説明

画像形成装置

【課題】 本発明は、FANを製品外部から空気を吸気するように用いて、製品外部の空気を転写材に吹き付け冷却する事によって、厚紙・OHTのような熱容量の大きい特殊紙のこすれやスジ、張り付き等の現象を防止しする事を目的としている。さらに、一つのFANで複数の排紙口の中で、排紙する排紙口にのみ空気を吹き付ける様な切り替え機構を持つ事によって、製品コストを下げ、製品の小型化することを目的としている。
【解決手段】 上記の目的を達成するために、本出願に関わる発明は、紙搬送経路を切り替えるフラッパーに連動して転写材を排紙する排紙口にのみ冷却装置から送られてくる製品外気の空気を吹き付けるように切り替わるダクト機構をもつことによって、転写材に効率よく空気を直接当てることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式により、トナー像を形成し転写材上に転写して画像を得る画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、モノクロ・カラー画像形成装置のプリンターでは、一般的に印字面を下に排紙するフェイスダウン排紙(FD排紙)で排紙することが多い。また、印字面を上にして排紙するフェイスアップ排紙(FU排紙)で排紙する機構をあわせ持つ製品も多い。
【0003】図6は、従来の画像形成装置の構成を示す断面図である。130は給紙装置、120は中間転写ベルトユニット、150は紙搬送ユニット、140は定着ユニットである。転写材Pは、給紙ローラ131を経て、リタードローラ132、搬送ローラ133を経て紙搬送ユニット150へ送られる。トナー像は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順で各色の現像剤(トナー)を備えた画像形成ステーションに設けられている各色の感光ドラムの表面を、それぞれに対応したレーザースキャナー装置100Y、100M、100C、100Bkより発せられたレーザ光により露光され現像されることによって形成される。
【0004】トナー像を形成した感光ドラム101Y、101M、101C、101Bkは、駆動ローラ122によって時計方向に回動している中間転写ベルト121に一次転写を行う。そして、紙搬送ユニット150で運ばれた転写材Pに、トナー像を二次転写ローラ151によって二次転写を行う。トナー像を転写された転写材Pはそのまま定着ユニット140を通り定着され、FU排紙の場合は排紙口切り替えフラッパー55が切り替わり、転写材は排紙口切り替えフラッパー55の下方面を通り、FU排紙ローラ153でFU排紙トレー155に排紙される。FD排紙の場合は、排紙口切り替えフラッパー55が切り替わり、転写材は排紙口切り替えフラッパー55の上方面を通り、搬送ローラ152によって転写材を製品上部に運び、FD排紙ローラ154によって製品上部のFDトレイ156に排紙される。
【0005】従来の製品は、製品本体内の温度を下げる目的でFAN等の冷却装置がいくつか取り付けられている。構成上大量の熱を放出している定着ユニット140の付近、高熱を嫌う光学系ユニット100の付近を冷却するために、熱せられた空気を排気する様にFAN(排気)170が取り付けられている。上記FAN(排気)170は製品本体内の冷却のための排気だけでなく、本体内で転写材に排気中の空気を吹き付けることによって、転写材の冷却を同時に行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、プリンター及び複写機等の画像形成装置でもメディアフレキシビリティの向上、プリントスピードの高速化が進んでおり、OHTや薄い紙、厚紙等様々な種類のものが転写材として使用され、高速印字を行っている。図6の様な構成でユーザが特に厚紙やOHTを転写材として使用し印字した場合に、厚紙やOHTは熱容量が大きく、転写材が定着器の熱で非常に熱いまま排紙されることによってトナーが完全に定着されないまま排紙され、印字画像にこすれやスジ等の現象や、排紙口で張り付きのような現象が希に現れることがある。
【0007】現在の画像形成装置は、FAN等の冷却装置を持つ物が主流であり、転写材を冷却するために、複数排紙口がある製品はそれぞれの排紙口にFANを取り付けており、製品コストが高くなるだけでなく、製品の大型化にもつながる。
【0008】上記以外にも、本体冷却用のFANを用いて製品本体内で製品本体内の排気している空気を利用し、転写材に排気中の空気を吹き付けることによって転写材の冷却を行っているが、製品内部の暖かい空気を転写材に吹き付けるために、転写材の冷却効果は十分に得られない。
