説明

画像形成装置及び画像形成プログラム

【課題】画像を形成される媒体を切断した切断部分が増加しても、切断部分を基準とした位置に画像の端を揃えて画像を媒体に形成できる画像形成装置を提供する
【解決手段】
画像を表す画像情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した画像情報の表す画像を媒体に形成する形成手段と、形成手段が画像を形成した媒体を切断する切断手段とを備え、切断手段によって切断される媒体の切断部分の大きさと、媒体の大きさと、画像情報の表す画像の大きさとに基づいて、画像から切除する端部を決定する決定手段と、形成手段は、決定手段が切除すると決定した端部を切除した画像を、切断手段が切断した切断部分を基準とした位置に端を揃えて媒体に形成することを特徴としている。これによれば、画像を形成される媒体を切断した切断部分が増加しても、切断部分を基準とした位置に画像の端を揃えて媒体に画像を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作成する冊子の端部を切断した場合に、冊子の頁毎に設けられた余白の不揃いをなくすことができるプリンタ装置が知られるに至った(例えば、特許文献1)。
【0003】
このプリンタ装置は、複数のシート材を重ねた中央を綴じると共に、略中央で折り曲げて冊子を作成する。また、このプリンタ装置は、作成する冊子の内側になるシート材ほど、印字する画像の位置を見開きの中央側にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−324064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、画像を形成される媒体を切断した切断部分が増加しても、切断部分を基準とした位置に画像の端を揃えて画像を媒体に形成できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、画像を表す画像情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した画像情報の表す画像を媒体に形成する形成手段と、
形成手段が画像を形成した媒体を切断する切断手段とを備え、切断手段によって切断される媒体の切断部分の大きさと、媒体の大きさと、画像情報の表す画像の大きさとに基づいて、画像から切除する端部を決定する決定手段と、形成手段は、決定手段が切除すると決定した端部を切除した画像を、切断手段が切断した切断部分を基準とした位置に端を揃えて媒体に形成することを特徴としている。
【0007】
上記構成において、形成手段が画像を形成した媒体を折り曲げる折曲手段を更に備え、決定手段は、折曲手段が媒体を折り曲げる折曲位置に基づいて画像から切除する端部の切除部分を決定する構成を採用できる。
【0008】
上記構成において、取得手段が取得する画像情報は、画像を圧縮して表し、取得手段が取得した画像情報の内で、決定手段が切除しないと決定した画像の有効部を表す情報を伸長する伸長手段と、伸長手段が画像情報の伸長に用いる情報を記憶する2以上の記憶手段と、伸長手段が伸長する画像情報を、取得手段が取得した2以上の画像情報から選択する選択手段とを更に備え、形成手段は、伸長手段が伸長した2以上の画像情報で表される画像の有効部を媒体へ形成する構成を採用できる。
【0009】
上記構成において、取得手段が取得する画像情報は、画像を構成する画素列を、前に位置する情報が表す画素列を参照する記載を用いて圧縮し、記憶手段は、伸長手段が伸長する画像情報の表す画素列よりも、前に位置する情報で表される画素列を表す情報を記憶し、選択手段は、決定手段が決定した切除部が有効部よりも前に位置する情報で画像を表した画像情報を選択した後に、形成手段が形成する順番に画像情報を選択し、伸長手段は、選択手段が選択した画像情報の内で、有効部よりも前に位置する切除部を表す情報を伸長した情報を記憶手段に記憶させた後に、記憶手段に記憶させた情報を用いて、選択手段が選択した画像情報を伸長した情報が表す有効部を形成手段へ順番に出力する構成を採用できる。
【0010】
本発明に係る画像形成プログラムは、コンピュータを、画像を表す画像情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した画像情報の表す画像を形成される媒体から切断する切断部分の大きさと、媒体の大きさと、画像情報の表す画像の大きさとに基づいて、画像から切除する端部を決定する決定手段と、
