説明

画像形成装置

【課題】駆動ギヤの駆動力を利用することなく、脱着可能な定着ユニットを装置本体の所定位置に保持することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】開閉カバー28を閉じると、開閉カバー28に設けられた当接部材70が、移動部材50の受部62に当って、移動部材50を保持位置に向って移動させる。移動部材50を保持位置へ移動させることで、移動部材50が定着ユニット22を押圧し、定着ユニット22は脱着位置から固定位置へ移動する。移動部材50が保持位置に移動すると、移動動部材50の先端の押圧部が、板バネの凹部64Aに嵌り、移動部材50は保持位置に保持される。板バネ64は、定着ユニット22を固定位置に向けて付勢し、定着ユニット22は、固定位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置に脱着可能な定着ユニットが記載されている。そして、この定着ユニットには、装置本体に設けられた駆動ギヤと噛み合って回転力が伝達される被駆動ギヤが備えられている。
【0003】
ここで、駆動ギヤから駆動力が被駆動ギヤへ伝達されると、定着ユニットを所定方向へ移動させようとする力が生じる。そこで、装置本体には、定着ユニットがその方向へ移動しようとすると、定着ユニットと当る位置決部材が設けられている。これにより、定着ユニットを所定の位置に保持するようになっている。
【特許文献1】特開平1−15779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、駆動ギヤの駆動力を利用することなく、脱着可能な脱着ユニットを装置本体の所定位置に保持することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、本体の開口部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を開放して、本体に脱着可能とされる脱着ユニットと、前記脱着ユニットが前記本体から脱着可能とされる脱着位置から前記脱着ユニットが前記本体に固定される固定位置へ前記脱着ユニットを移動させると共に、前記脱着ユニットを前記固定位置に保持する移動手段と、前記開閉部材に設けられ、前記開口部を開放する開放位置から前記開口部を閉止する閉止位置へ前記開閉部材を移動させると、前記移動手段を押して前記脱着位置に配置される前記脱着ユニットを前記固定位置へ移動させる作用手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載において、前記移動手段は、前記本体に回転可能に取り付けられ、前記脱着ユニットから離れる退避位置から保持位置へ回転して前記脱着ユニットを押圧して前記脱着位置から前記固定位置へ移動させる押圧部を備えるレバーと、前記レバーに設けられ、前記作用手段が当ると前記レバーを回転させる受部と、を有する移動部材と、前記脱着ユニットに設けられ、前記固定位置で前記押圧部を保持する係合部と、を備え、前記作用手段は、開放位置にある前記開閉部材を前記閉止位置へ移動させると前記退避位置にある前記移動部材の前記受部を押して前記レバーを前記保持位置へ回転させる当接部材であることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項2に記載において、前記保持位置に移動した前記レバーの前記押圧部と前記脱着ユニットとの間には、前記脱着ユニットを前記固定位置へ向けて付勢する第1付勢部材が設けられ、前記係合部は、前記第1付勢部材に形成された凹部であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1〜3何れか1項に記載において、前記本体には、前記脱着ユニットに電力を供給する第1コネクタ部材が設けられ、前記脱着ユニットには、前記脱着ユニットが前記脱着位置から前記固定位置に移動すると前記第1コネクタ部材に嵌る第2コネクタ部材が設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項1〜4何れか1項に記載において、前記脱着ユニットには、前記本体から駆動力が伝達されるギヤ部材が設けられ、前記ギヤ部材が回転して生じるモーメント力によって前記脱着ユニットが移動するのを抑制する移動抑制手段が前記脱着ユニットに設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項3〜5何れか1項に記載において、前記脱着ユニットが前記脱着位置から前記固定位置へ移動する方向は水平方向であって、前記第1付勢部材から付勢され、前記本体に接触する前記脱着ユニットには、一対の位置決部が前記脱着ユニットの中心を通る水平線を挟むように設けられ、前記第1付勢部材が前記脱着ユニットを固定位置へ向けて付勢する付勢位置は、前記一対の位置決部の間であって、前記水平線より上側であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に記載において、前記第1付勢部材が前記脱着ユニットを前記固定位置に向けて付勢する付勢方向は、水平方向に対して上側に傾けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