説明

画像形成装置及び画像形成装置の制御方法

【課題】インストールされるアプリケーションの組み合わせに関わりなく、アプリケーションを実行する際の優先順を定める画像形成装置を提供すること。
【解決手段】当の画像形成装置が処理する形式の画像データを生成する入力フィルタと、前記画像データに対し編集処理を行う編集フィルタと、実行条件の情報に基づいてジョブ毎の実行順を決定し、編集処理された前記画像データを印刷出力させ、さらに、一のジョブによる印刷出力の実行中に前記一のジョブと実行順が同一の他のジョブの印刷出力を印刷される媒体単位で割り込ませる制御を行う印刷フィルタと、前記入力フィルタ、前記編集フィルタ、及び、前記印刷フィルタに対し、ジョブ要求に基づく前記実行条件の情報を出力する複数のアプリケーションと、を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のジョブを同時に進行させる画像形成装置がある。例えば、特許第3547153号公報(特許文献1)には、同一優先順位の複数のアプリケーションに対し、画像形成装置の使用権を交互に与えることにより、「インタリーブ」動作を実現するディジタル複写機システムが開示されている。なお、特許文献1の「インタリーブ」とは、1ジョブの出力に他のジョブの出力を差し込んで出力することであり、例えば、複写機の出力中に、機械を止めることなくプリンタ出力を実現することをいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載のディジタル複写機システムでは、予め定められたアプリケーションの間の優先順に基づくインタリーブを実現しているため、後に追加されるアプリケーションによるジョブについては、インタリーブを実現することができない。
【0004】
例えば、画像データの入力、編集加工、及び、出力を、それぞれのモジュールにより実現する構成において、モジュールの組み合わせとモジュールに対する条件設定とを行うアプリケーションを作成する場合には、予めアプリケーションをインストールしておく他に、後に別のアプリケーションを追加することができる。そこで、追加されるアプリケーションには、予めインストールされているアプリケーションを考慮した優先順を付与する必要がある。すなわち、インストールされるアプリケーションの組み合わせに応じて、優先順を設定しなくてはならず、画像形成装置の設計及び開発等において、工程を増加させることになる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、インストールされるアプリケーションの組み合わせに関わりなく、アプリケーションを実行する際の優先順を定める画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は次の如き構成を採用した。
【0007】
本発明の画像形成装置は、当の画像形成装置が処理する形式の画像データを生成する入力フィルタと、前記画像データに対し編集処理を行う編集フィルタと、実行条件の情報に基づいてジョブ毎の実行順を決定し、編集処理された前記画像データを印刷出力させ、さらに、一のジョブによる印刷出力の実行中に前記一のジョブと実行順が同一の他のジョブの印刷出力を印刷される媒体単位で割り込ませる制御を行う印刷フィルタと、前記入力フィルタ、前記編集フィルタ、及び、前記印刷フィルタに対し、ジョブ要求に基づく前記実行条件の情報を出力する複数のアプリケーションと、を有する構成とすることができる。
【0008】
これにより、インストールされるアプリケーションの組み合わせに関わりなく、アプリケーションを実行する際の優先順を定める画像形成装置を提供することができる。なお、上記課題を解決するため、本発明は、上記画像形成装置の制御方法としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び画像形成装置の制御方法によれば、インストールされるアプリケーションの組み合わせに関わりなく、アプリケーションを実行する際の優先順を定める画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御部の機能構成の例を示す図である。
【図2】図2は、ジョブの優先順を定める情報を示す図である。
【図3】図3は、ジョブ要求に含まれる実行条件等を示す図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御方法を示すフロー図である。
【図5−1】図5−1は、2つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その1)。
【図5−2】図5−2は、2つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その2)。
【図5−3】図5−3は、2つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その3)。
【図6−1】図6−1は、3つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その1)。
