説明

画像形成装置

【課題】
Nin1プリント機能を備える画像形成装置において、画像に埋め込まれた情報を破棄することがない画像形成装置を提供する。
【解決手段】
埋込情報取得部212が、複数枚分の原稿画像データから、原稿の地紋に埋め込まれた情報を取得する。情報量比較部213が、取得された情報の総量と1枚の原稿に埋め込むことができる情報の量とを比較し、1枚の原稿に埋め込めない余剰情報をハードディスク等の記憶装置に退避するとともに、形成画像編集部214が、当該余剰情報の所在に関する情報を形成される画像の地紋に埋め込むようにデータを編集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録シート上に形成された画像の中に埋め込まれた情報を読み込む読込手段と、複数枚の記録シート上に形成された画像を一枚の記録シートに集約して形成するNin1プリント機能を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置等の画像処理装置の分野において、記録紙等の記録シートの地紋に情報を埋め込む電子透かし技術が多数考案されている(非特許文献1、非特許文献2等参照)。これらは、地紋画像の中に人間の知覚では容易に判断できない程度に情報を埋め込み、不正利用や改ざんを防止するために広く実用に供されつつある。
【0003】
【非特許文献1】“技術情報 −[論文]文書偽造防止における、二値電子透かし技術−”、[online]、[平成17年6月5日検索]、インターネット、<URL:http://capg.c4t.jp/technology/watermark/binary.html>
【0004】
【非特許文献2】保田浩之、引間寿夫、「印刷文書への電子透かし技術Val-Code(登録商標)の概要と、その応用ソリューション」、沖テクニカルレビュー、沖電気工業株式会社、2004年4月、第71巻、第198号、p.20−23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録シート上に形成される地紋に埋め込める情報量には限りがある。これは地紋に埋め込む方法に限らず他の方法でも同様である。一方、複数枚の記録シート上に形成された画像を一枚の記録シートに集約して形成するNin1プリント機能を備える画像形成装置では、前記N枚分の原稿の画像に埋め込まれた情報を1枚の記録シートに埋め込むことが必要となる場合があるが、従来の画像形成装置では、N枚分の原稿に埋め込まれた情報が1枚の記録シートに埋め込み可能な情報量を超えると、埋め込めない分の情報は破棄せざるを得ないという問題点を有していた。
【0006】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであって、Nin1プリント機能を備える画像形成装置において、原稿画像に埋め込まれた情報を破棄することがない画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題点を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、記録シート上に形成された画像の中に埋め込まれる埋込情報を読み取る読み取り手段と、複数枚の記録シート上に形成された画像を一枚の記録シートに集約して形成するNin1プリント機能を備える画像形成装置において、前記Nin1プリント機能を用いてN枚分の画像を1枚の記録シート上に形成するに際し、当該N枚分の画像から得られる埋込情報を蓄積記憶する埋込情報記憶手段と、前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の量と、1枚の記録シートに埋め込むことが可能な情報量とを比較する比較手段と、N枚分の画像に埋め込まれた情報を1枚の記録シートに埋め込むことが可能でない場合に、記録シートに埋め込まれない分の情報の所在を示す所在情報を、形成される画像に埋め込むようにデータを編集する編集手段と、記録シートに埋め込まれない分の情報を退避させる退避手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の構成では、N枚分の原稿画像に埋め込まれた埋込情報の量が1枚の記録シートに埋め込むことが可能な情報量を超えた場合に、記録シートに埋め込まれない分の情報を退避させるとともに、記録シートに埋め込まれない分の情報の所在を示す所在情報を、形成される画像に埋め込むようにしているので、元の原稿画像に埋め込まれた情報を破棄することがない。なお、所在情報は形成される画像に含まれる地紋に埋め込むことができるが、必ずしも地紋に埋め込む方法でなくとも、他の情報埋込方法に適用することも可能である。また、所在情報は、下記に例示するようなファイル名等に限らず、管理コードのみとして、画像形成装置や管理サーバ等で別途管理することもできる。
