画像形成装置及び画像形成方法
【課題】記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、印刷画像の表面に所望の光沢を得ること。
【解決手段】記録媒体2、5上に有色現像剤K〜Cで有色画像を形成する有色画像現像部6K〜6Cと、記録媒体上に透明現像剤Tで透明画像を形成する透明画像現像部6Tと、有色画像及び透明画像を記録媒体上に定着する定着部20を備える。そして、透明画像現像部6Tを用いて記録媒体2、5上に透明画像を形成し、定着部20を用いて前記透明画像を定着し、その後、有色画像現像部6K〜6Cを用いて透明画像が定着された記録媒体上に有色画像を形成し、定着部20を用いて前記有色画像を記録媒体2、5に定着する。
【解決手段】記録媒体2、5上に有色現像剤K〜Cで有色画像を形成する有色画像現像部6K〜6Cと、記録媒体上に透明現像剤Tで透明画像を形成する透明画像現像部6Tと、有色画像及び透明画像を記録媒体上に定着する定着部20を備える。そして、透明画像現像部6Tを用いて記録媒体2、5上に透明画像を形成し、定着部20を用いて前記透明画像を定着し、その後、有色画像現像部6K〜6Cを用いて透明画像が定着された記録媒体上に有色画像を形成し、定着部20を用いて前記有色画像を記録媒体2、5に定着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、FAX及び複写機等の電子写真記録方式を使用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真記録方式を使用する画像形成装置は、カセット等に設置されている記録媒体を給紙し、感光ドラム上に静電潜像を形成し、トナーを当該感光ドラム上に付着した後、記録媒体に転写を行ない、記録媒体にトナー像を定着させる。ここで、特開平7−248662号公報(特許文献1)には、銀塩写真のように光沢を有する画質の印字画像を得られるようにする技術が開示されている。即ち、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒色トナーの有色トナーに加えて透明トナーを使用し、原稿濃度に応じてトナー付着量を換算し、トナー付着量の総和が一定値以上になるように透明トナーを追加するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−248662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トナー付着量総和を一定値になるように透明トナーを追加しても、記録媒体の表面の凹凸によって印刷画像の表面は均一にならず、所望の光沢を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、印刷画像の表面には所望の光沢を得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、記録媒体上に有色現像剤で有色画像を形成する有色画像現像部と、前記記録媒体上に透明現像剤で透明画像を形成する透明画像現像部と、前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、前記有色画像現像部、前記透明画像現像部及び前記定着部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記透明画像現像部を用いて前記記録媒体上に前記透明画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記透明画像を前記記録媒体に定着し、その後、前記有色画像現像部を用いて前記透明画像が定着された前記記録媒体上に前記有色画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記有色画像を前記記録媒体に定着することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、請求項5記載の発明は、透明現像剤からなる透明画像を記録媒体上に転写する第1の転写工程と、前記透明画像を前記記録媒体に定着する第1の定着工程と、有色現像剤からなる有色画像を、前記透明画像が定着された前記記録媒体上に転写する第2の転写工程と、前記有色画像を前記記録媒体に定着する第2の定着工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、始めに記録媒体上に透明画像を定着し、次に透明画像が定着された記録媒体上に有色画像を定着することにより、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、印刷画像の表面に所望の光沢を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図2】IDユニット6Kの構成を示す説明図である。
【図3】IDユニット6Tの構成を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に関するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に関する現像部を示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図8】第3の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図9】第4の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図10】光沢度センサの構成図である。
【図11】第4の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図12】第4の実施の形態に関するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。画像形成装置としてのプリンタ1が有する媒体カセット3は、印刷前の媒体である記録媒体2を収納する。一方、媒体カセット4はプリンタ1に付属された媒体カセットであり、前記記録媒体2と異なる種類の記録媒体5を収納する。
【0011】
プリンタ1はカラー印刷が可能であり、そのためブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)シアン(C)の有色現像剤としての4色のトナー(以下有色トナーという)対応の画像形成ユニットとしてのイメージドラムユニット6K〜6C(以下IDユニットという)を有する。更に、プリンタ1は、後述するように粒径の異なる複数の透明現像剤としての透明トナー(T)対応のIDユニット6Tを有する。これらのIDユニット6K〜6Tはそれぞれ現像剤像を形成するために設けられ、前記プリンタ1に対して着脱可能となっている。更に、前記IDユニット6K〜6Tに光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド7K〜7Tを有する。
【0012】
中間転写ベルト11は駆動ローラ12、ベルト従動ローラ13、2次転写バックアップローラ14に掛け渡され、駆動ローラ12によって回転される。中間転写ベルト11の上面部は、1次転写ローラ10K〜10Tと前記IDユニット6K〜6Tの間を移動可能に配置されている。このようにして、IDユニット6K〜6Tによって形成された現像は、中間転写ベルト11に一旦転写される。前記中間転写ベルト11は継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。
【0013】
中間転写ベルト11の側面部にはクリーニングブレード15が、ベルト従動ローラ13に対向する位置に中間転写ベルト11に当接して配置されている。前記クリーニングブレード15によって掻き落とされたトナーなどの付着物はクリーナー容器16に収容される。クリーニングブレード15は図示しない駆動手段により、破線に示す位置に対し矢印に示す方法に向かって適宜離間可能である。
【0014】
2次転写ベルト24は、2次転写ローラ23と駆動ローラ25に掛け渡されており、駆動ローラ25によって回転される。2次転写ローラ23は前記2次転写バックアップローラ14に対向して設けられ、両者は前記中間転写ベルト11と、記録媒体2又は5及び2次転写ベルト24を挟んでいる。このようにして、中間転写ベルト11に一旦転写された現像は、記録媒体2又は記録媒体5に転写される。2次転写ベルト24は、継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。駆動ローラ25に対向する位置には、クリーニングブレード26が当接して配置されている。クリーニングブレード26によって掻き落とされたトナーなどの付着物はクリーナー容器27に収容される。
【0015】
前記記録媒体2は、図示しない弁別手段とホッピングローラ31により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。レジストローラ17、搬送ローラ18により所定のタイミングで前記中間転写ベルト11と前記2次転写ベルト24のニップ部に搬送される。記録媒体5は、同じく図示しない弁別手段とホッピングローラ32により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。レジストローラ17、搬送ローラ18により所定のタイミングで中間転写ベルト11と2次転写ベルト24のニップ部に搬送される。
【0016】
定着器20では、定着部材としてのヒートローラ21と加圧部材としての加圧ローラ22によって記録媒体2又は5上に付着したトナーを加熱、融解、加圧し、記録媒体2又は5上にトナー像を定着させる。定着後の記録媒体2又は5は、図示しない駆動手段で駆動する搬送セパレータ35の選択動作によって、再び搬送する再搬送路9に搬送されるか、装置外に排出される。再搬送路9は、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3によって搬送され、前記搬送路8に合流する。装置外への排出は排出ローラ19により排出される。なお、書き出しセンサ33、排出センサ34は、記録媒体2又は5の通過を認識するためのメカセンサで、記録媒体2又は5が通過するたびに動作するものである。
【0017】
図2はIDユニット6Kの構成を示す説明図である。有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cは同一の構造であるため、同図によりIDユニット6Kの構成について説明する。IDユニット6Kは、表面に静電潜像を形成する像担持体としての感光ドラム60と、感光ドラム60を一様に帯電する帯電部としての帯電ローラ61を有する。帯電された感光ドラム60の表面に露光部としてのLEDヘッド7Kで光を照射して静電潜像を形成する。
【0018】
更に、前記IDユニット6Kは、感光ドラム60に形成された静電潜像を現像する現像部62を有する。そして、前記現像部62はトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ62Dと、現像ローラ62Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ62Sを有し、更に、供給ローラ62Sへ供給するトナーを貯蔵する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ62Gを有する。そして、前記トナーカートリッジ62Gは現像部62に着脱可能に取り付けられる。このようにして、IDユニット6Kは、前記感光ドラム60に形成されたトナー像を、前記中間転写ベルト11に転写する。また、IDユニット6Kは感光ドラム60の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード64を有する。
【0019】
図3はIDユニット6Tの構成を示す説明図である。IDユニット6Tは透明トナー(T)対応のIDユニットである。透明トナー(T)対応のIDユニット6Tは、表面に静電潜像を形成する感光ドラム80と、感光ドラム80を一様に帯電する帯電ローラ81を有する。帯電された感光ドラム80の表面にLEDヘッド7Tで光を照射して静電潜像を形成する。
