説明

画像形成装置

【課題】不具合の原因を究明するための作業をより簡略化することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部200から指示した駆動部21の動作タイミングや、検出部22から出力される検出信号を時系列に示した情報であるタイミングチャートを記憶するタイミングチャートログ記憶部201と、USB挿入部23にUSBメモリMが差し込まれたか否かを検出するUSB挿入検出部207と、前記USB挿入検出部207により前記USB挿入部23のUSB端子231にUSBメモリMが電気的に接続されたことが検出されると、前記タイミングチャートログ記憶部201に格納されているタイミングチャートログをUSBメモリMに転送する処理を実施する転送部208とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の技術分野に属し、特に、当該画像形成装置に発生した不具合の調査に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置にあっては、不具合が発生した場合の該不具合の調査を行うときには、その画像形成装置に備えられる基板とパーソナルコンピュータとをデバック用の通信線により接続し、当該画像形成装置で不具合を再現させて、そのときの情報をパーソナルコンピュータで取得し、該情報に基づいて不具合の原因究明を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−149860号公報
【特許文献2】特開2004−17361号公報
【特許文献3】特開2007−79663号公報
【特許文献4】特開2006−18714号公報
【特許文献5】特開2008−124737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法では、発生した不具合を再現させるための作業や処理を行う必要があり、多大な手間や時間を要していた。また、そのような作業や処理を行ったとしても、必ずしも前記不具合が発生するとは限らず、不具合の原因を特定できない場合も生じていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、不具合の原因を究明するための作業をより簡略化することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置に備えられる被駆動体を駆動する駆動部と、前記記録媒体に正常に画像を形成するための検出動作を行う検出部と、前記駆動部の動作タイミング及び前記検出部の検出結果のうち少なくとも一方を時系列に示す情報をタイミングチャートログとして記憶するタイミングチャートログ記憶部と、情報を記憶する記録装置との間で情報の授受を行うべく該記録装置が接続される接続部と、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記接続部を介して前記タイミングチャートログ記憶部に記憶されているタイミングチャートログを前記記録装置に転送する転送部とを備えるものである。
【0007】
この発明によれば、タイミングチャートログ記憶部により、前記駆動部の動作タイミング及び前記検出部の検出結果のうち少なくとも一方を時系列に示す情報をタイミングチャートログとして記憶し、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記転送部により、前記タイミングチャートログ記憶部に記憶されているタイミングチャートログを前記記録装置に転送するようにしたので、不具合が発生すると、前記記録装置を当該画像形成装置に接続することで、このタイミングチャートログを当該画像形成装置から取り出すことができる。そして、前記記録装置を使って取り出したタイミングチャートログを解析することで、前記不具合を再現することなく、該不具合の原因を究明することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、当該画像形成装置の現在の状態を示す情報をステータスログとして記憶するステータスログ記憶部を更に備え、前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記ステータスログ記憶部に記憶されているステータスログを前記記録装置に転送するものである。
【0009】
この発明によれば、ステータスログ記憶部により、当該画像形成装置の現在の状態を示す情報をステータスログとして記憶し、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記転送部により、前記ステータスログ記憶部に記憶されているステータスログを前記記録装置に転送するようにしたので、不具合が発生すると、前記記録装置を当該画像形成装置に接続することで、このステータスログを当該画像形成装置から取り出すことができる。そして、前記記録装置を使って取り出したステータスログを解析することで、前記不具合を再現することなく、該不具合の原因を究明することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記検出部の検出精度の変化に応じたキャリブレーションを当該画像形成装置に備えられる各部に実施させるキャリブレーション指示部と、前記キャリブレーション指示部により実施されたキャリブレーションの処理内容を示す情報をキャリブレーションログとして記憶するキャリブレーションログ記憶部とを更に備え、前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記キャリブレーションログ記憶部に記憶されているキャリブレーションログを前記記録装置に転送するものである。
【0011】
この発明によれば、キャリブレーション指示部の指示に基づき、前記検出部の検出精度の変化に応じたキャリブレーションが実施されると、前記キャリブレーションログ記憶部により、前記キャリブレーション指示部により実施されたキャリブレーションの処理内容を示す情報をキャリブレーションログとして記憶し、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記転送部により、前記キャリブレーションログ記憶部に記憶されているキャリブレーションログを前記記録装置に転送するようにしたので、不具合が発生すると、前記記録装置を当該画像形成装置に接続することで、このキャリブレーションログを当該画像形成装置から取り出すことができる。そして、前記記録装置を使って取り出したキャリブレーションログ記憶部の記憶内容を参照することで、それまでに実施された前記キャリブレーションの処理内容を知ることができ、このキャリブレーションログを用いることで、該不具合の原因究明に役立つ情報を得ることが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、当該画像形成装置に接続されたオプション機器を検出するオプション検出部と、前記オプション検出部により検出された前記オプション機器を示す情報をオプションログとして記憶するオプションログ記憶部とを更に備え、前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記オプションログ記憶部に記憶されているオプションログを前記記録装置に転送するものである。
【0013】
