説明

画像形成装置

【課題】ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持する。
【解決手段】表示制御部77は、操作情報取得部71で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部75の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が、設定ミスの蓋然性が高いプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機能と、該印刷機能を実行することで得られる印刷物の出力に先立って、同印刷物の仕上がりイメージを予め表示画面上に表示するプレビュー機能を有する画像形成装置に係り、特に、設定ミスの蓋然性が高い機能に絞り込んでプレビュー表示を行わせることによって、ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機能を有する画像形成装置では、ユーザの多様なニーズに応えるために、例えば、冊子作成機能、ステープル留め機能、又はページ集約機能をはじめとする多機能化が急速に進展してきている。
【0003】
こうした画像形成装置によって所要の印刷物を得るために、ユーザは、同装置に備えられた画像形成処理に関する各種機能のなかから自身の要求に合った機能に係る項目を選択的に設定するとともに、同機能項目に係る細部の内容を設定してゆくことになる。
【0004】
この設定作業のいかんによって、ユーザの要求に合った印刷物が得られるか否かが決せられる。従って、所要の印刷物を得るためには、ユーザの要求を細部まで忠実に反映させつつ上記設定作業をいかにして進めるか、がきわめて重要な鍵となる。
【0005】
特に、最近の画像形成装置では、より一層の多機能化の進展に伴って、その設定操作もかなり複雑になっている。そのため、自分では正しい設定を行ったつもりでも、実際にはその設定内容に誤りがあり、その結果として得られた印刷物が予想外の仕上りになってしまうケースも少なくない。
【0006】
かかる課題を解決するためのアプローチのひとつとして、印刷データに基づきプレビュー用元画像を作成するプレビュー用元画像作成部と、機器固有のプレビュー用部品画像を作成するプレビュー用部品画像作成部と、プレビュー用元画像およびプレビュー用部品画像からプレビュー画像を合成するプレビュー画像合成部と、プレビュー画像を保持するプレビュー画像保持部とを有する画像処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に係るプレビュー機能によれば、印刷物の仕上がりイメージを正確に表したプレビュー画像が表示されるので、例えその設定内容に誤りがあったとしても、プレビュー画像を視てその誤りを修正しつつ設定作業を行うことにより、得られた印刷物が予想外の仕上りになってしまう事態を未然に抑止することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に係るプレビュー機能では、設定ミスの蓋然性が高いか否かにかかわらず、何らかの設定がなされた印刷対象物の仕上がりイメージを画一的にプレビュー表示する構成となっていた。このため、例えば、頻繁に利用する機能であって、その設定ミスの蓋然性がきわめて低いのにもかかわらず、その仕上がりイメージが無意味にプレビュー表示されるといったケースが生じていた。こうした不要なプレビュー表示は、ユーザの貴重な時間を無駄に消費するのみならず、装置の利用効率低下を招来することとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−111906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、不要なプレビュー表示を行う従来技術では、ユーザの貴重な時間を無駄に消費するのみならず、装置の利用効率低下を招来するおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、設定ミスの蓋然性が高い機能に絞り込んでプレビュー表示を行わせることによって、ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とする画像形成装置を得ることを目的として、各種情報を表示するための表示部を備える一方、印刷機能と、該印刷機能を実行することで得られる印刷物の出力に先立って、同印刷物の仕上がりイメージを前記表示部における表示画面上に表示するプレビュー機能を有する画像形成装置であって、画像形成に関する各種機能に係る項目を選択乃至設定するための操作情報を取得する操作情報取得部と、画像形成に関する各種機能のそれぞれに関連付けて、設定ミスの蓋然性が高いか否かに係る設定ミス情報を収集する設定ミス情報収集部と、前記設定ミス情報収集部で収集された設定ミス情報に基づいて、前記各種機能のうち設定ミスの蓋然性が高い旨の判断が下された機能を、前記プレビュー機能の対象候補として記憶するプレビュー候補記憶部と、前記操作情報取得部で取得した操作情報と、前記プレビュー候補記憶部の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面を前記表示部における表示画面上に表示させる表示制御部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、表示制御部は、操作情報取得部で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が、設定ミスの蓋然性が高いプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面を表示部における表示画面上に表示させる。
【0013】
従って、設定ミスの蓋然性が高い機能に絞り込んでプレビュー表示を行わせることが可能となる結果として、ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とする画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【図3】本画像形成装置における設定ミス情報収集時の動作説明に供するフローチャート図である。
【図4】本画像形成装置の動作説明に供するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とする画像形成装置を得るといった目的を、操作情報取得部で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が、設定ミスの蓋然性が高いプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面を表示部における表示画面上に表示させる表示制御部によって実現した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
[画像形成装置周辺の概略構成]
図1は、本発明実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【0018】
