説明

画像形成装置

【課題】部品の精度を向上させることなく、送りローラによる用紙の搬送を精度良く制御することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置(熱転写プリンタ)では、駆動ギア13により駆動されるとともに、用紙を搬送する送りローラ2の送りローラギア15を駆動する中間ギア14の中間ギア軸受部9bおよび10bが、駆動ギア13および送りローラギア15から受ける力の合力P3の方向側に設けられた凹部9eおよび10dを含み、中間ギア軸受部9bおよび10bは、中間ギア14の軸部14cが受ける合力P3の方向側に、合力P3の変動によって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部9bおよび10bとの接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部9dおよび10cを含み、支持部9dおよび10cは、少なくとも凹部9eおよび10dの両側上端部の近傍部分により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、駆動力を伝達する中間ギアを回転可能に支持する中間ギア軸受部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間ギアを回転可能に支持する中間ギア軸受部を備えた構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、モータギアに噛合する中間ギアの軸部を回転可能に支持する中間ギア軸受部を撓み変形可能な樹脂により形成するとともに、その中間ギア軸受部を支持する軸受支持部材(シャーシの側板)に設けられた逃げ部(切り欠き部)の方向に中間ギア軸受部を撓み変形させることにより、中間ギア軸受部が受ける力を逃がすことによって、中間ギア軸受の破断を防止する構造(軸受装置)が開示されている。
【0004】
また、従来、画像形成装置の一例として、熱転写プリンタが知られている。図13は、従来の熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図14は、図13に示した従来の熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した正面図である。図15は、図13に示した従来の熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した平面図である。図16〜図19は、図13に示した従来の一例による熱転写プリンタの構造の詳細を示した図である。図13〜図19を参照して、従来の一例による熱転写プリンタの構造について説明する。
【0005】
従来の熱転写プリンタは、図13および図14に示すように、一方側面101aおよび他方側面101bを有する金属製のシャーシ101と、送りローラ102と、送りローラ102を回転可能に支持する送りローラ軸受103と、送りローラ102に所定の押圧力で接触する押さえローラ104と、押さえローラ104を回転可能に支持する押さえローラ軸受105と、用紙に対して印画を行うサーマルヘッド106と、金属製の軸受支持板107と、引張りコイルバネ108と、樹脂製の側板109と、金属製のモータブラケット110と、モータブラケット110に取り付けられたモータ111と、モータギア112(図14参照)と、駆動ギア113と、中間ギア114と、送りローラ102に伴って回転する送りローラギア115と、揺動可能な揺動ギア116と、インクシート巻取ギア117と、伝達ギア118〜122と、給紙ローラ軸ギア123と、給紙ローラ軸ギア123に伴って回転する給紙ローラ軸124と、給紙ローラ軸124に取り付けられたゴム製の給紙ローラ125(図13参照)と、排紙ローラ軸ギア126と、排紙ローラ軸ギア126に伴って回転する排紙ローラ軸127と、排紙ローラ軸127に取り付けられたゴム製の排紙ローラ128とを備えている。
【0006】
また、図13に示すように、シャーシ101の他方側面101bには、インクシートを内蔵するインクシートカートリッジ(図示せず)を挿入するためのインクシートカートリッジ挿入孔101cが設けられている。また、シャーシ101の他方側面101bには、引張りコイルバネ108の一方端を取り付けるための引張りコイルバネ取付孔101dが設けられている。また、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bには、給紙ローラ軸124を回転可能に支持する給紙ローラ軸取付孔101dが設けられている。また、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bには、排紙ローラ軸127を回転可能に支持するための排紙ローラ軸取付孔101fが設けられている。また、用紙を搬送する送りローラ102には、用紙搬送部102aが設けられている。送りローラ102の用紙搬送部102aの表面には転造加工が施されており、所定の高さを有する凸部が形成されている。また、サーマルヘッド106は、支軸106aを中心として
、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に回動可能に取り付けられており、用紙から離間する方向(図13の矢印B2方向)に付勢されている。また、押さえローラ軸受105を支持する軸受支持板107は、支持部107aを中心としてシャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に回動可能に取り付けられている。また、軸受支持板107のバネ取付部107bには、引張りコイルバネ108の他方端が取り付けられている。引張りコイルバネ108は、軸受支持板107および押さえローラ軸受105を介して、押さえローラ104を送りローラ102に対して押圧する方向に付勢する機能を有する。
【0007】
また、シャーシ101の一方側面101aには、側板109およびモータブラケット110が取り付けられている。また、モータブラケット110には、送りローラ102、インクシート巻取ギア117、給紙ローラ125および排紙ローラ128の駆動源としての機能を有するモータ111が取り付けられている。また、図14に示すように、モータ111には、モータ111に伴って回転するモータギア112が取り付けられている。また、駆動ギア113には、モータギア112に噛合する大径ギア部113aと、中間ギア114に設けられた大径ギア部114aに噛合し、大径ギア部113aよりも小さな径を有する小径ギア部113bと、軸部113cとが設けられている。また、駆動ギア113の軸部113cは、図15に示すように、側板109に設けられた駆動ギア軸受部109aおよびモータブラケット110に設けられた駆動ギア軸受部110aに回転可能に支持されている。また、中間ギア114には、送りローラギア115に噛合し、大径ギア部114aよりも小さな径を有する小径ギア部114bと、軸部114cとが設けられている。また、中間ギア114の軸部114cは、側板109に設けられた中間ギア軸受部109bおよびモータブラケット110に設けられた中間ギア軸受部110bに回転可能に支持されている。また、図16に示すように、側板109の中間ギア軸受部109bおよびモータブラケット110の中間ギア軸受部110bは、円状の内面を有する。また、図18および図19に示すように、モータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび側板109の中間ギア軸受部109bは、接触位置Qで軸部114cの両端部を支持している。また、側板109の送りローラ軸受部109cは、図15に示すように、送りローラギア115が取り付けられている送りローラ102の一方を回転可能に支持している。
