説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の部品やユニットの交換をユーザがする際に、交換作業に必要以上に時間がかかっている事態に適切な対応を可能にする。
【解決手段】交換可能な部品およびユニットと、前記各部品またはユニットの交換開始から交換完了に至る間に経過時間を測定する測定部と、前記部品およびユニットの交換に要する基準時間を記憶した記憶部と、前記部品またはユニットの交換に際し前記測定部で測定された経過時間と前記記憶部に記憶された基準時間とを比較し、前記経過時間が前記基準時間を超える場合、異常であると判定する制御部とを備えるので、ユーザーが交換作業に必要以上に時間を要している異常を直ちに把握して必要な措置を的確に講じることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データに基づいて画像形成を行い、少なくとも一部の部品およびユニットが交換可能となっている画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムなどの像担持体上にレーザ光などを用いた書き込みユニットによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーボトルに収容されているトナーを用いて現像し、これを給紙ローラで給紙される用紙に直接または転写ベルトなどを介して転写する。その後、定着器において加圧および加熱を行い、用紙上のトナーを定着させている。
【0003】
上記感光体ドラムや給紙ローラ、書き込みユニット、トナーボトル、定着器などは、その寿命が使用回数でほぼ定まる部品やユニットであり、これら部品やユニットを交換可能にして、適正な時期に交換作業を行うことで画像品質を良好に維持できるようにしている。この交換を適切な時期に実行可能とするために、画像形成装置の使用実績などをサービスセンタで把握して管理する保守システムも提案されている(例えば特許文献1参照)。
交換作業は、従来は、習熟したサービスマンによって行われるのが一般的である。しかし、上記した定期交換の他に、所望の時期(年末時など)に交換を行いたいという要望や、印刷目的などによって部品やユニットを交換したいという要望もあり、最近では、ユーザによって部品やユニットの交換を容易に行えるように構成した画像形成装置も提供されている。
【特許文献1】特開2008−65824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザーは、交換部品、交換ユニットの構造等を十分に把握しているわけではなく、また、必ずしも交換作業に習熟しているものではない。このため、部品・ユニットの交換に際し、必要以上に時間を要したり、交換部品・ユニットに不良があってもこれを容易に把握することができない場合がある。このような場合にも、ユーザーがトラブル発生を認識して自発的にサービスマンやサービスセンタに連絡しない限りは相手先では状況を把握することができず、連絡を受けて初めて事態を把握することになり、管理上好ましくない。また、ユーザー側では、交換作業が円滑になされない場合、通常は、ユーザーが長い時間をかけて対応した後、サービスへ連絡するので、ダウンタイムが必要以上に長くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ユーザーの部品・ユニットの交換作業に際し、交換作業に必要以上に時間を要する場合には、異常判定をして適切な対応を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、交換可能な部品およびユニットと、前記各部品またはユニットの交換開始から交換完了に至る間に経過時間を測定する測定部と、前記部品およびユニットの交換に要する基準時間を記憶した記憶部と、前記部品またはユニットの交換に際し前記測定部で測定された経過時間と前記記憶部に記憶された基準時間とを比較し、前記経過時間が前記基準時間を超える場合、異常であると判定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明によれば、部品・ユニットの交換の際に、交換開始からの経過時間が自動的に観察され、交換作業に必要以上に時間がかかる場合には、異常であると判定し、適切な対応を図ることが可能になる。
【0008】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、予め設定した相手先に異常通知を行うことを特徴とする。
【0009】
上記本発明によれば、交換作業に必要以上に時間がかかる場合に、サービスマンやサービスセンタなどに通知して迅速な対応を図ることが可能になる。
【0010】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第1または第2の本発明において、画面を表示する表示部を備えており、前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記表示部に所定の画面を表示することを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、交換作業に必要以上に時間がかかる場合に、表示部に所定の画面表示を行うことで操作者に交換作業に必要以上に時間を要して事態を容易に把握可能にしたり、交換作業を補助する情報を与えたりすることができる。
【0012】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第3の本発明において、前記所定の画面はポップアップ画面からなることを特徴とする。
