説明

画像形成装置

【課題】 角折れやジャム発生が懸念される転写材の経路と、そうではない転写材の経路とが切り替え可能なガイド装置、当該ガイド装置を有する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 レジストローラに対してシート状の転写材の先端を当接せしめた後、レジストローラの回転開始によって転写材を転写位置に向け搬送せしめる構成を有する画像形成装置において、レジストローラの上流位置に、転写材をガイドする第1ガイド部材と第2ガイド部材とを対向して設けるとともに、前記第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に、経路変更部材を設け、経路変更部材は、前記第1ガイド部材との協同により、転写材をほぼ直線的に案内して前記レジストローラのニップ部に導く経路と、前記第2ガイド部材との協同により、第2ガイド部材に転写材を向け後にレジストローラのニップ部に導く経路とを選択的に形成できることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、レジストローラの手前位置(転写材の搬送方向に見て上流位置)に近接して配置されるガイド装置の構成を改良し、(カールのついている転写材、或いは、腰の弱い転写材でも)転写材の角折れやジャムの発生を押さえ、高い給送性能を確保できるように構成した画像形成装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム、或いは、中間転写体等の像担持体上に担持せしめたトナー像を、用紙等の転写材上に転写させる構成の画像形成装置はよく知られている。
【0003】
斯様な画像形成装置においては、レジストローラと呼称される搬送手段を、転写電極等の転写手段を配した転写位置に対して上流位置に設けた構成を有するのが一般的である。
【0004】
前記レジストローラは、画像形成プロセスのタイミングにあわせて給紙部から搬送されてくる転写材の先端が当接(このときレジストローラは、回転停止中)してループを構成することによって、当該転写材の曲がりを規制する機能と、像担持体上に担持されたトナー像領域と転写材とが常に一定となるようなタイミングで前記転写材を転写位置に向けて送り出す機能を有している。
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、カール癖がついた転写材や腰の弱い転写材(用紙)では、レジストローラのニップ部に挟持される前後で角折れやジャムを発生してしまう危険性があった。
【0006】
要因の1つとして、レジストローラの上流側に近接配置されるガイド装置内における転写材の動きの自由度の大きさ、または、ガイド板と転写材との接触移動が考えられる。
【0007】
更に、レジストローラに転写材が当接したときに生ずる座屈音が大きいという問題もあった。
【0008】
上記のような不都合、特に、座屈音を抑制し、また、転写材の搬送性を考慮して、改良したガイド装置の構成を本出願人は先に提案した。
【0009】
その構成および転写材の挙動を簡略に記せば次の通りである。
【0010】
第1ガイド部材(下側ガイド)と第2ガイド部材(上側ガイド)とを対向配置せしめるとともに、前記第1ガイド部材に複数の突起部を設けておく。
【0011】
斯様な構成により、搬送手段により搬送されてくる転写材の先端を前記突起部によって強制的に上方に曲げて第2ガイド部材に当接させる。
【0012】
引き続く転写材の搬送に従って、前記第2ガイド部材は前記転写材の曲げ方向とは逆の方向に転写材を曲げ、当該第2ガイド部材と前記突起部とで転写材に小さなループを形成させる。
【0013】
転写材の先端がレジストローラに突き当たった後の更なる搬送により、転写材に大きなループを形成せしめる。
【0014】
転写材のレジストローラに突き当たったときの衝撃は、小さなループで吸収され、衝撃音(座屈音と同義)は抑制される。
【0015】
また、他のガイド装置として、前記第1ガイド部材の一部を介して突出部材を退避可能に設けた構成も提案した。
【0016】
この構成は、座屈音を抑制したい場合には、前記突出部材を転写材の搬送路中に介在させて、転写材に前述の如きループを形成せしめ、一方、座屈音よりも転写材の搬送性を優先させる場合には、前記突出部材を転写材の搬送路中から退避させる構成からなる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−35688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記特許文献1に開示された技術は有用なものではあるが、転写材の角折れやジャムの発生という観点からすると、まだ不十分であり、(特にカールの大きい転写材(用紙)或いは腰の弱い転写材(用紙)に対する)改良の余地があった。