、請求項2〜7何れか1項に記載において、前記移動部材を前記退避位置に保持する保持手段が設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、請求項8に記載において、前記退避位置に配置された前記移動部材の重心位置は、前記保持位置へ向う方向とは逆方向へ回転するように決められており、前記保持手段は、前記退避位置に配置された前記移動部材が前記逆方向へ回転するのを防止する回転止部であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、請求項8に記載において、前記保持手段は、前記移動部材を前記退避位置に付勢する第2付勢部材であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、請求項2〜10何れか1項に記載において、前記保持位置にある前記移動部材へ向って前記脱着ユニットが移動すると、前記押圧部が当っている前記脱着ユニットの部位と異なる部位と当る当部が、前記移動部材に設けられることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る画像形成装置は、請求項1〜11何れか1項に記載において、前記脱着ユニットには、前記脱着ユニットが前記固定位置に移動した際に前記本体と掛かり合い、前記脱着ユニットの垂直方向の移動を抑制する引掛部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1の構成によれば、この構成を有さない場合と比して、移動手段が脱着ユニットを固定位置で保持するため、駆動ギヤの駆動力を利用することなく、脱着ユニットを固定位置に保持することができる。
【0018】
本発明の請求項2の構成によれば、移動部材の受部を押す当接部材が設けられない場合と比して、移動部材を簡易な構成で退避位置から保持位置まで回転させることができる。
【0019】
本発明の請求項3の構成によれば、第1付勢部材に係合部が設けられない場合と比して、移動部材を保持位置に保持することで、保持位置に移動した移動部材が確実に脱着ユニットを固定位置に保持する。
【0020】
本発明の請求項4の構成によれば、この構成を有さない場合と比して、脱着ユニットを脱着位置から固定位置へ移動させると脱着ユニットの第2コネクタが本体の第1コネクタに嵌るため、第1コネクタを第2コネクタに嵌める手間が省ける。
【0021】
本発明の請求項5の構成によれば、移動抑制手段が設けられていない場合と比して、ギヤ部材が回転することで生じるモーメント力によって脱着ユニットが固定位置から移動するのを抑制することができる。
【0022】
本発明の請求項6の構成によれば、この構成を有さない場合と比して、第1付勢部材が、脱着ユニットを鉛直方向下方に設けられた位置決部を支点として、鉛直方向上方に設けられた位置決部を本体に押圧することで脱着ユニットを保持する。このため、例えば、脱着ユニットの下面を支持する部材が不十分でも脱着ユニットを確実に固定位置に保持することができる。
【0023】
本発明の請求項7の構成によれば、付勢方向が水平方向に対して上側に傾けられていない場合と比して、第1付勢部材は、鉛直方向下方に設けられた位置決部を支点として鉛直方向上方に設けられた位置決部を大きな力で本体に押圧することができ、さらに確実に、脱着ユニットを固定位置に保持することができる。
【0024】
本発明の請求項8の構成によれば、保持手段が設けられていない場合と比して、移動部材を確実に退避位置に保持することができる。
【0025】
本発明の請求項9の構成によれば、回転止部を有さない場合と比して、簡易な方法で移動部材を退避位置に保持することができる。
【0026】
本発明の請求項10の構成によれば、第2付勢部材を有さない場合と比して、簡易な方法で移動部材を退避位置に保持することができる。
【0027】
本発明の請求項11の構成によれば、当部が設けられていない場合と比して、第1付勢部材がへたるのを防止することができる。
【0028】
本発明の請求項12の構成によれば、落下等の衝撃を受けたときの脱着ユニットの浮きを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例を図1〜図13に従って説明する。
(全体構成)
図13に示されるように、この画像形成装置100は、一様に帯電した後、レーザ光を照射することにより表面に静電潜像が形成される感光体10と、感光体10の表面を一様に帯電させる帯電装置12と、画像データに基づいて感光体10にレーザ光を照射し静電潜像を形成する露光装置14と、この静電潜像にトナーを選択的に転移してトナー像として可視化する現像装置16と、搬送経路18に沿って供給される記録媒体としてのシート材Pに感光体10の表面に形成されたトナー像を転写する転写ロール20と、シート材P上のトナー像を加熱・加圧してシート材Pに定着させる定着ユニット22と、トナー像が転写された後の感光体10に残留するトナーを清掃するクリーニング装置24とを備えている。
【0030】
また、定着ユニット22は、画像形成装置100の本体100Aに対して脱着可能に設けられておる。さらに、定着ユニット22は、本体100Aに固定された状態で、開口部100Bを開閉する開閉カバー28で覆われており、この開閉カバー28は画像形成装置100の下側に設けられた回転軸26を中心に開閉される。なお、開閉カバー28及び定着ユニット22については詳細を後述する。
