説明

画像形成装置

【課題】本発明は、印刷条件の設定を適切に行う画像形成装置に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、ホストI/F18a〜18nに接続されたホスト装置HSa〜HSnからの印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきたホスト装置HSa〜HSnからの印刷データのエンジン3での印刷処理を完了すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行う。したがって、パネル部4のディスプレイへの印刷条件の表示内容や印刷条件の一覧印刷の内容と実際の印刷結果とを一致させて、他のホスト装置からの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図した印刷結果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳細には、印刷条件の設定を適切に行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプリンタ装置等の画像形成装置においては、データを印刷する際の印刷条件の各種項目(解像度、変倍率、給紙トレイ選択等)の設定内容(設定値)を適宜変更することができ、この印刷条件の項目の設定値の変更は、画像形成装置の操作表示部のキー操作によって行うことができ、また、画像形成装置に接続されているコンピュータ等のホスト装置からの印刷条件設定コマンドによって行うことができる。
【0003】
また、画像形成装置は、一般的に、印刷条件の初期設定値を不揮発性メモリに記憶しているとともに、現在設定されている印刷条件の設定値を揮発性メモリ等のメモリに記憶しており、操作表示部のキー操作やホスト装置からのコマンドによって印刷条件の表示出力が指示されると、メモリから現在設定されている印刷条件の設定値を読み出して、操作表示部のディスプレイに印刷条件の設定値を表示出力し、また、操作表示部のキー操作やホスト装置からのコマンドによって印刷条件の一欄印刷が指示されると、メモリから現在設定されている印刷条件の設定値を読み出して、印刷条件の一覧を用紙に記録出力する。
【0004】
また、従来から画像形成装置においては、印刷条件のうち、通常の印刷条件の変更とは異なり、印刷条件の一項目(例えば、変倍率、トレイ選択等)を個別に設定可能となっており、この印刷条件の一項目の個別の設定は、画像形成装置の操作表示部のキー操作で行うことができるとともに、ホスト装置からの特定のコマンドによっても行うことができる。
【0005】
そして、従来から画像形成装置においては、上記操作表示部のディスプレイへの印刷条件の設定値の表示や印刷条件一覧印刷で出力するのは、通常の印刷条件の設定で設定された設定値であり、印刷条件の一項目の個別の設定値については、何ら表示されたり一覧印刷で出力されない。
【0006】
したがって、操作表示部またはホスト装置からのコマンドで印刷条件の一項目についてその設定値を通常の印刷条件の設定操作で変更した後、印刷条件の一項目を個別に設定可能なコマンドにより当該印刷条件の項目の設定値が変更した場合、操作表示部のディスプレイ上及び印刷条件一覧印刷で確認できる設定値と、実際に印刷に反映される設定値とが異なる場合がある。
【0007】
例えば、印刷条件の項目の一項目としての変倍率について、操作表示部または印刷条件の項目の設定値を変更するホスト装置からのコマンドを用いて、通常の印刷条件の設定で、変倍率を「100%」から「88%」に変更した場合、実際に印刷される変倍率は「88%」であり、また、ディスプレイ上及び印刷条件一覧印刷においても、「88%」が表示される。このように印刷条件の変倍率に、「88%」が設定されている状態で、変倍率のみを個別に設定可能な操作やコマンドにより変倍率を「100%」に変更した場合、実際に印刷される変倍率は、「100%」であるが、ディスプレイ上には、「88%」が表示され、また、印刷条件一覧印刷には、「88%」が印刷出力される。
【0008】
このような印刷条件の設定状況において、変倍率を操作表示部またはコマンドで通常の印刷条件の項目の設定値を、上記個別に設定された変倍率(例えば、上記例では、「100%」)に変更するか、あるいは、変倍率のみを個別に設定可能なコマンドによって設定値を、通常の印刷条件の設定値で設定されている設定値(例えば、上記例では、「88%」)に戻さないまま、後続の印刷データを印刷すると、通常の印刷条件で設定されている設定値と実際に印刷される結果とが異なり、オペレータが意図しない印刷結果となってしまい、利用性が悪い。
【0009】
そこで、本出願人は、先に、通常の印刷条件の設定で設定されている印刷条件の設定値と印刷条件の一項目を個別に設定可能な操作やコマンドで設定されている印刷条件の設定値とが異なる場合には、操作表示部のディスプレイには、通常の印刷条件の表示内容とは異なる表示内容によって、個別に設定可能な操作やコマンドで設定されている設定内容を表示するプリンタ装置を提案している(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2000−168208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来技術にあっては、プリンタ装置のディスプレイへの表示を通常印刷条件の設定内容の表示と個別設定の設定内容の表示とを行うことで、オペレータに設定内容を詳細に通知して、オペレータが意図する印刷を適切に行えるようにしているが、さらに利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0012】
すなわち、ホスト装置から画像形成装置に印刷要求を行って印刷を行わせる場合、画像形成装置のディスプレイの表示をいちいち確認しないため、ホスト装置から印刷要求を行うオペレータは、当該オペレータが以前に確認した通常の印刷条件の設定で設定されている設定内容から、今回印刷要求を行うまでの間に、他のオペレータによって個別に設定可能なコマンドで印刷条件が変更されていると、オペレータの意図した印刷結果とは異なった印刷結果となってしまうこととなり、改良の必要があった。
