説明

画像形成装置及び色重ね順制御プログラム

【課題】処理条件の変更があっても最適な色重ね順を判断して作像することができるようにする。
【解決手段】記録媒体に異なる色の複数のインク滴を重ねて画像を形成する画像形成装置であって、入力された画像データに基づいて記録媒体上に重なるように吐出される各色のインクの滴量をそれぞれ設定する総量規制部33及び階調処理部34と、前記画像データを並べ替える画像レンダリング部35と、前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定する色重ね順判定部36と、を備え、色重ね順判定部36は、総量規制部33及び階調処理部34が設定した各色インクの滴量又はインクの滴量と対となす階調の情報を比較し、インクの滴量が多い順又は前記の情報が大きい順にインク滴を重ねる順番を判定し、画像レンダリング部35は、判定されたインク滴を重ねる順番に従って、画像データを並べ替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び色重ね順制御プログラムに係り、特に、カラーインク(インク滴)を吐出して画像を形成する画像形成装置及びこの画像形成装置で実施される色重ね順制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カラーインクの液滴を吐出して画像を形成する所謂インクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像形成装置が知られ、一般にも普及している。この種のインクジェット方式の画像形成装置では、異なる色のインクを重ねた場合に、先に記録紙に着弾したインクの色が支配的になることが知られている。また、インクジェットヘッドが双方向に走査するタイプのインクジェット画像形成装置では、往路で走査したときの着弾順と復路で走査したときの着弾順の違いで色差が生じることが知られている。このような色差が生じると、インクジェットヘッドの駆動方向によって色むらが生じることになる。
【0003】
そこで、この色差を低減する方法として、各色の着弾順が往路と復路で同じになる構成にし、あるいは、一方の走査に用いる画像データに色変換処理を施す構成が知られている。これらは色差が生じないようにするため、色毎の着弾順を固定するという技術であった。
【0004】
他方、近年では、色毎の着弾順を積極的に制御する技術が提案され、色毎に着弾順を制御することにより、画像の印象(海や空)により強調したい色が損なわないようにする技術、及び色変換の出力データに着弾順のパラメータを加えて色重なり順による色域の縮小を低減する技術が既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1記載の発明は、写真画像の印刷においては色重ね順が固定されることにより色の印象が変わってしまうことを防ぐため、画像における色の濃度分布が多い色が強調されるように色重ね順を制御し、濃度分布が多い色を最後に重ねるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1記載の技術を含め、従来までのインク色毎に着弾順を制御する技術は、形成された画像若しくは画像データにより色重ね順を決定しており、形成する全ての画像領域に対して最適な色重ね順となっていなかった。具体的には、例えば、海や空の色を強調した場合に山や人の色が抑えられ、あるいは色変換テーブルを形成するときの色パッチ毎に最適な色重ね順であっても色パッチにない色を再現する場合の色重ね順を最適にすることはできなかった。
【0007】
さらに、画像形成装置で画像や色を形成する場合には、画像形成装置のγ特性の補正処理、インクが乾燥するための総量規制、色再現性のためのディザ処理、あるいは誤差拡散処理といった各種の処理が施されており、それらが一定の条件で色重ね順を判定しても、処理条件が変わる度に色重ね順も判定し直す必要があるが、従来では、このような場合に条件の変更に対応することはできなかった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようと課題は、処理条件の変更があっても最適な色重ね順を判定して作像することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、記録媒体に異なる色の複数のインク滴を重ねて画像を形成する画像形成装置であって、入力された画像データに基づいて前記記録媒体上に重なるように吐出される各色のインクの滴量をそれぞれ設定するインク滴設定手段と、前記画像データを並べ替える画像レンダリング処理手段と、前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定する色重ね順判定手段と、を備え、前記色重ね順判定手段は、インク滴設定手段が設定した前記各色インクの滴量又は前記インクの滴量と対となす階調の情報を比較し、前記インクの滴量が多い順又は前記階調の情報が大きい順に前記インク滴を重ねる順番を判定し、前記画像レンダリング処理手段は、前記判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替えることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、前記インク滴設定手段が、記録モードに応じて前記各色インクの滴量と前記インクの滴量と対となす階調の情報との関係を設定することを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記インク滴量設定手段で設定されたインクの滴量又は前記インクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