画像形成装置
【課題】部品点数の増加を抑制することが可能で、かつ、印字ヘッドに対して一定した加圧力を得ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この昇華型プリンタ(画像形成装置)は、小径ギア部9aと、所定の回転角度範囲に設けられた歯部7dおよび歯部7d以外の領域に設けられた欠歯部7eを含むとともに小径ギア部9aに噛合される従動側ギア部7bと、印字ヘッドを押圧する押圧部7cとが一体的に設けられた印字ヘッド回動部材7とを備える。そして、小径ギア部9aは、欠歯部9dの外周面の直径が歯部9cの歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッドがプラテンローラ3を押圧する位置近傍において、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dに摺動するように小径ギア部9aが配置されている。
【解決手段】この昇華型プリンタ(画像形成装置)は、小径ギア部9aと、所定の回転角度範囲に設けられた歯部7dおよび歯部7d以外の領域に設けられた欠歯部7eを含むとともに小径ギア部9aに噛合される従動側ギア部7bと、印字ヘッドを押圧する押圧部7cとが一体的に設けられた印字ヘッド回動部材7とを備える。そして、小径ギア部9aは、欠歯部9dの外周面の直径が歯部9cの歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッドがプラテンローラ3を押圧する位置近傍において、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dに摺動するように小径ギア部9aが配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行う印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行う印字ヘッドなどを備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、カムギアと、駆動ギアと、駆動ギア取付部および同期カム部が回動軸の両端にそれぞれ一体的に設けられたシャフト部材(回動部材)と、バネを介してアームに支持されるサーマルヘッド(印字ヘッド)とを備えた熱転写プリンタ(画像形成装置)が開示されている。この特許文献1に記載の熱転写プリンタ(画像形成装置)では、カムギアと、駆動ギア取付部を介してシャフト部材に取り付けられた駆動ギアとの噛合により、シャフト部材が所定の角度を回動された際、シャフト部材の駆動ギア取付部に形成された切り欠き部に、サーマルヘッドを支持するアームに設けられた制御ボスが係合することにより、サーマルヘッドの回動動作が規制されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、駆動モータにより駆動される揺動ギアと、ヘッドダウン用ギアおよびヘッドアップ用ギアが取り付けられ、揺動ギアにより揺動される揺動板と、カムギアと、カムギアに係合するヘッド接離用カムレバーとを備えたプリンタの駆動機構が開示されている。この特許文献2に記載のプリンタの駆動機構では、揺動ギアと連動する揺動板の動作により、ヘッドダウン用ギアおよびヘッドアップ用ギアが選択的にカムギアに噛合されるとともに、カムギアに係合されたヘッド接離用カムレバーを介して印字ヘッドが上下方向に回動されるように構成されている。また、ヘッドダウン用ギアが、カムギアとの噛合によりカムギアに設けられた間欠部(欠歯部)に係合された際、駆動モータによるギアの回転に関係なくカムギア側の回転動作が停止されるよう構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、記録用紙搬送用モータと、記録用紙搬送用モータにより駆動されるプーリに、無端ベルト、複数の伝達ギア、PG調節歯車および揺動部が順次噛合されることにより記録ヘッドが搭載されたキャリッジを上下動可能に構成されたPG(ペーパーギャップ)調節手段とを含むPG自動調節装置を備えたインクジェット式記録装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献3に記載のインクジェット式記録装置(画像形成装置)では、揺動部が所定角度回転することにより、揺動部とは別体で設けられたキャリッジガイド軸が上下に移動することによって、記録ヘッドが搭載されたキャリッジが上下に回動されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、ステッピングモータと、ステッピングモータにより駆動されるアイドルギア(中間ギア)に、キャリッジ駆動ギア、伝達ギアおよびローラ駆動ギアが順次噛合されるされることにより、サーマルヘッドが搭載されたキャリッジを用紙の幅方向に往復動可能に構成されたサーマルプリンタ(画像形成装置)が開示されている。この特許文献4に記載のサーマルプリンタ(画像形成装置)では、キャリッジ駆動ギアが所定角度回転することにより、キャリッジ駆動ギアとは別体で設けられたキャリッジ駆動軸を介して記録ヘッドが搭載されたキャリッジが用紙の幅方向に移動されるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、ヘッドモータと、ヘッドモータにより回転される駆動ギアと、駆動ギアに噛合されるギア部およびサーマルヘッドの加圧機構に押圧力を付勢するためのカム部が一体的に設けられたヘッドカムとを備えたプリンタ用印字ヘッドが開示されている。この特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、駆動ギアが所定の角度を回転されることにより、ヘッドカムおよび加圧機構を介してサーマルヘッドがプラテン側に押圧されるように構成されている。また、この特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、サーマルヘッドの押圧時および非押圧時に関係なく、駆動ギアはヘッドカムのギア部と噛合されている。
【0008】
【特許文献1】特許登録第3272627号公報
【特許文献2】特開平7−269589号公報
【特許文献3】特開平8−62688号公報
【特許文献4】特開2003−156066号公報
【特許文献5】特開平7−251554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の熱転写プリンタ(画像形成装置)では、駆動ギア取付部の切り欠き部にサーマルヘッド側の制御ボスが係合することによりサーマルヘッドの回動動作が規制される構成であるために、カムギアの回転角度の精度が十分でない場合には、制御ボスと切り欠き部との係合が不完全な状態になると考えられる。この場合、サーマルヘッド(印字ヘッド)に対して一定した加圧力を得ることができないという問題点がある。また、上記特許文献1に記載の熱転写プリンタでは、駆動ギアがシャフト部材とは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点もある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のプリンタの駆動機構では、印字ヘッドがプラテンを押圧する際に、ヘッドダウン用ギアは、カムギアの間欠部(欠歯部)と係合した状態においても駆動モータにより回転が継続されるので、ヘッドダウン用ギアの歯部がカムギアの間欠部に周期的に当接する場合ことにより、カムギアに振動が発生する場合があると考えられる。さらに、カムギアの振動が、カムギアからヘッド接離用カムレバーに伝播された場合、ヘッド接離用カムレバーががたつくために、ヘッド接離用カムレバーが印字ヘッドに対して一定した加圧力を付加できないという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載のインクジェット式記録装置(画像形成装置)では、キャリッジを上下動させるキャリッジガイド軸が、揺動体とは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載のサーマルプリンタ(画像形成装置)においても、キャリッジを往復動させるキャリッジ駆動軸が、キャリッジ駆動ギアとは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点がある。
【0013】
また、上記特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、サーマルヘッドは、駆動ギアが常にヘッドカムのギア部と噛合しているので、駆動ギアの回転角度の精度が十分でない場合には、ヘッドカムの回転角度が一定しないと考えられる。この場合、サーマルヘッド(印字ヘッド)に対して一定した加圧力を得ることができないという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加を抑制することが可能で、かつ、印字ヘッドに対して一定した加圧力を得ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置において、所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置された押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とをさらに備え、原動側ギア部は、第1欠歯部の外周面の直径が第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部が配置され、従動側ギア部の第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成されるとともに、従動側ギア部は、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、第3歯部の歯先円直径が第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置され、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成されるとともに、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径は、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成され、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成されている。
【0016】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材を備えるように構成することによって、従動側ギア部と押圧部とを、印字ヘッド回動部材とは別部材として設ける必要がないので、装置本体の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部を配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍では、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動可能に当接しているので、原動側ギア部の回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドに対して一定した加圧力を加えることができる。また、原動側ギア部の第1欠歯部の外周面の直径を、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部は、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さな直径の第1欠歯部に対して摺動するので、原動側ギア部の回転角度のばらつきに伴う第1欠歯部の円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による原動側ギア部の第1欠歯部と従動側ギア部の第2歯部との磨耗を抑制することができる。
【0017】
また、第1の局面による画像形成装置では、従動側ギア部の第2歯部を、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成し、かつ、第3歯部の歯先円直径を、第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成するとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置し、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成することによって、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部のうち歯先円直径のよりも大きな第3歯部から順に原動側ギア部の第1歯部と噛合されるので、原動側ギア部を従動側ギア部と確実に噛合させることができる。また、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径を、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成することによって、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部の第3歯部に噛合する原動側ギア部の第1歯部の歯底円直径が第1欠歯部の外周面直径より小さいので、従動側ギア部の第3歯部の歯先(歯末)が、対応する原動側ギア部の第1歯部の歯底(厳密には第1歯部と第1欠歯部とが接続される部分の歯底)に干渉することが抑制される。したがって、原動側ギア部と従動側ギア部とを滑らかに噛合させることができる。
【0018】
また、第1の局面による画像形成装置では、従動側ギア部を、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部を有するように構成し、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成することによって、従動側ギア部は、第3歯部と第5歯部とによって原動側ギア部の第1欠歯部に当接することができるので、従動側ギア部は、原動側ギア部の第1欠歯部に対して、第3歯部と第5歯部とによって回動位置を確実に保持することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均一な加圧力により印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドをプラテンローラに対して均一に接触させることができる。
【0019】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドと、所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とを備え、原動側ギア部は、第1欠歯部の外周面の直径が第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部が配置されている。