本装置は、例えば、コピージョブ、Fax送信ジョブ、印刷ジョブ、又はネットワーク送信(メール送信やデータ送信)ジョブを含む諸機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本装置は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、ネットワークI/F(インタフェース)部65、並びに、ICカード通信部67を備える。
【0019】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本装置全体の動作を統括制御する。
【0020】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0021】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0022】
エンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信された画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて画像を用紙に印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0023】
操作パネル部51は、図1及び図2に示すように、タッチパネル部53及び機能キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0024】
本発明において表示部として機能するタッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数等に関する情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン類を表示する。また、タッチパネル部53は、印刷機能を実行することで得られる印刷物の出力に先立って、同印刷物の仕上がりイメージを表示画面上にプレビュー表示する際に用いられる。さらに、タッチパネル部53は、後述する設定ミス情報の収集時において、ユーザに仕上がり評価結果の入力を促す催促画面を表示画面上に表示する際に用いられる。
【0025】
機能キー部55は、画像形成に関する各種機能に係る項目を選択乃至設定する際に操作される複数の機能キーを備えており、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等の主機能をはじめとして、ページ集約、ステープル留め、冊子作成、或いはパンチ孔開け等の副機能を含む各種機能のなかから、所要の機能項目に係るキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に、又は、ユーザが複写部数やコピー実行指令などを操作入力する際に用いられる。
【0026】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0027】
HDD(ハードディスクドライブ)63は、スキャナ部21によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDDに記憶されている画像データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される。
【0028】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等のユーザ端末67に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0029】
ICカード通信部67は、ユーザが所持しているICタグ等のカードキー69のアクセスを検知し、カードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み出して、主制御部11に転送する機能を備えている。
【0030】
さて、設定ミスの蓋然性が高い機能に絞り込んでプレビュー表示を行わせることによって、ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とするために、主制御部11は、ユーザがアクセスしてくる毎に、当該ユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行うユーザ認証部70と、画像形成に関する各種機能に係る項目を選択乃至設定するための操作情報を取得する操作情報取得部71と、画像形成に関する各種機能(例えば、ページ集約機能、ステープル留め機能、冊子作成機能など)のそれぞれに関連付けて、設定ミスの蓋然性が高いか否かに係る設定ミス情報を収集する設定ミス情報収集部73と、設定ミス情報収集部73で収集された設定ミス情報に基づいて、前記各種機能のうち設定ミスの蓋然性が高い旨の判断が下された機能を、プレビュー機能の対象候補として記憶するプレビュー候補記憶部75と、操作情報取得部71で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部75の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる表示制御部77と、を備えて構成されている。
【0031】
[本発明実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明実施例に係る画像形成装置の動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本画像形成装置における設定ミス情報収集時の動作説明に供するフローチャート図、図4は、本画像形成装置の動作フローチャート図である。
【0032】
本動作説明に先立って、前提となる画像形成装置の構成に言及する。本画像形成装置は、ユーザが所持するカードキー69との間で認証情報に係るデータ交換を通じて装置の使用を許可するカードキー認証モードと、ユーザ識別情報及び暗証番号(認証情報)のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードとを二通り備えており、原則として、カードキー認証モードで動作している。以下の実施例では、原則通りの処理であるカードキー認証モードでの、画像形成装置の動作について説明してゆく。
【0033】
はじめに、設定ミス情報収集時の動作について説明すると、図3に示すように、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを常時監視している。このとき、ユーザが、ICカードキー69を画像形成装置におけるICカードリーダライタ(不図示)にセットすると、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを検知する(ステップS11)とともに、ICカードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み取り、読み取ったICカードキー69のユーザ識別情報を、ユーザ認証部70宛に転送する。