この発明によれば、当該画像形成装置に接続されたオプション機器を検出するオプション検出部を備え、前記記憶部により、前記オプション検出部で検出された前記オプション機器を示す情報をオプションログとして記憶し、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記転送部により、前記オプションログ記憶部に記憶されているオプションログを前記記録装置に転送するようにしたので、不具合が発生すると、前記記録装置を当該画像形成装置に接続することで、該不具合が発生した時点で当該画像形成装置に接続されていたオプション機器を知ることができ、このオプションログを用いることで、該不具合の原因究明に役立つ情報を得ることが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記記録装置は、USBメモリであり、前記接続部は、前記USBの規格に基づく接続部である。
【0015】
この発明によれば、前記タイミングチャートログ記憶部等に記憶されたタイミングチャートログを前記USBメモリに転送して取り出すことができる。前記USBメモリは一般的に携帯性を有するから持ち運びが自由となり、不具合の原因を究明する作業の実施場所が、画像形成装置の設置場所に制限されることがなくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記不具合を再現することなく、該不具合の原因を究明することが可能となり、不具合の原因を究明するための作業をより簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の概要を説明するための正面断面視の説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】用紙カセットから用紙を繰り出す給紙ローラの動作と、フィードセンサの検出信号と、レジストセンサの検出信号と、レジストローラ対の動作、排紙部に設けられた排紙ローラを駆動する排紙モータの動作を示すタイミングチャートの一例を示したものである。
【図4】転送部の転送処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る画像形成装置10の一構成例の正面断面視の説明図である。なお、図1においてX−X方向を左右方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方という。
【0019】
図1に示す画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に、画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とが設けられている。排紙部15の一部(後述の胴内排紙トレイ151)は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
【0020】
装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15の胴内排紙トレイ151を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物である。
【0021】
そして、下部本体111には、画像形成部12、定着部13及び用紙貯留部14が内装されているとともに、上部本体112には画像読取部16が装着されている。操作部17は、上部本体112の前縁部に設けられている。
【0022】
操作部17は、画像形成処理に関する操作入力を受け付けるものであり、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキーやその他の各種の操作キー171、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)を備えたタッチパネル172、当該画像形成装置1の各部に要する電力供給のオンオフを行うための電源ボタン173等が設けられている。
【0023】
また、操作部17は、用紙貯留部14や手差しトレイ18等の用紙収容部に収容されている用紙P(シート体)が普通紙であるか、厚紙であるか、あるいはOHP(OverHead Projector)用の透明樹脂シートであるか、といった用紙P(シート体)の種別情報を受け付ける。なお、以下の説明においては、OHPシートのような紙以外のシート部材についても、用紙Pとして記載する。
【0024】
用紙貯留部14は、下部本体111内における画像形成部12の直下方位置に設けられた挿脱可能な用紙カセット141と、この用紙カセット141のさらに下方位置に設けられた挿脱可能な大量の用紙(シート体)Pを貯留することができる大容量デッキ142とを有している。本実施形態においては、用紙カセット141は2段で設けられ、大容量デッキ142は2列で設けられている。用紙カセット141は2段設置可能とされており、一方はオプションとして追加できるようになっている。
【0025】
そして、画像形成処理が行われるに際し、用紙カセット141又は大容量デッキ142に貯留されている用紙束P1から用紙Pが給紙ローラ145,146により1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに対して画像形成処理(印刷処理)が実行される。
【0026】
排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成された胴内排紙トレイ(スイッチバックトレイ)151と、装置本体11の外部に形成された胴外排紙トレイ(外部トレイ)152と、胴内排紙トレイ151の直上位置に設けられた胴内フィニッシャー153とを有している。画像形成部12から送り込まれたトナー画像転写済みの用紙Pは、連結部113内に設けられた搬出方向切換装置20を介し、予め排出先が設定された胴内排紙トレイ151、胴外排紙トレイ152及び胴内フィニッシャー153のいずれかに向けて排出される。胴内フィニッシャー153は、排出された用紙Pに対してパンチング処理やステイプル処理等の後処理を施すものである。胴内排紙トレイ151には、排紙ローラ147により用紙が排出される。
【0027】
胴内排紙トレイ151は、単純に用紙Pの排出用に使用される他、用紙Pに対して両面印刷処理を施すに際し、表面側の印刷処理が完了した用紙Pに対して裏面側に印刷処理を施すべく、当該用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックトレイとしても利用される。すなわち、表面側の印刷処理が完了した用紙Pは、この胴内排紙トレイ151に一旦排出された後、今までの最後尾が最先端になった状態でスイッチバックされ、画像形成部12へ戻される。そして、片面印刷が完了している用紙Pは、画像形成部12で裏面側に印刷処理が施され、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0028】
画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、この原稿押さえカバー162に装着された原稿自動読取部163と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構164とを備えている。
【0029】
そして、コンタクトガラス161上に載置され、あるいは原稿自動読取部163によってコンタクトガラス161上へ供給された原稿の画像は、走査機構164によってアナログ情報として読み取られたのちデジタル信号に変換されて後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0030】