【0018】
本発明はこのような不具合に鑑みてなされたもので、主たる目的は、特に、角折れやジャム発生が懸念される状態の転写材に対する経路と、そのような懸念のない状態の転写材に対する経路とを選択的に切り替え使用可能に構成したガイド装置、或いは当該ガイド装置を有する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明の目的は下記の構成要件によって達成することができる。
(1)
レジストローラに対してシート状の転写材の先端を当接せしめた後、当該レジストローラの回転開始によって前記転写材を転写位置に向け搬送せしめる構成を有する画像形成装置において、
前記レジストローラの転写材搬送方向上流位置に、転写材をガイドする第1ガイド部材と第2ガイド部材とを対向して設けるとともに、
前記第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に、経路変更部材を設け、
当該経路変更部材は、前記第1ガイド部材との協同により、転写材をほぼ直線的に案内して前記レジストローラのニップ部に導く経路と、前記第2ガイド部材との協同により、当該第2ガイド部材に転写材を向け、かつ、当接せしめた後に前記レジストローラのニップ部に導く経路とを選択的に形成できることを特徴とする画像形成装置。
(2)
前記経路変更部材は板材からなり、前記レジストローラに対して近い側の固定部材と、前記固定部材と一体的に設けられ、かつ、前記レジストローラに対して遠い側の可動部材とを有することを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
前記(1)に係わる発明によれば、ガイド部材間における転写材の経路を転写材の種類或いは状態等によって選択使用できるので、転写材の角折れやジャム発生を極力低減することができる。
【0021】
前記(2)に係わる発明によれば、簡単な構成の経路変更部材で所定の通路を形成できるので、ガイド装置(機構)の小型化を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係わる第一の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、フルカラー画像を作成できるタンデム構成の画像形成装置の全体図で、画像形成装置本体GHは、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、ベルト状の中間転写体6と、給紙搬送手段、及び、定着手段24等から成る。
【0024】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム型の感光体からなる像担持体1Yと、当該像担持体の周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、および、ブレードからなるクリーニング手段8Yを有する。
【0025】
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム型の感光体からなる像担持体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、および、ブレードからなるクリーニング手段8Mを有する。
【0026】
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム型の感光体からなる像担持体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、および、ブレードからなるクリーニング手段8Cを有する。
【0027】
黒色画像を形成する画像形成部10Kは、ドラム型の感光体からなる像担持体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、および、ブレードからなるクリーニング手段8Kを有する。
【0028】
上述した各色ごとの像担持体、帯電手段、露光手段、現像手段は画像形成手段を構成し、また、各色ごとの帯電手段と露光手段とは、潜像形成手段を構成する。
【0029】
なお、前記した各露光手段は、レーザ光源、fθレンズ、コリメータレンズ、ポリゴンミラー等を具備した半導体レーザ露光装置からなる。
【0030】
前記した各現像手段は、例えば、トナーとキャリヤとを主成分とする二成分の現像剤を自身の表面に担持し、現像領域に搬送できるスリーブからなる現像剤担持体Sと、当該現像剤担持体Sの内部に位置固定で設けた磁石(図示せず)を具備する現像装置からなる。
【0031】
