、ジョブ実行量の管理機能を画像形成装置内に設けた場合には、そのジョブ実行量を高速に確認することができるが、ジョブ実行量の管理を例えば、本社で一括管理するような場合では、通信回線等を介した別の情報処理装置内にジョブ実行量の管理機能を設けなければならない。このような場合では、ジョブ実行量の確認に時間がかかるという課題がある。つまり、連続印刷を行う場合、印刷する各枚数の間に確認時間が入るため、印刷速度が低下するという課題があった。
【0007】
更に、ジョブ実行量の制限値は、例えば、印刷機能、コピー機能(以下「COPY機能」という。)、電子メール機能(以下、「Email機能」)という。)、及びファクシミリ機能(以下「FAX機能」という。)等のジョブ別に設定、管理されているため、ある利用者の特定ジョブのジョブ実行量が制限値に到達した場合には、その利用者は、他のジョブのジョブ実行量に余裕があっても、その特定ジョブの利用が不可能になってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、利用者からの入力情報を受け付け、前記入力情報の内容がジョブ実行要求であったときには、前記ジョブ実行要求の内容を解析してジョブ解析結果を出力するジョブ受け付け部と、前記ジョブの種類に応じ、画像を形成して所定の処理を実行する複数の機能パックを有する機能部と、前記ジョブ解析結果を入力して前記ジョブを実行する機能パックを選択し、前記機能部に対し前記ジョブの実行を要求するジョブ実行管理部と、前記ジョブを実行する前記機能パックに対し、前記機能パックが必要とするジョブ実行量を問い合せ、前記機能パックから通知された前記ジョブ実行量に基づき、前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部とを備えている。
【0009】
前記ジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測される。
【0010】
本発明の画像形成システムは、前記画像形成装置と、ジョブ管理装置とを備えており、前記ジョブ管理装置は、前記利用者毎に、実行済みの前記ジョブの前記ジョブ実行量と前記ジョブ実行量の上限である制限値とを記憶する記憶部と、前記許可要求部からの前記許可要求に対して前記記憶部に記憶した前記実行済みの前記ジョブ実行量と前記制限値とから前記ジョブの実行許可又は実行禁止を判断して前記許可要求部に通知する判断通知部とを有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、ジョブを実行する機能パックに対し、必要とするジョブ実行量を問い合せ、回答されたジョブ実行量に基づき、ジョブが必要とするジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部とを備えている。このため、許可されたジョブ実行量の範囲でジョブを連続して実行できるので、ジョブの実行速度を低下させることがない。
【0012】
更に、ジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測するようにしたので、ジョブ実行量の制限値が、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ別に設定されていても、ある利用者の特定ジョブのジョブ実行量が制限値に到達した場合には、ジョブ実行量に余裕がある他のジョブからジョブ実行量を流用できるので、ジョブ実行量の管理を弾力的に行うことができる。このため、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【0013】
本発明の画像形成システムによれば、前記画像形成装置と、ジョブ実行量とを管理するジョブ管理装置を備えているので、前記画像形成装置のジョブ実行速度を低下させることがない。更に、複数種類のジョブのジョブ実行量の管理を弾力的に行うことができるので、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施例1における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成システムの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図2中のチケット(以下「Ticket」という。)付与装置の概略を示す構成図である。
【図4】図4は図3中のチケットデータベース(以下「TicketDB」という。)の概略を示す構成図である。
【図5】図5は図2中の画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図6】図6は図1中の設定値データベース(以下「設定値DB」という。)の概略を示す構成図である。
【図7】図7は本発明の実施例1における画像形成システムの動作を示す図である。
【図8】図8は図2中の画像形成装置におけるTicket要求処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は図2中の画像形成装置におけるTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は図3のTicket付与装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は図2中の画像形成装置におけるTicket受け取り処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は図2中の画像形成装置におけるTicket返却処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は本発明の実施例2における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図14】図14は本発明の実施例2における図2中の画像形成装置のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は本発明の実施例3における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図16】図16は本発明の実施例3における図2中の画像形成装置の統計値作成処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は本発明の実施例3における図2中の画像形成装置のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は本発明の実施例4における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図19】図19は本発明の実施例4における図2中の画像形成装置のTicket要求処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0016】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成システムの概略を示す構成図である。
【0017】
本実施例1における画像形成システムは、クライアントサーバモデルにより構成されている。即ち、クライアントであるパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)1は、通信回線2を介して、サーバである画像形成装置10に接続され、利用者からのジョブ実行要求を画像形成装置10に依頼するように構成されている。
【0018】
画像形成装置10は、例えば、複合機であって、受信したデータを記録媒体(例えば、用紙)Pに印刷する印刷機能と、図示しないスキャナによりスキャンしたデータを印刷するCOPY機能と、スキャンしたデータをEmailに添付して送信するEmail機能と、スキャンしたデータをFAX送信するFAX機能とを有している。
【0019】
更に、画像形成装置10には、通信回線2を介して、画像形成装置10のジョブ実行量を管理するジョブ管理装置としてのTicket付与装置40が接続されている。画像形成装置10は、この場合、Ticket付与装置40に対してTicketの付与を依頼するので、画像形成装置10がクライアントで、Ticket付与装置40がサーバとなる。
【0020】
ここで、本実施例1におけるTicketについて説明する。画像形成装置10は、既に述べたように、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等を有している。画像形成装置10におけるジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を、所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測される。この共通の単位を本実施例1では、Ticketと呼ぶ。
【0021】
例えば、印刷機能においては、課金対象となるのは消耗品の使用量であり、この場合、印刷されたページ数に課金するのが普通である。よって印刷機能の場合には、ページ数がTicketに割り当てられる。COPY機能についても同様に印刷されるページ数がTicketに割り当てられる。
【0022】
Email機能においては、通常、パケットと呼ばれる通信単位で課金される。例えば、通信量が1バイト〜1500バイトのときに同額に課金される料金体系の場合には、通信量が1バイトでも1パケット扱いとなる。つまり、通信回線2の速さには関係なく、あくまで通信したパケット数が課金対象である。この場合には、通信するパケット数がTicketに割り当てられる。
【0023】
FAX機能の場合には、通常、通信時間が課金対象となる。同じデータサイズの原稿を通信する場合でも、通信回線2の速度が速いか、又は選んだ通信プロトコルが速い相手の場合には、通信時間は短くなる。通信回線2の速度が遅いか、又は選んだ通信プロトコルが遅い場合には、通信時間が長くなる。このようにFAX機能の場合には、同じサイズのデータでも課金額は異なる。
【0024】
更に、高品質通信モードか低品質通信モードかによって、1枚のスキャンデータのデーダサイズは異なる。このため、高品質通信モードで通信した場合には、同じ1枚でも低品質通信モードの場合に比べて課金額が高くなる。逆に低品質通信モードで通信した場合には、同じ1枚でも高品質通信モードの場合に比べて課金額は安くなる。よって、FAX機能においては、一定の通信時間がTicketに割り当てられる。又、厳密には、FAXの通信費は単純に時間だけに依存しているのではなく、通信相手との「通信単価×通信時間」が一般的な課金額になるべきだが、通常FAX通信における通信単価を知ることができないため、FAX通信における課金は通信時間のみで行うケースが多い。
【0025】
このように本実施例1では、用紙Pの印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間のように、それぞれ計測単位が異なる量を共通の単位であるTicketに変換している。
【0026】
従来のジョブ実行量の制御では、例えば、利用者Aは、印刷機能とCOPY機能とを使用できるが、Email機能とFAX機能は使用できない。利用者Bは、印刷機能を使用できるが、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とは使用できないといった制御を行っている。
【0027】
本実施例1では、Ticketという共通の単位によりジョブ実行量を計測するようにしたので、例えば、利用者Aが印刷機能と、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とを合わせて、ある一定量まで使用することを許可する制御が可能となる。
【0028】
例えば、印刷機能及びCOPY機能においては、用紙Pの1ページを5Ticketに割り当てる。Email機能においては、100パケットを1Ticketに割り当てる。FAX機能については、3分間の通信を10Ticketに割り当てる。そして、利用者Aは、合計で月に2000Ticketの使用を可能になるよう、Ticket付与装置40に制限値を設定するのである。この場合、利用者Aが印刷機能と、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とを合わせて月に2000Ticketまで使用することを許可する制御が可能となる。
【0029】
図3は、図2中のTicket付与装置40の概略を示す構成図である。
Ticket付与装置40は、通信制御部41、TicketDB42及びTicket付与部43を有している。通信制御部41は、所定のプロトコルにより、外部の機器と通信するためのインタフェース機能を有している。所定のプロトコルとは、具体的には、USB、IEEE1394、或いは、その他のネットワーク通信プロトコルである。通信ブロトコル部41は、一般的な双方向の通信処理を行う機能を有している。
【0030】
通信プロトコル部41には、Ticketの使用量を管理する判断通知部(例えば、Ticket付与部)43が接続されている。Ticket付与部に43は、通信プロトコル部41を介して、画像形成装置10からのジョブの実行許可を要求する許可要求が入力される。この許可要求には、画像形成装置10が必要とするジョブ実行量を示すTicket数が含まれている。
【0031】
Ticket付与部43は、要求されたTicket数に基づいて、記憶部(例えば、TicketDB)42内に記憶された利用者毎の実行済みのジョブ実行量(例えば、使用済みTicket数)と使用可能なTicket数の制限値とを参照して、ジョブの実行の可否を決定する機能を有している。実行が可能な場合には、画像形成装置10から要求されたTicket数を付与Ticket数として画像形成装置10に通知する機能を有している。
【0032】
図4は、図3中のTicketDB42の概略を示す構成図である。
