説明

画像形成装置

【課題】 フレーム材を特に変更することなく、手差し用給紙トレイを用紙受け入れ部側に入り込ませる状態でコンパクトに格納できるようにする。
【解決手段】 前側板6と後側板7とを間隔を隔てて連結した筐体Bに画像形成部と給紙トレイと用紙搬送部とを収容し、用紙搬送部を装置本体の左右方向一端側に配置し、画像形成部と給紙トレイとを用紙搬送部側に向けて上下に配置し、前側板及び後側板の用紙搬送部側上端角部17どうしを角部形状に沿った横断面形状のフレーム材9で連結し、手差し用給紙トレイ5を、フレーム材側に格納する格納姿勢とフレーム材側から離間した供給姿勢とに揺動自在に支持してある画像形成装置で、前側板及び後側板の用紙搬送部側上端部を、用紙搬送部よりも高い位置で、側板の上端に亘って用紙受け入れ部側に入り込む形状に形成して、上端角部を用紙受け入れ部側に入り込むように設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の前面側に沿って配置してある前側板と、装置本体の背面側に沿って配置してある後側板とを間隔を隔てて連結してある枠組み状筐体に、画像形成部と、内部給紙トレイと、前記内部給紙トレイの用紙を前記画像形成部に搬送可能な用紙搬送部とを収容し、前記用紙搬送部を、搬送方向を上方向に向けて、装置本体の左右方向一端側に配置するとともに、前記画像形成部と前記内部給紙トレイとを、前記画像形成部の用紙受け入れ部側と前記内部給紙トレイの用紙送り出し部側とを前記用紙搬送部側に向けて、記載順に上下に配置し、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側における上端角部どうしを、それらの角部形状に沿った横断面形状のフレーム材で連結し、前記用紙受け入れ部に装置本体の外側から用紙を供給可能な手差し用給紙トレイを、前記フレーム材側に近接させて格納する格納姿勢と、前記フレーム材側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に支持してある画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記画像形成装置は、手差し用給紙トレイで装置本体の外側から画像形成部の用紙受け入れ部に用紙を供給できるように、用紙搬送部を、搬送方向を上方向に向けて、装置本体の左右方向一端側に配置するとともに、画像形成部と内部給紙トレイとを、画像形成部の用紙受け入れ部側と内部給紙トレイの用紙送り出し部側とを用紙搬送部側に向けて、記載順に上下に配置して、前側板と後側板とを間隔を隔てて連結してある枠組み状筐体に収容してある。
従来の画像形成装置は、前側板及び後側板の外周形状を、左右の側辺部が全長に亘って互いに略平行な四角形に形成し、その前側板及び後側板の用紙搬送部側における上端角部どうしを、それらの角部形状に沿った略L字形横断面形状のフレーム材で連結して筐体の変形を防止してあり(例えば、特許文献1参照)、手差し用給紙トレイを、そのフレーム材側に近接させて格納する格納姿勢と、フレーム材側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に支持している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−66671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、手差し用給紙トレイを、フレーム材側に近接させて格納する格納姿勢に切り換えても、用紙受け入れ部側に入り込ませる状態でコンパクトに格納することができない欠点がある。
この欠点を解決するために、手差し用給紙トレイが格納姿勢で前側板と後側板との間に入り込むように、例えば角部形状に沿った横断面形状のフレーム材に切欠きを設けることが考えられるが、この場合は、フレーム材の強度を確保できるように、フレーム材の切欠き部に沿って補強用のフランジを新たに設けるなどの対策が必要で、従来のフレーム材を使用できなくなり、製作コストが高くなる欠点が新たに生じる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、フレーム材の寸法や形状を特に変更することなく、手差し用給紙トレイを、用紙受け入れ部側に入り込ませる状態でコンパクトに格納できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、装置本体の前面側に沿って配置してある前側板と、装置本体の背面側に沿って配置してある後側板とを間隔を隔てて連結してある枠組み状筐体に、画像形成部と、内部給紙トレイと、前記内部給紙トレイの用紙を前記画像形成部に搬送可能な用紙搬送部とを収容し、前記用紙搬送部を、搬送方向を上方向に向けて、前記筐体の左右方向一端側に配置するとともに、前記画像形成部と前記内部給紙トレイとを、前記画像形成部の用紙受け入れ部側と前記内部給紙トレイの用紙送り出し部側とを前記用紙搬送部側に向けて、記載順に上下に配置し、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側における上端角部どうしを、それらの角部形状に沿った横断面形状のフレーム材で連結し、前記用紙受け入れ部に装置本体の外側から用紙を供給可能な手差し用給紙トレイを、前記フレーム材側に近接させて格納する格納姿勢と、前記フレーム材側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に支持してある画像形成装置であって、
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側上端部を、前記用紙搬送部よりも高い位置で、側板の上端に亘って前記用紙受け入れ部側に入り込む形状に形成して、前記上端角部を前記用紙受け入れ部側に入り込むように設けてある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
