説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、出荷時における梱包作業を容易とするとともに、運搬の際給紙カセット等の可動体が動くことのないことようにする。
【解決手段】 装置筐体11に対して可動体(例えば、給紙カセット12)が引き出し又は開閉可能に配設されており、レベルボルト20によって装置筐体の底面の床面に対する位置が調整される。レベルボルトに連動して可動体をロックするロック機構とを有しており、ロック機構はレベルボルトの移動に連動して上下方向に移動するリンク部材14と、リンク部材に取り付けられた係止部材17とを有している。そして、係止部材はレベルボルトが第1の位置にある際可動体をロックし、レベルボルトが第1の位置よりも下側に位置する第2の位置で可動体のロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、又はファクシミリ装置等の画像形成装置に関し、特に、装置筐体に対して移動自在に設けられたユニット等の可動体をロックするロック機構を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置においては、複数の給紙カセットが備えられ、これら給紙カセットは装置筐体に対して引き出し可能となっている(つまり、給紙カセットは装置筐体に対して移動自在となっている)。さらに、装置筐体の前面には前面カバーが設けられ、この前面カバーは装置筐体に対して開閉可能となっており、例えば、トナー補給又はメンテナンス等の際前面カバーを開いて、トナー補給又はメンテナンスを行うことになる。その他にも、画像形成装置には、装置筐体に対して移動自在に設けられたユニット等の可動体が複数備えられ、必要に応じて可動体が装置筐体から引き出されることがある。
【0003】
ところで、給紙カセット等の可動体は装置筐体に対して移動自在に配置されている関係上、例えば、画像形成装置を運搬する際、可動体が動いて装置筐体から引き出された状態となることがある。同様に、前面カバー等も運搬に伴う振動によって開いてしまうことがある。そして、運搬の際、このような事態が生じると、画像形成装置の運搬に支障をきたすばかりでなく、可動体の移動を支持する部材(例えば、スライド支持部又はヒンジ部)が損傷を受けることもあり、また前面カバー等が変形してしまうこともある。
【0004】
このため、画像形成装置を運搬する際には(例えば、出荷時等)には、給紙トレイ及び前面カバー等の可動体を粘着テープ等で固定して、可動体が運搬時に動いて引き出された状態又は開いた状態とならないようにしている。
【0005】
しかしながら、テープ等で可動体を固定する作業には時間がかかり、さらに画像形成装置を設置場所に設置する際には、テープを除去するという作業が伴うことになる。また、ユーザが画像形成装置の設置場所を変更する際にも、画像形成装置の運搬移動に伴う可動体の動きを阻止するため、可動体をテープ等で固定しなければならない。そして、テープを剥がした際、その跡が可動体に付着してしまい、清掃をおこなわなければならないこともある。
【0006】
上述のような不具合を防止するため、つまり、運搬時に、可動体が不用意に動くことがないようにするため、画像形成装置本体(装置筐体)に対して運搬用把手をスライド自在に設けて、運搬用把手は画像形成装置を運搬する際、画像形成装置本体外に引き出され、画像形成装置本体内に、運搬用把手を引き出した際、これに連動して可動体である給紙カセットをロックするためのロックレバーとリンク杆を含むロック機構を設けるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平8−44272号公報(第3頁〜第5頁、第1図〜第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載された画像形成装置では、運搬用把手を引き出した際、可動体である給紙カセットをロックして、給紙カセットが動かないようにしているものの、運搬用把手を引き出さないと、給紙カセットがロックされず、このため、出荷の際画像形成装置を梱包しようとすると、少なくとも運搬用把手の分だけ大きい梱包箱を準備しなければならず、しかも運搬用把手が突出している関係上、梱包の際運搬用把手が邪魔となってしまうという課題がある。
【0009】
つまり、従来の画像形成装置では、運搬用把手を引き出さないと、可動体である給紙カセットがロックされず、特に、画像形成装置を出荷する際、この運搬用把手が邪魔になって、出荷時における梱包作業が極めて面倒になってしまうという課題がある。