【0013】
上記本発明によれば、所定の操作画面などに一部を重ねて上記画面を表示でき、所定の操作画面などの情報を確認しつつ、異常判定に関わる所定の画面を視認することができる。
【0014】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第3または第4の本発明において、前記所定の画面がトラブルシュート画面であることを特徴とする。
【0015】
上記本発明によれば、画面の情報によって交換作業でのトラブルを容易に解決することが可能になる。
【0016】
第6の本発明の画像形成装置は、前記第3〜第5のいずれかの本発明において、前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記表示部に、予め設定した相手先に異常通知を行うか否かの選択を要求する表示を行うことを特徴とする。
【0017】
上記本発明によれば、作業に必要以上に時間がかかっている場合に、その状況をサービスセンタに通知するか否かを操作者の任意の選択に委ねることができ、操作者の意に沿わない通知を回避できる。
【0018】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第6の本発明において、前記制御部は、前記表示部での選択要求に際し、操作者によって前記異常通知の実行が選択されると、予め設定された前記相手先に異常通知を行うことを特徴とする。
【0019】
上記本発明によれば、作業に必要以上に時間がかかっている場合に、その状況をサービスセンターなどに通知するか否かを操作者が任意した場合に、操作者の意志に従って自動的に通知を行うことができる。
【0020】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第2または第6の本発明において、前記相手先が、画像形成装置の稼働状況を管理するサービスセンターであることを特徴とする。
【0021】
上記本発明によれば、作業に必要以上に時間がかかっている場合に、その状況をサービスセンターなどで直ちに把握することが可能になる。
【0022】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第2または第7の本発明において、ネットワークに接続可能な通信部を備えており、前記制御部は、前記ネットワークに接続された前記通信部を通して、前記異常通知を行うことを特徴とする。
【0023】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第2または第7の本発明において、前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記部品またはユニットの交換に要した交換時間を、前記通信部を通して前記相手先に通知することを特徴とする。
【0024】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第2または第7の本発明において、前記制御部では、前記部品またはユニットの交換に要した交換時間を交換時間履歴として前記記憶部に記憶しておき、前記異常通知の際に、交換に関わる前記部品またはユニットの交換時間履歴を合わせて通知することを特徴とする。
【0025】
上記本発明によれば、相手先が交換に要した時間を取得することで、トラブルの程度を把握することが容易になる。また、この時間をデータとして蓄積することで、その部品・ユニット固有の問題であるかどうか、ユーザーの資質によるものであるかどうかなどを把握することができる。ユーザーの資質によるものである場合には、上記データを交換作業に関する教育などに利用することも可能になる。
【0026】
第12の本発明の画像形成装置は、前記第11の本発明において、前記交換時間は、前記部品またはユニットの交換が前記基準時間以下で完了した際の時間であることを特徴とする。
【0027】
上記本発明によれば、正常に交換がなされた際の交換時間も参考データとして活用することができ、異常時の経過時間のトラブルの程度の把握や、基準時間の更正などに利用することができる。
【0028】
第13の本発明の画像形成装置は、前記第2または第7の本発明において、前記制御部は、前記異常通知に際し、画像形成装置に関するメンテナンスまたはチェックに利用する情報を合わせて通知することを特徴とする。
【0029】
上記本発明によれば、異常判定の通知とともにメンテナンスやチェックに利用可能な情報を取得することができ、相手先では管理をより的確に行うことが可能になる。
【0030】
第14の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記基準時間が、複数段階の時間からなり、前記制御部は、前記測定時間が前記複数段階の時間の内、最初の時間を超えることで異常の判定を行い、前記測定時間が各段階の時間を超える毎に異なる処理を行うことを特徴とする。
【0031】
上記本発明では、交換作業に要する時間の超過程度に応じて対応内容を変えることで、より適切な対処が可能になる。
【0032】
第15の本発明の画像形成装置は、前記第14の本発明において、前記制御部は、測定時間が、前記複数の時間の内、最も短い第1の時間を超えると、画面を表示する表示部に、予め設定した相手先に通知するか否かの選択を要求する表示を行い、相手先に通知する選択がなされない場合、測定時間が、前記複数の時間の内、第2の時間を超えると、予め設定した相手先に異常通知を行うことを特徴とする。
