説明

画像形成装置

【課題】クリーニングユニットのメンテナンス作業の容易化と装置の小型化を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、画像形成ユニット(複数のプロセスユニット5)と、複数の感光ドラム51と下から対面するベルト(中間転写ベルト61)と、ベルトに付着した付着物を回収するクリーニングユニット9を備える。クリーニングユニット9は、ベルトに対し画像形成ユニットと同じ側に配置され、画像形成ユニットと一体に装置本体10から引き出し可能に構成される。クリーニングユニット9の付着物収容器(廃トナーボックス93)は、上下に並んで連結された中空の複数の部屋93A〜93Eと、各部屋93A〜93Eに設けられ、回転することで部屋内の付着物を上の部屋に掻き上げる回転搬送体(アジテータ94,95)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラーレーザプリンタなどの画像形成装置として、異なる色のトナーをそれぞれ収容する複数の現像器と、複数の現像器のそれぞれから現像ローラを介してトナーが供給される複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムに対向して配置されるベルトと、複数の感光ドラムで保持したトナーをベルト側に引き寄せる複数の転写器とを備えたものが知られている。この画像形成装置では、複数の感光ドラムが並列に配置されており、ベルトによって搬送される用紙が各感光ドラムと各転写器との間を通過するときに、トナーの帯電極性に対応した転写バイアスが各転写器に印加されることで、各感光ドラム上で保持された異色のトナーが各転写器で引き寄せられて順次用紙に転写され、用紙へのカラー印刷が行われる。
【0003】
このような画像形成装置としては、感光ドラムのメンテナンスを容易にするために、各色の感光ドラムを感光ドラムユニットに一体的に保持し、その感光ドラムユニットを装置本体に対して着脱可能に装着したものが知られている。また、紙詰まり(ジャム)などに起因して搬送ベルトに付着したトナーや紙粉などの付着物を除去するために、搬送ベルトに当接して付着物を除去・回収するクリーニングユニットを装備した画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、搬送ベルトの上方に感光ドラムユニットが配置されており、用紙が通過しない搬送ベルトの下方にクリーニングユニットが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−98772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クリーニングユニットを備える画像形成装置では、搬送ベルトから除去・回収した付着物を廃棄するために、クリーニングユニットをメンテナンスする必要がある。
しかしながら、従来の画像形成装置では、搬送ベルトの下方にクリーニングユニットが配置されているため、クリーニングユニットのメンテナンス時に搬送ベルトを取り外さなければならず、メンテナンス作業が煩雑であるという問題があった。
また、搬送ベルトの上方に感光ドラムユニットを配置し、搬送ベルトの下方にクリーニングユニットを配置すると、装置の高さ寸法が大きくなり、装置が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みて創案されたものであり、クリーニングユニットのメンテナンス作業の容易化と装置の小型化を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、並列配置された複数の感光ドラムを有する画像形成ユニットと、複数の感光ドラムに下から対面して配置されるベルトと、前記ベルトに接触して前記ベルトに付着した付着物を回収するクリーニング部材と、回収した前記付着物を収容する付着物収容器とを有するクリーニングユニットと、を備える画像形成装置であって、前記クリーニングユニットは、前記ベルトに対し前記画像形成ユニットと同じ側に配置され、前記画像形成ユニットと一体に装置本体から引き出し可能に構成されているとともに、前記付着物収容器は、上下方向に並んで連結された中空の複数の部屋と、各部屋に設けられ、回転することで部屋内の付着物を上の部屋に掻き上げる回転搬送体とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、クリーニングユニットが、ベルトに対して画像形成ユニットと同じ側に配置されるので、ベルトを取り外すことなく、画像形成ユニットを装置本体から着脱するのと同様の容易さで、クリーニングユニットのメンテナンスを行うことができる。また、クリーニングユニットが画像形成ユニットと一体に装置本体から引き出し可能であるため、クリーニングユニットまたは画像形成ユニットのいずれのメンテナンス時においても、一体化したものを引き出すという1つの動作で容易にメンテナンスを行うことができる。