【0020】
更に、IDユニット6Tは、感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する現像部82、83、84、85を複数有する。現像部82〜85は同一の構造であり、トナー選択ローラ91を軸に回転可能に保持されている。現像部82〜85はトナー像を形成する現像ローラ82D〜85Dと、現像ローラ82D〜85Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ82S〜85Sを有している。現像部82〜85のうちの一つ、即ち、図3では現像部82について、現像ローラ82Dは感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する。
【0021】
更に、現像部82〜85は前記供給ローラ82S〜85Sへ供給するトナーを貯蔵するトナーカートリッジ82G、83G、84G、85Gを有する。トナーカートリッジ82G〜85Gはそれぞれ粒径の異なる透明トナー(T)を格納している。トナーカートリッジ82G〜85Gは現像部82〜85に着脱可能に取り付けられる。現像部82〜85の中心には、後述するトナー選択モータ55により矢印A方向に回転するトナー選択ローラ91があり、後述する印刷設定及び媒体設定によって、使用するトナーが選択される。
【0022】
現像部82〜85は、全体断面が図示のように略正方形のケースからなる。略正方形の角には前記現像ローラ82D〜85Dが設けられ、前記略正方形のケースから前記現像ローラ82D〜85Dの一部が露出する構成である。前記トナー選択ローラ91が矢印A方向に回転することにより、現像ローラ82D〜85Dのうちの一つが選択され、感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する。このようにして、IDユニット6Tは、前記感光ドラム80に形成されたトナー像を、前記中間転写ベルト11に転写する。また、前記IDユニット6Tは、感光ドラム80の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード90を有する。
【0023】
なお、本実施の形態の構成では、前記現像部82〜85の選択は、トナー選択ローラ91を中心にした「回転」によって行なう構成であるが、例えば水平方向にスライドすることにより、複数ある前記現像部82〜85のいずれか一つが選択できる構造であれば、その構成は問わない。
【0024】
図4は第1の実施の形態に関する制御ブロック図である。ホストインタフェース部40は、ホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分である。操作パネル部41は、ユーザが操作できるパネルであり、プリンタ1に搭載してあるものでも付属するものでもよい。コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40と操作パネル部41のデータを送受信し、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41より得られた媒体の情報を処理する媒体情報処理部56、印刷設定処理部57を有している。
【0025】
更に、前記コマンド/画像処理部50は、ホスト側からのコマンド及び画像データを解釈し、或いはビットマップに展開し、LEDヘッドインタフェース部42へ画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部42は、コマンド/画像処理部50からのビットマップに展開された画像データをLEDヘッド7K〜7Tのインタフェースにあわせてデータを加工する。
【0026】
印刷制御部30は、各センサ及び各部からの情報信号を解析し、演算し、条件判断し、各部への動作指示信号を出力することで、機構部制御と印加電圧制御を統括的に行なっている。印刷制御部30は、ホッピングモータ48、レジストモータ49、搬送モータ51、ベルトモータ52、IDモータ53、定着器ヒータモータ54を所定のタイミング、速度で駆動する。更に印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、前記IDユニット6Tに複数設けた現像部82〜85のうち一つを選択し適用する。適用された現像部82〜85が感光ドラム80に押当てられるまで、前記トナー選択モータ55を駆動させ、押当てられると停止する。また、印刷制御部30は搬送セパレータ35の図示しない駆動手段を選択駆動する。
【0027】
定着器ヒータ59はサーミスタ58に検出値に応じて前記印刷制御部30によって温度制御される。高圧制御部44は、前記印刷制御部30からの制御値を受け、各電圧を制御している。IDユニット電圧制御部45はIDユニット6K〜6Tへの印加する電圧を制御し、1次転写電圧制御部46は1次転写ローラ10K〜10Tに印加する電圧を制御し、2次転写電圧制御部47は2次転写ローラ23に印加する電圧の制御を行なっている。
【0028】
図5は本実施の形態に関するプリンタ1の動作を示すフローチャートである。まず、コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40及び操作パネル部41から媒体情報及び印刷設定を読込み、前記媒体情報処理部56と前記印刷設定処理部57の情報をもとに、印刷制御部30に情報を送信する。印刷制御部3は、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41から印刷データを受信する(S100)。印刷制御部30は、この情報に基づき、下地又は上層に透明トナーの必要、不必要を判断する(S101)。その必要性の詳細は後述する。印刷制御部30は透明トナーの必要なしと判断した場合、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の有色トナーを選択し、有色トナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、有色トナーを媒体に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からK、Y、M、Cの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S102)。ここまでのステップをパターン1とする。
【0029】
前記ステップ101において、印刷制御部30は下地又は上層に透明トナーが必要であると判断した場合、更に記録媒体2又は5の下地に透明トナーが必要であるかを判断する(S103)。印刷制御部30は、下地に透明トナーの必要なしと判断した場合、コマンド/画像処理部50からの送信情報に基づき、上層に必要な透明トナーを選択する。その選択については後述する。そして、選択した上層の透明トナーを適用するために、トナー選択モータ55を駆動してトナー選択ローラ91を回転させ、選択された現像部82〜85のうちの一つを前記感光ドラム80に押当てる(S104)。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11上に、下からT、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。そして、印刷制御部30は記録媒体2又は5には一度にトナーを転写、定着させるために、各制御部へ制御値を送り、透明トナーと有色トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からK、Y、M、C、Tの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S105)。ここまでのステップをパターン2とする。
【0030】
前記ステップ103において、印刷制御部30は下地に透明トナーが必要であると判断した場合、コマンド/画像処理部50からの送信情報に基づき記録媒体2又は5に対して必要な透明トナーを選択する。そして、選択した透明トナーを適用するために、トナー選択モータ55を駆動してトナー選択ローラ91を回転させ、選択された現像部82〜85のうちの一つを前記感光ドラム80に押当てる(S106)。
【0031】
次に印刷制御部30は適用された透明トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させ、記録媒体2又は5に透明トナーによる印刷画像を形成する。更にその上に画像を形成するために搬送セパレータ35を駆動させて、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3を通して、透明トナー画像が形成された印刷画像の上に更に画像形成が可能な状態にする(S107)。
【0032】
次に印刷制御部30は更に上層に透明トナーが必要であるかを判断し(S108)、透明トナーが必要ないと判断した場合、前記有色トナーを選択する。有色トナー画像を形成するために、各制御部に制御値を送り、透明トナーが印刷された記録媒体2又は5の上に有色トナーを現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からT、K、Y、M、Cの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S109)。ここまでのステップをパターン3とする。
【0033】
前記ステップ108において、印刷制御部30は更に上層に透明トナーが必要であると判断した場合、トナー選択モータ55を駆動し、必要な上層の透明トナーを適用する(S110)。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11に下からT、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。
【0034】
記録媒体2又は5にはトナーを一度に転写、定着させるために、各制御部へ制御値を送り、そして、透明トナーと有色トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からT、K、Y、M、C、Tの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S111)。ここまでのステップをパターン4とする。
【0035】
上記パターンによって形成することのできるトナー層の順番を以下表1に示す。ただし、トナー層の順番は、左から、記録媒体2又は5を基準として最下層目、2層目・・・の順で示している。
【表1】
前記ステップ101において、印刷制御部30は、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41からの情報に基づいて、下地又は上層に透明トナーの必要性を判断するが、トナー層形成のパターン1〜4のいずれかが入力されると、前記表1に基づいて透明トナーの必要性について判断するようにしてもよい。また、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41からの情報が記録媒体2又は5の種類である場合、印刷制御部30は、記録媒体2又は5の種類によってパターン1〜4を決定するようにしてもよい。例えば、再生紙であればパターン4、普通紙であればパターン3、上質紙であればパターン2、光沢紙であればパターン1と決定するようにしてもよい。
【0036】
本実施の形態の特徴は、粒径の異なる透明トナーを複数有することで、記録媒体2及び5の表面粗さによって、使用する透明トナーを選択することである。記録媒体2及び5は上質紙、普通紙、再生紙とし、各媒体の表面粗さの値(Rz)は一般的に以下のような関係にある。
(表面粗さ大) 再生紙 > 普通紙 > 上質紙 (表面粗さ小)・・・(4.1)
【0037】
その関係に伴い、使用する透明トナーの粒径を10μm、7μm、5μm、3μmとし、また有色トナーの粒径を7μmとする。これら粒径の異なる透明トナーをIDユニット6Tのそれぞれのトナーカートリッジ82G〜85Gに装填し、現像部82、83、84、85にそれぞれ異なる粒径の透明トナーを供給する。各透明トナーを選択するに当たって透明トナーIDユニット6Tの設定を表2に示す。
