説明

画像形成装置

【課題】画像形成部が画像形成処理を行なう移動範囲内にキャップ部材を配置して装置の小型化を図りつつ、用紙の縁まで画像形処理を行なうことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、搬送ローラ41、インクキャップ駆動機構20、制御部60を備え、画像形成部11は予め設定された移動範囲内で画像形成処理を行ない、フレームFL1、FL3は搬送経路Aを挟んで画像形成部11と上記移動範囲内で対向する位置に配置されフレームFL3には開口部30Aとインク吸収スポンジ21とが配置されている。インクキャップ駆動機構20は開口部30Aを経由してインクキャップ22をキャップ位置とフレームFL1を挟んで搬送経路Aと離隔する退避位置との間で往動自在に移動させる。制御部60は画像形成処理を行なうときには退避位置へ、画像形成処理を行なわないときにはキャップ位置へインクキャップ22を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクを吐出して画像形成を行なう画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式等の画像形成装置では、インクヘッドを用紙の搬送方向と交差する方向に移動させながら予め設定された移動範囲内でインクを吐出し用紙に画像形成を行なう。このような画像形成装置では、吐出不良を防止するために画像形成を行なわないときにはノズルにキャップをしておく必要がある。
【0003】
このため、画像形成を行なう移動範囲とノズルにキャップをするキャップ位置とを用紙搬送方向と交差する幅方向に並べて別々に設ける必要があった。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−210269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に示す画像形成装置のように、画像形成部が画像形成を行なう移動範囲とノズルにキャップをするキャップ位置とを別々に設けることは装置の小型化を図る上で問題であった。
【0005】
一方、画像形成部がノズルにキャップをするキャップ位置を上記移動範囲内に設ける場合には、ノズルから吐出されるインクがキャップ部材に付着するおそれがある。キャップ部材にインクが付着すると、通過する用紙にインクが付着するという問題がある。
【0006】
一般に、用紙の縁まで画像形成処理を行なう、いわゆるフチ無し印刷を行なう場合には、用紙の縁よりもわずかにはみ出す位置までインクを吐出する必要がある。
【0007】
このため、画像形成部が画像形成を行う移動範囲内にノズルにキャップをするキャップ位置を設ける場合には、用紙の縁まで画像形成処理を行なう、いわゆるフチ無し印刷を行なうことはできなかった。
【0008】
本発明は、画像形成部が画像形成処理を行なう移動範囲内にキャップ部材を配置して装置の小型化を図りつつ、用紙の縁まで画像形処理を行なうことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の画像形成装置は、搬送部材、画像形成部、面部材、キャップ部材、移動機構、制御部を備えている。搬送部材は、所定の搬送方向に沿って形成された搬送経路内で用紙を搬送する。画像形成部は、インクを吐出するノズルを有している。画像形成部は、搬送方向と交差する方向に予め設定された移動範囲を移動しつつノズルからインクを吐出し、搬送方向に搬送される用紙に画像形成処理を行なう。面部材は、搬送経路を挟んで画像形成部に移動範囲内で対向する位置に配置され、ノズルから吐出されるインクを吸収する第1吸収部材と開口部とが設けられている。キャップ部材は、ノズルを被覆可能に形成されている。移動機構は、開口部を経由して、搬送経路に露出しノズルを被覆するキャップ位置と、面部材における搬送経路側の面の反対側の面に対向する退避位置との間でキャップ部材を往動自在に移動させる。制御部は、画像形成部に画像形成処理を実行させるときには移動機構にキャップ部材を退避位置へ移動させ、画像形成部に画像形成処理を実行させないときには移動機構にキャップ部材をキャップ位置へ移動させる。
【0010】
この構成において、画像形成処理を実行するときはキャップ位置からキャップ部材を退避させて、キャップ部材にインクが付着するのを防止することができる。また、画像形成部がインクを吐出する移動範囲と対向する位置にキャップ部材を配置して装置の小型化を図ることができる。
【0011】
