説明

画像形成装置

【課題】1つの駆動源で排紙ローラの回転方向を切替可能であり、且つ駆動力の伝達が効率的でノイズが発生しにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】複合機が備える回転方向切替部60は、駆動入力ギア62と、駆動出力ギア64と、カウンタギア65と、正回転クラッチ63と、逆回転クラッチ66と、を備えている。駆動入力ギア62は、モータからの回転駆動力によって回転駆動される。駆動出力ギア64は、排紙ローラを駆動するためのものである。カウンタギア65は、駆動入力ギア62と噛み合い、当該駆動入力ギア62とは逆方向に回転する。正回転クラッチ63は、駆動入力ギア62と噛み合う入力ギア631と、駆動出力ギア64と噛み合う出力ギア632と、を備える。逆回転クラッチ66は、カウンタギア65と噛み合う入力ギア661と、駆動出力ギア64と噛み合う出力ギア662と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。詳細には、前記画像形成装置において排紙ローラを駆動するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、片面を印刷した後に用紙を反転させてもう一方の面を印刷することにより、両面印刷可能な画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置においては、表面を印刷されて搬送されてきた用紙を排紙ローラでニップした状態で、当該排紙ローラを逆回転させて反転搬送経路へ送り出すことにより当該用紙の裏表を反転させる。ところで、上記のような画像形成装置においては、上記排紙ローラと、他の搬送ローラ及び画像形成部の感光ドラム等とを共通の回転駆動源(モータ)によって回転駆動する構成とされる場合がある。この場合はモータを逆回転させることができないため、回転駆動源であるモータを逆回転させることなく排紙ローラを逆回転させるための構成が各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2は、排紙ローラ逆回転用のモータを更に備えた画像形成装置を開示する。この構成によれば、印刷時(排紙ローラの正回転時)には排紙ローラを感光ドラム等と共通のモータによって駆動し、逆回転時には逆回転用のモータによって当該排紙ローラを駆動することができる。これにより、感光ドラム等を駆動しているモータの回転方向を切り替えることなく、排紙ローラの回転方向のみを逆転させて用紙を反転させることができる。
【特許文献1】特開2004−299891号公報
【特許文献2】特開2004−307174号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2の構成は排紙ローラのためのモータが2つあるので、消費電力及びコストの面で不利であった。この点、以下の特許文献3及び4は、逆回転用のモータを設けることなく、排紙ローラの回転方向を切り替える構成を開示する。
【特許文献3】特開2005−202090号公報
【特許文献4】特開2005−96902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献3の構成は、トルクリミッタを介しているので確実に駆動力を伝達できないおそれがあった。また、上記特許文献4の構成は2つのクラッチが噛み合っているため、クラッチのガタつきに起因してギアの噛み合い部分で高周波ノイズが発生するという問題があった。
【0006】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、1つの駆動源で排紙ローラの回転方向を切替可能であり、且つ駆動力の伝達が効率的でノイズが発生しにくい画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の画像形成装置が提供される。即ち、この画像形成装置は、駆動入力ギアと、駆動出力ギアと、カウンタギアと、第1クラッチと、第2クラッチと、を備える。前記駆動入力ギアは、駆動源からの回転駆動力によって回転駆動される。前記駆動出力ギアは、排紙ローラを駆動するためのものである。前記カウンタギアは、前記駆動入力ギアと噛み合うことにより、当該駆動入力ギアとは逆方向に回転する。前記第1クラッチは、前記駆動入力ギアと噛み合う第1入力ギアと、前記駆動出力ギアと噛み合う第1出力ギアと、を備える。前記第2クラッチは、前記カウンタギアと噛み合う第2入力ギアと、前記駆動出力ギアと噛み合う第2出力ギアと、を備える。
【0009】