【0009】そこで本発明は、FANを製品外部から空気を吸気するように用いて、製品外部の空気を転写材に吹き付け冷却する事によって、厚紙・OHTのような熱容量の大きい特殊紙のこすれやスジ、張り付き等の現象を防止しする事を目的としている。さらに、一つのFANで複数の排紙口の中で、排紙する排紙口にのみ空気を吹き付ける様な切り替え機構を持つ事によって、製品コストを下げ、製品の小型化することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本出願に関わる発明は、紙搬送経路を切り替えるフラッパーに連動して転写材を排紙する排紙口にのみ冷却装置から送られてくる製品外気の空気を吹き付けるように切り替わるダクト機構をもつことによって、転写材に効率よく空気を直接当てることが可能となる。また、排紙直後の転写材の張り付きやこすれ、スジ等の発生をおさえることができる。さらに紙搬送路切り替えフラッパーとダクトが連動する事によって、複数の排紙口それぞれに冷却装置を取り付けなくてもよく、コストダウンをはかれるだけでなく、製品の小型化も可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
【実施例】図1に本特許の全体構成の概要図を示す。製品の構成で従来例と等しいところには同符号をつけて説明を省略する。切り替え機構50はFU排紙口10とFD排紙口11に搬送経路を切り替える装置である。ユーザがFU排紙口10かFD排紙口11を選択することによって、不図示の駆動手段であるソレノイドが、紙搬送切り替えフラッパー55を回動させることによって、紙搬送経路を切り替える構成になっている。
【0012】まず、転写材をFU排紙口10に排紙する場合について説明する。図2に紙搬送切り替えフラッパーの構成図を示す。ユーザがFU排紙を選択すると、駆動手段であるソレノイド51にソレノイド鉄心51Fを矢印a方向に押し出す方向に図示しない回路より電流が流される。ソレノイド51の駆動により、ソレノイドシーソ52のソレノイドシーソ回動軸52Sを中心にソレノイドシーソ52の右側52Rを下げる事によってソレノイドシーソ52の左側52Lを持ち上げ、ソレノイドシーソ52に当接しているソレノイドピン53を矢印b方向に持ち上げる。ソレノイドピン53に当接しているリンク部材54を矢印c方向に回動させることによって、紙搬送切り替えフラッパー55を回動させ、紙搬送経路を切り替える。同時に、ソレノイドピン53は、スライダーバネ34によって矢印d方向に押さえられているスライダー33と連結されており、スライダーバネ34のバネ力にうち勝って矢印e方向にスライドさせる。下開閉蓋36はスライダー33と連結しており、スライダー33が上方向にスライドする事によって、下開閉蓋回動中心38を中心に矢印f方向に回動する。
【0013】FU排紙口10に排紙される場合のダクト構成を図3に示す。図3(a)は冷却装置ユニットを図1R>1の左側からみた図、図3(b)は断面図である。スライダー33、下開閉蓋36の動きは上述の通りである。FAN171により取り込まれた製品外の空気は、スライダー33に吹き付けられる。その時スライダー33は上方向にスライドしており、スライダー穴35とダクト31にあけられたダクト穴32との位相がずれており、空気はFD排紙の通紙領域40に吹き付けられない。スライダー33に連結されている下開閉蓋36が、スライダー33の動きに併せて下開閉蓋回動中心38を中心に矢印m方向に回動しFU排紙トレー155上に排紙されている転写材Pに吹き付けられる状態になり、FAN171により取り込まれた製品外の空気は、矢印z方向にそってFU排紙トレー155上に排紙されている転写材Pに吹き付けられる。
【0014】次に、FD排紙口11に排紙する場合について説明する。図4に紙搬送切り替えフラッパーの構成図を示す。ユーザがFD排紙を選択すると、駆動手段であるソレノイド51にソレノイド鉄心51Fを矢印g方向の引き戻す方向に図示しない回路より電流が流される。上述より、ソレノイドシーソ52のソレノイドシーソ回動軸52Sを中心にソレノイドシーソ52の右側52Rを上げる事によってソレノイドシーソ52の左側52Lを下げる、ソレノイドシーソ52に当接しているソレノイドピン53を矢印h方向に持ち下げる。ソレノイドピン53に当接しているリンク部材54を矢印i方向に回動させることによって、紙搬送切り替えフラッパー55を回動させ、紙搬送経路を切り替える。同時に、ソレノイドピン53は、スライダーバネ34によって矢印j方向に押さえられているスライダー33と連結されており、矢印k方向にスライドさせる。下開閉蓋36はスライダー33と連結しており、スライダー33が下方向にスライドする事によって、下開閉蓋回動中心38を中心に矢印l方向に回動する。