【0020】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材を備えるように構成することによって、従動側ギア部と押圧部とを、印字ヘッド回動部材とは別部材として設ける必要がないので、装置本体の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部を配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍では、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動可能に当接しているので、原動側ギア部の回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドに対して一定した加圧力を加えることができる。また、原動側ギア部の第1欠歯部の外周面の直径を、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部は、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さな直径の第1欠歯部に対して摺動するので、原動側ギア部の回転角度のばらつきに伴う第1欠歯部の円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による原動側ギア部の第1欠歯部と従動側ギア部の第2歯部との磨耗を抑制することができる。
【0021】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、従動側ギア部の第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成され、第3歯部の歯先円直径が第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置され、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成されている。このように構成すれば、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部のうち歯先円直径のよりも大きな第3歯部から順に原動側ギア部の第1歯部と噛合されるので、原動側ギア部を従動側ギア部と確実に噛合させることができる。
【0022】
この場合、好ましくは、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径は、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成されている。このように構成すれば、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部の第3歯部に噛合する原動側ギア部の第1歯部の歯底円直径が第1欠歯部の外周面の直径よりも小さいので、従動側ギア部の第3歯部の歯先(歯末)が、対応する原動側ギア部の第1歯部の歯底(厳密には第1歯部と第1欠歯部とが接続される部分の歯底)に干渉することが抑制される。したがって、原動側ギア部と従動側ギア部とを滑らかに噛合させることができる。
【0023】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、従動側ギア部は、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成されている。このように構成すれば、従動側ギア部は、第3歯部と第5歯部とによって原動側ギア部の第1欠歯部に当接することができるので、従動側ギア部は、原動側ギア部の第1欠歯部に対して、第3歯部と第5歯部とによって回動位置を確実に保持することができる。
【0024】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置されている。このように構成すれば、印字ヘッド回動部材の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均一な加圧力により印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドをプラテンローラに対して均一に接触させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を示した斜視図である。図3〜図11は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの詳細を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0027】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタの装置本体90は、図1に示すように、金属製(板金製)のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド2と、印字ヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図3参照)と、金属製の送りローラ4(図3参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ5(図3参照)と、金属製の支持棒6と、板金製の印字ヘッド回動部材7と、印字ヘッド2を押圧するための樹脂製のヘッド部押圧部材8と、樹脂製の駆動ギア9と、送りローラギア10(図4参照)とを備えている。また、昇華型プリンタの装置本体90は、さらに、樹脂製の下部用紙ガイド11aと、樹脂製の上部用紙ガイド11b(図3参照)と、ゴム製の給紙ローラ12と、給紙ローラギア13(図2参照)と、ゴム製の排紙ローラ14と、排紙ローラギア15(図2参照)と、巻取リール16(図2参照)と、板金製のモータブラケット17(図2参照)と、用紙60を搬送するためのステッピングモータ18(図2参照)と、印字ヘッド2を回動させる際の駆動源となるステッピングモータ19(図2参照)と、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)と、複数の中間ギア21〜24(図4参照)と、インクシート51が収納されたインクシートカートリッジ50を支持するカートリッジ支持部25と、天板26とを備えている。また、本実施形態による昇華型プリンタの装置本体90には、インクシートカートリッジ50と、昇華型プリンタに供給する用紙60を収納するための給紙カセットケース70とが着脱可能に装着されている。
【0028】
また、シャーシ1は、図1および図2に示すように、互いに対向するように配置された一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、図2に示すように、上記したモータブラケット17が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aに対向する他方側面1bには、図1および図2に示すように、インクシートカートリッジ50を挿入するためのカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aには、図1および図2に示すように、印字ヘッド回動部材7を支持棒6により回動可能に支持するために、支持棒6の一方端部6a(図2参照)と対向する位置をL字形状に切り欠いて形成された支持部1eが設けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、図1および図2に示すように、印字ヘッド回動部材7を支持棒6により回動可能に支持するための支持孔1fが設けられ、支持棒6の他方端部6bが回動可能に挿入されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、印字ヘッド回動部材7は、1つの板金部材を溝型に折り曲げることによって形成された回動軸部7aの長手方向の両端部に、扇形状の従動側ギア部7bと押圧部7cとが、それぞれ、回動軸部7aと一体的に設けられている。また、扇形状の従動側ギア部7bには、所定の回転角度範囲に形成された歯部7d(8枚)と、歯部7d以外の領域に形成された欠歯部7eとが設けられている。なお、歯部7dおよび欠歯部7eは、それぞれ、本発明の「第2歯部」および「第2欠歯部」の一例である。また、図8に示すように、従動側ギア部7bの歯部7dのうち、両端部の2枚の歯部7fは、歯部7fに隣接された内側の歯部7g(残りの6枚)より歯先円直径が大きくなる(歯部7fの全歯たけが、歯部7gの全歯たけより高い)ように形成されている。なお、歯部7fおよび歯部7gは、それぞれ、本発明の「第3歯部」および「第4歯部」の一例である。
【0030】
また、本実施形態では、図5に示すように、印字ヘッド回動部材7は、押圧部7cが印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)の実質的に中央部を押圧するように、印字ヘッド2の上部に配置されている。したがって、図7に示すように、押圧部7cにネジ80により固定されたヘッド部押圧部材8が、印字ヘッド2(図5参照)の幅方向(図5の矢印X方向)の中央部を押圧するように構成されている。
【0031】
また、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aの上端部および他方側面1bの上端部には、それぞれ、天板26を取り付けるための取付部1gが2つずつ形成されている。また、シャーシ1の4つの取付部1gには、天板26に設けられた4つの孔26aにネジ27を通した上で、天板26をシャーシ1に固定するためのネジ孔1hが、それぞれ形成されている。なお、天板26がシャーシ1に取り付けられる際に、天板26に切り起こし加工によって一体的に形成された抜止部26aが、シャーシ1の一方側面1aに設けられたL字形状の支持部1eに挿入されることによって、支持棒6および印字ヘッド回動部材7がシャーシ1に回動可能に支持されるとともに、シャーシ1から脱落しないように構成されている。
【0032】
また、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、プラテンローラ3(図3参照)および送りローラ4(図3参照)を回転可能に支持するための支持孔1iおよび1jがそれぞれ設けられている。また、シャーシ1の底面1cには、図3に示すように、印刷時に用紙60の前端部および後端部を検出するための用紙センサ28aおよび28bがそれぞれ設けられている。
【0033】
また、2つのプラテンローラ軸受3aは、図1および図5に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの支持孔1iに取り付けられているとともに、その2つのプラテンローラ軸受3aにプラテンローラ3(図3参照)が回動可能に支持されている。また、送りローラ4は、図4に示すように、送りローラギア10に挿入される送りローラギア挿入部4aを有している。また、送りローラ4は、シャーシ1の支持孔1jに取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回動可能に支持されている。また、押さえローラ5(図3参照)は、図示しない押さえローラ軸受に回動可能に支持されている。また、送りローラ4および押さえローラ5は、図3に示すように、用紙60を間に挟んだ状態で回動することにより、用紙60を給紙方向(矢印T1方向)または排紙方向(矢印U1方向)に搬送する機能を有している。また、給紙ローラ12は、給紙カセットケース70(図1参照)に収納された用紙60をシャーシ1の内部に搬送する機能を有している。
【0034】
また、印字ヘッド2は、図1および図3に示すように、支持軸2aと、プラテンローラ3(図3参照)に対向するように配置されたヘッド部2bと、支持軸2aとヘッド部2bとを連結する一対のアーム部2cと、ヘッド部2bの熱を放熱するためのアルミニウム製の放熱部材2dと、ヘッド部2bに取り付けられる樹脂製の用紙ガイド部材2eとを含んでいる。また、印字ヘッド2は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内面側にそれぞれ取り付けられた一対の支持軸2aを中心として、上下(図3の矢印P1方向および矢印P2方向)に回動可能に設けられている。
【0035】
また、図1および図5に示すように、印字ヘッド2の放熱部材2dには、樹脂製のヘッド部押圧部材8に一体的に形成された突起部8a(図6参照)と係合する係合部2fが、放熱部材2dと一体的に形成されている。これにより、図3に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際には、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが下側から係合部2fに対して係合することによりヘッド部2bも上方(矢印P2方向)に回動されることによって、ヘッド部2bがプラテンローラ3から離間されるように構成されている。
【0036】
また、図5に示すように、駆動ギア9および中間ギア33は、ステッピングモータ19の駆動力を印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bに伝達することにより、印字ヘッド回動部材7とともにヘッド部押圧部材8を回動させるために設けられている。この駆動ギア9は、図5に示すように、シャーシ1の一方側面1aの内側に取り付けられている。また、中間ギア33およびステッピングモータ19は、図5に示すように、モータブラケット17を介してシャーシ1の一方側面1a側の外側に取り付けられている。
【0037】
ここで、本実施形態では、図5および図8に示すように、駆動ギア9は、小径ギア部9aおよび大径ギア部9bが一体的に形成されている。また、図8に示すように、小径ギア部9aには、所定の回転角度範囲(約160度)に形成された歯部9c(7枚)と、歯部9c以外の所定の回転角度範囲(約160度)に形成された欠歯部9dとが設けられている。なお、小径ギア部9a、歯部9cおよび欠歯部9dは、それぞれ、本発明の「原動側ギア」、「第1歯部」および「第1欠歯部」の一例である。また、図9に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aのうちの欠歯部9dにおける外周面の直径R2は、歯部9cの歯先円直径R1よりも小さくなるように形成されている。
【0038】
また、駆動ギア9の小径ギア部9aは、図5および図8に示すように、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bに噛合されているとともに、駆動ギア9(図5参照)の大径ギア部9b(図5参照)は、中間ギア33(図5参照)の小径ギア33a(図5参照)に噛合されている。また、図5に示すように、中間ギア33の大径ギア33bは、ステッピングモータ19のモータギア34に噛合されている。これにより、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア33、駆動ギア9および印字ヘッド回動部材7を介してヘッド部押圧部材8へと伝達されるように構成されている。
【0039】
ここで、本実施形態では、図3に示すように、印刷動作の開始時に印字ヘッド回動部材7により印字ヘッド2を下方(矢印P1方向)に回動させる際、図8に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際には、駆動ギア9の歯部9cに対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合するように構成されている。また、その際には、図8および図9に示すように、小径ギア部9aの歯部9cのうち、従動側ギア部7b(図8参照)の歯部7f(図8参照)が係合する歯部9e(歯部9cのうちの両端の2枚)の歯底円直径R3(図9参照)は、欠歯部9dの外周面直径R2(図9参照)よりもさらに小さくなるように形成されている。
【0040】