これにより、第1クラッチによって駆動源からの回転を駆動出力ギアに伝達する一方、第2クラッチはカウンタギアを介することにより第1クラッチとは反対向きの回転を駆動出力ギアに伝達することができる。従って、第1クラッチと第2クラッチとを切り替えることにより、1つの駆動源によって、当該駆動源の回転方向自体を変更することなく排紙ローラの回転方向を正逆両方に切り替えることができる。また、第1クラッチによる駆動力伝達経路と、第2クラッチによる駆動力伝達経路の何れにおいても、ガタつきの生じ易いクラッチの出力ギアは1つしか含まれない。これにより、駆動出力ギアの噛み合い部で発生する高周波ノイズを最小限に抑えることができる。また、駆動力の伝達は全てギアの噛み合い及びクラッチによるものであるので、例えばトルクリミッタ等を用いる場合と比べて効率良く駆動力を伝達することができる。
【0010】
前記の画像形成装置においては、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチの少なくとも何れか一方は、電磁クラッチによって構成されていることが好ましい。
【0011】
即ち、出力ギアのガタつきが発生し易い電磁クラッチにおいて、高周波ノイズを抑えるという本発明の効果を特に大きく発揮することができる。
【0012】
前記の画像形成装置においては、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは隣接して配置されていることが好ましい。
【0013】
これにより、2つのクラッチに対する配線を効率的に行うことができるとともに装置内の配線を簡素化することができる。
【0014】
前記の画像形成装置においては、当該画像形成装置は取付フレームを備え、前記駆動入力ギア、前記駆動出力ギア、前記カウンタギア、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは、何れも前記取付フレームの一側に配置されていることが好ましい。
【0015】
これにより、取付フレームへの各構成の取付作業が行い易くなる。
【0016】
前記の画像形成装置においては、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは同一の構成であることが好ましい。
【0017】
これにより、部品を共通化することによりコストを削減できるとともに、クラッチの取付構造を単純化することができる。
【0018】
前記の画像形成装置においては、前記第1入力ギアと前記第1出力ギアとが軸方向に隣接しており、前記第2入力ギアと前記第2出力ギアとが軸方向に隣接していることが好ましい。
【0019】
これにより、軸方向の厚みを抑えて装置全体をコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのコピーファクシミリ複合機75の外観斜視図である。また図2は複合機75の本体内部の様子を示す正面断面図である。
【0021】
図1に示すコピーファクシミリ複合機75は、画像読取部76と、操作パネル77と、本体78と、給紙カセット79と、を備えている。
【0022】
画像読取部76は、フラットベッドスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するように構成されている。操作パネル77は、コピー部数及びファクシミリ送信先等をユーザが複合機75に対し指示するためのものである。
【0023】
本体78には、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等が内蔵されている。また、本体78は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部等を備えている。給紙カセット79は、前記用紙を前記画像形成部へ順次供給できるように構成されている。
【0024】
コピーファクシミリ複合機75の内部の様子が図2に示される。この図2に示すように、前記本体78の上面には、読み取るべき原稿を載置するプラテンガラス82が設けられる。本体78の上方には原稿台カバー83が設けられており、この原稿台カバー83によって、原稿をプラテンガラス82上に押圧して固定できるようになっている。
【0025】
前記原稿台カバー83には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)84が配設されている。このADF84は、原稿台カバー83の上部に設けられた原稿トレイ85と、この原稿トレイの下方に設けられた排出トレイ86と、を備える。
【0026】