【図6−2】図6−2は、3つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その2)。
【図6−3】図6−3は、3つのジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その3)。
【図7−1】図7−1は、実行条件が適当ではないジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その1)。
【図7−2】図7−2は、実行条件が適当ではないジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その2)。
【図7−3】図7−3は、実行条件が適当ではないジョブの実行順を決定する際の印刷ジョブリストの例(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施の形態における「インタリーブ」動作とは、2つ以上の印刷ジョブを実行する際に、媒体の出力を交互に行う制御により、複数のジョブによる媒体の出力を時分割することをいう。なお、媒体は1枚毎に交互に出力されてもよく、一のジョブによる媒体の出力が2枚以上連続して行われてもよい。
【0012】
〔本実施の形態〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御部の機能構成の例を示す図である。図1では、画像形成装置は、コントローラ1及びエンジン5を有する。
【0013】
コントローラ1は、入力フィルタ10、編集フィルタ20、印刷フィルタ30、RAM40、エンジン制御部50、アプリケーション80、及び、アプリケーション90を有する。なお、図中アプリケーションを「アプリ」とも表記する。
【0014】
入力フィルタ10は、アプリケーションから入力される実行条件の情報に基づいて、紙やプリンタデータ等から、画像形成装置が扱う画像データへ変換する。入力フィルタ10は、例えば、図示しない、スキャナ、通信装置、及び、ハードディスク等の記憶装置等から入力される信号又は画像データを変換する。
【0015】
編集フィルタ20は、入力フィルタ10により変換された画像データに対し、編集処理を行う。編集フィルタ20は、変倍、及び、集約等を行う。
【0016】
印刷フィルタ30は、編集された画像データをエンジン制御部50に出力させ、印刷処理を要求する。印刷フィルタ30は、また、ジョブの実行条件に基づいて、ジョブの優先順を定め、複数のジョブの実行順を制御する。これにより、印刷フィルタ30が、一括して複数のジョブを管理することができ、エンジン5等のリソースが競合する際に、排他制御やジョブの実行順を決定する処理を容易に実現することができる。
【0017】
なお、入力フィルタ10は、RAM40に画像データを格納し、編集フィルタ20は、RAM40に格納された画像データを編集し、印刷フィルタ30は、RAM40に格納された画像データを取得してエンジン制御部50に対して出力する。
【0018】
そこで、入力フィルタ10、編集フィルタ20、及び、印刷フィルタ30は、互いに、画像データの識別情報を入出力する。これにより、識別情報に対応する画像データを、RAM40に格納させ、編集し、取得することができる。
【0019】
アプリケーション80及びアプリケーション90は、操作者からの要求に基づいて、印刷処理を実行する。アプリケーション80及びアプリケーション90は、例えば、コピー、プリンタ、スキャンtoプリント等のアプリケーションである。なお、図1中には、2つのアプリケーションが示されているが、コントローラ1が有するアプリケーションは3つ以上でもよい。
【0020】
アプリケーション80及びアプリケーション90は、それぞれ、入力フィルタ10、編集フィルタ20、及び、印刷フィルタ30を連携させる。アプリケーション80及びアプリケーション90は、さらに、印刷フィルタ30に対し、ジョブの実行条件の情報を出力する。これにより、印刷フィルタ30が、実行条件に基づくジョブの優先順を定め、ジョブの実行順を制御することができる。
【0021】
エンジン制御部50は、印刷フィルタ30から出力される印刷処理の要求により、エンジン5に対し印刷処理の要求と画像データとを出力する。エンジン5は、入力される印刷処理の要求と画像データとにより、画像を媒体上に印刷して出力する。
【0022】
図2は、ジョブの優先順を定める情報を示す図である。図2では、ジョブを要求する操作者とジョブにより出力される媒体を受け取る操作者とに係る情報により、ジョブの優先順がグルーピングされている。ジョブを要求する操作者(以下、「要求者」という。)と、ジョブにより出力される媒体を受け取る操作者(以下、「文書受取者」という。)と、が異なる場合は、要求者と文書受取者が同一の場合よりも、優先順位が高い。
【0023】
例えば、ファクシミリ受信により媒体上に画像を形成して出力する場合は、要求者と文書受取者とが異なる。また、例えば、プリンタ及びコピーによる出力は、要求者と文書受取者とが同一である。
【0024】