決定手段が切除すると決定した端部を切除した画像を、切断部分を基準とした位置に端を揃えて媒体に形成するよう、取得手段が取得した画像情報の表す画像を形成する形成手段を制御する制御手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、画像を形成される媒体を切断した切断部分が増加しても、切断部分を基準とした位置に画像の端を揃えて媒体に画像を形成できる。
【0012】
請求項2の構成によれば、切断部分だけでなく折曲位置にも基づいた位置へ、画像の端を揃えて媒体に画像を形成できる。
【0013】
請求項3の構成によれば、2以上の記憶手段に記憶された情報を用いて2以上の画像情報から選択した情報の内で、有効部を表す情報を効率的に伸長できる。
【0014】
請求項4の構成によれば、少ない時間で有効部を表す情報を伸長できる。
【0015】
請求項5の構成によれば、画像を形成される媒体を切断した切断部分が増加しても、切断部分を基準とした位置に画像の端を揃えて媒体に画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の画像形成装置で構成される画像形成システムの一実施形態を示す構成図である。
【図2】画像形成装置が行う化粧断ちの一例を説明するための図である。
【図3】制御部の一構成例を表すハードウェア構成図である。
【図4】媒体に形成する画像の一例を表す図である。
【図5】伸長部の一構成例を表すハードウェア構成図である。
【図6】画像形成装置が実行する画像形成処理の一例を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置で構成される画像形成システムの一実施形態を示す構成図である。
図1(a)に示す画像形成システム1は、通信網10、画像形成装置100、及び情報送信装置200を備える。
通信網10は、例えば、LAN(Local Area Network )、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、又は公衆回線網で構成される。
【0019】
画像形成装置100について説明する前に、情報送信装置200について説明する。情報送信装置200は、例えば、パーソナルコンピュータで構成される。情報送信装置200は、画像形成装置100との間で各種の情報を通信する。具体的には、情報送信装置200は、画像を表す画像情報、及び画像情報の表す画像を形成するよう命じる命令を画像形成装置100へ送信する。
【0020】
画像情報は、例えば、JPG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮方式で、画像を圧縮した情報である。本実施例において、画像情報に採用した圧縮方法は、画像を構成する画素列を、前に位置する情報が表す画素列を参照する記載を用いて圧縮する方法であるとして説明する。具体例を挙げて説明すると、この圧縮方式に従って圧縮された画像情報は、主走査方向における画素列(以下単に、ラインという)のN番目は、第M番目のラインと同じである旨を表す情報を、少なくとも第M番目のラインを圧縮して表す情報の後に記載する(ただし、N > M)。尚、本実施例において、画像情報はJPGを用いて圧縮された情報であるとして説明したが、これに限定される訳ではない。画像情報は、例えば、PNG(Portable Network Graphics)、GIF(Graphics Interchange Format)、又はJBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)を用いて圧縮された情報である構成を採用できる。
【0021】
画像形成装置100は、例えば、画像を光学的に読取る読取機能、画像を形成する画像形成機能、情報を通信する情報通信機能、及びFAX(facsimile)を送受信するFAX機能を備える複合機で構成される。
ここで、図1(b)を参照して、画像形成装置100の構成について説明する。図1(b)は、画像形成装置100の一構成例を表す機能ブロック図である。
図1(b)に示す画像形成装置100は、通信部110、読取部120、ユーザーインターフェース部130(以下単に、ユーザーIF部という)、保存部140、伸長部150、形成部160、折曲部170、切断部180、及び制御部190を備える。
【0022】
通信部110は、例えば、ネットワークカードで構成される。通信部110は、通信網10を介して接続する情報送信装置200との間で各種の情報及び命令を通信する。また、通信部110は、通信する情報等を制御部190との間で入出力する。