【0031】
また、この画像形成装置100の内部には、シート材Pを手差しで感光体10と転写ロール20で構成される画像形成部30へ供給することができる給紙装置32が備えている。さらに、この給紙装置32に載せられたシート材Pを画像形成部30へ向けて送り出す給紙ロール33が設けられている。
【0032】
また、この画像形成装置100内の下側には、シート材Pが複数枚積載された給紙カセット34が設けられている。給紙カセット34に載置されたシート材Pは、給紙カセット34の上方に設けられたピックアップロール36によって順次取り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール38と分離ロール40によって、一枚ずつ搬送される構成となっている。
【0033】
一方、前述した感光体10は、裏面に感光体層を有し、一様に帯電した後の露光により、露光部の電位が減衰するものである。
【0034】
さらに、帯電装置12は、感光体10に当接するロール状の部材であり、これらの間に電圧が印加されることによって、当接部付近の微少隙で放電が発生し、感光体10の表面をほぼー様に帯電するものである。帯電装置12としては、上記のものの他、電極ワイヤーに高電圧を印加し、コロナ放電によって感光体10を帯電するものを用いることもできる。
【0035】
また、露光装置14は、点滅するレーザ光を感光体10の周面に走査させ、画像データに基づいた静電潜像を感光体10の周面上に形成するものである。なお、書き込み装置としては、LED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものでもよい。
【0036】
さらに、現像装置16は、感光体10と近接して対向するように配置された円筒状の現像ロール16Aを有し、この現像ロール16Aと感光体10との間に現像バイアス電圧が印加される。これにより、現像ロール16Aと感光体10との間には現像バイアス電界が形成され、電荷を有するトナーが感光体10上の露光部に転移し、トナー像を形成する。
【0037】
また、転写ロール20は、感光体10と対向するように設けられたロール状の部材であり、感光体10との間に転写電界を形成することによって、画像形成部30を通過するシート材P上にトナー像を転移させるものである。
【0038】
上記構成による画像形成装置100では、次のようにして画像が形成される。
【0039】
まず、電圧が印加された帯電装置12は、感光体10の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。
【0040】
続いて、図示しないスキャナによって読み取られた画像データに基づいて露光装置14が帯電された感光体10の上に静電潜像を形成する。
【0041】
すなわち、図示しない制御装置から供給されるビデオデータに基づき、レーザをオン・オフすることによって画像データに対応した静電潜像が感光体10上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置16に備えられた現像ロール16Aから供給されるトナーによってトナー画像として可視化される。
【0042】
そこで、給紙カセット34からピックアップロール36によって取り出されたシート材Pが、給紙ロール38と分離ロール40によって一枚ずつ搬送ロール(図示省略)に渡され、搬送経路18に送り出されて感光体10と転写ロール20で形成される画像形成部30を通りトナー画像がシート材Pに転写される。この転写されたトナー画像は、定着ユニット22に備えられた加熱ロール22Hと加圧ロール22Nの間を通過することでシート材Pに定着され,搬送経路18下流に設けられた排出ロール42によって天板46の上面に排出される。
(要部構成)
次に、定着ユニット22及び開閉カバー28について説明する。
【0043】
図13の実線で示されるように、搬送されるシート材Pにトナー画像を定着させる場合、定着ユニット22は、フレーム(図示省略)に載せられて本体100Aに固定される固定位置に配置されている。さらに、定着ユニット22を本体100Aから離脱させる場合は、開閉カバー28を開放し、定着ユニット22を装置幅方向(図13矢印C方向)へ移動させ、脱着可能位置へ移動させる。そして、脱着可能位置に移動した定着ユニット22を鉛直方向(図13の矢印D方向)へ持上げて定着ユニット22を本体100Aから離脱させるようになっている。
【0044】
図1に示されるように、図示せぬフレームに載せらされ、本体100Aに固定される固定位置に配置された定着ユニット22の装置奥行方向(図1矢印E方向)の両端部近傍には、定着ユニット22の装置幅方向(図1矢印F方向)の移動を防止する移動部材50が設けられている。
【0045】
さらに、定着装置22を挟んで移動部材50の反対側には、定着ユニット22に電力を供給する第1コネクタ部材52が本体に固定されており、定着ユニット22に設けられた第2コネクタ部材54が装置幅方向で嵌め合わされている。なお、定着ユニット22の装置奥行方向(図1矢印E方向)への移動は、図示せぬレール部材によって防止されている。