【0009】
前記所在情報は、画像形成装置内部に備えられた不揮発性記憶装置における所在を示す情報である構成とすることができる。不揮発性記憶装置としては、例えばハードディスクドライブを用いることができ、所在情報としては情報を含むファイル名とすることができる。
【0010】
前記画像形成装置は、ネットワークを介して外部の装置とデータの送受信を行う通信インタフェースを備え、前記退避手段は、前記通信インタフェースを通じて、記録シートに埋め込まれない分の情報を外部の装置へ退避させ、前記所在情報は、前記外部の装置内における所在を示す情報である構成とすることができる。外部の装置としては、例えばLAN、インターネット等を介して接続可能なサーバを用いることができ、所在情報としては、例えばファイルのパス名とすることができる。
【0011】
前記画像形成装置は、可搬性記憶媒体を装着する媒体装着部を備え、前記退避手段は、前記媒体装着部を通して、記録シートに埋め込まれない分の情報を可搬性記憶媒体へ退避させ、前記所在情報は、前記可搬性記憶媒体及び当該媒体内における所在を示す情報である構成とすることができる。可搬性記憶媒体としては、例えば各種メモリカード、メモリスティック、フレキシブルディスク、MO、PD、CD、DVD、その他のディスク媒体等を用いることができ、所在情報としては、例えば当該記憶媒体の識別子及びファイル名を用いることができる。
【0012】
前記退避手段は、記録シートに埋め込まれない分の情報を、他の記録シートに形成される地紋に埋め込む構成とすることができる。例えば、他の媒体が利用できないときに、他の記録紙等の記録シートに埋め込むようにする構成も可能である。
【0013】
前記画像形成装置は、さらに、記録シートに埋め込まれない分の情報を暗号化する暗号化手段を備え、前記所在情報は、暗号化された情報を復号化するための情報を含む構成とすれば、特に外部の装置に退避するような場合に好適である。もっとも、常に暗号化処理を行うようにしてもよい。
【0014】
前記退避手段は、前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の全てを、記録シートに埋め込まれない分の情報として退避させる構成とすることができる。例えば所在情報を管理コードのみとし、埋込情報を全てサーバ等で管理するような形態も可能である。
【0015】
前記退避手段は、前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の中で重要性の低い情報を、記録シートに埋め込まれない分の情報として退避させる構成とすることもできる。重要性の高い情報としては、例えば暗号化した場合の復号化のための情報、パスワードなど、その情報が取得できないとアクセスに支障をきたすような情報が考えられ、このような重要性の高い情報を画像に埋め込んでおくことで、より確実に情報にアクセスすることが可能となる。
【0016】
前記画像形成装置は、一の情報退避先媒体が利用できない場合に、他の媒体への変更を促す通知手段を備えることが好ましい。例えば、外部のサーバの電源が落ちており、退避ができないような場合に、メモリカード等の可搬性媒体の装着を促すメッセージを表示するような形態が考えられるが、これに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によると、Nin1プリント機能を備える画像形成装置において、N枚分の画像に埋め込まれた情報が1枚の記録シートに埋め込み可能な情報量を超えた場合でも、埋め込めない分の情報を破棄することがないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、画像形成装置の一例としてデジタル複写機に適用した場合について、図面を参照しながら説明する。
(1)埋込情報管理システムの全体構成
【0019】
まず、本実施の形態のデジタル複写機を含む埋込情報管理システムについて説明する。図1は、埋込情報管理システムの全体構成を示すブロック図である。埋込情報管理システムは、原稿を読み取って生成した原稿画像データや、外部のパーソナルコンピュータ(PC)などから転送されてきたデータに基づいて画像形成を行うデジタル複写機(以下、単に「複写機」という。)100、複写機100での読み取り対象である原稿の画像に埋め込まれた情報の中で、Nin1プリント機能を利用した場合、画像形成に際し原稿中に埋め込まれないこととなった情報を管理する情報管理サーバ310、及び外部の管理サーバ(以下、単に「外部サーバ」ともいう。)320等を含んでいる。