【0013】
そこで、本発明は、印刷条件の一項目を個別に設定変更する印刷条件の個別設定状態を適切なものとして、利用性の良好な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明の画像形成装置は、ホスト装置の接続されるインターフェイスと、印刷条件の基本設定値を設定変更する基本印刷条件設定手段と、前記印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定手段と、を備え、前記基本印刷条件設定手段により設定された印刷条件に基づいて印刷処理を行うとともに、前記個別印刷条件設定手段によって個別に設定される印刷条件の項目については、当該個別印刷条件設定手段によって設定されている印刷条件に基づいて印刷処理を行う画像形成装置において、前記個別印刷条件設定手段が、少なくとも前記ホスト装置からの印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定コマンドを有し、当該個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置からの印刷データの印刷処理を完了すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うことにより、上記目的を達成している。
【0015】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置から印刷データが所定の待ち時間の間に送られてこないと、前記印刷条件復帰処理として、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うものであってもよい。
【0016】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記画像形成装置は、前記ホスト装置の接続されるインターフェイスを複数備え、当該インターフェイスの1つに接続されている前記ホスト装置から前記個別印刷条件設定コマンドが送られてきて当該個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置の接続されている前記インターフェイスとは異なる前記インターフェイスで印刷データを受信すると、前記印刷条件復帰処理として、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うものであってもよい。
【0017】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効を選択する個別印刷条件選択手段を備え、当該個別印刷条件選択手段で前記個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が有効に設定されているときにのみ、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更を行うとともに、前記印刷条件復帰処理を行うものであってもよい。
【0018】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記個別印刷条件選択手段は、前記個別印刷条件設定コマンドによって前記印刷条件の設定変更が可能な全ての項目に対して一括して当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能であってもよい。
【0019】
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記個別印刷条件選択手段は、前記個別印刷条件設定コマンドによって前記印刷条件の設定変更が可能なそれぞれの項目に対して個別に当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能であってもよい。
【0020】
また、例えば、請求項7に記載するように、前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドを受け取り、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が前記個別印刷条件選択手段によって無効に設定されていると、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を無効にするものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置によれば、印刷条件の基本設定値を設定変更する基本印刷条件設定手段により設定された印刷条件に基づいて印刷処理を行うとともに、印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定手段によって個別に設定されている印刷条件の項目については、当該個別印刷条件設定手段によって設定されている印刷条件に基づいて印刷処理を行うに際して、個別印刷条件設定手段として、インターフェイスに接続されたホスト装置からの印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきたホスト装置からの印刷データの印刷処理を完了すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うので、操作表示部のディスプレイへの印刷条件の表示内容や印刷条件の一覧印刷の内容と実際の印刷結果とを一致させて、他のホスト装置からの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図した印刷結果を得ることができ、利用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1〜図3は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置1のブロック構成図である。