要求者と文書受取者とが同一である場合は、さらに、要求元がリモートかローカルかにより、優先順がグルーピングされる。要求元がリモートである場合は、ローカルである場合よりも優先順が高い。要求元がリモートである場合(以下、「リモート要求」という。)は、例えば、プリンタ出力の例、ドキュメントボックスからの印刷をリモート要求により行う例、及び、ファイルサーバ等からのフォルダ印刷をリモート要求により行う例があげられる。
【0025】
要求元がローカルである場合(以下、「ローカル要求」という。)は、例えば、コピーの例、ドキュメントボックスからの印刷をローカル要求により行う例、外部メディアに格納されているファイル等をローカル要求により行う例、ファイルサーバ等からのフォルダ印刷をローカル要求により行う例、等があげられる。なお、ローカル要求は、例えば、オペレーションパネルの操作により行われる。
【0026】
予め画像形成装置にインストールされているアプリケーションの他に、新たなアプリケーションが加えられる場合でも、図2に示す優先順を定める情報により、新たなアプリケーションの優先順を決定することができる。なお、新たなアプリケーションとは、例えば、画像形成装置の設計時に仕様に含まれていないアプリケーション等である。これにより、例えば、アプリケーション毎に開発するメーカーが異なる場合等でも、アプリケーションの組み合わせ毎に異なる優先順を決定する労力を省くことができる。
【0027】
図3は、ジョブ要求に含まれる実行条件等を示す図である。図3のジョブ要求は、「印刷ジョブ」のジョブ要求であり、画像データのID、印刷の実行条件の情報、要求者と文書受取者とが同一であるか否かの情報、要求元の情報が含まれる。
【0028】
画像データのIDは、印刷出力する画像データの識別情報である。印刷の実行条件の情報は、印刷フィルタ30に対して出力される。要求者と文書受取者とが同一か否かの情報は、図2に示したグルーピングによる優先順の決定に供せられる。
【0029】
要求元の情報は、ローカル要求とリモート要求との何れであるかを示す情報である。要求元の情報も、図2に示したグルーピングによる優先順の決定に供せられる。
【0030】
図3のジョブ要求の形式により、印刷フィルタ30が、ジョブ毎に印刷出力の優先順を決定することができる。これにより、複数のジョブ要求がある場合でも、優先順にしたがって印刷処理を制御し、さらに、インタリーブ動作による媒体の出力を行うことができる。
【0031】
図3のジョブ要求の形式に含まれる印刷の実行条件の情報は、印刷フィルタ30により、適当であるか否かの判断がなされる。印刷フィルタ30は、実行条件が適当ではないと判断する場合には、そのジョブの実行順を後にする等の制御を行う。
【0032】
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御方法を示すフロー図である。図4の制御方法は、印刷フィルタ30により実行される。図4のステップS101では、アプリケーションから印刷の実行条件を受信する。
【0033】
ステップS101に続いてステップS102に進み、ステップS101で受信した印刷の実行条件が適当か否かをチェックする。なお、実行条件が適当ではない場合には、例えば、操作者に対し条件の確認を促す画面を表示するとよい。この画面に基づいて、操作者が新たな実行条件を入力することにより、ステップS101に戻って処理を再び実行することができる。
【0034】
実行条件が適当ではない場合には、また、その印刷ジョブの優先順を下げ、実行順を変更するとよい。これにより、例えば、実行条件が適当ではないジョブの実行順を最後にすることができ、操作者が新たな実行条件を入力するまでの「実行待ち」の時間に、他のジョブを優先して実行することができるため、複数のジョブを効率的に実行することができる。また、実行条件が適当ではないジョブを実行しないことにより、そのジョブを含む印刷処理が停止する等の不具合を軽減することができる。なお、実行条件が適当ではない場合とは、例えば、指定される用紙がない場合等である。
【0035】
ステップS102に続いてステップS103に進み、その印刷ジョブの印刷順を決定する。ステップS103に続いてステップS104に進み、ステップS103で決定された印刷順に基づいて、実行中のジョブを中断するか否かを判断する。中断する場合には、ステップS105に進み、中断しない場合には、ステップS107に進む。
【0036】
ステップS104に続くステップS105では、実行中の印刷ジョブを中断する。ステップS105に続くステップS106では、実行待ちのジョブのうち、優先度が最も高いジョブを実行する。ステップS106又はステップS104に続くステップS107では、エンジン制御部50に対し、印刷要求を出力することにより、印刷処理を行う。
【0037】
ステップS107に続いてステップS108に進み、実行中のジョブが終了しているか否かを確認する。終了している場合には、処理を終了する。終了していない場合には、ステップS107に戻り処理を繰り返す。なお、2回目以降に実行されるステップS107の処理では、優先度が同一の複数のジョブによる媒体上への画像形成を、所定枚数の媒体毎に交互に差し込んで実行する。これにより、インタリーブ動作を実現することができる。
【0038】
図5ないし図7は、インタリーブ動作を行う際に制御されるジョブの実行順を管理する印刷ジョブリストを説明する図である。図5−1ないし図5−3は、実行条件が適当な2つのジョブの実行順を決定する処理を説明する図である。