読取部120は、例えば、IIT(Image Input Terminal)で構成される。読取部120は、例えば、不図示のプラテンに置かれた原稿を光学的に読取ると共に、読取った画像を表す画像情報を制御部190へ出力する。尚、読取部120が出力する画像情報は、情報送信装置200が送信する画像情報と同じ圧縮方式で圧縮される。
【0023】
ユーザーIF部130は、不図示の入力部と表示部とを備える。入力部は、例えば、メカニカルスイッチ又はタッチパネルで構成される。入力部は、画像形成装置100の使用者(以下単に、ユーザー)に操作されて画像を各種の命令を制御部190へ入力する。具体的には、入力部が入力する命令は、画像形成命令、中折命令、化粧断命令、及びN−Up命令を含む。画像形成命令は、画像を形成するよう命じる命令をいう。中折命令は、画像を形成された媒体を中折するよう命じる命令である。尚、画像を形成される媒体は、例えば、画像を印刷して形成される印刷媒体を含む。具体的には、印刷媒体は、印刷用紙、布、プラスティックカード、木板、及び鉄板を含むが、これに限定される訳ではない。また、中折は、必ずしも中央で折る事を言う訳ではない。化粧断命令は、画像を形成された媒体を化粧断ちするよう命じる命令をいう。N−Up命令は、1個の媒体の1つの面に、N個の画像を形成するよう命じる命令をいう。
また、不図示の表示部は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶パネル、又は有機EL(Electro-Luminescence)で構成される。表示部は、制御部190に制御されて各種の情報を表示する
【0024】
保存部140は、例えば、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶装置で構成される。保存部140は、各種の情報を保存される。具体的には、保存部140は、通信部110が受信した画像情報を制御部190によって保存される。また、保存部140が保存した画像情報は、制御部190によって参照される。
伸長部150は、保存部140が保存する画像情報を伸長する。その後、伸長部150は、伸長した画像を表す情報を形成部160へ出力する。
形成部160は、例えば、IOT(Image Output Terminal)で構成される。形成部160は、伸長部150が伸長した情報の表す画像を媒体に形成する。尚、伸長部150及び形成部160については、後に詳しく説明する。
【0025】
折曲部170は、例えば、フィニッシャーで構成される。折曲部170は、形成部160が画像を形成した媒体を折り曲げる。具体例としては、折曲部170は、副走査方向のほぼ中央部分で、主走査方向の折れ線が形成されるように、積層された媒体を中折する。
切断部180は、例えば、トリマーで構成される。切断部180は、形成部160が画像を形成した媒体を切断する。具体的には、切断部180は、折曲部170が折り曲げた媒体に対して化粧断ちを行う。
【0026】
ここで、図2を参照して、切断部180が行う化粧断ちについて説明する。図2(a)は、画像形成装置100が行う化粧断ちの一例を説明するための図である。
図2(a)は、積層された状態で中折された冊子状の印刷媒体の束を表す。この印刷媒体の束において、中折された状態で外側に位置する媒体は、内側に位置する媒体よりも、中折により形成された折れ線側に媒体の端が位置する。画像形成装置100が行う化粧断ちは、例えば、この外側に位置する媒体の端に沿って、束ねられた他の印刷媒体を切断することを含む。尚、図2(a)は、点線Aで印刷媒体を切断する位置を表す。
【0027】
ここで、図1に戻り、画像形成装置100の構成について引き続き説明を行う。
制御部190は、例えば、マイクロコンピュータで構成される。制御部190は、ソフトウェア処理を実行することで、接続する各部を制御する。
ここで、図3を参照して、ソフトウェア処理を実行するために制御部190が用いるハードウェアの構成について説明を行う。図3(a)は、制御部190の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図3(a)に示す制御部190は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置190a、ROM(Read-Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶装置190b、及びAD変換機(Analog-to-Digital)等の入出力装置190cを備える。ソフトウェア処理は、演算装置190aが、記憶装置190bに格納したプログラムを読み込み、読み込んだプログラムが表すソフトウェア処理の実行手順に従って演算を行うことにより実現される。尚、記憶装置190bには、演算装置が行った演算結果が書き込まれる。また、必要に応じて入出力装置190cは、接続する各部が入力する信号を演算対象として入力すると共に、演算結果を接続する各部へ出力する。