また、本実施形態では、図2および図3に示すように、印刷開始時にヘッド部押圧部材8が印字ヘッド2を押圧することにより、印字ヘッド2がプラテンローラ3(図3参照)を所定の押圧力で押圧する際には、図10に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dが、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7fの側面に摺動するように構成されている。したがって、印刷中には、印字ヘッド回動部材7は、駆動ギア9の回転角度に関係なく、同じ回動位置に保持されるので、印字ヘッド2のプラテンローラ3に対する押圧力を一定に保つことが可能となるように構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、図8に示すように、従動側ギア部7bは、従動側ギア部7bの歯部7dおよび欠歯部7e以外の領域に設けられた歯部7h(1枚)を有している。なお、歯部7hは、本発明の「第5歯部」の一例である。そして、非印刷時に印字ヘッド2(図3参照)がプラテンローラ3(図3参照)から最も上方(図3の矢印P2方向)に離間され、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない際は、図11に示すように、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hが、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐようにして、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持するように構成されている。また、この場合、図11に示すように、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hの側面が、ともに駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dに摺動可能に当接することによって、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持することが可能となるように構成されている。
【0042】
また、図4に示すように、モータブラケット17に取り付けられたステッピングモータ18の軸部には、モータギア35が取り付けられている。また、ステッピングモータ18は、図4および図5に示すように、巻取リール16のギア部16aと、給紙ローラギア13と、排紙ローラギア15と、送りローラギア10とを駆動させるための駆動源としての機能を有している。
【0043】
また、巻取リール16は、後述するインクシートカートリッジ50の巻取ボビン収納部53bの内部に配置された巻取ボビン52bに係合することによって、巻取ボビン52bに巻き付けられたインクシート51を巻き取るように構成されている。また、図4に示すように、巻取リール16のギア部16aは、揺動ギア20が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0044】
また、図3に示すように、下部用紙ガイド11aは、送りローラ4および押さえローラ5の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド11bは、下部用紙ガイド11aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド11bは、給紙時には、用紙60が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙60が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有している。
【0045】
また、図1に示すように、インクシートカートリッジ50は、インクシート51を供給するための供給ボビン52aと、供給されたインクシート51を巻き取るための巻取ボビン52bとを備えている。また、インクシートカートリッジ50を構成するカートリッジケース53は、供給ボビン52aを回動可能に収納する供給ボビン収納部53aと、巻取ボビン52bを回動可能に収納する巻取ボビン収納部53bと、供給ボビン収納部53aおよび巻取ボビン収納部53bを所定の距離を隔てて連結する一対の連結部53cおよび53dとから構成されている。これにより、供給ボビン収納部53aおよび巻取ボビン収納部53bに、それぞれ、供給ボビン52aおよび巻取ボビン52bが収納されると、供給ボビン52aおよび巻取ボビン52bに巻き付けられたインクシート51は、供給ボビン収納部53aと巻取ボビン収納部53bとの所定の距離の間で、外部に露出された状態となる。また、インクシート51は、Y色(イエロー)インクシート、M色(マゼンダ)インクシートおよびC色(シアン)インクシートの3色のインクシートが順に繋げられて構成されている。
【0046】
図12〜図16は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図1、図3〜図6、図8および図10〜図16を参照して、本実施形態による昇華型プリンタの印刷動作について説明する。
【0047】
まず、装置本体90に電源が投入されて、印刷動作を開始する前の状態(印刷待機状態)では、図12に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置に保持されている。この場合、図12に示すように、印字ヘッド回動部材7に取り付けられたヘッド部押圧部材8の突起部8aが、上方に向かってヘッド部2bの係合部2fと係合していることにより、ヘッド部2bは、矢印P1方向への回動が抑制されている。
【0048】
ここで、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7が印刷待機状態の回動位置(回動角度)では、駆動ギア9の小径ギア部9aと従動側ギア部7bとが、図11に示すような配置関係となっている。つまり、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない状態では、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hが、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐことにより、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hの側面が、ともに駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dに摺動可能に当接することによって、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持している。
【0049】
そして、図示しない印刷ボタンが押圧されることによって印刷動作が開始されると、図12に示した初期状態(印刷待機状態)から、図13に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)が駆動して、ステッピングモータ19の駆動力がモータギア34(図5参照)、中間ギア33(図5参照)の大径ギア33b(図5参照)、小径ギア33a(図5参照)、駆動ギア9(図5参照)の大径ギア9bおよび小径ギア9aを介して印字ヘッド回動部材7の歯部7d(図1参照)に伝達されることにより、印字ヘッド回動部材7が印字ヘッド回動部材7の支持棒6を回動支点として矢印Q1方向に回動される。この際、ヘッド部押圧部材8(図6参照)が印字ヘッド回動部材7に取り付けられているので、ヘッド部押圧部材8もヘッド部押圧部材7とともに矢印Q1方向に回動される。そして、図13に示すように、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが矢印Q1方向に回動することにより、突起部8aにより矢印P1方向への回動が抑制されていたヘッド部2bが矢印P1方向に回動する。これにより、ヘッド部2bが離間位置から徐々に降下し始め、プラテンローラ3側(押圧側)に移動される。
【0050】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)により駆動ギア9が初期位置(印刷待機状態における回動位置)から矢印Y1方向に約62度回動された際に、駆動ギア9の歯部9c(厳密には歯部9cのうちの歯部9e)に対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合を開始される。そして、図14に示すように、駆動ギア9の歯部9cが、矢印Y1方向に、順次、従動側ギア部7bの歯部7gと噛合されることにより、印字ヘッド回動部材7が矢印Q1方向(図13参照)に回動される。
【0051】
そして、図3に示すように、駆動ギア9(図11参照)が初期位置(図11参照)から矢印Y1方向(図11参照)に約165度回動されることにより、印字ヘッド2は、矢印P1方向に印刷待機位置(用紙送り待機位置)まで回動される。
【0052】
また、図3に示すように、印字ヘッド2が印刷待機位置(用紙送り待機位置)まで回動されることに伴って、用紙60が印刷開始位置に向かって搬送(給紙)されるとともに、用紙60の前端部および後端部を検出するための用紙センサ28aおよび28bによって、用紙60の頭出しが行われる。なお、給紙時には、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印C3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動する。これにより、送りローラ4が、矢印C1方向に回動する。さらに、中間ギア23および24を介して、給紙ローラギア13および給紙ローラ12が、矢印C4方向に回動する。これにより、用紙60(図3参照)が給紙方向(図3の矢印T1方向)に搬送される。このとき、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)は、巻取リール16のギア16aに噛合しておらず、巻取リール16のギア16aは回動しない。これにより、給紙時には、供給ボビン52a(図1参照)に巻き付けられたインクシート51は、巻取ボビン52bによって巻き取られない。
【0053】
そして、用紙60の頭出しが完了された状態において、図15に示すように、印字ヘッド回動部材7がさらに所定の角度を矢印Q1方向に回動されることによって、ヘッド部押圧部材8の突起部8aも矢印Q1方向に回動されるとともに、突起部8aと係合部2fとの係合が解除される。
【0054】
そして、図15に示した印字ヘッド2がプラテンローラ3に対する押圧位置に移動された状態で、さらに印字ヘッド回動部材7が矢印Q1方向に回動される。これにより、図15に示すように、ヘッド部押圧部材8によって、印字ヘッド2が押圧された状態となる。また、この場合、図10に示すように、駆動ギア9は、初期位置(図11参照)から矢印Y1方向に約330度回動された状態となっている。
【0055】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dが、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7fの側面に摺動された状態となっている。したがって、印字ヘッド回動部材7は、駆動ギア9が初期位置(図11参照)から矢印Y1方向に約330度を超えて回転された場合であっても、駆動ギア9の回転角度に関係なく同じ回動位置に保持される。これにより、印字ヘッド2もプラテンローラ3に対する押圧力(加圧力)を一定に保った状態で、インクシート51(Y色インクシート)および用紙60を挟むとともに、プラテンローラ3を押圧する。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが発熱することによって、インクシート51(Y色インクシート)のインクが溶融・昇華するとともに用紙60にインクが転写される。
【0056】
また、この際、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印D3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印D1方向に回動する。これにより、送りローラ4は、図16に示すように、送りローラギア10(図4参照)の回動に伴って、図4の矢印D1方向に回動されているので、用紙60は、インクの転写とともに排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。また、揺動可能な揺動ギア20は、図4に示すように、巻取リール16のギア部16aに噛合する方向(矢印D2方向)に揺動されて、巻取リール16のギア部16aと噛合される。これにより、巻取リール16のギア部16aが矢印D4方向に回動されるので、供給ボビン52a(図16参照)に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン52bに巻き取られる。このようにして、図16に示すように、用紙60は、排紙方向(矢印U1方向)に搬送されながら、インクシート51(Y色インクシート)のインクが連続して転写される。
【0057】
次に、Y色(イエロー)インクシートの印刷が終了されると、ステッピングモータ19(図4参照)が駆動され、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア33(図5参照)および駆動ギア9(図5参照)を介して印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7b(図1参照)に伝達される。そして、ヘッド部押圧部材7(図1参照)が、図15に示すように、印字ヘッド回動部材7の支持棒6を回動支点として矢印Q2方向に回動される。
【0058】
ここで、本実施形態では、図16に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)により駆動ギア9が図10の状態から逆方向(矢印Y2方向)に回動された際に、駆動ギア9の歯部9c(厳密には歯部9cのうちの歯部9e)に対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合を開始される。そして、図14に示すように、駆動ギア9の歯部9cが、矢印Y2方向に、順次、従動側ギア部7bの歯部7gと噛合されることにより、印字ヘッド回動部材7が矢印Q2方向(図3参照)に回動される。
【0059】
また、この際、ヘッド部押圧部材8(図6参照)が印字ヘッド回動部材7に取り付けられているために、印字ヘッド回動部材7とともに、ヘッド部押圧部材8も矢印Q2方向に回動される。そして、図3に示すように、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが矢印Q2方向に回動されることにより、ヘッド部押圧部材8の突起部8aにより突起部8aと係合する印字ヘッド2の係合部2fが持ち上げられるとともに、印字ヘッド2のヘッド部2bが矢印P2方向に回動される。これにより、印字ヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3から離間された状態となる。
【0060】
そして、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印C3方向に回動されるとともに、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動される。これにより、送りローラ4は、図3に示すように、送りローラギア10(図3参照)の回動に伴って、矢印C1方向に回動されているので、用紙60は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送され、用紙センサ28aおよび28bによって、用紙60の頭出しが再度行われる。また、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)は、巻取リール16(図4参照)のギア部16aと離間する方向(図4の矢印C2方向)に揺動される。これにより、供給ボビン52aに巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン52bに巻き取られることなく、用紙60のみが給紙方向に搬送される。
【0061】