【0009】
さらに、クリーニングユニットがベルトに対して画像形成ユニットと同じ側に配置されるので、ベルトの上下に画像形成ユニットとクリーニングユニットとを分けて配置する構造に比べ、装置の小型化を図ることができる。また、複数の部屋を上下方向に並べ、回転搬送体で付着物を上の部屋に掻き上げて回収するので、クリーニングユニットを画像形成ユニットとともにベルトの上方に配置しても、多量の付着物を回収することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリーニングユニットのメンテナンス作業の容易化と装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】ドロワを引き出した状態を示す断面図である。
【図3】ドロワからプロセスカートリッジやクリーニングユニットを取り外した状態を示す断面図である。
【図4】クリーニングユニットの各部屋を示す断面図(a)と、ギヤボックス内の各ギヤをピッチ円で簡略的に示す断面図(b)である。
【図5】連通路と中間転写ベルトとアジテータとの関係を示す説明図である。
【図6】廃トナーボックスを示す斜視図である。
【図7】各部屋の配置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図であり、図2はドロワを引き出した状態を示す断面図である。また、図3はドロワからプロセスカートリッジやクリーニングユニットを取り外した状態を示す断面図である。
【0013】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側(手前側)」、紙面に向かって左側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、カラープリンタ1は、給紙トレイ2と、給紙ユニット3と、スキャナユニット4と、画像形成ユニットの一例としての複数のプロセスカートリッジ5と、ベルトユニット6と、定着装置7とを主に備えて構成されている。
【0015】
給紙トレイ2は、用紙Pを収容するトレイであり、装置本体10の前側から装置本体10に対して前後方向に着脱可能となっている。
【0016】
給紙ユニット3は、給紙トレイ2内の用紙Pをベルトユニット6に供給する装置であり、公知の給紙ローラやレジストローラ(符号略)などを備えている。
【0017】
スキャナユニット4は、主に、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えた公知の構造となっている。そして、スキャナユニット4では、レーザビームを、後述する各プロセスカートリッジ5の感光ドラム51の表面上に高速走査にて照射する。
【0018】
各プロセスカートリッジ5は、静電潜像が形成される回転可能な感光ドラム51を備える他、符号を省略して示す公知の帯電器、トナー収容室、供給ローラおよび現像ローラ等を備えている。各プロセスカートリッジ5は、各感光ドラム51が前後に並列配列された状態でドロワ8に着脱可能に支持されている(図3参照)。
【0019】
ドロワ8は、フロントカバー12で開閉される開口部10Aから外部に引き出して、取り外すことが可能となっている(図2参照)。このドロワ8には、ベルトユニット6の中間転写ベルト61をクリーニングするクリーニングユニット9が着脱可能に設けられている(図3参照)。なお、クリーニングユニット9の構造については、後で詳述する。
【0020】
そして、このプロセスカートリッジ5では、まず、帯電器で帯電された感光ドラム51がスキャナユニット4から出射されるレーザ光で露光されることで、感光ドラム51の表面に静電潜像が形成される。その後、トナー収容室内のトナーが供給ローラ等を介して感光ドラム51上の静電潜像に供給されて、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0021】
ベルトユニット6は、各感光ドラム51と下から対面して配置される無端状の中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61を張設しながら回転させるための駆動ローラや従動ローラ(符号略)と、各感光ドラム51上のトナー像を中間転写ベルト61に転写させる複数の1次転写ローラ62とを備えている。
【0022】
そして、中間転写ベルト61の後側には、中間転写ベルト61に転写されたトナー像を引き寄せて用紙Pに転写させる2次転写ローラ63が設けられている。これにより、各感光ドラム51上のトナー像は、一端中間転写ベルト61に転写された後、2次転写ローラ63によって用紙Pに転写される。
【0023】