【0008】
次に、図13、図14、図17〜図19を参照して、従来の熱転写プリンタの印画動作について説明する。まず、図14に示すように、モータ111が駆動するのに伴って、モータ111に取り付けられたモータギア112が矢印D2方向に回転する。これにより、駆動ギア113および中間ギア114が矢印E2方向および矢印F2方向に回転するとともに、送りローラギア115が矢印G2方向に回転する。この時、揺動ギア116は、インクシート巻取ギア117に噛合し、インクシート巻取ギア117を矢印H2方向に回転させる。これにより、インクシート(図示せず)を巻き取るためのインクシート巻き取り部材(図示せず)が回転される。また、モータ111とは別個に設けられた図示しないモータの駆動によって、サーマルヘッド106は、インクシート(図示せず)と用紙とを押圧する方向(図13の矢印C2方向)に回動する。これにより、用紙に対する印画が行われる。また、図14に示すように、送りローラギア115の矢印G2方向の回転に伴って、送りローラギア115に取り付けられた送りローラ102が矢印G2方向に回転される。これにより、送りローラ102は、用紙を排紙方向(印画方向)(図13の矢印A2方向)に搬送する。また、送りローラギア115の矢印G2方向の回転により、伝達ギア118を介して、伝達ギア119が矢印I2方向に回転する。このとき、揺動可能な伝達ギア121は、給紙ローラ軸ギア123に噛合している。したがって、伝達ギア119の矢印I2方向の回転により、伝達ギア121、給紙ローラ軸ギア123を介して、排紙ローラ軸ギア126は矢印J2方向に回転し、排紙ローラ軸ギア126に伴って回転する排紙ローラ128は用紙を排紙方向(印画方向)(図13の矢印A2方向)に搬送する。
【0009】
この際、中間ギア114は、図17に示すように、駆動ギア113の小径ギア部113bから受ける力P4および送りローラギア115を回転させる際に抗力として受ける力P5の合力として、力P6を受ける。これにより、図18に示すモータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび図19に示す側板109の中間ギア軸受部109bは、合力P6の線上で中間ギア114の軸部114cに押圧される。この際、矢印F2方向に回転する中間ギア114の軸部114cの接触部Qに摩擦力μP6(μは動摩擦係数)が働く。この摩擦力μP6により、中間ギア114の軸部114cは、モータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび側板109の中間ギア軸受部109bの内面に沿って移動を始める。そして、中間ギア114の軸部114cは、摩擦力μP6cosθ3と力P6sinθ3とが等しくなる角度θ3だけ傾いた位置で移動を止める。これにより、接触部Qが角度θ3だけ傾いた位置で、中間ギア114の軸部114cは回転する。
【0010】
ところで、従来では、軸を回転可能に支持する軸受を備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献2および3参照)。
【0011】
上記特許文献2には、感光ドラムに押圧接触するように配置されるとともに、感光ドラムのトナー像を用紙に転写する転写ローラ(帯電ローラ)の芯金を回転可能に支持し、かつ、帯電ローラの芯金に給電を行う導電性軸受に、帯電ローラの芯金に付着し、給電不良を起こすトナー(粉状の印字材料)を掻き落とすためのトナー排出溝を設けた画像形成装置(電子写真プリンタ)の給電装置が開示されている。
【0012】
また、上記特許文献3には、感光体周りを駆動する軸を回転可能に支持する軸受に、トナー、剤、紙粉および磨耗粉を掻き落とすためのスパイラル状の溝を設けることによって、摺動音(いわゆるキュルキュル音)の発生を防止するレーザープリンタ(画像形成装置)のすべり軸受が開示されている。
【特許文献1】特開平10−184663号公報
【特許文献2】特開2000−75598号公報
【特許文献3】特開2002−122132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13〜図19に示した従来の熱転写プリンタでは、印画時に用紙の受ける力の変動に起因して中間ギア114の軸部114cが受ける合力P6が変動した場合に、摩擦力μP6が増減する。これにより、中間ギア114の軸部114cがモータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび側板109の中間ギア軸受部109bの内面に沿って移動するという不都合があった。具体的には、印画時に用紙の受ける負荷が増加し、用紙を搬送する送りローラ102を回転させる力P5(図17参照)が大きくなった場合には、中間ギア114の軸部114cを移動させる摩擦力μP6(図18および図19参照)が増加するので、角度θ3が大きくなるように中間ギア114の軸部114cが移動する。また、逆に、印画時に用紙の受ける負荷が減少し、用紙を搬送する送りローラ102を回転させる力P5(図17参照)が小さくなった場合には、中間ギア114の軸部114cを移動させる摩擦力μP6(図18および図19参照)が減少するので、角度θ3が小さくなるように14の軸部114cが移動する。この際、中間ギア114の軸部114cは、モータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび側板109の中間ギア軸受部109bの内面に沿って回転せずに移動するので、中間ギア114の回転量が変動するという不都合があった。
【0014】
従来では、上記のように、中間ギア114の回転量が変動すると、送りローラギア115の回転量も変動するので、送りローラギア115に伴って回転する送りローラ102の
用紙の搬送量が変動するという不都合があった。このため、用紙に送りムラが発生するので、送りローラ102による用紙の搬送を精度良く制御することが困難になるという問題点があった。
【0015】
また、従来では、上記した用紙の送りムラを抑制するために、中間ギア114の軸部114cの外面と、モータブラケット110の中間ギア軸受部110bおよび側板109の中間ギア軸受部109bの内面との嵌合隙間が小さくなるように中間ギア114、モータブラケット110および側板109を形成していた。このため、中間ギア114、モータブラケット110および側板109の部品精度を向上させる必要があるので、部品コストが上昇するという問題点があった。
【0016】