TicketDB42は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリに記憶されており、画像形成装置識別子インデックス(以下「IDインデックス」という。)42a、利用者IDインデックス42b及びTicket制限値テーブル42cを有している。
【0033】
Ticket制限値テーブル42cは、複数の画像形成装置10毎で、且つ複数の利用者毎に設けられ、画像形成装置10が提供するサービス毎に使用可能Ticketの制限値と、使用済みTicket数と、Ticket残数とを記憶している。画像形成装置10は、利用者からのジョブの実行依頼により、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のいずれかのジョブを実行することで、これらのサービスを提供するように構成されている。
【0034】
利用者IDインデックス42bは、利用者IDと、複数のTicket制限値テーブル42cの記憶場所を示すアドレスとを記憶するテーブルである。Ticket付与部43が利用者IDをキーとして、特定のTicket制限テーブル42cのアドレスを知るように構成されている。
【0035】
画像形成装置IDインデックス42aは、画像形成装置IDと、複数の利用者IDインデックス42bの記憶場所を示すアドレスとを記憶するテーブルである。Ticket付与部43が画像形成装置IDをキーとして、特定の利用者IDインデックス42bのアドレスを知るように構成されている。
【0036】
Ticket制限テーブル42cにおいて、例えば、印刷機能の欄には、Ticket制限値としてn1、使用済みTicket数としてm1、Ticket残数としてr1が記憶されている。COPY機能、Email機能、及びFAX機能についても同様の構成になっている。
【0037】
例えば、ある利用者Aに対して、Ticket制限値=5が設定されていたとし、用紙P1枚を印刷する処理にTicket=1が割り当てられていたとすると、利用者Aは、用紙1枚の印刷を5回まで実行することが可能である。更に、FAXを1枚送信する処理がTicket=2に割り当てられていたとすると、利用者Aは、1枚のFAX送信を2回と、1枚の印刷を1回まで実行することが可能である。
【0038】
このように、Ticket制限値は、利用者の利用環境における管理者が設定する設定値で、利用者毎に画像形成装置10を使用する使用量を制限するために用いられる。使用済みTicket数は、利用者が現在までに使用したTicketの量である。Ticket残数は、Ticket制限値と使用済みTicket数との差分である。
【0039】
図5は、図2中の画像形成装置10の概略を示す構成図である。
画像形成装置10は、リードオンリメモリ(以下「ROM」という。)11に記憶されている各種プログラムをランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)12に読み出して、各種ジョブを実行する制御部30を有している。
【0040】
制御部30には、各種設定値等を記憶するハードディスク装置等の不揮発性メモリ13と、時刻を計測する時計回路14と、利用者の操作を受け付けると共に、利用者に対する通知を表示する操作パネル15と、PC1等の外部装置を接続する外部インタフェース(以下「外部I/F」という。)部17とが接続されている。操作パネル15は、バスブリッジ16を介して制御部30と接続されている。
【0041】
更に、制御部30には、画像を形成して用紙Pに印刷するプリンタ部18と、原稿上の画像を読み取るスキャナ部19と、スキャンしたデータをFAX送信するFAX部20とが接続されている。これらのプリンタ部18、スキャナ部19、及びFAX部20は、ROM11に記憶されているプログラムをRAM12に読み出して制御部30により実行することで、制御される。Email機能は、ROM11に記憶されている図示しないEmail用のプログラムによって実行される。
【0042】
図1は、本発明の実施例1における図5中の制御部30の概略を示す構成図である。図6は、図1中の設定値DBの概略を示す構成図である。
【0043】
図1に示すように、制御部30は、通信プロトコル部31、通信振り分け部32、機能部33、ジョブ受け付け部35、ジョブ実行管理部36及び許可要求部(例えば、Ticket管理部)37を有している。更に、制御部30には、設定値DB34が接続されている。
【0044】
通信プロトコル部31は、PC1やTicket付与装置40等の外部の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、USB、IEEE1394、ネットワーク通信プロトコル等の通信規約で動作する通信用プログラムにより構成されている。
【0045】
通信振り分け部32は、受信した情報の振り分けを行う機能を有している。通信プロトコル部31を使用する処理(タスク)が単一であれば通信振り分け部32は、必要ない。しかし、通信プロトコル部31を使用するタスクが複数存在する場合には、受信したデータを該当するタスクへ振り分ける機能が必要になる。
【0046】
機能部33は、画像形成装置10内の機能全体を包含するコンテナである。機能部33は、ジョブの種類に応じ、所定の処理を実行する複数の機能パック33−1〜33−Nを有している。機能パック33−1〜33−Nの具体例としては、本実施例1の画像形成装置10における、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等を実行する各処理部がある。
【0047】
以下、複数の機能パック33−1〜33−Nのうちの特定の機能パックを表すとき、又は特に区別する必要のないときには、機能パック33−K又は機能パック33−Jと表記する。
【0048】
複数の機能パック33−1〜33−Nのうち、機能パック33−Kである印刷処理部33kは、機能部33に包含されており、印刷機能を実行するものである。本実施例1では、具体例として印刷処理部33kについて説明するが、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等についても同様に読み替えることが可能である。
【0049】
本実施例1の機能パック33−Kは、自身が処理するジョブ実行量を所定の変換率でTicketに変換する機能を有している。この変換率は、設定値DB34に設定してあり、所定の変換率により変換するように構成されている。例えば、印刷処理部33kの場合のジョブ実行量の単位は、印刷ページである。印刷処理部33kは、1ページを所定のTicket数に割り当てる機能を有している。
【0050】
例えば、設定値DB34に設定してある変換率(図6では変換Ticket数)が5の場合、印刷処理部33kは、1ページを5Ticketに割り当てるように機能する。設定値DB34には、更に、ジョブ実行時に必要な要求Ticket数が記憶されており、印刷処理部33kは、ジョブ実行に必要な分のTicket数を、ジョブ実行管理部36を介してTicket管理装置40に要求する機能を有している。
【0051】
図6に示すように、設定値DB34は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリ13に記憶されている。設定値DB34は、画像形成装置10が実行する、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ毎に、その単位動作量と、単位動作量をTicket数に変換する際の変換率(変換Ticket数)、ジョブ毎のTicket残数、及びジョブ実行時において、Ticket付与装置40に要求する要求Ticket数が記憶されている。
【0052】
図6の例では、印刷機能の場合、単位動作量は1ページであり、その変換率は1ページに対して5Ticketである。現在のTicket残数は、50Ticketで要求Ticket数は、500Ticketである。
【0053】
図1に示すように、ジョブ受け付け部35は、通信振り分け部32と、操作パネル15と、ジョブ実行管理部36とに接続されており、利用者からの要求を受け付ける入り口である。例えば、操作パネル15を経由して利用者の操作で入力される図示しないコマンドの翻訳部と、通信プロトコル部31及び通信振り分け部32を経由してPC1から受信する図示しないコマンドの翻訳部とを有している。
【0054】
PC1によるコマンド入力は、例えば、画像形成装置10内にウェブ(WEB)ページを設け、これをPC1内のブラウザで表示して利用者により入力する方法と、PC1内のプログラムによりPJL(PrintJobLanguage)を生成する方法等がある。
【0055】
操作パネル15からの入力の場合は、利用者による文字ベースのメニュー操作によりローカルプリントの要求や、COPY機能、Email機能やFAX機能等の要求が入力される。WEBページによる場合は、利用者によるグラフィカルな画面を基本としたメニュー操作により、設定値の参照、修正やローカルプリントの要求等が入力される。PJLによる場合は、主に印刷機能等の要求及び印刷対象のデータが入力される。
【0056】
ここで、WEBページについて説明する。WEBページは、主にHTML、XHTML、XML等の言語で記載された一種のプログラムである。このプログラムは、WEBブラウザと呼ばれるソフトウェアで解読されて動作する。本実施例1では、WEBページは、画像形成装置10内に設けられ、ブラウザは、PC1内に設けられている。通常、WEBページは、主にWEBブラウザ上にグラフィカルな表示を提供するが、ファイルへのアクセスや、ネットワーク通信動作を行うことも可能である。このWEBページは、通常、画像形成装置10の管理に使用される。WEBページは、プラットフォームフリーなのでPC1の環境から独立であるという利点を有している。
【0057】
ジョブ実行管理部36は、ジョブ受け付け部35、機能部33、及びTicket管理部37に接続されており、利用者により要求されたジョブをジョブ受け付け部35から受け取ると、そのジョブに必要な機能パック33−Kを選択し、その機能パック33−Kの実行を機能部33に要求する機能を有している。
【0058】
ジョブ実行管理部36は、ジョブが開始されると、ジョブの実行状態を監視して制御する機能を有している。例えば、他の機能パック33−Jが現在実行中のジョブの状態を参照したり、実行中のジョブに対して、一時停止、キャンセル、再開等の命令を出す場合には、常にジョブ実行管理部36に依頼し、ジョブ実行管理部36経由で実行するように構成されている。
【0059】
他の機能パック33−Jは、現在利用者から要求されたジョブを実行するのにどの機能パックを使用しているのかをジョブ実行管理部36に問い合わせることも可能になっている。
【0060】
Ticket管理部37は、画像振り分け部32と、ジョブ実行管理部36と、機能部33とに接続されており、画像形成装置10内で必要なTicketのとりまとめ機能と、Ticket付与装置40に対するTicket要求、及び返却処理を行う機能を有している。Ticketのとりまとめ機能は、機能部33の機能パック33−Kに対して、必要なTicket数の問い合せを行う処理と、機能パック33−Kから返って来た要求Ticket数から画像形成装置10としての必要なTicket数を見積もる処理とを有している。更に、画像形成装置10としての必要なTicket数をTicket付与装置40へ要求し、ジョブ終了後に余ったTicketを返却する機能を有している。
【0061】
(実施例1の動作)
図7は、本発明の実施例1における画像形成システムの動作を示す図である。
【0062】
画像形成装置10は、処理T1で、利用者からの印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブの実行要求をPC1から受信する。画像形成装置10は、処理T2で、Ticket付与装置40に対して、必要なTicket数を要求する。
【0063】
Ticket付与装置40は、処理T3において、画像形成装置10に対してTicketを配布する。画像形成装置10は、配布されたTicket分の動作を許可されたことになるので、利用者に要求されたジョブを配布されたTicketの範囲で実行する。Ticket分の動作を行ってもジョブが終了しないと判断した場合は、画像形成装置10は、処理T4において、処理T2と同様に、Ticket付与装置40に対して、必要なTicket数を要求する。
【0064】
Ticket付与装置40は、処理T5において、処理ステップT3と同様に、画像形成装置10に対してTicketを配布する。画像形成装置10は、配布されたTicket分の動作を許可されたことになるので、ジョブを配布されたTicketの範囲で実行する。このように、ジョブが終了するまで処理T2及び処理T3と同様の処理が繰り返され、処理T7において、ジョブが終了すると、処理T8において、画像形成装置10は、ジョブを要求したPC1に対してジョブ終了通知を送信する。
【0065】
図8は、図2中の画像形成装置10におけるTicket要求処理を示すフローチャートである。
【0066】
ステップS1において、画像形成装置10における通信プロトコル部31は、PC1からジョブ実行要求を受信する。通信プロトコル部31は、受信した内容をそのまま通信振り分け部32へ転送する。
【0067】
ステップS2において、通信振り分け部32は、受信した内容を確認し、その内容に応じた後工程を選択する。受信した内容がジョブ実行要求であった場合には、ジョブ受け付け部35へ受信した内容を転送する。
【0068】
ステップS3において、ジョブ受け付け部35は、転送された内容を翻訳し、具体的に何が要求されているのかを判別する。ジョブ受け付け部35には、操作パネル15の操作結果や、PC1内で動作する図示しないユーティリティソフトウェアや、図示しないWEBページ等からの操作結果がコマンドとして送信されてくる。
【0069】
操作パネル15からのコマンドは、バスブリッジ16を介してジョブ受け付け部35に入力される。ユーティリティソフトウェア及びWEBページからのコマンドは、通信回線2、通信プロトコル部31、及び通信振り分け部32を介して、ジョブ受け付け部35に入力される。ジョブ受け付け部35ではその差を意識せず、同様に扱う。ジョブ受け付け部35は、ジョブ実行要求を解析し、要求されているジョブを特定してその実行をジョブ実行管理部36へ要求する。