【0024】
図1において、画像形成装置1は、コントローラ2、エンジン3、パネル部4及びディスク部5等を備えている。
【0025】
コントローラ2は、RAM(Random Access Memory)11、フォントROM(Read Only Memory)12、プログラムROM13、NVRAM(Nonvolatile Random Access Memory)14、CPU(Central Processing Unit )15、エンジンI/F16、パネルI/F17、複数のホストI/F18a〜18n及びディスクI/F19等を備えており、各部は、バス20により接続されている。
【0026】
プログラムROM13は、画像形成装置1としての基本プログラム及び後述する印刷条件復帰処理を伴う印刷条件設定制御処理プログラム等の各種プログラムを格納しているとともに、これらのプログラムを実行するのに必要な各種データを格納しており、フォントROM12は、画像形成装置1での印字に使用される各種フォントデータ(フォントのパターンデータ)が予め格納されていて、CPU15により読み出されて、印字処理に供される。
【0027】
RAM11は、CPU15のワークメモリ、入力データのインプットバッファ、プリントデータのページバッファ及び設定された印刷条件の設定値を格納するためのメモリ等に使用される。
【0028】
NVRAM14は、画像形成装置1の電源が切られているときにも記憶内容を保持する不揮発性メモリであり、画像形成装置1の電源がオフの際にも保持する必要のあるデータ、例えば、パネル部4からのモード指示の内容や印刷条件の初期設定値及び通常の設定コマンドやパネル部4での通常の設定操作によって設定されてバックアップするべき印刷条件の設定値等がCPU15の制御下で格納される。
【0029】
CPU15は、プログラムROM13に格納されているプログラムに基づいて、RAM11をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、印字処理を行うとともに、後述する印刷条件復帰処理を伴う印刷条件設定制御処理を行う。
【0030】
エンジンI/F16には、エンジン3が接続されており、コントローラ2からエンジン3への制御信号や印刷データ及び画像形成装置1からコントローラ2へのステータス信号の授受を行う。
【0031】
エンジン3は、エンジンI/F16を介してコントローラ2から受け取った印刷データおよび制御信号により電子写真方式により画像形成(印字処理)を行う。すなわち、エンジン3は、図示しないが、電子写真方式で記録紙に印刷データを記録出力するのに必要な部品、例えば、感光体、光書込部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えており、印刷データおよび制御信号により光書込部を動作させて感光体上に静電潜像を形成し、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像してトナー画像を形成する。エンジン3は、給紙部から記録紙を感光体と転写部との間に給紙して、感光体上のトナー画像を記録紙に転写させ、トナー画像の転写された記録紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して記録紙上のトナー画像を定着させることで、画像を形成する。
【0032】
パネルI/F17には、パネル部4が接続されており、パネルI/F17は、コントローラ2とパネル部4との間で信号の授受を行う。
【0033】
パネル部(基本印刷条件設定手段、個別印刷条件設定手段)4は、画像形成装置1のモードやフォント等の切換操作やモード切換及び印刷条件の設定操作等の画像形成装置1の動作に必要な各種操作を行うための各種操作キーを備えるとともに、画像形成装置1の状態を表示するディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を備えている。
【0034】
ホストI/F18a〜18nには、ホスト装置HSa〜HSnが接続されており、ホストI/F18a〜18nは、ホスト装置HSa〜HSnから画像形成装置1に送る制御信号(コマンド)及びデータを受け取るとともに、画像形成装置1からホスト装置HSa〜HSnに送られてくるステータス信号の送り出しを行う。
【0035】
このホストI/F18a〜18nは、例えば、セントロニクスI/FやRS232C等の双方向パラレル通信用のインターフェイスが用いられる。
【0036】
ホスト装置HSa〜HSnは、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、画像形成装置1との間で印刷データ及び各種コマンド、特に、印刷条件を設定変更する印刷条件設定コマンドや印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定手段としての個別印刷条件設定コマンドを授受する。
【0037】
ディスクI/F19には、ディスク部5が接続されており、ディスクI/F19は、ディスク部5とのインターフェイスを行って、ディスク部5へのデータの蓄積及びディスク部5からのデータの読み出しを行う。
【0038】
ディスク部5は、例えば、ハードディスク、CD−R(Compact Disc Recordable )、フレキシブルディスク等であり、CPU15の制御下で、フォントデータ、プログラム及び印字データ等の種々のデータを記憶する。
【0039】
また、画像形成装置1には、ICカード21が着脱可能に装着され、ICカード21には、例えば、フォントデータやプログラムを記憶していて、画像形成装置1にこれらのフォントデータやプログラムを追加するのに使用される。
【0040】