定着装置7は、用紙Pに転写されたトナー像を熱定着させる装置であり、公知の加熱ローラ71や加圧ローラ72等を備えて構成されている。そして、定着装置7で熱定着された用紙Pは、図示しない搬送ローラによって装置本体10の外部に排出される。
【0024】
<クリーニングユニットの構造>
次に、クリーニングユニット9の構造について詳細に説明する。参照する図面において、図4はクリーニングユニットの各部屋を示す断面図(a)と、ギヤボックス内の各ギヤをピッチ円で簡略的に示す断面図(b)であり、図5は連通路と中間転写ベルトとアジテータとの関係を示す説明図である。また、図6は廃トナーボックスを示す斜視図である。
【0025】
図1に示すように、クリーニングユニット9は、中間転写ベルト61に対し各プロセスカートリッジ5と同じ側に配置されており、ドロワ8に支持されることで、各プロセスカートリッジ5と一体に装置本体10から引き出し可能に構成されている(図2参照)。クリーニングユニット9は、クリーニング部材の一例としてのクリーニングローラ91と、回収ローラ92と、付着物収容器としての廃トナーボックス93とを主に備えて構成されている。
【0026】
クリーニングローラ91は、中間転写ベルト61に接触して中間転写ベルト61に付着した付着物を回収するローラであり、具体的には、中間転写ベルト61の内面に配置されたバックアップローラBRとの間に所定のバイアスが印加されることで付着物を回収している。そして、このクリーニングローラ91は、図3に示すように、ドロワ8に回転可能に支持されている。
【0027】
回収ローラ92は、クリーニングローラ91の後斜め上側に摺接するように配置されており、クリーニングローラ91で回収した付着物を回収する。そして、この回収ローラ92は、廃トナーボックス93に回転可能に支持されている。
【0028】
廃トナーボックス93は、回収ローラ92で回収した付着物を収容する容器であり、回収ローラ92の後斜め上方に配置されている。具体的に、廃トナーボックス93は、図4(a)に示すように、上下方向に並んで連結された中空の5つ(複数)の部屋93A〜93Eと、上下方向(複数の部屋が並ぶ方向)に沿って形成される収容部93Fとを備えて構成されている。
【0029】
各部屋93A〜93Eは、それぞれ左右方向に延びる中空円柱状に形成されており、前後にジグザグに配置されている。なお、以下の説明では、便宜上、各部屋93A〜93Eを、下から順に、第1の部屋93A、第2の部屋93B、第3の部屋93C、第4の部屋93Dおよび第5の部屋93Eとも呼ぶこととする。
【0030】
第1の部屋93Aの前側には、回収ローラ92(付着物を第1の部屋93A内に送るローラ)に向かって開口する流入口A1(開口部)が形成され、後斜め上側には、第1の部屋93Aと第2の部屋93Bとに連通する連通路AB(開口部)が形成されている。流入口A1の上端には、回収ローラ92で担持されている付着物を掻き落とすブレード100が設けられている。
【0031】
ブレード100は、板状の部材であり、回収ローラ92に摺接するように配置されている。そして、このブレード100は、略L字状の補強プレート110によって流入口A1の上端に固定されている。
【0032】
また、ブレード100の下方には、ブレード100で掻き落とした付着物を受ける受け部材120が設けられている。受け部材120は、弾性変形可能なシート状の部材で形成されており、その一端が流入口A1の下端に固定され、その他端が回収ローラ92に摺接するように配置されている。そして、このように受け部材120を回収ローラ92に摺接させることで、付着物が受け部材120と回収ローラ92との間から零れ落ちることが抑制されている。
【0033】
また、第1の部屋93A内には、回転することで内部の付着物を斜め上の第2の部屋93Bに掻き上げる回転搬送体の一例としての第1アジテータ94が設けられている。具体的に、第1アジテータ94は、第1の部屋93Aの中心を通るように配置される回転可能な回転軸94Aと、回転軸94Aに基端部が固定されて先端部が第1の部屋93Aの内周面と摺接する2枚の搬送板94Bとを備えている。搬送板94Bは、弾性変形可能なシート状の部材で形成されており、撓んだ状態で付着物を搬送している。
【0034】
そして、第1アジテータ94は、図4において時計回りに回転するようになっている。すなわち、この第1アジテータ94は、第1の部屋93Aの底A2に溜まった付着物を、当該付着物が流入してきた開口部(流入口A1)から遠ざける向きに回転して、後斜め上方にある連通路ABに付着物を送り込むようになっている。
【0035】
第2の部屋93Bの前斜め下側には、前述した第1の部屋93Aとの連通路ABが形成され、前斜め上側には、第2の部屋93Bと第3の部屋93Cとに連通する連通路BC(開口部)が形成されている。そして、第2の部屋93B内には、回転することで内部の付着物を斜め上の第3の部屋93Cに掻き上げる回転搬送体の一例としての第2アジテータ95が設けられている。