その後、M色インクシートおよびC色インクシートについて、図3および図15を参照して上記の印刷動作と同様の動作が繰り返される。そして、全ての色のインクシート51の印刷が終了されると、用紙60が排紙方向(図3の矢印U1方向)に搬送される。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが、図12に示すように、初期状態(印刷待機状態)の離間位置まで矢印P2方向に回動されることにより、用紙60への印刷が終了される。
【0062】
本実施形態では、上記のように、小径ギア部9aに噛合される従動側ギア部7bと、印字ヘッド2を押圧する押圧部7cとを一体的に含む印字ヘッド回動部材7を備えるように構成することによって、従動側ギア部7bと押圧部7cとを、印字ヘッド回動部材7とは別部材として設ける必要がないので、装置本体90の部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッド2がプラテンローラ3を押圧する位置近傍(図15参照)において、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dに摺動するように小径ギア部9aを配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッド2がプラテンローラ3を押圧する位置近傍では、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7d(厳密には歯部7f)に摺動可能に当接しているので、小径ギア部9aの回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材7の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cは、印字ヘッド2に対して一定した加圧力を加えることができる。
【0064】
また、本実施形態では、小径ギア部9aの欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)を、小径ギア部9aの歯部9cの歯先円直径R1(図9参照)よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7d(厳密には歯部7fを示す)は、小径ギア部9aの歯部9cの歯先円直径R1(図9参照)よりも小さな直径R2(図9参照)の欠歯部9dに対して摺動するので、小径ギア部9aの回転角度のばらつきに伴う欠歯部9dの円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による小径ギア部9aの欠歯部9dと従動側ギア部7bの歯部7d(歯部7f)との磨耗を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、従動側ギア部7bの歯部7dを、歯部7f(2枚)および所定の回転角度範囲に設けられた歯部7g(6枚)とから構成し、かつ、歯部7fの歯先円直径を、歯部7gの歯先円直径よりも大きくなるように形成するとともに、歯部7gの両端部をそれぞれ歯部7fに隣接するように配置し、小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際に、小径ギア部9aの歯部9c(厳密には歯部9eを示す)と従動側ギア部7bの歯部7fとが最初に噛合するように構成することによって、小径ギア部9aが従動側ギア部7bと噛合を開始する際に、従動側ギア部7bのうち歯先円直径のよりも大きな歯部7fから順に小径ギア部9aの歯部9c(歯部9e)と噛合されるので、小径ギア部9aを従動側ギア部7bと確実に噛合させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、小径ギア部9aの歯部9cのうち、従動側ギア部7bの歯部7fが係合する歯部9cの歯底円直径R3(図9参照)を、欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)よりも小さくなるように形成することによって、小径ギア部9aが従動側ギア部7bと噛合を開始する際に、従動側ギア部7bの歯部7fに噛合する小径ギア部9aの歯部9cの歯底円直径R3(図9参照)が欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)よりも小さいので、従動側ギア部7bの歯部7fの歯先(歯末)が、対応する小径ギア部9aの歯部9c(厳密には歯部9eと欠歯部9dとの接続部分)の歯底に干渉することが抑制される。したがって、小径ギア部9aと従動側ギア部7bとを滑らかに噛合させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、従動側ギア部7bを、従動側ギア部7bの歯部7dおよび欠歯部7e以外の領域に設けられた歯部7hを有するように構成し、小径ギア部9aの歯部9cと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない際は、従動側ギア部7bの歯部7fと歯部7hとが、小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐようにして、小径ギア部9aを保持するように構成することによって、従動側ギア部7bは、歯部7fと歯部7hとによって小径ギア部9aの欠歯部9dに当接することができるので、従動側ギア部7bは、小径ギア部9aの欠歯部9dに対して、歯部7fと歯部7hとによって回動位置を確実に保持することができる。
【0068】
また、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cを、印字ヘッド2の幅方向の中央部近傍を押圧するように配置することによって、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより、印字ヘッド2の幅方向(図5の矢印X方向)に対して左右均一な加圧力により印字ヘッド2を押圧することができる。これにより、印字ヘッド2をプラテンローラ3に対して均一に接触させることができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例としての昇華型プリンタに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、板金部材を加工することにより印字ヘッド回動部材7を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、樹脂成形加工などにより、従動側ギア部、押圧部および回動軸部を一体的に含む印字ヘッド回動部材を設けるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際に、小径ギア部9aの1枚の歯部9eと従動側ギア部7bの1枚の歯部7fとが最初に噛合するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、歯部9eおよび歯部7fをともに1枚以外の歯数(たとえば2枚)設けるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cを、印字ヘッド2の幅方向の中央部近傍を押圧するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍以外の位置で印字ヘッドを均等に押圧することができる位置(たとえば印字ヘッドの両端部)に配置するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの内部構造を示した図である。
【図4】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのステッピングモータおよびギアの配置構成を示した側面図である。
【図5】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印字ヘッド回動部材を示した斜視図である。
【図7】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの支持棒および印字ヘッド回動部材の分解斜視図である。
【図8】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図9】図1に示した一実施形態による駆動ギアの詳細を示した図である。
【図10】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図11】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図12】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図13】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図14】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作における駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を説明するための図である。
【図15】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図16】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作における駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
2 印字ヘッド
3 プラテンローラ
7 印字ヘッド回動部材
7b 従動側ギア部
7c 押圧部
7d 歯部(第2歯部)
7e 欠歯部(第2欠歯部)
7f 歯部(第3歯部)
7g 歯部(第4歯部)
7h 歯部(第5歯部)
9a 小径ギア部(原動側ギア部)
9c、9e 歯部(第1歯部)
9d 欠歯部(第1欠歯部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行う印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行う印字ヘッドなどを備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、カムギアと、駆動ギアと、駆動ギア取付部および同期カム部が回動軸の両端にそれぞれ一体的に設けられたシャフト部材(回動部材)と、バネを介してアームに支持されるサーマルヘッド(印字ヘッド)とを備えた熱転写プリンタ(画像形成装置)が開示されている。この特許文献1に記載の熱転写プリンタ(画像形成装置)では、カムギアと、駆動ギア取付部を介してシャフト部材に取り付けられた駆動ギアとの噛合により、シャフト部材が所定の角度を回動された際、シャフト部材の駆動ギア取付部に形成された切り欠き部に、サーマルヘッドを支持するアームに設けられた制御ボスが係合することにより、サーマルヘッドの回動動作が規制されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、駆動モータにより駆動される揺動ギアと、ヘッドダウン用ギアおよびヘッドアップ用ギアが取り付けられ、揺動ギアにより揺動される揺動板と、カムギアと、カムギアに係合するヘッド接離用カムレバーとを備えたプリンタの駆動機構が開示されている。この特許文献2に記載のプリンタの駆動機構では、揺動ギアと連動する揺動板の動作により、ヘッドダウン用ギアおよびヘッドアップ用ギアが選択的にカムギアに噛合されるとともに、カムギアに係合されたヘッド接離用カムレバーを介して印字ヘッドが上下方向に回動されるように構成されている。また、ヘッドダウン用ギアが、カムギアとの噛合によりカムギアに設けられた間欠部(欠歯部)に係合された際、駆動モータによるギアの回転に関係なくカムギア側の回転動作が停止されるよう構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、記録用紙搬送用モータと、記録用紙搬送用モータにより駆動されるプーリに、無端ベルト、複数の伝達ギア、PG調節歯車および揺動部が順次噛合されることにより記録ヘッドが搭載されたキャリッジを上下動可能に構成されたPG(ペーパーギャップ)調節手段とを含むPG自動調節装置を備えたインクジェット式記録装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献3に記載のインクジェット式記録装置(画像形成装置)では、揺動部が所定角度回転することにより、揺動部とは別体で設けられたキャリッジガイド軸が上下に移動することによって、記録ヘッドが搭載されたキャリッジが上下に回動されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、ステッピングモータと、ステッピングモータにより駆動されるアイドルギア(中間ギア)に、キャリッジ駆動ギア、伝達ギアおよびローラ駆動ギアが順次噛合されるされることにより、サーマルヘッドが搭載されたキャリッジを用紙の幅方向に往復動可能に構成されたサーマルプリンタ(画像形成装置)が開示されている。この特許文献4に記載のサーマルプリンタ(画像形成装置)では、キャリッジ駆動ギアが所定角度回転することにより、キャリッジ駆動ギアとは別体で設けられたキャリッジ駆動軸を介して記録ヘッドが搭載されたキャリッジが用紙の幅方向に移動されるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、ヘッドモータと、ヘッドモータにより回転される駆動ギアと、駆動ギアに噛合されるギア部およびサーマルヘッドの加圧機構に押圧力を付勢するためのカム部が一体的に設けられたヘッドカムとを備えたプリンタ用印字ヘッドが開示されている。この特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、駆動ギアが所定の角度を回転されることにより、ヘッドカムおよび加圧機構を介してサーマルヘッドがプラテン側に押圧されるように構成されている。また、この特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、サーマルヘッドの押圧時および非押圧時に関係なく、駆動ギアはヘッドカムのギア部と噛合されている。
【0008】
【特許文献1】特許登録第3272627号公報
【特許文献2】特開平7−269589号公報
【特許文献3】特開平8−62688号公報
【特許文献4】特開2003−156066号公報
【特許文献5】特開平7−251554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の熱転写プリンタ(画像形成装置)では、駆動ギア取付部の切り欠き部にサーマルヘッド側の制御ボスが係合することによりサーマルヘッドの回動動作が規制される構成であるために、カムギアの回転角度の精度が十分でない場合には、制御ボスと切り欠き部との係合が不完全な状態になると考えられる。この場合、サーマルヘッド(印字ヘッド)に対して一定した加圧力を得ることができないという問題点がある。また、上記特許文献1に記載の熱転写プリンタでは、駆動ギアがシャフト部材とは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点もある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のプリンタの駆動機構では、印字ヘッドがプラテンを押圧する際に、ヘッドダウン用ギアは、カムギアの間欠部(欠歯部)と係合した状態においても駆動モータにより回転が継続されるので、ヘッドダウン用ギアの歯部がカムギアの間欠部に周期的に当接する場合ことにより、カムギアに振動が発生する場合があると考えられる。さらに、カムギアの振動が、カムギアからヘッド接離用カムレバーに伝播された場合、ヘッド接離用カムレバーががたつくために、ヘッド接離用カムレバーが印字ヘッドに対して一定した加圧力を付加できないという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載のインクジェット式記録装置(画像形成装置)では、キャリッジを上下動させるキャリッジガイド軸が、揺動体とは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載のサーマルプリンタ(画像形成装置)においても、キャリッジを往復動させるキャリッジ駆動軸が、キャリッジ駆動ギアとは別部材として設けられているために、装置の部品点数が増加してしまうという問題点がある。