【0070】
ステップS4において、ジョブ実行管理部36は、ジョブ受け付け部35から要求されたジョブの実行を計画する。計画は、主に要求されたジョブを起動するために必要なリソースの都合を考えて行う。ジョブ実行管理部36は、機能部33に対して要求されたジョブを実行するために必要なリソース、例えば、機能パック33−iを要求する。
【0071】
ステップS5において、ジョブ実行管理部36は、機能部33から通知された特定の機能パック33−KをTicket管理部37へ通知する。例えば、機能パック33−Kは、印刷処理部33kとする。
【0072】
ステップS6において、Ticket管理部37は、ジョブ実行管理部36から通知された機能パック33−Kである印刷処理部33kに、必要なTicket数を問い合せる。
【0073】
ステップS7において、Ticket管理部37から問い合せを受けた印刷処理部37は、実行に必要なTicket数をTicket管理部37に回答する。本処理については図9にて後述する。
【0074】
ステップS8において、Ticket管理部37は、ステップS7の問い合せに対する回答から本ジョブの実行に必要なTicket数を見積もる。
【0075】
ステップS9において、Ticket管理部37は、必要なTicket数をTicket要求コマンドとして作成し、通信振り分け部32へ転送する。Ticket要求コマンドは、画像形成装置10とTicket付与装置40との間で通信されるコマンドであって、画像形成装置10がジョブを実行するための許可をTicket付与装置40に求めるためのものである。
【0076】
ステップS10において、通信振り分け部32は、受け取った情報(Ticket要求コマンド)を通信プロトコル部31へ転送する。ステップS11において、通信プロトコル部31は、通信振り分け部32から転送された情報をTicket付与装置40へ送信する。
【0077】
図9は、図2中の画像形成装置10におけるTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0078】
本処理は、各機能パック33−KがTicket管理部37からの問い合せを受けて、ジョブ実行に必要なTicket数を見積って回答する処理である。本実施例1では、機能パック33−Kとして印刷処理部33kを例に動作を説明する。
【0079】
ステップS71において、印刷処理部33kは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、印刷処理部33kにおいて前回受領してTicketが残っている場合がある。
【0080】
ステップS72において、印刷処理部33kは、設定値DB34を検索し、固定的に管理者が設定した要求Ticket数を読み出す。例えば、図6の例では、Ticket残数が50であり、要求Ticket数が500に設定されている。この固定的に管理者が設定する設定値は、機能パック33−K毎に異なる値を設定することも可能であるし、同一の値を設定することも可能である。
【0081】
ステップS73において、印刷処理部33kは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0082】
図10は、図3のTicket付与装置40の動作を示すフローチャートである。
ステップS21において、通信制御部41は、画像形成装置10からTicket要求コマンドを受信するとTicket付与部43へ転送する。
【0083】
ステップS22において、Ticket付与部43は、受信したコマンドがTicket要求コマンドであった場合には、TicketDB42に対して情報の検索を行う。検索する情報は、Ticket制限値と使用済みTicket数である。Ticket制限値は、各利用者に許可されたTicket数である。
【0084】
図4の例によれば、Ticket付与部40は、受信したTicket要求コマンド中の画像形成装置IDをキーとして画像形成装置IDインデックス42aを検索し、利用者IDインデックス42bのアドレスを求める。次に、Ticket付与部40は、Ticket要求コマンド中の利用者IDをキーとしてTicket制限値テーブル42cのアドレスを求め、印刷機能のTicket制限値と使用済みTicket数とを読み出す。
【0085】
ステップS23において、Ticket付与部43は、Ticket制限値と使用済みTicket数とを比較する。Ticket制限値>使用済みTicket数の場合には、次のステップS24へ移行する。Ticket制限値≦使用済みTicket数の場合には、ステップS25へ移行する。
【0086】
ステップS24において、Ticket付与部43は、(使用済みTicket数+要求Ticket数)の値をTicket制限値と比較する。(使用済みTicket数+要求Ticket数)がTicket制限値を超えてない場合には、要求Ticket数を付与Ticket数とする。(使用済みTicket数+要求Ticket数)がTicket制限値を超えている場合には、Ticket制限値に収まる範囲で最大となるTicket数を付与Ticket数として決定する。Ticket付与部43は、付与Ticket数を画像形成装置10からのTicket要求コマンドに対するレスポンスとして作成し、通信制御部41へ転送する。
【0087】
ステップ25において、Ticket付与部43は、使用済みTicket数がTicket制限値に達しているため、Ticket発行不可の内容を画像形成装置10からのTicket要求コマンドに対するレスポンスとして作成し、通信制御部41へ転送する。
【0088】
ステップS26において、通信制御部41は、Ticket付与部43から転送されたレスボンスを画像形成装置10へ返送して本処理を終了する。
【0089】
図11は、図2中の画像形成装置10におけるTicket受け取り処理を示すフローチャートである。
【0090】
図11では、画像形成装置10からTicket付与装置40に対してTicket要求し、Ticket付与装置40がその応答として付与Ticket数を返送した後の画像形成装置10の動作を説明する。
【0091】
ステップS31において、通信プロトコル部31は、外部からコマンド等の情報を受信すると、通信振り分け部32へ転送する。ステップS32において、通信振り分け部32は、受信した情報がTicket関係のコマンドであると判断した場合には、受信した情報をTicket管理部37へ転送する。
【0092】
ステップS33において、Ticket管理部37は、受信した情報を解析し、Ticket要求コマンドに対する応答であると判断した場合には、その内容からTicketがもらえたのか、もらえなかったのかを判断する。もらえた場合には、次のステップS34へ移行する。もらえなかった場合には、ステップS37へ移行する。
【0093】
ステップS34において、Ticket管理部37は、機能部33の各機能パック33−iのうち、ジョブを実行する予定の印刷処理部33kへTicketを配布する。
【0094】
ステップS35において、Ticketを配布された印刷処理部33kは、配布されたTicket数分の動作を行う。このときに多めにTicketがもらえていると、印刷処理部33kは、そのTicket数の分だけTicket付与装置40との通信のやり取り無しで動作できるため、より円滑な動作が可能となる。
【0095】
ステップS36において、Ticket管理部37は、印刷処理部33kに対して必要なTicket数を問い合せて本処理を終了する。これは、印刷処理部33k等に配布したTicketがすべて消費されてしまう前に、Ticket付与装置40に対し、Ticket要求を行うことにより、印刷処理部33kの円滑な動作を保証するためである。
【0096】
ステップS37において、Ticket管理部37がTicketがもらえなかった場合には、ジョブ実行管理部36へTicket不足によりジョブの続行が不可能である旨を通知する。
【0097】
ステップS38において、ジョブ実行管理部36は、機能部33へ通知してジョブの実行を停止させる。図11においては、ステップS38の処理で、キャンセルすると記載したが、製品の仕様により、操作パネル15や他のユーザインタフェースにTicket不足によりジョブ一時停止のメッセージを表示し、Ticket付与装置40内のTicket制限値を見直すよう促すことも可能である。その場合にはジョブを一時停止としておき、ジョブのキャンセルは行わない。
【0098】
図12は、図2中の画像形成装置10におけるTicket返却処理を示すフローチャートである。
【0099】
画像形成装置10がジョブ実行後に余ったTicketをTicket付与装置40へ返却する動作について説明する。
【0100】
ステップS41において、印刷処理部33kは、ジョブを実行する動作が終了すると、終了した旨をジョブ実行管理部36へ通知する。機能部33内の各機能パック33−iは、ジョブ自体の終了を管理しないが、自らの処理の終了は判断する。
【0101】
ステップS42において、ジョブ実行管理部36は、複数の機能パック33−iから通知された処理の終了通知により、ジョブの終了を判断する。ジョブ実行管理部36は、関連する機能パック33−iからの終了通知がすべて受信できたときに、ジョブ終了処理としての後処理(ログの書き込み等)を行う。その後、ジョブ実行管理部37は、ジョブを終了させてジョブの終了をTicket管理部37へ通知する。
【0102】
ステップS43において、Ticket管理部37は、Ticket付与装置40から獲得したTicketのうち、ジョブ実行管理部36からジョブ終了通知を受けた時点で未使用分のTicketをTicket返却コマンドとして作成する。Ticket管理部37は、Ticket返却コマンドを通信振り分け部32へ転送する。
【0103】
ステップS44において、通信振り分け部32は、Ticket管理部37から受け取ったTicket返却コマンドを通信プロトコル部31へ転送する。
【0104】
ステップS45において、通信プロトコル部31は、通信振り分け部32から受け取ったTicket返却コマンドをTicket付与装置40へ送信して本処理を終了する。
【0105】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像形成装置10によれば、ジョブを実行する機能パック33−iに対し、必要Ticket数を問い合せ、回答された要求Ticket数に基づき、ジョブが必要とするTicket数を算出し、許可要求として出力するTicket管理部37を備えているので、許可されたTicket数の範囲でジョブを連続して実行できる。このため、ジョブの実行速度を低下させることがない。
【0106】
更に、Ticketは、用紙Pの印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位なので、Ticketの制限値が、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ別に設定されていても、ある利用者の特定ジョブのTicketが制限値に到達した場合には、Ticketに余裕がある他のジョブからTicketを流用できるので、ジョブ実行の管理を弾力的に行うことができる。このため、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【0107】
又、本実施例1の画像形成システムによれば、画像形成装置10と、Ticket付与装置40とを備えているので、画像形成装置10のジョブ実行速度を低下させることがない。更に、Ticketにより、複数種類のジョブの実行管理を弾力的に行うことができるので、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【実施例2】
【0108】
(実施例2の構成)
図13は、本発明の実施例2における図5中の制御部30Aの概略を示す構成図である。
【0109】
本実施例2において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2における画像形成装置10内の制御部30Aの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、機能パック33−Kである印刷処理部33kaが実施例1の機能パック33−Kである印刷処理部33kと異なっている。更に、設定値DB34Aが実施例1の設定値DB34と一部異なっている。
【0110】
本実施例2の設定値DB34Aでは、実施例1の設定値DB34が記憶している固定値である要求Ticket数に代えて、画像形成装置10の印刷機能、COPY機能、Email機能、FAX機能等の機能毎の図示しないシステムの性能値を記憶している。
【0111】
本実施例2における印刷処理部33kaは、Ticket管理部37からジョブ実行に必要なTicket数の問い合せがあったときには、設定値DB34Aに記憶している性能値に対し、所定の演算を行い、要求Ticket数を求めるように構成されている点が、実施例1の印刷処理装置33kと異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0112】
(実施例2の動作)
本実施例2のTicket付与装置40の動作は、実施例1と同様である。画像形成装置10の動作は、Ticket必要量見積り処理を除き、実施例1と同様である。以下、図14を用いて、Ticket必要量見積り処理について説明する。
【0113】
図14は、本発明の実施例2における図2中の画像形成装置10のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0114】
Ticket必要量見積り処理は、機能パック33−KがTicket管理部37からの問い合せに対して、必要なTicket数を回答する処理である。ここでは、機能パック33−Kとして印刷処理部33kaを例に説明する。
