説明

画像形成装置

【課題】毛管力を発揮させて、インク排出性能を工場させると共に、インクのミストの発生も防止でき、用紙に対する汚れの発生し難い画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッドのノズル形成面4aと対向して設けられ、用紙Pを支持するプラテンのカバー体34と、カバー体34におけるインク受け部44には、吐出されたインクを誘導可能とする複数の第1誘導部44と第2誘導部45が形成されている。各誘導部は、ノズル形成面からの距離が小さい高部位A1(B1)から低部位A2(B2)へと下り勾配の傾斜状に形成され、各誘導部44、45における高部位A1(B1)から低部位A2(B2)に向かって平面積が次第に減少するように形成され、且つ第1誘導部44と第2誘導部45とでは、インクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式の画像形成装置に係り、より詳しくは縁無し画像形成に適したプラテン(支持部材)を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット式の記録ヘッドを備えた画像形成装置では、平板状のプラテンと対峙して配置した記録ヘッドを主走査方向に移動させながら、主走査方向と直交する副走査方向に被記録媒体をプラテン上に搬送し、この被記録媒体に対して記録ヘッドからインクを吐出する構造が知られている。このような画像記録装置によって縁無し画像が形成されるときには、記録ヘッドによって被記録媒体の主走査方向における幅ちょうどの領域に対してインクが吐出される。これによって被記録媒体の端部にも画像が形成される、すなわち、縁無し画像が形成される。
【0003】
このようにして、被記録媒体に対して縁無し画像形成が実行されるとき、プラテン上を搬送される被記録媒体が斜行していると、記録ヘッドから吐出されたインクの一部がプラテンに付着してしまうという問題があった。プラテンにインクが付着した状態であると、プラテン表面上に垂れ下がった被記録媒体の前端縁や後端縁が接触することによって、被記録媒体の裏面がインクで汚れるという虞れがある。このように、インクがプラテン上に付着し留まることによって、被記録媒体が汚されることを防止する手段が公知である。
【0004】
例えば、特許文献1では、プラテンの表面には、その上流側リブと下流側リブとの間の縁無し記録領域を設け、その縁無し記録領域内には、被記録媒体の前端部及び後端部をそれぞれ支持可能であって、被記録媒体の搬送下流側に向かって上昇するように傾斜形成された第1リブと、水平な第2リブと、搬送下流側に向かって下降するように傾斜形成された第3リブとを、被記録媒体の搬送方向と直交する方向に適宜間隔で形成し、これらの第1〜第3リブの間に形成され、搬送方向に延びるインク導通溝をプラテンの底板上に配置したインク吸収体に連通させて、排インクを吸収する構成が開示されている。
【0005】
他方、特許文献2では、縁無し画像形成時に、プラテンのインク受け面に打ち捨てられたインク(廃インク)をプラテンのインク受け面から裏側下方に速やかに排出するため、プラテンの表裏を貫通する貫通孔を穿設するとともに、その貫通孔にはインクを集めて排出促進するための垂直方向のインク誘導溝を設けることが開示されている。
【特許文献1】特開2006−35685号(図9〜図12参照)
【特許文献2】特開2002−192777号(図9〜図12参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成のように、リブとリブとの間に形成された断面V字状のインク導通溝内に溜まった排インクを重力及び毛管力に従ってインク吸収体に導くため、このインク導通溝を単に片方が低くなるように傾斜形成し、しかも、インク導通溝を被記録媒体(用紙)の搬送方向と平行にしただけであると、搬送される被記録媒体の側縁(搬送方向に沿う側縁)がリブに載らない位置にずれたとき、縁無し画像形成のために吐出したインクがインク導通溝の全長にわたって吹きつけられ、ミストが発生し易くなり、そのような位置ずれが続くと、被記録媒体の汚れがひどくなるという問題があった。
【0007】
逆に、前記ミストの発生を防止すべく、記録ヘッドのノズル形成面からプラテンのインク受け面までの距離が小さすぎると、プラテン表面上に垂れ下がった被記録媒体の前端縁や後端縁がプラテンのインク受け面に接触し易い。よって、インクがプラテンのインク受け面から速やかに除去されることなくプラテンのインク受け面に留まった状態であると、インクが被記録媒体の裏面に付着して被記録媒体が汚れるという問題があった。
【0008】
他方、特許文献2の構成においては、インクが霧状になってプラテン表面上を漂う、いわゆるインクミストが発生するという問題があった。このインクミストは、記録ヘッドによって吐出されたインクがプラテンのインク受け面に到着しない間に霧状になり浮遊する、またはプラテンのインク受け面に付着したまま留まっているインクが霧状に変化することによって発生するものである。詳細には、プラテンの表面の被記録媒体を支持するリブ個所から、インク受け面までの距離が大きすぎたり、大きい容積の空間が多数存在する構成では、記録ヘッドのノズル形成面からプラテンのインク受け面までの距離が大きくなる。このため、ノズルから吐出させたインク滴のうち小滴は、インク誘導溝の表面を含めてプラテンのインク受け面に到着しない間にミスト状に浮遊し易くなるのである。