【0013】
また、上記特許文献5に記載のプリンタ用印字ヘッドでは、サーマルヘッドは、駆動ギアが常にヘッドカムのギア部と噛合しているので、駆動ギアの回転角度の精度が十分でない場合には、ヘッドカムの回転角度が一定しないと考えられる。この場合、サーマルヘッド(印字ヘッド)に対して一定した加圧力を得ることができないという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加を抑制することが可能で、かつ、印字ヘッドに対して一定した加圧力を得ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置において、所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置された押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とをさらに備え、原動側ギア部は、第1欠歯部の外周面の直径が第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部が配置され、従動側ギア部の第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成されるとともに、従動側ギア部は、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、第3歯部の歯先円直径が第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置され、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成されるとともに、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径は、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成され、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成されている。
【0016】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材を備えるように構成することによって、従動側ギア部と押圧部とを、印字ヘッド回動部材とは別部材として設ける必要がないので、装置本体の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部を配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍では、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動可能に当接しているので、原動側ギア部の回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドに対して一定した加圧力を加えることができる。また、原動側ギア部の第1欠歯部の外周面の直径を、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部は、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さな直径の第1欠歯部に対して摺動するので、原動側ギア部の回転角度のばらつきに伴う第1欠歯部の円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による原動側ギア部の第1欠歯部と従動側ギア部の第2歯部との磨耗を抑制することができる。
【0017】
また、第1の局面による画像形成装置では、従動側ギア部の第2歯部を、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成し、かつ、第3歯部の歯先円直径を、第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成するとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置し、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成することによって、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部のうち歯先円直径のよりも大きな第3歯部から順に原動側ギア部の第1歯部と噛合されるので、原動側ギア部を従動側ギア部と確実に噛合させることができる。また、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径を、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成することによって、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部の第3歯部に噛合する原動側ギア部の第1歯部の歯底円直径が第1欠歯部の外周面直径より小さいので、従動側ギア部の第3歯部の歯先(歯末)が、対応する原動側ギア部の第1歯部の歯底(厳密には第1歯部と第1欠歯部とが接続される部分の歯底)に干渉することが抑制される。したがって、原動側ギア部と従動側ギア部とを滑らかに噛合させることができる。
【0018】
また、第1の局面による画像形成装置では、従動側ギア部を、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部を有するように構成し、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成することによって、従動側ギア部は、第3歯部と第5歯部とによって原動側ギア部の第1欠歯部に当接することができるので、従動側ギア部は、原動側ギア部の第1欠歯部に対して、第3歯部と第5歯部とによって回動位置を確実に保持することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均一な加圧力により印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドをプラテンローラに対して均一に接触させることができる。
【0019】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドと、所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とを備え、原動側ギア部は、第1欠歯部の外周面の直径が第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部が配置されている。
【0020】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材を備えるように構成することによって、従動側ギア部と押圧部とを、印字ヘッド回動部材とは別部材として設ける必要がないので、装置本体の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍において、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動するように原動側ギア部を配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材の押圧部により印字ヘッドがプラテンローラを押圧する位置近傍では、原動側ギア部の第1欠歯部が印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部に摺動可能に当接しているので、原動側ギア部の回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドに対して一定した加圧力を加えることができる。また、原動側ギア部の第1欠歯部の外周面の直径を、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部は、原動側ギア部の第1歯部の歯先円直径よりも小さな直径の第1欠歯部に対して摺動するので、原動側ギア部の回転角度のばらつきに伴う第1欠歯部の円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による原動側ギア部の第1欠歯部と従動側ギア部の第2歯部との磨耗を抑制することができる。
【0021】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、従動側ギア部の第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成され、第3歯部の歯先円直径が第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、第4歯部の少なくとも一方端が第3歯部に隣接するように配置され、原動側ギア部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部とが噛合する際に、原動側ギア部の第1歯部と従動側ギア部の第3歯部とが最初に噛合するように構成されている。このように構成すれば、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部のうち歯先円直径のよりも大きな第3歯部から順に原動側ギア部の第1歯部と噛合されるので、原動側ギア部を従動側ギア部と確実に噛合させることができる。
【0022】
この場合、好ましくは、原動側ギア部の第1歯部のうち、従動側ギア部の第3歯部が係合する第1歯部の歯底円直径は、第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成されている。このように構成すれば、原動側ギア部が従動側ギア部と噛合を開始する際に、従動側ギア部の第3歯部に噛合する原動側ギア部の第1歯部の歯底円直径が第1欠歯部の外周面の直径よりも小さいので、従動側ギア部の第3歯部の歯先(歯末)が、対応する原動側ギア部の第1歯部の歯底(厳密には第1歯部と第1欠歯部とが接続される部分の歯底)に干渉することが抑制される。したがって、原動側ギア部と従動側ギア部とを滑らかに噛合させることができる。
【0023】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、従動側ギア部は、従動側ギア部の第2歯部および第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、原動側ギア部の第1歯部と印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の第2歯部とが噛合しない際は、従動側ギア部の第3歯部と第5歯部とが、原動側ギア部の第1欠歯部を跨ぐようにして、原動側ギア部を保持するように構成されている。このように構成すれば、従動側ギア部は、第3歯部と第5歯部とによって原動側ギア部の第1欠歯部に当接することができるので、従動側ギア部は、原動側ギア部の第1欠歯部に対して、第3歯部と第5歯部とによって回動位置を確実に保持することができる。
【0024】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッド回動部材の押圧部は、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置されている。このように構成すれば、印字ヘッド回動部材の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均一な加圧力により印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドをプラテンローラに対して均一に接触させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を示した斜視図である。図3〜図11は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの詳細を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0027】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタの装置本体90は、図1に示すように、金属製(板金製)のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド2と、印字ヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図3参照)と、金属製の送りローラ4(図3参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ5(図3参照)と、金属製の支持棒6と、板金製の印字ヘッド回動部材7と、印字ヘッド2を押圧するための樹脂製のヘッド部押圧部材8と、樹脂製の駆動ギア9と、送りローラギア10(図4参照)とを備えている。また、昇華型プリンタの装置本体90は、さらに、樹脂製の下部用紙ガイド11aと、樹脂製の上部用紙ガイド11b(図3参照)と、ゴム製の給紙ローラ12と、給紙ローラギア13(図2参照)と、ゴム製の排紙ローラ14と、排紙ローラギア15(図2参照)と、巻取リール16(図2参照)と、板金製のモータブラケット17(図2参照)と、用紙60を搬送するためのステッピングモータ18(図2参照)と、印字ヘッド2を回動させる際の駆動源となるステッピングモータ19(図2参照)と、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)と、複数の中間ギア21〜24(図4参照)と、インクシート51が収納されたインクシートカートリッジ50を支持するカートリッジ支持部25と、天板26とを備えている。また、本実施形態による昇華型プリンタの装置本体90には、インクシートカートリッジ50と、昇華型プリンタに供給する用紙60を収納するための給紙カセットケース70とが着脱可能に装着されている。
【0028】
また、シャーシ1は、図1および図2に示すように、互いに対向するように配置された一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、図2に示すように、上記したモータブラケット17が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aに対向する他方側面1bには、図1および図2に示すように、インクシートカートリッジ50を挿入するためのカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aには、図1および図2に示すように、印字ヘッド回動部材7を支持棒6により回動可能に支持するために、支持棒6の一方端部6a(図2参照)と対向する位置をL字形状に切り欠いて形成された支持部1eが設けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、図1および図2に示すように、印字ヘッド回動部材7を支持棒6により回動可能に支持するための支持孔1fが設けられ、支持棒6の他方端部6bが回動可能に挿入されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、印字ヘッド回動部材7は、1つの板金部材を溝型に折り曲げることによって形成された回動軸部7aの長手方向の両端部に、扇形状の従動側ギア部7bと押圧部7cとが、それぞれ、回動軸部7aと一体的に設けられている。また、扇形状の従動側ギア部7bには、所定の回転角度範囲に形成された歯部7d(8枚)と、歯部7d以外の領域に形成された欠歯部7eとが設けられている。なお、歯部7dおよび欠歯部7eは、それぞれ、本発明の「第2歯部」および「第2欠歯部」の一例である。また、図8に示すように、従動側ギア部7bの歯部7dのうち、両端部の2枚の歯部7fは、歯部7fに隣接された内側の歯部7g(残りの6枚)より歯先円直径が大きくなる(歯部7fの全歯たけが、歯部7gの全歯たけより高い)ように形成されている。なお、歯部7fおよび歯部7gは、それぞれ、本発明の「第3歯部」および「第4歯部」の一例である。