【0010】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、出荷時における梱包作業が容易で、しかも運搬の際給紙カセット等の可動体が動くことのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、装置筐体に対して引き出し又は開閉可能に配設された可動体を備える画像形成装置において、前記装置筐体の底面の床面に対する位置を調整するレベル調整手段と、該レベル調整手段に連動して前記可動体をロックするロック機構とを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、例えば、前記レベル調整手段は前記床面に対して上下方向に移動可能で前記装置筐体に取り付けられたレベルボルトを有し、前記ロック機構は前記レベルボルトの移動に連動して上下方向に移動するリンク部材と、該リンク部材に取り付けられた係止部材とを有し、前記係止部材は前記レベルボルトが第1の位置にある際前記可動体をロックし、前記レベルボルトが前記第1の位置よりも下側に位置する第2の位置で前記可動体のロックを解除する。
【0013】
本発明では、前記係止部材はその一端が前記リンク部材に回動可能に支持されており、前記係止部材の一端と他端との間で前記係止部材は支点部材によって前記装置筐体に対して支持され、前記レベルボルトが前記第2の位置から前記第1の位置に位置付けられた際、前記リンク部材の移動に応じて前記係止部材が回動して前記係止部材の他端で前記可動体を係止する。
【0014】
本発明では、前記レベルボルトを第2の位置から第1の位置に向って上昇させた際前記レベルボルトが前記第1の位置に達したことを確認できる確認手段が備えられており、例えば、前記確認手段は前記レベルボルトに形成され前記第1の位置で前記装置筐体にネジ嵌入する第1のネジ部と、前記第2の位置で前記装置筐体にネジ嵌入する第2のネジ部とを有している。
【0015】
また、本発明では、前記可動体の一つは前記装置筐体に対して引き出し可能な把持取手部であって、前記リンク部材は第1のリンク部と該第1のリンク部の下側に位置付けられた第2のリンク部とを有し、さらに、前記第1のリンク部を前記第2のリンク部に対して上方に付勢する付勢手段と、前記把持取手部が前記装置筐体から引き出された状態で前記レベルボルトが第1の位置にある際、前記把持取手部が前記装置筐体内に押し込まれると前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1のリンク部を押し下げて該第1のリンク部で前記把持取手部を係止する係止手段を有している。そして、前記係止手段は前記把持取手部に形成され上下方向に延びる溝部を有し、前記把持取手部が前記装置筐体に収納されると前記溝部に前記第1のリンク部の先端が挿入される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明による画像形成装置は、装置筐体の底面の床面に対する位置を調整するレベル調整手段に連動して可動体をロックするロック機構を備えているので、レベル調整手段を操作すれば、可動体のロック又はロック解除することができ、画像形成装置を梱包する等、画像形成装置を運搬移動する際において、梱包作業が容易で、しかも運搬の際給紙カセット等の可動体が動くことがないという効果がある。
【0017】
また、本発明では、レベルボルトを第2の位置から第1の位置に向って上昇させた際、レベルボルトが第1の位置に達したことを確認できるようにしたので、可動体が不完全なロック状態となることを防止できるという効果がある。
【0018】
本発明では、把持取手部が装置筐体から引き出された状態でレベルボルトが第1の位置にある際、把持取手部が装置筐体内に押し込まれると付勢手段の付勢力に抗して第1のリンク部を押し下げて、第1のリンク部で把持取手部を係止する係止手段を有しているので、把持取手部以外の可動部をロックした状態で、把持取手部を用いて画像形成装置を移動させ、梱包段階で、把持取手部を装置筐体に押し込めば簡単に把持取手部を装置筐体に収納ロックすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0020】
図1を参照して、図1(a)に示すように、図示の画像形成装置10は、装置筐体11を有しており、この装置筐体11には、可動体である給紙カセット12が配設されている。図示の例では、給紙カセット12は紙面の裏側から表側(前面側)に引き出し(スライド)可能となっており、記録用紙(以下単に用紙と呼ぶ)を補給する際には、装置筐体11から給紙カセット12を引き出して用紙を補給する。そして、用紙を補給した後、装置筐体11に給紙カセット12を収納することになる。
【0021】
図示はしないが、装置筐体11内において、給紙カセット12の上側には、感光体ドラム、帯電器、露光器、現像器、転写器、及びクリーニングユニット等の画像形成ユニットが配置され、画像形成を行う際には、帯電器によって感光体ドラムの表面を均一に帯電した後、画像データに応じて露光器によって感光体ドラムの表面が露光されて、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。その後、静電潜像が現像器によって現像されてトナー像とされる。