また、上記特許文献1に開示された構造(軸受装置)では、中間ギア軸受が撓むため、中間ギア軸受によって支持される中間ギアが移動するという不都合がある。このため、用紙に送りムラが発生するので、用紙の搬送を精度良く制御することが困難になるという問題点がある。
【0017】
また、上記特許文献2に開示された画像形成装置(電子写真プリンタ)では、感光ドラムに押圧接触するとともに感光ドラムに形成されたトナー像を用紙に転写する転写ローラを回転可能に支持する導電性軸受を有する構造を前提としており、用紙を搬送するための送りローラの送りローラギアに駆動力を伝達する中間ギアの軸部を回転可能に支持する軸受を有する構造を前提とする本発明とは、前提とする構造が全く異なる。このため、特許文献2では、用紙の受ける負荷の変動に起因して、中間ギアが受ける力が変動し、その結果、中間ギアの軸が移動するために用紙の送り精度が低下するという問題点が発生しない。つまり、特許文献2には、本発明が解決しようという課題(問題点)が存在しない。したがって、特許文献2の記載は、本発明の動機付けにはなり得ない。
【0018】
また、特許文献3では、レーザプリンタの感光体周りのトナーなどが付着する軸を回転可能に支持する軸受を有する構造を前提としており、用紙を搬送するための送りローラの送りローラギアに駆動力を伝達する中間ギアの軸部を回転可能に支持する軸受を有する構造を前提とする本発明とは、前提とする構造が全く異なる。このため、特許文献3では、用紙の受ける負荷の変動に起因して、中間ギアが受ける力が変動し、その結果、中間ギアの軸が移動するために用紙の送り精度が低下するという問題点が発生しない。つまり、特許文献3には、本発明が解決しようという課題(問題点)が存在しない。したがって、特許文献3の記載は、本発明の動機付けにはなり得ない。
【0019】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の精度を向上させることなく、送りローラによる用紙の搬送を精度良く制御することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、用紙に対して印画を行う印字ヘッド部と、用紙を搬送する送りローラと、送りローラに取り付けられ、送りローラを駆動する送りローラギアと、送りローラギアを駆動するとともに、軸部を有する中間ギアと、中間ギアを駆動する駆動ギアと、中間ギアの軸部を回転可能に支持する中間ギア軸受部とを備え、中間ギア軸受部により回転可能に支持された中間ギアの軸部は、印画時に送りローラにより用紙を所定の方向に搬送する際に送りローラギアおよび駆動ギアから所定の方向の力を受けるとともに、中間ギアの軸部が送りローラギアおよび駆動ギアから受ける力の合力が、印画時に用紙の受ける力の負荷の変動に起因して変動する画像形成装置において、一方側面および他方側面を有するシャーシと、シャーシの一方側面に取り付けられ、送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受が一体的に設けられた樹脂製の側板と、シャーシ
の一方側面に取り付けられ、送りローラの駆動源としてのモータを取り付けるためのモータブラケットとをさらに備え、中間ギア軸受部は、合力の方向側に設けられた凹部をさらに含み、中間ギア軸受部は、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を含み、中間ギア軸受部の支持部は、少なくとも凹部の両側上端部の近傍部分により構成されており、中間ギアの軸部は、中間ギアに一体的に形成されており、中間ギア軸受部は、中間ギアの軸部の一方端を回転可能に支持するとともに樹脂製の側板に一体的に形成されている第1中間ギア軸受部と、中間ギアの軸部の他方端を回転可能に支持するとともにモータブラケットに一体的に形成されている第2中間ギア軸受部とを含む。
【0021】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、中間ギア軸受部に、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を設けることによって、中間ギアを中間ギア軸受部の内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギアの回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギアによって駆動される送りローラの回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラによる用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。また、上記のように中間ギア軸受部に支持部を設けることにより用紙の搬送を精度良く制御することが可能となるので、中間ギアの軸部および中間ギア軸受部の部品精度を向上させる必要も無い。また、中間ギア軸受部は、合力の方向側に設けられた凹部をさらに含み、中間ギア軸受部の支持部を、少なくとも凹部の両側上端部の近傍部分により構成することによって、中間ギアの軸部を、凹部側に押圧しながら、凹部の両側に設けられた一対の突起部に接触する2個所で支持することができるので、1個所で支持する場合に比べて、中間ギアの軸部を支持部に沿って動きにくくすることができる。これにより、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制することができるので、中間ギアを中間ギア軸受部の内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギアの回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギアによって駆動される送りローラの回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラによる用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。
【0022】
また、第1の局面では、中間ギアの軸部を、中間ギアに一体的に形成することによって、軸部を別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、一方側面および他方側面を有するシャーシと、シャーシの一方側面に取り付けられ、送りローラを回転可能に支持する送りローラ軸受が一体的に設けられた樹脂製の側板とをさらに備え、中間ギア軸受部に、中間ギアの軸部の一方端を回転可能に支持するとともに樹脂製の側板に一体的に形成されている第1中間ギア軸受部を設けることによって、中間ギア軸受部を樹脂製の側板とは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、シャーシの一方側面に取り付けられ、送りローラの駆動源としてのモータを取り付けるためのモータブラケットをさらに備え、中間ギア軸受部に、中間ギアの軸部の他方端を回転可能に支持するとともにモータブラケットに一体的に形成されている第2中間ギア軸受部とを設けることによって、中間ギア軸受部をモータブラケットとは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0023】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、用紙に対して印画を行う印字ヘッド部と、用紙を搬送する送りローラと、送りローラに取り付けられ、送りローラを駆動する送りローラギアと、送りローラギアを駆動するとともに、軸部を有する中間ギアと、中間ギアを駆動する駆動ギアと、中間ギアの軸部を回転可能に支持する中間ギア軸受部とを備え、中間ギア軸受部により回転可能に支持された中間ギアの軸部は、印画時に送りローラにより用紙を所定の方向に搬送する際に送りローラギアおよび駆動ギアから所定の方向の力を