【0036】
第2アジテータ95は、第2の部屋93Bの中心を通るように配置される回転可能な回転軸95Aと、回転軸95Aから径方向外側に延びるアーム部95Bと、アーム部95Bの先端に基端部が固定されて先端部が第2の部屋93Bの内周面と摺接する1枚の搬送板95Cとを備えている。搬送板95Cは、弾性変形可能なシート状の部材で形成されており、撓んだ状態で付着物を搬送している。
【0037】
そして、第2アジテータ95は、図4において時計回りに回転するようになっている。すなわち、この第2アジテータ95は、第2の部屋93Bの底B2に溜まった付着物を、当該付着物が流入してきた開口部(連通路AB)から遠ざける向きに回転して、前斜め上方にある連通路BCに付着物を送り込むようになっている。
【0038】
第3の部屋93Cの後斜め下側には、前述した第2の部屋93Bとの連通路BCが形成され、後斜め上側には、第3の部屋93Cと第4の部屋93Dとに連通する連通路CD(開口部)が形成されている。そして、第3の部屋93Cの連通路BCの下端には、第3の部屋93Cの底C2から第2の部屋93B(付着物の搬送方向上流側に位置する部屋)内に延出する延出部C3が形成されている。
【0039】
具体的に、この延出部C3は、第2の部屋93Bの円筒状の内面を延長した仮想的な内面B3よりも内側まで延び、前方に向かうにつれて下方に傾く傾斜面状に形成されている。これにより、第2の部屋93B内の第2アジテータ95で搬送される付着物が底B2に落下する前に延出部C3で受けることができ、延出部C3で受けた付着物は傾斜した延出部C3上を良好に滑って第3の部屋93Cの底C2に溜まるようになっている。
【0040】
また、第3の部屋93C内には、前述した第2の部屋93B内の第2アジテータ95と同様の第2アジテータ95が、左右を反転した状態で配置されている。そして、第3の部屋93C内の第2アジテータ95は、第3の部屋93Cの底C2に溜まった付着物を連通路BCから遠ざけるように搬送すべく、図4において反時計回りに回転するようになっている。
【0041】
第4の部屋93Dは、第2の部屋93Bと略同様の構造となっている。すなわち、第4の部屋93Dは、その前斜め下側に形成される第3の部屋93Cとの連通路CDと、その前斜め上側に形成される第5の部屋93Eとの連通路DEと、第2の部屋93B内の第2アジテータ95と同じ向きで配置され、かつ、同じ方向(時計回り)に回転する第2アジテータ95を備えている。
【0042】
さらに、第4の部屋93Dの連通路CDの下端には、第3の部屋93Cに形成された延出部C3と同様の延出部D3が形成されている。そのため、第3の部屋93Cから送られてくる付着物は、傾斜した延出部D3上を滑って第4の部屋93Dの底D2に移動した後、第2アジテータ95で連通路CDから遠ざかるように搬送されて、連通路DEに送られる。
【0043】
第5の部屋93Eは、第3の部屋93Cと略同様の構造となっている。すなわち、第5の部屋93Eは、その後斜め下側に形成される連通路DEと、連通路DEの下端に形成される延出部E3と、第3の部屋93C内の第2アジテータ95と同じ向きで配置され、かつ、同じ方向(反時計回り)に回転する第2アジテータ95を備えている。
【0044】
また、第5の部屋93Eは、第3の部屋93Cとは異なり、その前斜め上側に収容部93Fとの連通路EFが形成されている。そのため、第4の部屋93Dから送られてくる付着物は、傾斜した延出部E3上を滑って第5の部屋93Eの底E2に移動した後、第2アジテータ95で連通路DEから遠ざかるように搬送されて、連通路EFに送られる。
【0045】
なお、前述した各連通路AB〜DEの幅(左右方向長さ)はそれぞれ同じ長さで形成され、アジテータ94,95の搬送板94B,95Cの幅(左右方向長さ)はそれぞれ同じ長さで形成されている。具体的に、連通路ABを代表して説明すると、図5に示すように、連通路ABは中間転写ベルト61の幅X以上の幅Yで形成されている。また、第1アジテータ94の搬送板94Bは、連通路ABの幅Y以上の幅Zで形成されている。
【0046】
これにより、クリーニングローラ91や回収ローラ92によって略中間転写ベルト61の幅X内で送られてくる付着物は、連通路ABよりも幅広の第1アジテータ94の搬送板94Bで確実に掻き取られ、中間転写ベルト61よりも幅広の連通路AB内にほとんど漏れることなく一斉に送られる。そのため、幅方向で付着物が偏って溜まることが抑制されている。
【0047】
図4(a)に示すように、収容部93Fは、第5の部屋93Eの上部から第3の部屋93Cの下部まで延びる部屋であり、最上位に位置する第5の部屋93Eの第2アジテータ95で搬出される付着物を収容可能となっている。具体的に、収容部93Fは、第1の部屋93Aに隣接する回収ローラ92の上方に配置されている。
【0048】
