説明

画像形成装置

【課題】運搬時に専用に設けられた取手以外の部分を保持する場合に、フレーム部に直接触れることなく、安全に運搬することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】レーザープリンタ30の外装部23の背面26の下部に、一端部8bを支点として、構造体20を覆うように回動自在にカセットカバー8を設けて、外装部23の背面26に取手用のスペースを設けるとともに、カセットカバー8によって構造体20のバリやエッジ等から保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の本体から取り外し自在とした給紙カセットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機などの画像形成装置の開発において装置の小型化、低価格化が重要な課題となっている。近年は、装置の小型化が進み、本体重量も軽くなり1人で持ち運べる重さになっている。かかる小型化した画像形成装置においては、小型化により部品の配置スペースを確保するため運搬用の取手部の空間を小さくしたものが多数提案されている。
【0003】
このような、運搬用の取手部の空間を小さくした画像形成装置においては、機器の運搬に取手部分ではなく他の部分を持つ場合がある。特に、給紙カセットを取り外すためのハンドル部と、そのハンドル部の反対面側の装置筐体のフレーム部と、を保持して運搬を行う場合には、ユーザーはフレーム部として本体底面部を保持することがある。
【0004】
給紙カセットのハンドル部を保持して運搬する際に、給紙カセットが外れてしまうと、機器が転落、破損してしまうという問題があったので、そのような問題を解決するために、前記画像形成装置の出荷時には、レベルボルトと連動したリンク部品により給紙カセットをロックして外れなくする技術(特許文献1を参照)が提案されている。
【0005】
また、画像形成装置の運搬時に、その本体から引き出す運搬用把手の動きに連動して、運搬用把手を引き出したときに給紙カセットをロックし、運搬用把手を戻したときはロックを外す技術(特許文献2を参照)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置の筐体のフレーム部を保持して運搬する場合、一般的に本体の底面部は側面部などと異なり、樹脂部品のエッジや板金部品のバリやエッジ等が露出している場合が多く、持ちにくく運搬の障害となる可能性があった。
【0007】
また、特許文献1に記載された技術では、画像形成装置使用時にレベルボルトを動かしてしまうためカセットのロックは解除されカセットを保持し運搬する場合にカセットが外れてしまい、レベルボルトを動かさない場合は使用時にカセットが取り外せなく給紙できなくなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は運搬用把手を設けられる中大型機に対してものであり、把手を引き出さず給紙カセットを保持して画像形成装置本体を運搬した場合は給紙カセットが外れる危険性やフレーム部に触れてしまう可能性は依然として残っている。
【0009】
本発明はかかる問題を解決することを目的としている。
【0010】
すなわち、本発明は、画像形成装置の運搬時に専用に設けられた取手以外の部分を保持する場合に、フレーム部に直接触れることなく、安全に運搬することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、印刷媒体に画像を形成する内部装置と、前記内部装置を保持するフレーム部と、前記フレーム部の外側を覆うように取り付けられた外装部と、前記外装部の一方の面の下方から内部に向かってスライド自在に取り付けられた給紙カセットと、を備えた画像形成装置において、前記外装部の他方の面の下方近傍を支点として、前記フレーム部を覆うように回動可能なカバー部が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記カバー部の回動した際に前記フレーム部と対向する側の面に凸部が、設けられ、そして、前記凸部に押圧されることによって前記画像形成装置の動作を停止させるインターロックスイッチが、前記フレーム部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載された発明において、前記給紙カセットには、内部に収容する前記印刷媒体のサイズに応じて前記他方の面に向かって拡張可能な延長トレイが、設けられ、そして、前記カバー部が、前記外装部の他方の面の下方近傍を支点として、前記延長トレイを覆うように