【0034】
ユーザ認証部70は、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報と、プレビュー候補記憶部75に予め登録しておいたユーザ識別情報等を照合することで、カードキー認証を介してアクセスしてきたユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行う(ステップS12)。なお、ユーザ認証に際して、暗証番号によるログイン管理機能を追加しても良い。
【0035】
ステップS12のユーザ認証の結果、アクセスユーザが正規ユーザである旨の承認がなされると、操作情報取得部71は、アクセスユーザに係る操作情報を取得(ステップS13)し、取得した操作情報を主制御部11に渡す。
【0036】
これを受けて主制御部11は、取得した操作情報に基づく所要のジョブを実行させる制御を行う(ステップS14)。ここでは、例えば、ページ集約機能を利用した印刷ジョブが行われたものとする。
【0037】
ステップS14において所要のジョブが実行されると、表示制御部77は、ページ集約機能を利用した印刷ジョブの仕上がり具合が満足ゆくものか否かに係る仕上がり評価結果の入力を促す催促画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる(ステップS15)。このとき、ユーザは、その仕上がり具合が満足ゆくものであるときには「OK」を、不満があるときには「NG」を、その評価結果に応じて操作入力することになる。
【0038】
こうして操作入力された当該ユーザに係る、ページ集約機能に対する仕上がり評価結果が、設定ミス情報収集部73によって収集されて、設定ミス情報としてプレビュー候補記憶部75に記憶登録される(ステップS16)。
【0039】
なお、ある機能に対する仕上がり評価結果を収集するにあたっては、出来るだけ詳細な情報を入手するのが好ましい。設定ミスに係る具体的な情報を入手することができれば、その具体的部分に注目したイメージ画面の拡大表示を行うことなどといった、きめ細かいプレビュー表示を行うことができ、ユーザの利便性向上に寄与することができるからである。
【0040】
ある機能に対する仕上がり評価結果を収集するための具体的な態様としては、例えば、複数の設定のうちミス設定の蓋然性が高いと目される(管理者が設定)ミス設定候補のなかから、現にミス設定の要因となった項目をユーザに選択させるか、又は、ミス設定候補の全てがミス設定の要因となったとみなすように構成することができる。
【0041】
こうして収集されたミス設定情報に基づいて、複数の各設定毎に、ミス設定が現実に起きた回数又は確率を演算することを通じて、例えば、ページ集約機能をプレビュー候補としての関連づけるなどといったように、各種機能に対するプレビュー候補としての関連づけが行われることになる。
【0042】
次に、通常使用時の動作について説明すると、図4に示すように、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを常時監視している。このとき、ユーザが、ICカードキー69を画像形成装置におけるICカードリーダライタにセットすると、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを検知する(ステップS21)とともに、ICカードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み取り、読み取ったICカードキー69のユーザ識別情報を、ユーザ認証部70宛に転送する。
【0043】
ユーザ認証部70は、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報と、プレビュー候補記憶部75に予め登録しておいたユーザ識別情報等を照合することで、カードキー認証を介してアクセスしてきたユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行う(ステップS22)。なお、ユーザ認証に際して、暗証番号によるログイン管理機能を追加しても良い。
【0044】
ステップS22のユーザ認証の結果、アクセスユーザが正規ユーザである旨の承認がなされると、操作情報取得部71は、アクセスユーザに係る操作情報を取得(ステップS23)し、取得した操作情報を表示制御部77に渡す。
【0045】
これを受けて表示制御部77は、当該アクセスユーザに係る操作情報と、プレビュー候補記憶部75の記憶内容から読み出した当該ユーザに係るプレビュー候補機能と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行う(ステップS24)。
【0046】
ステップS24における判定の結果、当該操作情報に係る機能が当該ユーザに係るプレビュー候補に該当しない旨の判定が下されたとき(ステップS24の”No”)、表示制御部77は、ステップS23で取得した操作情報に従う通常の画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる(ステップS25)。
【0047】
一方、ステップS24における判定の結果、当該操作情報に係る機能が当該ユーザに係るプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき(ステップS24の”Yes”)、表示制御部77は、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面をタッチパネル部53における表示画面上に強制的に表示させる(ステップS26)。
【0048】
次に、操作情報取得部71は、プレビューを確認済みか否かに係るユーザの意思表示に関する操作情報を取得し、取得した操作情報を主制御部11に渡す。
【0049】
これを受けて主制御部11は、プレビューを確認済みか否かに係る判定を行い(ステップS27)、この判定の結果、プレビューを確認済みである旨の判定が下されたとき(ステップS27の”Yes”)、ステップS23で取得した操作情報に従う印刷処理の実行を許可する(ステップS28)。これにより、ユーザによってプレビューを確認済みの印刷ジョブが実行されることになる。
【0050】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像形成装置によれば、表示制御部77は、操作情報取得部71で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部75の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が、設定ミスの蓋然性が高いプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる。
【0051】
従って、設定ミスの蓋然性が高い機能に絞り込んでプレビュー表示を行わせることが可能となる結果として、ユーザの貴重な時間を無駄に消費することなく、装置の利用効率を高水準に維持可能とする画像形成装置を得ることができる。
【0052】