一である場合には、前記色重ね順判定手段は予め設定されている優先順により前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定することを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第1又は第2の手段において、前記インク滴量設定手段で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一であり、その状態が複数連続したときには、前記色重ね順判定手段は予め設定されている所定の繰り返しパターンで前記異なる色のインク滴を重ねる順番を交互と判定することを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第1又は第2の手段において、前記インク滴量設定部で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一である場合には、前記色重ね順判定手段は前記インク適量設定部に入力された画像データの濃度が大きい方を優先して前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定することを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第1又は第2の手段において、前記インク滴量設定部で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一であり、かつ、前記インク適量設定部に入力された画像データの濃度が同一の場合に、前記色重ね順判定手段は予め設定されている優先順により前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定することを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記画像レンダリング処理手段は、前記異なる色のインク滴を重ねる順番の1番目と判定された色のみ判定順に従って前記画像データを並べ替えることを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、コンピュータに対して記録媒体に異なる色のインク滴を重ねて画像を形成させる色重ね順制御プログラムであって、前記記録媒体上に重なり合うように吐出される各色インクの滴量又は前記滴量と対となす階調の情報を比較し、前記インクの滴量が多い順又は前記階調の情報が大きい順に前記インク滴を重ねる順番を判定する手順と、前記判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替える手順と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
なお、後述の実施形態では、ノズルは符号5aに、記録ヘッドは符号5に、移動手段はキャリッジ4及びキャリッジモータ8に、記録ヘッド制御手段は記録ヘッド制御部21、駆動制御手段はモータ制御部10に、記録媒体は記録紙11に、画像形成装置は画像記録装置20及び画像処理装置30に、インク滴設定手段は総量規制部33及び階調制御部34に、画像レンダリング処理手段は画像レンダリング部35に、色重ね順判定手段は色重ね順判定部36に、記録媒体上に重なり合うように吐出される各色インクの滴量若しくは前記滴量と対となす階調の情報を比較し、階調が多い順にインク色重ね順を判定する手順は図7の各手順に、判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替える手順は図5のステップS10の手順に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理条件の変更に対応して最適な色重ね順を判定して作像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像形成装置(インクジェット記録装置))の要部及び記録動作を示す説明図である。
【図2】図1の記録ヘッド部分と印字中の記録紙を上方から見た図である。
【図3】記録ヘッドの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置によって画像を記録するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】色重ね順による色の変化を示す説明図である。
【図7】色重ね順判定部の判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、インクジェット方式の記録ヘッドを走査して記録媒体に画像記録を行う際に、画素単位で色を形成する各色インクの滴量又はインクの滴量と対となす階調の情報を比較し、インクの滴量が多い順又は階調の情報が大きい順にインク滴を重ねる順番を判定し、判定されたインク滴を重ねる順番に従って画像データを並べ替え、その順番により色を重ねるように記録ヘッドからインクをと吐出して画像を形成することを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像形成装置(以下、インクジェット記録装置と称す。)の要部(記録部)及び記録動作を示す説明図、図2は図1の記録ヘッド部分と印字中の記録紙を上方から見た図である。これらの図において、インクジェット記録装置は、カッタ1、一対の搬送ローラ2、空気吸引装置3、キャリッジ4、記録ヘッド5、ガイドロッド6、プラテン7、キャリッジモータ8、紙送りモータ9、及びモータ制御部10から基本的に構成されている。
【0022】
