説明

画像形成装置

【課題】 高優先度に設定された実行者のみアクセス権のあるジョブが紙詰まりが発生するジョブであった場合、実行者または管理者の処理を必要とせずに後続ジョブの印刷を可能とする。
【解決手段】 ジョブIDと紙詰まり回数を管理し、同じジョブで規定回数紙詰まりが発生した場合は、ジョブの優先度を下げ後続ジョブをスキップさせることで、後続ジョブを先に処理するようにする。また、原因となるジョブがBOXプリントであった場合には、上記処理とともにBOXデータに対して高優先度設定を行えないようにすることで、何度も同じ状況にならないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ優先度を指定可能なプリンタやMulti Function Printer(以下、MFP)などの画像形成装置において、同一ジョブでジャムが複数回発生した際に、後続ジョブの処理が出来なくなることを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機の持つコピー機能に加え、プリンタ機能、スキャン機能およびハードディスクなどの記憶媒体への記憶機能等をユーザーに提供するMFPが登場し、複数のユーザーがこのMFPを使用することでオフィスワークの作業効率向上を果たすことができた。
【0003】
しかし、複数のユーザーが使用する画像形成装置においてエラーが発生してしまうと、エラー処理が終了するまで、後続ジョブが延々と待たされてしまい、後続ジョブを要求したユーザーにとって作業効率が悪くなってしまう。
【0004】
この問題を解決する手法として、特開平6−214921がある。本手法はプリントエラーが発生した場合にエラー発生時のプリントジョブを自動的にスキップさせ、後続ジョブを先に処理した後で、エラー発生ジョブを再度印刷するというものである。
【特許文献1】特開平6−214921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数のユーザーで使用する画像形成装置においてジャムが発生した場合には、従来の改善方法のように自動的には処理できず、ユーザーがジャムの処理を行う必要があり、ジャム処理が終了するまで後続ジョブを要求したユーザーは延々と待たされてしまう。
【0006】
また、通常、ジャム処理後はジャムが発生したジョブから再度スタートするため、ジョブに起因した原因の分からないジャムが発生する場合には、同一ジョブで何度もジャムが発生してしまい、ジャム中にジョブの削除およびジョブのスキップの処理を行わなければ、いつまで経っても後続ジョブの処理を開始することができない。しかし、ジャム要因となるジョブに対して実行者以外のアクセス権を認めない設定になっている場合には、実行者または画像処理装置の管理者しかジョブの削除および優先度の変更を行えないため、後続の印刷を行うことができなくなってしまう。
【0007】
また、ジャム要因となるジョブの優先度が最高レベルに設定されていた場合には、後続ジョブの優先度を最高レベルに設定したとしてもジャム要因のジョブをスキップすることが出来ないため、後続ジョブの印刷を行うことができなくなってしまう。
【0008】
また、BOX印刷の場合には複数のユーザーが同じデータに対してジョブを発行するため、印刷要求者は要求したデータがジャムが発生するジョブかどうかを知ることが出来ないため、同じことが何度も繰り返される可能性がある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、高優先度設定やアクセス権設定されたジョブがジャムを何度も発生した場合にも、後続ジョブの処理を行うことのできることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以上のような問題点を解決することを目的とし、そのために、本発明の画像形成装置では、ジャムが発生した際にはジョブID、ジャム回数、ジョブの元データ(BOX印刷の場合)を管理し、優先度設定およびアクセス権設定された同一ジョブでジャムが規定回数以上発生した場合には、優先度を変更することで、後続ジョブの処理を行うことが可能となる。
【0011】
また、BOX印刷時にジャムが規定回数以上発生した場合には、現在のジョブに対する優先度の変更だけでなく、BOX印刷の元データに対する優先度の設定を変更し、同データに対する処理要求があった場合には、優先度の設定を行えないようにすることで、同じ問題が繰り返されることを防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、ジャムが発生した回数をカウントし、カウント値とジョブIDにより同一ジョブでジャムが発生しているか判断し、同一ジョブでのジャムが規定回数発生した場合には、ジョブの優先度を下げる処理を行うようにしている。また、該当ジョブがBOX印刷であった場合には、該当ジョブのデータ自体に高優先度を設定できないようにしている。