インクミストが発生すると、プラテン表面を搬送される被記録媒体にこのインクミストが付着することによって被記録媒体が汚れるいう問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解消するものであり、プラテンのインク受け面から速やかに排出させると共に、インクミストの発生も防止でき、被記録媒体に対する汚れの発生し難い画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被記録媒体上にインクをノズルから吐出することにより、画像を形成する記録ヘッドと、この記録ヘッドのノズル形成面と対向して設けられ、被記録媒体を支持する支持部材と、この支持部材の前記ノズル形成面と対向する対向面に設けられ、前記吐出されたインクを誘導可能とする複数の誘導部からなるインク受け部を備えた画像形成装置であって、前記各誘導部には、前記ノズル形成面からの距離が異なる高部位と低部位とを有し、且つ高部位から低部位へと、前記距離が次第に大きくなるように傾斜状に形成され、前記各誘導部における前記高部位から前記低部位に向かって平面積が次第に減少するように形成され、前記複数の誘導部のうちの第1誘導部と第2誘導部とでは、インクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されているものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記インク受け部は、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1乃至2のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持部材には、前記各誘導部における前記低部位の個所からインクが伝い排出される排出路を有するものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持部材の下面側には前記伝い排出されたインクを溜めるための廃インク貯留部が設けられているものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の画像形成装置において、前記支持部材の前記インク受け部が設けられた側を前記支持部材の表面側とし、他方を裏面側としたとき、前記排出路は、前記伝い排出されたインクが前記支持部材の裏面側に伝い排出される貫通溝を有するものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記支持部材の前記インク受け部が設けられた側を前記支持部材の表面側とし、他方を裏面側としたとき、前記廃インク貯留部は、前記支持部材の裏面または表面の少なくともどちらか一方に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記各誘導部には、前記低部位の個所にインクを集めるための底誘導面及び、前記第1誘導部と第2誘導部とを区分するための分離斜面を備えたものである。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持部材には、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置されたインク受け部が、被記録媒体の搬送方向と直交する方向に複数形成され、前記隣接するインク受け部の間に前記支持部材の裏面側に貫通部を有し、この貫通部には、被記録媒体を支持して被記録媒体の搬送方向に移動するように構成された可動リブを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、各誘導部は、前記ノズル形成面からの距離が異なる高部位と低部位とを有し、且つ高部位から低部位へと、前記距離が次第に大きくなるように傾斜状に形成されているので、各誘導部に着弾したインクは重力によりそれぞれ、高部位から低部位へと流す(移動させる)ことができる。
【0019】
また、インクを誘導可能とする複数の誘導部の各誘導部における低部位側の平面積を、高部位側の平面積よりも次第に小さくすることで、低部位側の誘導部の幅が狭くなる。すなわち、高部位側から低部位側に向かってインクに対して働く毛管力が次第に大きくなるように形成されているので、インクを高部位側から低部位側へと誘導する(流す)ことができる。よって、インクの排出能力が向上する。
【0020】
つまり、高部位と低部位との高低差による排出能力(インクを移動させる能力)と、毛管力による排出能力とが組み合わせられることによって、インクの排出能力が向上するので、第1誘導部及び第2誘導部に溜まったインクの流れが円滑になり、支持部材(プラテンのインク受け部)の表面からのインク排出性能が向上する。従って、支持部材の表面からインクが溢れるというような現象は発生せず、支持部材上を通過する被記録媒体がインクで汚されることがない。
【0021】
また、各誘導部高部位は、ノズル形成面からの距離が小さい(近い)ところであり、このようにノズルから近い部分の平面積が大きくなるように、第1誘導部及び第2誘導部が形成されているので、インクの着弾率が高くなって、インクミストの発生を効果的に防止できる。よって、インクミストが被記録媒体に付着して被記録媒体が汚れることが防止される。また、支持部材にインクミストが付着し、そのインクミストが付着した部分に被記録媒体が触れることによって被記録媒体が汚れることが防止される。
【0022】
さらに、第1誘導部と第2誘導部とでは、インクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されているものであるので、インク流れと直交する断面では、両誘導部の溝深さ(ノズル形成面からの距離)の平均値は、どの断面でも同じ値(一定深さ)となるから、被記録媒体の幅位置が多少ずれても、上記インクミストの発生を少なくし、且つインクの排出性能を維持することが簡単にできる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、前記インク受け部は、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置されているものである。従って、同様にインクミストの発生を少なくし、且つインクの排出性能を維持することが簡単にできる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記支持部材には、前記各誘導部における前記低部位の個所からインクが伝い排出される排出路を有するものである。