図2に示すように、前記原稿台カバー83の内部には、原稿トレイ85と排出トレイ86とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路87が構成されている。この原稿搬送経路87には、分離ローラ88及び複数の搬送ローラ89が配置されている。この構成で、原稿トレイ85に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路87に沿って搬送され、原稿読取位置を通過した後、排出トレイ86へ排出される。
【0027】
図2に示すように、本体78の上部にはスキャナユニット90が備えられる。このスキャナユニット90は、光源91と、反射ミラー92,93,94と、集光レンズ95と、電荷結合素子(CCD)96と、を備えている。
【0028】
光源91は、前記プラテンガラス82又は前記ADF84の原稿読取位置に対して光を照射する。原稿からの反射光は、反射ミラー92,93,94によって更に反射し、集光レンズ95によって収束して、CCD96の部分に結像する。CCD96は、この収束光を電気信号に変換して出力する。
【0029】
スキャナユニット90の光源91及び反射ミラー92等は適宜移動可能に構成している。従って、複合機75をフラットベッドスキャナとして使用する場合は、光源91及び反射ミラー92等を一定の速度で移動させて、プラテンガラス82上の原稿を走査して読み取ることができる。また、複合機75をADFスキャナとして使用する場合は、光源91及び反射ミラー92等をADF84の前記原稿読取位置まで移動した状態で静止させ、原稿搬送経路87を搬送される原稿を走査して読み取ることができる。
【0030】
前述のように、原稿からの反射光はCCD96へ導かれて結像し、CCD96は原稿に応じた電気信号を出力する。この信号は適宜の変換処理後に後述の画像形成部11に送られて印刷され、又は、前記送受信部によって他のファクシミリ装置へ通信回線を介して送信される。
【0031】
図2に示すように、本体78の下部には、用紙100を供給する給紙カセット79が備えられる。この給紙カセット79は装置正面側(図2の紙面手前側)に引出可能に構成されている。給紙カセット79の上方には、画像形成部11、定着装置51、及び排紙トレイ80が備えられている。
【0032】
本体78の内部には、給紙カセット79から排紙トレイ80へ用紙100を搬送するための搬送路24が形成されている。この搬送路24は、給紙カセット79の一端側から上方に向かって延びた後、一部湾曲しながら画像形成部11に至り、更に上方にある定着装置51を通過した後、水平方向に湾曲して排紙トレイ80上に至るように構成されている。
【0033】
給紙カセット79の上方には給紙ローラ21が配置されており、給紙カセット79内に積層された最上層の用紙100に前記給紙ローラ21が接触するように構成されている。この状態で給紙ローラ21が駆動されることで、給紙ローラ21と図示しない分離パッドにより最上層の用紙100が分離されて、ピックアップされ、前記搬送路24に向けて送り出される。
【0034】
搬送路24において前記給紙ローラ21のすぐ下流側には、搬送ローラ22が配置されている。この搬送ローラ22は、それに対向配置されるローラとの間に用紙100をニップしつつ駆動されることで、用紙100を下流側の画像形成部11へ搬送する。
【0035】
画像形成部11は、図2に示すように、感光ドラム12の周囲に、帯電器13と、LEDヘッド14と、現像器15と、転写ローラ16と、を配置して構成されている。
【0036】
感光ドラム12は、表面に有機感光体による光導電膜が形成されるとともに、図示しない電動モータによって回転駆動されるように構成されている。帯電器13はブラシ帯電方式に構成され、この帯電器13によって感光ドラム12の表面が均一に、例えば負に帯電されるようになっている。
【0037】
露光器としてのLEDヘッド14は、前記帯電器13より下流側(感光ドラム12の回転方向の下流側をいう。以下、現像器15、及び転写ローラ16の説明において同じ。)に配置されており、発光ダイオード(LED)を用紙幅方向に多数並べて備えた構成となっている。そしてLEDヘッド14は、電話回線を介して受信したファクシミリ原稿の画像データ、又は、画像読取部76で読み取った画像データに対応して選択的に発光する。この結果、感光ドラム12の表面が選択的に露光され、露光部分の電荷エネルギーが消失することで静電潜像が形成される。
【0038】
現像器15は前記LEDヘッド14の下流側に配置されている。この現像器15は、非磁性一成分トナーを収容するトナー容器26を備えるとともに、トナーの撹拌のためにトナー容器26の内部で回転駆動される撹拌ブレード27を備えている。更に、現像器15は、トナー容器26の内部に配置される供給ローラ28と、この供給ローラ28に接触して配置される現像ローラ29と、この現像ローラ29の外周面に接触するように配置される規制ブレード30と、を備えている。