そして、画像形成装置1は、上記コントローラ2のプログラムROM13に、エスケープシーケンスとして複数のホスト装置HSa〜HSnに対応するエミュレーションプログラムを格納しており、コントローラ2は、ホストI/F18a〜18nに接続されているホスト装置HSa〜HSnの機種毎にインターフェイス接続処理及びエミュレーションモードの選択処理をホストI/F18a〜18nに実行させるとともに、対応するホスト装置HSa〜HSn毎の印刷処理プログラムとして格納されているエミュレーションプログラムを選択して、選択したエミュレーションプログラムによってエンジン3を制御して各種印刷を実行させる。
【0041】
次に、本実施例の作用を説明する。ホスト装置HSa〜HSnからの印刷条件の一項目を個別に設定する個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の一項目が個別に設定されると、当該コマンドに対応する印刷データの印刷ジョブが完了すると、当該設定した印刷条件を元の印刷条件の設定値に戻す印刷条件復帰処理を伴う印刷条件設定制御処理を行う。
【0042】
すなわち、画像形成装置1は、電源が投入されると、CPU15が、エミュレーションプログラムを起動し(ステップS101)、前回設定されてNVRAM14に保存されている印刷条件をRAM11に設定する(ステップS102)。
【0043】
CPU15は、印刷条件の設定を行うと、ホストI/F18a〜18nを介してホスト装置HSa〜HSnから個別印刷条件設定コマンドを受信したかチェックし(ステップS103)、個別印刷条件設定コマンドを受信したときには、当該個別印刷条件設定コマンドに基づいてステップS102でRAM11に設定した印刷条件のうち当該個別印刷条件設定コマンドで指定されている項目についてその設定値を変更して(ステップS104)、印刷データを受信したかチェックする(ステップS105)。
【0044】
ステップS103で、個別印刷条件設定コマンドを受信しないときには、CPU15は、印刷条件の設定値の変更を行うことなく、印刷データを受信したかチェックし(ステップS105)、印刷データを受信しないときには、予め印刷データを受信するまでの待ち時間として設定されている一定時間経過したかチェックする(ステップS106)。
【0045】
ステップS106で、一定時間経過経過していないときには、CPU15は、今回個別印刷条件設定コマンドを受信したホストI/F18a〜18nとは異なる他のホストI/F18a〜18nから印刷データを受信したかチェックし(ステップS107)、他のホストI/F18a〜18nから印刷データを受信しないときには、ステップS105に戻って今回個別印刷条件設定コマンドを受信したホストI/F18a〜18nから印刷データを受信したかチェックする(ステップS105)。
【0046】
ステップS105で、印刷データを受信すると、CPU15は、当該印刷データをRAM11に設定されている印刷条件の設定値に基づいてエンジン3で印刷出力させ(ステップS108)、全ての印刷データの受信と印刷処理が終了したかチェックする(ステップS109)。
【0047】
ステップS109で、印刷データの受信が終了していないときには、CPU15は、ステップS105に戻って、印刷データを受信したかのチェックから上記同様に処理し(ステップS105〜S107)、ステップS109で、全ての印刷データの受信と印刷処理が終了すると、RAM11に設定されている印刷条件の設定値、すなわち、個別印刷条件設定コマンドで設定した印刷条件をNVRAM14に保存されている当該個別印刷条件設定コマンドで設定変更される前の印刷条件の設定値で設定する(ステップS110)。
【0048】
CPU15は、印刷条件の設定を行うと、エミュレーションプログラムを終了するかチェックし(ステップS111)、エミュレーションプログラムを終了しないときには、ステップS103に戻って、上記同様に処理する(ステップS103〜S111)。
【0049】
ステップS111で、エミュレーションプログラムを終了するときには、CPU15は、印刷条件復帰処理を伴う印刷条件設定制御処理を終了する(ステップS111)。
【0050】
そして、上記ステップS107で、他のホストI/F18a〜18nから印刷データを受信すると、CPU15は、先に個別印刷条件設定コマンドでRAM11に設定した印刷条件を無効にして、NVRAM14に保存されている当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更前の印刷条件の設定値でRAM11に印刷条件の設定を行い(ステップS112)、当該設定した印刷条件に基づいて印刷処理を行って、処理を終了する(ステップS113)。
【0051】
ステップS106で、印刷データを受信することなく、一定時間が経過すると、CPU15は、先に個別印刷条件設定コマンドで設定した印刷条件を無効にして、NVRAM14に保存されている当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更前の印刷条件の設定値で印刷条件の設定を行い(ステップS110)、エミュレーションプログラムを終了するか否かチェックする(ステップS111)。
【0052】
また、画像形成装置1は、個別印刷条件設定コマンドを受信したときに、当該個別印刷条件設定コマンドを有効とするか無効とするかの設定をパネル部4のキー操作で行うことができる。
【0053】
この場合、全ての個別印刷条件設定コマンドを有効とするか無効とするかの設定を行うこともできるし、個々の個別印刷条件設定コマンドを指定して当該個別印刷条件設定コマンドを有効とするか無効とするかの設定を行うことができる。
【0054】
そして、画像形成装置1は、このような個別印刷条件設定コマンドの有効/無効の設定が行われている状態で、ホストI/F18a〜18nを介してホスト装置HSa〜HSnから個別印刷条件設定コマンドを受信すると(ステップS201)、CPU15が、当該個別印刷条件設定コマンドまたは全ての個別印刷条件設定コマンドの有効/無効をチェックし(ステップS202)、当該個別印刷条件設定コマンドまたは全ての個別印刷条件設定コマンドが有効に設定されていると、当該個別印刷条件設定コマンドに基づいて印刷条件の設定値を変更する(ステップS203)。