【0022】
そして、給紙カセット12から選択的に用紙が搬送されて、感光体ドラム上のトナー像が用紙に転写された後、定着装置でトナー像が定着されて、装置筐体11の上面に形成された排紙トレイに排紙される。なお、感光体ドラムに残留する残留トナーはクリーニングユニットで除去され、その後、除電器によって感光体ドラムの残留電荷が除去される。
【0023】
装置筐体11の底面四隅には、移動用車輪(キャスター)13が配設されており、装置筐体11の前面近傍において、装置筐体の両側面11aには上下方向に延びる円柱状の作動バー部材(リンク部材)14が配置されている(図1(a)においては左側面側の作動バー部材14のみが示されている)。装置筐体11の側面11aには外側に突出する支持部材15が形成されており、この支持部材15の上側において、装置筐体の側面11aには切り欠き部16が形成されている。そして、この切り欠き部16に対応して給紙カセット12の上端には係止部12aが形成されている。
【0024】
一方、作動バー部材14には支点ピン17aによって係止部材17の一端が回転可能に支持されており、係止部材17にはその長手方向に延びる長穴17bが形成されている。支持部材15には紙面の裏側から表側に延びるピン部材(支点部材)15aが設けられており、このピン部材15aは長穴17bに挿通されている。そして、係止部材17の他端は前述の切り欠き部16に挿入されている(作動バー部材及び係止部材はロック機構として機能する)。
【0025】
図示のように、装置筐体11の底面11bの一部は側面11aよりも僅かに外側に突出しており、この突出部分はフランジ部11cとされる。このフランジ部11cの上面側には円筒形状の筒体18が配置され、この筒体18の内周面にはネジが切られている。そして、この筒体18の内径は作動バー部材14の外径よりも僅かに大きい。そして、作動バー部材14の下端は筒体18内に挿入される。一方、フランジ部11cの下面側にはリング部材19が筒体18と同心状に配設されており、リング部材19の内径は筒体18の内径よりも大きい。
【0026】
フランジ部11cには筒体18の内径と略同一の大きさの貫通穴が形成されており、この貫通穴を介してリング部材19側から筒体18にボルト部材(以下レベルボルトと呼ぶ:レベル調整手段)20が挿入されている。図1(b)に拡大して示すように、レベルボルト20は軸部20aとこの軸部20aに連結された頭部20bとを有しており、軸部20aの外周面にはネジが切られ、軸部20aの外周面は筒体18の内周面とネジによって噛み合っている。頭部20bは小径部201と小径部201の下側に位置する大径部202とを有し、レベルボルト20を回転させて軸部20aをねじ込んで小径部201の上面がフランジ部11cの下面に当接した状態では、小径部201はリング部材19に収納される。つまり、小径部201の外径とリング部材19の内径とは略同一である。
【0027】
図2を参照すると、図2は装置筐体11の右側面側を示す図であり、図1(a)には示されていないが、装置筐体11の前面には前面カバー11dが配設され、この前面カバー11dは装置筐体に対してその一端側が回動可能に支持され、前面カバー11dを開くと、装置筐体11内、つまり、画像形成装置内部が露出する。なお、作動バー部材14の上端側には内側に突出する支持部材21が形成され、この支持部材21には支点ピン21aによって係止部材22の一端が回動可能に支持されている。
【0028】
また、この係止部材22に対応付けて、装置筐体11の側面11aには支持部材23が形成され、支持部材23に設けられたピン部材23aが係止部材22に形成された長穴22aに挿入されている。なお、図2においては、図1(a)で説明した係止部材17等は省略されており、同様に、図1(a)においては図2に示す係止部材22等は省略されている。
【0029】
ところで、画像形成装置10を設置場所の床面に設置した際には、画像形成装置10の転倒防止のため(給紙カセット12を前面側に引き出す関係上、特に前面側への転倒を防止する必要がある)、レベルボルト20を回転してレベルボルト20を下げて、大径部202の下面を床に当接させる。つまり、図1(a)及び図2に示すように、大径部202の下面をキャスター13よりも下側に位置付ける状態まで(第2の位置)、レベルボルト20を下げて、装置筐体11の前面側を僅かに持ち上げることになる。
【0030】