【0039】
この構成で、供給ローラ28と現像ローラ29とは、互いに周面を逆方向に擦るように回転駆動される。また、規制ブレード30の先端は、回転駆動される現像ローラ29の周面を擦ることになる。この結果、トナー容器26内のトナーは摩擦帯電され、現像ローラ29の表面に電位差によって付着する。現像ローラ29の表面のトナーは、規制ブレード30によって付着厚さが均一になるよう調整されるとともに、当該現像ローラ29の回転によって感光ドラム12側へ送られる。その後、感光ドラム12と現像ローラ29との近接部分において、感光ドラム12の前記LEDヘッド14による露光部に相当する部分においてのみ、現像ローラ29の表面のトナーが選択的に感光ドラム12の表面へ移動する。この結果、感光ドラム12の表面上にトナー像が形成される。
【0040】
転写ローラ16は、前記現像器15の下流側に配置されるとともに、感光ドラム12から搬送路24を挟んで反対側に配置されている。また、この転写ローラ16には電源からの所定の電圧が印加されている。従って、感光ドラム12の表面に形成されたトナー像は、感光ドラム12の回転によって転写ローラ16側へ近づくように移動し、その電界吸引力によって用紙100に転写される。トナー像が転写された用紙100は、感光ドラム12の回転によって、搬送路24の下流側の定着装置51へ送られる。
【0041】
定着装置51は、回転駆動されるヒートローラ52と、このヒートローラ52に対向して配置されるプレスローラ53と、を備えている。このプレスローラ53は付勢バネによってヒートローラ52に対して押し付けられている。ヒートローラ52は例えばハロゲンランプ等の発熱体を有しており、当該発熱体に通電することによって当該ヒートローラ52の表面を均一に加熱することができる。
【0042】
この構成で、用紙100がヒートローラ52とプレスローラ53との間を通過することにより、高温のヒートローラ52の熱及びプレスローラ53による圧力によって、トナー像のトナーが融解して用紙100に定着する。なお、定着装置51には、用紙100がヒートローラ52に貼り付いたまま周囲に巻き付くことを防止するための分離爪54が設けられている。
【0043】
図2に示すように、定着装置51より下流側には排紙ローラ25が設けられる。この構成で、定着装置51から送られてきた用紙100は、排紙ローラ25とそれに対向配置される従動ローラとの間でニップされて、前記排紙トレイ80上に排出される。
【0044】
また、用紙100の両面に画像を形成する場合は、表面への画像形成が終了した後、排紙ローラ25で用紙100を完全に排出せず、用紙100の上流側端部をニップした状態で排紙ローラ25を逆転させる。これにより、用紙100はスイッチバック搬送路23に送られる。
【0045】
このスイッチバック搬送路23は、排紙ローラ25から始まり、搬送ローラ31,32を経て、Uターン状に湾曲し、端部で搬送路24の給紙ローラ21のすぐ下流側に合流するように構成されている。このスイッチバック搬送路23で用紙100を搬送することにより、用紙100の裏表を逆転させることができる。
【0046】
以上のようにスイッチバック搬送路23を搬送されてきた用紙100に対して、画像形成部11及び定着装置51によって再びトナー像を定着させることにより、用紙100の両面に画像を形成することができる。
【0047】
次に、図3を参照して排紙ローラ25へ駆動力を伝達するための構成について説明する。図3は、本体78内部を装置背面側から見た様子を示す概略的な一部断面図である。図3に示すように、複合機75の背面寄りの部分には、モータ(駆動源)40からの回転駆動力を排紙ローラ25へ伝えるための複数のギアが配置されている。なお、詳細な説明は省略するが、本体78内部には、図示したギア以外にも例えば搬送ローラ22或いは感光ドラム12等を回転駆動するためのギアが多数配置されている。
【0048】
モータ40の出力軸には出力ギア401が固定されており、前記出力軸の回転は、当該出力ギア401に噛み合っている第1ギア41に伝えられる。第1ギア41の回転は第2ギア42、第3ギア43、第4ギア44を介して、回転方向切替部60が備える第5ギア61に伝えられる。回転方向切替部60は、後述するように正回転クラッチ63又は逆回転クラッチ66を介して駆動力を駆動出力ギア64に伝える。当該駆動出力ギア64は第6ギア46と噛み合っており、当該第6ギア46によって排紙ローラ25が回転駆動されるように構成されている。また、前記第4ギア44と噛み合う第7ギア47は、定着装置51のヒートローラ52等を回転駆動するように構成されている。
【0049】