【0033】
上記本発明によれば、交換作業に要する時間が軽度の異常であるとされる場合には、サービスセンターなどへの通知を操作者の任意選択にし、異常が重度となる場合には、緊急度が高いので、操作者の意志に関わらす、サービスセンターなどへ通知することで、的確かつ迅速な対応を可能にする。
【0034】
第16の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記基準時間は、前記部品またはユニット毎に設定されていることを特徴とする。
【0035】
上記本発明によれば、部品・ユニット毎に必要な交換時間を考慮して基準時間を定めることができ、交換作業に要する時間が異常であるか否かを的確に判定することができる。
【0036】
第17の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部は、複数の部品またはユニットが交換されている場合、交換されている部品またはユニット毎の基準時間を足し合わせたものを前記判定に際しての基準時間とすることを特徴とする。
【0037】
上記本発明によれば、複数の部品・ユニットの交換作業を行っている場合には、各部品・ユニットの交換に要する時間を考慮して、各基準時間を加算することで前記異常の判定を正確に行うことができる。
【0038】
第18の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部は、部品またはユニットが交換されている場合、前記交換作業中に別の機械操作がなされていると判断されるときは、該機械操作に要した時間を前記測定時間から差し引いて前記判定を行うことを特徴とする。
【0039】
上記本発明によれば、部品・ユニットの交換作業中に他の作業を行うことで前記交換作業が中断した場合に、他の作業の時間を経過時間から差し引くことで前記異常の判定を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明の画像形成装置は、交換可能な部品およびユニットと、前記各部品またはユニットの交換開始から交換完了に至る間に経過時間を測定する測定部と、前記部品およびユニットの交換に要する基準時間を記憶した記憶部と、前記部品またはユニットの交換に際し前記測定部で測定された経過時間と前記記憶部に記憶された基準時間とを比較し、前記経過時間が前記基準時間を超える場合、異常であると判定する制御部とを備えるので、ユーザーが部品やユニットの交換に要する時間を把握して、交換作業に必要以上に時間を要する場合の異常を直ちに把握することができる。これにより、サービスセンタへの通知などの必要な措置を的確に講じることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に、本発明の画像形成装置の一実施形態を説明する。
図1は、画像形成装置の概略的な機械的構成を示す図である。以下に、その構成を説明する。
図に例示したカラー画像形成装置は、複数の感光体31Y、31M、31C、31Kを一本の中間転写ベルト4に対面させて縦列に配列し、フルカラーの画像を形成する。このカラー画像形成装置は、その上部に自動原稿送装置ADFを備えている。
【0042】
画像形成装置は、上記原稿読取部1、書き込みユニット2Y、2M、2C、2K、画像形成部3Y、3M、3C、3K、中間転写ベルト4、定着ユニット5、反転排紙部6、再給紙部7、給紙部8、制御部100等から構成され、それらが一つの筐体内に収められている。
原稿読取部1は、原稿読取り位置にて原稿の画像をランプLにて照射し、その反射光を第1ミラーユニット11、第2ミラーユニット12、レンズ13によって導き、撮像素子CCDの受光面に結像させる。
撮像素子CCDにより光電変換された画像データは、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理がなされ、RAMを備える記憶部101(図2図示)に画像データとして格納される。
【0043】
記憶部101に格納された前記画像データには、ユーザにより設定されている条件により適宜な画像処理が施されて、出力画像データが生成される。
書き込みユニット2Y、2M、2C、2Kは、レーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成され、レーザビームを生成する。
【0044】
書き込みユニット2Y、2M、2C、2Kの動作により、感光体ドラム31Y、31M、31C、31Kの画像領域に、原稿画像の静電潜像が形成される。
例えば、画像形成部3Yは、感光体31Yと、その周辺に配置されている、主帯電部32Y、トナーボトルを備える現像部33Y、クリーニング部35Yからなる。感光体31M、31C、31Kについても同様である。
【0045】
感光体31Y、31M、31C、31K上の潜像は、対応する現像部33Y、33M、33C、33Kによる現像によって顕像化されて、各感光体上にはトナー像が形成される。
感光体31Y、31M、31C、31K上に形成された前記トナー像は中間転写ベルト4上の所定位置に逐次転写される。トナー像の転写を終えた感光体の表面はクリーニング部35Y、35M、35C、35Kによって残留トナーが除去される。
一方、前記中間転写ベルト4上に転写された前記トナー像は、第2転写ローラ42によって、給紙部8のトレイPG1〜PG3から搬送され、給紙ローラ81によってタイミングが取られて送り出された用紙Pに転写される。
トナー像の用紙Pへの転写を終えた中間転写ベルト4はベルトクリーニング部43により、表面が清掃され、次の画像転写に供される。
【0046】