各誘導部における前記低部位に集められたインクが排出路を通して排出されるので、前記低部位からインクがあふれ出すことがない。よって、インクがあふれ出して支持部材上を通過する被記録媒体に付着することが防止される。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、排出路は、低部位から伝い排出されたインクを溜めるための廃インク貯留部に接続されている。低部位から排出路を通して排出されたインクは廃インク貯留部へと導かれ、廃インク貯留部で保持される。よって、支持部材の他の個所をインクで汚すことがない。また、支持部材の他の個所をインクで汚すことがないので、支持部材上を通過する被記録媒体にインクが付着することが防止される。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、排出路は伝い排出されたインクが支持部材の裏面側に伝い排出される貫通溝を有する。貫通溝を通って支持部材の裏面側に伝い排出されたインクと、支持部材上を通過する被記録媒体とは、支持部材によって隔てられる。よって支持部材上を通過する被記録媒体にインクが付着することが防止される。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、廃インク貯留部は支持部材の裏面または表面の少なくともどちらか一方に設けられている。すなわち、プラテンのインク受け部である支持部材に廃インク貯留部が直接設けられている。つまり、インクは低部位から排出路を通して廃インク貯留部へと導かれるので、廃インク貯留部が画像形成装置の他の部位に設けられる場合に比して、排出路を短くすることができる。排出路が短いほど排出路におけるインクの乾燥が防止される。すなわち、インクの乾燥によって排出路が詰まることが防止される。よって、排出路からインクがあふれることがない。よって、支持部材に排出路からあふれ出したインクが付着し、支持部材上を通過する被記録媒体にインクが付着することが防止される。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、前記各誘導部には、前記低部位の個所にインクを集めるための底誘導面及び、前記第1誘導部と第2誘導部とを区分するための分離斜面を備えたものであり、この構成により、各誘導部は勾配を有する樋状または溝状となり、インクの排出性能を高めることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、前記支持部材には、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置され、且つインクの流れが被記録媒体の搬送方向と直交する方向に延びるように配置されたインク受け部が、被記録媒体の搬送方向と直交する方向に複数形成され、前記隣接するインク受け部の間に前記貫通部を有し、この貫通部には、被記録媒体を支持して被記録媒体の搬送方向に移動するように構成された可動リブを備えたものであるので、縁無し画像形成の場合に、被記録媒体の縁がインクで汚れたり、被記録媒体がインクミストにより汚染されることがなくなるので、綺麗な縁無し画像形成を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)に本発明を適用したものであり、図1に示すように、装置における合成樹脂製の記録装置本体2の底部には、記録装置本体2の前側(図1において下側)の開口部から差込み可能な給紙カセット3が配置されている。以下、開口部がある側を前側または前方といい、これを基準に装置の前側、左右側、後側というものとする。
【0031】
本実施形態では、給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙Pを収納できる形態とする。詳細には、用紙Pをその短辺が用紙搬送方向(副走査方向、Y軸方向)と直交する方向(図1において紙面と直交する方向、主走査方向、X軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)して収納できる形態とする(図1参照)。
【0032】
また、給紙カセット3の奥側(図2において右側)には、用紙分離用の土手部である傾斜分離板8が配置されている。また、記録装置本体2側には、上端部が上下方向に回動可能なアーム6aが装着されている。このアーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6と、傾斜分離板8とによって、給紙カセット3及び補助給紙カセット3aに堆積された被記録媒体である用紙Pが1枚ずつ分離搬送される。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7は、後に詳述されるように、プリンタ機能などを実現するためのインクジェット式の記録ヘッド4が搭載されて往復移動可能なキャリッジ5等からなる。
【0033】
記録部7にて記録された用紙Pはその記録面を上向きにして排紙部10から排出される。この排紙部10は、補助カセット3aの上側に形成されており、排紙部10に連通する開口部の上方が記録装置本体2の前面に向かって開口されている。
【0034】
記録装置本体2の上部には、図示しないが、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置が配置されている。画像読取装置の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部とが設けられている。
【0035】