【0115】
実施例1と同様のステップS71において、印刷処理部33kaは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、同一サービスの処理において前回受領したTicketが残っている場合もある。
【0116】
実施例1とは異なるステップS72A1において、印刷処理部33kaは、設定値DB34Aを検索し、システムの性能値を読み出す。システムの性能値は、固定的に製品出荷時に設定されていても良いが、搭載されているメモリ量などの影響を受けて変動するものであるため、システム起動時に設定されることが望ましい。
【0117】
実施例1とは異なるステップS72A2において、印刷処理部33kaは、読み出したシステムの性能値に対して特定の演算を行い、要求Ticket数を求める。
【0118】
実施例1と同様のステップS73において、印刷処理部33kaは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0119】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、システムの性能値に対して特定の演算を行い、要求Ticket数を求めるようにしたので、性能の異なる上位から下位の画像形成装置10において、高性能の画像性装置10には、多くのTicketを供給できる。このため、最適なTicket管理が可能となり、画像形成装置10の性能を十分発揮させることができる。
【0120】
(実施例3の構成)
図15は、本発明の実施例3における図5中の制御部30Bの概略を示す構成図である。
【0121】
本実施例3において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例3における画像形成装置10内の制御部30Bの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、機能パック33−Kである印刷処理部33kbが実施例1の機能パック33−Kである印刷処理部33kbと異なっており、更に、時刻管理部38が追加されている。又、設定値DB34Bが実施例1の設定値DB34と一部異なっている。
【0122】
本実施例3における設定値DB34Bは、実施例1の設定値DB34が記憶している固定値である要求Ticket数に代えて、画像形成装置10の印刷機能、COPY機能、Email機能、FAX機能等の機能毎に図示しない統計値を記憶している。
【0123】
本実施例3の印刷処理部33kbは、Ticket管理部37からジョブ実行に必要なTicket数の問い合せがあったときには、設定値DB34Aに記憶している統計値に対し、所定の演算を行い、要求Ticket数を求めるように構成されている点が実施例1の印刷処理部33kと異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0124】
(実施例3の動作)
実施例3のTicket付与装置40の動作は、実施例1と同様である。実施例3の画像形成装置10の動作は、Ticket必要量見積り処理を除き、実施例1と同様であるが、統計値作成処理が追加されている。
【0125】
図16は、本発明の実施例3における図2中の画像形成装置10の統計値作成処理を示すフローチャートである。
【0126】
図16を用いて統計値を取得する処理について説明する。
ステップS51において、印刷処理部33kbは、Ticket管理部37から必要なTicket数を受領する。
【0127】
ステップS52において、印刷処理部33kbは、時刻管理部38から時刻を入手する。
【0128】
ステップS53において、印刷処理部33kbは、ジョブの終了時点で統計値を作成する。統計値は、どの利用者が何ページ印刷したか、その印刷は、カラーかモノクロか等の情報を収集したものである。例えば、機能パック33−KがFAX機能であるならば、送信枚数、解像度、通信時間等を統計値として作成することになる。統計値には時刻情報が含まれている。
【0129】
ステップS54において、印刷処理部33kbは、作成した統計値を設定値DB34Bへ保存して本処理を終了する。
【0130】
図17は、本発明の実施例3における図2中の画像形成装置10のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0131】
実施例1と同様のステップS1において、印刷処理部33kbは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、同一サービスの処理において前回もらったTicketが残っている場合もある。
【0132】
実施例1と異なるステップS72B1において、印刷処理部33kbは、設定値DB34Bを検索し、統計値を読み出す。
【0133】
実施例1と異なるステップS72B2において、印刷処理部33kbは、統計値により、印刷の傾向がつかめるため、傾向に応じた要求Ticket数を算出する。例えば、「部長は、毎週月曜日の9:00にはテキストのような処理の軽い印刷が100ページ前後発生することが多い。」という統計がとれた場合には、印刷速度が速めで100ページ前後をノンストップで、動作するように要求Ticket数を調節する。
【0134】
実施例1と同様のステップS73において、印刷処理部33kbは、読み出した統計値に対して所定の演算を行い、要求Ticket数を求める。印刷処理部kbは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0135】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例1の効果に加え、画像形成装置の稼働状態の統計値に基づいて、要求Ticket数を決めるので、より実際の運用実態を反映したTicket管理が可能となる。
【0136】
(実施例4の構成)
図18は、本発明の実施例4における図5中の制御部30Cの概略を示す構成図である。
【0137】
本実施例4において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例4における画像形成装置10内の制御部30Cの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、本実施例4におけるジョブ実行管理部36Cが実施例1のジョブ実行管理部36Cと異なっている。ジョブ実行管理部36Cは、各ジョブの実行に関する優先度を管理する機能を有している。
【0138】
更に、本実施例4のTicket管理部37Cは、実施例1のTicket管理部37と異なっている。本実施例4におけるTicket管理部37Cは、機能パック33−Kから要求Ticket数が返送されたときに、必要に応じて、ジョブ実行管理部37Cにジョブ実行の優先度を問い合せ、Ticket付与装置40に対するTicket要求数を調節する機能を有している。
【0139】
(実施例4の動作)
図19は、本発明の実施例4における図2中の画像形成装置10のTicket要求処理を示すフローチャートである。
【0140】
実施例1と同様のステップS1のジョブ受信処理、ステップS2のジョブ振り分け処理、ステップS3のジョブ実行管理部への転送処理、ステップS4のジョブ実行要求処理、ステップS5の機能パック通知処理、ステップS6の必要Ticket数問い合せ処理、ステップS7の必要Ticket数回答処理、及び必要Ticket数見積り処理が実行される。
【0141】
実施例1と異なるステップS8aにおいて、Ticket管理部37Cは、ジョブ実行管理部36Cに処理中のジョブの緊急度を問い合せる。Ticket管理部36Cは、ジョブ実行管理部36Cから返信されるジョブの緊急度が高い場合には要求するTicket数を多めに、低い場合には要求するTicket数を少なめに調節する。
【0142】
実施例1と同様のステップS9の必要なTicket数の通信振り分け部への転送処理、ステップS10の通信プロトコル部への転送処理、ステップS11の送信処置が実行されて本処理が終了する
【0143】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、実施例1の効果に加え、ジョブの優先度に応じて、要求Ticket数を調整するので、優先度の高いジョブを滞らせることなく実行することができる。
【0144】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0145】
(a) 画像形成装置10として、複合機を例に説明したが、これに限定されない。プリンタ、COPY機、FAX装置等であっても適用可能である。
【0146】
(b) Ticket付与装置40を画像形成装置10とは独立の装置であって、通信回線で接続される装置で説明したが、Ticket付与装置40の機能を画像形成装置10内に設けてもよい。
【0147】
(c) TicketDB42及び設定値DBの構成は、実施例1〜4の構成に限定されない。例えば、管理データベース(以下「MIB」という。)によって構成してもよい。MIBは、asn.1と呼ばれるテキストフォーマットの記載形式に則って情報をやり取りするデータベースである。MIB上の各項目にアクセスするためには、SNMPと呼ばれるプロトコルを使用して、個々の項目毎に割り振られたObjectIDと呼ばれる識別子を指定して行う。
【符号の説明】
【0148】
10 画像形成装置
13 不揮発性メモリ
15 操作パネル
30 制御部
31 通信プロトコル部
32 通信振り分け部
33,33A,33B 機能部
33−1〜33−N,33−K 機能パック
33k,33ka,33kb 印刷処理部
34,34A,34B 設定値DB
35 ジョブ受け付け部
36 ジョブ実行管理部
37,37C Ticket管理部
40 Ticket付与装置
41 通信制御部
42 TicketDB
43 Ticket付与部
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者からのジョブ実行要求を受付けてジョブを実行し、画像を形成する画像形成装置、及びそれを有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置におけるジョブ実行量の管理は、例えば、次のような方法で行われている。
【0003】
画像形成装置において、印刷を行う場合、個人又はグループ毎に一定期間内に印刷可能な枚数を決めておき、その制限値である枚数まで、その画像形成装置を使用して印刷することができるようにし、印刷枚数が制限値に到達したときには、印刷ができないようにする。つまり、画像形成装置は、1枚印刷する毎に定められた制限値に達したか否かを確認し、制限値に達していない場合には、次の1枚を印刷する。制限値に達した場合には、次の印刷は行わない。
【0004】
下記の特許文献1には、デジタルコンテンツの配布を管理する管理サーバにおいて、予め利用者がチケットを購入し、購入済みのチケット分だけ、デジタルコンテンツの配布を可能とするコンテンツ管理サーバの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−178225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置及び画像形成システムでは、ジョブ実行量の管理機能を画像形成装置内に設けた場合には、そのジョブ実行量を高速に確認することができるが、ジョブ実行量の管理を例えば、本社で一括管理するような場合では、通信回線等を介した別の情報処理装置内にジョブ実行量の管理機能を設けなければならない。このような場合では、ジョブ実行量の確認に時間がかかるという課題がある。つまり、連続印刷を行う場合、印刷する各枚数の間に確認時間が入るため、印刷速度が低下するという課題があった。
【0007】
更に、ジョブ実行量の制限値は、例えば、印刷機能、コピー機能(以下「COPY機能」という。)、電子メール機能(以下、「Email機能」)という。)、及びファクシミリ機能(以下「FAX機能」という。)等のジョブ別に設定、管理されているため、ある利用者の特定ジョブのジョブ実行量が制限値に到達した場合には、その利用者は、他のジョブのジョブ実行量に余裕があっても、その特定ジョブの利用が不可能になってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、利用者からの入力情報を受け付け、前記入力情報の内容がジョブ実行要求であったときには、前記ジョブ実行要求の内容を解析してジョブ解析結果を出力するジョブ受け付け部と、前記ジョブの種類に応じ、画像を形成して所定の処理を実行する複数の機能パックを有する機能部と、前記ジョブ解析結果を入力して前記ジョブを実行する機能パックを選択し、前記機能部に対し前記ジョブの実行を要求するジョブ実行管理部と、前記ジョブを実行する前記機能パックに対し、前記機能パックが必要とするジョブ実行量を問い合せ、前記機能パックから通知された前記ジョブ実行量に基づき、前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部とを備えている。
【0009】
前記ジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測される。
【0010】
本発明の画像形成システムは、前記画像形成装置と、ジョブ管理装置とを備えており、前記ジョブ管理装置は、前記利用者毎に、実行済みの前記ジョブの前記ジョブ実行量と前記ジョブ実行量の上限である制限値とを記憶する記憶部と、前記許可要求部からの前記許可要求に対して前記記憶部に記憶した前記実行済みの前記ジョブ実行量と前記制限値とから前記ジョブの実行許可又は実行禁止を判断して前記許可要求部に通知する判断通知部とを有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、ジョブを実行する機能パックに対し、必要とするジョブ実行量を問い合せ、回答されたジョブ実行量に基づき、ジョブが必要とするジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部とを備えている。このため、許可されたジョブ実行量の範囲でジョブを連続して実行できるので、ジョブの実行速度を低下させることがない。