この構成において、移動機構は、開口部の直下方に位置し且つ退避位置と水平を成す中間位置を経由してキャップ位置または中間位置へキャップ部材を移動させるものとしても良い。これにより、中間位置を経由してキャップ部材を移動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、画像形成部が画像形成を行なう移動範囲と対向する位置にキャップ部材を配置して装置の小型化を図りつつ、用紙の縁まで画像形成処理を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態に係るプリンタについて、図面に基づいて説明する。図1は、プリンタ(画像形成装置)1の外観図である。図2はプリンタ1の内部構成を示す断面図である。ここで、プリンタ1の前後方向を方向Xとする。プリンタ1の幅方向を方向Yとする。プリンタ1の高さ方向を方向Zとする。なお、図2では、画像形成部11およびインク吸収スポンジ(第3吸収部材)25は破線で示している。
【0014】
プリンタ1は、主として、用紙トレイ2、筐体3、用紙搬送機構6、画像形成部11、インクキャップ駆動機構20、インク吸収スポンジ25、制御部60を備えている。
【0015】
用紙搬送機構6は、給紙ローラ40、搬送ローラ(搬送部材)41、搬送ガイド41G、排紙ローラ対42、43を有し、搬送経路Aに沿って用紙を用紙トレイ2から排紙口3Aへ搬送する。
【0016】
筐体3は、用紙搬送機構6、画像形成部11、インクキャップ駆動機構20を格納する。筐体3の前面下部には排紙口3Aが設けられている。
【0017】
用紙トレイ2は、背面側の給紙口の近傍からに配置されており、所定枚数の用紙を積層した状態で保持している。給紙ローラ40は、用紙トレイ2にセットされた用紙を1枚ずつ下方へ繰り出す。繰り出された用紙は、搬送ローラ41および搬送ガイド41Gの間に狭持されるとともに、搬送ローラ41によって搬送位置を微調整されてから直下流側の印字領域Pへ送り出される。印字領域Pを通過した用紙は排紙ローラ対42、排紙ローラ対43に狭持搬送され排紙口3Aから排出される。
【0018】
画像形成部11は、用紙の搬送方向と直交する方向Yに移動しつつ吐出ノズル10Aからインクを吐出するキャリア10と、キャリア10の駆動を制御する駆動モータM1と、を有している。画像形成部11は、駆動モータM1を介してキャリア10の駆動を制御する。
【0019】
キャリア10は、印字領域Pの直上方の予め設定された移動範囲を方向Yに移動しつつ搭載するインクカートリッジから吐出ノズル10Aを介してインクを吐出し、印字領域Pを通過する用紙に画像形成処理を行なう。ここで、印字領域Pは、搬送ローラ41と排紙ローラ対42との間に設けられている。
【0020】
インクキャップ駆動機構20は、画像形成部11が画像形成処理を行なわないときに印字領域Pに面する開口部30Aから上方の搬送経路A内に突き出すキャップ位置へインクキャップ22を移動させる。一方、インクキャップ駆動機構20は、画像形成部11が画像形成処理を行なうときには開口部30Aに面する直下方の所定位置(中間位置)にインク吸収スポンジ(第2吸収部材)24Dを移動させる。
【0021】
インク吸収スポンジ25は、図示しない支持フレームを介して筐体3に固定され、給紙ローラ40の直下方に配置されている。インク吸収スポンジ25は、インク吸収スポンジ24Dが後方へ移動したときにインク吸収スポンジ24Dに当接して付着しているインクを吸着する。これにより、インク吸収スポンジ24Dが後方へ移動するごとに、インク吸収スポンジ24Dからインクを吸着することができる。なお、本実施形態では、インク吸収スポンジ25はインク吸収スポンジ24Dが後方へ移動したときに、インク吸収スポンジ24Dに面する位置に配置する例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置1の装置内部の設置スペースの仕様応じて変更しても良い。より具体的には、インク吸収スポンジ24Dが後方へ移動したときにインク吸収スポンジ24Dの一部分に面する位置、または右側面や左側面に当接する位置に配置するものとしても良い。また、インク吸収スポンジ24Dが充分な量のインクを吸着することができる場合には、インク吸収スポンジ25を設けなくとも良い。
【0022】
制御部60は、画像形成部11、インクキャップ駆動機構20、用紙搬送機構6を制御する。
【0023】