次に、回転方向切替部60の構成について、図4を参照して説明する。図4は回転方向切替部60の外観斜視図である。図4に示すように、回転方向切替部60は、第5ギア61と、駆動入力ギア62と、正回転クラッチ(第1クラッチ)63と、駆動出力ギア64と、カウンタギア65と、逆回転クラッチ(第2クラッチ)66と、ハウジング68と、を備えている。上記各構成は板状に形成された取付フレーム67の一側の面に配置されており、これにより回転方向切替部60の製造時の取付作業が容易となっている。
【0050】
正回転クラッチ63は、入力ギア(第1入力ギア)631と、出力ギア(第1出力ギア)632と、クラッチ本体633と、中間軸634と、を主に備えている。入力ギア631と出力ギア632は、入力ギア631が図4の上側、出力ギア632が図4の下側、となるように、中間軸634を共通の軸として軸方向に上下に近接して並んで配置されている。入力ギア631は中間軸634に対して相対回転可能に支持されている。出力ギア632は、中間軸634に固定され、当該中間軸634に対して相対回転不能とされている。クラッチ本体633は公知の電磁クラッチとして構成されている。そして、クラッチONのときには入力ギア631が中間軸634に連結されて一体回転し、クラッチOFFのときは入力ギア631と中間軸634との連結が解除されて自由に相対回転するように構成されている。
【0051】
以上の構成で、クラッチONのときは中間軸634を介して入力ギア631と出力ギア632が連結されて一体回転し、入力ギア631から出力ギア632に回転駆動力を伝えることができる。また、クラッチOFFのときは入力ギア631と中間軸634との連結が解除されるため、入力ギア631の回転が出力ギア632に伝わらないようにすることができる。
【0052】
前記クラッチ本体633には回り止め部636が形成されており、当該回り止め部636は前記ハウジング68に形成された差込み孔に挿入されている。また、クラッチ本体633には図略の接続コードが接続された制御信号入力部635が形成されており、この接続コードから入力される電気信号によってクラッチのON/OFFを切り替えることができる。
【0053】
逆回転クラッチ66は、入力ギア(第2入力ギア)661と、出力ギア(第2出力ギア)662と、クラッチ本体663と、中間軸664と、制御信号入力部665と、回り止め部666と、を備えている。この逆回転クラッチ66は正回転クラッチ63と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
また、図4に示すように正回転クラッチ63と逆回転クラッチ66とは隣接して配置され、制御信号入力部635,665も隣接している。これにより、両クラッチに対する配線作業が容易になるとともに、装置内の配線を簡素化することができる。
【0055】
また、図3に示したように、回転方向切替部60は本体78の背面側に配置されている。そのため、本体78を厚み方向で小型化するという観点から、回転方向切替部60を厚み方向(即ち各ギアの軸方向)で小型化することが好ましい。この点、本実施形態では正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66において、入力ギアと出力ギアが軸方向で近接しているので、回転方向切替部60全体が軸方向にコンパクトに構成されている。
【0056】
第5ギア61、駆動入力ギア62、駆動出力ギア64及びカウンタギア65のそれぞれの支持軸には、スペーサ69が配置されている。これにより、それぞれのギアが軸方向に位置決めされている。具体的には、第5ギア61、駆動入力ギア62及びカウンタギア65の軸には、それぞれのギアに対して図4の下側にスペーサ69が配置される。これにより、駆動入力ギア62は正回転クラッチ63の入力ギア631と、カウンタギア65は逆回転クラッチ66の入力ギア661と、それぞれ適切に噛み合うことができる。また、駆動出力ギア64の軸には、当該駆動出力ギア64に対して図4の上側にスペーサ69が配置される。これにより、駆動出力ギア64が正回転クラッチ63の出力ギア632及び逆回転クラッチ66の出力ギア662と噛み合うことができる。
【0057】
次に、駆動力の伝達について図5を参照して説明する。図5は回転方向切替部60の背面図である。駆動入力ギア62は、第5ギア61及び正回転クラッチ63の入力ギア631と噛み合うことにより、第5ギア61からの駆動力を正回転クラッチ63に入力している。カウンタギア65は、前記駆動入力ギア62及び逆回転クラッチ66の入力ギア661と噛み合うことにより、駆動入力ギア62からの駆動力を正逆変換して逆回転クラッチ66に入力している。そして、駆動出力ギア64は、正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66の出力ギア632,662と噛み合っている。