【0055】
次に、CPU15は、印刷データを受信して、印刷データを受信すると(ステップS204)、当該印刷データの印刷処理を行って、処理を終了する(ステップS205)。このとき印刷条件の設定値の変更を行っていると、CPU15は、図2に示したように、印刷条件の設定値をNVRAM14に保存されている内容に設定し直す印刷条件復帰処理を行う。
【0056】
ステップS202で、当該受信した個別印刷条件設定コマンドまたは全ての個別印刷条件設定コマンドが無効に設定されていると、CPU15は、印刷条件の設定値の変更を行うことなく、印刷データを受信して、印刷データを受信すると(ステップS204)、当該印刷データの印刷処理を行って、処理を終了する(ステップS205)。この場合、個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定値の変更を行っていないので、印刷条件の設定値をNVRAM14に保存されている内容に設定し直すことは行わない。
【0057】
このように、本実施例の画像形成装置1は、ホストI/F18a〜18nに接続されたホスト装置HSa〜HSnからの印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきたホスト装置HSa〜HSnからの印刷データの印刷処理を完了すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行っている。
【0058】
したがって、パネル部4のディスプレイへの印刷条件の表示内容や印刷条件の一覧印刷の内容と実際の印刷結果とを一致させて、他のホスト装置からの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図した印刷結果を得ることができ、利用性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施例の画像形成装置1は、個別印刷条件設定コマンドを送ってきたホスト装置HSa〜HSnから印刷データが所定の待ち時間の間に送られてこないと、個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行っている。
【0060】
したがって、印刷が途中で注された場合等においていつまでも印刷条件の一項目の設定をいつまでも放置することなく、元の印刷条件の状態に復帰させることができ、個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図した印刷結果を得ることができる。
【0061】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、ホストI/F18a〜18nの1つに接続されているホスト装置HSa〜HSnから個別印刷条件設定コマンドが送られてきて当該個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきたホスト装置HSa〜HSnの接続されているホストI/F18a〜18nとは異なるホストI/F18a〜18nで印刷データを受信すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行っている。
【0062】
したがって、パネル部4のディスプレイへの印刷条件の表示内容や印刷条件の一覧印刷の内容と実際の印刷結果とを一致させて、他のホスト装置からの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図した印刷結果を得ることができ、利用性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施例の画像形成装置1は、パネル部4の操作またはホスト装置HSa〜HSnからのコマンドによって、個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が有効に設定されているときにのみ、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更を行うとともに、印刷条件復帰処理を行っている。
【0064】
したがって、画像形成装置1の利用状況に応じて個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更を利用したり、無効にして、他のホスト装置HSa〜HSnからの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図する印刷結果を得ることができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0065】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、パネル部4の操作またはホスト装置HSa〜HSnからのコマンドによって、個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定変更が可能な全ての項目に対して一括して当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能としている。
【0066】
したがって、簡単かつ容易に個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効を設定することができ、利用性を向上させることができる。
【0067】
また、本実施例の画像形成装置1は、個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定変更が可能なそれぞれの項目に対して個別に当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能としている。
【0068】