以上のように構成される廃トナーボックス93は、図6に示すように、その上部に取っ手96が回動可能に設けられている。取っ手96は、コ字状の部材であり、その両端部が廃トナーボックス93に回動可能に支持されている。そして、この取っ手96は、図示せぬ付勢部材により常時廃トナーボックス93の上面に横臥状態で押し付けられており、ユーザ等によって起こされることで、取っ手96と廃トナーボックス93との間にユーザ等の指が入る隙間が形成されるようになっている。
【0049】
また、廃トナーボックス93の左側面には、ギヤボックス97が設けられている。ギヤボックス97内には、図4(b)に示すように、複数のギヤG1〜G7が設けられている。ギヤG1は、回収ローラ92と一体に回転するギヤであり、図6に示すカップリング部97Aを介して装置本体側の駆動源から動力が伝達されている。
【0050】
ギヤG3は、第1アジテータ94と一体に回転するギヤであり、アイドルギヤG2を介してギヤG1に連結されている。そして、ギヤG3は、上方のギヤG4と噛み合うことで、上方のギヤG4に駆動力を伝達している。
【0051】
ギヤG4は、第3の部屋93C内の第2アジテータ95と一体に回転するギヤである。そして、このギヤG4は、後側の2つのギヤG5,G6と噛み合うことで、これらのギヤG5,G6に駆動力を伝達している。
【0052】
ギヤG5は、第2の部屋93B内の第2アジテータ95と一体に回転するギヤであり、ギヤG6は、第4の部屋93D内の第2アジテータ95と一体に回転するギヤである。そして、ギヤG6は、前斜め上のギヤG7と噛み合うことで、このギヤG7に駆動力を伝達している。なお、ギヤG7は、第5の部屋93E内の第2アジテータ95と一体に回転するギヤである。
【0053】
以上のように複数のギヤG1〜G7が配設されることで、各アジテータ94,95が前述した方向にそれぞれ回転して、付着物を良好に搬送するようになっている。
【0054】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
クリーニングユニット9が、中間転写ベルト61に対して各プロセスカートリッジ5と同じ側に配置されるので、中間転写ベルト61を取り外すことなく、各プロセスカートリッジ5を装置本体10から着脱するのと同様の容易さで、クリーニングユニット9のメンテナンスを行うことができる。また、クリーニングユニット9が各プロセスカートリッジ5と一体に装置本体10から引き出し可能であるため、クリーニングユニット9または各プロセスカートリッジ5のいずれのメンテナンス時においても、一体化したもの(ドロワ8)を引き出すという1つの動作で容易にメンテナンスを行うことができる。
【0055】
さらに、クリーニングユニット9が中間転写ベルト61に対して各プロセスカートリッジ5と同じ側に配置されるので、中間転写ベルト61の上下に各プロセスカートリッジとクリーニングユニットとを分けて配置する構造に比べ、装置の小型化を図ることができる。
【0056】
複数の部屋93A〜93Eを上下方向に並べ、アジテータ94,95で付着物を上の部屋に掻き上げて回収するので、クリーニングユニット9を各プロセスカートリッジ5とともに中間転写ベルト61の上方に配置しても、多量の付着物を回収することができる。
【0057】
連通路AB〜DEが中間転写ベルト61の幅X以上の幅Yで形成されるとともに、アジテータ94,95(搬送板94B,95C)が連通路ABの幅Y以上の幅Zで形成されるので、ベルト幅内で溜まる付着物をアジテータ94,95によって一斉に連通路AB〜DE内へ通すことができ、ベルト幅方向で付着物が偏って溜まることを抑制することができる。
【0058】
各部屋93A〜93Eのアジテータ94,95が、底A2〜E2に溜まった付着物を、当該付着物が流入してきた開口部(A1,AB〜DE)から遠ざける向きに回転するので、付着物の搬送方向上流側の部屋に付着物が逆流することを抑制することができる。
【0059】
各部屋93A〜93Eが前後にジグザグに配置されるので、デッドスペースを少なくして、クリーニングユニット9を小型化することができる。
【0060】
第3〜第5の部屋93C〜93Eに延出部C3〜E3を設けたので、付着物の搬送方向上流側の部屋内の上方の空間を通して搬送される付着物を延出部C3〜E3で良好にすくい受けることができる。
【0061】
最上位に位置する第5の部屋93Eから搬出される付着物を収容可能な収容部93Fを、複数の部屋93C〜93Eに沿って形成したので、より多くの付着物を回収することができる。
【0062】
収容部93Fが回収ローラ92の上方に配置されるので、回収ローラ92の上方のデッドスペースを有効活用することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、最上位に位置する第5の部屋93Eから搬出される付着物を収容可能な収容部93Fを設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば前記実施形態の構造から収容部93Fを取り除いた構造を採用してもよい。この場合であっても、各部屋93A〜93E内にて付着物を回収することができる。