【0020】
情報管理サーバ310、外部サーバ320は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置によって構成される。複写機100、情報管理サーバ310はLAN500に接続されている。LAN500は、ルータ400を介してインターネット600に接続可能となっており、外部サーバ320はインターネット600に接続されている。複写機100は、ルータ400を介して外部サーバ320と接続可能となっている。複写機100、情報管理サーバ310等には、それぞれ「PC001」、「PC002」といったコンピュータ名が識別子として付与されている。
【0021】
(2)複写機100の全体構成
次に複写機100の構成について詳細に説明する。図2は、本実施の形態における複写機100の全体構成を示す概略断面図である。本実施の形態の複写機100は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成することが可能なカラー複写機である。
【0022】
複写機100は、原稿等を読み取ることにより原稿画像データを取得するカラー画像読取部11と、カラー画像読取部11において取得された原稿画像データ、若しくはLAN500を介して外部から送信されてきたデータに基づいて画像形成を行う画像形成部12を有している。
【0023】
カラー画像読取部11は、プラテンガラス上に載置された原稿等の画像を、スキャナ111を移動させて読み取る公知のものである。カラー画像形成部11は、原稿自動搬送装置(ADF)10を備えている。
【0024】
ADF10は、原稿を自動的にカラー画像読取部11の原稿画像読取位置に搬送する。即ち、原稿トレイ101上に載置された原稿がプラテンガラス102上の原稿読み取り位置まで搬送される。原稿読み取り位置に搬送された原稿はスキャナ111によりスキャンされた後、再び、搬送ベルト103により図の右方向に送られ、最終的に原稿排紙トレイ104上に排出される。
【0025】
スキャナ111に設置された露光ランプ112の照射により得られた画像情報は、折り返しミラー113〜116、集光レンズ(不図示)を介してフルカラーCCDセンサ117に結像される。フルカラーCCDセンサ117は、当該画像情報をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3種類の電気信号にAD変換し、これにより原稿等を表すR、G、Bのデジタルデータが得られる。
【0026】
このカラー画像読取部11で得られた各色成分毎のデジタルデータは、画像データ処理部20において各種のデータ処理を受け、更にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される(以下、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各再現色をそれぞれC、M、Y、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号に、このC、M、Y、Kを添字として付加する)。
【0027】
画像データ処理部20は、これらの各再現色の画像データをプリントヘッド部21に送出し、プリントヘッド部21に内蔵されたレーザーダイオードを駆動して、C、M、Y、Kのいずれかの再現色について感光体ドラム22の表面を露光する。この感光体ドラム22は、上記の露光前にクリーナ23で感光体表面の残留トナーを除去され、さらにイレーサランプ24により除電された後、帯電チャージャ25により一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で上記露光を受けると、感光体ドラム22の表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0028】
C、M、Y、Kの各色のトナー現像器26C〜26Kは、感光体ドラム22の回転に同期して、現像すべき色のトナー現像器26C〜26Kのみを駆動させて、感光体ドラム22表面の静電潜像を現像する。一方、転写ドラム27には、各用紙カセット41、42、43に設けられた、光電センサなどからなる用紙サイズ検出センサ411、421、431からの検出信号に基づき、CPU210(図4参照)により用紙カセット41、42、43のいずれかが選択されて記録紙(図示せず)が供給される。例えば、この用紙カセット41にはA4サイズ、用紙カセット42にはA3サイズ、用紙カセット43にはB4サイズというように、各サイズの記録紙を収納することが可能である。