【表2】
【0038】
透明トナーT1は、有色トナーの粒径と同じであり、記録媒体2又は5から見て有色トナーの上層に定着させるために設定する透明トナーである。有色トナーと粒径を同じにすることで、記録媒体2又は5内の有色トナー付着量の差を効率よく補うことができ、記録媒体2又は5の表面のトナー層の凹凸による光沢度の低下を抑えるために使用する。
【0039】
透明トナーT2、T3、T4は、普通紙、上質紙、再生紙のような記録媒体2及び5に対し有色トナーの下地に定着させるために設定する透明トナーである。記録媒体2及び5自体の凹凸による光沢度の低下を抑えるために使用するトナーであり、記録媒体2及び5表面粗さの関係は(4.1)の関係にあるため、透明トナーの粒径は以下のようにする。
(粒径大)T4(10μm)>T2(5μm)>T3(3μm)(粒径小)・・・(4.2)
【0040】
(実施例)
次に具体的な実施例を説明する。記録媒体2には普通紙、記録媒体5には再生紙を設定し、それぞれの媒体で高光沢を得たい場合の動作を説明する。高光沢である場合は、前記図5のフローチャートの説明に記載したパターン4を実施する。
【0041】
まず、コマンド/画像処理部50が普通紙のカラー印刷命令を受信すると、媒体情報処理部56と印刷設定処理部57は記録媒体2(普通紙)を選択し、印刷制御部30にデータを送信する。印刷制御部30は、普通紙の媒体表面の凹凸による光沢度の低下を押さえるため、普通紙用の下地の透明トナーの選択を行なう。普通紙用の透明トナーは透明トナーT2に装填されているので、印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、T2を適用する。更に、印刷制御部30は普通紙の設定で現像、転写、定着できるように各制御部に制御値を送り、記録媒体2(普通紙)の下地に透明トナーT2を現像、転写、定着することにより、透明トナーT2の画像が形成された記録媒体2ができる。
【0042】
この記録媒体2(普通紙)の上面に更に画像を形成するために、印刷制御部30は搬送セパレータ35を駆動し、再搬送路9を通して、搬送路8へ搬送する。こうして、下地に透明トナーT2の画像が形成された前記記録媒体2(普通紙)の上に、更に画像形成が可能な状態にする。同時に印刷制御部30は有色トナーの粒径と同じ透明トナーT1を選択するため、トナー選択モータ55を駆動し透明トナーT1を適用する。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11に下からT1、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。記録媒体2(普通紙)には、一度にトナーを転写、定着させ、かつ上層の透明トナーT1と有色トナーによるトナー現像量が均一になるように、各制御部へ制御値を送り、透明トナーと有色トナーを記録媒体2(普通紙)に現像、転写、定着させる。
【0043】
記録媒体2(普通紙)には、先に下地の透明トナーT2の画像が形成されているので、記録媒体2(普通紙)に印刷したトナー層は下から、T2、K、Y、M、C、T1の順になる。このようにして、印刷された記録媒体2(普通紙)は排出ローラ19を通り装置外に排出し高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0044】
再生紙の場合では、下地に透明トナーT4を選択し、同様に前記図5のフローチャート説明のパターン4を実施することで、再生紙でも高光沢な印刷画像を得ることができる。また、光沢紙のように媒体表面が予めコートされており、記録媒体2又は5の下地に透明トナーが必要ない場合は、上層の透明トナーT1のみを選択し、前記フローチャート説明のパターン2を実施することで、高光沢な印刷画像を得ることができる。以上のように実施することで、多種多様な媒体であったとしても、高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0045】
本実施の形態における、所定の粒径を有する透明トナーについて、どの透明トナーを下地として選択するかは、記録媒体2又は5の表面粗さによって決める。その際、記録媒体2又は5の表面粗さの値(Rz)は、事前にユーザが測定した値を操作パネル部41から入力するか又はホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力する。入力された表面粗さの値(Rz)を前記媒体情報処理部56及び印刷設定処理部57によって処理し、その値によって所定の粒径を有する透明トナーを自動的に選択する方法でも良い。或いは、普通紙、上質紙、再生紙の設定をすることにより、透明トナーを選択するようにしてもよい。即ち、普通紙、上質紙、再生紙の設定を前記操作パネル部41から入力するか又は前記ホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力する。前記媒体情報処理部56が普通紙、上質紙、再生紙の表面粗さの値(Rz)を記憶しておけば、入力された設定を前記媒体情報処理部56及び印刷設定処理部57によって処理し、その値によって所定の粒径を有する透明トナーを自動的に選択する方法でも良い。
【0046】
本実施の形態によれば、記録媒体2又は5上に有色トナー像を形成する有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cと、複数種類の透明トナー(T)を有し、前記複数種類の透明トナーから選択された透明トナーの透明トナー像を記録媒体上に形成するIDユニット6Tを設けたので、記録媒体の種類によって、記録媒体の表面粗さが異なる場合でも、記録媒体の種類に応じて、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを選択することができ、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、トナー画像の凹凸を均一にでき、高光沢な印刷画像媒体を得ることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では図3に示すように、感光ドラム80に形成された透明トナー像を中間転写ベルト11に転写する方式であったが、第2の実施の形態では、記録媒体2又は5の全面に透明トナー像を形成する場合、図6に示すように現像部82〜85から、感光ドラム80を介さず、直接中間転写ベルト11に透明トナーを転写する方式である。
【0048】
図6は第2の実施の形態に関するプリンタ1の現像部82〜85を示す説明図である。現像部82〜85は中間転写ベルト11の全幅に亘って透明トナー(T)を転写供給する。現像部82〜85は同一の構造であり、トナー選択ローラ91を軸に回転可能に保持されている。現像部82〜85はトナー像を供給する現像ローラ82D〜85Dと、現像ローラ82D〜85Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ82S〜85Sを有している。現像部82〜85のうちの一つ、即ち、図6では現像部82について、現像ローラ82Dが中間転写ベルト11の全幅に亘って透明トナー(T)を転写供給する。
【0049】
更に、現像部82〜85は前記供給ローラ82S〜85Sへ供給するトナーを貯蔵するトナーカートリッジ82G、83G、84G、85Gを有する。トナーカートリッジ82G〜85Gはそれぞれ粒径の異なる透明トナー(T)を格納している。トナーカートリッジ82G〜85Gは現像部82〜85に着脱可能に取り付けられる。現像部82〜85の中心には、トナー選択モータ55により矢印A方向に回転するトナー選択ローラ91があり、印刷設定及び媒体設定によって、使用するトナーが選択される。
【0050】
現像部82〜85は、全体断面が図示のように略正方形のケースからなる。略正方形の角には前記現像ローラ82D〜85Dが設けられ、前記略正方形のケースから前記現像ローラ82D〜85Dの一部が露出する構成である。前記トナー選択ローラ91が矢印A方向に回転することにより、現像ローラ82D〜85Dのうちの一つが選択され、中間転写ベルト11の全幅に亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナー(T)を転写供給する。
【0051】
本実施の形態の構成では、前記現像部82〜85の選択は、トナー選択ローラ91を中心にした「回転」によって行なう構成であるが、例えば水平方向にスライドすることにより、複数ある前記現像部82〜85のいずれか一つが選択できる構造であれば、その構成は問わない。トナー選択ローラ91を矢印B方向、即ち前記現像ローラ82Dが前記中間転写ベルト11から離間する方向に移動可能とすることにより、記録媒体2又は5の全面に透明トナーを形成するだけでなく、記録媒体2又は5の搬送方向の任意の長さに透明トナーを形成することができる。
【0052】
第2の実施の形態によれば、透明トナー用に特別に感光ドラム80、帯電ローラ81、LEDヘッド7Tを設けることなく、現像部82〜85から直接中間転写ベルト11に透明トナーを転写するように現像部82〜85を設けたので、記録媒体2又は5の全面の長さに亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを印刷することが可能となる。更に、前記現像ローラ82Dが前記中間転写ベルト11から離間する方向に移動可能に設けたので、記録媒体2又は5の全面又は任意の長さに亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを印刷することが可能となる。
【0053】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。前記第1の実施の形態では前記中間転写ベルト11を介して透明トナーを媒体に印刷する方式であったが、第3の実施の形態は、前記中間転写ベルト11を有さずに、図7に示すように、感光ドラム60に形成された現像を記録媒体2又は5に直接転写する方式である。
【0054】
図7は第3の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。媒体カセット3は印刷前の媒体である記録媒体2を収納する。媒体カセット4はプリンタ1に付属された媒体カセットであり、前記記録媒体2と異なる種類の記録媒体5を収納する。
【0055】
プリンタ1はカラー印刷が可能であり、そのためブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)シアン(C)の4色のトナー対応のIDユニット6K〜6Cを有する。更に、プリンタ1は、粒径の異なる複数の透明トナー(T)対応のIDユニット6Tを有する。これらのIDユニット6K〜6Tはそれぞれ現像剤像を形成するために設けられ、前記プリンタ1に対して着脱可能となっている。更に、前記IDユニット6K〜6Tに光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド7K〜7Tがある。
【0056】
IDユニット6K〜6Tの下部には、転写ベルト71が設けられ、転写ベルト71上を記録媒体2又は5が搬送される。転写ベルト71は駆動ローラ72、ベルト従動ローラ73に掛け渡され、駆動ローラ72によって転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間を移動可能に配置されている。
【0057】
このようにして、IDユニット6K〜6Tによって形成された現像は、転写ベルト71の作用によって、前記記録媒体2又は5上に転写される。前記転写ベルト71は、継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。
【0058】
