説明

画像形成装置

【課題】ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置を得る。
【解決手段】当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況が稼働状況取得部73を介して取得されたとき、親展印刷要否判定部74は、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する。印刷制御部81は、親展印刷要否判定部74において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部41宛に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親展性を維持しながら文書に係る印刷ジョブを遂行可能な親展印刷機能を有する画像形成装置に係り、特に、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の印刷機能を有する画像形成装置では、ユーザの多種多様なニーズに応えるために、親展印刷機能を有するものが出現してきている。
【0003】
かかる親展印刷機能を有する画像形成装置の一例が、例えば特許文献1に開示されている。ここで、親展印刷機能とは、親展性を維持しながら文書に係る印刷ジョブを遂行可能とする機能をいう。具体的には、例えば、複数のクライアントPCと、プリントサーバとしての役割を果たす画像形成装置との間を、LAN等のネットワークを介して接続したシステムにおいて、あるクライアントPCから、機密文書や親展文書等の機密保持を要する文書の印刷を画像形成装置宛に、親展印刷をオン設定する旨と併せて指示した場合に、この親展印刷に係るジョブは、即時に処理されることなく同装置に一旦蓄積されて、同装置の元にやってきたユーザのパスワード入力等による認証操作を経た後に、同ユーザの親展印刷に係るジョブの出力を許可するように動作する。こうした親展印刷機能によれば、出力物の積載トレイからの文書の取り間違いや、積載トレイに放置されている文書が第三者の目に触れることからの情報漏えいを未然に抑止することを通じて、セキュリティ機能が付与された文書印刷環境を構築することができる。
【0004】
ところで、LAN等のネットワークを介して印刷ジョブを遂行させるのに対し、ユーザが画像形成装置のパネル操作を通して機密文書に係る印刷ジョブを遂行させる場合には、この機密文書に係る印刷ジョブが終了するまでユーザが画像形成装置の側に居続ければ、親展印刷機能の恩恵を享受しなくとも、機密情報が漏洩することはない。
【0005】
ところが、例えば、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、機密情報の漏洩を未然に回避するためには、ユーザに過度の負担を負わせるおそれが生じてくる。すなわち、機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、例えば、別のユーザが当該装置を利用中である場合には、当該別のユーザの当該装置の利用がいつ終わり、自身の機密文書に係る印刷ジョブがいつ遂行出力されるのかがわからないため、ユーザは当該装置の周辺を片時も離れることができない。そのため、ユーザの行動を著しく束縛する結果、ユーザに過度の負担を負わせるおそれがあった。
【0006】
また、上述した課題は、LAN等のネットワークを経由した遠隔操作を介して画像形成装置宛に機密文書に係る印刷ジョブを遂行させる場合にも同様に内在する。すなわち、遠隔操作を介して機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、例えば、別のユーザが当該装置を利用中である場合には、前述したパネル操作経由のケースと同様に、当該別のユーザの当該装置の利用がいつ終わり、自身の機密文書に係る印刷ジョブがいつ遂行出力されるのかがわからない。そのため、ユーザの行動を著しく束縛する結果、ユーザに過度の負担を負わせるおそれがあった。
【特許文献1】特開2005−335281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、従来技術では、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、別のユーザが当該装置を利用中である場合には、機密情報の漏洩を未然に回避しようとすると、ユーザに過度の負担を負わせるおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置の提供を目的として、画像形成に係る各種操作情報を取得する操作情報取得部と、印刷ジョブを遂行するためのエンジン部と、親展印刷対象となる文書に係る印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る印刷制御部と、を備えて構成される画像形成装置であって、前記操作情報取得部を介して新規印刷ジョブの遂行指令に係る操作情報が取得される毎に、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得する稼働状況取得部と、前記稼働状況取得部を介して当該画像形成装置の稼働状況が取得されたとき、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する親展印刷要否判定部と、をさらに備え、前記印刷制御部は、前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る、ことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置では、稼働状況取得部は、操作情報取得部を介して新規印刷ジョブの遂行指令に係る操作情報が取得される毎に、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得する。この稼働状況取得部を介して当該画像形成装置の稼働状況が取得されたとき、親展印刷要否判定部は、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する。そして、印刷制御部は、前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る。