図3は、インクキャップ22が開口部30Aから搬送経路A内に露出するキャップ位置に付勢されているときの開口部30A周辺の構成を示す斜視図である。図4は、フレーム(面部材)FL1およびフレーム(面部材)FL3を取り除いて図3に示す開口部30A周辺の構成を示す図である。本実施形態では、後段にて詳述するように、制御部60がインクキャップ22をキャップ位置に移動させるときには、キャリア10をインクキャップ22の直上方へ移動させてからインクキャップ22をキャップ位置へ移動させる。なお、図3、4では、インクキャップ22周辺の構成を図示するためキャリア10の図示を省略している。
【0024】
図5は、インク吸収スポンジ24Dが開口部30Aの直下方の所定位置に移動しているときの画像形成部11周辺の構成を示す斜視図である。図6は、フレームFL1およびフレームFL3を取り除いて所定位置にインク吸収スポンジ24Dが位置しているときのインクキャップ駆動機構20周辺の構成を示す図である。
【0025】
筐体3の底部は、上下2層に分割されている。上層と下層は、フレームFL1、フレームFL3から成る用紙搬送路によって区画されている。下層の底面は、筐体3の外郭の一部を成すフレームFL2によって形成されている。
【0026】
フレームFL2には、インクキャップ駆動機構20が配置されるとともにガイド溝30Bが設けられている。
【0027】
フレームFL1およびフレームFL3は、印字領域Pと搬送経路Aを挟んで対向する位置に配置されている。
【0028】
フレームFL1は、排紙ローラ対42と排紙ローラ対43との間の搬送経路Aに沿って形成された搬送路の底面を形成している。
【0029】
フレームFL3は、搬送ローラ41と排紙ローラ対42との間の印字領域Pの直下方に位置する上記搬送路の底面を形成し、中央部に開口部30Aが設けられている。フレームFL3は、フレームFL1よりも低い位置に設けられており、その上面はほぼ全幅にわたってインク吸収スポンジ(第1吸収部材)21に被覆されている。これにより、インク吸収スポンジ21に吸着されているインクが用紙搬送路Aに沿って搬送される用紙に付着するのを防止している。
【0030】
インク吸収スポンジ21は、印字領域Pに面する位置に配置されており、吐出ノズル10Aから吐出されるインクを吸着する。これにより、用紙にインクが付着するのを防止している。
【0031】
排紙ローラ対42、43は、画像形成部11の下流側に配置されており、画像形成処理された用紙を排紙口3Aへ搬送するローラ対である。なお、図2〜3、5では、排紙ローラ対42、43のうち下側のローラのみ図示している。
【0032】
図7は、図3に示すインクキャップ22がキャップ位置に位置しているときの画像形成部11周辺の断面構成を示す概略図である。
【0033】
一方、図8は、図5に示すインク吸収スポンジ24Dが所定位置に位置しているときの画像形成部11周辺の断面構成を示す概略図である。
【0034】
インクキャップ駆動機構20は、インクキャップ22、インクキャップ台座(支持部材)23、駆動ベース(付勢手段)24、駆動モータ(駆動部)M2、を備えている。図9は、インクキャップ台座23の構成を示す外観図である。図10は、駆動ベース24の構成を示す外観図である。
【0035】
駆動ベース24は、リブ(突出部)24A、ガイド溝24B、台座(当接部)24C、ギア列24Gが設けられている。
【0036】
ガイド溝24Bは、駆動ベース24の両端部にX方向を長手方向として形成されており、Z方向すなわち上下方向に駆動ベース24を貫通して設けられている。
【0037】
リブ24Aは、ガイド溝24Bよりも中央部寄りにX方向を長手方向として2つ並行に設けられている。リブ24Aは、後方側の端部が後方へ向かって下方へ傾斜しスロープ状に形成されている。ここで、リブ24AのZ方向の突き出し長さは、インクキャップ台座23を所定位置からキャップ位置へ付勢する長さと等しい長さである。さらに、上記端部の傾斜は、インクキャップ台座23をX方向に付勢しつつ、且つ、インクキャップ台座23のX方向への移動が規制されるとインクキャップ台座23をZ方向へ付勢する角度に設定されている。上記角度は、リブ24Aの移動速度やインクキャップ台座23の重量に基づいて設定されている。
【0038】
台座24Cは、駆動ベース24の後端部に箱状に形成されている。台座24Cの上面にはインク吸収スポンジ24Dが全面に配置されている。なお、本実施形態では、台座24Cの上面にインク吸収スポンジ24Dが配置されている例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、台座24Cとインク吸収スポンジ24Dとは駆動ベースの仕様に応じて、別々に設けるものとしても良い。