前記記録媒体2は、図示しない弁別手段とホッピングローラ31により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。その後所定のタイミングで前記転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間に搬送される。記録媒体5は、同じく図示しない弁別手段とホッピングローラ32により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。その後所定のタイミングで前記転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間に搬送される。
【0059】
定着器20では、ヒートローラ21と加圧ローラ22によって記録媒体2又は5上に付着したトナーを加熱、融解、加圧し、記録媒体2又は5上にトナー像を定着させる。定着後の記録媒体2又は5は、図示しない駆動手段で駆動する搬送セパレータ35の選択動作によって、再び搬送する再搬送路9に搬送されるか、装置外に排出される。再搬送路9は、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3によって搬送され、前記搬送路8に合流する。装置外への排出は、排出ローラ19により排出される。
【0060】
図8は第3の実施の形態に関する制御ブロック図である。ホストインタフェース部40は、ホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分である。操作パネル部41は、ユーザが操作できるパネルであり、プリンタ1に搭載してあるものでも付属するものでもよい。コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40と操作パネル部41のデータを送受信し、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41より得られた媒体の情報を処理する媒体情報処理部56、印刷設定処理部57を有している。
【0061】
更に、前記コマンド/画像処理部50は、ホスト側からのコマンド及び画像データを解釈、或いはビットマップに展開し、LEDヘッドインタフェース部42へ画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部42は、コマンド/画像処理部50からのビットマップに展開された画像データをLEDヘッド7K〜7Tのインタフェースにあわせてデータを加工する。
【0062】
印刷制御部30は、各センサ及び各部からの情報信号を解析、演算、条件判断し、各部への動作指示信号を出力することで、機構部制御と印加電圧制御を統括的に行なっている。印刷制御部30は、ホッピングモータ48、レジストモータ49、搬送モータ51、ベルトモータ52、IDモータ53、定着器ヒータモータ54を所定のタイミング、速度で駆動する。更に印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、図3に示す前記IDユニット6Tに複数設けた現像部82〜85のうち一つを選択し適用する。適用された現像部82〜85が感光ドラム80に押当てられるまで、前記トナー選択モータ55を駆動させ、押当てられると停止する。また、印刷制御部30は搬送セパレータ35の図示しない駆動手段を選択駆動する。
【0063】
定着器ヒータ59はサーミスタ58に検出値に応じて前記印刷制御部30によって温度制御される。高圧制御部44は、前記印刷制御部30からの制御値を受け、各電圧を制御している。IDユニット電圧制御部45はIDユニット6K〜6Tへの印加する電圧を制御する。更に、転写電圧制御部74は転写ローラ70K〜70Tに印加する電圧を制御する。第3の実施の形態に関するプリンタ1の動作については、前記第1の実施の形態に関するプリンタ1の動作と同じである(図5参照)。
【0064】
(実施例)
次に具体的な実施例を説明する。記録媒体2に普通紙を設定し、高光沢を得たい場合の動作を説明する。高光沢である場合は、図5のフローチャートの説明に記載したパターン4を実施する。まず、コマンド/画像処理部50が普通紙のカラー印刷命令を受信すると、媒体情報処理部56と印刷設定処理部57は記録媒体2(普通紙)を選択し、印刷制御部30にデータを送信する。印刷制御部30は、普通紙の媒体表面の凹凸による光沢度の低下を押さえるため、普通紙用の下地の透明トナーの選択を行なう。普通紙用の透明トナーは透明トナーT2に装填されているので、印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、T2を適用する。更に、印刷制御部30は普通紙の設定で現像、転写、定着できるように各制御部に制御値を送り、記録媒体2(普通紙)の下地に透明トナーT2を現像、転写、定着することにより、透明トナーT2の画像が形成された記録媒体ができる。
【0065】
この記録媒体2(普通紙)の上面に更に画像を形成するために、印刷制御部30は搬送セパレータ35を駆動し、再搬送路9を通して、搬送路8へ搬送する。こうして、下地に透明トナーT2の画像が形成された前記記録媒体2(普通紙)の上に、更に画像形成が可能な状態にする。同時に印刷制御部30は有色トナーの粒径と同じ透明トナーT1を選択するため、トナー選択モータ55を駆動し透明トナーT1を適用する。次に印刷制御部30は上層の透明トナーT1と有色トナーによるトナー現像量が均一になるように、各制御部へ制御値を送り、記録媒体2(普通紙)に、下からK、Y、M、C、T1の順にトナーを現像、転写、定着させる。
【0066】
記録媒体2(普通紙)には、先に下地の透明トナーT2の画像が形成されているので、記録媒体2(普通紙)に印刷したトナー層は下から、T2、K、Y、M、C、T1の順になる。このようにして、印刷された記録媒体2(普通紙)は排出ローラ19を通り装置外に排出し高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0067】
第3の実施の形態によれば、同様に、記録媒体2又は5上に有色トナー像を形成する有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cと、複数種類の透明トナー(T)を有し、前記複数種類の透明トナーから選択された透明トナーの透明トナー像を記録媒体上に形成するIDユニット6Tを設けたので、記録媒体の種類によって、記録媒体の表面粗さが異なる場合でも、記録媒体の種類に応じて、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを選択することができ、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、トナー画像の凹凸を均一にでき、高光沢な印刷画像媒体を得ることができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、記録媒体2又は5の表面特性を計測する光沢度センサ65を搬送路8上に設けたものである。図9は第4の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。第4の実施の形態は、搬送路8の途中における記録媒体2又は5に透明トナー(T)を転写する前の位置に、光沢度センサ65を設けたものである。光沢度センサ65は、記録媒体2又は5の搬送路8上にかつ、記録媒体2又は5の表面に近接する位置に設けられる。これにより、光沢度センサ65は、搬送路8上を搬送される記録媒体2又は5の表面特性を計測する。第4の実施の形態に関するその他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0069】
図10は前記光沢度センサ65の構成図である。光沢度センサ65は発光部66と受光部67を備え、発光部66から記録媒体2に収れん光を当て、その反射光を受光部67で受光することにより、記録媒体2の表面粗さを検出する。
【0070】
図11は第4の実施の形態に関する制御ブロック図である。本実施の形態と前記第1の実施の形態の違いは、光沢度センサ65によって得られた記録媒体2又は5の表面粗さの情報を、コマンド/画像処理部50に送信することであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0071】
図12は本実施の形態に関するプリンタ1の動作を示すフローチャートである。本実施の形態は、光沢度センサ65によって得られた媒体の表面粗さの情報を、コマンド/画像処理部50に送信し、操作パネル部41から入力された値、又はホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力された値、光沢度センサ65によって計測され入力された値に基づきIDユニット6Tを選択する(S200)。その他の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0072】
また、本実施の形態では光沢度センサ65を用いて媒体の表面特性を計測するが、媒体の表面粗さを計測する表面粗さ測定器で表面粗さを計測し、使用するトナーを選択しても良い。また、表面粗さ以外にも光沢度センサを用いて光沢度を計測し、光沢度を調整するために使用するトナーを選択しても良い。また、電気抵抗測定器を用いて媒体の抵抗値を計測し、又は濃度センサを用いて媒体の濃度を計測するなど、媒体の表面特性を計測して使用するトナーを選択しても良い。
【0073】
本実施の形態によれば、搬送路8に光沢度センサ65を設けて、搬送路8上を搬送される記録媒体2又は5の表面特性を計測するので、ユーザによりパネル操作設定や媒体設定に誤入力又は未入力の場合でも高光沢な印刷画像媒体が得ることができる。
【0074】
また、前記第1〜第4の実施の形態では粒径の異なる透明トナーを用いたが、白色トナー、UVトナー、赤外トナー、RGBトナー、金色や銀色などのような金属色トナーなどの現像剤があれば、ユーザの用途に応じて他のトナー像の下地又は上層にこれらの現像剤を選択適用することができるので、特殊な印刷画像を形成することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 プリンタ
2、5 記録媒体
6K〜6T IDユニット
7K〜7T LEDヘッド
8 搬送路
9 再搬送路
11 中間転写ベルト
82〜85 現像部
82G〜85G トナーカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、FAX及び複写機等の電子写真記録方式を使用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真記録方式を使用する画像形成装置は、カセット等に設置されている記録媒体を給紙し、感光ドラム上に静電潜像を形成し、トナーを当該感光ドラム上に付着した後、記録媒体に転写を行ない、記録媒体にトナー像を定着させる。ここで、特開平7−248662号公報(特許文献1)には、銀塩写真のように光沢を有する画質の印字画像を得られるようにする技術が開示されている。即ち、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒色トナーの有色トナーに加えて透明トナーを使用し、原稿濃度に応じてトナー付着量を換算し、トナー付着量の総和が一定値以上になるように透明トナーを追加するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−248662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トナー付着量総和を一定値になるように透明トナーを追加しても、記録媒体の表面の凹凸によって印刷画像の表面は均一にならず、所望の光沢を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、印刷画像の表面には所望の光沢を得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、記録媒体上に有色現像剤で有色画像を形成する有色画像現像部と、前記記録媒体上に透明現像剤で透明画像を形成する透明画像現像部と、前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、前記有色画像現像部、前記透明画像現像部及び前記定着部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記透明画像現像部を用いて前記記録媒体上に前記透明画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記透明画像を前記記録媒体に定着し、その後、前記有色画像現像部を用いて前記透明画像が定着された前記記録媒体上に前記有色画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記有色画像を前記記録媒体に定着することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、請求項5記載の発明は、透明現像剤からなる透明画像を記録媒体上に転写する第1の転写工程と、前記透明画像を前記記録媒体に定着する第1の定着工程と、有色現像剤からなる有色画像を、前記透明画像が定着された前記記録媒体上に転写する第2の転写工程と、前記有色画像を前記記録媒体に定着する第2の定着工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、始めに記録媒体上に透明画像を定着し、次に透明画像が定着された記録媒体上に有色画像を定着することにより、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、印刷画像の表面に所望の光沢を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図2】IDユニット6Kの構成を示す説明図である。