搬送ローラ2はプラテン7を挟んで記録紙搬送方向の上流側と下流側に設けられ、上流側の搬送ローラ2のさらに上流側には、給紙部が設定され、当該給紙部には、ロール状に巻かれた記録紙11が配置されている。ロール状に巻かれた記録紙11は搬送ローラ2によって引き出されながら副走査方向(図示Y方向)へと搬送される。搬送ローラ2は、紙送りモータ9によって駆動力を得て回転し、紙送りモータ9はモータ制御部10によって制御される。搬送ローラ2によって搬送された記録紙11は、記録ヘッド5と対向する面に配置されたプラテン7によって支持される。プラテン7の下部には空気吸引装置3が備えられており、プラテン7の表面に開口した空気穴から空気を吸引し、記録紙11はこの空気の負圧により撓むことなく、プラテン7上を搬送される。
【0023】
記録紙11が一定量搬送される毎に、記録ヘッド5を支持するキャリッジ4が主走査方向(図示X方向)に移動し、主走査方向の走査が行われる。キャリッジ4はガイドロッド6によって支持され、キャリッジモータ8によって主走査方向の駆動が行われる。キャリッジモータ8は、モータ制御部10によって制御される。キャリッジ4の主走査方向の走査が行われると同時に、記録ヘッド5に備えられた複数のノズルからインクが吐出され、記録紙11上に画像が記録される。
【0024】
以上の記録紙11の搬送と、キャリッジ4の走査が繰り返されて画像記録が行われる。記録紙11へ記録するべきデータがなくなると、画像記録動作は終了し、記録紙11はカッタ1によって裁断され、下流側の搬送ローラ2によって排出される。
【0025】
なお、図1は記録ヘッド5が主走査方向に移動しながら画像を形成する所謂シリアルタイプのインクジェット記録装置を図示しているが、主走査方向にインクジェットヘッドが列状に配置されたラインヘッドタイプのインクジェット記録装置においても本実施形態は滴量可能である。
【0026】
図3は記録ヘッドの構成を示す図である。同図において、記録ヘッド5は、複数のノズル5a(本実施形態では20個)を有し、ノズル5aはキャリッジ4の移動方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)に2列並び、ノズル列を形成している。ノズル列は、n1,n3,n5,・・・,n19で構成される第1のノズル列5bと、n2,n4,n6,・・・,n20で構成される第2のノズル列5cからなり、各列で同色若しくは異色のインクが吐出される。すなわち、図2に示したようにキャリッジ4内に複数個配置された各記録ヘッド5の各ノズル列5b,5cの各ノズル5aからインクが吐出され、記録紙11上に着弾して画像が形成される。
【0027】
図4は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。同図において、インクジェット記録装置の制御構成は、大まかに画像記録装置20、画像処理装置30、CPU40及び入力機器50からなる。CPU40は画像記録装置20及び画像処理装置30の全体的な制御を司る。CPU40は図示しないROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムで定義された制御を実行する。なお、プログラムはCD−ROMあるいはネットワークからダウンロードされる場合もある。
【0028】
画像記録装置20は、図1に示したインクジェット記録装置とその制御要素を含むもので、記録ヘッド5を制御する記録ヘッド制御部21、図1にも示したキャリッジモータ8及び紙送りモータ9を制御するモータ制御部10、これらの制御に使用されるメモリ22、及びインターフェース23を備え、インターフェース23はCPU40及び画像処理装置30のインターフェース38との間の通信を仲介する。なお、記録ヘッド5の制御には、ノズルのインク滴吐出制御が含まれる。
【0029】
画像処理装置30は、画像変換部31、色変換部32、総量規制部33、階調処理部34、画像レンダリング部35、色重ね順判定部36、画像蓄積部37、インターフェース38及び外部インターフェース39を備え、画像入力部である外部インターフェース39を通してスキャナあるいはPC(パーソナルコンピュータ)といった入力機器50から画像データが画像処理装置30に入力される。外部インターフェース39から入力された様々なフォーマットの画像データは、画像変換部31において画像処理装置30で処理するための画像データに変換される。一般的な画像形成装置では、入力機器50からベクタ形式のプリンタ言語で入力され、画像変換部31でラスタ形式の画像データに変換する。ただし、入力機器50よりラスタ形式で入力される場合もある。画像処理装置30で処理できるデータ形式も複数の形式で対応している。これらは多様に進化する入力機器50に対して対応するために重要な機能である。
【0030】
入力機器50からの画像データの色情報もRGB形式やCMYK形式などがあり、色変換部32で記録ヘッド5のインク色に対応した色情報に変換される。ここでは、以下の説明と合わせて基本色CMYK形式への変換とする。色変換部32でインク色に変換された画像データは、総量規制部33で記録紙11にインクを重ねたときに、インクが定着(乾燥)可能な量のインクに制限される。総量規制の制限量はインクと記録紙11の組合せで決められる。そのときには、インクの乾燥時間も考慮される。その際、画像データの階調の情報(階調の情報の大きさ)に対応したインク滴量の形成が難しいため、通常、インクの滴量を大滴、中滴、小滴、滴なしの4階調程度で形成する。このため階調処理部34で、インクの滴量と対となす階調の情報に小値化処理を実施する。
【0031】