図1(a)及び図2に示す状態では、レベルボルト20が下げられている状態であるから、レベルベルト20の軸部20aに当接する作動バー部材14は自重によって下がり、この結果、作動バー部材14に取り付けられた支点ピン17a及び21aも下がって、係止部材17及び22がそれぞれ支点ピン17a及び21a回りに実線矢印で示す方向に回動する。この際、ピン部材15a及び23aがそれぞれ長穴17b及び22a内で移動して、係止部材17及び22は支持部材15及び23に支持された状態で回動することになる。これによって、係止部材17の他端は持ち上がり、係止部12aから離脱し、給紙カセット12のロックが解除される(第2の位置)。同様にして、係止部材22の他端も持ち上がり、前面カバー11dから離脱して前面カバー11dのロックが解除される。
【0031】
一方、画像形成装置10の設置場所を移動する際又は画像形成装置を梱包して出荷する際には、レベルボルト20を回転してレベルボルト20を上げる。これによって、作動バー部材14は軸部20aによって押し上げられて、作動バー部材14に取り付けられた支点ピン17a及び21aも押し上げられる。図3はレベルボルト20を上げる過程を示す図であり、レベルボルト20を途中まで上げた状態を示している。図3(a)及び(b)に示すように、レベルボルト20を上げていくと、支点ピン17aの上昇に伴って、係止部材17が支点ピン17a回りに実線矢印で示す方向に回動する。この際、ピン部材15aがそれぞれ長穴17b内で移動して、係止部材17は支持部材15に支持された状態で回動することになる。そして、係止部材17の他端が下がって、係止部12aに近づく。
【0032】
図4を参照して、レベルボルト20を上げて、図4(a)及び(b)に示すように、頭部20bの小径部201がリング部材19に収納された状態となると(第1の位置)、係止部材17は水平面と略平行になって、係止部材17の他端が係止部12aに係合して、係止部材17によって給紙カセット12がロックされる(第1の位置)。前述のように、作動バー部材14の下端はレベルボルト20の軸部20aに当接しているから、レベルボルト20を回転操作しない限りは、作動バー部材14は図4(a)に示す位置に保持され、係止部材17による給紙カセット12のロックが外れてしまうことはない。
【0033】
図4に示す状態においては、図5に示すように、支点ピン21aの上昇に伴って、係止部材22が支点ピン21a回りに実線矢印で示す方向に回動して、係止部材22は水平面と略平行になって、係止部材22の他端が前面カバー11dの上端に挿入され、前面カバー11dが係止部材22によって係止される(ロックされる)。なお、係止部材17及び22の回動範囲は、それぞれ長穴17b及び22aによって規定されることになる。
【0034】
上述のように、画像形成装置10の転倒等を防止するレベルボルト20を上げると、つまり、レベルボルト20を解除すると、それに連動して係止部材17及び22がそれぞれ給紙カセット12及び前面カバー11dをロックし、レベルボルト20を下げると、つまり、レベルボルト20を作用させると、それに連動して係止部材17及び22による給紙カセット12及び前面カバー11dのロックを解除するようにしたので、レベルボルト20の操作によって可動体である給紙カセット12及び前面カバー11dのロック及びロック解除ができることになって、通常、画像形成装置(特に、大型の画像形成装置)にはレベルボルトが備えられていることを考慮すると、レベルボルトは上下方向に動くだけであるから、特に、出荷時においてレベルボルトが邪魔になることはなく、その結果、梱包作業が容易となるばかりでなく、レベルボルトの操作のみで運搬の際給紙カセット等の可動体をロックすることができるという効果がある。
【0035】
ところで、図1及び図2で説明したレベルボルト20は常に筒体18とネジによって噛み合っているので、例えば、画像形成装置10を搬送する際にレベルボルト20を途中まであげて、つまり、小径部201がリング部材19に収納されない状態で、給紙カセット等がロックされたとして、画像形成装置を搬送してしまう恐れがある。このため、図6(a)に示すように、筒体18の内周面にネジを形成せず、フランジ部11cに形成された貫通穴の内周面にネジ31を形成する。さらに、リング部材19の内周面にネジ19aを形成して、小径部201の外周面にネジ32(第2のネジ部)を形成する。また、軸部20aにはその先端側のみにネジ33(第1のネジ部)を形成する。
【0036】
このようにすると、図6(b)に示すように、ネジ33とネジ31が噛み合っている状態では、レベルボルト20が下げられてレベルボルト20が床面に当接した状態となり、レベルボルト20を回転させてレベルボルト20を上げると、その過程で図6(c)に示すように、ネジ33がネジ31から抜ける状態となる。そして、さらに、レベルボルト20を上げて、ネジ32とネジ19aとが噛み合う状態となると(図6(d)参照)、前述した係止部材17及び22がそれぞれ給紙カセット12及び前面カバー11dをロックする位置に達するようにする。
【0037】