前記磁石は、現像剤を前記現像剤担持体S上に吸着保持せしめる機能と、現像処理後の現像剤を前記現像剤担持体S上から自動的に除去する機能を果たすように配置してあるが、その構成は公知であるので省略する。
【0032】
前記中間転写体6は、複数のローラに回動可能に支持されている。
【0033】
なお、本実施の形態においては、像担持体としての感光体上に形成されるトナー像は、次いで中間転写体6上に転写された後、最終の転写材、例えば、転写紙に転写される構成であるので、中間転写体も像担持体と言えるが、混乱をさけるため、以下、感光体は感光体、中間転写体は中間転写体と呼称する。
【0034】
但し、本実施の形態において、本願発明に係わる像担持体とは、転写材との兼ね合いから、前記中間転写体が像担持体となる。
【0035】
前記中間転写体6の内側であって、前記した各感光体に対向する位置には、導電性ロ
ーラからなる第1転写手段7Y、7M、7C、7Kを配置してある。
【0036】
また、転写材に対する転写位置には、中間転写体6内に設けたバックアップローラ(参照符号なし)とベルトを挟んで圧接する転写ローラ7Aとが第2転写手段として準備されている。以下、説明の便宜上、転写ローラ7Aの呼称を以て第2転写手段に置き換える。
【0037】
参照符号8Aは中間転写体6の表面を清浄に保つためのブレードからなるクリーニング手段を示す。
【0038】
前記第1転写手段は、感光体に対して中間転写体6を押しつけるように、バネで付勢してある。
【0039】
また、前記定着手段24は、第1加熱ローラと、当該第1加熱ローラと圧接回転可能に設けた第2加熱ローラ、もしくは、第2ローラとを有するローラ型の定着装置からなる。
【0040】
なお、図中、5Y、5M、5C、5Kは、色ごとの現像手段に対して、対応する色のトナーを補給するトナー補給手段である。
【0041】
画像形成装置本体GHの上部に示すのは、画像読み取り装置YSで、自動原稿送り装置210と原稿画像走査露光装置220とを備えている。
【0042】
dは原稿で、前記自動原稿送り装置210に設けてある原稿載置台211上に載置され、参照符号を付さない分離手段で1枚づつ分離され、ローラからなる搬送手段と可回転ドラム212等によって読み取り位置に搬送され、前記原稿画像走査露光装置220で読みとられる。
【0043】
前記原稿画像走査露光装置220は、照射ランプと第1ミラーとを一体的に備えた第1ブロック221と、第2ミラーおよび第3ミラーとを一体的に備えた第2ブロック223と、結像用レンズ225と、ラインイメージセンサCCDとを有する。
【0044】
換言すれば、搬送状態にある原稿dの画像は、読み取り位置において照射ランプにより照射され、前述した3つのミラーを介して結像用レンズ225に至り、当該結像レンズ225の作用によって順次前記ラインイメージセンサCCD上に結像され、読みとられる。
【0045】
前記ラインイメージセンサCCDに読みとられた画像情報(アナログ信号)は、制御手段(後記)内に設けてある画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等の適宜の処理後に、制御手段SG内の記憶手段(メモリ)に記憶される。
【0046】
前記記憶手段に記憶された画像データは、画像形成プロセスに従って読み出され、画像書き込み部手段たる露光手段(3Y、3M、3C、3K)に送られる。
【0047】
前記露光手段は、画像データに従って変調されたレーザ光を前記感光体(1Y、1M、1C、1K)の表面に照射せしめ、以て、画像データに対応した静電潜像を感光体上に作成する。
【0048】
なお、前記自動原稿送り装置210は自動両面原稿搬送手段を備えており、前記原稿載置台211上から給送される多数枚の原稿dの内容を、連続して一挙に読み取り、記憶手段に蓄積する事が可能であるから、複写機能により多数枚の原稿内容を複写する場合、或いはファクシミリ機能により多数枚の原稿dを送信する場合等に便利に使用することができる。
【0049】
図中、SGはROM、RAM、コンピュータを含む制御手段(以下、制御部ともいう)で、画像形成のためのシーケンス制御や、用紙Pの搬送制御、定着手段の加熱制御等、センサ(アクチュエータ)の出力情報を取り込んでのモータ駆動制御を行うなど、実質的に全ての制御を実行することができる。
【0050】
このような制御関係を模式的なブロック図である図2に示す。
【0051】
画像形成手段のプロセス制御、定着手段の温度制御、転写紙の給紙・搬送制御等は前記制御手段SGで行う。
【0052】
前記制御手段SGはCPU、メモリM1を始め、図に記されてはいないが演算ユニット、I/Oポート、通信用インターフェイス等を有するコンピュータシステムであり、各手段を駆動するための回路も有している。
【0053】
各手段の制御は、メモリM1に格納してあるプログラムを実行させることによりなされる。