【0058】
以上の構成で、正回転クラッチ63と逆回転クラッチ66の何れか一方をONすることにより、前記のモータ40からの回転駆動力を伝達する経路を、正回転伝達経路101と逆回転伝達経路102とで切り替えて排紙ローラ25まで伝達することができる。正回転クラッチ63をONにしたときの正回転伝達経路101は、伝達経路の上流側から順に、駆動入力ギア62、正回転クラッチ63、駆動出力ギア64、と駆動力を伝達するものである。また、逆回転クラッチ66をONにしたときの逆回転伝達経路102は、伝達経路の上流側から順に、駆動入力ギア62、カウンタギア65、逆回転クラッチ66、駆動出力ギア64、と駆動力を伝達するものである。
【0059】
以上のように、逆回転伝達経路102は、正回転伝達経路101と比べて、経路中にあるギアが1つ多い(カウンタギア65)。これにより、逆回転伝達経路102によって伝達される回転駆動力の向きを、正回転伝達経路101によって伝達させる回転駆動力とは逆にすることができる。従って、正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66を切り替えることによって駆動出力ギア64に伝達する回転駆動力の回転方向を切り替え、排紙ローラ25の回転方向を切り替えることが可能となる。
【0060】
また、正回転伝達経路101及び逆回転伝達経路102の何れにおいても、経路中に介在するクラッチは1つのみである。即ち、ガタつきの発生し易いクラッチの出力ギア632,662同士が直接噛み合わないように構成されているので、クラッチのガタつきによって生じる高周波ノイズを最小限に抑えることができる。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態の複合機75は、駆動入力ギア62と、駆動出力ギア64と、カウンタギア65と、正回転クラッチ63と、逆回転クラッチ66と、を備えている。駆動入力ギア62は、モータ40からの回転駆動力によって回転駆動される。駆動出力ギア64は、排紙ローラ25を駆動するためのものである。カウンタギア65は、駆動入力ギア62と噛み合い、当該駆動入力ギア62とは逆方向に回転する。正回転クラッチ63は、駆動入力ギア62と噛み合う入力ギア631と、駆動出力ギア64と噛み合う出力ギア632と、を備える。逆回転クラッチ66は、カウンタギア65と噛み合う入力ギア661と、駆動出力ギア64と噛み合う出力ギア662と、を備えている。
【0062】
これにより、正回転クラッチ63によってモータ40からの回転を駆動出力ギア64に伝達する一方、逆回転クラッチ66はカウンタギア65を介することにより正回転クラッチ63とは反対向きの回転を駆動出力ギア64に伝達することができる。従って、正回転クラッチ63と逆回転クラッチ66とを切り替えることにより、1つのモータ40の回転方向自体を変更することなく排紙ローラ25の回転方向を正逆両方に切り替えることができる。また、正回転クラッチ63による正回転伝達経路101と、逆回転クラッチ66による逆回転伝達経路102の何れにおいても、ガタつきの生じ易いクラッチの出力ギアは1つしか含まれない。これにより、駆動出力ギア64の噛み合い部で発生する高周波ノイズを最小限に抑えることができる。また、駆動力の伝達は全てギアの噛み合い及びクラッチによるものであるので、例えばトルクリミッタ等を用いる場合と比べて効率良く駆動力を伝達することができる。
【0063】
また、本実施形態の複合機75においては、正回転クラッチ63と逆回転クラッチ66は何れも電磁クラッチによって構成されている。
【0064】
即ち、高周波ノイズを抑えるという本発明の効果は、出力ギアのガタつきが発生し易い電磁クラッチを採用する構成において特に良好に発揮することができる。
【0065】
また、本実施形態の複合機75においては、正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66は隣接して配置されている。
【0066】
これにより、2つのクラッチに対する配線を効率的に行うことができるとともに装置内の配線を簡素化することができる。
【0067】
また、本実施形態の複合機75は取付フレーム67を備え、駆動入力ギア62、駆動出力ギア64、カウンタギア65、正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66は、何れも取付フレーム67の一側に配置されている。
【0068】
これにより、取付フレーム67への各構成の取付作業が行い易くなる。
【0069】