【0012】
更に、ジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測するようにしたので、ジョブ実行量の制限値が、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ別に設定されていても、ある利用者の特定ジョブのジョブ実行量が制限値に到達した場合には、ジョブ実行量に余裕がある他のジョブからジョブ実行量を流用できるので、ジョブ実行量の管理を弾力的に行うことができる。このため、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【0013】
本発明の画像形成システムによれば、前記画像形成装置と、ジョブ実行量とを管理するジョブ管理装置を備えているので、前記画像形成装置のジョブ実行速度を低下させることがない。更に、複数種類のジョブのジョブ実行量の管理を弾力的に行うことができるので、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施例1における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成システムの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図2中のチケット(以下「Ticket」という。)付与装置の概略を示す構成図である。
【図4】図4は図3中のチケットデータベース(以下「TicketDB」という。)の概略を示す構成図である。
【図5】図5は図2中の画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図6】図6は図1中の設定値データベース(以下「設定値DB」という。)の概略を示す構成図である。
【図7】図7は本発明の実施例1における画像形成システムの動作を示す図である。
【図8】図8は図2中の画像形成装置におけるTicket要求処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は図2中の画像形成装置におけるTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は図3のTicket付与装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は図2中の画像形成装置におけるTicket受け取り処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は図2中の画像形成装置におけるTicket返却処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は本発明の実施例2における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図14】図14は本発明の実施例2における図2中の画像形成装置のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は本発明の実施例3における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図16】図16は本発明の実施例3における図2中の画像形成装置の統計値作成処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は本発明の実施例3における図2中の画像形成装置のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は本発明の実施例4における図5中の制御部の概略を示す構成図である。
【図19】図19は本発明の実施例4における図2中の画像形成装置のTicket要求処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0016】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成システムの概略を示す構成図である。
【0017】
本実施例1における画像形成システムは、クライアントサーバモデルにより構成されている。即ち、クライアントであるパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)1は、通信回線2を介して、サーバである画像形成装置10に接続され、利用者からのジョブ実行要求を画像形成装置10に依頼するように構成されている。
【0018】
画像形成装置10は、例えば、複合機であって、受信したデータを記録媒体(例えば、用紙)Pに印刷する印刷機能と、図示しないスキャナによりスキャンしたデータを印刷するCOPY機能と、スキャンしたデータをEmailに添付して送信するEmail機能と、スキャンしたデータをFAX送信するFAX機能とを有している。
【0019】
更に、画像形成装置10には、通信回線2を介して、画像形成装置10のジョブ実行量を管理するジョブ管理装置としてのTicket付与装置40が接続されている。画像形成装置10は、この場合、Ticket付与装置40に対してTicketの付与を依頼するので、画像形成装置10がクライアントで、Ticket付与装置40がサーバとなる。
【0020】
ここで、本実施例1におけるTicketについて説明する。画像形成装置10は、既に述べたように、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等を有している。画像形成装置10におけるジョブ実行量は、印刷媒体の印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を、所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測される。この共通の単位を本実施例1では、Ticketと呼ぶ。
【0021】
例えば、印刷機能においては、課金対象となるのは消耗品の使用量であり、この場合、印刷されたページ数に課金するのが普通である。よって印刷機能の場合には、ページ数がTicketに割り当てられる。COPY機能についても同様に印刷されるページ数がTicketに割り当てられる。
【0022】
Email機能においては、通常、パケットと呼ばれる通信単位で課金される。例えば、通信量が1バイト〜1500バイトのときに同額に課金される料金体系の場合には、通信量が1バイトでも1パケット扱いとなる。つまり、通信回線2の速さには関係なく、あくまで通信したパケット数が課金対象である。この場合には、通信するパケット数がTicketに割り当てられる。
【0023】
FAX機能の場合には、通常、通信時間が課金対象となる。同じデータサイズの原稿を通信する場合でも、通信回線2の速度が速いか、又は選んだ通信プロトコルが速い相手の場合には、通信時間は短くなる。通信回線2の速度が遅いか、又は選んだ通信プロトコルが遅い場合には、通信時間が長くなる。このようにFAX機能の場合には、同じサイズのデータでも課金額は異なる。
【0024】
更に、高品質通信モードか低品質通信モードかによって、1枚のスキャンデータのデーダサイズは異なる。このため、高品質通信モードで通信した場合には、同じ1枚でも低品質通信モードの場合に比べて課金額が高くなる。逆に低品質通信モードで通信した場合には、同じ1枚でも高品質通信モードの場合に比べて課金額は安くなる。よって、FAX機能においては、一定の通信時間がTicketに割り当てられる。又、厳密には、FAXの通信費は単純に時間だけに依存しているのではなく、通信相手との「通信単価×通信時間」が一般的な課金額になるべきだが、通常FAX通信における通信単価を知ることができないため、FAX通信における課金は通信時間のみで行うケースが多い。
【0025】
このように本実施例1では、用紙Pの印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間のように、それぞれ計測単位が異なる量を共通の単位であるTicketに変換している。
【0026】
従来のジョブ実行量の制御では、例えば、利用者Aは、印刷機能とCOPY機能とを使用できるが、Email機能とFAX機能は使用できない。利用者Bは、印刷機能を使用できるが、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とは使用できないといった制御を行っている。
【0027】
本実施例1では、Ticketという共通の単位によりジョブ実行量を計測するようにしたので、例えば、利用者Aが印刷機能と、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とを合わせて、ある一定量まで使用することを許可する制御が可能となる。
【0028】
例えば、印刷機能及びCOPY機能においては、用紙Pの1ページを5Ticketに割り当てる。Email機能においては、100パケットを1Ticketに割り当てる。FAX機能については、3分間の通信を10Ticketに割り当てる。そして、利用者Aは、合計で月に2000Ticketの使用を可能になるよう、Ticket付与装置40に制限値を設定するのである。この場合、利用者Aが印刷機能と、COPY機能と、Email機能と、FAX機能とを合わせて月に2000Ticketまで使用することを許可する制御が可能となる。
【0029】
図3は、図2中のTicket付与装置40の概略を示す構成図である。
Ticket付与装置40は、通信制御部41、TicketDB42及びTicket付与部43を有している。通信制御部41は、所定のプロトコルにより、外部の機器と通信するためのインタフェース機能を有している。所定のプロトコルとは、具体的には、USB、IEEE1394、或いは、その他のネットワーク通信プロトコルである。通信ブロトコル部41は、一般的な双方向の通信処理を行う機能を有している。
【0030】
通信プロトコル部41には、Ticketの使用量を管理する判断通知部(例えば、Ticket付与部)43が接続されている。Ticket付与部に43は、通信プロトコル部41を介して、画像形成装置10からのジョブの実行許可を要求する許可要求が入力される。この許可要求には、画像形成装置10が必要とするジョブ実行量を示すTicket数が含まれている。
【0031】
Ticket付与部43は、要求されたTicket数に基づいて、記憶部(例えば、TicketDB)42内に記憶された利用者毎の実行済みのジョブ実行量(例えば、使用済みTicket数)と使用可能なTicket数の制限値とを参照して、ジョブの実行の可否を決定する機能を有している。実行が可能な場合には、画像形成装置10から要求されたTicket数を付与Ticket数として画像形成装置10に通知する機能を有している。
【0032】
図4は、図3中のTicketDB42の概略を示す構成図である。
TicketDB42は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリに記憶されており、画像形成装置識別子インデックス(以下「IDインデックス」という。)42a、利用者IDインデックス42b及びTicket制限値テーブル42cを有している。
【0033】
Ticket制限値テーブル42cは、複数の画像形成装置10毎で、且つ複数の利用者毎に設けられ、画像形成装置10が提供するサービス毎に使用可能Ticketの制限値と、使用済みTicket数と、Ticket残数とを記憶している。画像形成装置10は、利用者からのジョブの実行依頼により、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のいずれかのジョブを実行することで、これらのサービスを提供するように構成されている。
【0034】
利用者IDインデックス42bは、利用者IDと、複数のTicket制限値テーブル42cの記憶場所を示すアドレスとを記憶するテーブルである。Ticket付与部43が利用者IDをキーとして、特定のTicket制限テーブル42cのアドレスを知るように構成されている。
【0035】
画像形成装置IDインデックス42aは、画像形成装置IDと、複数の利用者IDインデックス42bの記憶場所を示すアドレスとを記憶するテーブルである。Ticket付与部43が画像形成装置IDをキーとして、特定の利用者IDインデックス42bのアドレスを知るように構成されている。
【0036】
Ticket制限テーブル42cにおいて、例えば、印刷機能の欄には、Ticket制限値としてn1、使用済みTicket数としてm1、Ticket残数としてr1が記憶されている。COPY機能、Email機能、及びFAX機能についても同様の構成になっている。
【0037】
例えば、ある利用者Aに対して、Ticket制限値=5が設定されていたとし、用紙P1枚を印刷する処理にTicket=1が割り当てられていたとすると、利用者Aは、用紙1枚の印刷を5回まで実行することが可能である。更に、FAXを1枚送信する処理がTicket=2に割り当てられていたとすると、利用者Aは、1枚のFAX送信を2回と、1枚の印刷を1回まで実行することが可能である。
【0038】
このように、Ticket制限値は、利用者の利用環境における管理者が設定する設定値で、利用者毎に画像形成装置10を使用する使用量を制限するために用いられる。使用済みTicket数は、利用者が現在までに使用したTicketの量である。Ticket残数は、Ticket制限値と使用済みTicket数との差分である。
【0039】
図5は、図2中の画像形成装置10の概略を示す構成図である。
画像形成装置10は、リードオンリメモリ(以下「ROM」という。)11に記憶されている各種プログラムをランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)12に読み出して、各種ジョブを実行する制御部30を有している。