【0046】
また、図12に示されるように、固定位置に配置される定着ユニット22の装置幅方向(図12矢印H方向)の位置を決める4個の位置決部74が定着ユニット22のユニット本体22Aから突出して設けられている。詳細には、第2コネクタ部材54が設けられたユニット本体22Aの装置奥行方向(図12矢印J方向)両側に、位置決部74は夫々2個づつ設けられ、両側に設けられた2個の位置決部74は、鉛直方向に離れて形成されている。
【0047】
さらに、定着ユニット22には、本体100Aから駆動力が伝達されるギヤ部材76が設けられており、本体100Aから駆動力が伝達されたギヤ部材76は、矢印K方向に回転するようになっている。そして、矢印K方向へギヤ部材76が回転すると、定着ユニット22を鉛直方向上方へ移動させようとするモーメント力が定着ユニット22に生じるようになっている。
【0048】
また、図4に示されるように、定着ユニット22の下面には、コ字形状の引掛部82が、装置奥行方向両側に設けられている。図5に示されるように、定着ユニット22が固定位置に配置された状態では、引掛部82は、本体フレーム80に設けられた矩形状の開口部80Aに挿入されて本体フレーム80に引っ掛り、定着ユニット22の鉛直方向上方への移動を防止するようになっている。
【0049】
つまり、ギヤ部材76によって生じた定着ユニット22を鉛直方向上方へ移動させようとするモーメント力は、突起部81が本体フレームに設けられた嵌合孔(図示省略)と嵌合することで打ち消される構成となっている。
【0050】
また、図4に示されるように、移動部材50は、本体100Aのブラケット56に設けられた回転軸58に回転可能に取り付られたレバー60と、後述する当接部材70(図9参照)から力を受けてレバー60を回転させる受部62を含んで構成されている。
【0051】
定着ユニット22を固定位置で保持する場合、移動部材50は、レバー60の長手方向を装置幅方向(図4矢印F方向)に向ける保持位置に配置される。
【0052】
また、図6、図7に示されるように、保持位置に配置された移動部材50のレバー60の先端部に設けられた押圧部60Aには、定着ユニット22に固定され第1付勢部材としての板バネ64が撓んで押付けられている。
【0053】
詳細には、板バネ64は、押圧部60Aに頂点が向けられた二つ折り形状とされており、その頂点には、押圧部60Aが嵌る凹部64Aが形成されている。この構成により、板バネ64の凹部64Aが押圧部60Aにより押圧され、板バネ64が定着ユニット22を固定位置に向けて付勢することで、前述した4個の位置決部74が本体に突き当たるようになっている。
【0054】
また、凹部64Aに押圧部60Aが嵌められた移動部材50は、保持位置に保持される。以上の構成により、保持位置に配置された移動部材50は、定着ユニット22を固定位置に保持するようになっている。
【0055】
また、図4、図6に示されるように、レバー60の側面には、定着ユニット22に向って凸となる突起部78が設けられており、突起部78と対向する定着ユニット22には、突起部78と距離をあけてくぼみ部84が設けられている。この構成により、外部から入力等で定着ユニット22が移動部材50へ向けて移動して、板バネ64撓んでも、突起部78とくぼみ部84が当り、定着ユニット22の移動が規制され、板バネ64が過度に撓むのが抑制されるようになっている。
【0056】
一方、図6に示されるように、移動部材50は、回転軸58を中心に回転可能に取り付けられており、板バネ64を撓ませながら、移動部材50を矢印G方向へ回転させると、定着ユニット22から離れる退避位置(図6に示す2点鎖線)へ移動部材50が移動するようになっている。
【0057】
退避位置に移動した移動部材50のレバー60の長手方向は鉛直方向に向いている。ここで、レバー60に一体的に形成された受部62の質量により、移動部材50の重心位置は、保持位置へ向う方向とは逆方向へ回転するようになっている。さらに、退避位置に配置された移動部材50が逆方向へ回転するのを防止する回転止部66が、本体100Aに固定されたブラケット56に設けられている。この構成により、移動部材50は退避位置で自立するようになっている。
【0058】
図2に示されるように、移動部材50を退避位置へ移動させると、定着ユニット22は、移動部材50に向う方向(図2矢印M方向)へ移動可能となる。この状態で、定着ユニット22を矢印M方向へ移動させると、定着ユニット22に設けられた第2コネクタ部材54が本体100Aに設けられた第1コネクタ部材54から取り外される。また、図11に示されるように、定着ユニット22の下面に設けられた引掛部82は、開口部80A内を移動して、本体フレーム80との引っ掛りが解除される。
【0059】
これにより、定着ユニット22は本体100Aから脱着可能とされる脱着位置へ移動する。つまり、開閉カバー28を開放させ、移動部材50を保持位置から退避位置へ回転させ、定着ユニット22を固定位置から脱着位置へ移動させ、この状態で、定着ユニット22を持上げると、図3に示されるように、定着ユニット22は、本体100Aから離脱するようになっている。なお、本実施形態では、固定位置から脱着位置への移動方向は、水平方向とされている。
【0060】