【0039】
図5−1は、印刷ジョブ1が、印刷ジョブリストに含まれている。印刷ジョブ1は、現在実行中のジョブである。印刷ジョブ1は、要求者と文書受取者が同じかどうかを示す情報が「同じ」の値を有する。また、「ローカル要求」を示す値を有する。印刷ジョブ1は、例えば、コピーのアプリケーションによるジョブである。
【0040】
図5−2は、新たな印刷ジョブを、印刷ジョブリストに追加することを説明する図である。図5−2(a)は、印刷ジョブリストが、図5−1と同一の状態である。図5−2(b)は、新たに追加される印刷ジョブである印刷ジョブ2を示す図である。印刷ジョブ2は、要求者と文書受取者が同一かどうかを示す情報が「同じ」の値を有し、さらに、「リモート要求」を示す値を有する。印刷ジョブ2は、例えば、Webサービス機能による印刷のアプリケーションによるジョブであり、図2中の、WebDocBox機能に対応する。
【0041】
印刷フィルタ30は、図5−2(a)及び(b)に示す、印刷ジョブ1及び印刷ジョブ2の実行条件と、図2に示すグルーピングによる優先順の情報と、から、リモート要求の印刷ジョブ2が、ローカル要求の印刷ジョブ1より優先順が高いと判断する。
【0042】
図5−3は、印刷フィルタ30が判断した優先順により、印刷ジョブ2が印刷ジョブリストに加えられた状態を示す図である。図5−3では、印刷ジョブ2が、印刷ジョブ1より上位に追加され、印刷ジョブ2が実行中のジョブとなる。また、印刷ジョブ1は、実行中のジョブから実行待ちのジョブへと変更されている。
【0043】
なお、図5−3の状態の後、予め定められる設定により、所定の枚数の媒体を出力する毎に、実行する印刷ジョブを入れ替えることにより、インタリーブ動作を実現することができる。また、図5−3の状態の後、優先度の高い印刷ジョブ2が終了した後に、印刷ジョブ1を実行してもよい。
【0044】
図6−1ないし図6−3は、実行条件が適当な3つのジョブの実行順を決定する処理を示す図である。図6−1では、印刷ジョブ1及び印刷ジョブ2が、印刷ジョブリストに含まれている。印刷ジョブ1は、現在実行中のジョブであり、印刷ジョブ2は、実行待ちのジョブである。印刷ジョブ1は、要求者と文書受取者が同じかどうかを示す情報が「同じ」の値を有する。また、「リモート要求」を示す値を有する。印刷ジョブ2は、要求者と文書受取者が同じかどうかを示す情報が「同じ」の値を有する。また、「ローカル要求」を示す値を有する。
【0045】
印刷ジョブ1は、例えば、プリンタのアプリケーションであり、印刷ジョブ2は、例えば、コピーのアプリケーションである。
【0046】
図6−2は、新たな印刷ジョブを、印刷ジョブリストに追加することを説明する図である。図6−2(a)は、印刷ジョブリストが、図6−1と同一の状態である。図6−2(b)は、新たに追加される印刷ジョブである印刷ジョブ3を示す図である。印刷ジョブ3は、要求者と文書受取者が同一かどうかを示す情報が「同じ」の値を有し、さらに、「リモート要求」を示す値を有する。
【0047】
印刷フィルタ30は、図6−2(a)及び(b)に示す、印刷ジョブ1、印刷ジョブ2、及び、印刷ジョブ3の実行条件と、図2に示すグルーピングによる優先順の情報と、から、リモート要求の印刷ジョブ3が、ローカル要求の印刷ジョブ2より優先順が高いと判断し、さらに、リモート要求の印刷ジョブ3が、リモート要求の印刷ジョブ1と同一の優先順であると判断する。
【0048】
図6−3は、印刷フィルタ30が判断した優先順により、印刷ジョブ3が印刷ジョブリストに加えられた状態を示す図である。図6−3では、印刷ジョブ3が、印刷ジョブ1と印刷ジョブ2との間に追加され、印刷ジョブ1が実行中のジョブとなる。
【0049】
なお、図6−3の状態の後、予め定められる設定により、所定の枚数の媒体を出力する毎に、実行する印刷ジョブを入れ替えることにより、インタリーブ動作を実現することができる。例えば、優先順が同一の印刷ジョブ1と印刷ジョブ3とを、インタリーブ動作させてもよい。
【0050】
図7−1ないし図7−3は、2つのジョブの実行順を決定する処理を示す図である。図7−1ないし図7−3では、実行条件が適当ではないジョブが含まれる。図7−1では、印刷ジョブ1が、印刷ジョブリストに含まれている。印刷ジョブ1は、現在実行中のジョブである。印刷ジョブ1は、要求者と文書受取者が同じかどうかを示す情報が「同じ」の値を有する。また、「ローカル要求」を示す値を有する。印刷ジョブ1は、例えば、コピーのアプリケーションである。
【0051】
図7−2は、新たな印刷ジョブを、印刷ジョブリストに追加することを説明する図である。図7−2(a)は、印刷ジョブリストが、図7−1と同一の状態である。図7−2(b)は、新たに追加される印刷ジョブである印刷ジョブ2を示す図である。印刷ジョブ2は、要求者と文書受取者が同一かどうかを示す情報が「同じ」の値を有し、さらに、「リモート要求」を示す値を有する。
【0052】