【0029】
この記録紙の先端がタイミングローラ28を通過して吸着ローラ29まで到達すると、転写ドラム27上のチャッキング機構により把持されると共に、吸着用チャージャ30によって静電的に吸着されて、位置ずれが生じない状態で巻き取られ、上記感光体ドラム22表面に現像されたトナー像が、転写チャージャ31により上記転写ドラム27上に巻き取られた記録紙に転写される。
【0030】
上述のようなプリント工程が、フルカラーコピー時には、C、M、Y、Kの各再現色について繰り返し行われ、全ての色についてトナー像の転写が終了すると、分離爪32、除電チャージャ33、34を作動させて、記録紙を転写ドラム27の表面から分離する。なお、複写機100はモノクロコピーを行うことも可能であり、モノクロコピー時には、ブラック(K)色についてのみ上記プリント工程が行われる。
【0031】
記録紙に転写されたトナー像は、そのままでは、すぐに剥がれる不安定な状態であるので、定着装置35において加熱しながら押圧することによりトナーを記録紙表面に定着させた後、排紙トレイ36上に排出する。なお、記録紙の裏面にもコピーする場合(「両面コピー」の場合)は、切換爪51を作動させて、定着装置35から排出された記録紙を下方の用紙反転ユニット50の搬送路52に導き、反転ローラ53により一旦反転トレイ54方向に押し出してから、反転ローラ53を逆転させることにより当該記録紙の表裏を逆転させて搬送路55に送り出し、その裏面に画像を形成するようになっている。
【0032】
なお、複写機100上の操作しやすい位置には、点線で示すように操作パネルOP1が設けられている。図3は、操作パネルOP1の形態の一例を模式的に示す図である。本実施の形態の操作パネルOP1には、操作のための各種キーが配された操作部72、及び設定やメッセージ等が表示される液晶タッチパネル(以下、単に「タッチパネル」という。)74が配されている。
【0033】
操作部72には、コピー枚数等を入力するテンキー721、テンキー721で指定された数値をクリアするクリアキー722、全ての設定を初期設定に復帰させるリセットキー723、動作を停止させるストップキー724、コピー開始を指示するスタートキー725の他、モノクロ印刷モードとカラー印刷モードとの切り替えを行うモード切り替えキー726が配されている。
【0034】
タッチパネル74に表示されている2in1ボタン741、4in1ボタン742、9in1ボタン743、16in1ボタン744を押下することにより、ユーザはNin1プリント機能を利用することができる。例えば2in1ボタン741が押下された場合、2枚分の原稿から得られた原稿画像データが1枚の記録紙上に形成される。
【0035】
タッチパネル74の下段のキーは、カラー画像読取部11で読み取られた原稿画像の地紋に埋め込まれた情報(以下、「埋込情報」という。)のうち、Nin1プリント機能を利用することにより、画像が形成される記録紙上に埋め込まないこととなった情報(以下、「余剰情報」という。)をどのように処理するかを指定するキーである。
【0036】
例えば「HD」キー745が押下された場合、余剰情報は、複写機100内のハードディスクドライブ241(図4参照)に格納される。画像が形成された記録紙には、例えばハードディスク中のファイル名など、余剰情報の所在に関する情報(以下、「所在情報」という。)が埋め込まれる。
【0037】
「メモリカード」キー746が押下された場合、カードリーダライタ242(図4参照)にセットされたメモリカード243に余剰情報が格納される。画像が形成された記録紙には、所在情報として、例えば、メモリカードの識別子、余剰情報のファイル名などが埋め込まれる。
【0038】
「外部サーバ」キー747が押下された場合、例えば外部サーバ320のような外部のサーバに余剰情報が格納される。画像が形成された記録紙には、所在情報として、例えば、外部サーバに格納されたファイルのパス名などが埋め込まれる。
【0039】
上記の各キー745〜747に加えて「暗号化」キー748が押下された場合、余剰情報が暗号化される。これは、例えば外部サーバ320など、外部の装置に余剰情報を格納する際に特に有効であるが、常に暗号化するようにしてもよい。画像が形成された記録紙には、所在情報として、例えば、余剰情報のファイルのパス名などに加え、暗号化した情報の復号化に用いる情報(以下、「復号化情報」という。)が埋め込まれる。
【0040】