一方、図8に示されるように、移動部材50のレバー60の押圧部60Aは、移動部材50を退避位置から保持位置に向けて回転させることで、脱着位置に配置された定着ユニット22と当り、定着ユニット22を固定位置に向けて押圧するようになっている。これにより、移動部材50を保持位置へ移動させると、定着ユニット22は固定位置へ移動する構成となっている。
【0061】
さらに、図9に示されるように、開閉カバー28には、開放位置(図13に示す2点鎖線)に配置される開閉カバー28を閉止位置(図13に示す実線)に移動させると、退避位置に配置される移動部材50の受部62に当って、移動部材50を保持位置に移動させる当接部材70が設けられている。
【0062】
つまり、図9、図10に示されるように、開閉カバー28を開放位置から閉止位置へ移動させると、開閉カバー28に設けられた当接部材70が移動部材50の受部62と当って、移動部材50を退避位置から保持位置へ移動させる。移動部材50が退避位置から保持位置へ移動することで、図8に示されるように、移動部材50の押圧部60Aが脱着位置に配置された定着ユニット22を固定位置に向けて押圧する。そして、図10に示されるように、本体の第1コネクタ部材52へ定着ユニット22の第2コネクタ部材54が嵌り込み、定着ユニット22が固定位置に保持されるようになっている。
(作用)
以上の構成により、定着ユニット22を本体100Aから離脱、又は装着させる作業について説明する。
【0063】
図1に示されるように、保持位置に配置される移動部材50が、定着ユニット22を固定位置に保持している。詳細には、図6に示されるように、板バネ64の凹部64Aが押圧部60Aにより押圧され、板バネ64が定着ユニット22を固定位置に向けて付勢することで、4個の位置決部74(図12参照)が本体に突き当てられる。これにより、定着ユニット22が固定位置に保持される。
【0064】
また、移動部材50の押圧部60Aが、板バネ64の凹部64Aに嵌めこまれており、移動部材50は保持位置で保持されている。
【0065】
定着ユニット22を本体100Aから離脱させる場合には、図2、図6に示されるように、開閉カバー28(図13参照)を開放させ、移動部材50を保持位置から退避位置へ移動させる。この状態で、板バネ64の付勢力が開放される。そこで、定着ユニット22を固定位置(図1参照)から脱着位置(図2参照)まで移動させる。定着ユニット22を脱着位置へ移動させることで、第2コネクタ部材54は、本体100Aの第1コネクタ部材52から取り外される。また、図11に示されるように、定着ユニット22の下面に設けられた引掛部82の引っ掛りが解除される。
【0066】
さらに、図6に示されるように、退避位置に移動した移動部材50は、その重心位置により保持位置へ向う方向とは逆方向へ回転しようとするが、回転止部66に当って退避位置で自立する。
【0067】
図3に示されるように、この状態で、定着ユニット22を鉛直方向上方へ持上げることで、定着ユニット22を本体100Aから離脱させることができる。
【0068】
定着ユニット22を本体100Aに装着させる場合には、開閉カバー28(図13参照)開放させ、図3に示されるように、定着ユニット22を鉛直方向下方へ下ろし、図2に示す脱着位置へ配置する。
【0069】
そして、図9に示されるように、開放位置に配置された開閉カバー28を閉止位置へ移動させる。開閉カバー28を閉止位置へ移動させることで、開閉カバー28に設けられた当接部材70が、移動部材50の受部62に当って、退避位置で自立していた移動部材50を保持位置に向って移動させる。
【0070】
図8に示されるように、移動部材50を保持位置へ移動させることで、移動部材50の押圧部60Aが脱着位置に配置された定着ユニット22を押圧し、定着ユニット22は固定位置(図10参照)へ移動する。
【0071】
図6に示されるように、移動部材50が保持位置に移動することで、移動部材50の押圧部60Aは、板バネ64の凹部64Aに嵌り、移動部材50は保持位置に保持される。そして、板バネ64が定着ユニット22を固定位置に向けて付勢し、定着ユニット22は、固定位置に保持される。つまり、開閉カバー28に設けられた当接部材70が移動部材50の受部62を押して定着ユニット22を脱着位置から固定位置へ移動させたが、固定位置へ移動した後は、当接部材70とは無関係に、定着ユニット22が固定位置に保持される。
【0072】
また、定着ユニット22が固定位置へ移動することで、定着ユニット22の第2コネクタ部材54が本体の第1コネクタ部材52へ嵌め込まれる。さらに、図5に示されるように、定着ユニット22の下面に設けられた引掛部82は、本体フレーム80に設けられた矩形状の開口部80Aに挿入されて本体フレーム80に引っ掛る。
【0073】
ここで、図12に示されるギヤ部材76は、本体からの駆動力が伝達され、矢印K方向へ回転する。そして、ギヤ部材76が回転することで、定着ユニット22を鉛直方向上方へ移動させようとするモーメント力が生じる。しかし、この定着ユニット22を鉛直方向上方へ移動させようとするモーメント力は、突起部81が本体フレームに設けられた嵌合孔(図示省略)と嵌合することで打ち消され、定着ユニット22は、固定位置で保持される。
【0074】