印刷ジョブ2は、さらに、用紙の条件が「A2」である。ここでは、A2用紙が存在しない例について説明する。印刷フィルタ30は、印刷ジョブ2を要求したリモートのPCに対して、A2用紙が存在しないことを示すメッセージを送信する。このメッセージに基づく表示等を操作者が閲覧することにより、ジョブの実行条件を変更して、再度、印刷ジョブの要求を出力させる。なお、再度出力する印刷ジョブの要求は、印刷ジョブ2に対する変更の要求でもよく、また、印刷ジョブ2をキャンセルして新たな印刷ジョブの要求を出力してもよい。
【0053】
印刷フィルタ30は、図7−2(a)及び(b)に示す、印刷ジョブ1、及び、印刷ジョブ2の実行条件と、図2に示すグルーピングによる優先順の情報と、から、リモート要求の印刷ジョブ2が、ローカル要求の印刷ジョブ1より優先順が高いと判断する。
【0054】
図7−3は、印刷フィルタ30が判断した優先順により、印刷ジョブ2が印刷ジョブリストに加えられた状態を示す図である。図7−3では、用紙の条件が「A3」となった印刷ジョブ2が、印刷ジョブ1の上位に追加され、印刷ジョブ2が実行中のジョブとなる。
【0055】
なお、図7−3の状態の後、予め定められる設定により、所定の枚数の媒体を出力する毎に、実行する印刷ジョブを入れ替えることにより、インタリーブ動作を実現することができる。例えば、優先順が同一の印刷ジョブ1と印刷ジョブ3とを、インタリーブ動作させてもよい。
【0056】
(コンピュータ等による実現)
なお、本発明の実施の形態に係る画像形成装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等で実現されてもよい。また、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御方法は、例えば、CPUがROMやハードディスク装置等に記憶されたプログラムに従い、RAM等のメインメモリをワークエリアとして使用し、実行される。
【0057】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、複数のアプリケーションを効率よく制御することに有用であり、特に、搭載するアプリケーションが不定な画像形成装置に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 コントローラ
5 エンジン
10 入力フィルタ
20 編集フィルタ
30 印刷フィルタ
50 エンジン制御部
80 アプリケーション
90 アプリケーション
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第3547153号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当の画像形成装置が処理する形式の画像データを生成する入力フィルタと、
前記画像データに対し編集処理を行う編集フィルタと、
実行条件の情報に基づいてジョブ毎の実行順を決定し、編集処理された前記画像データを印刷出力させ、さらに、一のジョブによる印刷出力の実行中に前記一のジョブと実行順が同一の他のジョブの印刷出力を印刷される媒体単位で割り込ませる制御を行う印刷フィルタと、
前記入力フィルタ、前記編集フィルタ、及び、前記印刷フィルタに対し、ジョブ要求に基づく前記実行条件の情報を出力する複数のアプリケーションと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記実行条件の情報は、前記ジョブ要求の要求元が、当の画像形成装置であるか否かに係る情報であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記実行条件の情報は、前記ジョブを要求する操作者と、該ジョブにより印刷出力される媒体を受け取る操作者と、が同一であるか否かに係る情報であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷フィルタは、さらに、前記実行条件が適切であるか否かを判断し、前記実行条件が適切ではないジョブ要求による印刷出力の優先順を、他のジョブ要求による印刷出力の優先順より低くする制御を行うことを特徴とする請求項1ないし3何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
当の画像形成装置が処理する形式の画像データを生成する入力処理ステップと、
前記画像データに対し編集処理を行う編集処理ステップと、
実行条件の情報に基づいてジョブ毎の実行順を決定し、編集処理された前記画像データを印刷出力させ、さらに、一のジョブによる印刷出力の実行中に前記一のジョブと実行順が同一の他のジョブの印刷出力を印刷される媒体単位で割り込ませる制御を行う印刷出力ステップと、
前記入力処理ステップ、前記編集処理ステップ、及び、前記印刷出力ステップに対し、ジョブ要求に基づく前記実行条件の情報を出力する複数の制御ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【公開番号】特開2011−4350(P2011−4350A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147946(P2009−147946)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】