【0040】
制御部30には、各種設定値等を記憶するハードディスク装置等の不揮発性メモリ13と、時刻を計測する時計回路14と、利用者の操作を受け付けると共に、利用者に対する通知を表示する操作パネル15と、PC1等の外部装置を接続する外部インタフェース(以下「外部I/F」という。)部17とが接続されている。操作パネル15は、バスブリッジ16を介して制御部30と接続されている。
【0041】
更に、制御部30には、画像を形成して用紙Pに印刷するプリンタ部18と、原稿上の画像を読み取るスキャナ部19と、スキャンしたデータをFAX送信するFAX部20とが接続されている。これらのプリンタ部18、スキャナ部19、及びFAX部20は、ROM11に記憶されているプログラムをRAM12に読み出して制御部30により実行することで、制御される。Email機能は、ROM11に記憶されている図示しないEmail用のプログラムによって実行される。
【0042】
図1は、本発明の実施例1における図5中の制御部30の概略を示す構成図である。図6は、図1中の設定値DBの概略を示す構成図である。
【0043】
図1に示すように、制御部30は、通信プロトコル部31、通信振り分け部32、機能部33、ジョブ受け付け部35、ジョブ実行管理部36及び許可要求部(例えば、Ticket管理部)37を有している。更に、制御部30には、設定値DB34が接続されている。
【0044】
通信プロトコル部31は、PC1やTicket付与装置40等の外部の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、USB、IEEE1394、ネットワーク通信プロトコル等の通信規約で動作する通信用プログラムにより構成されている。
【0045】
通信振り分け部32は、受信した情報の振り分けを行う機能を有している。通信プロトコル部31を使用する処理(タスク)が単一であれば通信振り分け部32は、必要ない。しかし、通信プロトコル部31を使用するタスクが複数存在する場合には、受信したデータを該当するタスクへ振り分ける機能が必要になる。
【0046】
機能部33は、画像形成装置10内の機能全体を包含するコンテナである。機能部33は、ジョブの種類に応じ、所定の処理を実行する複数の機能パック33−1〜33−Nを有している。機能パック33−1〜33−Nの具体例としては、本実施例1の画像形成装置10における、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等を実行する各処理部がある。
【0047】
以下、複数の機能パック33−1〜33−Nのうちの特定の機能パックを表すとき、又は特に区別する必要のないときには、機能パック33−K又は機能パック33−Jと表記する。
【0048】
複数の機能パック33−1〜33−Nのうち、機能パック33−Kである印刷処理部33kは、機能部33に包含されており、印刷機能を実行するものである。本実施例1では、具体例として印刷処理部33kについて説明するが、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等についても同様に読み替えることが可能である。
【0049】
本実施例1の機能パック33−Kは、自身が処理するジョブ実行量を所定の変換率でTicketに変換する機能を有している。この変換率は、設定値DB34に設定してあり、所定の変換率により変換するように構成されている。例えば、印刷処理部33kの場合のジョブ実行量の単位は、印刷ページである。印刷処理部33kは、1ページを所定のTicket数に割り当てる機能を有している。
【0050】
例えば、設定値DB34に設定してある変換率(図6では変換Ticket数)が5の場合、印刷処理部33kは、1ページを5Ticketに割り当てるように機能する。設定値DB34には、更に、ジョブ実行時に必要な要求Ticket数が記憶されており、印刷処理部33kは、ジョブ実行に必要な分のTicket数を、ジョブ実行管理部36を介してTicket管理装置40に要求する機能を有している。
【0051】
図6に示すように、設定値DB34は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリ13に記憶されている。設定値DB34は、画像形成装置10が実行する、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ毎に、その単位動作量と、単位動作量をTicket数に変換する際の変換率(変換Ticket数)、ジョブ毎のTicket残数、及びジョブ実行時において、Ticket付与装置40に要求する要求Ticket数が記憶されている。
【0052】
図6の例では、印刷機能の場合、単位動作量は1ページであり、その変換率は1ページに対して5Ticketである。現在のTicket残数は、50Ticketで要求Ticket数は、500Ticketである。
【0053】
図1に示すように、ジョブ受け付け部35は、通信振り分け部32と、操作パネル15と、ジョブ実行管理部36とに接続されており、利用者からの要求を受け付ける入り口である。例えば、操作パネル15を経由して利用者の操作で入力される図示しないコマンドの翻訳部と、通信プロトコル部31及び通信振り分け部32を経由してPC1から受信する図示しないコマンドの翻訳部とを有している。
【0054】
PC1によるコマンド入力は、例えば、画像形成装置10内にウェブ(WEB)ページを設け、これをPC1内のブラウザで表示して利用者により入力する方法と、PC1内のプログラムによりPJL(PrintJobLanguage)を生成する方法等がある。
【0055】
操作パネル15からの入力の場合は、利用者による文字ベースのメニュー操作によりローカルプリントの要求や、COPY機能、Email機能やFAX機能等の要求が入力される。WEBページによる場合は、利用者によるグラフィカルな画面を基本としたメニュー操作により、設定値の参照、修正やローカルプリントの要求等が入力される。PJLによる場合は、主に印刷機能等の要求及び印刷対象のデータが入力される。
【0056】
ここで、WEBページについて説明する。WEBページは、主にHTML、XHTML、XML等の言語で記載された一種のプログラムである。このプログラムは、WEBブラウザと呼ばれるソフトウェアで解読されて動作する。本実施例1では、WEBページは、画像形成装置10内に設けられ、ブラウザは、PC1内に設けられている。通常、WEBページは、主にWEBブラウザ上にグラフィカルな表示を提供するが、ファイルへのアクセスや、ネットワーク通信動作を行うことも可能である。このWEBページは、通常、画像形成装置10の管理に使用される。WEBページは、プラットフォームフリーなのでPC1の環境から独立であるという利点を有している。
【0057】
ジョブ実行管理部36は、ジョブ受け付け部35、機能部33、及びTicket管理部37に接続されており、利用者により要求されたジョブをジョブ受け付け部35から受け取ると、そのジョブに必要な機能パック33−Kを選択し、その機能パック33−Kの実行を機能部33に要求する機能を有している。
【0058】
ジョブ実行管理部36は、ジョブが開始されると、ジョブの実行状態を監視して制御する機能を有している。例えば、他の機能パック33−Jが現在実行中のジョブの状態を参照したり、実行中のジョブに対して、一時停止、キャンセル、再開等の命令を出す場合には、常にジョブ実行管理部36に依頼し、ジョブ実行管理部36経由で実行するように構成されている。
【0059】
他の機能パック33−Jは、現在利用者から要求されたジョブを実行するのにどの機能パックを使用しているのかをジョブ実行管理部36に問い合わせることも可能になっている。
【0060】
Ticket管理部37は、画像振り分け部32と、ジョブ実行管理部36と、機能部33とに接続されており、画像形成装置10内で必要なTicketのとりまとめ機能と、Ticket付与装置40に対するTicket要求、及び返却処理を行う機能を有している。Ticketのとりまとめ機能は、機能部33の機能パック33−Kに対して、必要なTicket数の問い合せを行う処理と、機能パック33−Kから返って来た要求Ticket数から画像形成装置10としての必要なTicket数を見積もる処理とを有している。更に、画像形成装置10としての必要なTicket数をTicket付与装置40へ要求し、ジョブ終了後に余ったTicketを返却する機能を有している。
【0061】
(実施例1の動作)
図7は、本発明の実施例1における画像形成システムの動作を示す図である。
【0062】
画像形成装置10は、処理T1で、利用者からの印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブの実行要求をPC1から受信する。画像形成装置10は、処理T2で、Ticket付与装置40に対して、必要なTicket数を要求する。
【0063】
Ticket付与装置40は、処理T3において、画像形成装置10に対してTicketを配布する。画像形成装置10は、配布されたTicket分の動作を許可されたことになるので、利用者に要求されたジョブを配布されたTicketの範囲で実行する。Ticket分の動作を行ってもジョブが終了しないと判断した場合は、画像形成装置10は、処理T4において、処理T2と同様に、Ticket付与装置40に対して、必要なTicket数を要求する。
【0064】
Ticket付与装置40は、処理T5において、処理ステップT3と同様に、画像形成装置10に対してTicketを配布する。画像形成装置10は、配布されたTicket分の動作を許可されたことになるので、ジョブを配布されたTicketの範囲で実行する。このように、ジョブが終了するまで処理T2及び処理T3と同様の処理が繰り返され、処理T7において、ジョブが終了すると、処理T8において、画像形成装置10は、ジョブを要求したPC1に対してジョブ終了通知を送信する。
【0065】
図8は、図2中の画像形成装置10におけるTicket要求処理を示すフローチャートである。
【0066】
ステップS1において、画像形成装置10における通信プロトコル部31は、PC1からジョブ実行要求を受信する。通信プロトコル部31は、受信した内容をそのまま通信振り分け部32へ転送する。
【0067】
ステップS2において、通信振り分け部32は、受信した内容を確認し、その内容に応じた後工程を選択する。受信した内容がジョブ実行要求であった場合には、ジョブ受け付け部35へ受信した内容を転送する。
【0068】
ステップS3において、ジョブ受け付け部35は、転送された内容を翻訳し、具体的に何が要求されているのかを判別する。ジョブ受け付け部35には、操作パネル15の操作結果や、PC1内で動作する図示しないユーティリティソフトウェアや、図示しないWEBページ等からの操作結果がコマンドとして送信されてくる。
【0069】
操作パネル15からのコマンドは、バスブリッジ16を介してジョブ受け付け部35に入力される。ユーティリティソフトウェア及びWEBページからのコマンドは、通信回線2、通信プロトコル部31、及び通信振り分け部32を介して、ジョブ受け付け部35に入力される。ジョブ受け付け部35ではその差を意識せず、同様に扱う。ジョブ受け付け部35は、ジョブ実行要求を解析し、要求されているジョブを特定してその実行をジョブ実行管理部36へ要求する。
【0070】
ステップS4において、ジョブ実行管理部36は、ジョブ受け付け部35から要求されたジョブの実行を計画する。計画は、主に要求されたジョブを起動するために必要なリソースの都合を考えて行う。ジョブ実行管理部36は、機能部33に対して要求されたジョブを実行するために必要なリソース、例えば、機能パック33−iを要求する。
【0071】
ステップS5において、ジョブ実行管理部36は、機能部33から通知された特定の機能パック33−KをTicket管理部37へ通知する。例えば、機能パック33−Kは、印刷処理部33kとする。
【0072】
ステップS6において、Ticket管理部37は、ジョブ実行管理部36から通知された機能パック33−Kである印刷処理部33kに、必要なTicket数を問い合せる。
【0073】
ステップS7において、Ticket管理部37から問い合せを受けた印刷処理部37は、実行に必要なTicket数をTicket管理部37に回答する。本処理については図9にて後述する。
【0074】
ステップS8において、Ticket管理部37は、ステップS7の問い合せに対する回答から本ジョブの実行に必要なTicket数を見積もる。
【0075】
ステップS9において、Ticket管理部37は、必要なTicket数をTicket要求コマンドとして作成し、通信振り分け部32へ転送する。Ticket要求コマンドは、画像形成装置10とTicket付与装置40との間で通信されるコマンドであって、画像形成装置10がジョブを実行するための許可をTicket付与装置40に求めるためのものである。
【0076】
ステップS10において、通信振り分け部32は、受け取った情報(Ticket要求コマンド)を通信プロトコル部31へ転送する。ステップS11において、通信プロトコル部31は、通信振り分け部32から転送された情報をTicket付与装置40へ送信する。
【0077】
図9は、図2中の画像形成装置10におけるTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0078】
本処理は、各機能パック33−KがTicket管理部37からの問い合せを受けて、ジョブ実行に必要なTicket数を見積って回答する処理である。本実施例1では、機能パック33−Kとして印刷処理部33kを例に動作を説明する。
【0079】
ステップS71において、印刷処理部33kは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、印刷処理部33kにおいて前回受領してTicketが残っている場合がある。