【0030】
また、本実施形態では、図5に示すように、印字ヘッド回動部材7は、押圧部7cが印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)の実質的に中央部を押圧するように、印字ヘッド2の上部に配置されている。したがって、図7に示すように、押圧部7cにネジ80により固定されたヘッド部押圧部材8が、印字ヘッド2(図5参照)の幅方向(図5の矢印X方向)の中央部を押圧するように構成されている。
【0031】
また、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aの上端部および他方側面1bの上端部には、それぞれ、天板26を取り付けるための取付部1gが2つずつ形成されている。また、シャーシ1の4つの取付部1gには、天板26に設けられた4つの孔26aにネジ27を通した上で、天板26をシャーシ1に固定するためのネジ孔1hが、それぞれ形成されている。なお、天板26がシャーシ1に取り付けられる際に、天板26に切り起こし加工によって一体的に形成された抜止部26aが、シャーシ1の一方側面1aに設けられたL字形状の支持部1eに挿入されることによって、支持棒6および印字ヘッド回動部材7がシャーシ1に回動可能に支持されるとともに、シャーシ1から脱落しないように構成されている。
【0032】
また、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、プラテンローラ3(図3参照)および送りローラ4(図3参照)を回転可能に支持するための支持孔1iおよび1jがそれぞれ設けられている。また、シャーシ1の底面1cには、図3に示すように、印刷時に用紙60の前端部および後端部を検出するための用紙センサ28aおよび28bがそれぞれ設けられている。
【0033】
また、2つのプラテンローラ軸受3aは、図1および図5に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの支持孔1iに取り付けられているとともに、その2つのプラテンローラ軸受3aにプラテンローラ3(図3参照)が回動可能に支持されている。また、送りローラ4は、図4に示すように、送りローラギア10に挿入される送りローラギア挿入部4aを有している。また、送りローラ4は、シャーシ1の支持孔1jに取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回動可能に支持されている。また、押さえローラ5(図3参照)は、図示しない押さえローラ軸受に回動可能に支持されている。また、送りローラ4および押さえローラ5は、図3に示すように、用紙60を間に挟んだ状態で回動することにより、用紙60を給紙方向(矢印T1方向)または排紙方向(矢印U1方向)に搬送する機能を有している。また、給紙ローラ12は、給紙カセットケース70(図1参照)に収納された用紙60をシャーシ1の内部に搬送する機能を有している。
【0034】
また、印字ヘッド2は、図1および図3に示すように、支持軸2aと、プラテンローラ3(図3参照)に対向するように配置されたヘッド部2bと、支持軸2aとヘッド部2bとを連結する一対のアーム部2cと、ヘッド部2bの熱を放熱するためのアルミニウム製の放熱部材2dと、ヘッド部2bに取り付けられる樹脂製の用紙ガイド部材2eとを含んでいる。また、印字ヘッド2は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内面側にそれぞれ取り付けられた一対の支持軸2aを中心として、上下(図3の矢印P1方向および矢印P2方向)に回動可能に設けられている。
【0035】
また、図1および図5に示すように、印字ヘッド2の放熱部材2dには、樹脂製のヘッド部押圧部材8に一体的に形成された突起部8a(図6参照)と係合する係合部2fが、放熱部材2dと一体的に形成されている。これにより、図3に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際には、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが下側から係合部2fに対して係合することによりヘッド部2bも上方(矢印P2方向)に回動されることによって、ヘッド部2bがプラテンローラ3から離間されるように構成されている。
【0036】
また、図5に示すように、駆動ギア9および中間ギア33は、ステッピングモータ19の駆動力を印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bに伝達することにより、印字ヘッド回動部材7とともにヘッド部押圧部材8を回動させるために設けられている。この駆動ギア9は、図5に示すように、シャーシ1の一方側面1aの内側に取り付けられている。また、中間ギア33およびステッピングモータ19は、図5に示すように、モータブラケット17を介してシャーシ1の一方側面1a側の外側に取り付けられている。
【0037】
ここで、本実施形態では、図5および図8に示すように、駆動ギア9は、小径ギア部9aおよび大径ギア部9bが一体的に形成されている。また、図8に示すように、小径ギア部9aには、所定の回転角度範囲(約160度)に形成された歯部9c(7枚)と、歯部9c以外の所定の回転角度範囲(約160度)に形成された欠歯部9dとが設けられている。なお、小径ギア部9a、歯部9cおよび欠歯部9dは、それぞれ、本発明の「原動側ギア」、「第1歯部」および「第1欠歯部」の一例である。また、図9に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aのうちの欠歯部9dにおける外周面の直径R2は、歯部9cの歯先円直径R1よりも小さくなるように形成されている。
【0038】
また、駆動ギア9の小径ギア部9aは、図5および図8に示すように、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bに噛合されているとともに、駆動ギア9(図5参照)の大径ギア部9b(図5参照)は、中間ギア33(図5参照)の小径ギア33a(図5参照)に噛合されている。また、図5に示すように、中間ギア33の大径ギア33bは、ステッピングモータ19のモータギア34に噛合されている。これにより、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア33、駆動ギア9および印字ヘッド回動部材7を介してヘッド部押圧部材8へと伝達されるように構成されている。
【0039】
ここで、本実施形態では、図3に示すように、印刷動作の開始時に印字ヘッド回動部材7により印字ヘッド2を下方(矢印P1方向)に回動させる際、図8に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際には、駆動ギア9の歯部9cに対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合するように構成されている。また、その際には、図8および図9に示すように、小径ギア部9aの歯部9cのうち、従動側ギア部7b(図8参照)の歯部7f(図8参照)が係合する歯部9e(歯部9cのうちの両端の2枚)の歯底円直径R3(図9参照)は、欠歯部9dの外周面直径R2(図9参照)よりもさらに小さくなるように形成されている。
【0040】
また、本実施形態では、図2および図3に示すように、印刷開始時にヘッド部押圧部材8が印字ヘッド2を押圧することにより、印字ヘッド2がプラテンローラ3(図3参照)を所定の押圧力で押圧する際には、図10に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dが、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7fの側面に摺動するように構成されている。したがって、印刷中には、印字ヘッド回動部材7は、駆動ギア9の回転角度に関係なく、同じ回動位置に保持されるので、印字ヘッド2のプラテンローラ3に対する押圧力を一定に保つことが可能となるように構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、図8に示すように、従動側ギア部7bは、従動側ギア部7bの歯部7dおよび欠歯部7e以外の領域に設けられた歯部7h(1枚)を有している。なお、歯部7hは、本発明の「第5歯部」の一例である。そして、非印刷時に印字ヘッド2(図3参照)がプラテンローラ3(図3参照)から最も上方(図3の矢印P2方向)に離間され、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない際は、図11に示すように、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hが、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐようにして、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持するように構成されている。また、この場合、図11に示すように、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hの側面が、ともに駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dに摺動可能に当接することによって、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持することが可能となるように構成されている。
【0042】
また、図4に示すように、モータブラケット17に取り付けられたステッピングモータ18の軸部には、モータギア35が取り付けられている。また、ステッピングモータ18は、図4および図5に示すように、巻取リール16のギア部16aと、給紙ローラギア13と、排紙ローラギア15と、送りローラギア10とを駆動させるための駆動源としての機能を有している。
【0043】
また、巻取リール16は、後述するインクシートカートリッジ50の巻取ボビン収納部53bの内部に配置された巻取ボビン52bに係合することによって、巻取ボビン52bに巻き付けられたインクシート51を巻き取るように構成されている。また、図4に示すように、巻取リール16のギア部16aは、揺動ギア20が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0044】
また、図3に示すように、下部用紙ガイド11aは、送りローラ4および押さえローラ5の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド11bは、下部用紙ガイド11aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド11bは、給紙時には、用紙60が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙60が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有している。
【0045】
また、図1に示すように、インクシートカートリッジ50は、インクシート51を供給するための供給ボビン52aと、供給されたインクシート51を巻き取るための巻取ボビン52bとを備えている。また、インクシートカートリッジ50を構成するカートリッジケース53は、供給ボビン52aを回動可能に収納する供給ボビン収納部53aと、巻取ボビン52bを回動可能に収納する巻取ボビン収納部53bと、供給ボビン収納部53aおよび巻取ボビン収納部53bを所定の距離を隔てて連結する一対の連結部53cおよび53dとから構成されている。これにより、供給ボビン収納部53aおよび巻取ボビン収納部53bに、それぞれ、供給ボビン52aおよび巻取ボビン52bが収納されると、供給ボビン52aおよび巻取ボビン52bに巻き付けられたインクシート51は、供給ボビン収納部53aと巻取ボビン収納部53bとの所定の距離の間で、外部に露出された状態となる。また、インクシート51は、Y色(イエロー)インクシート、M色(マゼンダ)インクシートおよびC色(シアン)インクシートの3色のインクシートが順に繋げられて構成されている。
【0046】
図12〜図16は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図1、図3〜図6、図8および図10〜図16を参照して、本実施形態による昇華型プリンタの印刷動作について説明する。
【0047】
まず、装置本体90に電源が投入されて、印刷動作を開始する前の状態(印刷待機状態)では、図12に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置に保持されている。この場合、図12に示すように、印字ヘッド回動部材7に取り付けられたヘッド部押圧部材8の突起部8aが、上方に向かってヘッド部2bの係合部2fと係合していることにより、ヘッド部2bは、矢印P1方向への回動が抑制されている。
【0048】
ここで、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7が印刷待機状態の回動位置(回動角度)では、駆動ギア9の小径ギア部9aと従動側ギア部7bとが、図11に示すような配置関係となっている。つまり、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない状態では、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hが、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐことにより、従動側ギア部7bの歯部7fおよび歯部7hの側面が、ともに駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dに摺動可能に当接することによって、駆動ギア9の小径ギア部9aを保持している。
【0049】
そして、図示しない印刷ボタンが押圧されることによって印刷動作が開始されると、図12に示した初期状態(印刷待機状態)から、図13に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)が駆動して、ステッピングモータ19の駆動力がモータギア34(図5参照)、中間ギア33(図5参照)の大径ギア33b(図5参照)、小径ギア33a(図5参照)、駆動ギア9(図5参照)の大径ギア9bおよび小径ギア9aを介して印字ヘッド回動部材7の歯部7d(図1参照)に伝達されることにより、印字ヘッド回動部材7が印字ヘッド回動部材7の支持棒6を回動支点として矢印Q1方向に回動される。この際、ヘッド部押圧部材8(図6参照)が印字ヘッド回動部材7に取り付けられているので、ヘッド部押圧部材8もヘッド部押圧部材7とともに矢印Q1方向に回動される。そして、図13に示すように、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが矢印Q1方向に回動することにより、突起部8aにより矢印P1方向への回動が抑制されていたヘッド部2bが矢印P1方向に回動する。これにより、ヘッド部2bが離間位置から徐々に降下し始め、プラテンローラ3側(押圧側)に移動される。
