説明

画像形成装置

【課題】単純複写動作時の不必要なデジタル処理を無くすことを可能とした画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部と、像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置において、前記読取部は前記原稿を押さえる圧板201と、前記圧板201の原稿押さえ面側に設けられた電子ペーパー202と、を有し、前記電子ペーパー202に外部装置から送られた画像データを表示可能に構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部と、像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単に原稿を読み取り、その情報を複写するのみであれば、原稿に光をあてて、その反射光をドラムに書き込むアナログ方式で十分である。しかし、パソコンからのプリントアウトなどの電子データをプリントするにはドラムに光を電気的に当てる書き込むデジタル方式が必要である。そのような、デジタル複写機では、前記書き込み装置としてレーザー、LEDを用いる方法が一般的に実施されている。
【0003】
また、パソコンからのプリントでは、CRT上のプレビュー画面に複数の画像を表示するために、画像サイズに合わせて各画像を縮小表示し、その中の画像について所望の編集設定を行ってプリントしたり、プレビュー画面上に順次連続表示させるシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、所望の画像を簡単に確認するために、画像データのデータ量に基づいてプリンタに出力するか、電子ペーパーに出力するかを切り換える画像出力システムが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−42087号公報
【特許文献2】特開2003−140857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術にあって、デジタル複写機の場合はCCD等の読み取り装置、レーザー等の光源が必要となり、アナログ複写機に比べて高価になってしまう。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、単純複写動作時の不必要なデジタル処理を無くすことを可能とした画像形成装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、安価なアナログ複写プロセスを用いて、パソコンからのプリントに対応する画像形成装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、プリントミス等の無駄な印刷をすることなく、操作部や外部I/F処理部からの印刷指示に基づいて、画像位置調整を可能にし、より使い勝手のよい画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部と、像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置において、前記読取部は前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、前記原稿押さえ部材の原稿押さえ面側に設けられた電子ペーパーと、を有し、前記電子ペーパーに外部装置から送られた画像データを表示可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
パソコン等の外部装置からの情報を電子ペーパーに表示させ、これに光照射して読み取ることでデジタル処理をしなくても外部装置からの画像情報を印刷することができる。このため、安価なアナログ複写プロセスを用いて、外部装置からのプリントに対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
[画像形成装置の全体構成]
まず、本実施形態の画像形成装置の全体構成について、図1を参照して画像形成動作とともに説明する。
【0014】
図1は第1実施形態に係る画像形成装置の断面模式説明図である。本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部Aと、像担持体である感光体ドラムに選択的な露光をして静電潜像を形成し、該静電潜像をトナー現像して画像を形成する画像形成部Bとを有する。
【0015】
読取部Aは装置本体の上面に原稿載置台としてのプラテンガラス101が取り付けられ、このプラテンガラス101に原稿を載置してスキャナ102で原稿情報を読み取る。そして、プラテンガラス101上には、載置した原稿を押さえるための圧板201が設けられている。この圧板201は装置本体に対して回動可能に取り付けられ、プラテンガラス101上を開閉可能に設けられている。
【0016】
スキャナ102は光源である原稿照明ランプ103と走査ミラー104等で構成されている。そして、スキャナ102は、不図示のモータにより所定方向に往復走査され、プラテンガラス101に載置した原稿表面に光照射し、その反射光を走査ミラー104,105,106及びレンズ108を介して感光体ドラム110上に結像させる。
【0017】
画像形成部Bを構成する感光体ドラム110の周りには、一次帯電器112、現像器121、転写帯電器118,119、クリーニング装置116、が装備されていて、電子写真方式の画像形成部を構成している。この画像形成部Bにおいて、感光体ドラム110は不図示のモータにより回転し、一次帯電器112により所望の電位に帯電された後、原稿照明ランプ103が照射されて、原稿に反射された反射光により、静電潜像が形成される。感光体ドラム110上に形成された静電潜像は、現像器121により現像されて、トナー像として可視化される。
【0018】
一方、上段カセット131あるいは下段カセット132からピックアップローラ133,134により給送されたシートPは、給送ローラ135,136により画像形成部Bに送られる。そして、レジストローラ137により転写ベルト130に給送され、可視化されたトナー像が転写帯電器118によりシートPに転写される。転写後の感光体ドラム110は、クリーニング装置116により残留トナーが清掃され、残留電荷が消去される。
【0019】
トナー像が転写されたシートPは、転写ベルト130から分離され、定着器141に送られ加圧、加熱により定着され、排出ローラ142により装置本体外部に排出される。
【0020】
[圧板構成]
上記画像形成装置において、ユーザが通常のコピー動作を行う場合は、図2に示すように、プラテンガラス101上に原稿Sを載置し、この原稿Sを原稿押さえ部材である圧板201で押さえてセットした後にコピーを開始する。