画像読取装置12の上面には、原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板(図示せず)が設けられている。この載置用ガラス板(図示せず)の下側には、原稿読取用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor、図示せず)が図2の紙面と直交する方向(主走査方向、X軸方向)を往復移動可能に設けられている。
【0036】
インク貯蔵部15は、記録装置本体2の前方に向かって開放されており、前開き可能な蓋体2bにて塞がれている(図1参照)。インク貯蔵部15には、フルカラー記録のための4色のインクが収容されている。4色のインクは各々平面視の面積が小さく、且つ高さ寸法の高いほぼ矩形箱状のインクカートリッジ19(個別の色、即ち、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジ)に収容されている。このインク貯蔵部15は、4色のインクカートリッジ19をX軸方向に沿って一列状に収納可能且つ前方から着脱可能となるように構成されている。
【0037】
そして、各インクカートリッジ19から、インクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)20を介してインクが供給されるように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部15に収納可能に構成すれば良いし、インク供給管20もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
【0038】
記録部7は、第1ガイド部材22及び第2ガイド部材23と、キャリッジ5と、タイミングベルト25と、プラテン26と、テープスケール等によって構成されている。第1ガイド部材22及び第2ガイド部材23は、上面開放された枠状のメインフレーム21における左右一対の側板21a、21bにて支持され、図2に示すように、X軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状(プレート状)の部材である。キャリッジ5は、これら両ガイド部材22、23に跨って摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されている。
【0039】
タイミングベルト25は、記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために第2ガイド部材23の上面にそれと平行状に配置された無端帯である。CR(キャリッジ)モータ24(実施形態では、DCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい)は、そのタイミングベルト25を駆動するモータである。
【0040】
プラテン26は、記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙Pを支持する板状の部材である。テープスケールは、キャリッジ5のX軸方向(主走査方向)の位置とその方向の移動速度を検知するための光学式リニアエンコーダの構成部品であり、主走査方向に沿って延びるように配置される。キャリッジ5上の記録ヘッド4には、フレキシブルフラットケーブルを介して駆動信号が入力される。
【0041】
プラテン26を挟んで用紙搬送方向(矢印A方向、図2参照)の上流側には、レジストローラ対27が、プラテン26の下流側には、用紙Pの上面に接する拍車28bと下面側を駆動する排紙ローラ28aとが配置されている。用紙Pはレジストローラ対27によって、記録ヘッド4の下面のノズル面4aとプラテン26との隙間に送られ、記録済みの用紙Pは拍車28bと下面側を駆動する排紙ローラ28aによって排紙部10に搬送される(図2参照)。
【0042】
また、搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には、その一端側(実施形態では図3及び図1で左側の側板21aに近い部位)にインク受け部29が、また、他端側(図3で右側の側板21bに近い部位)にはメンテナンスユニット30がそれぞれ配置されている。これにより、記録ヘッド4はインク受け部48に対応して設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部29にてインクを受ける。
【0043】
メンテナンスユニット30に対応して設けられたキャリッジ5の待機位置では、記録ヘッド4から色毎にインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等が行われる。また、メンテナンスユニット30には図示しないが、ワイパーが設けられている。このワイパーは、キャリッジ5をメンテナンスユニット50部分から画像記録領域方向に移動させるときに記録ヘッド4のノズル面のクリーニングを行う。
【0044】
次に、本発明に係るプラテン26の構成について詳述される。図3、図4に示されるように、プラテン26には、平板上の本体33と、その上面を着脱可能に覆う下向き開口のカバー体34とが備えられている。カバー体34は本体33の下面側からの取付けネジ36に固定されている。本体33とカバー体34とよって形成される空間のうち、用紙搬送方向の下流側部位には、X軸方向に長手のインク吸収体35が配置されている。また、上記空間のうち用紙搬送方向の上流側部位には、可動リブ37を用紙搬送方向に沿って往復移動させるための駆動機構38(詳細は図示しない)が収納されている。インク吸収体35としては、インクに対して毛管吸収力および拡散性に優れた繊維によって形成されたシート部材が用いられ、請求項にいう廃インク貯留部に相当する。
【0045】
カバー体34の表面には、用紙搬送方向の上流側端部位の複数の第1支持リブ39と、下流側端部位の複数の第2支持リブ40とが、X軸方向に適宜間隔にて一体的に形成されている。第1、第2支持リブ39、40の間は、本発明のインク受け部41となる。このインク受け部41には、第1支持リブ39から第2支持リブ40に向かって長いスリット孔42がX軸方向に適宜間隔にて形成されている。そして、可動リブ37がスリット孔42に沿って往復移動可能に構成されている。本発明では、カバー体34が少なくとも請求項にいう支持部材である。