トナー像を担持した用紙Pは、定着ユニット5に送られ、加圧加熱されることによって、トナー像が用紙Pへ定着される。定着ユニット5による定着処理を終えた用紙Pは排紙反転部6により搬送され、排紙ローラ64を介して排紙トレイ61に排紙される。用紙Pを表裏反転して排紙する場合には、排紙ガイド62にて、一旦、用紙Pを下方に導き、排紙反転ローラ63に用紙Pの後端を挟持させた後に反転搬送し、排紙ガイド62により排紙ローラ64に導き排紙する。
【0047】
なお、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合には、表面のトナー像の定着を終えた用紙Pを排紙ガイド62により下方にある再給紙部7に搬送し、再給紙反転ローラ71により後端を挟持させた後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送路72に送り出し、裏面への画像形成に供する。
【0048】
上記構成の画像形成装置では、画像形成を繰り返し行うことで各部品、各ユニットで劣化が生じたり、取り替えが必要になる。このため、一部の部品、ユニットでは交換が可能になっている。例えば、現像部のトナーボトル、定着ユニット5、給紙ローラ81、感光体、書き込みユニットなどが交換可能になっている。
【0049】
図2は、上記画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示す画像形成装置の制御系では、制御部100に、代表的には、記憶部101、操作表示部102、LANインタフェース103、タイマー104、画像形成部3Y、3M、3C、3K等が制御可能に接続されている。
【0050】
制御部100は、例えばCPUとこれを動作させるプログラムとを主にして構成されており、画像形成装置全体の動作を制御する。記憶部101は、不揮発にデータを保持するフラッシュメモリやハードディスクなどを備え、また、画像データやプログラム実行のワークエリアとなるRAMなどを備えている。また、記憶部101には、各部品やユニットを交換する際の基準時間や過去の交換作業時間履歴がデータとして格納される。さらに、部品・ユニットの交換の際に交換作業が異常であると判定される際に通知する相手先が電話番号やIPアドレスなどによって記憶されている。
【0051】
また、制御部100には、操作表示部102が接続され、画像形成時にユーザによって用紙の選択や、給紙トレイの設定等の画像形成条件を指示する際に、操作データの入力が可能になっている。また、必要な情報の表示が可能になっている。すなわち、操作表示部102は、本発明の表示部として機能する。操作表示部102は、操作と表示が一体になされるタッチパネルにより構成することができるが、操作部分と表示部分とが別体になったものであってもよい。
【0052】
また、制御部100にはLAインターフェース103が接続されており、図示しないLANを通して外部装置との通信が可能になっている。すなわち、LANインターフェース103は、本発明の通信部として機能する。
【0053】
タイマー104は、制御部100の指示によって時間の計測を開始し、計測結果を制御部100に送信するものであり、本発明の測定部に相当する。
【0054】
画像形成に際しては、制御部100は、記憶部101に記憶された画像データに基づいて、駆動信号を各色用の書き込みユニットにおけるレーザ光発生部に与えて各色のレーザ光を発生させ、上記で説明したように画像形成を行う。
【0055】
以下に、上記画像形成装置において部品またはユニットの交換作業が開始された際の制御手順について図3以降のフローチャートを用いて説明する。
先ず、交換作業がスタートすると、制御部100ではタイマー104に経過時間の計測を指示し、該タイマー104では計測を開始する。なお、交換のスタート処理は、制御部100で把握される。例えば、交換対象となる部品やユニットが装置から取り外されると、取付状態を検知しているセンサによって取り外しが検知され、または取り外しを検知するセンサによって取り外しが検知され、制御部100に検知結果が送信されることで交換のスタートが把握される。この他に、操作者が前記操作表示部102のメニュー画面などを通して部品やユニットの交換作業を選択することで、交換開始が制御部100に通知される。このためには、メニュー群の中に、交換作業に関するメニュー項目を設けておくことが必要である。
【0056】
交換処理がスタートすると、上記のようにタイマーの計測が開始され、交換完了に至るまで(ステップs1)、経過時間が基準時間を超えたか否かが制御部100によって判定される(ステップs2)。この際には、制御部100では、該当する交換部品・ユニットに関する基準時間を前記記憶部101から読み出し、タイマー104で計測されている経過時間と比較する。計測された経過時間が基準時間を超えない段階(ステップs2、NO)で、交換が完了すると(ステップs1、YES)、特段の対応は不要であるので、処理を終了する。その際に、交換時間を履歴として前記記憶部101に記憶しても良い。
【0057】
一方、交換完了前に経過時間が基準時間を超えると(ステップs2、YES)、異常であると判定し、予め設定された相手先として、この例ではサービスセンターに通知がなされる(ステップs3)。通知内容は、少なくとも交換作業に異常が発生していることが判別できるものであればよく、交換部品または交換ユニットの種別を合わせて通知するのが望ましい。また、さらに、記憶部101などに蓄積されている部品・ユニットの交換時間履歴があれば、それを合わせて通知しても良く、さらに、メンテナンスや印刷枚数などのチェックに関する情報を合わせて通知しても良い。