また、図5、図6に示されるように、保持位置に移動した移動部材50の突起部78と距離をあけてくぼみ部84が設けられており、定着ユニット22が移動部材50へ向けて移動して、板バネ64が撓んでも、突起部78とくぼみ部84が当り、定着ユニット22の移動が規制される。つまり、板バネ64が過度に撓むのが抑制される。
【0075】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、本体100Aから脱着されるユニットを、定着ユニット22を用いて説明したが、転写ユニット、シート材Pの表裏を反転させる反転ユニット等に用いてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、移動部材50の重心位置を適切に設定し、回転止部66を用いて移動部材50を自立させたが、トーションスプリング等の付勢部材を用いて、移動部材を退避位置に付勢してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、付勢部材としての板バネ64を定着ユニット22に取り付けたが、レバー60に取り付けてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、板バネ64に凹部64Aを設けてレバー60を保持したが、板バネに凸部を設け、レバーにこの凸部に嵌る凹部を設けてもよい。
【0079】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例を図14に従って説明する。
【0080】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図14に示されるように、第1実施形態では特に言及しなかったが、第2実施形態では、定着ユニット22の中心を通る水平線を挟むように、位置決部104が設けられている。さらに、板バネ102が定着ユニット22を付勢する付勢方向は水平方向であって、付勢位置は一対の位置決部104の間であり、また、定着ユニット22の中心を通る水平線より上側である。
【0082】
この構成により、板バネ102の付勢力により、下方に設けられた位置決部104を支点として、上方に設けられた位置決部104を本体に押圧することができる。
【0083】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、板バネ102の付勢方向を水平方向としたが、水平方向に対して上側に傾けてもよい。この場合には、下方に設けられた位置決部を支点するモーメント力が、付勢方向を水平方向とする場合と比して、大きくなる。つまり、上方に設けられた位置決部104が本体を押圧する力は、付勢方向を水平方向とする場合と比して大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用され、固定位置に配置された定着ユニットを示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用され、脱着位置に配置された定着ユニットを示した斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用され定着ユニットを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニット及び移動部材を示した拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニット及び移動部材を示した拡大斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された移動部材等を示した側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された移動部材及び板バネ等を示した斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニット及び移動部材を示した拡大斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用されたベルト搬送装置を示した分解斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニット、移動部材及び開閉カバーを示した側面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニット、移動部材及び開閉カバーを示した側面図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニットの端部を示した拡大斜視図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に採用された移動部材、板バネ及び定着ユニット等を示した側面図である。
【符号の説明】
【0085】
22 定着ユニット(脱着ユニット)
50 移動部材(移動手段)
52 第1コネクタ部材
54 第2コネクタ部材
60 レバー
60A 押圧部
62 受部
64 板バネ(第1付勢部材)
64A 凹部(係合部)
66 回転止部
70 当接部材
74 位置決部
76 ギヤ部材
78 突起部(当部)
81 突起部(移動抑制手段)
82 引掛部
100 画像形成装置
100B 開口部
100A 本体
102 板バネ(第1付勢部材)