【0013】
このような処理にすることによって、高優先度に設定され、かつ、他ユーザーに対するアクセス権のないジョブが、ジャムの発生するジョブであった場合にも、ジョブ要求者および管理者の対応なしに、後続ジョブの処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態における画像形成装置の構成を示すブロック図である。リーダー部1は原稿の画像を読み取り、原稿画像に応じた画像データをプリンタ部2及び画像入出力制御部3へ出力する。メディアリーダー部14は記録メディア内のデータを読み取り、データをプリンタ部2及び画像入出力制御部3へ出力する。パネル部13はユーザーからの指示およびユーザーへの通知を行う。プリンタ部2はリーダー部1及び画像入出力制御部3からの画像データに応じた画像を記録紙上に記録する。画像入出力制御部3はリーダー部1及びメディアリーダー部14に接続されており、ファクシミリ部4、ファイル部5、コンピュータインターフェイス部7、フォーマッタ部8、イメージメモリ部9、コア部10などからなる。
【0016】
ファクシミリ部4は電話回線を介して受信した圧縮画像データを伸長して、伸長された画像データをコア部10へ転送し、又、コア部10から転送された画像データを圧縮して、圧縮された圧縮画像データを電話回線を介して送信する。ファクシミリ部4にはハードディスク12が接続されており、受信した圧縮画像データを一時的に保存することができる。ファイル部5には光磁気ディスクドライブユニット6が接続されており、ファイル部5はコア部10から転送された画像データを圧縮し、その画像データを検索するためのキーワードとともに光磁気ディスクドライブユニット6にセットされた光磁気ディスクに記憶させる。又、ファイル部5はコア部10を介して転送されたキーワードに基づいて光磁気ディスクに記憶されている圧縮画像データを検索し、検索された圧縮画像データを読み出して伸長し、伸長された画像データをコア部10へ転送する。コンピュータインターフェイス部7は、パーソナルコンピュータ又はワークステーション(PC/WS)11とコア部10の間のインターフェイスである。フォーマッタ部8はPC/WS11から転送された画像を表すコードデータをプリンタ部2で記録できる画像データに展開するものであり、イメージメモリ部9はPC/WS11から転送されたデータを一時的に記憶するものである。コア部10はリーダー部1、ファクシミリ部4、ファイル部5、コンピュータインターフェイス部7、フォーマッタ部8、イメージメモリ部9それぞれの間のデータの流れの制御およびジョブの管理を行うものである。
【0017】
図2は、コア部10のブロック図である。リーダ部1からの画像データはデータ処理部121へ転送されるとともに、リーダ部1からの制御コマンドはCPU123へ転送される。データ処理部121は画像の回転処理や変倍処理などの画像処理を行うものであり、リーダ部1からデータ処理部121へ転送された画像データは、リーダ部1から転送された制御コマンドに応じて、インターフェイス120を介してファクシミリ部4、ファイル部5、コンピュータインターフェイス部7へ転送される。また、コンピュータインターフェイス7を介して入力された画像を表すコードデータは、データ処理部121に転送された後フォーマッタ部8へ転送されて画像データに展開され、この画像データはデータ処理部121に転送された後、ファクシミリ部4やプリンタ部2へ転送される。ファクシミリ部4からの画像データは、データ処理部121へ転送された後、プリンタ部2やファイル部5、コンピュータインターフェイス部7へ転送される。また、ファイル部5からの画像データは、データ処理部121へ転送された後、プリンタ部2やファクシミリ部4、コンピュータインターフェイス部7へ転送される。CPU123はメモリ124に記憶されている制御プログラム、及びリーダ部1から転送された制御コマンドに従ってこのような制御を行う。また、メモリ124はCPU123の作業領域としても使われる。
【0018】
ジャムカウンター126は、同一ジョブでのジャム回数をカウントするカウンターであり、ジョブ管理部125は、ジョブ優先度に従った処理順序の変更、ジョブアクセス権に従った処理の許可など、ジョブの管理に関する処理を行う。また、ジャムが発生した際には、ジャムカウンター126でカウントされたジャム発生回数と規定値との比較を行い、該当ジョブの優先権の変更、スキップ処理を行う。
【0019】
以上の構成において、一実施の形態を図3のフローチャートに基づき述べる。
【0020】