【0054】
なお、前記自動原稿送り装置ADFの制御手段も、前記制御手段SGに比較して規模は小さいが、CPUを中心とした同様なシステム構成を有する。
【0055】
前記制御手段SGとADFの制御手段とは、本例においては通信手段T1、T2にて接続されている。
【0056】
また、前記制御手段SGは通信手段T1を介して、LAN、もしくは公衆回線に接続され、他の情報機器とのデータの交換ができるようになっている。
【0057】
図1に戻って、画像形成装置本体GHの下部に示すのは、シート状の転写材(以下、用紙という)Pを収納する給紙カセット20で、縦方向に三段に設けてある。
【0058】
参照符号21は給紙手段、22Aは前記給紙手段21の下流位置に設けてある搬送ローラで、これら手段は各給紙カセットに対応して設けてあるが、図においては代表として最上部の給紙カセットに関係しての手段にのみ参照符号を付してある。
【0059】
22B、22C、および、22Dは、第1搬送路101の共通搬送路部に設けてある搬送ローラ(対)で、各給紙カセットから給紙される用紙Pを、一対のローラからなるレジストローラ23に向けて搬送する。
【0060】
なお、前記搬送ローラ22Dとレジストローラ23との間、換言すれば、用紙の搬送方向に見て、前記レジストローラ23に近接した上流位置に参照符号60で示されるのは本発明に係わるガイド装置である。
【0061】
前記ガイド装置60は上下位置に対向配置した第1ガイド部材(図における下側ガイド)と第2ガイド部材(図における上側ガイド)と、両ガイド部材で形成される空間内に配置される経路変更部材(用紙の搬送経路を変更する部材)等で構成してある(詳細は後述する)。
【0062】
前記レジストローラ23は、前記第2転写手段7Aのある転写位置に対して前記搬送ローラよりも近接した位置(用紙搬送方向に見て、他の搬送ローラよりも転写位置に最も近いことを指す)にあり、前記制御手段SGを介して駆動制御される。
【0063】
直接の駆動源は、ステッピングモータであり、レジストローラのみを駆動する専用手段として設けてあるが、図では省略してある。
【0064】
そして、画像形成プロセスに従って前記搬送ローラ22B等を介して給紙、搬送されてくる用紙Pが当接するときは回転停止状態に制御されている。
【0065】
斯様な状態において用紙Pが、ガイド装置60を介して、前記レジストローラ23に当接し、その後の若干の搬送力が用紙Pに加えられると、用紙Pの先端部は前記レジストローラ23のニップ部に押し込まれ、同時に用紙の曲がりが矯正(規制)される。
【0066】
また、前記レジストローラ23は、中間転写体6上に形成されるトナー画像(領域)に対して用紙Pが常にタイミング良く転写位置に到達しうるように回転駆動制御される。
【0067】
なお、前記レジストローラ23から排出ローラ25に至る搬送路102は第2搬送路(以下、第2搬送路102という)、搬送路切替手段50の右辺を通って搬送ローラ53に通じている、ベルト搬送手段52を有する搬送路103は第3搬送路(以下、第3搬送路103という)、前記第3搬送路103に送り込まれた用紙Pを反転し、搬送ローラ54、55、56、およびドラム58を介して前記搬送ローラ22Dに至らしめる搬送路104は第4搬送路(以下、第4搬送路104という)、そして、前記第3搬送路103に送り込まれた用紙Pを反転し、前記搬送路切替手段50の左辺を介して前記排出ローラ25に至らしめる搬送路105(以下、第5搬送路105という)を示す。
【0068】
また、前記画像形成装置本体GHの上部外枠には、記録枚数設定手段(テンキー)、スタートボタン等の操作キーや、トナー濃度調整、用紙サイズ選択、倍率設定等を行うためのワンタッチキーと呼称される液晶表示操作手段を含む操作部250が備えられている。
【0069】
次に、若干の補足を加えながら作像プロセスに伴う全体的な動作について簡単に説明する。
【0070】
なお、便宜上、露光手段或いは感光体等、複数ある手段について、色ごとの区分けをする必要性がない場合には、単に、露光手段3、感光体1と言う。
【0071】
スタートボタン操作により画像形成プロセス画スタートすると、上述の如くのラインイメージセンサCCDにより原稿読み取りが行われ、画像処理部で作られた画像データに従った露光が露光手段3により行われると、一様な帯電が施されている感光体1上に静電潜像が作成される。
【0072】
前記露光は適宜のタイミングを以て各色ごとに行われ、作成された潜像は現像手段4によって各色ごとのトナー像に変換される。
【0073】
これらトナー像は、第1転写手段7の作用下に順次、中間転写体6に転写され、当該中間転写体6上で重ね合わされてフルカラーのトナー画像を形成する。
【0074】
前記トナー像は、中間転写体6の継続する回転によって転写位置に向け移動される。