すなわち、本発明では、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中である場合には、機密情報の漏洩を未然に回避しようと行動するユーザに対し、当該装置の周辺を片時も離れることができないなどといった過度の負担を負わせることのないように、かかる場合には、当初のジョブ設定では親展印刷に係るオン設定を行っていなくとも、親展印刷要否判定部は、当該装置の稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定することを通じて、当該新規印刷ジョブに係る親展印刷オン設定の要否を、追加的かつ動的に制御し得ることとした。従って、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置を得るといった目的を、前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る印刷制御部により実現した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
[画像形成装置周辺の概略構成]
図1は、本発明実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【0013】
本装置は、例えば、コピージョブ、Fax送信ジョブ、印刷ジョブ、又はネットワーク送信(メール送信やデータ送信)ジョブを含む諸機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本装置は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、ネットワークI/F(インタフェース)部65、並びに、ICカード通信部67を備える。
【0014】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本装置全体の動作を統括制御する。
【0015】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0016】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0017】
本発明において印刷ジョブを遂行する役割を果たすエンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信されてきた文書或いは画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて、用紙上に画像を印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0018】
操作パネル部51は、図1及び図2に示すように、タッチパネル部53及び機能キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0019】
本発明において表示部としての役割を果たすタッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数等に関する情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン類を表示する。タッチパネル部53は、後述する親展印刷要否判定部74で親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を自動遂行した旨の通知画面を表示する際、或いは、親展印刷オン設定済みのの新規印刷ジョブに対する遂行指令に係る操作情報が取得されたとき、当該新規印刷ジョブに係る認証操作を促す催促画面を表示画面上に表示する際、などに用いられる。
【0020】
操作キー部55は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーを備えている。具体的には、例えば、コピー機能やスキャナ機能の実行に係る指示操作を行う際等に操作されるスタートキー57やテンキー等を備えている。これら複数の操作キーは、例えば、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能などの諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に用いられる。具体的には、例えば、親展印刷機能の利用時にユーザがパスワードに係るキーを選択するためのテンキー入力操作を行う際などに用いられる。
【0021】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0022】
本発明で文書蓄積部としての役割を果たすHDD(ハードディスクドライブ)63は、スキャナ部21によって読み取られた画像データ、若しくは、ネットワークI/F部65を介してクライアントPCから送信されてきた文書に係る電子データを、一時的に蓄積する。HDDに記憶されている画像データ又は文書に係る電子データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される場合がある。
【0023】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等のユーザ端末に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0024】
ICカード通信部67は、ユーザが所持しているICタグ等のカードキー69のアクセスを検知し、カードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み出して、主制御部11に転送する機能を備えている。
【0025】