回動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、外装部の他方の面の下方近傍を支点として、フレーム部を覆うように回動可能なカバー部を設けたので、給紙カセットの反対側に取手用のスペースを設けることができるとともに、カバー部によってフレーム部のバリやエッジ等から保護することができるため、安全に運搬することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、カバー部を回動させたときにカバー部の凸部に押圧されることによって画像形成装置がオフ状態となるインターロックスイッチが設けられているので、プリントアウト時など動作中に移動させた場合でも、カバー部を回動させるだけで動作をストップさせることができ、ユーザーの不意の動作でも安全に装置を移動させて、装置自体の保全を行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、給紙カセットには内部に収容する印刷媒体のサイズに応じて他方の面に向かって拡張可能な延長トレイが設けられており、外装部の他方の面の下方近傍を支点として、延長トレイを覆うように回動可能に設けられているので、延長トレイによって装置本体から露出した印刷媒体の最上面への汚れを低減することができ、汚れを低減することで給紙ローラ等への汚れの付着を低減させ給紙ミスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザープリンタの全体構成を示した側面図である。
【図2】図1に示したレーザープリンタにおいて、本体部より取り外した状態の給紙カセットの外観斜視図である。
【図3】図1に示したレーザープリンタの外観斜視図である。
【図4】図1に示したレーザープリンタにおいて、本体部内の給紙カセット後部の状態を示した断面図である。
【図5】図1に示したレーザープリンタにおいて、エンドフェンスと延長トレイとの嵌合部を示した拡大図である。
【図6】図1に示したレーザープリンタにおいて、インターロックスイッチの構成を示した側面図である。
【図7】図1に示したレーザープリンタにおいて、延長トレイが本体部から露出した状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザープリンタの全体構成を示した側面図である。図2は、図1に示したレーザープリンタにおいて、本体部より取り外した状態の給紙カセットの外観斜視図である。図3は、図1に示したレーザープリンタの外観斜視図である。図4は、図1に示したレーザープリンタにおいて、本体部内の給紙カセット後部の状態を示した断面図である。図5は、図1にしたレーザープリンタにおいて、エンドフェンスと延長トレイとの嵌合部を示した拡大図である。図6は、図1に示したレーザープリンタにおいて、インターロックスイッチの構成を示した側面図である。図7は、図1に示したレーザープリンタにおいて、延長トレイが本体部から露出した状態を示した側面図である。
【0019】
図1に示した画像形成装置としてのレーザープリンタ30は、書込装置1、像形成装置2、中間転写装置3、給紙カセット4、転写装置5、定着装置6、排紙部7と、を有した本体部24が、前記した内部装置等を保持する板金または樹脂などで構成された構造体20と、構造体20の外側に設けられた外装部23と、から構成され、一般的な電子写真プロセスに従って印刷媒体としての用紙にフルカラー画像を形成する。
【0020】
書込装置1は、4つの異なる色であるイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像を形成するための4個のレーザーダイオードを備えており、その各レーザーダイオードから4個の像形成装置2Y、2M、2C、2K内の感光体にそれぞれ光(レーザービーム)を照射して、デジタル画像データの書き込みをそれぞれ行う。また、外装部23の天面に設けられたカバーとともに図1の矢印Aに示す方向に開放されて、像形成装置2を上方に取り出すことを可能とする。
【0021】
像形成装置2は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色ごとに対応する像形成装置2Y、2M、2C、2Kの4つから構成され、書込装置1から照射された光によって内蔵する感光体上に各色ごとのトナー像を形成する。
【0022】
中間転写装置3は、像形成装置2Y、2M、2C、2Kに形成されたトナー像を転写ベルトに順自重畳転写して転写ローラで重畳転写されたトナー像を用紙に一括転写する。
【0023】