【0075】
一方、転写領域を通過した感光体1の表面は、クリーニング手段8でクリーニングされ、次の画像作成に備えられる。
【0076】
このとき、前記画像形成プロセスに応じて給紙される用紙Pはガイド装置60内の所定の経路を搬送され、レジストローラ23に当接、挟持されており、タイミングを図って駆動される前記レジストローラの回転に伴って転写位置に向けて送り出される。
【0077】
転写位置において、前記中間転写体6上のトナー像は、適宜の電流値が印加された第2転写手段7Aの作用を受けて用紙P上に転写され、当該用紙Pは、第2搬送路102上に設けた定着手段24の加熱、押圧作用によるトナー像の定着が図られた後に、排出ローラ25を介して機外に設けたトレイ26に排出される。
【0078】
このとき、当然のことながら搬送路切替手段50は図示実線の位置に保持され、第2搬送路102を解放している。
【0079】
第2転写手段7Aにより用紙P上に画像が転写された後の前記中間転写体6はクリーニング手段8Aによりクリーニングされ、新たな中間転写体として機能しうるように準備される。
【0080】
上記は用紙Pの片面に画像形成した場合を例として述べたが、用紙Pの両面に画像を作成するモードにおいては、用紙の搬送ルートは次の如くになる。
【0081】
片面に画像が形成された用紙Pは、定着処理が施された後、搬送路切替手段50の搬送路切り替えにより第3搬送路103に導かれ、後端が搬送ローラ53に挟持された状態で停止される。
【0082】
次いで、前記と逆方向に回転駆動される前記搬送ローラ53の回転によって上方に送り出され、搬送路切り替え部材(参照符号なし)の搬送路切り替えによって解放された第4搬送路104に送り込まれて表裏が反転される。
【0083】
更に、前記用紙Pは搬送ローラ群55、56およびドラム58によって継続搬送され、既に回転駆動停止状態にある前記レジストローラに当接される。
【0084】
次いで、中間転写体6上に担持されたトナー画像に重畳するタイミングで回転駆動制御される前記レジストローラ23により用紙Pは転写位置に向けて給送され、第2転写手段7Aの作用を受けて、自身の第2面にトナー画像を担持するに至る。
【0085】
そして、定着処理を施された後、前記排出ローラ25を介して機外に排出される。
【0086】
このとき、前記搬送路切替手段50は前記第2搬送路102を解放している。
【0087】
なお、第1面或いは両面に画像形成された用紙Pを、頁揃え等のために反転排紙するモードが選択されている場合、用紙Pの搬送ルートは次のようになる。
【0088】
即ち、最終画像に対する定着処理が施された用紙Pは前記第3搬送路103に導かれ、用紙の進行方向に見て用紙Pの後端がベルト搬送手段52により挟持されている状態で一次停止される。
【0089】
直後、前記当該ベルト搬送手段52が逆回転制御されるに伴って用紙Pは上昇され、前記搬送路切替手段50の左辺、換言すれば、第5搬送路105に送り込まれ、前記排出ローラ25を介してトレイ26に排紙される。
【0090】
図3および図4は、図1に示したガイド装置の構成の要部を拡大して示す説明用の概略図である。
【0091】
図3は第2用紙経路が選択されている場合、図4は第1用紙経路が選択されている場合を示す。
【0092】
なお、既出の部材と同じ部材には同一の参照符号を付してある。
【0093】
図において、用紙Pの搬送方向に見てレジストローラ23の上流位置に近接して配置してあるのはガイド装置60で、第1ガイド部材610と第2ガイド部材620とを対向して上下に配置した構成を有する。
【0094】
なお、前記第2ガイド部材620は更に2つの板部材621、622とで構成してあり、両板部材の対向辺は山形を形成するように折り曲げてある。
【0095】
更に、略水平面上にあるように示される前記第1ガイド部材610の上面が、搬送ローラ22Dのニップ部とレジストローラ23のニップ部とを結ぶ略直線上に位置しているのに対して、前記第2ガイド部材620を構成する板部材621は、レジストローラに近接する左端が前記第1ガイド部材610と所定の間隔を有し、かつ、前記レジストローラから遠ざかるに従って徐々にその間隔が広くなるように傾斜配置してあり、右端においては、更に大きなテーパをもった折り曲げ部に繋がっている。
【0096】
本実施の形態においては、第1ガイド部材610と板部材621の左端との間隔を2乃至3mmとし、当該板部材621のテーパ(第1ガイド部材の図における上面に対する板部材621の下面の傾度の意で、ここでは、前述の折り曲げ部は含まない)を17度乃至22度としたが、これらの数値は、前記第1ガイド部材610の設置位置も含めて適宜に決定することができる。
【0097】