【図3】IDユニット6Tの構成を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に関するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に関する現像部を示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図8】第3の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図9】第4の実施の形態に関するプリンタの断面図である。
【図10】光沢度センサの構成図である。
【図11】第4の実施の形態に関する制御ブロック図である。
【図12】第4の実施の形態に関するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。画像形成装置としてのプリンタ1が有する媒体カセット3は、印刷前の媒体である記録媒体2を収納する。一方、媒体カセット4はプリンタ1に付属された媒体カセットであり、前記記録媒体2と異なる種類の記録媒体5を収納する。
【0011】
プリンタ1はカラー印刷が可能であり、そのためブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)シアン(C)の有色現像剤としての4色のトナー(以下有色トナーという)対応の画像形成ユニットとしてのイメージドラムユニット6K〜6C(以下IDユニットという)を有する。更に、プリンタ1は、後述するように粒径の異なる複数の透明現像剤としての透明トナー(T)対応のIDユニット6Tを有する。これらのIDユニット6K〜6Tはそれぞれ現像剤像を形成するために設けられ、前記プリンタ1に対して着脱可能となっている。更に、前記IDユニット6K〜6Tに光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド7K〜7Tを有する。
【0012】
中間転写ベルト11は駆動ローラ12、ベルト従動ローラ13、2次転写バックアップローラ14に掛け渡され、駆動ローラ12によって回転される。中間転写ベルト11の上面部は、1次転写ローラ10K〜10Tと前記IDユニット6K〜6Tの間を移動可能に配置されている。このようにして、IDユニット6K〜6Tによって形成された現像は、中間転写ベルト11に一旦転写される。前記中間転写ベルト11は継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。
【0013】
中間転写ベルト11の側面部にはクリーニングブレード15が、ベルト従動ローラ13に対向する位置に中間転写ベルト11に当接して配置されている。前記クリーニングブレード15によって掻き落とされたトナーなどの付着物はクリーナー容器16に収容される。クリーニングブレード15は図示しない駆動手段により、破線に示す位置に対し矢印に示す方法に向かって適宜離間可能である。
【0014】
2次転写ベルト24は、2次転写ローラ23と駆動ローラ25に掛け渡されており、駆動ローラ25によって回転される。2次転写ローラ23は前記2次転写バックアップローラ14に対向して設けられ、両者は前記中間転写ベルト11と、記録媒体2又は5及び2次転写ベルト24を挟んでいる。このようにして、中間転写ベルト11に一旦転写された現像は、記録媒体2又は記録媒体5に転写される。2次転写ベルト24は、継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。駆動ローラ25に対向する位置には、クリーニングブレード26が当接して配置されている。クリーニングブレード26によって掻き落とされたトナーなどの付着物はクリーナー容器27に収容される。
【0015】
前記記録媒体2は、図示しない弁別手段とホッピングローラ31により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。レジストローラ17、搬送ローラ18により所定のタイミングで前記中間転写ベルト11と前記2次転写ベルト24のニップ部に搬送される。記録媒体5は、同じく図示しない弁別手段とホッピングローラ32により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。レジストローラ17、搬送ローラ18により所定のタイミングで中間転写ベルト11と2次転写ベルト24のニップ部に搬送される。
【0016】
定着器20では、定着部材としてのヒートローラ21と加圧部材としての加圧ローラ22によって記録媒体2又は5上に付着したトナーを加熱、融解、加圧し、記録媒体2又は5上にトナー像を定着させる。定着後の記録媒体2又は5は、図示しない駆動手段で駆動する搬送セパレータ35の選択動作によって、再び搬送する再搬送路9に搬送されるか、装置外に排出される。再搬送路9は、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3によって搬送され、前記搬送路8に合流する。装置外への排出は排出ローラ19により排出される。なお、書き出しセンサ33、排出センサ34は、記録媒体2又は5の通過を認識するためのメカセンサで、記録媒体2又は5が通過するたびに動作するものである。
【0017】
図2はIDユニット6Kの構成を示す説明図である。有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cは同一の構造であるため、同図によりIDユニット6Kの構成について説明する。IDユニット6Kは、表面に静電潜像を形成する像担持体としての感光ドラム60と、感光ドラム60を一様に帯電する帯電部としての帯電ローラ61を有する。帯電された感光ドラム60の表面に露光部としてのLEDヘッド7Kで光を照射して静電潜像を形成する。
【0018】
更に、前記IDユニット6Kは、感光ドラム60に形成された静電潜像を現像する現像部62を有する。そして、前記現像部62はトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ62Dと、現像ローラ62Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ62Sを有し、更に、供給ローラ62Sへ供給するトナーを貯蔵する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ62Gを有する。そして、前記トナーカートリッジ62Gは現像部62に着脱可能に取り付けられる。このようにして、IDユニット6Kは、前記感光ドラム60に形成されたトナー像を、前記中間転写ベルト11に転写する。また、IDユニット6Kは感光ドラム60の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード64を有する。
【0019】
図3はIDユニット6Tの構成を示す説明図である。IDユニット6Tは透明トナー(T)対応のIDユニットである。透明トナー(T)対応のIDユニット6Tは、表面に静電潜像を形成する感光ドラム80と、感光ドラム80を一様に帯電する帯電ローラ81を有する。帯電された感光ドラム80の表面にLEDヘッド7Tで光を照射して静電潜像を形成する。
【0020】
更に、IDユニット6Tは、感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する現像部82、83、84、85を複数有する。現像部82〜85は同一の構造であり、トナー選択ローラ91を軸に回転可能に保持されている。現像部82〜85はトナー像を形成する現像ローラ82D〜85Dと、現像ローラ82D〜85Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ82S〜85Sを有している。現像部82〜85のうちの一つ、即ち、図3では現像部82について、現像ローラ82Dは感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する。
【0021】
更に、現像部82〜85は前記供給ローラ82S〜85Sへ供給するトナーを貯蔵するトナーカートリッジ82G、83G、84G、85Gを有する。トナーカートリッジ82G〜85Gはそれぞれ粒径の異なる透明トナー(T)を格納している。トナーカートリッジ82G〜85Gは現像部82〜85に着脱可能に取り付けられる。現像部82〜85の中心には、後述するトナー選択モータ55により矢印A方向に回転するトナー選択ローラ91があり、後述する印刷設定及び媒体設定によって、使用するトナーが選択される。
【0022】
現像部82〜85は、全体断面が図示のように略正方形のケースからなる。略正方形の角には前記現像ローラ82D〜85Dが設けられ、前記略正方形のケースから前記現像ローラ82D〜85Dの一部が露出する構成である。前記トナー選択ローラ91が矢印A方向に回転することにより、現像ローラ82D〜85Dのうちの一つが選択され、感光ドラム80に形成された静電潜像を現像する。このようにして、IDユニット6Tは、前記感光ドラム80に形成されたトナー像を、前記中間転写ベルト11に転写する。また、前記IDユニット6Tは、感光ドラム80の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード90を有する。
【0023】
なお、本実施の形態の構成では、前記現像部82〜85の選択は、トナー選択ローラ91を中心にした「回転」によって行なう構成であるが、例えば水平方向にスライドすることにより、複数ある前記現像部82〜85のいずれか一つが選択できる構造であれば、その構成は問わない。
【0024】
図4は第1の実施の形態に関する制御ブロック図である。ホストインタフェース部40は、ホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分である。操作パネル部41は、ユーザが操作できるパネルであり、プリンタ1に搭載してあるものでも付属するものでもよい。コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40と操作パネル部41のデータを送受信し、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41より得られた媒体の情報を処理する媒体情報処理部56、印刷設定処理部57を有している。
【0025】