【0058】
異常判定の通知後、図4に示すように、操作表示部102の操作画面102aにサービスセンターへ通知した旨のポップアップ102bを表示する(ステップs4)。その後は、処理を終了しても良く、また、図3に示すように、部品・ユニットの交換を待って(ステップs5)、交換に要した時間をサービスセンタに通知するようにしても良い(ステップs6)。
【0059】
次に、他の処理手順を図5に基づいて説明する。
この処理手順においても、上記処理手順と同様に、交換スタートともに経過時間をタイマー104で計測し、交換完了に至るまで(ステップs10)、経過時間と基準時間とを比較する(ステップs11)。この比較において、経過時間が基準時間を超えていない場合には(ステップs11、NO)、手順を繰り返す。この間に、交換が完了すると(ステップs10、YES)、処理を終了する。
【0060】
また、経過時間が基準時間を超えると(ステップs11、YES)、図6に示すように操作表示部102の操作画面102aに重ねてトラブルシュート画面102cをポップアップ表示し、該画面内で、サービスへ通知するか否かの選択を求める表示を行う。トラブルシュート画面102c内には、「はい」釦102d、「いいえ」釦102eが押釦可能に表示されている(ステップs12)。
【0061】
制御部100には、YES釦102d、NO釦102eの押釦結果が通知される。制御部100では、この通知において、「はい」釦102dが押されている場合には、サービスセンタに通知を行う(ステップs14)。一方、「いいえ」釦102eが押された場合には、処理を終了する。なお、サービスに通知する場合に、前記処理手順と同様に、交換作業の完了に伴って交換時間をサービスセンタに通知するようにしても良い。
【0062】
次に、さらに他の処理手順を図7のフローチャートに基づいて説明する。
この例では、基準時間が2段階の基準時間1と基準時間2とで構成されており、基準時間1の方が短時間に設定されている。これら基準時間1、2は、前記記憶部101に格納されており、前記制御部100により読み出される。
上記各処理手順と同様に、交換スタートとともに経過時間をタイマー104で計測し、交換完了に至るまで(ステップs20)、経過時間と基準時間1とを比較する(ステップs21)。この比較において、経過時間が基準時間1を超えていない場合には(ステップs21、NO)、手順を繰り返す。この間に、交換が完了すると(ステップs20、YES)、処理を終了する。
【0063】
交換作業中に経過時間が基準時間1を超えると(ステップs21、YES)、前記処理手順と同様に操作表示部102の操作画面102aにトラブルシュート画面102cを表示し、該画面内で、サービスへ通知するか否かの選択を求める表示を行う(ステップs22)。
【0064】
制御部100では、上記選択がいすれであったか否かの判定を行う(ステップs23)。「はい」釦102dが押されていると判断される場合(ステップs23、YES)には、サービスセンタに通知を行い(ステップs24)、処理を終了する。一方、「いいえ」釦102eが押された場合には、交換完了を待つ(ステップs25)。この間に、経過時間が基準時間2を越えたか否かの判定がなされる(ステップs26)。経過時間が基準時間2を越えなければ手順を繰り返し、基準時間2を越える前に交換が完了(ステップs25、YES)すれば、処理を終了する。ステップs26で、交換完了前に経過時間が基準時間2を越えると、操作者の意志に拘わらず、自動的にサービスセンタに通知する(ステップs27)。該通知後、図4に示すように、サービスセンタに通知したことを告知するポップアップ画面を操作表示部102に表示して処理を終了する。
【0065】
なお、上記実施形態では、一貫して一つの部品またはユニットを交換する場合について説明をしたが、例えば、複数の部品またはユニットを交換する場合には、各部品またはユニットに関する基準時間を記憶部101から読み出し、各基準時間データを加算して、これを基準時間として交換時間の異常判定に用いる。また、部品またはユニットの交換作業中に他の作業(例えばトナーボトル交換、紙交換など)が行われた場合には、この他の作業に要した時間を経過時間から差し引いて前記異常の判定を行う。なお、他の作業の経過時間は、トレーの抜き差しなどを検知して経過時間をタイマーで計測しても良く、また、操作者が作業時間を操作表示部を通して入力するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、各部品またはユニット毎に基準時間が設定されているものとして説明したが、複数の部品またはユニットにおいて共通する基準時間が設定されているものであってもよい。
【0066】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の機械的構成を示す概略図である。
【図2】同じく、前記画像形成装置の制御ブロック図である。
【図3】同じく、交換作業時間を把握して異常判定を行う手順を示すフローチャートである。
【図4】同じく、上記手順中における操作表示部の表示画面を示す図である。
【図5】同じく、交換作業時間を把握して異常判定を行う他の手順を示すフローチャートである。
【図6】同じく、上記手順中における操作表示部の表示画面を示す図である。
【図7】同じく、交換作業時間を把握して異常判定を行うさらに他の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
2Y、2M、2C、2K 書き込みユニット
3Y、3M、3C、3K 画像形成部