また、前記板部材621、622の対向部分に形成される空間の大きさにしても、用紙Pのループ形成が好ましく行われるものであればよく、設計の自由度は広い。
【0098】
参照符号630は経路変更部材(経路変更手段)で、用紙Pの経路を変更しうるように前記第1ガイド部材610と前記第2ガイド部材620とで形成される空間内に設けてあり、用紙Pの搬送方向に見て、下流側(レジストローラに対して近接した側)に位置する固定部材(位置固定の意)631と上流側(レジストローラに対して遠い側)に位置する可動部材632とを主要素として構成してある。
【0099】
前記経路変更部材630の可動部材632は、板部材621と622とが対向する領域にあり、例えば、図2に示す如くの第2の位置にあるとき、前記可動部材632の自由端部は前記第1ガイド部材610と接触した状態にある。
【0100】
即ち、経路変更部材630の上面と、前記第2ガイド部材620との協同で、1つの用紙経路(以下、第2用紙経路という)を形成する。
【0101】
この状態は、搬送ローラ22Dにより搬送されてくる用紙Pを前記可動部材632を介して前記第2ガイド部材620の側に強制的に向け、そして、用紙Pを弛ませた状態(予備のループ形成状態といえる)で前記レジストローラのニップ部に導く用紙経路が選択されていることを意味する。
【0102】
また、前記経路変更部材630の可動部材632が図3に示す第1の位置を占めるときは、当該可動部材の自由端が前記第2ガイド620の板部材622と接触して前記第2用紙経路を閉じ、前記第1ガイド部材610との協同により、第1用紙経路を形成する。
【0103】
換言すれば、搬送ローラ22Dにより搬送されてくる用紙Pをほぼ直線的に案内して前記レジストローラ23のニップ部に導く第1用紙経路が形成される。
【0104】
前記可動部材632の可動(回動)は、例えば、可動部材632を支軸(不図示)に固定して設けるとともに、当該支軸の一端側に適宜のギヤ系列を介してステッピングモータの出力軸を機械的に連結することにより達成することができる。
【0105】
また、ステッピングモータの駆動停止制御はパルス数をカウントすることにより達成でき、または、可動部材の可動を所定の位置に設けたセンサで検知し、その出力信号を基にモータに対する電力供給を遮断して、第1或いは第2の位置に前記可動部材632を位置づける等、公知の技術で容易に達成できる。
【0106】
上記構成のガイド装置は、構成が極めて簡単で済み、ガイド装置をを小型に維持できるメリットがある。
【0107】
参照符号S1、S2は第1、第2用紙検知センサである。
【0108】
前記第1用紙検知センサS1の出力信号は、経路変更部材630の経路切り替えのタイミング判断に使用され、検知センサS2の出力信号は、前記搬送ローラ22Dの回転駆動停止制御およびレジストローラ23の回転駆動停止制御(用紙Pの搬送に伴う駆動停止)のタイミング判断に用いられる。
【0109】
本実施の形態においては、前記第1用紙検知センサS1が用紙Pの先端を検知すると、その検知出力信号を前記制御部SG(図1の説明を参照のこと)に取り込み、前記経路変更部材630が所定の用紙経路を形成していないと判断した場合、前記可動部材632を第1の位置、または第2の位置に持ちきたすように構成してある。
【0110】
なお、どちらの用紙経路を使用するかは、操作者が前記操作部250により設定する。
【0111】
例えば、未使用の用紙Pのカールが大きい場合や、用紙Pの腰が弱いと操作者が判断した場合、操作者は第1用紙経路を選択使用すべく操作部250で設定する。
【0112】
なお、両面に画像を形成するモードが選択されると、前記操作部での設定を不要とし、用紙Pの第1面(例えば、表面)に画像形成するときには第2用紙経路を使用し、前記用紙Pの第2面(例えば、裏面)に画像形成するときには第1用紙経路を使用するように制御部SGにプログラムしてある。
【0113】
また、カールがほとんどなく、あるいは、角折れなどの心配がない普通の状態の用紙を使用する場合、操作者はレジストローラ23に対する用紙Pの衝撃音(座屈音と同意)を抑制できる第2用紙経路を操作部250の設定を介して選択使用することができる。
【0114】
なお、前記経路変更部材630は樹脂成型品で構成したが、用紙Pとのすべり摩擦が小さいものが好ましい。
【0115】
更に、前記経路変更部材630の奥行き寸法あるいは用紙搬送方向における寸法は、実験等を介して適宜に決定できるが、奥行き方向の寸法は、前述した角折れ発生やジャム発生の抑制に寄与できるので、使用する最大用紙の奥行き方向寸法と略等しいか、それよりも大きい寸法にすることが望ましい。
【0116】
前記ガイド装置60内での経路変更と用紙Pの挙動を制御を含めて簡略に纏めると次のようになる。
【0117】