一般的な小値化方法としてはディザ処理法や誤差拡散法やFMスクリーン法などが知られている。その際、前記階調処理部34は記録モードに応じて前記滴量と前記階調の情報との関係を設定する。なお、前記滴量と前記階調の情報との関係はほぼ比例関係にあり、前記記録モードに応じた設定は実験的なデータに基づいて行われる。また、記録モードは、例えば普通紙、コート紙、光沢紙、半光沢紙、マット紙などの記録媒体の種類に応じて設定される。これらは、インクがにじみやすい記録媒体、インクがにじみにくくドットの着弾位置がずれやすい記録媒体、ドット径のばらつきの影響を受けやすい記録媒体などに分けられ、多くはインク滴の大きさあるいは滴量が記録モードに応じて変更される。その際、当然、前記インクは定着可能な量に制限される。このような機能を総量規制部33と階調処理部34を備えていることから、両者により画像データに基づいてインクの滴量を設定するインク滴設定手段が構成される。
【0032】
一方、画像記録装置20は、インターフェース23を介して画像処理装置30から画像データを受信し、受信した画像データをメモリ22上へ記憶する。他方、モータ制御部10はCPU40から通知される記録紙11の送り量に応じて紙送りモータ9を制御し、記録紙11を副走査方向へ送る。記録ヘッド制御部21は、メモリ22上に保持された画像データを記録ヘッド5へと転送する。この画像データ転送と同期して、モータ制御部10はキャリッジモータ8を制御し、記録ヘッド5を有するキャリッジ4を主走査方向へと移動させる。記録ヘッド5は、転送される画像データに応じてノズル5aから記録紙11上へインクを吐出し、画像記録を行う。
【0033】
インクジェット記録装置によって記録紙11に画像を記録するときには、多くの物理的な位置関係を踏まえた上で、ノズルから吐出させる必要がある。例えば、記録ヘッド5は図3に示したように記録ヘッド固有の位置にノズルが配置され、複数の記録ヘッドがある場合には、記録ヘッド5間の相対的な位置も関係する。詳細には、記録ヘッド5及びノズル5aの位置は3軸(XYZ)方向のパラメータの他に、傾きといったパラメータもある。また、画像を形成するときの書込み密度と記録ヘッド5のノズル間隔及び吐出間隔のギャップを埋めるための動作にも対応する必要があり、さらに、記録ヘッド5を走査中にインクを吐出することによる記録紙11上の着弾位置(吐出インクが記録紙11に付着する位置)まで考慮する必要がある。これらの位置関係や動作条件を合わせた上で、記録紙11の意図した位置に画像を形成するために、画像レンダリング部35が設けられている。画像レンダリング部35では、位置関係や動作条件から、記録ヘッド5の各ノズル5aが吐出するための時系列データを生成する。
【0034】
さらに、色重ね順判定部36では、同じ位置に吐出される画素単位での色重ね順を判定して、各階調処理部34から出力される画像データと紐付けされた色重ね順データを画像レンダリング部35に出力する。画像レンダリング部35では、前記データに基づいて位置関係と動作条件と色重ね順から各ノズル5aが吐出するための時系列データを生成する。
【0035】
画像蓄積部37は、画像処理装置30における各データ処理が施されるときの速度差を吸収する。すなわち、画像処理する画像データを一端画像蓄積部37に蓄積し、画像処理の要求に応じて適宜出力し、画像処理を行う各部に画像データを供給する。
【0036】
図5は本実施形態において、インクジェット記録装置によって画像を記録するときの処理手順を示すフローチャートである。この制御は、画像処理装置30、CPU40、及び画像記録装置20により実行される。
【0037】
CPU40は、入力機器50からの入力を検出して、入力データから記録モード及び記録紙11への記録サイズ、データ形式などの情報を入手する(ステップS1)。これらの情報を入手した後、画像記録装置20に記録紙11の記録サイズを設定する(ステップS2)。記録サイズはA系列やB系列などの定型サイズだけでなく、xx[mm]*yy[mm]といった不定形サイズでも設定される。ステップS2の設定後、記録モードを設定する(ステップS3)。記録モードは、画像記録装置20が必要とする記録紙11の枚数や記録色数(色モード)や書込み解像度等の情報を含む。なお、ここでは図1のインクジェット記録装置にあわせて記録紙11と称しているが、用紙だけでなくフィルムなどのインクジェット記録可能な記録媒体全てを含み、前記媒体の全てを印字対象に設定することができる。
【0038】
次いで、入力データをメモリ22に蓄積する(ステップS4)。これにより、後段での処理時間が遅い場合に入力データ機器からのデータを早く引き取ることができ、また、画像形成中に中断した場合のリトライ動作を入力機器50からのデータ入力なく実施することができる。ここでは、必ずしも全てのデータを一度に蓄積する必要はなく、画像処理装置30及び画像記録装置20が必要なデータの量に分割して入力すればよい。
【0039】
その後、画像変換部31で入力データを画像処理装置30内で扱うデータに変換し(ステップS5)、色変換部32で画像データ色をインクの色に合わせて変換する(ステップS6)。この変換は、一般的にRGBデータあるいはCMYKデータの形式で入力されるデータを、CMYK、CMYK+フォトブラック、あるいはCMYK+ライトC+ライトM+フォトブラック+グレーやCMYK+オレンジ+グリーンなどのインク色に変換する。
【0040】
変換処理後、総量規制部33で記録紙11の種類にあわせて総量規制を施し(ステップS7)、階調処理部34で階調処理を実施する(ステップS8)。これに並行して各ドットのインク滴量の設定が行われる。次いで、色重ね順判定部36において階調処理の結果から色重ね順を画素毎に決定する(ステップS9)。この色重ね順を決定する処理が本発明の特徴である。ステップS9で色重ね順が決定されると、画像レンダリング部35において記録ヘッド5のスキャン単位で色重ね順と記録モードと画像記録装置20のレイアウト情報と予め設定されている位置調整値からスキャンデータを生成する(ステップS10)。
【0041】