受けるとともに、中間ギアの軸部が送りローラギアおよび駆動ギアから受ける力の合力が、印画時に用紙の受ける力の負荷の変動に起因して変動し、中間ギア軸受部は、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を含む。
【0024】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、中間ギア軸受部に、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を設けることによって、中間ギアを中間ギア軸受部の内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギアの回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギアによって駆動される送りローラの回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラによる用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。また、上記のように中間ギア軸受部に支持部を設けることにより用紙の搬送を精度良く制御することが可能となるので、中間ギアの軸部および中間ギア軸受部の部品精度を向上させる必要も無い。
【0025】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、中間ギア軸受部は、合力の方向側に設けられた凹部をさらに備え、中間ギア軸受部の支持部は、少なくとも凹部の両側上端部の近傍部分により構成されている。このように構成すれば、中間ギアの軸部を、凹部側に押圧しながら、凹部の両側に設けられた一対の突起部に接触する2個所で支持することができるので、1個所で支持する場合に比べて、中間ギアの軸部を支持部に沿って動きにくくすることができる。これにより、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制することができるので、中間ギアを中間ギア軸受部の内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギアの回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギアによって駆動される送りローラの回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラによる用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。
【0026】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、中間ギア軸受部の支持部は、中間ギアの軸部の外径と実質的に同一の内径を有するとともに、180度未満の角度範囲の凹状の円弧形状で、かつ、面状に形成された支持面を含む。このように構成すれば、中間ギアの軸部を面状に支持することができるので、合力の変化によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するという不都合が生じない。これにより、中間ギアを中間ギア軸受部の内面に沿って移動しにくくすることができるので、中間ギアの回転量が変動するのを抑制することができる。したがって、中間ギアによって駆動される送りローラの回転量が変動するのを抑制することができるので、送りローラによる用紙の送りムラを抑制することができる。その結果、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。また、支持面を180度未満の角度範囲に形成することによって、中間ギアの軸部を180度未満の角度範囲で支持することができる。これにより、支持面を中間ギアの軸部の外径と実質的に同一の内径を有する円弧形状に形成しても、支持面に中間ギアの軸部が嵌らなくなるという不都合が生じない。その結果、円弧形状の支持面を含む中間ギア軸受部の支持部に中間ギアの軸部を嵌めることができるので、中間ギア軸受部に中間ギアの軸部を取り付けることができる。
【0027】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、中間ギアの軸部は、中間ギアに一体的に形成されている。このように構成すれば、軸部を別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0028】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、一方側面および他方側面を有するシャーシと、シャーシの一方側面に取り付けられ、送りローラを回転可能に支持す
る送りローラ軸受が一体的に設けられた樹脂製の側板とをさらに備え、中間ギア軸受部は、中間ギアの軸部の一方端を回転可能に支持するとともに樹脂製の側板に一体的に形成されている第1中間ギア軸受部を含む。このように構成すれば、中間ギア軸受部を樹脂製の側板とは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0029】
この場合、好ましくは、シャーシの一方側面に取り付けられ、送りローラの駆動源としてのモータを取り付けるためのモータブラケットをさらに備え、中間ギア軸受部は、中間ギアの軸部の他方端を回転可能に支持するとともにモータブラケットに一体的に形成されている第2中間ギア軸受部とを含む。このように構成すれば、中間ギア軸受部をモータブラケットとは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した本発明の第1実施形態による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した正面図である。図3は、図1に示した本発明の第1実施形態による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した平面図である。図4〜図7は、図1に示した本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの構造の詳細を示した図である。図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの構造について説明する。なお、第1実施形態では、本発明の画像形成装置の一例として熱転写プリンタについて説明する。
【0032】