【0028】
ここで、図2を再度参照して、制御部190が行う制御について概説する。図2(b)は、積載された印刷媒体を主走査方向から見た図である。尚、図2(b)が表す点線Aは、図2(a)に示した点線Aである。また、図2(b)が表す線Cは、印刷媒体を折り曲げる位置を表す。
図2(b)に示すように、制御部190は、2つの画像を1つの媒体に形成するよう(つまり、2−Upするよう)形成部160を制御する。また、制御部190は、切断部180が切断した切断部分を基準とした位置に、2つの画像の端を揃えて媒体に形成するよう形成部160を制御する。具体的には、制御部190は、切断部分から予め定められた余白を確保して2つの画像を媒体に形成するよう制御する。このため、中折されるとより内側に位置する媒体においては、副走査方向において上側に形成される第1画像P1と、下側に形成される第2画像P2との距離(つまり、余白)がより短くなる。
【0029】
次に、図4を参照して、副走査方向における第1画像P1の長さと、第2画像P2の長さと、予め定められた2つの余白の長さとの合計値Sが、切断された媒体の長さを超える場合において、制御部190が行う制御について説明する。図4(a)は、媒体に形成する画像の一例を表す図である。
図4(a)に示すように、制御部190は、第1画像の下端及び第2画像の上端を、合計値Sが媒体の長さを超えた値に基づいてそれぞれ切除して、第1画像を表す画像情報(以下単に、第1画像情報という)及び第2画像を表す画像情報(以下単に、第2画像情報という)を伸長するよう伸長部150を制御する。画像の上端及び下端は、余白を表すことが多いためである。
【0030】
特に、制御部190は、媒体に形成される第1画像及び第2画像が、折曲部170によって媒体が折り曲げられる折曲位置を超えないよう、第1画像及び第2画像の端を切除する長さを制御する。次に、制御部190は、端部を切除した第1画像及び第2画像を、媒体の切断部分を基準とした位置に揃えて形成するよう形成部160を制御する。尚、第1画像P1及び第2画像P2において、切除される端部をそれぞれ切除部C1及びC2(又はカット領域)という。逆に、第1画像P1及び第2画像P2において、切除されない部分をそれぞれ有効部V1及びV2(又は有効領域)という。
【0031】
次に、図3(b)に戻り、制御部190の構成について、機能に着目して説明を行う。図3(b)は、制御部190の一構成例を表す機能ブロック図である。
図3(b)に示す制御部190は、取得部191、決定部192、及び実制御部193で構成される。
取得部191は、演算装置190aが取得処理を実行することで実現される。取得部191は、通信部110が受信した画像情報、又は読取部120が読取った画像を表す画像情報を取得する。
【0032】
決定部192は、演算装置190aが決定処理を実行することで実現される。決定部192は、図4を参照して説明したように、画像から切除する端部(つまり、切除部)を決定する。具体的には、決定部192は、切断後における媒体の大きさと、画像情報の表す画像の大きさと、予め定められた余白の大きさに基づいて切除部を決定する。尚、決定部192は、切断後における媒体の大きさを、切断部180によって切断される媒体の切断部分の大きさ及び媒体の大きさを用いて定める。
【0033】
また、決定部192は、媒体の切断部分の大きさを決定する。具体例としては、画像を形成する媒体が冊子を構成する頁と、印刷媒体の厚さと、折曲位置とに基づいて、切断部分の大きさを決定する。
実制御部193は、演算装置190aが実制御処理を実行することで実現される。実制御部193は、決定部192が決定した切除部を切除して、第1画像情報及び第2画像情報を伸長するよう伸長部150を制御する。
【0034】
ここで、図4(b)を参照して、実制御部193が伸長部150に対して行う制御について説明する。図4(b)は、実制御部193が伸長部150に対して行う制御の一例を表す図である。