【0046】
第1支持リブ39、第2支持リブ40及び可動リブ37のそれぞれの高さは、実質上同じである。プラテン26上に搬送されて、第1支持リブ39の個所を越えてきた用紙Pの前端縁部位は可動リブ37にて支持される。可動リブ37は、用紙PのY軸方向への搬送量と略一致させて可動リブ37が下流側に移動し、用紙Pの前端縁部位を第2支持リブ40に受け継がせる。その後、可動リブ37は上流側に反転移動して待機する。次に、第1支持リブ39の個所を越えてきた用紙Pの後端縁部位を可動リブ37にて支持しながら、上記と同様に下流側方向に移動し、用紙Pの後端縁部位を第2支持リブ40に受け継がせる。このように構成されることにより、用紙Pの前端縁部や後端縁部がインク受け部41に接触しないようになっている。
【0047】
次に、本発明に係るインク受け部41の構成について説明される。インク受け部41のうち、記録ヘッド4におけるノズル形成面4a(記録ヘッド4の下面)と対面する画像形成領域(インク吐出領域)43(図3においてY1で示す)には、複数(少なくとも2種類)の誘導部44、45が設けられている。誘導部44、45によって、ノズル形成面4aに設けられた複数のノズル(図示せず)から下向きに吐出されたインクのうち、インク受け部41に到達(着弾)したインクが上記スリット孔42の方向に誘導される。各スリット孔42が請求項でいう貫通部に相当する。
【0048】
第1実施形態のインク受け部41における第1誘導部44及び第2誘導部45は、ノズル形成面4aからの距離がH1の高部位A1(B1)と、(H1+H2)の低部位A2(B2)とを有する。そして、第1誘導部44における高部位A1から低部位A2へとノズル形成面4aからの距離(深さ)が次第に大きくなるように傾斜状の底部46とその底部46の両側の三角形状の傾斜状の壁面47、48とからなる樋状に形成されている。同様に、第2誘導部45における高部位B1から低部位B2へとノズル形成面4aからの距離(深さ)が次第に大きくなるように傾斜状の底部46とその底部46の両側の三角形状の壁面47、48とからなる樋状に形成されている(図8(a)及び図8(b)参照)。
【0049】
従って、第1実施形態では、第1誘導部44と第2誘導部45との隣接する境界線は、高部位A1と高部位B1とを結ぶ高さの同じ稜線Cを有することになる。
【0050】
さらに、第1誘導部44における底部46は高部位A1から低部位A2に向かって平面積が次第に減少するように形成されている。同様に、第2誘導部45における底部46も高部位B1から低部位B2に向かって平面積が次第に減少するように形成されている(図5、図8(a)参照)。
【0051】
第1実施形態のインク受け部41における第1誘導部44と第2誘導部45とでは、それらに着弾したインクは重力によりそれぞれ、高さの低い方向に流れるが、そのインクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されている。即ち、第1誘導部44においては、高部位A1から低部位A2に向かってインクが流れる一方、第2誘導部45においては、高部位B1から低部位B2に向かってインクが流れる。しかも、第1実施形態では、第1誘導部44と第2誘導部45とが平面視で交互に配置され、且つインクの流れ方向は、X軸方向、即ち、用紙Pの搬送方向と直交する方向である。
【0052】
そして、第1誘導部44における高部位A1と低部位A2及び第2誘導部45における高部位B1及び低部位B2では、それぞれの端部の平面視形状が略台形であり、深さ方向(ノズル形成面4aから離れる方向)に半円弧状に形成されている(図8(b)参照)。
【0053】
上記のように、第1誘導部44及び第2誘導部45における底部46のうち低部位A2、低部位B2のノズル形成面4aからの深さ(距離)(H1+H2)は、ノズル形成面4aにおけるノズルから吐出されたインクが底部46に着弾する前にインクミストにならない程度に設定されている。
【0054】
他方、各々の底部46の幅寸法など、低部位A2(低部位B2)の平面積は、第1誘導部44における高部位A1、第2誘導部45における高部位B1の平面積よりも小さく形成され、すなわち、高部位A1(高部位B1)側から低部位A2(低部位B2)側に向かって底部46の幅寸法が次第に小さくなるように形成されている。よって、低部位A2(低部位B2)側の溝形状部分の幅が狭くなるので、ここを通過する(流れる)インクに対する毛管力が大きくなり、インクの排出能力が向上する。換言すれば、上記溝形状部分の幅は、高部位A1(高部位B1)側から低部位A2(低部位B2)側に向かって次第に狭くなるように、即ち、インクに対して働く毛管力が次第に大きくなるように形成されている。このため、第1誘導部44(第2誘導部45)に着弾したインクは高部位A1(高部位B1)側から低部位A2(低部位B2)側へと誘導されるのである。
【0055】
しかも、第1誘導部44及び第2誘導部45における底部46のように、高部位A1(高部位B1)側から低部位A2(低部位B2)側へとノズル形成面4aから底部46までの距離(深さ)が次第に大きくなるように形成されることにより、第1誘導部44及び第2誘導部45に溜まったインクの流れが円滑になる。これにより、プラテン26の表面からのインク排出性能が向上する。
【0056】
即ち、高部位A1(高部位B1)と低部位A2(低部位B2)との高低差によって生じる排出能力と、上述された毛管力による排出能力とが組み合わせられることによって、インクの排出能力が向上する。従って、プラテン26の表面からインクがあふれるというような現象は発生せず、プラテン上を通過する用紙Pがインクで汚されることがない。
【0057】