更に、前記コマンド/画像処理部50は、ホスト側からのコマンド及び画像データを解釈し、或いはビットマップに展開し、LEDヘッドインタフェース部42へ画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部42は、コマンド/画像処理部50からのビットマップに展開された画像データをLEDヘッド7K〜7Tのインタフェースにあわせてデータを加工する。
【0026】
印刷制御部30は、各センサ及び各部からの情報信号を解析し、演算し、条件判断し、各部への動作指示信号を出力することで、機構部制御と印加電圧制御を統括的に行なっている。印刷制御部30は、ホッピングモータ48、レジストモータ49、搬送モータ51、ベルトモータ52、IDモータ53、定着器ヒータモータ54を所定のタイミング、速度で駆動する。更に印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、前記IDユニット6Tに複数設けた現像部82〜85のうち一つを選択し適用する。適用された現像部82〜85が感光ドラム80に押当てられるまで、前記トナー選択モータ55を駆動させ、押当てられると停止する。また、印刷制御部30は搬送セパレータ35の図示しない駆動手段を選択駆動する。
【0027】
定着器ヒータ59はサーミスタ58に検出値に応じて前記印刷制御部30によって温度制御される。高圧制御部44は、前記印刷制御部30からの制御値を受け、各電圧を制御している。IDユニット電圧制御部45はIDユニット6K〜6Tへの印加する電圧を制御し、1次転写電圧制御部46は1次転写ローラ10K〜10Tに印加する電圧を制御し、2次転写電圧制御部47は2次転写ローラ23に印加する電圧の制御を行なっている。
【0028】
図5は本実施の形態に関するプリンタ1の動作を示すフローチャートである。まず、コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40及び操作パネル部41から媒体情報及び印刷設定を読込み、前記媒体情報処理部56と前記印刷設定処理部57の情報をもとに、印刷制御部30に情報を送信する。印刷制御部3は、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41から印刷データを受信する(S100)。印刷制御部30は、この情報に基づき、下地又は上層に透明トナーの必要、不必要を判断する(S101)。その必要性の詳細は後述する。印刷制御部30は透明トナーの必要なしと判断した場合、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の有色トナーを選択し、有色トナー画像を形成するために各制御部に制御値を送り、有色トナーを媒体に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からK、Y、M、Cの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S102)。ここまでのステップをパターン1とする。
【0029】
前記ステップ101において、印刷制御部30は下地又は上層に透明トナーが必要であると判断した場合、更に記録媒体2又は5の下地に透明トナーが必要であるかを判断する(S103)。印刷制御部30は、下地に透明トナーの必要なしと判断した場合、コマンド/画像処理部50からの送信情報に基づき、上層に必要な透明トナーを選択する。その選択については後述する。そして、選択した上層の透明トナーを適用するために、トナー選択モータ55を駆動してトナー選択ローラ91を回転させ、選択された現像部82〜85のうちの一つを前記感光ドラム80に押当てる(S104)。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11上に、下からT、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。そして、印刷制御部30は記録媒体2又は5には一度にトナーを転写、定着させるために、各制御部へ制御値を送り、透明トナーと有色トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からK、Y、M、C、Tの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S105)。ここまでのステップをパターン2とする。
【0030】
前記ステップ103において、印刷制御部30は下地に透明トナーが必要であると判断した場合、コマンド/画像処理部50からの送信情報に基づき記録媒体2又は5に対して必要な透明トナーを選択する。そして、選択した透明トナーを適用するために、トナー選択モータ55を駆動してトナー選択ローラ91を回転させ、選択された現像部82〜85のうちの一つを前記感光ドラム80に押当てる(S106)。
【0031】
次に印刷制御部30は適用された透明トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させ、記録媒体2又は5に透明トナーによる印刷画像を形成する。更にその上に画像を形成するために搬送セパレータ35を駆動させて、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3を通して、透明トナー画像が形成された印刷画像の上に更に画像形成が可能な状態にする(S107)。
【0032】
次に印刷制御部30は更に上層に透明トナーが必要であるかを判断し(S108)、透明トナーが必要ないと判断した場合、前記有色トナーを選択する。有色トナー画像を形成するために、各制御部に制御値を送り、透明トナーが印刷された記録媒体2又は5の上に有色トナーを現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からT、K、Y、M、Cの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S109)。ここまでのステップをパターン3とする。
【0033】
前記ステップ108において、印刷制御部30は更に上層に透明トナーが必要であると判断した場合、トナー選択モータ55を駆動し、必要な上層の透明トナーを適用する(S110)。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11に下からT、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。
【0034】
記録媒体2又は5にはトナーを一度に転写、定着させるために、各制御部へ制御値を送り、そして、透明トナーと有色トナーを記録媒体2又は5に現像、転写、定着させる。これにより、記録媒体2又は5には、下からT、K、Y、M、C、Tの順にトナーが転写された画像が印刷される。そして、印刷制御部30は、搬送モータ51を駆動することにより前記排出ローラ19を回転させ、記録媒体2又は5を装置外に排出する(S111)。ここまでのステップをパターン4とする。
【0035】
上記パターンによって形成することのできるトナー層の順番を以下表1に示す。ただし、トナー層の順番は、左から、記録媒体2又は5を基準として最下層目、2層目・・・の順で示している。
【表1】
前記ステップ101において、印刷制御部30は、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41からの情報に基づいて、下地又は上層に透明トナーの必要性を判断するが、トナー層形成のパターン1〜4のいずれかが入力されると、前記表1に基づいて透明トナーの必要性について判断するようにしてもよい。また、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41からの情報が記録媒体2又は5の種類である場合、印刷制御部30は、記録媒体2又は5の種類によってパターン1〜4を決定するようにしてもよい。例えば、再生紙であればパターン4、普通紙であればパターン3、上質紙であればパターン2、光沢紙であればパターン1と決定するようにしてもよい。
【0036】
本実施の形態の特徴は、粒径の異なる透明トナーを複数有することで、記録媒体2及び5の表面粗さによって、使用する透明トナーを選択することである。記録媒体2及び5は上質紙、普通紙、再生紙とし、各媒体の表面粗さの値(Rz)は一般的に以下のような関係にある。
(表面粗さ大) 再生紙 > 普通紙 > 上質紙 (表面粗さ小)・・・(4.1)
【0037】
その関係に伴い、使用する透明トナーの粒径を10μm、7μm、5μm、3μmとし、また有色トナーの粒径を7μmとする。これら粒径の異なる透明トナーをIDユニット6Tのそれぞれのトナーカートリッジ82G〜85Gに装填し、現像部82、83、84、85にそれぞれ異なる粒径の透明トナーを供給する。各透明トナーを選択するに当たって透明トナーIDユニット6Tの設定を表2に示す。
【表2】
【0038】
透明トナーT1は、有色トナーの粒径と同じであり、記録媒体2又は5から見て有色トナーの上層に定着させるために設定する透明トナーである。有色トナーと粒径を同じにすることで、記録媒体2又は5内の有色トナー付着量の差を効率よく補うことができ、記録媒体2又は5の表面のトナー層の凹凸による光沢度の低下を抑えるために使用する。
【0039】
透明トナーT2、T3、T4は、普通紙、上質紙、再生紙のような記録媒体2及び5に対し有色トナーの下地に定着させるために設定する透明トナーである。記録媒体2及び5自体の凹凸による光沢度の低下を抑えるために使用するトナーであり、記録媒体2及び5表面粗さの関係は(4.1)の関係にあるため、透明トナーの粒径は以下のようにする。
(粒径大)T4(10μm)>T2(5μm)>T3(3μm)(粒径小)・・・(4.2)
【0040】
(実施例)
次に具体的な実施例を説明する。記録媒体2には普通紙、記録媒体5には再生紙を設定し、それぞれの媒体で高光沢を得たい場合の動作を説明する。高光沢である場合は、前記図5のフローチャートの説明に記載したパターン4を実施する。
【0041】
まず、コマンド/画像処理部50が普通紙のカラー印刷命令を受信すると、媒体情報処理部56と印刷設定処理部57は記録媒体2(普通紙)を選択し、印刷制御部30にデータを送信する。印刷制御部30は、普通紙の媒体表面の凹凸による光沢度の低下を押さえるため、普通紙用の下地の透明トナーの選択を行なう。普通紙用の透明トナーは透明トナーT2に装填されているので、印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、T2を適用する。更に、印刷制御部30は普通紙の設定で現像、転写、定着できるように各制御部に制御値を送り、記録媒体2(普通紙)の下地に透明トナーT2を現像、転写、定着することにより、透明トナーT2の画像が形成された記録媒体2ができる。
【0042】
この記録媒体2(普通紙)の上面に更に画像を形成するために、印刷制御部30は搬送セパレータ35を駆動し、再搬送路9を通して、搬送路8へ搬送する。こうして、下地に透明トナーT2の画像が形成された前記記録媒体2(普通紙)の上に、更に画像形成が可能な状態にする。同時に印刷制御部30は有色トナーの粒径と同じ透明トナーT1を選択するため、トナー選択モータ55を駆動し透明トナーT1を適用する。次に印刷制御部30は中間転写ベルト11に下からT1、C、M、Y、Kの順にトナーを現像する。記録媒体2(普通紙)には、一度にトナーを転写、定着させ、かつ上層の透明トナーT1と有色トナーによるトナー現像量が均一になるように、各制御部へ制御値を送り、透明トナーと有色トナーを記録媒体2(普通紙)に現像、転写、定着させる。
【0043】
記録媒体2(普通紙)には、先に下地の透明トナーT2の画像が形成されているので、記録媒体2(普通紙)に印刷したトナー層は下から、T2、K、Y、M、C、T1の順になる。このようにして、印刷された記録媒体2(普通紙)は排出ローラ19を通り装置外に排出し高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0044】