給紙カセット4は、図1及び図2に示すようにハンドル部4aとセット部4bとエンドフェンス9と延長トレイ13とが設けられている。ハンドル部4aは、給紙カセット4の前面部に設けられ、矢印Cの方向(外装部23の前面25方向)にスライドさせて本体部24に収容された状態から取り外すことが可能となっている。すなわち、外装部23の一方の面としての前面25の下方から内部に向かってスライド自在に取り付けられている。セット部4bは、用紙を積載するためにトレイ状に構成されている。エンドフェンス9は、用紙の後端部を規正するために後述する延長トレイ13上に取り付けられており、セット部4bのトレイの一部を構成する。延長トレイ13は、用紙サイズが給紙トレイ4のセット部4bより長い場合、図2(b)に示すようにエンドフェンス9を移動させることができるように伸縮自在となっており、セット部4bを拡張し用紙サイズに合わせてセットすることが可能となっている。
【0024】
転写装置5は、外装部23の前面25に設けられたカバーとともに図1の矢印Bに示す方向に開放し、紙詰まり時に容易に処理することを可能としている。
【0025】
定着装置6は、中間転写装置3で用紙に転写した画像を熱源を内蔵した定着ローラと加圧ローラなどによって搬送されてきた用紙を挟持搬送しながら加熱・加圧することによりトナーを融解・浸透させて用紙に定着させている。
【0026】
排紙部7は、定着装置6から搬送された用紙を本体部24上面に排紙する。
【0027】
また、レーザープリンタ30は、図3に示すように、給紙カセット4の取り付け(スライド)方向に対して略平行な外装部23の右側面部10の下部と外装部23の左側面部11の下部とに持ち手部10a、11aが設けられており、通常はこの部分を保持し運搬することができる。
【0028】
また、外装部23の他方の面としての背面26の下部には本体動作時の動作音を遮音するためのカセットカバー8が設けられている。カセットカバー8は、図4に示すように、通常は外装部23の背面26の一部を構成している(外装部23と平行に位置している)が、背面26下部に取り付けられる一端部8bを支点として本体部24の内側および外側へ回動自在となっている。
【0029】
次に、上述した構成のレーザープリンタ30において、持ち手部10a、11aを用いずに、給紙カセット4のハンドル部4aとその反対面側(本体部24の背面26)とを保持して運搬する際について説明する。
【0030】
ユーザーが本来の持ち手部10aと11aを保持せず給紙カセット4のハンドル部4aとその反対面側を保持し本体を運搬する際、給紙カセット4の後方のカセットカバー8は運搬のため手を掛ける動作により図4(b)のように装置本体内側の矢印Dの方向に回動する。このとき回動軌跡上にあるエンドフェンス9はカセットカバー8に押され矢印E方向(本体部24前面方向)に移動する。
【0031】
これは、図5(a)に示すようにエンドフェンス9と延長トレイ13の接触部9aおよび13aは、互いに斜面と略垂直な面による鋸状の形状をしているため、図5(b)に示すように、エンドフェンス9の接触部9aが、矢印E方向に押す力Fが斜面により分解された斜面に沿う力F1により延長トレイ13の接触部13aを乗り越していくためである。
【0032】
そして、図4(c)に示した状態でカセットカバー8は構造体20に密着し、ユーザーはこの状態となってレーザープリンタ30を持ち上げることが可能になる。ユーザーはカセットカバー8により、構造体20の部品15、16を締結しているねじ14や部品のエッジ部15aへ直接接触することなく安全に運搬することが可能になる。すなわち、カセットカバー8が、構造体20を覆うように回動している。
【0033】
また、レーザープリンタ30が動作中であるにも関わらずに、気づかず運搬を行ってしまった場合に備えて、図6に示すように構造体20のカセットカバー8が密着する位置にインターロックスイッチ17を設けてもよい。
【0034】
インターロックスイッチ17は図6(a),(b)に示すように、通常は付勢手段19により付勢されたL字状の部品18によりONになっており、カセットカバー8が回動すると、カセットカバー8に設けられた凸部としての突起状のストライカ8aによって部品18が押されOFF状態になる。インターロックスイッチ17がOFF状態になるとレーザープリンタ30の動作が停止する。このようにすることで、カセットカバー8が構造体20の部品16に密着した際にスイッチが切れるため安全に運搬を行うことができる。なお、この付勢手段19は圧縮、引っ張り、ねじりコイルバネのいずれであっても良い。
【0035】
また、インターロックスイッチ17は、図6(c)に示すようにL字状の保持部品21がストライカ8aに押され回動し、OFF状態になる構成としてもよい。