第1誘導部44における高部位A1及び第2誘導部45における高部位B1は、ノズル形成面4aからの距離が短いところである。このようにノズルから近い部分の平面積が大きくなるように、第1誘導部44及び第2誘導部45が形成されているので、インクの着弾率が高くなって、インクミストの発生を効果的に防止できる。よって、インクミストが被記録媒体に付着して被記録媒体が汚れることが防止される。また、支持部材にインクミストが付着し、そのインクミストが付着した部分に被記録媒体が触れることによって被記録媒体が汚れることが防止される。
【0058】
さらに、インク受け部41に、第1誘導部44と第2誘導部45とを交互に配置することにより、平面積が大きくてノズル形成面4aまでの高さが短い高部位A1(高部位B1)と、平面積が小さくてノズル形成面4aまでの高さ寸法が長い(大きい)低部位A2(低部位B2)とが交互に並べられていることになる。よって、縁無し印刷の場合、用紙Pのプラテン26に対するX軸方向の配置のずれが多少あっても、また、不定形の用紙Pに印刷を行った場合も、インクのミストの発生を抑制することができる。つまり、用紙Pの縁よりはみ出した個所に吐出されたインクが第1誘導部44と第2誘導部45とのミスト化しない平均深さ(インク着弾距離の平均値の個所)に着弾することになるので、インクのミストの発生を実質的に少なくできるという効果を奏する。
【0059】
さらに換言すれば、インクの排出性能(毛管力)を確保するために、ミスト化しないインク着弾距離以上の深さの底部46を形成しなければならない場合でも、本発明では、低部位A2(低部位B2)に行くに従って幅などの面積を小さく形成するので、平坦な底部(勾配のない底部)を形成した場合と同等以上の毛管力を得ることができる。
【0060】
また、第1誘導部44と第2誘導部45とが交互に配置されている場合や、インクの流れが互いに逆になるように設定されていると、インク流れと直交する断面では、両誘導部44、45の溝深さの平均値すると、どの断面でも同じ値(一定深さ値)となるから、第1誘導部44と第2誘導部45とをその延びる方向(インク流れ方向)を主走査方向(X軸方向)と平行に配置した場合、用紙Pの幅位置がX軸方向にずれても、上記インクミストの発生を少なくし、且つインクの排出性能を維持することが簡単にできる。
【0061】
また、第1実施形態では、カバー体34の下面側(裏面側)に、図6に示すようなインク排出溝49が形成されている。このインク排出溝49は、インクを低部位A2(低部位B2)からカバー体34の下面側に当接して配置されているインク吸収体35(廃インク貯留部)の上面に導くためのものである。詳細には、上記第1誘導部44および第2誘導部45における低部位A2(低部位B2)と、このインク排出溝49とは連通され、カバー体34の下面に沿って延びている。インク排出溝49はカバー体34の上面から下面とをつなぐ貫通溝49aを備え、この貫通溝49aは端面Dに形成されている。インクは、低部位A2(低部位B2)から端面Dに形成された貫通溝49aを下方向に伝い排出され、インク排出溝49へと移動されるのである。従って、各インク排出溝49および貫通溝49aが請求項でいう排出路に、貫通溝49aが請求項でいう貫通溝に相当する。第1実施形態では、インク排出溝49はカバー体34の下面側(裏面側)に形成されているが、上面側(表面側)に設けられていても良い。
【0062】
このインク排出溝49の断面はV字状や半円弧状、矩形状などに形成されている。カバー体34の下面側には、上述されたように、インク吸収体35A(廃インク貯留部)が当接して配置されている。詳細には、低部位A2(低部位B2)から端面Dに形成された貫通溝49aを下方向に伝い排出されたインクがインク排出溝49を経てカバー体34の下面側に当接して配置されているインク吸収体35(廃インク貯留部)の上面に導かれるのである。インク吸収体35Aがカバー体34の下面側に配置されている。すなわち、インク吸収体35Aがカバー体34に直接設けられているので、インク吸収体が記録装置本体2の底部などに設けられる場合に比してインク排出溝49を短くすることができる。よって、インク排出溝49におけるインクの乾燥が防止される。すなわち、排出溝49において乾燥したインクによってインクの流れが滞ることが防止され、第1誘導部44及び第2誘導部45に溜まったインクが円滑にインク吸収体35まで排出されるので、プラテン26の表面からインクが溢れるというような現象は発生せず、プラテン上を通過する用紙Pがインクで汚されることがない。
【0063】
また、本実施形態においては、インク吸収体35Aとして、インクに対して毛管吸収力および拡散性に優れた繊維によって形成されたシート部材が用いられている。このシート部材は、発泡ポリウレタン等の多孔質材料の吸収体に比して吸収力(毛管力)が高いという特徴を有する。つまり、インク吸収体35Aによってインク排出溝49に溜まったインクが効果的に吸収される(引き込まれる)。インク排出溝49に溜まったインクがインク吸収体35Aに引き込まれることによって、これに連通された貫通溝49a、第1誘導部44及び第2誘導部45に溜まったインクもインク吸収体35Aの方向に誘導される(流れる)。よって、インクの流れが滞ることが防止され、第1誘導部44、第2誘導部45、インク排出溝49および貫通溝49aに溜まったインクが円滑にインク吸収体35まで排出されるという効果を奏する。
【0064】
また、前述されたように、本実施形態においてインク吸収体35として用いられているシート部材は、発泡ポリウレタン等の多孔質材料の吸収体に比して吸収力(毛管力)が高いので、第1誘導部44、第2誘導部45、インク排出溝49および貫通溝49aに溜まったインクに、インク吸収体35Aの毛管力が作用し、インクが円滑にインク吸収体35まで排出されるという効果を奏する。
【0065】