第1実施形態による熱転写プリンタは、図1および図2に示すように、一方側面1aおよび他方側面1bを有する金属製のシャーシ1と、送りローラ2と、送りローラ2を回転可能に支持する送りローラ軸受3と、送りローラ2に所定の押圧力で接触する押さえローラ4と、押さえローラ4を回転可能に支持する押さえローラ軸受5と、用紙に対して印画を行うサーマルヘッド6と、金属製の軸受支持板7と、引張りコイルバネ8と、樹脂製の側板9と、金属製のモータブラケット10と、モータブラケット10に取り付けられたモータ11と、モータギア12(図2参照)と、駆動ギア13と、樹脂製の中間ギア14と、送りローラ2に伴って回転する送りローラギア15と、揺動可能な揺動ギア16と、インクシート巻取ギア17と、伝達ギア18〜22と、給紙ローラ軸ギア23と、給紙ローラ軸ギア23に伴って回転する給紙ローラ軸24と、給紙ローラ軸24に取り付けられたゴム製の給紙ローラ25(図1参照)と、排紙ローラ軸ギア26と、排紙ローラ軸ギア26に伴って回転する排紙ローラ軸27と、排紙ローラ軸27に取り付けられたゴム製の排紙ローラ28とを備えている。なお、サーマルヘッド6は、本発明の「印字ヘッド部」の一例である。
【0033】
また、図1に示すように、シャーシ1の他方側面1bには、インクシートを内蔵するインクシートカートリッジ(図示せず)を挿入するためのインクシートカートリッジ挿入孔1cが設けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、引張りコイルバネ8の一方端を取り付けるための引張りコイルバネ取付孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、給紙ローラ軸24を回転可能に支持する給紙ローラ軸取付孔1eが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、排紙ローラ軸27を回転可能に支持するための排紙ローラ軸取付孔1fが設けられている。また、用紙を搬送する送りローラ2には、用紙搬送部2aが設けられている。送りローラ2の用紙搬送部2aの表面には転造加工が施されており、所定の高さを有する凸部が形成されている。また、サーマルヘッド6は、支軸6aを中心として、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に回動可能に取り付けられており、用紙から離間する方向(図1の矢印B1方向)に付勢されている。また、押さえローラ軸受5を支
持する軸受支持板7は、支持部7aを中心としてシャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に回動可能に取り付けられている。また、軸受支持板7のバネ取付部7bには、引張りコイルバネ8の他方端が取り付けられている。引張りコイルバネ8は、軸受支持板7および押さえローラ軸受5を介して、押さえローラ4を送りローラ2に対して押圧する方向に付勢する機能を有する。
【0034】
また、シャーシ1の一方側面1aには、側板9およびモータブラケット10が取り付けられている。また、モータブラケット10には、送りローラ2、インクシート巻取ギア17、給紙ローラ25および排紙ローラ28の駆動源としての機能を有するモータ11が取り付けられている。また、図2に示すように、モータ11には、モータ11に伴って回転するモータギア12が取り付けられている。また、駆動ギア13には、モータギア12に噛合する大径ギア部13aと、中間ギア14に設けられた大径ギア部14aに噛合し、大径ギア部13aよりも小さな径を有する小径ギア部13bと、軸部13cとが設けられている。また、駆動ギア13の軸部13cは、図3に示すように、側板9に設けられた駆動ギア軸受部9aおよびモータブラケット10に設けられた駆動ギア軸受部10aに回転可能に支持されている。
【0035】
ここで、第1実施形態では、中間ギア14には、上記したように駆動ギア13の小径ギア部13bに噛合する大径ギア部14aと、送りローラギア15に噛合し、大径ギア部14aよりも小さな径を有する小径ギア部14bと、軸部14cとが一体的に形成されている。また、中間ギア14の軸部14cは、側板9に一体的に設けられた中間ギア軸受部9bと、モータブラケット10に一体的に設けられた中間ギア軸受部10bとに回転可能に支持されている。また、モータブラケット10の中間ギア軸受部10bは、図4に示すように、バーリング加工によりモータブラケット10から突出するように形成されている。また、側板9の中間ギア軸受部9bおよびモータブラケット10の中間ギア軸受部10bには、支持部9d(図7参照)および支持部10c(図6参照)が設けられている。また、中間ギア14は、図5に示すように、駆動ギア13から受ける力P1および送りローラギア15を回転させる際に抗力として受ける力P2の合力として、力P3を受ける。支持部9dおよび支持部10cは、図7および図6に示すように、この合力P3方向側に設けられており、合力P3の変動によって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部9bおよび支持部10cとの接触部の位置が移動するのを抑制する機能を有する。また、図7に示すように、支持部9dには、凹部9eと、凹部9eの両側に設けられた2つの突起部9fとが設けられている。この2つの突起部9fは、力P3に対して、左右に所定の角度θ1ずつ傾いた2つの位置で、中間ギア14の軸部14cを線状に支持するように配置されている。また、図6に示すように、支持部10cには、凹部10dと、凹部10dの両側に設けられた2つの突起部10eとが設けられている。この2つの突起部10eは、力P3に対して、左右に所定の角度θ1ずつ傾いた2つの位置で、中間ギア14の軸部14cを線状に支持するように配置されている。また、側板9に一体的に設けられた送りローラ軸受部9cは、図3に示すように、送りローラギア15が取り付けられている送りローラ2の一方を回転可能に支持している。
【0036】
なお、中間ギア軸受部9bは、本発明の「第1中間ギア軸受部」の一例であり、中間ギア軸受部10bは、本発明の「第2伝達ギア軸受部」の一例である。
【0037】
次に、図1、図2、図5〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの印画動作について説明する。まず、図2に示すように、モータ11が駆動するのに伴って、モータ11に取り付けられたモータギア12が矢印D1方向に回転する。これにより、駆動ギア13および中間ギア14が矢印E1方向および矢印F1方向に回転するとともに、送りローラギア15が矢印G1方向に回転する。この時、揺動ギア16は、インクシート巻取ギア17に噛合し、インクシート巻取ギア17を、矢印H1方向に回転させる