【0050】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)により駆動ギア9が初期位置(印刷待機状態における回動位置)から矢印Y1方向に約62度回動された際に、駆動ギア9の歯部9c(厳密には歯部9cのうちの歯部9e)に対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合を開始される。そして、図14に示すように、駆動ギア9の歯部9cが、矢印Y1方向に、順次、従動側ギア部7bの歯部7gと噛合されることにより、印字ヘッド回動部材7が矢印Q1方向(図13参照)に回動される。
【0051】
そして、図3に示すように、駆動ギア9(図11参照)が初期位置(図11参照)から矢印Y1方向(図11参照)に約165度回動されることにより、印字ヘッド2は、矢印P1方向に印刷待機位置(用紙送り待機位置)まで回動される。
【0052】
また、図3に示すように、印字ヘッド2が印刷待機位置(用紙送り待機位置)まで回動されることに伴って、用紙60が印刷開始位置に向かって搬送(給紙)されるとともに、用紙60の前端部および後端部を検出するための用紙センサ28aおよび28bによって、用紙60の頭出しが行われる。なお、給紙時には、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印C3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動する。これにより、送りローラ4が、矢印C1方向に回動する。さらに、中間ギア23および24を介して、給紙ローラギア13および給紙ローラ12が、矢印C4方向に回動する。これにより、用紙60(図3参照)が給紙方向(図3の矢印T1方向)に搬送される。このとき、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)は、巻取リール16のギア16aに噛合しておらず、巻取リール16のギア16aは回動しない。これにより、給紙時には、供給ボビン52a(図1参照)に巻き付けられたインクシート51は、巻取ボビン52bによって巻き取られない。
【0053】
そして、用紙60の頭出しが完了された状態において、図15に示すように、印字ヘッド回動部材7がさらに所定の角度を矢印Q1方向に回動されることによって、ヘッド部押圧部材8の突起部8aも矢印Q1方向に回動されるとともに、突起部8aと係合部2fとの係合が解除される。
【0054】
そして、図15に示した印字ヘッド2がプラテンローラ3に対する押圧位置に移動された状態で、さらに印字ヘッド回動部材7が矢印Q1方向に回動される。これにより、図15に示すように、ヘッド部押圧部材8によって、印字ヘッド2が押圧された状態となる。また、この場合、図10に示すように、駆動ギア9は、初期位置(図11参照)から矢印Y1方向に約330度回動された状態となっている。
【0055】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、駆動ギア9の小径ギア部9aの欠歯部9dが、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7fの側面に摺動された状態となっている。したがって、印字ヘッド回動部材7は、駆動ギア9が初期位置(図11参照)から矢印Y1方向に約330度を超えて回転された場合であっても、駆動ギア9の回転角度に関係なく同じ回動位置に保持される。これにより、印字ヘッド2もプラテンローラ3に対する押圧力(加圧力)を一定に保った状態で、インクシート51(Y色インクシート)および用紙60を挟むとともに、プラテンローラ3を押圧する。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが発熱することによって、インクシート51(Y色インクシート)のインクが溶融・昇華するとともに用紙60にインクが転写される。
【0056】
また、この際、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印D3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印D1方向に回動する。これにより、送りローラ4は、図16に示すように、送りローラギア10(図4参照)の回動に伴って、図4の矢印D1方向に回動されているので、用紙60は、インクの転写とともに排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。また、揺動可能な揺動ギア20は、図4に示すように、巻取リール16のギア部16aに噛合する方向(矢印D2方向)に揺動されて、巻取リール16のギア部16aと噛合される。これにより、巻取リール16のギア部16aが矢印D4方向に回動されるので、供給ボビン52a(図16参照)に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン52bに巻き取られる。このようにして、図16に示すように、用紙60は、排紙方向(矢印U1方向)に搬送されながら、インクシート51(Y色インクシート)のインクが連続して転写される。
【0057】
次に、Y色(イエロー)インクシートの印刷が終了されると、ステッピングモータ19(図4参照)が駆動され、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア33(図5参照)および駆動ギア9(図5参照)を介して印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7b(図1参照)に伝達される。そして、ヘッド部押圧部材7(図1参照)が、図15に示すように、印字ヘッド回動部材7の支持棒6を回動支点として矢印Q2方向に回動される。
【0058】
ここで、本実施形態では、図16に示すように、ステッピングモータ19(図5参照)により駆動ギア9が図10の状態から逆方向(矢印Y2方向)に回動された際に、駆動ギア9の歯部9c(厳密には歯部9cのうちの歯部9e)に対して、従動側ギア部7bの歯部7fが最初に噛合を開始される。そして、図14に示すように、駆動ギア9の歯部9cが、矢印Y2方向に、順次、従動側ギア部7bの歯部7gと噛合されることにより、印字ヘッド回動部材7が矢印Q2方向(図3参照)に回動される。
【0059】
また、この際、ヘッド部押圧部材8(図6参照)が印字ヘッド回動部材7に取り付けられているために、印字ヘッド回動部材7とともに、ヘッド部押圧部材8も矢印Q2方向に回動される。そして、図3に示すように、ヘッド部押圧部材8の突起部8aが矢印Q2方向に回動されることにより、ヘッド部押圧部材8の突起部8aにより突起部8aと係合する印字ヘッド2の係合部2fが持ち上げられるとともに、印字ヘッド2のヘッド部2bが矢印P2方向に回動される。これにより、印字ヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3から離間された状態となる。
【0060】
そして、図4に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア35が矢印C3方向に回動されるとともに、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動される。これにより、送りローラ4は、図3に示すように、送りローラギア10(図3参照)の回動に伴って、矢印C1方向に回動されているので、用紙60は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送され、用紙センサ28aおよび28bによって、用紙60の頭出しが再度行われる。また、揺動可能な揺動ギア20(図4参照)は、巻取リール16(図4参照)のギア部16aと離間する方向(図4の矢印C2方向)に揺動される。これにより、供給ボビン52aに巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン52bに巻き取られることなく、用紙60のみが給紙方向に搬送される。
【0061】
その後、M色インクシートおよびC色インクシートについて、図3および図15を参照して上記の印刷動作と同様の動作が繰り返される。そして、全ての色のインクシート51の印刷が終了されると、用紙60が排紙方向(図3の矢印U1方向)に搬送される。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが、図12に示すように、初期状態(印刷待機状態)の離間位置まで矢印P2方向に回動されることにより、用紙60への印刷が終了される。
【0062】
本実施形態では、上記のように、小径ギア部9aに噛合される従動側ギア部7bと、印字ヘッド2を押圧する押圧部7cとを一体的に含む印字ヘッド回動部材7を備えるように構成することによって、従動側ギア部7bと押圧部7cとを、印字ヘッド回動部材7とは別部材として設ける必要がないので、装置本体90の部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッド2がプラテンローラ3を押圧する位置近傍(図15参照)において、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dに摺動するように小径ギア部9aを配置するように構成することによって、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより印字ヘッド2がプラテンローラ3を押圧する位置近傍では、小径ギア部9aの欠歯部9dが印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7d(厳密には歯部7f)に摺動可能に当接しているので、小径ギア部9aの回転角度にばらつきが生じた場合であっても、印字ヘッド回動部材7の回動位置が変化することが抑制される。この結果、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cは、印字ヘッド2に対して一定した加圧力を加えることができる。
【0064】
また、本実施形態では、小径ギア部9aの欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)を、小径ギア部9aの歯部9cの歯先円直径R1(図9参照)よりも小さくなるように形成することによって、印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7d(厳密には歯部7fを示す)は、小径ギア部9aの歯部9cの歯先円直径R1(図9参照)よりも小さな直径R2(図9参照)の欠歯部9dに対して摺動するので、小径ギア部9aの回転角度のばらつきに伴う欠歯部9dの円周方向の摺動長さを短くすることができる。したがって、摺動による小径ギア部9aの欠歯部9dと従動側ギア部7bの歯部7d(歯部7f)との磨耗を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、従動側ギア部7bの歯部7dを、歯部7f(2枚)および所定の回転角度範囲に設けられた歯部7g(6枚)とから構成し、かつ、歯部7fの歯先円直径を、歯部7gの歯先円直径よりも大きくなるように形成するとともに、歯部7gの両端部をそれぞれ歯部7fに隣接するように配置し、小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際に、小径ギア部9aの歯部9c(厳密には歯部9eを示す)と従動側ギア部7bの歯部7fとが最初に噛合するように構成することによって、小径ギア部9aが従動側ギア部7bと噛合を開始する際に、従動側ギア部7bのうち歯先円直径のよりも大きな歯部7fから順に小径ギア部9aの歯部9c(歯部9e)と噛合されるので、小径ギア部9aを従動側ギア部7bと確実に噛合させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、小径ギア部9aの歯部9cのうち、従動側ギア部7bの歯部7fが係合する歯部9cの歯底円直径R3(図9参照)を、欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)よりも小さくなるように形成することによって、小径ギア部9aが従動側ギア部7bと噛合を開始する際に、従動側ギア部7bの歯部7fに噛合する小径ギア部9aの歯部9cの歯底円直径R3(図9参照)が欠歯部9dの外周面の直径R2(図9参照)よりも小さいので、従動側ギア部7bの歯部7fの歯先(歯末)が、対応する小径ギア部9aの歯部9c(厳密には歯部9eと欠歯部9dとの接続部分)の歯底に干渉することが抑制される。したがって、小径ギア部9aと従動側ギア部7bとを滑らかに噛合させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、従動側ギア部7bを、従動側ギア部7bの歯部7dおよび欠歯部7e以外の領域に設けられた歯部7hを有するように構成し、小径ギア部9aの歯部9cと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bの歯部7dとが噛合しない際は、従動側ギア部7bの歯部7fと歯部7hとが、小径ギア部9aの欠歯部9dを跨ぐようにして、小径ギア部9aを保持するように構成することによって、従動側ギア部7bは、歯部7fと歯部7hとによって小径ギア部9aの欠歯部9dに当接することができるので、従動側ギア部7bは、小径ギア部9aの欠歯部9dに対して、歯部7fと歯部7hとによって回動位置を確実に保持することができる。
【0068】
また、本実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cを、印字ヘッド2の幅方向の中央部近傍を押圧するように配置することによって、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cにより、印字ヘッド2の幅方向(図5の矢印X方向)に対して左右均一な加圧力により印字ヘッド2を押圧することができる。これにより、印字ヘッド2をプラテンローラ3に対して均一に接触させることができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例としての昇華型プリンタに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、板金部材を加工することにより印字ヘッド回動部材7を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、樹脂成形加工などにより、従動側ギア部、押圧部および回動軸部を一体的に含む印字ヘッド回動部材を設けるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、駆動ギア9の小径ギア部9aと印字ヘッド回動部材7の従動側ギア部7bとが噛合する際に、小径ギア部9aの1枚の歯部9eと従動側ギア部7bの1枚の歯部7fとが最初に噛合するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、歯部9eおよび歯部7fをともに1枚以外の歯数(たとえば2枚)設けるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、印字ヘッド回動部材7の押圧部7cを、印字ヘッド2の幅方向の中央部近傍を押圧するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中央部近傍以外の位置で印字ヘッドを均等に押圧することができる位置(たとえば印字ヘッドの両端部)に配置するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの内部構造を示した図である。