また、設定ミス情報収集部73は、各種機能が現に具現化された印刷物に対するユーザの評価結果に基づいて、設定ミス情報を収集するように構成したので、ユーザの意図が反映された設定ミス情報に基づく、各種機能に対するプレビュー候補の関連づけが可能となる結果として、ユーザに優しい画像形成装置を提供することができる。
【0053】
さらに、表示制御部77は、ユーザがアクセスしてくる毎に、操作情報取得部71で取得した操作情報と、プレビュー候補記憶部75の記憶内容から読み出した当該ユーザに係るプレビュー候補機能と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が、当該ユーザに係る設定ミスの蓋然性が高いプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる。
【0054】
例えば、ユーザAにとって設定ミスの蓋然性が高い機能と、ユーザBにとって設定ミスの蓋然性が高い機能と、が相互に大きく異なる場合であっても、各ユーザ毎に相応しい機能がプレビュー候補として登録され、各自の登録内容に応じた適切なプレビュー表示が行われる。このため、ユーザは、あたかも自分自身のためにカスタマイズされているかのような印象を装置に対して抱くことになる結果、ユーザに対する親和性・操作性・利便性を具現化可能な画像形成装置を得ることができる。
【0055】
しかも、ステップS23における操作情報に係る機能の印刷処理は、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面に対する確認済みに係る操作情報の入力を待って実行され、つまり、ユーザによってプレビューを確認済みの印刷ジョブのみが実行の移される結果として、印刷ミスを飛躍的に減少させることができる。
【0056】
ところで、例えば、集約や変倍などの機能をそれぞれ単独で実行しても、ミス設定が起こる蓋然性は低いが、これらの機能を同時に実行しようとすると、ミス設定が起こる蓋然性が高くなる。
【0057】
そうした観点から、操作情報に係る機能は、複数の機能の組合せである、構成を採用することができる。かかる構成を採用した場合、現実の機能の利用局面に即した、複数の機能の組合せに対するプレビュー候補としての登録がなされて、きわめて現実的なプレビュー表示が行われる結果として、真にユーザに優しい画像形成装置を提供することができる。
【0058】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0059】
すなわち、本発明実施例において、カードキー認証モードで動作中の画像形成装置を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、ユーザ識別情報及び暗証番号のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードで動作中の画像形成装置にも、本発明を適用可能である。
【0060】
また、本発明実施例において、設定ミス情報の登録対象となる機能として、ページ集約機能、ステープル留め機能、冊子作成機能を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、上述した例以外にも、画像形成装置に搭載される機能である限り、いかなる機能をも設定ミス情報の登録対象とすることができる。
【0061】
最後に、本発明における「ユーザ」とは、個人ユーザを含むことは当然として、例えば、ある部署の所属員を包括して意味する部門ユーザをも、その概念に含むことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0062】
11 主制御部
53 タッチパネル部(表示部)
70 ユーザ認証部
71 操作情報取得部
73 設定ミス情報収集部
75 プレビュー候補記憶部
77 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示するための表示部を備える一方、
印刷機能と、該印刷機能を実行することで得られる印刷物の出力に先立って、同印刷物の仕上がりイメージを前記表示部における表示画面上に表示するプレビュー機能を有する画像形成装置であって、
画像形成に関する各種機能に係る項目を選択乃至設定するための操作情報を取得する操作情報取得部と、
画像形成に関する各種機能のそれぞれに関連付けて、設定ミスの蓋然性が高いか否かに係る設定ミス情報を収集する設定ミス情報収集部と、
前記設定ミス情報収集部で収集された設定ミス情報に基づいて、前記各種機能のうち設定ミスの蓋然性が高い旨の判断が下された機能を、前記プレビュー機能の対象候補として記憶するプレビュー候補記憶部と、
前記操作情報取得部で取得した操作情報と、前記プレビュー候補記憶部の記憶内容と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面を前記表示部における表示画面上に表示させる表示制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記設定ミス情報収集部は、前記各種機能が現に具現化された印刷物に対するユーザの評価結果に基づいて、前記設定ミス情報を収集する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記プレビュー候補記憶部は、複数の各ユーザ毎に、前記設定ミス情報収集部で収集された設定ミス情報に基づいて、前記各種機能のうち設定ミスの蓋然性が高い旨の判断が下された機能を、複数の各ユーザ毎に対応づけて、前記プレビュー候補機能として記憶しており、
前記表示制御部は、ユーザがアクセスしてくる毎に、前記操作情報取得部で取得した操作情報と、前記プレビュー候補記憶部の記憶内容から読み出した当該ユーザに係るプレビュー候補機能と、に基づいて、当該操作情報に係る機能がプレビュー候補に該当するか否かの判定を行い、当該判定の結果、当該操作情報に係る機能が当該ユーザに係るプレビュー候補に該当する旨の判定が下されたとき、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面を前記表示部における表示画面上に表示させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記操作情報に係る機能の印刷処理は、当該操作情報に係る機能を具現化した印刷物の仕上がりイメージ画面に対する確認済みに係る操作情報の入力を待って実行される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記操作情報に係る機能は、複数の機能の組合せである、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−243706(P2010−243706A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91040(P2009−91040)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】