【0080】
ステップS72において、印刷処理部33kは、設定値DB34を検索し、固定的に管理者が設定した要求Ticket数を読み出す。例えば、図6の例では、Ticket残数が50であり、要求Ticket数が500に設定されている。この固定的に管理者が設定する設定値は、機能パック33−K毎に異なる値を設定することも可能であるし、同一の値を設定することも可能である。
【0081】
ステップS73において、印刷処理部33kは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0082】
図10は、図3のTicket付与装置40の動作を示すフローチャートである。
ステップS21において、通信制御部41は、画像形成装置10からTicket要求コマンドを受信するとTicket付与部43へ転送する。
【0083】
ステップS22において、Ticket付与部43は、受信したコマンドがTicket要求コマンドであった場合には、TicketDB42に対して情報の検索を行う。検索する情報は、Ticket制限値と使用済みTicket数である。Ticket制限値は、各利用者に許可されたTicket数である。
【0084】
図4の例によれば、Ticket付与部40は、受信したTicket要求コマンド中の画像形成装置IDをキーとして画像形成装置IDインデックス42aを検索し、利用者IDインデックス42bのアドレスを求める。次に、Ticket付与部40は、Ticket要求コマンド中の利用者IDをキーとしてTicket制限値テーブル42cのアドレスを求め、印刷機能のTicket制限値と使用済みTicket数とを読み出す。
【0085】
ステップS23において、Ticket付与部43は、Ticket制限値と使用済みTicket数とを比較する。Ticket制限値>使用済みTicket数の場合には、次のステップS24へ移行する。Ticket制限値≦使用済みTicket数の場合には、ステップS25へ移行する。
【0086】
ステップS24において、Ticket付与部43は、(使用済みTicket数+要求Ticket数)の値をTicket制限値と比較する。(使用済みTicket数+要求Ticket数)がTicket制限値を超えてない場合には、要求Ticket数を付与Ticket数とする。(使用済みTicket数+要求Ticket数)がTicket制限値を超えている場合には、Ticket制限値に収まる範囲で最大となるTicket数を付与Ticket数として決定する。Ticket付与部43は、付与Ticket数を画像形成装置10からのTicket要求コマンドに対するレスポンスとして作成し、通信制御部41へ転送する。
【0087】
ステップ25において、Ticket付与部43は、使用済みTicket数がTicket制限値に達しているため、Ticket発行不可の内容を画像形成装置10からのTicket要求コマンドに対するレスポンスとして作成し、通信制御部41へ転送する。
【0088】
ステップS26において、通信制御部41は、Ticket付与部43から転送されたレスボンスを画像形成装置10へ返送して本処理を終了する。
【0089】
図11は、図2中の画像形成装置10におけるTicket受け取り処理を示すフローチャートである。
【0090】
図11では、画像形成装置10からTicket付与装置40に対してTicket要求し、Ticket付与装置40がその応答として付与Ticket数を返送した後の画像形成装置10の動作を説明する。
【0091】
ステップS31において、通信プロトコル部31は、外部からコマンド等の情報を受信すると、通信振り分け部32へ転送する。ステップS32において、通信振り分け部32は、受信した情報がTicket関係のコマンドであると判断した場合には、受信した情報をTicket管理部37へ転送する。
【0092】
ステップS33において、Ticket管理部37は、受信した情報を解析し、Ticket要求コマンドに対する応答であると判断した場合には、その内容からTicketがもらえたのか、もらえなかったのかを判断する。もらえた場合には、次のステップS34へ移行する。もらえなかった場合には、ステップS37へ移行する。
【0093】
ステップS34において、Ticket管理部37は、機能部33の各機能パック33−iのうち、ジョブを実行する予定の印刷処理部33kへTicketを配布する。
【0094】
ステップS35において、Ticketを配布された印刷処理部33kは、配布されたTicket数分の動作を行う。このときに多めにTicketがもらえていると、印刷処理部33kは、そのTicket数の分だけTicket付与装置40との通信のやり取り無しで動作できるため、より円滑な動作が可能となる。
【0095】
ステップS36において、Ticket管理部37は、印刷処理部33kに対して必要なTicket数を問い合せて本処理を終了する。これは、印刷処理部33k等に配布したTicketがすべて消費されてしまう前に、Ticket付与装置40に対し、Ticket要求を行うことにより、印刷処理部33kの円滑な動作を保証するためである。
【0096】
ステップS37において、Ticket管理部37がTicketがもらえなかった場合には、ジョブ実行管理部36へTicket不足によりジョブの続行が不可能である旨を通知する。
【0097】
ステップS38において、ジョブ実行管理部36は、機能部33へ通知してジョブの実行を停止させる。図11においては、ステップS38の処理で、キャンセルすると記載したが、製品の仕様により、操作パネル15や他のユーザインタフェースにTicket不足によりジョブ一時停止のメッセージを表示し、Ticket付与装置40内のTicket制限値を見直すよう促すことも可能である。その場合にはジョブを一時停止としておき、ジョブのキャンセルは行わない。
【0098】
図12は、図2中の画像形成装置10におけるTicket返却処理を示すフローチャートである。
【0099】
画像形成装置10がジョブ実行後に余ったTicketをTicket付与装置40へ返却する動作について説明する。
【0100】
ステップS41において、印刷処理部33kは、ジョブを実行する動作が終了すると、終了した旨をジョブ実行管理部36へ通知する。機能部33内の各機能パック33−iは、ジョブ自体の終了を管理しないが、自らの処理の終了は判断する。
【0101】
ステップS42において、ジョブ実行管理部36は、複数の機能パック33−iから通知された処理の終了通知により、ジョブの終了を判断する。ジョブ実行管理部36は、関連する機能パック33−iからの終了通知がすべて受信できたときに、ジョブ終了処理としての後処理(ログの書き込み等)を行う。その後、ジョブ実行管理部37は、ジョブを終了させてジョブの終了をTicket管理部37へ通知する。
【0102】
ステップS43において、Ticket管理部37は、Ticket付与装置40から獲得したTicketのうち、ジョブ実行管理部36からジョブ終了通知を受けた時点で未使用分のTicketをTicket返却コマンドとして作成する。Ticket管理部37は、Ticket返却コマンドを通信振り分け部32へ転送する。
【0103】
ステップS44において、通信振り分け部32は、Ticket管理部37から受け取ったTicket返却コマンドを通信プロトコル部31へ転送する。
【0104】
ステップS45において、通信プロトコル部31は、通信振り分け部32から受け取ったTicket返却コマンドをTicket付与装置40へ送信して本処理を終了する。
【0105】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像形成装置10によれば、ジョブを実行する機能パック33−iに対し、必要Ticket数を問い合せ、回答された要求Ticket数に基づき、ジョブが必要とするTicket数を算出し、許可要求として出力するTicket管理部37を備えているので、許可されたTicket数の範囲でジョブを連続して実行できる。このため、ジョブの実行速度を低下させることがない。
【0106】
更に、Ticketは、用紙Pの印刷枚数、Emailにおける通信パケット数、及びFAX通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位なので、Ticketの制限値が、例えば、印刷機能、COPY機能、Email機能、及びFAX機能等のジョブ別に設定されていても、ある利用者の特定ジョブのTicketが制限値に到達した場合には、Ticketに余裕がある他のジョブからTicketを流用できるので、ジョブ実行の管理を弾力的に行うことができる。このため、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【0107】
又、本実施例1の画像形成システムによれば、画像形成装置10と、Ticket付与装置40とを備えているので、画像形成装置10のジョブ実行速度を低下させることがない。更に、Ticketにより、複数種類のジョブの実行管理を弾力的に行うことができるので、利用者の利便性が高まるという効果がある。
【実施例2】
【0108】
(実施例2の構成)
図13は、本発明の実施例2における図5中の制御部30Aの概略を示す構成図である。
【0109】
本実施例2において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2における画像形成装置10内の制御部30Aの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、機能パック33−Kである印刷処理部33kaが実施例1の機能パック33−Kである印刷処理部33kと異なっている。更に、設定値DB34Aが実施例1の設定値DB34と一部異なっている。
【0110】
本実施例2の設定値DB34Aでは、実施例1の設定値DB34が記憶している固定値である要求Ticket数に代えて、画像形成装置10の印刷機能、COPY機能、Email機能、FAX機能等の機能毎の図示しないシステムの性能値を記憶している。
【0111】
本実施例2における印刷処理部33kaは、Ticket管理部37からジョブ実行に必要なTicket数の問い合せがあったときには、設定値DB34Aに記憶している性能値に対し、所定の演算を行い、要求Ticket数を求めるように構成されている点が、実施例1の印刷処理装置33kと異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0112】
(実施例2の動作)
本実施例2のTicket付与装置40の動作は、実施例1と同様である。画像形成装置10の動作は、Ticket必要量見積り処理を除き、実施例1と同様である。以下、図14を用いて、Ticket必要量見積り処理について説明する。
【0113】
図14は、本発明の実施例2における図2中の画像形成装置10のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0114】
Ticket必要量見積り処理は、機能パック33−KがTicket管理部37からの問い合せに対して、必要なTicket数を回答する処理である。ここでは、機能パック33−Kとして印刷処理部33kaを例に説明する。
【0115】
実施例1と同様のステップS71において、印刷処理部33kaは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、同一サービスの処理において前回受領したTicketが残っている場合もある。
【0116】
実施例1とは異なるステップS72A1において、印刷処理部33kaは、設定値DB34Aを検索し、システムの性能値を読み出す。システムの性能値は、固定的に製品出荷時に設定されていても良いが、搭載されているメモリ量などの影響を受けて変動するものであるため、システム起動時に設定されることが望ましい。
【0117】
実施例1とは異なるステップS72A2において、印刷処理部33kaは、読み出したシステムの性能値に対して特定の演算を行い、要求Ticket数を求める。
【0118】
実施例1と同様のステップS73において、印刷処理部33kaは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0119】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、システムの性能値に対して特定の演算を行い、要求Ticket数を求めるようにしたので、性能の異なる上位から下位の画像形成装置10において、高性能の画像性装置10には、多くのTicketを供給できる。このため、最適なTicket管理が可能となり、画像形成装置10の性能を十分発揮させることができる。
【0120】
(実施例3の構成)
図15は、本発明の実施例3における図5中の制御部30Bの概略を示す構成図である。
【0121】
本実施例3において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例3における画像形成装置10内の制御部30Bの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、機能パック33−Kである印刷処理部33kbが実施例1の機能パック33−Kである印刷処理部33kbと異なっており、更に、時刻管理部38が追加されている。又、設定値DB34Bが実施例1の設定値DB34と一部異なっている。
【0122】
本実施例3における設定値DB34Bは、実施例1の設定値DB34が記憶している固定値である要求Ticket数に代えて、画像形成装置10の印刷機能、COPY機能、Email機能、FAX機能等の機能毎に図示しない統計値を記憶している。
【0123】
本実施例3の印刷処理部33kbは、Ticket管理部37からジョブ実行に必要なTicket数の問い合せがあったときには、設定値DB34Aに記憶している統計値に対し、所定の演算を行い、要求Ticket数を求めるように構成されている点が実施例1の印刷処理部33kと異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0124】