つまり、内部給紙トレイの用紙をその上部の画像形成部に搬送可能な用紙搬送部を、筐体の左右方向一端側に配置してあるので、筐体の用紙搬送部側上端部を用紙受け入れ部側に入り込ませても、用紙を画像形成部に搬送する上で支障が生じにくい点に着目し、前側板及び後側板の用紙搬送部側上端部を、用紙搬送部よりも高い位置で、側板の上端に亘って用紙受け入れ部側に入り込む形状に形成して、前側板及び後側板の用紙搬送部側における上端角部を、用紙受け入れ部側に入り込むように設けてあるので、それらの角部形状に沿った横断面形状のフレーム材を、用紙受け入れ部側に入り込ませて、上端角部どうしを連結することができる。
従って、フレーム材を、その寸法や形状を特に変更することなく、用紙受け入れ部側に入り込ませて、前側板及び後側板の用紙搬送部側における上端角部どうしを連結することができ、手差し用給紙トレイを、フレーム材側に近接させて格納する格納姿勢で、用紙受け入れ部側に入り込ませる状態でコンパクトに格納できる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側上端部の形状を曲線状に形成してある
【0008】
〔作用及び効果〕
前側板及び後側板の用紙搬送部側上端部の形状を曲線状に形成してあるので、応力集中が生じにくく、筐体の強度を確保し易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側下端部を、前記用紙搬送部よりも低い位置で、側板の下端に亘って前記用紙送り出し部側に入り込む形状に形成してある点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
つまり、内部給紙トレイの用紙をその上部の画像形成部に搬送可能な用紙搬送部を、筐体の左右方向一端側に配置してあるので、筐体の用紙搬送部側下端部を用紙送り出し部側に入り込ませても、用紙を画像形成部に搬送する上で支障が生じにくい点に着目し、前側板及び後側板の用紙搬送部側下端部を、用紙搬送部よりも低い位置で、側板の下端に亘って用紙送り出し部側に入り込む形状に形成してあるので、狭い床面積でも設置し易いように、筐体の用紙搬送部側下端部を用紙送り出し部側に入り込ませることができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側下端部の形状を曲線状に形成してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
前側板及び後側板の用紙搬送部側下端部の形状を曲線状に形成してあるので、応力集中が生じにくく、筐体の強度を確保し易い。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側端部に沿ってフランジを設けてある点にある。
【0014】
〔作用及び効果〕
前側板及び後側板の用紙搬送部側端部に沿ってフランジを設けてあるので、各側板の用紙搬送部側端部における剛性を高めて、筐体の強度を確保し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明によるコピー機やプリンターなどの画像形成装置を示し、図1は画像形成装置の内部を示し、図2〜図5は、画像形成装置の内部機器1,2,3を収容してある装置本体Aの鋼製枠組み状筐体Bを示している。
【0016】
前記画像形成装置は、図1に示すように、自動原稿送り装置4を上面側に揺動自在に備えた装置本体Aの内部に、画像形成部1や複数の内部給紙トレイ2,各内部給紙トレイ2の用紙を画像形成部1に搬送可能な用紙搬送部3などの内部機器を設け、装置本体Aの横側上部には、画像形成部1の用紙受け入れ部1aに装置本体Aの外側から用紙を供給可能な手差し用給紙トレイ5を、装置本体A側に近接させて格納する格納姿勢と、装置本体A側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に支持してある。
【0017】
前記用紙搬送部3は、用紙搬送方向を上方向に向けて、装置本体Aの左右方向一端側、つまり、手差し用給紙トレイ5側に配置してあり、画像形成部1と各内部給紙トレイ2とを、画像形成部1の用紙受け入れ部1a側と各内部給紙トレイ2の用紙送り出し部2a側とを用紙搬送部3側に向けて、記載順に上下に配置してある。
【0018】
前記画像形成部1や複数の内部給紙トレイ2,用紙搬送部3などの内部機器を収容する枠組み状筐体Bは、図2,図3に示すように、装置本体Aの前面側に沿って配置してある前側板6と、装置本体Aの背面側に沿って配置してある後側板7とを、ベース部材8や横フレーム材9,10,11などで間隔を隔てて連結して構成してあり、筐体Bの左右方向一端の外面側に手差し用給紙トレイ5を横軸芯X周りで上下揺動自在に支持できるように構成してある。
【0019】
前記枠組み状筐体Bは主として板金製部材を溶接で接合して組み立ててあり、キャスター12や設置高さ調節用のアジャスター13を備えたベース部材8の前面側に前側板6を垂直に固定するとともに、ベース部材8の背面側に後側板7を前側板6と略平行な姿勢で垂直に固定してある。
【0020】
前記前側板6は、内部機器1,2,3の保守点検や内部給紙トレイ2の出し入れなどができるように上下に大きな開口14,15を備えた枠状に形成してあり、後側板7は、その上下方向中間部の外面側に補強用横フレーム16を固定してあり、前側板6及び後側板7の外周部を外向きに折り曲げて、略全周に亘って補強用のフランジ6a,6b,6c,6d,7a,7b,7c,7dを設け、これらのフランジ6a〜6d,7a〜7dにベース部材8や横フレーム材9〜11などを固定して、前側板6と後側板7とを間隔を隔てて連結してある。
【0021】