なお、暗号化を行う場合、余剰情報として退避される情報だけでなく、画像形成される記録紙に埋め込まれる情報も暗号化するようにしてもよい。また、画像形成される記録紙に、原稿から読み取った埋込情報の一部(埋込可能な分)と所在情報とを埋め込む場合だけでなく、所在情報のみを埋め込む場合もあるが、いずれの場合も所在情報も暗号化するようにしてもよい。暗号化のアルゴリズムは任意である。復号化情報は、記録紙に埋め込まずに別途管理するようにしてもよい。
【0041】
複写機100は、通信インタフェース61(図2、図4参照)を介して、LAN500等のネットワークと接続することが可能な構成となっている。通信インタフェース61はCPU210(図4参照)と接続されており、LAN500に接続されたPC等の他の装置から送信されてきたデータを用いて画像形成を行うことが可能となっている他、カラー画像読取部11において読み取られ生成された原稿画像データを外部に送信することもできる。また、余剰情報を情報管理サーバ310や外部サーバ320等に格納する場合も通信インタフェース61を介して送信がなされる。
【0042】
(3)制御部200の構成
次に制御部200の詳細構成について説明する。図4は、本実施の形態の制御部200のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部200は、CPU210を中心として構成されており、さらにRAM220、ROM230、およびデータ記憶部240などによって構成されている。
【0043】
CPU210には、上記したカラー画像読取部11、画像形成部12、画像データ処理部20、操作パネルOP1などが接続されている。CPU210は、ROM230に記憶されているプログラム231、またはRAM220にロードされたプログラム221を実行し、複写機100の全体を制御する。なお、RAM220は、原稿画像データの地紋に埋め込まれた情報や、画像形成に際して地紋に埋め込む情報の格納領域222としても利用される。
【0044】
通信インタフェース61としては、例えばNIC(ネットワーク・インタフェース・カード)を用いることができる。データ記憶部240は、ハードディスク241、カードリーダライタ242などを備えている。カードリーダライタ242は、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディアなどのメモリカード243からデータを読み取り、またはメモリカード243にデータを書き込む。メモリカード243は、例えばPC等の外部装置との間でのデータのやり取りや、データのバックアップのために用いることができるが、本実施の形態では、前記した余剰情報の格納に用いることができる。
【0045】
図5は、制御部200の機能的な構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の制御部200は、機能的に、画像データ展開部211、埋込情報取得部212、情報量比較部213、形成画像編集部214、暗号化処理部215を含んでいる。これら各部の機能は、ROM230に記憶されているプログラム231、またはRAM220にロードされたプログラム221、あるいは専用のハードウェア等によって実現される。
【0046】
画像データ展開部211は、PC等の外部の装置から投入されたプリントジョブに含まれるPDL(ページ記述言語)形式のデータをビットマップ等のイメージデータの形式に展開する。展開されたデータはプリントヘッド21へと送出され、画像形成部12による画像形成に供される。
【0047】
埋込情報取得部212は、カラー画像読取部11で原稿を読み取って得た原稿画像データから埋込情報を取得する。取得した埋込情報は、RAM220の埋込情報格納領域222に一時的に蓄積記憶される。情報量比較部213は、Nin1プリント機能を利用した場合、N枚の原稿から取得した埋込情報の総量と、1枚の原稿に埋込可能な情報量とを比較する。なお、本実施の形態では、いわゆる背景地紋法(非特許文献1参照)を利用して情報の埋込を行っており、A4サイズの記録紙1枚に埋込可能な最大情報量は、およそ1,000文字(1Kバイト)である。
【0048】
形成画像編集部214は、Nin1プリント機能を利用する場合、1枚の記録紙に形成する画像のデータとともに、情報を埋め込んだ地紋を編集する。地紋は例えば薄いベージュ色の網点画像として形成することができ、当該網点のサイズを変えることなどによって情報の埋め込みを行うことができる。この際、埋込情報格納領域222に格納されたN枚分の原稿の埋込情報を1枚の原稿に埋め込めない場合、余剰情報をハードディスク241中の余剰情報格納領域2411に格納したり、通信インタフェース61を介して外部サーバ320等に送信するなどの処理を行う。そして、埋込情報のうち、1枚の記録紙に埋め込むべき情報、及び所在情報を地紋に埋め込むように編集する。