ところで、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、ユーザに過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能とするために、主制御部11は、画像形成に係る各種操作情報を取得する操作情報取得部71と、操作情報取得部を介して新規印刷ジョブの遂行指令に係る操作情報が取得される毎に、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得する稼働状況取得部73と、稼働状況取得部73を介して当該画像形成装置の稼働状況が取得されたとき、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する親展印刷要否判定部74と、親展印刷オン設定に係る新規印刷ジョブの遂行に係る指令操作が、正当なアクセス権限を有するユーザによって遂行されたか否かを認証するための認証情報を、親展印刷オン設定に係る新規印刷ジョブ毎にそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶部75と、操作情報取得部71を介して、親展印刷オン設定済みの新規印刷ジョブに係る操作情報が取得されたとき、認証情報記憶部75の記憶内容と、操作情報取得部71を介して取得した操作情報と、に基づいて、アクセスユーザの正当性に係る認証を行う認証部77と、新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を自動遂行した旨の通知画面を、タッチパネル部53における表示画面上に表示させる制御を行う表示制御部79と、親展印刷要否判定部74において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待ってエンジン部41宛に送るための制御を行う印刷制御部81と、を備えて構成されている。なお、表示制御部79は、親展印刷オン設定済みの新規印刷ジョブに対する遂行指令に係る操作情報が取得されたとき、当該新規印刷ジョブに係る認証操作を促す催促画面を、タッチパネル部53における表示画面上に表示させる機能を併せて有している。
【0026】
[本発明実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明実施例に係る画像形成装置の動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明実施例に係る画像形成装置の動作フローチャート図、図4は、親展印刷オン設定済みに係る通知画面例を示す説明図、図5は、パスワード入力催促画面例を示す説明図である。
【0027】
本動作説明に先立って、前提となる画像形成装置の構成に言及する。本画像形成装置は、親展印刷オン設定に係る印刷ジョブの遂行を許可するにあたり、ユーザが所持するカードキー69との間で認証情報に係るデータ交換を通じて、親展印刷オン設定に係る印刷ジョブの遂行を許可するカードキー認証モードと、ユーザ識別情報及び暗証番号(認証情報)のキー入力操作をユーザに要求することを通じて、親展印刷オン設定に係る印刷ジョブの遂行を許可するパネル認証モードと、を二通り備えており、原則として、カードキー認証モードで動作している。以下の実施例では、原則通りの処理であるカードキー認証モードでの、画像形成装置の動作について説明してゆく。
【0028】
図3に示すように、例えば、予め文書ボックスに転送しておいた、機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を希望するユーザが、操作パネル部51を介して該当する印刷ジョブの遂行指令に係る操作入力を行うと、主制御部11は、当該新規印刷ジョブを受け付ける(ステップS11)。ステップS11における新規印刷ジョブの受け付け時点では、当該新規印刷ジョブには親展印刷がオン設定されていない。なお、本発明実施例では、操作パネル部51を介して新規印刷ジョブを受け付ける例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、ユーザ端末からの遠隔操作を介して新規印刷ジョブを受け付ける態様にも、本発明に係る技術的思想をそのまま適用することができる。
【0029】
ステップS11における印刷ジョブの遂行指令を受けて、稼働状況取得部73は、印刷キュー(不図示)の監視を通じて、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得して、その取得結果を親展印刷要否判定部74宛に送る。これを受けて親展印刷要否判定部74は、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定して(ステップS13)、その判定結果を主制御部11宛に送る。具体的には、ステップS13において、親展印刷要否判定部74は、稼働状況取得部73を介して、当該装置の印刷ジョブが利用可能である旨の稼働状況が取得されたとき、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を不要と判定する一方、当該装置の印刷ジョブが利用不能である旨の稼働状況が取得されたとき、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を要と判定する。
【0030】
ステップS13における判定の結果、主制御部11は、新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定不要に係る判定が下されたとき(ステップS13の”No”)、処理の流れをステップS16へとジャンプさせる一方、新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき(ステップS13の”Yes”)、親展印刷オン設定が自動遂行された旨を、当該ユーザ宛に通知する(ステップS14)。具体的には、例えば、ユーザが画像形成装置のパネル操作を通して機密文書に係る印刷ジョブを遂行させた場合には、例えば図4に示すように、表示制御部79は、当該新規印刷ジョブに係る親展印刷オン設定を自動遂行した旨の通知画面91を、タッチパネル部53における表示画面上に表示させる制御を行う。この通知画面91には、「親展印刷をオン設定した。」旨の通知内容に加えて、「待機中の先行印刷ジョブが終了した後に、新規印刷ジョブが、ユーザの認証操作を待って開始される。」旨の親展印刷に係る説明メッセージを、確認的に表示するように構成しても良い。
【0031】