【図4】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのステッピングモータおよびギアの配置構成を示した側面図である。
【図5】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印字ヘッド回動部材を示した斜視図である。
【図7】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの支持棒および印字ヘッド回動部材の分解斜視図である。
【図8】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図9】図1に示した一実施形態による駆動ギアの詳細を示した図である。
【図10】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図11】図1に示した一実施形態による駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を示した図である。
【図12】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図13】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図14】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作における駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を説明するための図である。
【図15】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図16】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作における駆動ギアおよび印字ヘッド回動部材の従動側ギア部の噛合状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
2 印字ヘッド
3 プラテンローラ
7 印字ヘッド回動部材
7b 従動側ギア部
7c 押圧部
7d 歯部(第2歯部)
7e 欠歯部(第2欠歯部)
7f 歯部(第3歯部)
7g 歯部(第4歯部)
7h 歯部(第5歯部)
9a 小径ギア部(原動側ギア部)
9c、9e 歯部(第1歯部)
9d 欠歯部(第1欠歯部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置において、
所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および前記第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、
所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および前記第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに前記原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、前記印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置された押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とをさらに備え、
前記原動側ギア部は、前記第1欠歯部の外周面の直径が前記第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部により前記印字ヘッドが前記プラテンローラを押圧する位置近傍において、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部が前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部に摺動するように前記原動側ギア部が配置され、
前記従動側ギア部の前記第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成されるとともに、前記従動側ギア部は、前記従動側ギア部の前記第2歯部および前記第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、
前記第3歯部の歯先円直径が前記第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、前記第4歯部の少なくとも一方端が前記第3歯部に隣接するように配置され、
前記原動側ギア部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部とが噛合する際に、前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記従動側ギア部の前記第3歯部とが最初に噛合するように構成されるとともに、
前記原動側ギア部の前記第1歯部のうち、前記従動側ギア部の前記第3歯部が係合する前記第1歯部の歯底円直径は、前記第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成され、
前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部とが噛合しない際は、前記従動側ギア部の前記第3歯部と前記第5歯部とが、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部を跨ぐようにして、前記原動側ギア部を保持するように構成されている、画像形成装置。
【請求項2】
所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドと、
所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および前記第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、
所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および前記第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに前記原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、前記印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とを備え、
前記原動側ギア部は、前記第1欠歯部の外周面の直径が前記第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部により前記印字ヘッドが前記プラテンローラを押圧する位置近傍において、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部が前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部に摺動するように前記原動側ギア部が配置されている、画像形成装置。
【請求項3】
前記従動側ギア部の前記第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成され、
前記第3歯部の歯先円直径が前記第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、前記第4歯部の少なくとも一方端が前記第3歯部に隣接するように配置され、
前記原動側ギア部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部とが噛合する際に、前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記従動側ギア部の前記第3歯部とが最初に噛合するように構成されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原動側ギア部の前記第1歯部のうち、前記従動側ギア部の前記第3歯部が係合する前記第1歯部の歯底円直径は、前記第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記従動側ギア部は、前記従動側ギア部の前記第2歯部および前記第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、
前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部とが噛合しない際は、前記従動側ギア部の前記第3歯部と前記第5歯部とが、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部を跨ぐようにして、前記原動側ギア部を保持するように構成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部は、前記印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置において、
所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および前記第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、
所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および前記第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに前記原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、前記印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置された押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とをさらに備え、
前記原動側ギア部は、前記第1欠歯部の外周面の直径が前記第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部により前記印字ヘッドが前記プラテンローラを押圧する位置近傍において、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部が前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部に摺動するように前記原動側ギア部が配置され、
前記従動側ギア部の前記第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成されるとともに、前記従動側ギア部は、前記従動側ギア部の前記第2歯部および前記第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、
前記第3歯部の歯先円直径が前記第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、前記第4歯部の少なくとも一方端が前記第3歯部に隣接するように配置され、
前記原動側ギア部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部とが噛合する際に、前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記従動側ギア部の前記第3歯部とが最初に噛合するように構成されるとともに、
前記原動側ギア部の前記第1歯部のうち、前記従動側ギア部の前記第3歯部が係合する前記第1歯部の歯底円直径は、前記第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成され、
前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部とが噛合しない際は、前記従動側ギア部の前記第3歯部と前記第5歯部とが、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部を跨ぐようにして、前記原動側ギア部を保持するように構成されている、画像形成装置。
【請求項2】
所定の押圧力によりプラテンローラを押圧しながら印字を行うための印字ヘッドと、
所定の回転角度範囲に設けられた第1歯部および前記第1歯部以外の領域に設けられた第1欠歯部を含む原動側ギア部と、
所定の回転角度範囲に設けられた第2歯部および前記第2歯部以外の領域に設けられた第2欠歯部を有するとともに前記原動側ギア部に噛合される従動側ギア部と、前記印字ヘッドを押圧する押圧部とを一体的に含む印字ヘッド回動部材とを備え、
前記原動側ギア部は、前記第1欠歯部の外周面の直径が前記第1歯部の歯先円直径よりも小さくなるように形成されるとともに、
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部により前記印字ヘッドが前記プラテンローラを押圧する位置近傍において、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部が前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部に摺動するように前記原動側ギア部が配置されている、画像形成装置。
【請求項3】
前記従動側ギア部の前記第2歯部は、第3歯部および所定の回転角度範囲に設けられた第4歯部とから構成され、
前記第3歯部の歯先円直径が前記第4歯部の歯先円直径よりも大きくなるように形成されるとともに、前記第4歯部の少なくとも一方端が前記第3歯部に隣接するように配置され、
前記原動側ギア部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部とが噛合する際に、前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記従動側ギア部の前記第3歯部とが最初に噛合するように構成されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原動側ギア部の前記第1歯部のうち、前記従動側ギア部の前記第3歯部が係合する前記第1歯部の歯底円直径は、前記第1欠歯部の外周面の直径よりも小さくなるように形成されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記従動側ギア部は、前記従動側ギア部の前記第2歯部および前記第2欠歯部以外の領域に設けられた第5歯部をさらに有し、
前記原動側ギア部の前記第1歯部と前記印字ヘッド回動部材の前記従動側ギア部の前記第2歯部とが噛合しない際は、前記従動側ギア部の前記第3歯部と前記第5歯部とが、前記原動側ギア部の前記第1欠歯部を跨ぐようにして、前記原動側ギア部を保持するように構成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印字ヘッド回動部材の前記押圧部は、前記印字ヘッドの幅方向の中央部近傍を押圧するように配置されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−188959(P2008−188959A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28675(P2007−28675)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]