(実施例3の動作)
実施例3のTicket付与装置40の動作は、実施例1と同様である。実施例3の画像形成装置10の動作は、Ticket必要量見積り処理を除き、実施例1と同様であるが、統計値作成処理が追加されている。
【0125】
図16は、本発明の実施例3における図2中の画像形成装置10の統計値作成処理を示すフローチャートである。
【0126】
図16を用いて統計値を取得する処理について説明する。
ステップS51において、印刷処理部33kbは、Ticket管理部37から必要なTicket数を受領する。
【0127】
ステップS52において、印刷処理部33kbは、時刻管理部38から時刻を入手する。
【0128】
ステップS53において、印刷処理部33kbは、ジョブの終了時点で統計値を作成する。統計値は、どの利用者が何ページ印刷したか、その印刷は、カラーかモノクロか等の情報を収集したものである。例えば、機能パック33−KがFAX機能であるならば、送信枚数、解像度、通信時間等を統計値として作成することになる。統計値には時刻情報が含まれている。
【0129】
ステップS54において、印刷処理部33kbは、作成した統計値を設定値DB34Bへ保存して本処理を終了する。
【0130】
図17は、本発明の実施例3における図2中の画像形成装置10のTicket必要量見積り処理を示すフローチャートである。
【0131】
実施例1と同様のステップS1において、印刷処理部33kbは、Ticket管理部37から必要なTicket数の問い合せを受ける。この時点で、同一サービスの処理において前回もらったTicketが残っている場合もある。
【0132】
実施例1と異なるステップS72B1において、印刷処理部33kbは、設定値DB34Bを検索し、統計値を読み出す。
【0133】
実施例1と異なるステップS72B2において、印刷処理部33kbは、統計値により、印刷の傾向がつかめるため、傾向に応じた要求Ticket数を算出する。例えば、「部長は、毎週月曜日の9:00にはテキストのような処理の軽い印刷が100ページ前後発生することが多い。」という統計がとれた場合には、印刷速度が速めで100ページ前後をノンストップで、動作するように要求Ticket数を調節する。
【0134】
実施例1と同様のステップS73において、印刷処理部33kbは、読み出した統計値に対して所定の演算を行い、要求Ticket数を求める。印刷処理部kbは、要求Ticket数をTicket管理部37へ通知して本処理を終了する。
【0135】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例1の効果に加え、画像形成装置の稼働状態の統計値に基づいて、要求Ticket数を決めるので、より実際の運用実態を反映したTicket管理が可能となる。
【0136】
(実施例4の構成)
図18は、本発明の実施例4における図5中の制御部30Cの概略を示す構成図である。
【0137】
本実施例4において、Ticket付与部40の構成は、実施例1と同様である。画像形成装置10及び画像形成システムの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例4における画像形成装置10内の制御部30Cの構成は、実施例1とほぼ同様であるが、本実施例4におけるジョブ実行管理部36Cが実施例1のジョブ実行管理部36Cと異なっている。ジョブ実行管理部36Cは、各ジョブの実行に関する優先度を管理する機能を有している。
【0138】
更に、本実施例4のTicket管理部37Cは、実施例1のTicket管理部37と異なっている。本実施例4におけるTicket管理部37Cは、機能パック33−Kから要求Ticket数が返送されたときに、必要に応じて、ジョブ実行管理部37Cにジョブ実行の優先度を問い合せ、Ticket付与装置40に対するTicket要求数を調節する機能を有している。
【0139】
(実施例4の動作)
図19は、本発明の実施例4における図2中の画像形成装置10のTicket要求処理を示すフローチャートである。
【0140】
実施例1と同様のステップS1のジョブ受信処理、ステップS2のジョブ振り分け処理、ステップS3のジョブ実行管理部への転送処理、ステップS4のジョブ実行要求処理、ステップS5の機能パック通知処理、ステップS6の必要Ticket数問い合せ処理、ステップS7の必要Ticket数回答処理、及び必要Ticket数見積り処理が実行される。
【0141】
実施例1と異なるステップS8aにおいて、Ticket管理部37Cは、ジョブ実行管理部36Cに処理中のジョブの緊急度を問い合せる。Ticket管理部36Cは、ジョブ実行管理部36Cから返信されるジョブの緊急度が高い場合には要求するTicket数を多めに、低い場合には要求するTicket数を少なめに調節する。
【0142】
実施例1と同様のステップS9の必要なTicket数の通信振り分け部への転送処理、ステップS10の通信プロトコル部への転送処理、ステップS11の送信処置が実行されて本処理が終了する
【0143】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、実施例1の効果に加え、ジョブの優先度に応じて、要求Ticket数を調整するので、優先度の高いジョブを滞らせることなく実行することができる。
【0144】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0145】
(a) 画像形成装置10として、複合機を例に説明したが、これに限定されない。プリンタ、COPY機、FAX装置等であっても適用可能である。
【0146】
(b) Ticket付与装置40を画像形成装置10とは独立の装置であって、通信回線で接続される装置で説明したが、Ticket付与装置40の機能を画像形成装置10内に設けてもよい。
【0147】
(c) TicketDB42及び設定値DBの構成は、実施例1〜4の構成に限定されない。例えば、管理データベース(以下「MIB」という。)によって構成してもよい。MIBは、asn.1と呼ばれるテキストフォーマットの記載形式に則って情報をやり取りするデータベースである。MIB上の各項目にアクセスするためには、SNMPと呼ばれるプロトコルを使用して、個々の項目毎に割り振られたObjectIDと呼ばれる識別子を指定して行う。
【符号の説明】
【0148】
10 画像形成装置
13 不揮発性メモリ
15 操作パネル
30 制御部
31 通信プロトコル部
32 通信振り分け部
33,33A,33B 機能部
33−1〜33−N,33−K 機能パック
33k,33ka,33kb 印刷処理部
34,34A,34B 設定値DB
35 ジョブ受け付け部
36 ジョブ実行管理部
37,37C Ticket管理部
40 Ticket付与装置
41 通信制御部
42 TicketDB
43 Ticket付与部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からの入力情報を受け付け、前記入力情報の内容がジョブ実行要求であったときには、前記ジョブ実行要求の内容を解析してジョブ解析結果を出力するジョブ受け付け部と、
前記ジョブの種類に応じ、画像を形成して所定の処理を実行する複数の機能パックを有する機能部と、
前記ジョブ解析結果を入力して前記ジョブを実行する機能パックを選択し、前記機能部に対し前記ジョブの実行を要求するジョブ実行管理部と、
前記ジョブを実行する前記機能パックに対し、前記機能パックが必要とするジョブ実行量を問い合せ、前記機能パックから通知された前記ジョブ実行量に基づき、前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部と、
を備えた画像形成装置であって、
前記ジョブ実行量は、
印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置は、更に、
所定のプロトコルにより外部と通信を行う通信プロトコル部と、
前記通信プロトコル部により外部から受信した受信情報の内容により処理を選択する通信振り分け部とを備え、
前記ジョブ受け付け部は、
前記受信情報を前記利用者からの前記入力情報として受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記利用者の操作を受け付けると共に前記利用者に対する通知を表示する操作パネルを備え、
前記ジョブ受け付け部は、
前記利用者が前記操作パネルを操作することにより入力した情報を前記利用者からの前記入力情報として受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記許可要求部は、
前記ジョブの緊急度に応じて前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を増減させ、前記許可要求として出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、予め設定された固定値を前記ジョブ実行量として前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、前記機能パックの性能値に基づき所定の演算を行って前記ジョブ実行量を算出し、前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、前記機能パックのジョブ実行記録の統計値に基づき所定の演算を行って前記ジョブ実行量を算出し、前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記利用者毎に、実行済みの前記ジョブの前記ジョブ実行量と前記ジョブ実行量の上限である制限値とを記憶する記憶部と、前記許可要求部からの前記許可要求に対して前記記憶部に記憶した前記実行済みの前記ジョブ実行量と前記制限値とから前記ジョブの実行許可又は実行禁止を判断して前記許可要求部に通知する判断通知部とを有するジョブ管理装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
利用者からの入力情報を受け付け、前記入力情報の内容がジョブ実行要求であったときには、前記ジョブ実行要求の内容を解析してジョブ解析結果を出力するジョブ受け付け部と、
前記ジョブの種類に応じ、画像を形成して所定の処理を実行する複数の機能パックを有する機能部と、
前記ジョブ解析結果を入力して前記ジョブを実行する機能パックを選択し、前記機能部に対し前記ジョブの実行を要求するジョブ実行管理部と、
前記ジョブを実行する前記機能パックに対し、前記機能パックが必要とするジョブ実行量を問い合せ、前記機能パックから通知された前記ジョブ実行量に基づき、前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を算出し、許可要求として出力する許可要求部と、
を備えた画像形成装置であって、
前記ジョブ実行量は、
印刷媒体の印刷枚数、電子メールにおける通信パケット数、及びファクシミリ通信における通信時間を含むそれぞれ計測単位が異なる量を所定の変換率で変換して求められる共通の単位により計測されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置は、更に、
所定のプロトコルにより外部と通信を行う通信プロトコル部と、
前記通信プロトコル部により外部から受信した受信情報の内容により処理を選択する通信振り分け部とを備え、
前記ジョブ受け付け部は、
前記受信情報を前記利用者からの前記入力情報として受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記利用者の操作を受け付けると共に前記利用者に対する通知を表示する操作パネルを備え、
前記ジョブ受け付け部は、
前記利用者が前記操作パネルを操作することにより入力した情報を前記利用者からの前記入力情報として受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記許可要求部は、
前記ジョブの緊急度に応じて前記ジョブが必要とする前記ジョブ実行量を増減させ、前記許可要求として出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、予め設定された固定値を前記ジョブ実行量として前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、前記機能パックの性能値に基づき所定の演算を行って前記ジョブ実行量を算出し、前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記機能パックは、
前記許可要求部から前記ジョブを実行するのに必要な前記ジョブ実行量の問い合せがあったときには、前記機能パックのジョブ実行記録の統計値に基づき所定の演算を行って前記ジョブ実行量を算出し、前記許可要求部に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記利用者毎に、実行済みの前記ジョブの前記ジョブ実行量と前記ジョブ実行量の上限である制限値とを記憶する記憶部と、前記許可要求部からの前記許可要求に対して前記記憶部に記憶した前記実行済みの前記ジョブ実行量と前記制限値とから前記ジョブの実行許可又は実行禁止を判断して前記許可要求部に通知する判断通知部とを有するジョブ管理装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−226537(P2012−226537A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93213(P2011−93213)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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