次いで、主制御部11は、親展印刷オン設定を表す親展印刷フラグをセットする。また、主制御部11は、新規印刷ジョブと、当該新規印刷ジョブに係るユーザとを関連付けるために、当該ユーザに対し、後述するステップS19〜S20におけるユーザ認証と同様の認証操作を催促させる。これによって、認証情報記憶部75には、前記新規印刷ジョブに対して、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報を関連付ける旨の関連付け情報が記憶される。この関連付け情報は、アクセスユーザが正当な権限を有するユーザか否かに係る、ステップS20における認証ステップで活用される。なお、ステップS11における新規印刷ジョブのを受付時において、ユーザ認証が既に行われている場合には、認証済みのユーザと、当該新規印刷ジョブと、を関連付けることによって、前述の認証操作を省略することができる。
【0032】
さて、稼働状況取得部73は、印刷キューの監視を通じて、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得して、その取得結果を主制御部11宛に送る。これを受けて主制御部11は、印刷ジョブが利用可能か否かに係る判定を行う(ステップS16)。
【0033】
ステップS16における判定の結果、印刷ジョブが利用可能である旨の判定が下されたとき(ステップS16の”Yes”)、主制御部11は、先行印刷ジョブが全て終了した旨の通知を、該当するユーザ宛に、例えば電子メール等の適宜の手段を介して通知する(ステップS17)。これにより、該当ユーザは、自身の新規印刷ジョブが遂行可能になった旨をリアルタイムで知ることができるので、特に、自身の新規印刷ジョブを一刻も早く出力させたいユーザに対して、高い利便性を提供することができる。
【0034】
次いで、主制御部11は、ステップS15において親展印刷フラグがセットされたか否かをチェックすることを通じて、新規印刷ジョブに対する親展印刷がオン設定されているか否かに係る判定を行う(ステップS18)。
【0035】
ステップS18における判定の結果、主制御部11は、新規印刷ジョブに対する親展印刷がオン設定されていない旨の判定が下されたとき(ステップS18の”No”)、処理の流れをステップS21へとジャンプさせる一方、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷がオン設定されている旨の判定が下されたとき(ステップS18の”Yes”)、その旨を表示制御部79宛に送る。これを受けて表示制御部79は、認証操作に係る催促画面を、タッチパネル部53における表示画面上に表示させる(ステップS19)。ここで、前述したように、本実施例に係る画像形成装置ではカードキー認証モードを採用しているので、ステップS19における催促画面には、ユーザが所持するICカードキー69を、画像形成装置におけるICカードリーダライタ(不図示)にセットすることを催促するメッセージが表示されることになる。なお、パネル認証モードが採用される場合には、ユーザ識別情報に加えて、パスワード(認証情報)のキー入力操作をユーザに催促するメッセージ画面93が表示されることになる(例えば図5参照)。ステップS19における催促画面を視たユーザは、催促画面における指示に従って、自身が所持するカードキー69を、ICカードリーダライタにセットすることになる。
【0036】
さて、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを常時監視している。このとき、ステップS19における催促画面を視たユーザが、催促画面における指示に従って、自身が所持するカードキー69を、ICカードリーダライタにセットすると、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを検知するとともに、ICカードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み取り、読み取ったICカードキー69のユーザ識別情報を、認証部77宛に転送する。
【0037】
これを受けて認証部77は、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報と、認証情報記憶部75に予め登録(ステップS15参照)されているユーザ識別情報等を照合することで、カードキー認証を介してアクセスしてきたユーザが正当ユーザか否かに係るユーザ認証を行う(ステップS20)。なお、ユーザ認証に際して、暗証番号によるログイン管理機能を追加しても良い。
【0038】
ステップS20におけるユーザ認証の結果、アクセスユーザが正当ユーザである旨の承認がなされると、認証部77は、その旨を印刷制御部81宛に転送する。これを受けて印刷制御部81は、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、エンジン部41送る。これにより、新規印刷ジョブが、正当ユーザの認証操作を経て開始される(ステップS21)。
【0039】
ステップS21における新規印刷ジョブの処理中に、稼働状況取得部73は、印刷キューに係る待機状況を取得して、その取得結果を主制御部11宛に送る。これを受けて主制御部11は、当該新規印刷ジョブが終了したか否かに係る判定を行う(ステップS22)。この判定の結果、当該新規印刷ジョブが終了した旨の判定が下されたとき(ステップS22の”Yes”)、主制御部11は、全ての処理の流れを終了させる。
【0040】
ところで、HDD(文書蓄積部)63に一時的に蓄積された、親展印刷対象となる文書に係るデータは、当該文書に係る印刷ジョブが遂行された後、削除される、構成を採用することができる。かかる構成を採用すれば、出力遂行が済んだ文書については、その後速やかに削除されるので、所定の役割を終えた文書がいつまでも文書蓄積部63に残留し続けている場合と比べて、セキュリティ上の優位性を担保することができる。