【0021】
本実施形態の圧板201には、原稿押さえ面側に、白色の電子ペーパー202が設けられている。この電子ペーパー202は所定の画像処理が行われた画像信号に基づいて白地に対して黒色にて文字や図形を表示可能なものである。
【0022】
上記画像形成装置は、図3に示すように、通信手段としての外部I/F209を介してパソコン等の外部装置からデータ210を装置本体の画像処理部へ転送可能に構成している。そして、前記画像が電子ペーパー202に表示可能となっている。
【0023】
すなわち、外部I/F209は画像処理部203に接続され、図示しない外部のコンピュータ等から入力された画像データを展開し、画像処理部203に入力する。画像処理部203では、入力された画像データにγ補正等の出力系で必要な補正処理や、スムージング処理、エッジ強調、その他の処理及び加工等が行われ、画像処理部203に接続された画像出力手段である電子ペーパー202に出力される。
【0024】
電子ペーパー202は、モノクロ表示のものであってもよいが、例えば2枚の基板間に挟まれた分散媒と呼ぶ液体中を粒子が移動する電気泳動現象を利用して文字を表示するようにした電子ペーパーを用いてもよい。これは、電極に印加する正負を変えることで、液体中の帯電粒子の状態を変えて、外から入射する光の散乱光を表示に利用する反射型パネルを構成するものであり、これにRGBのカラーフィルタを組み合わせればフルカラー表示も可能である。このような電子ペーパーは自由に曲がり持ち歩ける紙の利点と、書き換えられるディスプレイの利点を合わせ持っている。
【0025】
本実施形態にあっては、外部装置から画像データが送られてくると、白色のマイクロカプセル式電子ペーパー202にデータを出力して画像表示する。この状態でユーザは圧板201を開き、圧板201の裏にある電子ペーパー202に写った画像がプリントアウトしたいものかどうか確かめる。
【0026】
そして印刷したいデータであれば、図4に示すように、圧板201を閉じてコピーをスタートさせる。すると、原稿照明ランプ103が電子ペーパー202を原稿として光照射し、その反射光により感光体ドラム110が露光されて静電潜像が形成される。これにより、電子ペーパー202に表示された画像が搬送されたシートに記録されることになる。
【0027】
従って、感光体ドラム110への露光がアナログ複写プロセスであったとしても、パソコン等の外部装置からのデータに基づいて画像形成が行われる。
【0028】
また、本実施形態の画像形成装置は外部I/F209を介して入力された画像データを記憶する記憶手段、及び、入力された画像データを電子ペーパー202に表示するときの表示位置等を調整する設定手段が設けられている。
【0029】
そして、圧板201を開いたときに表示された画像が間違っていた場合は、データの再送信を行う。また、画像の位置(前後左右)を調整したい場合は、操作部の位置調整ボタン(図示せず)を操作して設定手段により画像位置調整を行った後で、圧板201を閉じてコピーをスタートする。
【0030】
なお、プラテンガラス101上に原稿を載置して複写する、通常複写の場合は、前記電子ペーパー202が白色表示するように設定しておく。これにより、電子ペーパー202が原稿を押さえる白色板として機能する。
【0031】
上記のようにして静電潜像形成が安価なアナログプロセスの複写機であっても外部装置からの画像データを印刷することが可能となる。
【0032】
また、電子ペーパー202に原稿情報をプレビューすることで、プリントミス等の無駄をなくすことができ、且つ画像位置調整も容易で使い勝手のよい印刷環境が提供される。
【0033】
なお、本実施形態では潜像形成がアナログプロセスの複写機を例示したが、前記電子ペーパー202に原稿情報を表示し、これを原稿として複写する構成にあっては、潜像形成がデジタル複写機および、デジタル複合機であっても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面模式説明図である。
【図2】通常コピーをする場合の説明図である。
【図3】画像処理部のブロック図である。
【図4】電子ペーパーに表示した画像のコピーを示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
A …読取部
B …画像形成部
P …シート
S …原稿
203 …画像処理部
209 …外部I/F
210 …データ
101 …プラテンガラス
102 …スキャナ
103 …原稿照明ランプ
104,105,106 …走査ミラー
108 …レンズ
110 …感光体ドラム
112 …一次帯電器
116 …クリーニング装置
118,119 …転写帯電器
121 …現像器
130 …転写ベルト
131,132 …カセット
133,134 …ピックアップローラ
135,136 …給送ローラ
137 …レジストローラ
141 …定着器
142 …排出ローラ
201 …圧板
202 …電子ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部と、像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置において、
前記読取部は前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材の原稿押さえ面側に設けられた電子ペーパーと、
を有し、
前記電子ペーパーに外部装置から送られた画像データを表示可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電子ペーパーに画像データを入力する通信手段と、
入力された画像データを記憶する記憶手段と、
入力された画像データの表示調整を行う設定手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電子ペーパーに原稿情報を送信し、前記電子ペーパーに表示された原稿情報を前記読取部で読み取ることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電子ペーパーに白色を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記読取部は原稿又は前記電子ペーパーに光照射した反射光を前記像担持体に照射することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−15290(P2008−15290A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187449(P2006−187449)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】