画像記録装置20は、CPU40より通知された紙送り量に応じて紙送りモータ9を制御し、記録紙を搬送させ(ステップS11)、画像処理装置30は変換処理後の画像データを1スキャン分、画像記録装置20へ転送し、画像記録装置20は画像データを記録ヘッド5へと出力させると同時に、キャリッジモータ8を制御してキャリッジ4を移動させ、1スキャン分の画像を記録紙上へ印刷する(ステップS12)。ステップS11とステップS12の動作を全ての画像が形成されるまで繰り返して画像を形成する(ステップS13)。
【0042】
このように形成する全ての画像領域に対して最適な色重ね順とする画像を実現するためには、記録紙11への色の重なりをミクロな画素単位で判断する必要があり、画素単位における最適な色重ね順を判断するためには、画素単位に色を形成する要素の状態から判断することが最適である。また、画素単位の色形成要素とはインクの滴量(滴サイズ)である。そこで、本実施形態では、インクの滴量(滴サイズ)若しくはそれと対となす情報により色重ね順を判断し、形成する全ての画素単位で最適な色重ね順を実現するようにしている。これにより、一定条件で形成された画像や様々に施される画像処理に左右されない色重ね順を実現することができる。
【0043】
図6は色重ね順による色の変化を示す説明図である。色形成は理論上、イエロー(Y)とシアン(C)を合成した場合にグリーン(G)になる。ここではイエローY0とシアンC0の色を合成すると理論上グリーンG0になるとする。なお、Y,C,Gの後の添え字は初期色と初期色から変化した色を区別するためのものである。このようにイエローY0とシアンC0の色を合成すると理論上グリーンG0になるはずであるが、インクを重ねて色を形成する場合に、最初の色(1)が支配的なることが知られている。例えば、シアンC0を先に記録紙11に吐出し(図示(1))、後からイエローY0を記録紙11に吐出する(図示(2))とグリーンG0でなく、シアンが支配的なグリーンG1となる。
【0044】
吐出順序を逆に、イエローY0を先に記録紙に吐出し(図示(1))、後からシアンC0を記録紙11に吐出する(図示(2)))とイエローが支配的なグリーンG2となる。いずれも理論上のグリーンGOと異なる色である。このため従来では、理論上のグリーンG0を形成するために、例えば支配的な色の濃度を下げるといった処理方法を実施している。
【0045】
図7は色重ね順判定部の判定処理手順の一例を示すフローチャートである。同図では、小文字「c」「m」「y」「k」は滴量若しくは滴量と対となす階調値を示す。大文字「C」「M」「Y」「K」はインク色を表し、その右側の数値が重ね順を示す。条件分岐の下側が「真」、横側が「偽」であり、滴量が同じ場合には「偽」と判定する。
【0046】
このフローチャートでは、
1)ステップS101で「偽」、ステップS102で「偽」、ステップS103で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m≦c、c≦y
を意味し、ステップS104でY,C,M,Kの順で色を重ねる。
【0047】
2)ステップS101で「偽」、ステップS102で「偽」、ステップS103で「真」、ステップS105で「偽」、ステップS106で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m≦c、c>y、k≦y、y≦m
を意味し、ステップS107でC,Y,M,Kの順で色を重ねる。
【0048】
3)ステップS101で「偽」、ステップS102で「偽」、ステップS103で「真」、ステップS105で「偽」、ステップS106で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m≦c、c>y、k≦y、m>y
を意味し、ステップS108でC,M,Y,Kの順で色を重ねる。
【0049】
4)ステップS101で「偽」、ステップS102で「偽」、ステップS103で「真」、ステップS105で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m≦c、c>y、k>y
を意味し、ステップS109でC,M,K,Yの順で色を重ねる。
【0050】
5)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「偽」、ステップS111で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m≦y、k≦c
を意味し、ステップS112でY,M,C,Kの順で色を重ねる。
【0051】
6)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「偽」、ステップS111で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m≦y、k>c
を意味し、ステップS113でY,M,K,Cの順で色を重ねる。
【0052】
7)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「偽」、ステップS115で「偽」、ステップS116で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k≦c、k≦y、c≦y
を意味し、ステップS117でM,Y,C,Kの順で色を重ねる。
【0053】
8)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「偽」、ステップS115で「偽」、ステップS116で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k≦c、k≦y、c>y
を意味し、ステップS118でM,C,Y,Kの順で色を重ねる。
【0054】