印刷処理が開始されたあと、処理されているジョブにおいてジャムが発生しなければ通常通り印刷が行われる。ジャムが発生した場合には、ジャム発生信号がジョブ管理部125へ通知され、ジョブ管理部125はジャムの発生したジョブIDを記憶する。(S101)
ステップS102では、ジャム処理がされるまで待機し、ジャム処理が行われたらステップS103へ進む。
【0021】
ステップS103では、同じジョブから印刷処理が再開される。
【0022】
ステップS104では、処理されているジョブにおいてジャムが発生しなければ通常通り印刷が行われる。また、ジャムが発生した場合には、ジャム発生信号がジョブ管理部125へ通知される。
【0023】
ステップS105において、ジャムの発生したジョブIDとジョブ管理部125が記憶しているジョブIDの比較を行う。ジョブIDが一致しない場合にはステップS106へ進み、一致した場合にはステップS107へ進む。
【0024】
ステップS106においては、ジャムカウンター126のカウント値のリセットを行い、ステップS102へ進む。
【0025】
ステップS107においては、ジャムカウンター126のカウント値とジョブ管理部125にあらかじめ設定されているジャム回数上限値との比較を行い、ジャムカウンター126の値が規定回数に到達した場合にはステップS109へ進み、規定回数に到達していない場合にはステップS108へ進む。
【0026】
ステップS108では、ジャムカウンター126をカウントアップし、ステップS102へ進む。
【0027】
ステップS109において、ジョブ管理部125は規定回数発生したジョブの他ユーザーに対するアクセス権を確認し、アクセス権がある場合にはステップS112へ進み、アクセス権がない場合には、ステップS110へ進む。
【0028】
ステップS110において、ジョブ管理部125はジョブの優先度の確認を行う。優先度が高く設定されていない場合には、ステップS112へ進み、優先度が高く設定されている場合には、ステップS111へ進む。
【0029】
ステップS111では、本ジョブに対する優先度を低く設定したあと、ステップS112へ進み、本ジョブのスキップ処理を行う。また、印刷要求のデータがBOX印刷の場合には、該当データに対して低い優先度の設定しか行えないようにする。
【0030】
ステップS112では、後続ジョブがある場合に、本ジョブのスキップ処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるコア部のブロック図である。
【図3】本発明画像形成システムの一実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 リーダー部
2 プリンタ部
3 画像入出力制御部
4 ファクシミリ部
5 ファイル部
6 光磁気ディスク・ドライブユニット部
7 コンピュータ・インターフェイス部
8 フォーマッタ部
9 イメージメモリ部
10 コア部
11 パーソナルコンピュータ又はワークステーション
12 ハードディスク
13 パネル部
14 メディアリーダー部
120 インターフェース部(I/F)
121 データ処理部
122 インターフェース部(I/F)
123 CPU
124 メモリ
125 ジョブ管理部
126 ジャムカウンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの優先度およびアクセス権によりジョブを管理するジョブ管理手段と、
ジャム回数をカウントするジャム回数カウント手段と、
前記ジャム回数カウント手段によってカウントされたジャム回数が規定回数に達しているか比較する回数比較手段と、
前記回数比較手段により前記ジャム回数が規定回数に達したと判断された場合に、前記ジョブの優先度を変更する優先度変更手段と、
前記優先度変更手段により優先度を変更されたジョブの後続ジョブが存在する場合に、後続ジョブを先に処理するジョブスキップ手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置内の記憶媒体に保存されているデータに対するジョブ処理時に、ジャムが規定回数発生した場合には、該ジョブに対する優先度の変更だけでなく、前記記憶媒体に保存されているデータに対して、高優先度の設定を行えないようにする、
請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−98846(P2007−98846A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293739(P2005−293739)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】