【0049】
暗号化処理部215は、余剰情報の暗号化処理を行う。同図の例では、通信インタフェース61を介して余剰情報を外部に送信する場合に暗号化処理を行う場合を図示しているが、余剰情報の暗号化処理は常に行うようにしてもよいし、余剰情報だけでなく記録紙に埋め込まれる情報を暗号化することもできる。本実施の形態では、復号化情報は画像情報編集部214へ送られ、地紋に埋め込まれる。
【0050】
(4)制御部200の処理内容
次に制御部200の処理内容について説明する。図6は、本実施の形態の制御部200による埋込情報処理の内容について説明するためのフローチャートである。なお、同図の処理は、ADF10の原稿トレイ101に原稿が載置され、スタートキー725が押下された際に実行される。CPU200は、ADF10を含むカラー画像読取部11を制御して原稿画像の読取を行うが、それらの処理の詳細はフローチャートでは図示を省略している。
【0051】
埋込情報処理では、まず、埋込情報取得部212が、カラー画像読取部11で原稿を読み取って得た原稿画像データから、地紋に埋め込まれた埋込情報を取得する(S101)。地紋から情報が取得された場合(S102:YES)、Nin1プリント機能が利用されるか否かを判定する(S103)。なお、地紋がない場合や、情報が取得できない場合(S102:NO)、及びNin1プリント機能を利用しない場合(S103:NOには、そのままプリント処理を実行する(S111)。
【0052】
Nin1プリント機能を利用する場合(S103:YES)、埋込情報格納領域222にN枚の原稿分の埋込情報を蓄積記憶する(S104)。そして、情報量比較部213が、蓄積された埋込情報の量が、1枚の記録紙に埋め込める情報の量を超えているか否かを比較する(S105)。
【0053】
蓄積された埋込情報の量が、1枚の記録紙に埋め込める情報の量以下である場合には(S106:NO)、N枚分の埋込情報をそのまま記録紙上の地紋に埋め込むことが可能であるから、画像及び地紋を編集して(S107)、プリント処理を行う(S111)。
【0054】
蓄積された埋込情報の量が、1枚の記録紙に埋め込める情報の量を超えている場合(S106:YES)、所在情報の追加処理を行う(S108)。画像形成される記録紙の地紋に、できるだけ多くの情報を埋め込むようにした場合、所在情報も含めて1枚の記録紙に埋め込むべき情報の内容を判断する必要があるからである。
【0055】
所在情報としては、ハードディスク241の余剰情報格納領域2411に余剰情報を格納する場合であればファイル名、外部サーバ320のような外部の装置に余剰情報を転送する場合であればファイルのパス名、余剰情報を暗号化する場合であれば複合化情報、別紙に地紋を形成して余剰情報を埋め込む場合には、別紙に埋め込まれる旨を示すコード等が含まれる。
【0056】
図7は、4in1プリントの場合の埋込情報の処理について説明するための図である。同図の例では、原稿Aの地紋に200バイト、原稿Bの地紋に400バイト、原稿Cの地紋に300バイト、原稿Dの地紋に250バイトの情報が埋め込まれているとする。4in1プリント機能を利用すると、4枚の原稿に埋め込まれている埋込情報の量は1150バイトであり、1枚の記録紙に埋め込める情報の量(1000バイト)を超える。
【0057】
そこで、埋込情報格納領域222の中で、4in1プリント機能を利用して画像形成される記録紙の地紋に埋め込まれる情報が格納される領域に所在情報を挿入し、4in1で画像形成された記録紙の地紋には、所在情報込みで最大1000バイトの情報を埋め込むようにする。一方、余剰情報は前記したハードディスク等の媒体に退避する(S109)。これらの処理は、形成画像編集部214が行う。形成画像編集部214の処理内容として、より詳細には(1)原稿を読み取って得た原稿画像からの地紋の消去、(2)上記埋込情報及び所在情報の編集及び余剰情報の退避処理、(3)Nin1プリント機能で形成される原稿N枚分の本来の原稿画像の編集処理、(4)画像形成に用いられる画像データへの地紋の付加処理、などがある。なお、退避する余剰情報を暗号化する場合には暗号化処理部216が適宜利用され、所在情報に復号化情報が含まれる。
【0058】