再生紙の場合では、下地に透明トナーT4を選択し、同様に前記図5のフローチャート説明のパターン4を実施することで、再生紙でも高光沢な印刷画像を得ることができる。また、光沢紙のように媒体表面が予めコートされており、記録媒体2又は5の下地に透明トナーが必要ない場合は、上層の透明トナーT1のみを選択し、前記フローチャート説明のパターン2を実施することで、高光沢な印刷画像を得ることができる。以上のように実施することで、多種多様な媒体であったとしても、高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0045】
本実施の形態における、所定の粒径を有する透明トナーについて、どの透明トナーを下地として選択するかは、記録媒体2又は5の表面粗さによって決める。その際、記録媒体2又は5の表面粗さの値(Rz)は、事前にユーザが測定した値を操作パネル部41から入力するか又はホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力する。入力された表面粗さの値(Rz)を前記媒体情報処理部56及び印刷設定処理部57によって処理し、その値によって所定の粒径を有する透明トナーを自動的に選択する方法でも良い。或いは、普通紙、上質紙、再生紙の設定をすることにより、透明トナーを選択するようにしてもよい。即ち、普通紙、上質紙、再生紙の設定を前記操作パネル部41から入力するか又は前記ホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力する。前記媒体情報処理部56が普通紙、上質紙、再生紙の表面粗さの値(Rz)を記憶しておけば、入力された設定を前記媒体情報処理部56及び印刷設定処理部57によって処理し、その値によって所定の粒径を有する透明トナーを自動的に選択する方法でも良い。
【0046】
本実施の形態によれば、記録媒体2又は5上に有色トナー像を形成する有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cと、複数種類の透明トナー(T)を有し、前記複数種類の透明トナーから選択された透明トナーの透明トナー像を記録媒体上に形成するIDユニット6Tを設けたので、記録媒体の種類によって、記録媒体の表面粗さが異なる場合でも、記録媒体の種類に応じて、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを選択することができ、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、トナー画像の凹凸を均一にでき、高光沢な印刷画像媒体を得ることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では図3に示すように、感光ドラム80に形成された透明トナー像を中間転写ベルト11に転写する方式であったが、第2の実施の形態では、記録媒体2又は5の全面に透明トナー像を形成する場合、図6に示すように現像部82〜85から、感光ドラム80を介さず、直接中間転写ベルト11に透明トナーを転写する方式である。
【0048】
図6は第2の実施の形態に関するプリンタ1の現像部82〜85を示す説明図である。現像部82〜85は中間転写ベルト11の全幅に亘って透明トナー(T)を転写供給する。現像部82〜85は同一の構造であり、トナー選択ローラ91を軸に回転可能に保持されている。現像部82〜85はトナー像を供給する現像ローラ82D〜85Dと、現像ローラ82D〜85Dにトナーを供給するとともに摩擦帯電させる供給ローラ82S〜85Sを有している。現像部82〜85のうちの一つ、即ち、図6では現像部82について、現像ローラ82Dが中間転写ベルト11の全幅に亘って透明トナー(T)を転写供給する。
【0049】
更に、現像部82〜85は前記供給ローラ82S〜85Sへ供給するトナーを貯蔵するトナーカートリッジ82G、83G、84G、85Gを有する。トナーカートリッジ82G〜85Gはそれぞれ粒径の異なる透明トナー(T)を格納している。トナーカートリッジ82G〜85Gは現像部82〜85に着脱可能に取り付けられる。現像部82〜85の中心には、トナー選択モータ55により矢印A方向に回転するトナー選択ローラ91があり、印刷設定及び媒体設定によって、使用するトナーが選択される。
【0050】
現像部82〜85は、全体断面が図示のように略正方形のケースからなる。略正方形の角には前記現像ローラ82D〜85Dが設けられ、前記略正方形のケースから前記現像ローラ82D〜85Dの一部が露出する構成である。前記トナー選択ローラ91が矢印A方向に回転することにより、現像ローラ82D〜85Dのうちの一つが選択され、中間転写ベルト11の全幅に亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナー(T)を転写供給する。
【0051】
本実施の形態の構成では、前記現像部82〜85の選択は、トナー選択ローラ91を中心にした「回転」によって行なう構成であるが、例えば水平方向にスライドすることにより、複数ある前記現像部82〜85のいずれか一つが選択できる構造であれば、その構成は問わない。トナー選択ローラ91を矢印B方向、即ち前記現像ローラ82Dが前記中間転写ベルト11から離間する方向に移動可能とすることにより、記録媒体2又は5の全面に透明トナーを形成するだけでなく、記録媒体2又は5の搬送方向の任意の長さに透明トナーを形成することができる。
【0052】
第2の実施の形態によれば、透明トナー用に特別に感光ドラム80、帯電ローラ81、LEDヘッド7Tを設けることなく、現像部82〜85から直接中間転写ベルト11に透明トナーを転写するように現像部82〜85を設けたので、記録媒体2又は5の全面の長さに亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを印刷することが可能となる。更に、前記現像ローラ82Dが前記中間転写ベルト11から離間する方向に移動可能に設けたので、記録媒体2又は5の全面又は任意の長さに亘って、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを印刷することが可能となる。
【0053】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。前記第1の実施の形態では前記中間転写ベルト11を介して透明トナーを媒体に印刷する方式であったが、第3の実施の形態は、前記中間転写ベルト11を有さずに、図7に示すように、感光ドラム60に形成された現像を記録媒体2又は5に直接転写する方式である。
【0054】
図7は第3の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。媒体カセット3は印刷前の媒体である記録媒体2を収納する。媒体カセット4はプリンタ1に付属された媒体カセットであり、前記記録媒体2と異なる種類の記録媒体5を収納する。
【0055】
プリンタ1はカラー印刷が可能であり、そのためブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)シアン(C)の4色のトナー対応のIDユニット6K〜6Cを有する。更に、プリンタ1は、粒径の異なる複数の透明トナー(T)対応のIDユニット6Tを有する。これらのIDユニット6K〜6Tはそれぞれ現像剤像を形成するために設けられ、前記プリンタ1に対して着脱可能となっている。更に、前記IDユニット6K〜6Tに光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド7K〜7Tがある。
【0056】
IDユニット6K〜6Tの下部には、転写ベルト71が設けられ、転写ベルト71上を記録媒体2又は5が搬送される。転写ベルト71は駆動ローラ72、ベルト従動ローラ73に掛け渡され、駆動ローラ72によって転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間を移動可能に配置されている。
【0057】
このようにして、IDユニット6K〜6Tによって形成された現像は、転写ベルト71の作用によって、前記記録媒体2又は5上に転写される。前記転写ベルト71は、継目なしのエンドレス状に形成されており、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなる。
【0058】
前記記録媒体2は、図示しない弁別手段とホッピングローラ31により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。その後所定のタイミングで前記転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間に搬送される。記録媒体5は、同じく図示しない弁別手段とホッピングローラ32により1枚ずつ取り出され、搬送路8に送られる。その後所定のタイミングで前記転写ローラ70K〜70TとIDユニット6K〜6Tの間に搬送される。
【0059】
定着器20では、ヒートローラ21と加圧ローラ22によって記録媒体2又は5上に付着したトナーを加熱、融解、加圧し、記録媒体2又は5上にトナー像を定着させる。定着後の記録媒体2又は5は、図示しない駆動手段で駆動する搬送セパレータ35の選択動作によって、再び搬送する再搬送路9に搬送されるか、装置外に排出される。再搬送路9は、再搬送ローラ28−1、28−2、28−3によって搬送され、前記搬送路8に合流する。装置外への排出は、排出ローラ19により排出される。
【0060】
図8は第3の実施の形態に関する制御ブロック図である。ホストインタフェース部40は、ホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分である。操作パネル部41は、ユーザが操作できるパネルであり、プリンタ1に搭載してあるものでも付属するものでもよい。コマンド/画像処理部50はホストインタフェース部40と操作パネル部41のデータを送受信し、ホストインタフェース部40及び操作パネル部41より得られた媒体の情報を処理する媒体情報処理部56、印刷設定処理部57を有している。
【0061】
更に、前記コマンド/画像処理部50は、ホスト側からのコマンド及び画像データを解釈、或いはビットマップに展開し、LEDヘッドインタフェース部42へ画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部42は、コマンド/画像処理部50からのビットマップに展開された画像データをLEDヘッド7K〜7Tのインタフェースにあわせてデータを加工する。
【0062】
印刷制御部30は、各センサ及び各部からの情報信号を解析、演算、条件判断し、各部への動作指示信号を出力することで、機構部制御と印加電圧制御を統括的に行なっている。印刷制御部30は、ホッピングモータ48、レジストモータ49、搬送モータ51、ベルトモータ52、IDモータ53、定着器ヒータモータ54を所定のタイミング、速度で駆動する。更に印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、図3に示す前記IDユニット6Tに複数設けた現像部82〜85のうち一つを選択し適用する。適用された現像部82〜85が感光ドラム80に押当てられるまで、前記トナー選択モータ55を駆動させ、押当てられると停止する。また、印刷制御部30は搬送セパレータ35の図示しない駆動手段を選択駆動する。
【0063】
定着器ヒータ59はサーミスタ58に検出値に応じて前記印刷制御部30によって温度制御される。高圧制御部44は、前記印刷制御部30からの制御値を受け、各電圧を制御している。IDユニット電圧制御部45はIDユニット6K〜6Tへの印加する電圧を制御する。更に、転写電圧制御部74は転写ローラ70K〜70Tに印加する電圧を制御する。第3の実施の形態に関するプリンタ1の動作については、前記第1の実施の形態に関するプリンタ1の動作と同じである(図5参照)。
【0064】
(実施例)