図4(b)は、縦軸でページシンク、圧縮データ入力、及び伸長データ出力を表し、横軸で時刻を表す。ページシンクについては後述する。圧縮データ入力は、伸長部150に入力する圧縮された画像情報(以下単に、圧縮情報という)を表す。伸長データ入力は、伸長部150が出力する伸長された画像情報(以下単に、伸長情報という)を表す。また、ページシンクは、形成部160が、冊子の頁を構成する媒体に、伸長部150から入力された情報の表す画像を形成するタイミングを表す。具体的には、ページシンクが値「High」の場合に、形成部160は入力された情報の表す画像を副走査方向から順に形成し、ページシンクが値「Low」の場合に、形成部160は入力された情報の表す画像を形成しない。
【0035】
ここで、図4(b)に示す様に、時刻t1からt2において、ページシンクは値「Low」である。また、この時刻区間において、実制御部193は、第2画像P2の切除部C2を表す圧縮情報を入力するよう伸長部150を制御する。伸長部150は、第2画像P2の有効部V2を伸長するために切除部C2を使用するためである。また、第1画像P1の有効部V1を伸長した後に、切除部C2を伸長したのでは、ページシンクが値「High」であるため、絵切れが生じるおそれがあるからである。
【0036】
次に、時刻t3において、ページシンクが値「High」になった。また、時刻t3からt4において、実制御部193は、情報を入力しないよう伸長部150を制御する。伸長部150が形成部160へ情報を出力することで、予め定められた余白と決定部192が決定した切断部分とに画像を形成することがないようにするためである。
次に、時刻t4からt5まで、実制御部193は、第1画像情報を入力するよう伸長部150を制御する。尚、実制御部193は、時刻t5を、決定部192が決定した第1画像P1の有効部V1の副走査方向における長さに基づいて定める。また、時刻t4において、伸長部150から伸長情報を取得した形成部160は、伸長情報の表す第1画像P1の有効部V1を媒体に形成し始める。
【0037】
同様に、時刻t5からt6まで、実制御部193は、第2画像情報を入力するよう伸長部150を制御する。尚、伸長部150は、時刻t1からt2で伸長した切除部C2を表す情報を用いて、有効部V2を表す圧縮情報を伸長する。
次に、時刻t6からt7において、実制御部193は、時刻t3からt4と同様の制御を行う。
【0038】
ここで、図5を参照して、伸長部150の構成について詳細に説明を行う。図5は、伸長部150の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図5に示す伸長部150は、第1選択部151、検出部152、実伸長部153、第2選択部154、第3選択部155、並びに記憶部156a及び156bを備える。
第1選択部151から第3選択部155は、例えば、ハードウェア回路で構成される。第1選択部151は、制御部190に制御されて、伸長する画像情報を、保存部140が保存する第1画像の圧縮情報と第2画像の圧縮情報とから選択する。具体的には、第1選択部151は、決定部192が決定した切除部が有効部よりも前に位置する情報で画像を表した画像情報を選択した後に、形成部160が形成する順番に画像情報を選択する。ここで、図4に示す様に、切除部C2は、第2画像情報において有効部V2よりも前に位置する。このため、先ず、第1選択部151は、第2画像情報を選択する。次に、形成部160は副走査方向において上から下へ順番に画像を形成するため、第1選択部151は、副走査方向において上側に位置する第1画像を表す第1画像情報を選択した後に、下側に位置する第2画像を表す第2画像情報を選択する。
【0039】
検出部152は、第1選択部151が選択した圧縮情報から、ラインの終端を表すライン終端識別符号を検出する。また、検出部152は、検出した符号の数に基づいて、伸長したライン数を検出すると共に、それぞれ切除部C2、有効部V1及びV2の伸長が終了したことを検出する。検出部152は、伸長の終了を検出すると、次に伸長する圧縮情報を選択するよう命じる選択信号を第1選択部151へ出力する。
【0040】
実伸長部153は、第3選択部156が選択した情報を用いて、ライン毎に圧縮情報を伸長する。実伸長部153は、伸長した情報を形成部160及び第3選択部155へ順次出力する。
【0041】