先ず、使用する用紙Pの選択に応じて、図1に示す操作部250に備えた用紙経路選択手段(不図示)を介して操作者が用紙経路を選択する。
【0118】
例えば、カールが殆どない薄紙55g/m2、普通紙64g/m2或いは厚紙87g/
2なので第2用紙経路を選択設定する。
【0119】
第2用紙経路の設定情報は制御手段SGに取り込まれる。画像形成プロセスがスタートすると、タイミングをとって、既に制御手段SG内に記憶されている画像データに基づく画像形成が開始され、これに伴って用紙Pが給紙カセット20から給紙され、搬送ローラ22Dを介してガイド装置60に至る。
【0120】
前記搬送ローラ22Dにより継続搬送される用紙Pの先端を第1用紙検知センサS1が検知すると、その検知情報と先の用紙経路の設定情報とから、前記制御手段SGが経路変更の要不要を判断する。
【0121】
経路変更部材630が図4の状態である場合、可動部材632を駆動制御して図3の状態に変更すべく、前記制御手段SGはステッピングモータのドライバ回路を作動させるべく指令を出す。
【0122】
前記指令に基づき、前記用紙Pが可動部材632の位置に到達する前に当該可動部材は回動され、図3の状態に維持される。
【0123】
従って、用紙Pは経路変更部材630と第2ガイド部材620とで形成される第2用紙経路を移動する。
【0124】
やがて、用紙Pの先端が第2用紙検知センサS2により検知されると、その検知信号は制御手段SGに取り込まれ、結果、搬送ローラ22Dに対する給電が遮断される。
【0125】
前記搬送ローラ22Dの回転が停止されるときには、用紙Pの先端は停止状態にあるレジストローラ23のニップ部に入り込んで挟持され、また、用紙のループが形成されて用紙の曲がりが矯正された状態を呈している。
【0126】
感光体1上に形成され、中間転写体6に転写されたトナー像と重畳するタイミングを図って前記レジストローラ23が回転を開始すると、用紙Pの搬送が再開される。
【0127】
次いで、用紙Pの後端が第2用紙検知センサS2によって検知されると、その検知信号に基づいて、制御手段SGはレジストローラ23の回転を停止すべく、駆動源のドライバ回路を不作動とさせる。
【0128】
レジストローラ23の回転停止時には、用紙Pの後端が当該レジストローラを通り抜けている。
【0129】
上述のような第2用紙経路の使用は、従来のようなレジストローラのニップ部に対する用紙の進入角度を抑制でき、また、用紙の移動時におけるばたつきを抑制できる。
【0130】
更に、レジストローラに用紙先端が衝突するのに先立ち、予め用紙に若干のループを形成して撓ませておけるため、レジストローラに衝突したときの衝突音や、衝突直後に生じる用紙の座屈音を低減できる。
【0131】
また、経路変更部材の奥行き方向の大きさが、用紙の角折れや、或いは、用紙の角折れれに起因するジャム発生の防止を低減させる。
【0132】
次に、腰の弱い用紙、カールのある用紙、或いは、選択設定された両面画像形成モードにおいて第2面に画像が形成されようとする用紙がガイド装置60に到達する場合について説明する。
【0133】
用紙経路として操作者が第1用紙経路を操作部で選択設定すると、その情報(両面画像形成のモードにおいては、両面画像形成のモード設定情報)は前述と同様に前記制御手段SGに取り込まれる。
【0134】
前記用紙Pの先端が第1用紙検知センサS1により検知されると、その情報は前記制御手段に取り込まれ、当該用紙検知情報と先の用紙経路の設定情報とから、前記制御手段SGが経路変更の要不要を判断する。
【0135】
用紙経路が選択された状態にないと前記制御手段が判断すると(可動部材632の位置情報を検知するセンサの出力信号を取り込むことにより達成できる)、例えば、図2に示す状態である場合、可動部材632を駆動制御して図3の状態に変更すべく、前記制御手段SGはステッピングモータのドライバ回路を作動させる指令を出す。
【0136】
前記指令に基づき、前記用紙Pが可動部材632の位置に到達する前に当該可動部材は回動され、図3の状態、即ち、第2用紙経路を閉じ、第1用紙経路を開いた状態に維持される。
【0137】
従って、用紙Pは経路変更部材630と第1ガイド部材620とで形成される第1用紙経路を移動する。
【0138】
やがて、用紙Pの先端が第2用紙検知センサS2により検知されると、その検知信号は制御手段SGに取り込まれ、結果、搬送ローラ22Dに対する給電が遮断される。
【0139】
以後の挙動は前述と同様であるので省略する。
【0140】
この態様においては、従来のガイド装置内における用紙通路よりも狭く、かつ、略直線的な用紙通路(用紙経路と同義)に用紙を通すことになるので、多少のカールのある用紙でも支障のない移動が可能であり、用紙の角折れ或いは角折れに起因するジャム(用紙のジャミング)の発生を低減できる。