つまり、前側板6と後側板7の左右の上端角部17,18どうしを横断面形状が略L字形の第1,第2横フレーム材9,10で連結して、第1横フレーム材9と第2横フレーム材10との間に上板部材19を取り付けると共に、前側板6と後側板7の上下方向中間どうしを、第1横フレーム材9の下方の第3横フレーム材11と、第2横フレーム材10の下方の中間側板20と、上板部材19の下方の中間板材21で連結してある。
【0022】
また、前側板6と後側板7の用紙搬送部3側下端部の夫々を、用紙搬送部3よりも低い位置で、各側板6,7の下端に亘って内部給紙トレイ2における用紙送り出し部2a側に入り込む滑らかな曲線形状に形成して、各下端角部22を用紙送り出し部2a側に入り込むように設け、図4,図5にも示すように、前側板6と後側板7の用紙搬送部3側上端部の夫々を、用紙搬送部3よりも高い位置で、各側板6,7の上端に亘って画像形成部1における用紙受け入れ部1a側に入り込む滑らかな曲線形状に形成して、各上端角部17を用紙受け入れ部1a側に入り込むように設けてある。
【0023】
そして、前側板6と後側板7の左右方向一端側、つまり、用紙搬送部3側の上部角部17どうしを、それらの角部形状に沿った略L字形横断面形状の第1横フレーム材9で連結して、手差し用給紙トレイ5を、用紙受け入れ部1a側に入り込ませる状態で、第1横フレーム材9側に近接させてコンパクトに格納する格納姿勢と、第1横フレーム材9側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に、筐体Bに支持してある。
【0024】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による画像形成装置は、手差し用給紙トレイを、筐体の外面側に固定した外装板などの外装部材に上下揺動自在に支持してあっても良い。
2.本発明による画像形成装置は、前側板及び後側板の用紙搬送部側上端部を、用紙搬送部よりも高い位置で、側板の上端に亘って用紙受け入れ部側に略直角に入り込むL字形状に形成して、上端角部を用紙受け入れ部側に入り込むように設けてあっても良い。
3.本発明による画像形成装置は、前側板及び後側板の用紙搬送部側下端部を、用紙搬送部よりも低い位置で、側板の下端に亘って用紙送り出し部側に略直角に入り込むL字形状に形成して、下端角部を用紙送り出し部側に入り込むように設けてあっても良い。
4.本発明による画像形成装置は、コピー機やプリンターなどの他、ファクシミリであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像形成装置の内部を示す正面図
【図2】枠組み状筐体を正面側から見た斜視図
【図3】枠組み状筐体を背面側から見た斜視図
【図4】要部の斜視図
【図5】要部の側面図
【符号の説明】
【0026】
1 画像形成部
1a 用紙受け入れ部
2 内部給紙トレイ
2a 用紙送り出し部
3 用紙搬送部
5 手差し用給紙トレイ
6 前側板
6a フランジ
7 後側板
7a フランジ
9 フレーム材
17 上端角部
A 装置本体
B 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の前面側に沿って配置してある前側板と、装置本体の背面側に沿って配置してある後側板とを間隔を隔てて連結してある枠組み状筐体に、画像形成部と、内部給紙トレイと、前記内部給紙トレイの用紙を前記画像形成部に搬送可能な用紙搬送部とを収容し、
前記用紙搬送部を、搬送方向を上方向に向けて、装置本体の左右方向一端側に配置するとともに、前記画像形成部と前記内部給紙トレイとを、前記画像形成部の用紙受け入れ部側と前記内部給紙トレイの用紙送り出し部側とを前記用紙搬送部側に向けて、記載順に上下に配置し、
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側における上端角部どうしを、それらの角部形状に沿った横断面形状のフレーム材で連結し、
前記用紙受け入れ部に装置本体の外側から用紙を供給可能な手差し用給紙トレイを、前記フレーム材側に近接させて格納する格納姿勢と、前記フレーム材側から離間させて用紙を供給可能な供給姿勢とに亘って上下揺動自在に支持してある画像形成装置であって、
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側上端部を、前記用紙搬送部よりも高い位置で、側板の上端に亘って前記用紙受け入れ部側に入り込む形状に形成して、前記上端角部を前記用紙受け入れ部側に入り込むように設けてある画像形成装置。
【請求項2】
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側上端部の形状を曲線状に形成してある請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側下端部を、前記用紙搬送部よりも低い位置で、側板の下端に亘って前記用紙送り出し部側に入り込む形状に形成してある請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側下端部の形状を曲線状に形成してある請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記前側板及び前記後側板の前記用紙搬送部側端部に沿ってフランジを設けてある請求項1〜4のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−91689(P2006−91689A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279716(P2004−279716)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】