第2選択部154は、記憶部156a及び156bが記憶する情報を選択すると共に、選択した情報を実伸長部153へ出力する。より具体的には、第2選択部154は、第1選択部151が選択した画像情報(以下、選択画像情報という)の内で、伸長する圧縮情報よりも選択画像情報において前に位置する情報を伸長した情報を選択する。更に具体的に説明すると、第2選択部154は、選択画像情報の内で、伸長する圧縮情報の表すラインよりも選択画像情報が表す画像において副走査方向の上側に位置するラインを表す実伸長部153によって伸長された情報を選択する。
【0042】
第3選択部155は、実伸長部153が伸長した情報を記憶部156a及び156bのどちらか一方を選択して、ライン毎に上書き保存する。具体的には、第3選択部155は、第1画像情報を伸長した情報を記憶部156aへ保存し、第2画像情報を伸長した情報を記憶部156bへ保存する。尚、記憶部156a及び156bは、例えば、半導体メモリで構成される。
【0043】
次に、図3に戻って、実制御部193の構成から引き続き説明を行う。
実制御部193は、伸長部150が伸長した第1画像情報で表される第1画像P1の有効部V1と、第2画像情報で表される第2画像P2の有効部V2とを位置を揃えて媒体へ形成するよう形成部160を制御する。
次に、実制御部193は、形成部160が画像を形成した媒体の積層された束を、折り曲げるよう折曲部170を制御する。その後、実制御部193は、折曲部170が折り曲げた媒体の束を、化粧断ちするよう切断部180を制御する。
【0044】
次に、図6を参照して、画像形成装置100が画像を形成するために実行する画像形成処理について説明する。図6は、画像形成装置100が実行する画像形成処理の一例を表す図である。
先ず、画像形成装置100は、画像の切除が必要か否かを判断する(ステップS01)。画像形成装置100は、画像の切除が必要と判断する場合にはステップS02の処理を実行し、そうで無い場合にはステップS08の処理を実行する。
ステップS01において、画像の切除が必要と判断した場合には、画像形成装置100は、第2画像P2の切除部C2(カット領域)を表す圧縮情報を伸長する(ステップS02)。次に、画像形成装置100は、形成部160を起動する(ステップS03)。具体的には、ページシンクを「high」にする。
【0045】
その後、画像形成装置100は、第1画像P1の有効部V1(有効領域)を表す圧縮情報を伸長する(ステップS04)。次に、画像形成装置100は、伸長した情報の表す有効部V1を媒体に形成(出力)する(ステップS05)。その後、画像形成装置100は、第2画像P2の有効部V2を表す圧縮情報を、ステップS02で取得した切除部C2を表す情報を用いて伸長する(ステップS06)。次に、画像形成装置100は、伸長した情報の表す有効領域V2を媒体に形成する(ステップS07)。その後、画像形成装置100は、画像形成処理の実行を終了する。
【0046】
ステップS01において、画像の切除が必要ないと判断した場合には、画像形成装置100は、形成部160を起動する(ステップS08)。その後、画像形成装置100は、第1画像P1を表す圧縮情報を伸長する(ステップS09)。次に、画像形成装置100は、伸長した情報が表す第1画像P1を媒体に形成する(ステップS10)。その後、画像形成装置100は、第2画像P2を表す圧縮情報を伸長する(ステップS11)。次に、画像形成装置100は、伸長した情報が表す第2画像P2を媒体に形成する(ステップS12)。その後、画像形成装置100は、画像形成処理の実行を終了する。
【0047】
本実施例では、画像形成装置100は、2つの記憶部156a及び156bを備え、1つの媒体に2つの画像を形成するとして説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、画像形成装置100は、2以上の記憶部を備え、1つの媒体に2以上の画像を形成する構成を採用できる。
【0048】
本実施例において、第1選択部151が選択手段の一例に相当し、記憶部156a及び156bが記憶手段の一例に相当し、実伸長部153が伸長手段の一例に相当し、形成部160が形成手段の一例に相当し、折曲部170が折曲手段の一例に相当し、切断部180が切断手段の一例に相当し、取得部191が取得手段の一例に相当し、決定部192が決定手段の一例に相当し、実制御部193が制御手段の一例に相当する。
【0049】
画像形成装置100がソフトウェア処理を実行することで実現する機能の一部又は全部は、ハードウェア回路を用いて実現することができる。逆に、画像形成装置100がハードウェア回路を用いて実現する機能の一部又は全部は、ソフトウェア処理を実行することで実現することができる。
【0050】