9)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「偽」、ステップS115で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k≦c、k>y
を意味し、ステップS119でM,K,C,Yの順で色を重ねる。
【0055】
10)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「真」、ステップS120で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k≦y
を意味し、ステップS121でM,Y,K,Cの順で色を重ねる。
【0056】
11)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「真」、ステップS120で「真」、ステップS122で「偽」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k>y、c≦y
を意味し、ステップS123でM,K,Y,Cの順で色を重ねる。
【0057】
12)ステップS101で「偽」、ステップS102で「真」、ステップS110で「真」、ステップS114で「真」、ステップS120で「真」、ステップS122で「真」の場合には、滴量が
k≦m、m>c、m>y、k>y、c>y
を意味し、ステップS124でM,K,C,Cの順で色を重ねる。
【0058】
13)ステップS101で「真」、ステップS125で「偽」、ステップS126で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k≦c、c≦y
を意味し、ステップS127でY,C,K,Mの順で色を重ねる。
【0059】
14)ステップS101で「真」、ステップS125で「偽」、ステップS126で「真」、ステップS128で「偽」、ステップS129で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k≦c、c>y、m≦y、k≦y
を意味し、ステップS130でC,Y,K,Mの順で色を重ねる。
【0060】
15)ステップS101で「真」、ステップS125で「偽」、ステップS126で「真」、ステップS128で「偽」、ステップS129で「真」の場合には、滴量が
k>m、k≦c、c>y、m≦y、k>y
を意味し、ステップS131でC,K,Y,Mの順で色を重ねる。
【0061】
16)ステップS101で「真」、ステップS125で「偽」、ステップS126で「真」、ステップS128で「真」の場合には、滴量が
k>m、k≦c、c>y、m>y
を意味し、ステップS132でC,K,M,Yの順で色を重ねる。
【0062】
17)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「偽」、ステップS134で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k≦y、m≦c
を意味し、ステップS135でY,K,C,Mの順で色を重ねる。
【0063】
18)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「偽」、ステップS134で「真」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k≦y、m>c
を意味し、ステップS136でY,K,M,Cの順で色を重ねる。
【0064】
19)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「偽」、ステップS138で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m≦c、c≦y
を意味し、ステップS139でK,Y,C,Mの順で色を重ねる。
【0065】
20)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「偽」、ステップS138で「真」、ステップS140で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m>c、c>y、m≦y
を意味し、ステップS141でK,C,YC,Mの順で色を重ねる。
【0066】
21)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「偽」、ステップS138で「真」、ステップS140で「真」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m>c、c>y、m>y
を意味し、ステップS142でK,C,M,Yの順で色を重ねる。
【0067】
22)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「真」、ステップS143で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m>c、m≦y
を意味し、ステップS144でK,Y,M,Cの順で色を重ねる。
【0068】
23)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「真」、ステップS143で「真」、ステップS145で「偽」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m>c、m>y、c≦y
を意味し、ステップS146でK,Y,M,Cの順で色を重ねる。
【0069】
24)ステップS101で「真」、ステップS125で「真」、ステップS133で「真」、ステップS137で「真」、ステップS143で「真」、ステップS145で「真」の場合には、滴量が