【0039】
ギア列24Gは、駆動ベース24の左端側から後方へ直線状に延設されている。ギア列24Gは、駆動モータM2の駆動軸に軸支された駆動ギアGM2と噛合している。
【0040】
フレームFL2の駆動ベース24に面する位置にはX方向を長手方向とするリブ(図示せず)が複数設けられている。これにより、駆動ベース24とフレームFL2の接触面積を少なくして駆動ベース24をスムーズに移動させることができる。なお、駆動ベース24とフレームFL2との間の摩擦が少ない場合にはリブを設けなくとも良い。
【0041】
インクキャップ台座23は、上面にインクキャップ22が載置されている。インクキャップ台座23の方向Yにおける両端部には下方に向かって延設された係止部23Aが設けられている。係止部23Aは、前面側が後方に傾斜する絞り形状を呈している。係止部23Aの下端部は駆動ベース24のガイド溝24Bを貫通してフレームFL2に形成されたガイド溝30BにX方向およびZ方向に沿って移動自在に係止されている。これにより、インクキャップ台座23をX方向にスムーズに移動させることができる。
【0042】
ここで、ガイド溝30Bの後方の側面(規制手段)30Cは、開口部30Aの後端の側面よりもわずかに前方に形成されている。
【0043】
このため、係止部23Aがガイド溝30Bの後方の側面30Cと当接するとインクキャップ台座23は後方への移動を規制される。さらに、リブ24Aが後方へ移動すると、インクキャップ台座23は直上方の開口部30Aを経てキャップ位置へ付勢される。
【0044】
ガイド溝24BのX方向の長さは、第1駆動位置から第2駆動位置まで駆動ベース24を移動させるときの移動距離よりも長く設けられている。ガイド溝30Bは、開口部30Aの直下方から排紙ローラ対43の直下方近傍までX方向に沿って設けられている。このため、インクキャップ台座23をキャップ位置または排紙ローラ対42の直下方に位置する退避位置へ所定位置を経由して移動させることができる。
【0045】
インクキャップ22は、吐出ノズル10Aに被覆可能に形成されており、吐出ノズル10Aを被覆するキャップ部材である。なお、本実施形態では、吐出ノズル10Aの先端を塞いでインクの乾燥を防止するインクキャップを用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、吐出ノズル10Aに被覆し所定の負圧を作用させてインクを吸引するインクキャップを用いても良い。
【0046】
制御部60は、駆動モータM2の駆動を制御して駆動ベース24を、図7に示す後方の第1駆動位置と、図8に示す前方の第2駆動位置のいずれかに移動させる。制御部60による駆動ベース24の駆動制御について、より具体的に説明すると以下の通りである。
【0047】
制御部60は、画像形成処理を実行しないときには、キャリア10を開口部30の直上方へ移動させる。さらに、制御部60は、駆動モータM2を駆動して駆動ベース24を後方の第1駆動位置へ移動させる。インクキャップ台座23は、駆動ベース24の第1駆動位置への移動に伴ってリブ24Aに付勢され後方へ移動する。インクキャップ台座23は、所定位置まで移動すると係止部23Aとガイド溝30Bの後方の側面30Cが当接し後方への移動が規制される。一方、インクキャップ台座23は、前方からリブ24Aに付勢される。ここで、リブ24Aの後方の端部は後方へ向かって下方に傾斜している。このため、インクキャップ台座23は所定位置から上方へ付勢され、インクキャップ22は開口部30Aを上方に突き抜けてキャップ位置へ付勢される。これにより、インクキャップ22を吐出ノズル10Aにキャップするキャップ位置まで移動させることができる。なお、本実施形態では、所定位置においてインクキャップ22をキャップ位置まで上方へ付勢するものとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置1の仕様に応じて、キャップ位置が所定位置と一致する場合には、所定位置から上方へインクキャップ22を付勢しなくとも良い。より具体的には、例えば、開口部30Aの退避位置側を開放端とし、キャップ位置と退避位置との上下方向の位置を等しく設けることが考えられる。これらの場合には、X方向の移動のみによってインクキャップ22を退避位置またはキャップ位置へ移動させることができる。但し、フレームFL1、フレームFL3を挟んで搬送経路に沿って搬送される用紙から隔離された位置に退避位置を設ける方がより好ましい。このため、本実施形態のインクキャップ駆動機構20のように直交する2方向にインクキャップ22を移動させる方がより好ましい。