。これにより、インクシート(図示せず)を巻き取るためのインクシート巻き取り部材(図示せず)が回転される。また、モータ11とは別個に設けられた図示しないモータの駆動によって、サーマルヘッド6は、図1に示すように、インクシート(図示せず)と用紙とを押圧する方向(図1の矢印C1方向)に回動する。これにより、用紙に対する印画が行われる。また、図2に示すように、送りローラギア15の矢印G1方向の回転に伴って、送りローラギア15に取り付けられた送りローラ2が矢印G1方向に回転される。これにより、送りローラ2は、用紙を排紙方向(印画方向)(図1の矢印A1方向)に搬送する。また、送りローラギア15の矢印G1方向の回転に伴って、伝達ギア18を介して、伝達ギア19が矢印I1方向に回転する。このとき、揺動可能な伝達ギア21は、給紙ローラ軸ギア23に噛合している。したがって、伝達ギア19の矢印I1方向の回転により、伝達ギア21、給紙ローラ軸ギア23を介して、排紙ローラ軸ギア26は矢印J1方向に回転し、排紙ローラ軸ギア26に伴って回転する排紙ローラ28は用紙を排紙方向(印画方向)(図1の矢印A1方向)に搬送する。
【0038】
この際、第1実施形態においては、中間ギア14は、図5に示すように、駆動ギア13から受ける力P1および送りローラギア15を回転させる際に抗力として受ける力P2の合力として、力P3を受ける。これにより、図6に示す支持部10cの2つの突起部10eおよび図7に示す支持部9dの2つの突起部9fは、中間ギア14の軸部14cに押圧される。このとき、矢印F1方向に回転する中間ギア14の軸部14cに、合力P3に起因する摩擦力が働く。この摩擦力は、中間ギア14の軸部14cに対して、中間ギア14の回転方向(矢印F1方向)の逆向きに作用する。また、この摩擦力は、印画時に用紙の受ける力の変動に起因して増減する。具体的には、印画時に用紙の受ける負荷が増加し、用紙を搬送する送りローラ2を回転させる力P2が大きくなった場合には、中間ギア14の軸部14cに対して矢印F1方向の逆向きに作用する摩擦力が増加する。また、逆に、印画時に用紙の受ける負荷が減少し、用紙を搬送する送りローラ2を回転させる力P2が小さくなった場合には、中間ギア14の軸部14cに対して矢印F1方向の逆向きに作用する摩擦力が減少する。このように、摩擦力が増減することに起因して、支持部10cの2つの突起部10eおよび支持部9dの2つの突起部9fに沿って、中間ギア14の軸部14cを左右方向に移動させようとする。
【0039】
ここで、第1実施形態では、上記のように、中間ギア軸受部9bおよび10bに、中間ギア14の軸部14cが受ける合力P3の方向側に、合力P3の変動によって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部9bおよび10bとの接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部9dおよび10cを設けることによって、中間ギア14を中間ギア軸受部9bおよび10bの内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギア14の回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギア14によって駆動される送りローラ2の回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラ2による用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。また、上記のように中間ギア軸受部9bおよび10bに支持部9dおよび10cを設けることにより用紙の搬送を精度良く制御することが可能となるので、中間ギア14の軸部14cおよび中間ギア軸受部9bおよび10bの部品精度を向上させる必要も無い。
【0040】
また、第1実施形態では、中間ギア軸受部9bおよび10bは、合力P3の方向側に設けられた凹部9eおよび10eをさらに含み、中間ギア軸受部9bおよび10bの支持部9dおよび10cを、凹部9eおよび10eの両側の突起部9fおよび10eにより構成することによって、中間ギア14の軸部14cを、凹部9eおよび10e側に押圧しながら、凹部9eおよび10eの両側に設けられた一対の突起部9fおよび10eに接触する2個所で支持することができるので、1個所で支持する場合に比べて、中間ギア14の軸部14cを突起部に沿って動きにくくすることができる。これにより、合力P3の変動に
よって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部9bおよび10bとの接触部の位置が移動するのを抑制することができるので、中間ギア14を中間ギア軸受部9bおよび10bの内面に沿って移動しにくくすることができる。これにより、中間ギア14の回転量が変動するのを抑制することができるので、中間ギア14によって駆動される送りローラ2の回転量が変動するのを抑制することができる。その結果、送りローラ2による用紙の送りムラを抑制することができるので、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。
【0041】
また、第1実施形態では、中間ギア14の軸部14cを、樹脂製の中間ギア14に一体的に形成することによって、軸部14cを別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、一方側面1aおよび他方側面1bを有するシャーシ1と、シャーシ1の一方側面1aに取り付けられ、送りローラ2を回転可能に支持する送りローラ軸受部9cが一体的に設けられた樹脂製の側板9とをさらに備え、中間ギア14の軸部14cの一方端を回転可能に支持するとともに樹脂製の側板9に一体的に形成されている中間ギア軸受部9bを設けることによって、中間ギア軸受部9bを樹脂製の側板9とは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、送りローラ2の駆動源としてのモータ11を取り付けるための金属製のモータブラケット10に、中間ギア14の軸部14cの他方端を回転可能に支持する中間ギア軸受部10bを一体的に設けることによって、中間ギア軸受部10bをモータブラケット10とは別個に形成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による熱転写プリンタの中間ギアの取付構造を示した分解斜視図である。図9は、図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタの中間ギアを示した詳細図である。図10は、図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタのモータブラケットの中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。図11は、図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタの側板の中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、中間ギア軸受部の支持部に面状に支持する支持面を設けた例について説明する。なお、第2実施形態の中間ギア軸受部の支持部以外の構造は上記第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】