k>m、k>c、k>y、m>c、m>y、c>y
を意味し、ステップS147でK,M,C,Yの順で色を重ねる。
【0070】
というように処理され、滴量に応じて色重ね順、若しくはインクの吐出順を設定することができる。
【0071】
また、図7のフローチャートを変更することによって滴量が同じである場合の条件を所望の条件にすることも可能である。さらに、条件文の判定を「>」から「≧」に変更することにより、同じ滴量のときの色重ね順を変更することが可能になる。例えば偶数画素の判定を「>」、奇数画素の判定を「≧」とすることにより、異なる色でインクの滴量が同じ画素が連続した場合に、交互に重ね順を付けることができる。
【0072】
図7のフローチャートでは、インク滴のサイズ、インク滴のサイズと対となす階調、及び重ね順は、
滴サイズ 対となす階調 重ね順
C:大滴 C:3 1
M:中滴 M:2 2
Y:小滴 Y:1 3
K:滴なし K:0 4
及び
滴サイズ 対となす階調 重ね順(1) 重ね順(2)
C:大滴 C:3 1 2
M:大滴 M:3 2 1
Y:中滴 Y:2 3 3
K:小滴 K:1 4 4
のような関係にあり、上記のような関係に基づいて図7のフローチャートの色重ね順が設定されている。なお、CMYKの内の少なくとも2つの画像データが同一の場合(上記では、C及びMが大滴の場合)には、予め設定されている優先順、例えば隣接する異なる色間の画素で交互に重ね順を変更する。
【0073】
また、階調処理部34で階調処理する際に入力画像データと出力階調が
画像データ 対となす階調 滴量
C:255 C:3 C:大滴
M:250 M:3 M:大滴
Y:0 Y:0 Y:滴なし
K:0 K:0 K:滴なし
のようになる場合、シアンCとマゼンダMのインク滴量は同じ滴量(大滴)になるが、階調処理の入力データ上ではシアンCが大きい値であるので、シアンCの重ね順を優先する。これによりシアンCをマゼンダMより強く表現することができる。
【0074】
上記の他に、異なる色間において、設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が同一である状態が複数連続したときに、予め設定されている所定の繰り返しパターンで複数の異なるインク色の重なり順を交互と判定する。
【0075】
また、異なる色間において、設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が同一の場合で、かつ、入力された画像データの濃度が同一の場合に、予め設定されている優先順によりインク色の重なり順を判定する。
【0076】
その際、画像レンダリング部35では、インク色の重なり順の1番目として判定された色のみ判定順に従って画像レンダリング処理を実施し、他の順番については特に判定しないようにする。
【0077】
なお、前記色重ね制御をコンピュータによって実行させることも可能であり、その場合には、記録紙11上に重なり合うように吐出される各色インクの滴量若しくは前記滴量と対となす階調の情報を比較し、インクの滴量が多い順又は階調の情報が大きい順にインク滴を重ねる順番を判定する手順と、判定されたインク滴を重ねる順番に従って画像データを並べ替える手順が必須である。
【0078】
以上のように本実施形態によれば、
・色重ね順判定部36は、記録紙11上に重なり合うように吐出される各色インクの滴量又はインクの滴量と対となす階調の情報を比較し、インクの滴量が多い順又は階調の情報が大きい順にインク滴を重ねる順番を判定し、画像レンダリング処理部35は、前記判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替えるので、処理条件の変更があってもその変更に対応し、形成する全ての画素単位で最適な色重ね順を実現することができる。
・インク滴量設定手段として機能する総量規制部33及び階調処理部34で、記録モードに応じてインクの滴量と階調の情報との関係を、例えば大滴、中滴、小滴及び滴なしの4階調に設定するので、記録モードの相違に対応することができる。
・異なる色間において、設定されたインクの滴量又はインクの滴量と対となす階調の情報が同一である場合には、予め設定されている優先順により異なる色のインク滴を重ねる順番を判定するので、色域を広くすることができる。例えば、インク色はCMYKといった基本色だけでなく、中間濃度のインクを備えている場合があり、このような場合に、基本色と中間濃度のインクの滴量が同じときには、基本色を優先させると判定する。これにより色域を広くすることができる。
・異なる色間において、設定されたインクの滴量又はインクの滴量と対となす階調の情報が同一である状態が複数連続したときには、前記異なる色のインク滴を重ねる順番を交互と判定するので、2つの色順で表現された色の中間色を表現することができる。
・異なる色間において、設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が同一である場合には、画像データの濃度が大きい方を優先して異なる色のインク滴を重ねる順番を判定するので、インク滴量で表現しきれなかった色情報を色重ね順で表現することが可能となる。すなわち、基本色のインクの滴量が同じ場合でも、総量規制部33及び階調処理部34に入力された画像データを比較すると、異なる場合が多く存在する。その場合に入力された画像で比較するので、インク滴量に表現しきれなかった色情報を色重ね順で表現することができる。