作業員又はユーザは、レベルボルト20を上げて、一旦レベルボルト20の回動負荷(つまり、ネジ同士の噛み合いによる負荷)が低下した後、再度回動負荷が高くなると、ロックが行われたと判断することができることになる(つまり、確認手段として機能することになる)。
【0038】
ところで、画像形成装置10はキャスター13によって移動可能となっているものの、画像形成装置10を移動させる際の便宜を考えて、装置筐体11に収納(スライド)可能に把持取手部を設けることがある。図7を参照して、図7(a)に示すように、装置筐体11には把持取手部41がスライド可能に配設されており、画像形成装置を運搬移動する際には、把持取手部41が装置筐体11から引き出される。図示の例では、作動バー部材14は第1及び第2のバー部42及び43を有しており、第1のバー部(第1のリンク部)42の下端には取り付け部42aが形成され、同様にして第2のバー部(第2のリンク部)43の上端には取り付け部43aが形成されて、取り付け部42a及び43a間に付勢部材であるコイルバネ44が配設されて、このコイルバネ44によって第1のバー部42が上方に付勢されている。なお、図示はしないが、第2のバー部43の下端がレベルボルト20に当接している。
【0039】
画像形成装置10を運搬移動する際には、レベルボルト20を上げて給紙カセット12等の可動体をロックする前に、把持取手部41を装置筐体11から引き出した後、レベルボルト20を上げて給紙カセット12等の可動体をロックする。図7(a)に示すように、把持取手部41の前端には取手41aが位置しており、この取手41aにはスライド部41bが連結されている。このスライド部41bには厚さ方向に凹む溝部41cが形成されるとともに、この溝部41cの後ろ側にはスライド部41bの厚さが薄くなる方向に傾斜する傾斜面41dが形成されている。また、第1のバー部42の先端には傾斜面41dと逆方向に傾斜する傾斜面42bが形成されている。
【0040】
前述のように、把持取手部41を用いて画像形成装置10を運搬移動させる際には、把持取手部41を装置筐体から引き出した後、レベルボルト20を上げて給紙カセット12等の可動体をロックする。そして、画像形成装置10を、例えば、梱包する際には、把持取手部41を装置筐体11に収納することになるが、この際には、レベルボルト20を下げることなく、把持取手部41を装置筐体11内にスライドさせると、傾斜面42bが傾斜面41dに当接し、把持取手部41のスライドに応じてコイルバネ44が圧縮されて、第1のバー部42の先端が下がる。
【0041】
さらに、把持取手部41をスライドさせると、溝部41cが第1のバー部42の先端に位置した時点で、コイルバネ44の付勢によって第1のバー部42が上昇して、その先端が溝部41cに挿入されて把持取手部41がロックされる。
【0042】
このようにして、給紙カセット12等の可動体をロックした状態で、把持取手部41を用いて画像形成装置10を運搬移動して、画像形成装置10を梱包する際には、給紙カセット12等の可動体をロックした状態で、つまり、レベルボルト20を上げた状態で、単に把持取手部41を装置筐体11内にスライドさせるだけで、把持取手部41が装置筐体11内でロックされることになる。
【0043】
なお、上述の例では、可動体として給紙カセット、前面カバー、及び把持取手部を例に挙げて説明したが、装置筐体に対して引き出し又は開閉可能なカバー又はユニットであれば、同様にして、上述のロック機構を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
装置筐体の底面の床面に対する位置を調整するレベル調整手段に連動して可動体をロックするロック機構を備えているから、レベル調整手段を操作すれば、可動体のロック又はロック解除することができ、画像形成装置を梱包する等、画像形成装置を運搬移動する際において、梱包作業が容易で、しかも運搬の際給紙カセット等の可動体が動くことがない結果、画像形成装置ばかりでなく、可動体を備える事務機器等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1による画像形成装置を、給紙カセットのロックが解除された状態で示す図であり、(a)は前面側から破断して概略的に示す図、(b)は(a)のA部分を拡大して示す図である。
【図2】本発明の実施例1による画像形成装置を、前面カバーのロックが解除された状態で前面側から破断して概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施例1による画像形成装置を、レベルボルトを上げて給紙カセットのロックをロックする過程を示す図であり、(a)は前面側から破断して概略的に示す図、(b)は(a)のA部分を拡大して示す図である。
【図4】本発明の実施例1による画像形成装置を、給紙カセットがロックされた状態で示す図であり、(a)は前面側から破断して概略的に示す図、(b)は(a)のA部分を拡大して示す図である。