第2実施形態による熱転写プリンタでは、また、図8に示すように、側板59の中間ギア軸受部59bおよびモータブラケット60の中間ギア軸受部60bには、支持部59dおよび60cが設けられている。また、図9に示すように、中間ギア14は、駆動ギア13から受ける力P1および送りローラギア15を回転させる際に抗力として受ける力P2の合力として、力P3を受ける。支持部59dおよび60cは、図11および図10に示すように、この合力P3の方向側に設けられており、力P3の変動によって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部59bおよび60cとの接触部の位置が移動するのを抑制する機能を有する。また、支持部59dは、図11に示すように、支持面59eによって形成されている。この支持面59eは、中間ギア14の軸部14cの外径と実質的に同一の内径を有する180度未満の角度範囲の円弧形状に形成されている。また、支持面59eの両側の2つの端部59fは、力P3に対して左右に所定の角度θ2ずつ傾いた2つの位置で、中間ギア14の軸部14cを支持するように配置されている。また、支持部60cは、図10に示すように、支持面60dによって形成されている。この支持面60dは、中間ギア14の軸部14cの外径と実質的に同一の内径を有する180度未満(2×θ2<180度)の角度範囲の円弧形状に形成されている。また、支持面60dの両側の2つの端部60eは、力P3に対して、左右に所定の角度θ2ずつ傾いた2つの位置で、中
間ギア14の軸部14cを支持するように配置されている。また、中間ギア軸受部59bは、本発明の「第1中間ギア軸受部」の一例であり、中間ギア軸受部60bは、本発明の「第2中間ギア軸受部」の一例である。
【0046】
第2実施形態においては、熱転写プリンタの印画動作の際に、中間ギア14は、図5に示した第1実施形態の場合と同様、駆動ギア13から受ける力P1および送りローラギア15を回転させる際に抗力として受ける力P2の合力として、力P3を受ける。これにより、図10に示す支持部60cの支持面60dおよび図11に示す支持部59dの支持面59eは、中間ギア14の軸部14cに押圧される。このとき、矢印F1方向に回転する中間ギア14の軸部14cに、合力P3に起因する第1実施形態と同様の摩擦力が働く。この摩擦力が増減することに起因して、支持部60cの支持面60dおよび支持部59dの支持面59eに沿って、中間ギア14の軸部14cを左右方向に移動させようとする。
【0047】
ここで、第2実施形態では、上記のように、中間ギア軸受部59bおよび60bの支持部59dおよび60cに、中間ギア14の軸部14cの外径と実質的に同一の内径を有する円弧形状に形成された面状の支持面59eおよび60dを設けることによって、中間ギア14の軸部14cを面状に支持することができるので、合力P3の変化によって中間ギア14の軸部14cと中間ギア軸受部59bおよび60bとの接触部の位置が移動するという不都合が生じない。これにより、中間ギア14を中間ギア軸受部59bおよび60bの内面に沿って移動しにくくすることができるので、中間ギア14の回転量が変動するのを抑制することができる。したがって、中間ギア14によって駆動される送りローラ2の回転量が変動するのを抑制することができるので、送りローラ2による用紙の送りムラを抑制することができる。その結果、用紙の搬送を精度良く制御することが可能となる。また、支持部59dおよび60cの支持面59eおよび60dを、180度未満の角度範囲に形成することによって、中間ギア14の軸部14cを180度未満の角度範囲で支持することができる。これにより、支持面59eおよび60dを中間ギア14の軸部14cの外径と実質的に同一の内径を有する円弧形状に形成しても、支持面59eおよび60dに中間ギア14の軸部14cが嵌らなくなるという不都合が生じない。その結果、円弧形状の支持面59eおよび60dを含む中間ギア軸受部59bおよび60bの支持部59dおよび60cに中間ギア14の軸部14cを嵌めることができるので、中間ギア軸受部59bおよび60bに中間ギア14の軸部14cを取り付けることができる。
【0048】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例として熱転写プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、用紙を搬送するための送りローラの送りローラギアに駆動力を伝達する中間ギアを有する構造を含む画像形成装置であれば、熱転写プリンタ以外のインクジェットプリンタやレーザプリンタなどの他の画像形成装置にも適用可能である。
【0050】
また、上記第1および第2実施形態では、金属製のモータブラケットに設けられる中間ギア軸受部がバーリング加工により突出するように形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、図12に示す変形例のように、金属製のモータブラケット80に設けられた中間ギア軸受部80bがバーリング加工により形成されていなくてもよい。このようにすれば、上記した第1および第2実施形態に比べて、中間ギア軸受部80bを容易に形成することができる。なお、図12に示した変形例では、上記第1実施形態と同様、支持部80cには、凹部80dおよび2つの突起部80eが設けられている。
【0051】
また、上記第1および第2実施形態では、側板に設けられた中間ギア軸受部とモータブラケットに設けられた中間ギア軸受部との2個所の中間ギア軸受部に、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、2個所の中間ギア軸受部のいずれかの一方のみに、中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を設けてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様に、合力の変動によって中間ギアの軸部と中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した正面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した平面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの中間ギアの取付構造を示した分解斜視図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの中間ギアを示した部分拡大図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタのモータブラケットの中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による熱転写プリンタの側板の中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【図8】本発明の第2実施形態による熱転写プリンタの中間ギアの取付構造を示した分解斜視図である。
【図9】図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタの中間ギアを示した部分拡大図である。