・異なる色間において、設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量に対となす階調の情報が同一の場合で、かつ、入力された画像データの濃度が同一の場合に、予め設定されている優先順により異なる色のインク滴を重ねる順番を判定するので、インク滴量に表現しきれなかった色情報を色重ね順で表現することができる。すなわち、基本色のインクの滴量が同じ場合でも、総量規制部33及び階調処理部34に入力された画像データを比較すると、異なる場合が多く存在する。その場合に総量規制部33及び階調処理部34に入力された画像データで比較するので、インク滴量に表現しきれなかった色情報を色重ね順で表現することができる。それでも同じ場合が連続する場合には、複数の異なるインク色の重なり順を交互と判定して画像を形成するので、2つの色順で表現された色の中間色を表現することができる。
・画像レンダリング部35はインク色の重なり順の1番目と判定された色のみ判定順に従って画像データを並べ替えるので、短時間で画像を形成することができる。すなわち、CMYの3つの基本色の記録ヘッドを走査して画像を形成する構成においては3回走査することによって定義された色重ね順を実現できるが、最も支配的な最初の色のみ形成した後は、順番を固定して形成することにより理想の色重ね順は実現できないものの、2回の走査で画像形成できる。これにより、前者より短時間で画像を形成することができる。
等の効果を奏する。
【0079】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
4 キャリッジ
5 記録ヘッド
5a ノズル
8 キャリッジモータ
10 モータ制御部
11 記録紙
20 画像記録装置
21 記録ヘッド制御部
30 画像処理装置
33 総量規制部
34 階調制御部
35 画像レンダリング部
36 色重ね順判定部36
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2001−253099号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に異なる色の複数のインク滴を重ねて画像を形成する画像形成装置であって、
入力された画像データに基づいて前記記録媒体上に重なるように吐出される各色のインクの滴量をそれぞれ設定するインク滴設定手段と、
前記画像データを並べ替える画像レンダリング処理手段と、
前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定する色重ね順判定手段と、
を備え、
前記色重ね順判定手段は、インク滴設定手段が設定した前記各色インクの滴量又は前記インクの滴量と対となす階調の情報を比較し、前記インクの滴量が多い順又は前記階調の情報が大きい順に前記インク滴を重ねる順番を判定し、
前記画像レンダリング処理手段は、前記判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記インク滴設定手段は、記録モードに応じて前記各色インクの滴量と前記インクの滴量と対となす階調の情報との関係を設定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記インク滴量設定手段で設定されたインクの滴量又は前記インクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一である場合には、前記色重ね順判定手段は予め設定されている優先順により前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記インク滴量設定手段で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一であり、その状態が複数連続したときには、前記色重ね順判定手段は予め設定されている所定の繰り返しパターンで前記異なる色のインク滴を重ねる順番を交互と判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記インク滴量設定部で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一である場合には、前記色重ね順判定手段は前記インク適量設定部に入力された画像データの濃度が大きい方を優先して前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記インク滴量設定部で設定されたインクの滴量若しくはインクの滴量と対となす階調の情報が異なる色で同一であり、かつ、前記インク適量設定部に入力された画像データの濃度が同一の場合に、前記色重ね順判定手段は予め設定されている優先順により前記異なる色のインク滴を重ねる順番を判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像レンダリング処理手段は、前記異なる色のインク滴を重ねる順番の1番目と判定された色のみ判定順に従って、前記画像データを並べ替えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータに対して記録媒体に異なる色のインク滴を重ねて画像を形成させる色重ね順制御プログラムであって、
前記記録媒体上に重なり合うように吐出される各色インクの滴量又は前記滴量と対となす階調の情報を比較し、前記インクの滴量が多い順又は前記階調の情報が大きい順に前記インク滴を重ねる順番を判定する手順と、
前記判定されたインク滴を重ねる順番に従って、前記画像データを並べ替える手順と、
を備えていることを特徴とする色重ね順制御プログラム。

【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−148489(P2012−148489A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9116(P2011−9116)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】