上述されたように、インク吸収体35Aがカバー体34の下面側に配置されているため、インク吸収体が記録装置本体2の底部などに設けられる場合に比してインク排出溝49を短くすることができる。すなわち、インク吸収体が記録装置本体2の底部などに設けられる場合に比して、第1誘導部44、第2誘導部45、インク排出溝49および貫通溝49aに溜まったインクに対して、インク吸収体35Aの毛管力の影響を大きくすることができる。よって、インクが効率よくインク吸収体35まで排出されるという効果を奏する。
【0066】
図9〜図12には、第1誘導部44及び第2誘導部45の第1実施形態の変形例が示される。図9はインク受け部41(第1誘導部44及び第2誘導部45)の部分拡大平面図、図10はインク受け部41(第1誘導部44及び第2誘導部45)の部分拡大斜視図、図11(a)は図9のXIa −XIa 線矢視断面図、図11(b)は図9のXIb −XIb 線矢視断面図、図12(a)はカバー体34の一部切欠き右側面図、図12(b)はカバー体34の一部切欠き下面図である。
【0067】
この変形例では、第1誘導部44と第2誘導部45における高部位A1(高部位B1)の端面D1の平面視形状が三角形状である他は、第1実施形態とほぼ同じ形態である。よって、同じ構成については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。また、作用効果も第1実施形態と同じである。
【0068】
図13(a)及び図13(b)には、第1誘導部50及び第2誘導部51の第2実施形態を示される。この実施形態では、インク受け部41における第1誘導部50及び第2誘導部51は、ノズル形成面4aからの深さ方向の距離がH1の高部位A1(B1)と、(H1+H2)の低部位A2(B2)とを有する。そして、第1誘導部50における高部位A1から低部位A2へとその距離(深さ)が次第に大きくなるように傾斜状の底部52とその底部52の両側の三角形状の垂直壁面53、54とを有する。底部52は平面視略三角形状である。即ち、第1誘導部50における底部52は高部位A1から低部位A2に向かって平面積が次第に減少するように形成されている。同様に、第2誘導部51における底部52も高部位B1から低部位B2に向かって平面積が次第に減少するように形成されている(図13(a)参照)。
【0069】
第2実施形態のインク受け部41における第1誘導部50と第2誘導部51とでは、それらに着弾したインクは重力によりそれぞれ、高さの低い方向に流れるが、そのインクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されている。即ち、第1誘導部50においては、高部位A1から低部位A2に向かってインクが流れる一方、第2誘導部51においては、高部位B1から低部位B2に向かってインクが流れる。しかも、第1誘導部50と第2誘導部51とが平面視で交互に配置され、且つインクの流れ方向は、X軸方向、即ち、用紙Pの搬送方向と直交する方向である。
【0070】
第1誘導部50における高部位A1及び第2誘導部51における高部位B1は、ノズル形成面4aからの距離が短いところである。このようにノズルから近い部分の平面積が大きくなるように、第1誘導部50及び第2誘導部51は形成されている。よって、インクの着弾率が高くなって、インクミストの発生を効果的に防止できる。
【0071】
他方、各々の底部46の幅寸法など、低部位A2(低部位B2)の平面積は、第1誘導部44における高部位A1、第2誘導部45における高部位B1の平面積よりも小さく形成され、すなわち、高部位A1(高部位B1)側から低部位A2(低部位B2)側に向かって底部46の幅寸法が次第に小さくなるように形成されている。よって、低部位A2(低部位B2)側の溝形状部分の幅が狭くなるので、ここを通過する(流れる)インクに対する毛管力が大きくなり、インクの排出能力が向上する。
【0072】
しかも、第1誘導部50及び第2誘導部51における底部52のように、高部位A1(高部位B1)から低部位A2(低部位B2)に向かって下り勾配を付けることにより、第1誘導部44及び第2誘導部45に溜まったインクの流れが円滑になり、プラテン26の表面からのインク排出性能が向上する。従って、プラテン26の表面からインクが溢れるというような現象は発生せず、プラテン上を通過する用紙Pがインクで汚されることがない。
【0073】
さらに、インク受け部41に、第1誘導部50と第2誘導部51とを交互に配置することにより、平面積が大きくてノズル形成面4aまでの距離が短い高部位A1(高部位B1)と、平面積が小さくてノズル形成面4aまでの距離が長い(大きい)低部位A2(低部位B2)とが交互に並べられていることになる。よって、縁無し印刷の場合、用紙Pのプラテン26に対するX軸方向の配置のずれが多少あっても、また、不定形の用紙Pに印刷を行った場合も、用紙Pの縁よりはみ出した個所に吐出したインクが第1誘導部50と第2誘導部51とのミスト化しない平均深さ(インク着弾距離の平均値の個所)に平均して着弾することになり、インクのミストの発生を実質的に少なくできるという効果を奏する。
【0074】
カバー体34の下面側に、図6に示すと同様なインク排出溝49を形成することは、上記第1実施形態と同じであり、同じような作用効果を奏することができる。
【0075】
第1誘導部44(50)と第2誘導部45(51)とは、交互に配置される他、複数個毎に交互に配置するようにしても良い。また、複数毎の第1誘導部44(50)と第2誘導部45(51)との間に、平面視で矩形状で高さが変化しない溝部を配置しても良い。上記底部46、52は請求項でいう底誘導面に相当し、側壁47、48、53、54は請求項でいう第1誘導部44(50)と第2誘導部45(51)とを区分するための分離斜面に相当するものである。
【0076】