【図10】図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタのモータブラケットの中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【図11】図8に示した第2実施形態による熱転写プリンタの側板の中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【図12】図1に示した第1実施形態の変形例による中間ギアの取付構造を示した分解斜視図である。
【図13】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図14】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した正面図である。
【図15】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタのモータおよび各ギアを示した平面図である。
【図16】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタの中間ギアの取付構造を示した分解斜視図である。
【図17】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタの中間ギアを示した部分拡大図である。
【図18】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタのモータブラケットの中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【図19】図13に示した従来の一例による熱転写プリンタの側板の中間ギア軸受部を示した部分拡大図である。
【符号の説明】
【0053】
9b、59b 中間ギア軸受部 (第1中間ギア軸受部)
9d、59d 支持部
9e 凹部
10b、60b 中間ギア軸受部 (第2中間ギア軸受部)
10c、60c 支持部
10d 凹部
14 中間ギア
14c 軸部
59e 支持面
60d 支持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して印画を行う印字ヘッド部と、前記用紙を搬送する送りローラと、前記送りローラに取り付けられ、前記送りローラを駆動する送りローラギアと、前記送りローラギアを駆動するとともに、軸部を有する中間ギアと、前記中間ギアを駆動する駆動ギアと、前記中間ギアの軸部を回転可能に支持する中間ギア軸受部とを備え、前記中間ギア軸受部により回転可能に支持された前記中間ギアの軸部は、印画時に前記送りローラにより前記用紙を所定の方向に搬送する際に前記送りローラギアおよび前記駆動ギアから所定の方向の力を受けるとともに、前記中間ギアの軸部が前記送りローラギアおよび前記駆動ギアから受ける力の合力が、印画時に前記用紙の受ける力の負荷の変動に起因して変動する画像形成装置において、
一方側面および他方側面を有するシャーシと、
前記シャーシの一方側面に取り付けられ、前記送りローラを回転可能に支持する前記送りローラ軸受が一体的に設けられた樹脂製の側板と、
前記シャーシの一方側面に取り付けられ、前記送りローラの駆動源としてのモータを取り付けるためのモータブラケットとをさらに備え、
前記中間ギア軸受部は、前記合力の方向側に設けられた凹部をさらに含み、
前記中間ギア軸受部は、前記中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、前記合力の変動によって前記中間ギアの軸部と前記中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を含み、
前記中間ギア軸受部の支持部は、少なくとも前記凹部の両側上端部の近傍部分により構成されており、
前記中間ギアの軸部は、前記中間ギアに一体的に形成されており、
前記中間ギア軸受部は、
前記中間ギアの軸部の一方端を回転可能に支持するとともに前記樹脂製の側板に一体的に形成されている第1中間ギア軸受部と、
前記中間ギアの軸部の他方端を回転可能に支持するとともに前記モータブラケットに一体的に形成されている第2中間ギア軸受部とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
用紙に対して印画を行う印字ヘッド部と、
前記用紙を搬送する送りローラと、
前記送りローラに取り付けられ、前記送りローラを駆動する送りローラギアと、
前記送りローラギアを駆動するとともに、軸部を有する中間ギアと、
前記中間ギアを駆動する駆動ギアと、
前記中間ギアの軸部を回転可能に支持する中間ギア軸受部とを備え、
前記中間ギア軸受部により回転可能に支持された前記中間ギアの軸部は、印画時に前記送りローラにより前記用紙を所定の方向に搬送する際に前記送りローラギアおよび前記駆動ギアから所定の方向の力を受けるとともに、前記中間ギアの軸部が前記送りローラギアおよび前記駆動ギアから受ける力の合力は、印画時に前記用紙の受ける力の負荷の変動に起因して変動し、
前記中間ギア軸受部は、前記中間ギアの軸部が受ける合力の方向側に、前記合力の変動によって前記中間ギアの軸部と前記中間ギア軸受部との接触部の位置が移動するのを抑制するための支持部を含む、画像形成装置。
【請求項3】
前記中間ギア軸受部は、前記合力の方向側に設けられた凹部をさらに含み、
前記中間ギア軸受部の支持部は、少なくとも前記凹部の両側上端部の近傍部分により構成されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間ギア軸受部の支持部は、前記中間ギアの軸部の外径と実質的に同一の内径を有するとともに、180度未満の角度範囲の凹状の円弧形状で、かつ、面状に形成された支
持面を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間ギアの軸部は、前記中間ギアに一体的に形成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
一方側面および他方側面を有するシャーシと、
前記シャーシの一方側面に取り付けられ、前記送りローラを回転可能に支持する前記送りローラ軸受が一体的に設けられた樹脂製の側板とをさらに備え、
前記中間ギア軸受部は、前記中間ギアの軸部の一方端を回転可能に支持するとともに前記樹脂製の側板に一体的に形成された第1中間ギア軸受部を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シャーシの一方側面に取り付けられ、前記送りローラの駆動源としてのモータを取り付けるためのモータブラケットをさらに備え、
前記中間ギア軸受部は、前記中間ギアの軸部の他方端を回転可能に支持するとともに前記モータブラケットに一体的に形成された第2中間ギア軸受部とを含む、請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−110865(P2006−110865A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300626(P2004−300626)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】