次に具体的な実施例を説明する。記録媒体2に普通紙を設定し、高光沢を得たい場合の動作を説明する。高光沢である場合は、図5のフローチャートの説明に記載したパターン4を実施する。まず、コマンド/画像処理部50が普通紙のカラー印刷命令を受信すると、媒体情報処理部56と印刷設定処理部57は記録媒体2(普通紙)を選択し、印刷制御部30にデータを送信する。印刷制御部30は、普通紙の媒体表面の凹凸による光沢度の低下を押さえるため、普通紙用の下地の透明トナーの選択を行なう。普通紙用の透明トナーは透明トナーT2に装填されているので、印刷制御部30はトナー選択モータ55を駆動し、T2を適用する。更に、印刷制御部30は普通紙の設定で現像、転写、定着できるように各制御部に制御値を送り、記録媒体2(普通紙)の下地に透明トナーT2を現像、転写、定着することにより、透明トナーT2の画像が形成された記録媒体ができる。
【0065】
この記録媒体2(普通紙)の上面に更に画像を形成するために、印刷制御部30は搬送セパレータ35を駆動し、再搬送路9を通して、搬送路8へ搬送する。こうして、下地に透明トナーT2の画像が形成された前記記録媒体2(普通紙)の上に、更に画像形成が可能な状態にする。同時に印刷制御部30は有色トナーの粒径と同じ透明トナーT1を選択するため、トナー選択モータ55を駆動し透明トナーT1を適用する。次に印刷制御部30は上層の透明トナーT1と有色トナーによるトナー現像量が均一になるように、各制御部へ制御値を送り、記録媒体2(普通紙)に、下からK、Y、M、C、T1の順にトナーを現像、転写、定着させる。
【0066】
記録媒体2(普通紙)には、先に下地の透明トナーT2の画像が形成されているので、記録媒体2(普通紙)に印刷したトナー層は下から、T2、K、Y、M、C、T1の順になる。このようにして、印刷された記録媒体2(普通紙)は排出ローラ19を通り装置外に排出し高光沢な印刷画像を得ることができる。
【0067】
第3の実施の形態によれば、同様に、記録媒体2又は5上に有色トナー像を形成する有色トナー対応のIDユニット6K〜6Cと、複数種類の透明トナー(T)を有し、前記複数種類の透明トナーから選択された透明トナーの透明トナー像を記録媒体上に形成するIDユニット6Tを設けたので、記録媒体の種類によって、記録媒体の表面粗さが異なる場合でも、記録媒体の種類に応じて、有色トナー像の下地又は上層に透明トナーを選択することができ、記録媒体の表面に凹凸がある場合でも、トナー画像の凹凸を均一にでき、高光沢な印刷画像媒体を得ることができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、記録媒体2又は5の表面特性を計測する光沢度センサ65を搬送路8上に設けたものである。図9は第4の実施の形態に関するプリンタ1の断面図である。第4の実施の形態は、搬送路8の途中における記録媒体2又は5に透明トナー(T)を転写する前の位置に、光沢度センサ65を設けたものである。光沢度センサ65は、記録媒体2又は5の搬送路8上にかつ、記録媒体2又は5の表面に近接する位置に設けられる。これにより、光沢度センサ65は、搬送路8上を搬送される記録媒体2又は5の表面特性を計測する。第4の実施の形態に関するその他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0069】
図10は前記光沢度センサ65の構成図である。光沢度センサ65は発光部66と受光部67を備え、発光部66から記録媒体2に収れん光を当て、その反射光を受光部67で受光することにより、記録媒体2の表面粗さを検出する。
【0070】
図11は第4の実施の形態に関する制御ブロック図である。本実施の形態と前記第1の実施の形態の違いは、光沢度センサ65によって得られた記録媒体2又は5の表面粗さの情報を、コマンド/画像処理部50に送信することであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0071】
図12は本実施の形態に関するプリンタ1の動作を示すフローチャートである。本実施の形態は、光沢度センサ65によって得られた媒体の表面粗さの情報を、コマンド/画像処理部50に送信し、操作パネル部41から入力された値、又はホストコンピュータからホストインタフェース部40を介して入力された値、光沢度センサ65によって計測され入力された値に基づきIDユニット6Tを選択する(S200)。その他の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0072】
また、本実施の形態では光沢度センサ65を用いて媒体の表面特性を計測するが、媒体の表面粗さを計測する表面粗さ測定器で表面粗さを計測し、使用するトナーを選択しても良い。また、表面粗さ以外にも光沢度センサを用いて光沢度を計測し、光沢度を調整するために使用するトナーを選択しても良い。また、電気抵抗測定器を用いて媒体の抵抗値を計測し、又は濃度センサを用いて媒体の濃度を計測するなど、媒体の表面特性を計測して使用するトナーを選択しても良い。
【0073】
本実施の形態によれば、搬送路8に光沢度センサ65を設けて、搬送路8上を搬送される記録媒体2又は5の表面特性を計測するので、ユーザによりパネル操作設定や媒体設定に誤入力又は未入力の場合でも高光沢な印刷画像媒体が得ることができる。
【0074】
また、前記第1〜第4の実施の形態では粒径の異なる透明トナーを用いたが、白色トナー、UVトナー、赤外トナー、RGBトナー、金色や銀色などのような金属色トナーなどの現像剤があれば、ユーザの用途に応じて他のトナー像の下地又は上層にこれらの現像剤を選択適用することができるので、特殊な印刷画像を形成することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 プリンタ
2、5 記録媒体
6K〜6T IDユニット
7K〜7T LEDヘッド
8 搬送路
9 再搬送路
11 中間転写ベルト
82〜85 現像部
82G〜85G トナーカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に有色現像剤で有色画像を形成する有色画像現像部と、
前記記録媒体上に透明現像剤で透明画像を形成する透明画像現像部と、
前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、
前記有色画像現像部、前記透明画像現像部及び前記定着部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記透明画像現像部を用いて前記記録媒体上に前記透明画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記透明画像を前記記録媒体に定着し、その後、前記有色画像現像部を用いて前記透明画像が定着された前記記録媒体上に前記有色画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記有色画像を前記記録媒体に定着することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記透明現像剤は複数の異なる透明現像剤の一つであり、前記制御部は前記記録媒体の表面特性に応じて前記複数の透明現像剤から前記一つの透明現像剤を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表面特性は、前記記録媒体の表面粗さであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置
【請求項4】
前記有色画像現像部及び前記透明画像現像部に対向する中間転写ベルトをさらに備え、
前記有色画像現像部及び前記透明画像現像部はそれぞれ前記有色画像及び前記透明画像を前記中間転写ベルト上に転写し、前記中間転写ベルトは転写された前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
透明現像剤からなる透明画像を記録媒体上に転写する第1の転写工程と、
前記透明画像を前記記録媒体に定着する第1の定着工程と、
有色現像剤からなる有色画像を、前記透明画像が定着された前記記録媒体上に転写する第2の転写工程と、
前記有色画像を前記記録媒体に定着する第2の定着工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記透明現像剤は複数の異なる透明現像剤の一つであり、
前記記録媒体の表面特性に基づいて、前記複数の異なる透明現像剤から前記一つの透明現像剤を選択する選択工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記表面特性は、前記記録媒体の表面粗さであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項1】
記録媒体上に有色現像剤で有色画像を形成する有色画像現像部と、
前記記録媒体上に透明現像剤で透明画像を形成する透明画像現像部と、
前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、
前記有色画像現像部、前記透明画像現像部及び前記定着部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記透明画像現像部を用いて前記記録媒体上に前記透明画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記透明画像を前記記録媒体に定着し、その後、前記有色画像現像部を用いて前記透明画像が定着された前記記録媒体上に前記有色画像を形成し、前記定着部を用いて前記記録媒体上に形成された前記有色画像を前記記録媒体に定着することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記透明現像剤は複数の異なる透明現像剤の一つであり、前記制御部は前記記録媒体の表面特性に応じて前記複数の透明現像剤から前記一つの透明現像剤を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表面特性は、前記記録媒体の表面粗さであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置
【請求項4】
前記有色画像現像部及び前記透明画像現像部に対向する中間転写ベルトをさらに備え、
前記有色画像現像部及び前記透明画像現像部はそれぞれ前記有色画像及び前記透明画像を前記中間転写ベルト上に転写し、前記中間転写ベルトは転写された前記有色画像及び前記透明画像を前記記録媒体上に転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
透明現像剤からなる透明画像を記録媒体上に転写する第1の転写工程と、
前記透明画像を前記記録媒体に定着する第1の定着工程と、
有色現像剤からなる有色画像を、前記透明画像が定着された前記記録媒体上に転写する第2の転写工程と、
前記有色画像を前記記録媒体に定着する第2の定着工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記透明現像剤は複数の異なる透明現像剤の一つであり、
前記記録媒体の表面特性に基づいて、前記複数の異なる透明現像剤から前記一つの透明現像剤を選択する選択工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記表面特性は、前記記録媒体の表面粗さであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−29871(P2013−29871A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246743(P2012−246743)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2008−332096(P2008−332096)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2008−332096(P2008−332096)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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