【0141】
また、腰の弱い用紙は勿論であるが、カールしている用紙は、レジストローラと当接しても、元々、衝撃力が余り発生しない状態であるので、座屈音の発生を気にする必要はない。
【0142】
本実施の形態においては、従来のガイド装置を備えた画像形成装置で頻繁に生じていた用紙の角折れ(6/20枚中)現象を、(0/500枚中)にまで低減することができた。
【0143】
この場合、第1ガイド部材、第2ガイド部材による基本的構成は同じであり、異なるのは、経路変更部材の有無のみである。
【0144】
因みに、ガイド部材等の概略の寸法や材質の一例を下記する。
【0145】
第1,第2ガイド部材のレジストローラ側における対向面(内面)間隔:2〜4mm
第1ガイド部材と第2ガイド部材との用紙移動方向における長さ:100〜120mm
略水平面上に配置した第1ガイド部材に対する板部材621の傾き:17〜22度
板部材621,622の対向部と第1ガイド部材との最大間隔:15から20mm
経路変更部材の用紙移動方向における長さ(図4で水平方向に計測):30〜40mm
経路変更部材の奥行き方向寸法:奥行き方向にみた使用最大用紙寸法の7/10〜1
経路変更部材の材質:樹脂成型品、鋼板(t=0.8〜1.2mm)
ガイド部材の材質:鋼板(t=0.8〜1.6mm)
レジストローラの表面材質:EPDM(下側ローラ)とPOM(上側ローラ)
搬送ローラ22Dによる用紙搬送速度:400〜800mm/sec
上記から、本発明は高速搬送される用紙に対して極めて有効であることが理解される。
【0146】
なお、本発明は、上述した実施の形態に高速されるものではなく、例えば、経路選択設定情報から経路変更部材の位置移動要否を制御手段により判断させ、その結果で可動部材の制御を、即、行うようにしてもよい。
【0147】
経路変更部材の駆動はソレノイド等、所期目的を達成できるものならば拘束されない。
【0148】
また、実施の形態においては中間転写体を使用する場合を例として説明したが、中間転写体を用いない形態、例えばドラム状の感光体のみを像担持体とする画像形成装置にも、あるいは、カラーでなくモノクロ画像形成装置にも容易に適用でき、更に、両面記録モードを持たない画像形成装置にも適用できるものであって汎用性がある。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】フルカラー画像を作成できるタンデム構成の画像形成装置の全体図である。
【図2】制御の模式的なブロック図である。
【図3】図1に示したガイド装置の構成の要部を拡大して示す説明用の概略図で、第2用紙経路が選択されている場合の図である。
【図4】図1に示したガイド装置の構成の要部を拡大して示す説明用の概略図で、第1用紙経路が選択されている場合の図である。
【符号の説明】
【0150】
6 中間転写体(像担持体)
20 給紙カセット
23 レジストローラ
24 定着手段
101 第1搬送路
102 第2搬送路
103 第3搬送路
104 第4搬送路
105 第5搬送路
S1 第1用紙検知センサ
S2 第2用紙検知センサ
SG 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストローラに対してシート状の転写材の先端を当接せしめた後、当該レジストローラの回転開始によって前記転写材を転写位置に向け搬送せしめる構成を有する画像形成装置において、
前記レジストローラの転写材搬送方向上流位置に、転写材をガイドする第1ガイド部材と第2ガイド部材とを対向して設けるとともに、
前記第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に、経路変更部材を設け、
当該経路変更部材は、前記第1ガイド部材との協同により、転写材をほぼ直線的に案内して前記レジストローラのニップ部に導く経路と、前記第2ガイド部材との協同により、当該第2ガイド部材に転写材を向け、かつ、当接せしめた後に前記レジストローラのニップ部に導く経路とを選択的に形成できることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記経路変更部材は板材からなり、前記レジストローラに対して近い側の固定部材と、前記固定部材と一体的に設けられ、かつ、前記レジストローラに対して遠い側の可動部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−76841(P2007−76841A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268335(P2005−268335)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】