また、本実施形態の複合機75においては、正回転クラッチ63及び逆回転クラッチ66は同一の構成である。
【0070】
これにより、部品を共通化することによりコストを削減できるとともに、クラッチの取付構造を単純化することができる。
【0071】
また、本実施形態の複合機75においては、入力ギア631と出力ギア632とが軸方向に隣接しており、入力ギア661と出力ギア662とが軸方向に隣接している。
【0072】
これにより、軸方向の厚みを抑えて装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0073】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0074】
図3に示したギアの配置及びモータ40からのギアの数などは適宜変更することができる。
【0075】
上記実施形態ではカウンタギア65を含む伝達経路を逆回転伝達経路102としている。しかし、モータ40から回転方向切替部60に至るまでのギアの数によっては、第5ギア61に入力される回転駆動力が上記実施形態とは反対になることも考えられる。この場合は回転方向切替部60内のギアの配置を変更し、カウンタギア65を正回転伝達経路内に配置すれば良い。
【0076】
排紙ローラを回転させる必要が無いときは、エネルギー節約の観点から両方のクラッチをOFFにしてもよい。
【0077】
本発明の構成はコピーファクシミリ複合機に限らず、スイッチバック方式で両面印刷を行う画像形成装置であれば、コピー、ファクシミリ、プリンタ等、様々な画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのコピーファクシミリ複合機の外観斜視図。
【図2】複合機の本体内部の様子を示す正面断面図。
【図3】複合機の本体内部を装置背面から見た様子を示す一部断面図。
【図4】回転方向切替部の外観斜視図。
【図5】回転方向切替部の背面図。
【符号の説明】
【0079】
25 排紙ローラ
60 回転方向切替部
62 駆動入力ギア
63 正回転クラッチ(第1クラッチ)
64 駆動出力ギア
65 カウンタギア
66 逆回転クラッチ(第2クラッチ)
67 取付フレーム
75 複合機(画像形成装置)
631 入力ギア(第1入力ギア)
632 出力ギア(第1出力ギア)
661 入力ギア(第2入力ギア)
662 出力ギア(第2出力ギア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの回転駆動力によって回転駆動される駆動入力ギアと、
排紙ローラを駆動するための駆動出力ギアと、
前記駆動入力ギアと噛み合い、当該駆動入力ギアとは逆方向に回転するカウンタギアと、
前記駆動入力ギアと噛み合う第1入力ギアと、前記駆動出力ギアと噛み合う第1出力ギアと、を備えた第1クラッチと、
前記カウンタギアと噛み合う第2入力ギアと、前記駆動出力ギアと噛み合う第2出力ギアと、を備えた第2クラッチと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチの少なくとも何れか一方は、電磁クラッチによって構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは隣接して配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の画像形成装置であって、
当該画像形成装置は取付フレームを備え、
前記駆動入力ギア、前記駆動出力ギア、前記カウンタギア、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは、何れも前記取付フレームの一側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の画像形成装置であって、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチは同一の構成であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の画像形成装置であって、
前記第1入力ギアと前記第1出力ギアとが軸方向に隣接しており、
前記第2入力ギアと前記第2出力ギアとが軸方向に隣接していることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−23983(P2010−23983A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187244(P2008−187244)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】