【0048】
また、本実施形態では、インクキャップ22をリブ24Aによって上方へ付勢する例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リブ24Aの代わりにばね部材を用いて所定位置で上方へインクキャップ台座23を上方へ付勢するものとしても良い。
【0049】
一方、制御部60は画像形成処理を実行するときに、駆動モータM2を駆動して駆動ベース24を第1駆動位置から前方の第2駆動位置へ移動させる。駆動ベース24の前方への移動に伴って、リブ24Aが前方へ移動しインクキャップ台座23はリブ24Aの傾斜に沿って下方へ除々に移動する。これにより、インクキャップ台座23はキャップ位置から開口部30Aを経て所定位置まで直下方へ移動する。駆動ベース24がさらに前方へ移動すると、台座24Cがインクキャップ台座23に当接し前方の退避位置へ付勢する。これにより、画像形成部11が画像形成処理を実行するときには印字領域Pからインクキャップ台座23を退避させることができる。このため、吐出ノズル10Aから吐出されたインクがインクキャップ台座23に付着するのを防止することができる。
【0050】
駆動ベース24が第2駆動位置まで移動した状態では、駆動ベース24の後方に設けられた台座24Cは所定位置まで前方へ移動している。これにより、台座24Cの上面に配置されたインク吸収スポンジ24Dを開口部30に面する位置へ移動させることができる。このため、吐出ノズル10Aから吐出されるインクをインク吸収スポンジ24Dによって吸着することができる。この結果、開口部30A周辺において、画像形成処理を行なう用紙から吐出されたインクが下方へはみ出して、インクミストが発生してもインクを吸着することができる。さらに、画像形成処理を行なう際に開口部30A周辺の直上方を用紙の縁部分が通過し、その縁部分に対してフチ無し印刷を行なっても発生するインクミストを吸着することができる。
【0051】
また、上面視において印字領域P内にインクキャップ22を配置することができるので、Y方向に印字領域Pとキャップ位置とを並べて設ける必要がない。このため、画像形成装置1のY方向の長さを短くし、装置の小型化を図ることができるというメリットもある。
【0052】
上記実施形態では、インクキャップ駆動機構20は、インク吸収スポンジ24Dを有している例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置の仕様に応じてインク吸収スポンジ24Dを設ける必要が無い場合には、インク吸収スポンジ24Dを設けなくとも良い。但し、この場合には、吐出ノズル10Aから吐出されるインクを吸着することができないので、本実施形態のようにインク吸収スポンジ24Dを設ける方がより好ましい。
【0053】
上記実施形態では、インクキャップ駆動機構20は、直交する2方向、すなわちX方向およびZ方向にそれぞれ移動させてインクキャップ22を退避位置またはキャップ位置へ移動させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置の仕様に応じて、退避位置を画像形成装置1の幅方向の端部側に設けることも考えられる。この場合には、Y方向およびZ方向にそれぞれ移動させてインクキャップ22を退避位置またはキャップ位置へ移動させることで上記実施形態に係る画像形成装置1と同様の効果を得ることができる。
【0054】
上記実施形態では、係止部23Aをガイド溝24Bおよびガイド溝30BにX、Z方向に移動自在に係合させ、リブ24Aがインクキャップ台座23を吐出ノズル10Aにキャップする位置へ付勢し、台座24Cが退避位置にインクキャップ台座23を付勢する例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、インクキャップ台座23をキャップ位置または退避位置との間で移動自在に支持する支持アーム部材を設けるといったことも考えられる。
【0055】
図1〜10において、各部の断面図示については簡単のため一部を適宜省略するとともに摸式的に示している。
【0056】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一実施形態に係るプリンタの全体の構成を示す図である。
【図2】プリンタの内部構成を模式的に示す断面図である。