上記形成画像編集部215による編集処理(S110)にて編集された画像データを用いてプリント処理が実行される(S111)。プリントされた記録紙の地紋には、N枚分の元原稿に埋め込まれていた埋込情報の一部と所在情報とが埋め込まれる。当該記録紙が再度カラー画像読取部11で読み取られる際には、地紋から所在情報が取得されることとなるため、元原稿に埋め込まれていた埋込情報を再度取得することができる。
【0059】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の内容が上記実施の形態において説明された具体例によって限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を実施することもできる。
【0060】
(1)上記実施の形態では、Nin1プリント機能を利用して新たに画像形成された記録紙の地紋に、埋込可能な最大限の情報量を埋め込む場合を想定して説明したが、埋め込む情報の量は任意であり、必ずしも最大限の情報を埋め込む必要はない。また、埋め込む情報を管理コードのみとして、元原稿の埋込情報を全て余剰情報として退避するようにしてもよい。
【0061】
図8は、このような場合の処理方法について説明するための図である。同図の例は、図7の例と同様の埋込情報が埋め込まれた4枚の原稿を4in1プリント機能を用いて画像形成する場合の例であり、4in1プリント機能を利用して画像形成された記録紙の地紋には所在情報(例えば管理コード)のみを埋め込む。結果として、元原稿に埋め込まれていた埋込情報は、全て余剰情報としてハードディスクや外部サーバ等に退避されることとなる。
【0062】
(2)埋込情報の重要性により、処理を分ける方法も考えられる。例えば、パスワード、複合化情報などは、読み取りができない場合、当該文書にアクセスすることができなくなる可能性があるが、そのような重要性の高い情報は形成される画像の地紋に埋め込み、読み出せない場合でも影響の少ない情報を退避させる、という処理を行うことも可能である。
【0063】
(3)上記実施の形態では、退避先の媒体(ハードディスク、メモリカード等)を操作パネルOP1を介してユーザが指定することが可能な構成としたが、媒体に優先順位を付け、優先順位の高い媒体を利用できない場合に他の媒体の利用を促すような構成を備えることも可能である。図9及び図10は、このような場合にタッチパネル74に表示される画面の例を示す図である。
【0064】
図9の例は、外部サーバの電源が落ちている場合など、外部に適切なサーバがない場合に、ユーザにメモリカード243の装着を促す画面の例である。この場合、例えばカードリーダライタ242にメモリカード243が装着され、「OK」ボタン751が押下された場合に、余剰情報をメモリカード243に書き込み、メモリカード243の識別子などを所在情報として形成される画像に埋め込むことができる。メモリカード243を保持していないユーザは「取消」ボタン752を押下することで、例えば図3の画面に戻ることができる。
【0065】
図10の例は、適切な媒体がない場合に、別の記録紙に情報埋め込み地紋を形成する旨をユーザに通知する画面の例である。この場合、「OK」ボタン751が押下された場合に、余剰情報を他の記録紙の地紋に埋め込み、所在情報として、その旨、及び識別用のコードなどの情報を、形成される画像に埋め込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、例えばNin1プリント機能を備える画像形成装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】埋込情報管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】複写機100の全体構成を示す概略断面図である。
【図3】操作パネルOP1の形態の一例を模式的に示す図である。
【図4】制御部200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】制御部200の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図6】制御部200による埋込情報処理の内容について説明するためのフローチャートである。
【図7】4in1プリントの場合の埋込情報の処理について説明するための図である。
【図8】本発明の変形例における埋込情報の処理について説明するための図である。
【図9】外部に適切なサーバがない場合に、ユーザにメモリカード243の装着を促す画面の一例を示す図である。
【図10】適切な媒体がない場合に、別の記録紙に情報埋め込み地紋を形成する旨をユーザに通知する画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 原稿自動搬送装置(ADF)