また、第1実施形態および第2実施形態においては、第1誘導部44(50)と第2誘導部45(51)とはインクの流れ方向が、X軸方向、即ち、用紙Pの搬送方向と直交する方向となるように配置されていたが、Y軸方向、即ち、用紙Pの搬送方向と平行な方向となるように配置されてもよい。この場合、低部位A2(低部位B2)が端面に接していないため、インク受け部34の低部位に貫通溝が設けられる。また、インクの流れ方向に沿って複数の第1誘導部(図示せず)と複数の第2誘導部(図示せず)とが隣接されるように配置されてもよい。その場合、例えば、そのうちの1本の第1誘導部44(50)及び1本の第2誘導部45(51)におけるインクの流れ方向が、それぞれ用紙Pの搬送方向と直交する方向に配置されているときには、それに隣接する他の第1誘導部44(50)及び第2誘導部45(51)のインクの流れ方向は、用紙Pの搬送方向と直交する方向から少し傾くことになることは、いうまでもない。このような現象は、インクの流れ方向に沿って複数の第1誘導部と(図示せず)と複数の第2誘導部(図示せず)とが配置されている場合にも発生する。
【0077】
また、第1実施形態および第2実施形態においては、可動リブ37がスリット孔42に沿って往復移動可能に設けられたプラテン26が記載されているが、その他の構成のプラテンにも本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】画像読取装置を除いた状態の画像形成装置の概略平面図である。
【図2】記録部と給紙カセットの側断面図である。
【図3】プラテンの全体斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視拡大断面図である。
【図5】第1実施形態のインク受け部の部分平面図である。
【図6】インク受け部の部分下面図である。
【図7】インク受け部の部分側面図である。
【図8】(a)は第1誘導部44と第2誘導部45の形態を示す斜視図、(b)は(a)のVIIIb − VIIIb線矢視断面図である。
【図9】変形例のインク受け部の部分平面図である。
【図10】第1誘導部44と第2誘導部45の形態を示す斜視図である。
【図11】(a)は図9のXIa −XIa 線矢視断面図、(b)は図9のXIb −XIb 線矢視断面図である。
【図12】(a)はインク受け部の部分側面図、(b)はインク受け部の部分側面図である。
【図13】(a)は第2実施形態の第1誘導部50と第2誘導部51の形態を示す斜視図、(b)は図13(a)のXIIIb −XIIIb 線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置
2 記録装置本体
4 記録ヘッド
5 キャリッジ
21 メインフレーム
26 プラテン
33 本体
34 カバー体
35 インク吸収体
37 可動リブ
41 インク受け部
42 スリット孔
43 画像形成領域
44、50 第1誘導部
45、51 第2誘導部
46、52 底部
47、48 側壁
53、54 垂直壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体上にインクをノズルから吐出することにより、画像を形成する記録ヘッドと、この記録ヘッドのノズル形成面と対向して設けられ、被記録媒体を支持する支持部材と、この支持部材の前記ノズル形成面と対向する対向面に設けられ、前記吐出されたインクを誘導可能とする複数の誘導部からなるインク受け部を備えた画像形成装置であって、
前記各誘導部は、前記ノズル形成面からの距離が異なる高部位と低部位とを有し、且つ高部位から低部位へと、前記距離が次第に大きくなるように傾斜状に形成され、
前記各誘導部における前記高部位から前記低部位に向かって平面積が次第に減少するように形成され、
前記複数の誘導部のうちの第1誘導部と第2誘導部とでは、インクの流れ方向が互いに逆方向になるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記インク受け部は、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部材には、前記各誘導部における前記低部位の個所からインクが伝い排出される排出路を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排出路は、前記伝い排出されたインクを溜めるための廃インク貯留部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持部材の前記インク受け部が設けられた側を前記支持部材の表面側とし、他方を裏面側としたとき、
前記排出路は、前記伝い排出されたインクが前記支持部材の裏面側に伝い排出される貫通溝を有することを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持部材の前記インク受け部が設けられた側を前記支持部材の表面側とし、他方を裏面側としたとき、
前記廃インク貯留部は、前記支持部材の裏面または表面の少なくともどちらか一方に設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記各誘導部には、前記低部位の個所にインクを集めるための底誘導面及び、前記第1誘導部と第2誘導部とを区分するための分離斜面を備えたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持部材には、前記第1誘導部と第2誘導部とが1つ毎乃至複数毎に交互に配置されたインク受け部が、被記録媒体の搬送方向と直交する方向に、複数形成され、
前記隣接するインク受け部の間に、貫通部を有し、この貫通部には、被記録媒体を支持して被記録媒体の搬送方向に移動するように構成された可動リブを備えたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−246836(P2008−246836A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90817(P2007−90817)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】