100 制御部
101 記憶部
102 操作表示部
102c トラブルシュート画面
103 LANインターフェース
104 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な部品およびユニットと、前記各部品またはユニットの交換開始から交換完了に至る間に経過時間を測定する測定部と、前記部品およびユニットの交換に要する基準時間を記憶した記憶部と、前記部品またはユニットの交換に際し前記測定部で測定された経過時間と前記記憶部に記憶された基準時間とを比較し、前記経過時間が前記基準時間を超える場合、異常であると判定する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、予め設定した相手先に異常通知を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
画面を表示する表示部を備えており、前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記表示部に所定の画面を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の画面はポップアップ画面からなることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定の画面がトラブルシュート画面であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記表示部に、予め設定した相手先に異常通知を行うか否かの選択を要求する表示を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記表示部での選択要求に際し、操作者によって前記異常通知の実行が選択されると、予め設定された前記相手先に異常通知を行うことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記相手先が、画像形成装置の稼働状況を管理するサービスセンターであることを特徴とする請求項2または6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ネットワークに接続可能な通信部を備えており、前記制御部は、前記ネットワークに接続された前記通信部を通して、前記異常通知を行うことを特徴とする請求項2または7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記異常の判定がなされた場合、前記部品またはユニットの交換に要した交換時間を、前記通信部を通して前記相手先に通知することを特徴とする請求項2または7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部では、前記部品またはユニットの交換に要した交換時間を交換時間履歴として前記記憶部に記憶しておき、前記異常通知の際に、交換に関わる前記部品またはユニットの交換時間履歴を合わせて通知することを特徴とする請求項2または7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記交換時間は、前記部品またはユニットの交換が前記基準時間以下で完了した際の時間であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記異常通知に際し、画像形成装置に関するメンテナンスまたはチェックに利用する情報を合わせて通知することを特徴とする請求項2または7に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記基準時間が、複数段階の時間からなり、前記制御部は、前記測定時間が前記複数段階の時間の内、最初の時間を超えることで異常の判定を行い、前記測定時間が各段階の時間を超える毎に異なる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、測定時間が、前記複数の時間の内、最も短い第1の時間を超えると、画面を表示する表示部に、予め設定した相手先に通知するか否かの選択を要求する表示を行い、相手先に通知する選択がなされない場合、測定時間が、前記複数の時間の内、第2の時間を超えると、予め設定した相手先に異常通知を行うことを特徴とする請求項14記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記基準時間は、前記部品またはユニット毎に設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御部は、複数の部品またはユニットが交換されている場合、交換されている部品またはユニット毎の基準時間を足し合わせたものを前記判定に際しての基準時間とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記制御部は、部品またはユニットが交換されている場合、前記交換作業中に別の機械操作がなされていると判断されるときは、該機械操作に要した時間を前記測定時間から差し引いて前記判定を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−113033(P2010−113033A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283665(P2008−283665)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】