11 カラー画像読取部
12 画像形成部
20 画像データ処理部
21 プリントヘッド
61 通信インタフェース
72 操作部
74 液晶タッチパネル
100 複写機
200 制御部
210 CPU
211 画像データ展開部
212 埋込情報取得部
213 情報量比較部
214 形成画像編集部
215 暗号化処理部
220 RAM
222 埋込情報格納領域
230 ROM
240 データ記憶部
241 ハードディスクドライブ
2411 余剰情報格納領域
242 カードリーダライタ
243 メモリカード
310 情報管理サーバ
320 外部の管理サーバ
400 ルータ
500 LAN
600 インターネット
OP1 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シート上に形成された画像の中に埋め込まれる埋込情報を読み取る読み取り手段と、複数枚の記録シート上に形成された画像を一枚の記録シートに集約して形成するNin1プリント機能を備える画像形成装置において、
前記Nin1プリント機能を用いてN枚分の画像を1枚の記録シート上に形成するに際し、当該N枚分の画像から得られる埋込情報を蓄積記憶する埋込情報記憶手段と、
前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の量と、1枚の記録シートに埋め込むことが可能な情報量とを比較する比較手段と、
N枚分の画像に埋め込まれた情報を1枚の記録シートに埋め込むことが可能でない場合に、記録シートに埋め込まれない分の情報の所在を示す所在情報を、形成される画像に埋め込むようにデータを編集する編集手段と、
記録シートに埋め込まれない分の情報を退避させる退避手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所在情報は、
画像形成装置内部に備えられた不揮発性記憶装置における所在を示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
ネットワークを介して外部の装置とデータの送受信を行う通信インタフェースを備え、
前記退避手段は、
前記通信インタフェースを通じて、記録シートに埋め込まれない分の情報を外部の装置へ退避させ、
前記所在情報は、
前記外部の装置内における所在を示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、
可搬性記憶媒体を装着する媒体装着部を備え、
前記退避手段は、
前記媒体装着部を通して、記録シートに埋め込まれない分の情報を可搬性記憶媒体へ退避させ、
前記所在情報は、
前記可搬性記憶媒体及び当該媒体内における所在を示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記退避手段は、
記録シートに埋め込まれない分の情報を、他の記録シートに形成される地紋に埋め込む
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、さらに、
記録シートに埋め込まれない分の情報を暗号化する暗号化手段を備え、
前記所在情報は、
暗号化された情報を復号化するための情報を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記退避手段は、
前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の全てを、記録シートに埋め込まれない分の情報として退避させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記退避手段は、
前記N枚分の画像に埋め込まれた埋込情報の中で重要性の低い情報を、記録シートに埋め込まれない分の情報として退避させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、
一の情報退避先媒体が利用できない場合に、他の媒体への変更を促す通知手段を備える
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−352493(P2006−352493A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175818(P2005−175818)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】