【図3】インクキャップが開口部に面しているときの印字領域周辺の構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示す印字領域周辺の構成からフレームを取り除いた状態を示す図である。
【図5】駆動ベースに配置されたインク吸収スポンジが開口部に面しているときの印字領域周辺の構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す印字領域周辺の構成からフレームと取り除いた状態を示す図である。
【図7】図3に示すインクキャップが開口部に面している状態における駆動ベース周辺の構成を模式的に示す図である。
【図8】図5に示すインク吸収スポンジが開口部に面している状態における駆動ベース周辺の構成を模式的に示す図である。
【図9】インクキャップ台座の外観図である。
【図10】駆動ベースの外観図である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
20 インクキャップ駆動機構
21 インク吸収スポンジ(第1吸収部材)
22 インクキャップ(キャップ部材)
30A 開口部
41 搬送ローラ(搬送部材)
60 制御部
FL1 フレーム(面部材)
FL3 フレーム(面部材)
A 搬送経路
P 印字領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に沿って形成された搬送経路内で用紙を搬送する搬送部材と、
インクを吐出するノズルを有し、前記搬送方向と交差する方向に予め設定された移動範囲を移動しつつ前記ノズルからインクを吐出し、前記搬送方向に搬送される用紙に画像形成処理を行なう画像形成部と、
前記搬送経路を挟んで前記画像形成部に前記移動範囲内で対向する位置に配置され、前記ノズルから吐出されるインクを吸収する第1吸収部材と開口部とが設けられた面部材と、
前記ノズルを被覆可能に形成されたキャップ部材と、
前記開口部を経由して、前記搬送経路に露出し前記ノズルを被覆するキャップ位置と、前記面部材における前記搬送経路側の面の反対側の面に対向する退避位置との間で前記キャップ部材を往動自在に移動させる移動機構と、
前記画像形成部に画像形成処理を実行させるときには前記移動機構に前記キャップ部材を前記退避位置へ移動させ、前記画像形成部に画像形成処理を実行させないときには前記移動機構に前記キャップ部材を前記キャップ位置へ移動させる制御部と、
を備えている画像形成装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記開口部の直下方に位置し且つ前記退避位置と水平を成す中間位置を経由して前記キャップ位置または前記中間位置へ前記キャップ部材を移動させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記キャップ部材を支持する支持部材と、前記支持部材を上下方向および水平方向に移動自在に支持しつつ前記キャップ部材を前記キャップ位置に付勢する第1駆動位置または前記キャップ部材を前記退避位置に付勢する第2駆動位置との間を水平方向に移動する付勢手段と、前記付勢手段が第1駆動位置へ移動するときに前記支持部材と当接して前記中間位置から前記退避位置と離間する水平方向への前記支持部材の移動を規制する規制手段と、前記付勢手段を駆動する駆動部を有し、
前記付勢手段は、前記第2駆動位置から前記第1駆動位置へ移動するときに前記支持部材と当接する突出部と、前記第1駆動位置から前記第2駆動位置へ移動するときに前記支持部材と当接する当接部とを有し、
前記突出部は、前記支持部材と当接する当接面が前記退避位置から前記中間位置へ向かって下方に傾斜し、その上下方向の突き出し長さが前記中間位置から前記キャップ位置まで前記キャップ部材を付勢する長さに形成されている、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記付勢手段が前記第2駆動位置に移動しているときに前記開口部に面する位置にインクを吸収する第2吸収部材をさらに有している、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢手段が前記第1駆動位置に移動しているときに、前記第2吸収部材と当接して前記第2吸収部材からインクを吸収する第3吸収部材をさらに備えている、
請求項3または4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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