【0036】
ところで、給紙カセットに積載する用紙のサイズが給紙カセット4より大きい場合は、本実施形態では、図2(b)に示したように延長トレイ13を延ばしてエンドフェンス9を用紙サイズに対応した位置に移動して、セット部4bを拡張することができるようになっている。
【0037】
この状態で図7に示すように給紙カセット4を本体部24へ取り付ける(収容する)と、カセットカバー8は、一端部8bを支点として本体部24の外側へ回動自在となっているので、給紙カセット4の後部が本体部24の背面から露出しようとしてエンドフェンス9がカセットカバー8を押し上げる状態になる。すなわち、カセットカバー8が、外装部23の背面26の下方近傍を支点として、延長トレイ13を覆うように回動可能に設けられている。この状態になると、カセットカバー8が、給紙カセットの露出部分を覆うために、用紙の上面が汚れることを防ぐことができ、その汚れなどによる給紙ミスを低減することができる。
【0038】
本実施形態によれば、レーザープリンタ30の外装部23の背面26の下部に、一端部8bを支点として、構造体20を覆うように回動自在にカセットカバー8を設けたので、本体部24の背面26に取手用のスペースを設けることができるとともに、カセットカバー8によって構造体20のバリやエッジ等から保護することができるため、持ち易く、安全に運搬することができる。また、構造体20に専用の保護部材を設けたり、エッジを丸める処理等を追加することと比較して低コストに安全性を確保することができる。
【0039】
また、カセットカバー8を本体部24の内側に回動させたときにオフ状態となるインターロックスイッチ17が設けられているので、プリントアウト時など動作中に移動させた場合に動作をストップさせることができるため、ユーザーの不意の動作でも安全にレーザープリンタ30に移動させ、レーザープリンタ30自体の保全を行うことができる。
【0040】
また、給紙カセット4には内部に収容する用紙のサイズに応じてスライド方向へ拡張可能な延長トレイ13が設けられており、カセットカバー8が、外装部23の背面26の下方近傍を支点として、延長トレイ13を覆うように回動可能に設けられているので、延長トレイ13によって本体部24から露出した用紙の最上面への汚れを低減することができ、汚れを低減することで給紙ローラ等への汚れの付着を低減させ給紙ミスを低減させることができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
4 給紙カセット
4a ハンドル部
8 カセットカバー(カバー部)
8a ストライカ(凸部)
13 延長トレイ
17 インターロックスイッチ
20 構造体(フレーム部)
23 外装部
25 前面(一方の面)
26 背面(他方の面)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2006−64888号公報
【特許文献2】特開平8−44272号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に画像を形成する内部装置と、前記内部装置を保持するフレーム部と、前記フレーム部の外側を覆うように取り付けられた外装部と、前記外装部の一方の面の下方から内部に向かってスライド自在に取り付けられた給紙カセットと、を備えた画像形成装置において、
前記外装部の他方の面の下方近傍を支点として、前記フレーム部を覆うように回動可能なカバー部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部の回動した際に前記フレーム部と対向する側の面に凸部が、設けられ、そして、前記凸部に押圧されることによって前記画像形成装置の動作を停止させるインターロックスイッチが、前記フレーム部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙カセットには、内部に収容する前記印刷媒体のサイズに応じて前記他方の面に向かって拡張可能な延長トレイが、設けられ、そして、前記カバー部が、前記外装部の他方の面の下方近傍を支点として、前記延長トレイを覆うように回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−210996(P2010−210996A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57645(P2009−57645)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】