104 位置決部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の開口部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材を開放して、本体に脱着可能とされる脱着ユニットと、
前記脱着ユニットが前記本体から脱着可能とされる脱着位置から前記脱着ユニットが前記本体に固定される固定位置へ前記脱着ユニットを移動させると共に、前記脱着ユニットを前記固定位置に保持する移動手段と、
前記開閉部材に設けられ、前記開口部を開放する開放位置から前記開口部を閉止する閉止位置へ前記開閉部材を移動させると、前記移動手段を押して前記脱着位置に配置される前記脱着ユニットを前記固定位置へ移動させる作用手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記本体に回転可能に取り付けられ、前記脱着ユニットから離れる退避位置から保持位置へ回転して前記脱着ユニットを押圧して前記脱着位置から前記固定位置へ移動させる押圧部を備えるレバーと、前記レバーに設けられ、前記作用手段が当ると前記レバーを回転させる受部と、を有する移動部材と、
前記脱着ユニットに設けられ、前記固定位置で前記押圧部を保持する係合部と、を備え、
前記作用手段は、開放位置にある前記開閉部材を前記閉止位置へ移動させると前記退避位置にある前記移動部材の前記受部を押して前記レバーを前記保持位置へ回転させる当接部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持位置に移動した前記レバーの前記押圧部と前記脱着ユニットとの間には、前記脱着ユニットを前記固定位置へ向けて付勢する第1付勢部材が設けられ、前記係合部は、前記第1付勢部材に形成された凹部であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体には、前記脱着ユニットに電力を供給する第1コネクタ部材が設けられ、
前記脱着ユニットには、前記脱着ユニットが前記脱着位置から前記固定位置に移動すると前記第1コネクタ部材に嵌る第2コネクタ部材が設けられることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記脱着ユニットには、前記本体から駆動力が伝達されるギヤ部材が設けられ、
前記ギヤ部材が回転して生じるモーメント力によって前記脱着ユニットが移動するのを抑制する移動抑制手段が前記脱着ユニットに設けられることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項6】
前記脱着ユニットが前記脱着位置から前記固定位置へ移動する方向は水平方向であって、
前記第1付勢部材から付勢され、前記本体に接触する前記脱着ユニットには、一対の位置決部が前記脱着ユニットの中心を通る水平線を挟むように設けられ、
前記第1付勢部材が前記脱着ユニットを固定位置へ向けて付勢する付勢位置は、前記一対の位置決部の間であって、前記水平線より上側であることを特徴とする請求項3〜5何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項7】
前記第1付勢部材が前記脱着ユニットを前記固定位置に向けて付勢する付勢方向は、水平方向に対して上側に傾けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移動部材を前記退避位置に保持する保持手段が設けられることを特徴とする請求項2〜7何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項9】
前記退避位置に配置された前記移動部材の重心位置は、前記保持位置へ向う方向とは逆方向へ回転するように決められており、
前記保持手段は、前記退避位置に配置された前記移動部材が前記逆方向へ回転するのを防止する回転止部であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記保持手段は、前記移動部材を前記退避位置に付勢する第2付勢部材であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記保持位置にある前記移動部材へ向って前記脱着ユニットが移動すると、前記押圧部が当っている前記脱着ユニットの部位と異なる部位と当る当部が、前記移動部材に設けられることを特徴とする請求項2〜10何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項12】
前記脱着ユニットには、前記脱着ユニットが前記固定位置に移動した際に前記本体と掛かり合い、前記脱着ユニットの垂直方向の移動を抑制する引掛部が設けられることを特徴とする請求項1〜11何れか1項に記載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−229929(P2009−229929A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76676(P2008−76676)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】