画像形成装置100が実行する処理手順を記述したプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより提供できる。
【0051】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…画像形成システム 10…通信網
100…画像形成装置 110…通信部
120…読取部 130…ユーザーIF部
140…保存部 150…伸長部
151…第1選択部(選択手段) 152…検出部
153…実伸長部 154…第2選択部
155…第3選択部 156a…記憶部(記憶手段)
156b…記憶部(記憶手段) 160…形成部(形成手段)
170…折曲部(折曲手段) 180…切断部(切断手段)
190…制御部 191…取得部(取得手段)
192…決定部(決定手段) 193…実制御部(制御手段)
200…情報送信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表す画像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した画像情報の表す画像を媒体に形成する形成手段と、
前記形成手段が前記画像を形成した媒体を切断する切断手段とを備え、
前記切断手段によって切断される媒体の切断部分の大きさと、前記媒体の大きさと、前記画像情報の表す画像の大きさとに基づいて、前記画像から切除する端部を決定する決定手段と、
前記形成手段は、前記決定手段が切除すると決定した端部を切除した画像を、前記切断手段が切断した切断部分を基準とした位置に端を揃えて前記媒体に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記形成手段が前記画像を形成した媒体を折り曲げる折曲手段を更に備え、
前記決定手段は、前記折曲手段が前記媒体を折り曲げた折曲位置に基づいて前記画像から切除する端部の切除部分を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段が取得する画像情報は、画像を圧縮して表し、
前記取得手段が取得した画像情報の内で、前記決定手段が切除しないと決定した前記画像の有効部を表す情報を伸長する伸長手段と、
前記伸長手段が画像情報の伸長に用いる情報を記憶する2以上の記憶手段と、
前記伸長手段が伸長する画像情報を、前記取得手段が取得した2以上の画像情報から選択する選択手段とを更に備え、
前記形成手段は、前記伸長手段が伸長した2以上の画像情報で表される画像の有効部を媒体へ形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取得手段が取得する画像情報は、前記画像を構成する画素列を、前に位置する情報が表す画素列を参照する記載を用いて圧縮し、
前記記憶手段は、前記伸長手段が伸長する画像情報の表す画素列よりも、前に位置する情報で表される画素列を表す情報を記憶し、
前記選択手段は、前記決定手段が決定した切除部が有効部よりも前に位置する情報で画像を表した画像情報を選択した後に、前記形成手段が形成する順番に画像情報を選択し、
前記伸長手段は、前記選択手段が選択した画像情報の内で、前記有効部よりも前に位置する切除部を表す情報を伸長した情報を前記記憶手段に記憶させた後に、前記記憶手段に記憶させた情報を用いて、前記選択手段が選択した画像情報を伸長した情報が表す有効部を前記形成手段へ順番に出力することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、
画像を表す画像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した画像情報の表す画像を形成される媒体から切断する切断部分の大きさと、前記媒体の大きさと、前記画像情報の表す画像の大きさとに基づいて、前記画像から切除する端部を決定する決定手段と、
前記決定手段が切除すると決定した端部を切除した画像を、前記切断部分を基準とした位置に端を揃えて前記媒体に形成するよう、前記取得手段が取得した画像情報の表す画像を形成する形成手段を制御する制御手段として機能させることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−221594(P2010−221594A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72796(P2009−72796)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】