【図5】本発明の実施例1による画像形成装置を、前面カバーがロックされた状態で前面側から破断して概略的に示す図である。
【図6】本発明の実施例1による画像形成装置で用いられるレベルボルトの他の例を示す断面図であり、(a)はレベルボルトと作動バー部材との関係を示す断面図、(b)はレベルボルトが下げられてロック解除が行われている状態を示す断面図、(c)はレベルボルトを上げる過程を示す断面図、(d)はレベルボルトを上げてロックが行われた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1による画像形成装置で用いられる把持取手部のロックを説明するための断面図であり、(a)は装置筐体から把持取手部が引き出された状態を示す断面図、(b)は装置筐体に把持取手部が収納されてロックされた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 画像形成装置
11 装置筐体
12 給紙カセット
13 移動用車輪(キャスター)
14 作動バー部材
15,21,23 支持部材
16 切り欠き部
17,22 係止部材
18 筒体
19 リング部材
20 レベルボルト
41 把持取手部
44 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体に対して引き出し又は開閉可能に配設された可動体を備える画像形成装置において、
前記装置筐体の底面の床面に対する位置を調整するレベル調整手段と、
該レベル調整手段に連動して前記可動体をロックするロック機構とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記レベル調整手段は前記床面に対して上下方向に移動可能で前記装置筐体に取り付けられたレベルボルトを有し、
前記ロック機構は前記レベルボルトの移動に連動して上下方向に移動するリンク部材と、該リンク部材に取り付けられた係止部材とを有し、
前記係止部材は前記レベルボルトが第1の位置にある際前記可動体をロックし、前記レベルボルトが前記第1の位置よりも下側に位置する第2の位置で前記可動体のロックを解除するようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係止部材はその一端が前記リンク部材に回動可能に支持されており、
前記係止部材の一端と他端との間で前記係止部材は支点部材によって前記装置筐体に対して支持され、
前記レベルボルトが前記第2の位置から前記第1の位置に位置付けられた際、前記リンク部材の移動に応じて前記係止部材が回動して前記係止部材の他端で前記可動体を係止するようにしたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記レベルボルトを第2の位置から第1の位置に向って上昇させた際、前記レベルボルトが前記第1の位置に達したことを確認できる確認手段が備えられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記確認手段は、前記レベルボルトに形成され前記第1の位置で前記装置筐体にネジ嵌入する第1のネジ部と、前記第2の位置で前記装置筐体にネジ嵌入する第2のネジ部とを有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可動体の一つは前記装置筐体に対して引き出し可能な把持取手部であり、
前記リンク部材は第1のリンク部と該第1のリンク部の下側に位置付けられた第2のリンク部とを有し、
前記第1のリンク部を前記第2のリンク部に対して上方に付勢する付勢手段と、
前記把持取手部が前記装置筐体から引き出された状態で前記レベルボルトが第1の位置にある際、前記把持取手部が前記装置筐体内に押し込まれると前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1のリンク部を押し下げて該第1のリンク部で前記把持取手部を係止する係止手段を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記係止手段は前記把持取手部に形成され上下方向に延びる溝部を有し、
前記把持取手部が前記装置筐体に収納されると前記溝部に前記第1のリンク部の先端が挿入されるようにしたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−64888(P2006−64888A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246006(P2004−246006)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】