したがって、画像形成装置の利用状況に応じて個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効を個別に設定することができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0069】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、個別印刷条件設定コマンドを受け取っても、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が無効に設定されていると、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を無効にしている。
【0070】
したがって、画像形成装置1の利用状況に応じて個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更を利用したり、無効にして、他のホスト装置HSa〜HSnからの個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を意識することなく、意図する印刷結果を得ることができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の一項目を個別に設定するプリンタ装置等の画像形成装置一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置のブロック構成図。
【図2】図1の画像形成装置による印刷条件復帰処理を伴う印刷条件設定制御処理を示すフローチャート。
【図3】図1の画像形成装置による個別印刷条件設定コマンドの有効/無効の設定判別処理応じた印刷条件設定制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 コントローラ
3 エンジン
4 パネル部
5 ディスク部
11 RAM
12 フォントROM
13 プログラムROM
14 NVRAM
15 CPU
16 エンジンI/F
17 パネルI/F
18a〜18n ホストI/F
19 ディスクI/F
20 バス
21 ICカード
HSa〜HSn ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置の接続されるインターフェイスと、印刷条件の基本設定値を設定変更する基本印刷条件設定手段と、前記印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定手段と、を備え、前記基本印刷条件設定手段により設定された印刷条件に基づいて印刷処理を行うとともに、前記個別印刷条件設定手段によって個別に設定される印刷条件の項目については、当該個別印刷条件設定手段によって設定されている印刷条件に基づいて印刷処理を行う画像形成装置において、前記個別印刷条件設定手段が、少なくとも前記ホスト装置からの印刷条件の一項目を個別に設定変更する個別印刷条件設定コマンドを有し、当該個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置からの印刷データの印刷処理を完了すると、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置から印刷データが所定の待ち時間の間に送られてこないと、前記印刷条件復帰処理として、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記ホスト装置の接続されるインターフェイスを複数備え、当該インターフェイスの1つに接続されている前記ホスト装置から前記個別印刷条件設定コマンドが送られてきて当該個別印刷条件設定コマンドによって印刷条件の設定が行われた場合、当該個別印刷条件設定コマンドを送ってきた前記ホスト装置の接続されている前記インターフェイスとは異なる前記インターフェイスで印刷データを受信すると、前記印刷条件復帰処理として、当該個別印刷条件設定コマンドによって設定された印刷条件を当該個別印刷条件設定コマンドによる設定前の印刷条件に戻す印刷条件復帰処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効を選択する個別印刷条件選択手段を備え、当該個別印刷条件選択手段で前記個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が有効に設定されているときにのみ、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更を行うとともに、前記印刷条件復帰処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記個別印刷条件選択手段は、前記個別印刷条件設定コマンドによって前記印刷条件の設定変更が可能な全ての項目に対して一括して当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記個別印刷条件選択手段は、前記個別印刷条件設定コマンドによって前記印刷条件の設定変更が可能なそれぞれの項目に対して個別に当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更の有効/無効が選択可能であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記個別印刷条件設定コマンドを受け取り、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定変更が前記個別印刷条件選択手段によって無効に設定されていると、当該個別印刷条件設定コマンドによる印刷条件の設定を無効にすることを特徴とする請求項5または請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−136910(P2007−136910A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335279(P2005−335279)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】