【0015】FD排紙口11に排紙される場合のダクト構成を図5に示す。図5(a)は冷却装置ユニットを図1R>1の左側からみた図、図5(b)は断面図である。スライダー33、下開閉蓋36の動きは上述の通りである。FAN171により取り込まれた製品外の空気は、スライダー33に吹き付けられる。その時スライダー33は下方向にスライドしており、スライダー穴35とダクト31にあけられたダクト穴32との位相が合う状態になり、空気はFD排紙の通紙領域40に吹き付けられる。製品内部に取り込まれた空気は、スライダー33に連結されている下開閉蓋36が、スライダー33の動きに併せて下開閉蓋回動中心38を中心に矢印n方向に回動しFU排紙口11方向に吹き付けられない状態になるために、すべてFD排紙の通紙領域に吹き付けられる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、冷却装置を用いて製品の外気を取り込み転写材に積極的に吹き付けることによって、冷えた転写材を排紙することができるようになる。また、排紙直後の転写材の張り付きやこすれ、スジ等の発生をおさえることができる。さらに紙搬送路切り替えフラッパーとダクトが連動する事によって、排紙される紙搬送経路のみに外気を吹き付けることができ、複数の排紙口それぞれに冷却装置を取り付けなくてもよく、コストダウンをはかれるだけでなく、製品の小型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本特許の画像形成装置構造概要図である。
【図2】紙搬送切り替えフラッパーの構成図(FU)である。
【図3】本特許の冷却機構構造概要図(FU)である。
【図4】紙搬送切り替えフラッパーの構成図(FD)である。
【図5】本特許の冷却機構構造概要図(FD)である。
【図6】従来の画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
10 FU排紙口
11 FD排紙口
30 冷却装置ユニット
31 ダクト
32 ダクト穴
33 スライダー
34 スライダーバネ
35 スライダー穴
36 下開閉蓋
37 ジョイント部材
38 下開閉蓋回動中心
40 通紙領域
50 切り替え機構
51 ソレノイド
51F ソレノイド鉄心
52 ソレノイドシーソ
52S ソレノイドシーソ回動軸
52R ソレノイドシーソ回動中心より右側部分
52L ソレノイドシーソ回動中心より左側部分
53 ソレノイドピン
54 リンク部材
55 排紙口切り替えフラッパー
100 光学系ユニット
101 感光ドラム
120 中間転写ベルトユニット
121 中間転写ベルト
140 定着ユニット
151 二次転写ローラ
152 搬送ローラ
153 FU排紙ローラ
154 FD排紙ローラ
155 FU排紙トレー
156 FD排紙トレー
170 FAN(排気)
171 FAN
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一つ以上の像露光手段と一つ以上の像担持体を含む画像形成手段を有し、該画像形成手段で形成された、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段、トナー像を転写された転写材を定着する定着手段、トナー像を定着された転写材を排紙する排紙手段を有し、少なくとも二つ以上の排紙経路と、前記二つ以上の排紙経路を選択する切り替え手段と、本体外部の空気を吸気し排紙経路に吹き付ける手段を持つ画像形成装置において、前記転写材の排紙経路を選択する切り替え手段と連動して、転写材が排紙される排紙経路にのみ空気を吹き付けるようにした事を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−295545(P2003−295545A)
【公開日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−101377(P2002−101377)
【出願日】平成14年4月3日(2002.4.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】