【0064】
前記実施形態では、3つの部屋93C〜93Eに延出部C3〜E3を設けたが、本発明はこれに限定されず、少なくとも最上位に位置する部屋に延出部を設ければよい。
【0065】
前記実施形態では、複数の部屋93A〜93Eをジグザグに配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば図7に示すように、斜め上方に沿って複数の部屋200,201,202を階段状に配置してもよい。この形態でも、各部屋200,201,202に前記実施形態と同様の第2アジテータ95を設け、図示時計回りに回転させることで、付着物を斜め上方に送ることができる。
【0066】
なお、この形態でも、収容部210を複数の部屋200,201,202に沿って(隣接して)配置することで、デッドスペースを有効活用して、多量の付着物を回収することができる。また、この形態において、前記実施形態のようなブレード100等を適宜設けてもよい。
【0067】
回転搬送体としては、前記実施形態のような弾性変形可能な搬送板94B,95Cを有するアジテータ94,95に限らず、例えば撓まない搬送板を回転軸を中心に回転させるものを採用してもよい。
【0068】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、ベルトの一例として中間転写ベルト61を採用したが、本発明はこれに限定されず、各感光ドラムとの間で記録シートを搬送する搬送ベルトを採用してもよい。
【0069】
前記実施形態では、クリーニング部材としてクリーニングローラ91を採用したが、本発明はこれに限定されず、ローラ状でない部材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 カラープリンタ
5 プロセスカートリッジ
8 ドロワ
9 クリーニングユニット
10 装置本体
51 感光ドラム
61 中間転写ベルト
91 クリーニングローラ
92 回収ローラ
93 廃トナーボックス
93A〜93E 部屋
93F 収容部
94 第1アジテータ
95 第2アジテータ
A1 流入口
A2,B2,C2,D2,E2 底
AB,BC,CD,DE,EF 連通路
C3,D3,E3 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された複数の感光ドラムを有する画像形成ユニットと、
複数の感光ドラムに下から対面して配置されるベルトと、
前記ベルトに接触して前記ベルトに付着した付着物を回収するクリーニング部材と、回収した前記付着物を収容する付着物収容器とを有するクリーニングユニットと、を備える画像形成装置であって、
前記クリーニングユニットは、前記ベルトに対し前記画像形成ユニットと同じ側に配置され、前記画像形成ユニットと一体に装置本体から引き出し可能に構成されているとともに、
前記付着物収容器は、
上下方向に並んで連結された中空の複数の部屋と、
各部屋に設けられ、回転することで部屋内の付着物を上の部屋に掻き上げる回転搬送体とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記各部屋間に形成される開口部は、前記ベルトの幅以上の幅で形成されるとともに、
前記回転搬送体が前記開口部の幅以上の幅で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の部屋は、それぞれ中空円柱状に形成されるとともに、ジグザグに配置され、
各部屋の回転搬送体は、部屋の底に溜まった付着物を、当該付着物が流入してきた開口部から遠ざける向きに回転することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の部屋のうち少なくとも最上位に位置する部屋には、
前記底から前記付着物の搬送方向上流側に位置する部屋内に延出する延出部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の部屋のうち最上位に位置する部屋の回転搬送体で搬出される付着物を収容可能な収容部が、前記複数の部屋に沿って形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−164633(P2010−164633A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4723(P2009−4723)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】