【0041】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像形成装置では、稼働状況取得部73は、操作情報取得部71を介して新規印刷ジョブの遂行指令に係る操作情報が取得される毎に、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得する。この稼働状況取得部73を介して当該画像形成装置の稼働状況が取得されたとき、親展印刷要否判定部74は、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する。そして、印刷制御部81は、親展印刷要否判定部74において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部41宛に送る。すなわち、本発明では、ユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中である場合には、機密情報の漏洩を未然に回避しようと行動するユーザに対し、当該装置の周辺を片時も離れることができないなどといった過度の負担を負わせることのないように、かかる場合には、当初のジョブ設定では親展印刷に係るオン設定を行っていなくとも、親展印刷要否判定部74は、当該装置の稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定することを通じて、当該新規印刷ジョブに係る親展印刷オン設定の要否を、追加的かつ動的に制御し得ることとした。従って、例えば、パネル操作を介してユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、当該装置の周辺を片時も離れることができないといった過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置を得ることができる。また、ユーザ端末からの遠隔操作を介してユーザが機密文書に係る新規印刷ジョブの遂行を試みた際に、当該装置の印刷ジョブが利用中であっても、当該装置の稼働状況とは無関係に常に親展印刷をオン設定する(親展印刷をオン設定するには、例えば認証登録等の操作が別途必要な場合があるが、その操作は煩雑である。)といった過度の負担を負わせることなく、機密情報の漏洩を未然に回避可能な画像形成装置を得ることができる。
【0042】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0043】
すなわち、本発明実施例において、カードキー認証モードで動作中の画像形成装置を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、ユーザ識別情報及び暗証番号のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードで動作中の画像形成装置にも、本発明を適用可能である。
【0044】
最後に、本発明における「ユーザ」とは、個人ユーザを含むことは当然として、例えば、ある部署の所属員を包括して意味する部門ユーザをも、その概念に含むことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【図3】本画像形成装置の動作説明に供するフローチャート図である。
【図4】親展印刷オン設定済みに係る通知画面例を示す説明図である。
【図5】パスワード入力催促画面例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
11 主制御部
41 エンジン部
53 タッチパネル部(表示部)
63 HDD(文書蓄積部)
71 操作情報取得部
73 稼働状況取得部
74 親展印刷要否判定部
75 認証情報記憶部
77 認証部
79 表示制御部
81 印刷制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に係る各種操作情報を取得する操作情報取得部と、印刷ジョブを遂行するためのエンジン部と、親展印刷対象となる文書に係る印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る印刷制御部と、を備えて構成される画像形成装置であって、
前記操作情報取得部を介して新規印刷ジョブの遂行指令に係る操作情報が取得される毎に、当該画像形成装置の印刷ジョブが利用可能か否かに係る稼働状況を取得する稼働状況取得部と、
前記稼働状況取得部を介して当該画像形成装置の稼働状況が取得されたとき、当該取得した稼働状況に基づいて、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要否を判定する親展印刷要否判定部と、
をさらに備え、
前記印刷制御部は、
前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、当該ジョブに係る認証操作を待って前記エンジン部宛に送る、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記親展印刷要否判定部は、
前記稼働状況取得部を介して、前記画像形成装置の印刷ジョブが利用可能である旨の稼働状況が取得されたとき、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を不要と判定する一方、前記画像形成装置の印刷ジョブが利用不能である旨の稼働状況が取得されたとき、前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定を要と判定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記印刷制御部は、
前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定不要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブの遂行許可を、前記エンジン部宛に送る、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記文書に係る認証操作とは、
ユーザ認証操作、或いは前記ユーザ認証操作及び暗証番号入力操作である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記親展印刷要否判定部において前記新規印刷ジョブに対する親展印刷オン設定要に係る判定が下されたとき、当該新規印刷ジョブに係る親展印刷がオン設定された旨が該当ユーザ宛に通知される、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−125710(P2010−125710A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303241(P2008−303241)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】