また、下部本体111の右面における用紙貯留部14の直上位置には手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。このような手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、用紙縦搬送路101を介して後述の感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0031】
また、下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられている。胴外排紙トレイ152は、このメンテナンスドアー19の上部位置に設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152及び胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0032】
画像形成部12には、上下方向の略中央部であって左寄りの位置に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電処理される。
【0033】
感光体ドラム121の右側位置には、画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づくレーザービームを感光体ドラム121の周面に照射する露光ユニット123が設けられている。そして、この露光ユニット123からのレーザービームの照射によって感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124からトナーが供給され、これによって感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
【0034】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙カセット141又は大容量デッキ142から搬送されてきた用紙Pが、上下方向に延びた用紙縦搬送路101を上昇し、タイミングを取るためのレジストローラ対143を介して送り込まれる。このレジストローラ対143は、レジストセンサ144により用紙の先端が検出されると、回転が一旦停止され、感光体ドラム121の回転に合わせて回転が再開される。
【0035】
そして、感光体ドラム121へ到達した用紙Pには、左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0036】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄にされ、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0037】
定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、左方でこの加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132及び加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、左側でこの定着ベルト133の表面と対向配置された加圧ローラ134とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部を通過しながら加熱ローラ131の熱を定着ベルト133を介して受熱し、これによってトナー像の用紙Pに対する定着処理が実行される。
【0038】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方に配置された搬出方向切換装置20を介し、排紙搬送路102を通って胴外排紙トレイ152へ排出されたり、往復搬送路103を通って胴内排紙トレイ151へ排出されたり、さらには両面印刷のために往復搬送路103を通ってスイッチバックトレイとして兼用される胴内排紙トレイ151へ一時的に排出されたりする。
【0039】
そして、両面印刷の場合、往復搬送路103を介して前半部分が胴内排紙トレイ151に排紙された片面印刷処理済みの用紙Pは、メンテナンスドアー19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0040】
メンテナンスドアー19には、逆送搬送路104の直ぐ右側に、右面が画像形成部12の左面に対向されるカバー部材191が設けられている。このカバー部材191は、メンテナンスドアー19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドアー19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材191の右面と画像形成部12の左面との間に用紙カセット141や大容量デッキ142、さらには手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための用紙縦搬送路101の一部が形成されている。
【0041】
図2は、図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置10は、上述の機構部に加えて、駆動部21と、検出部22と、USB挿入部23と、制御部200とを備えている。なお、図2では、用紙を搬送する各種ローラ等をまとめて搬送機構120として記載している。
【0042】
駆動部21は、画像読取部16に備えられる走査機構16を駆動するモータ、画像形成部12に備えられる感光体ドラム121、定着部13に備えられる定着ローラ132や加圧ローラ134を回転駆動するモータ、搬送機構120に備えられる用紙を搬送するための前記レジストローラ対143等の各種ローラを回転駆動するモータを含むものである。
【0043】
検出部22は、搬出方向切換装置20において生じた用紙ジャムを検出する用紙ジャムセンサ221や、レジストローラ対143の駆動開始タイミングを決定するための、レジストローラ対143の上流側所定位置への用紙到達タイミングを検出するレジストセンサ222、用紙縦搬送路101に給紙された原稿Pの先端部及び後端部を検出するフィードセンサ223等を含むものである。
【0044】
USB挿入部23は、USBメモリM(図1参照)が差し込まれる部位であり、USBメモリMの端子と機械的・電気的に接続されるUSB端子231を備える。
【0045】
制御部200は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部200には、画像読取部16、画像形成部12、定着部13、搬送機構120及び操作部17が接続されている。
【0046】
また、制御部200には、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、タイミングチャートログ記憶部201と、ステータスログ記憶部202と、キャリブレーション実行部203と、キャリブレーションログ記憶部204と、オプション検出部205と、オプションログ記憶部206と、USB挿入検出部207と、転送部208として機能する。
【0047】
タイミングチャートログ記憶部201は、当該制御部200から指示した前記駆動部21の動作タイミングや、前記検出部22から出力される検出信号を時系列に並べてタイミングチャートの形式にして表すことができる情報であるタイミングチャートログとして記憶するものである。タイミングチャートログには、例えば各部の動作やセンサの検出信号等の発生タイミングを示す時間情報が含まれている。図3に、タイミングチャートの一例を示す。
【0048】
図3は、用紙カセット141から用紙を繰り出す給紙ローラ145、146の動作と、前記フィードセンサ223の検出信号と、前記レジストセンサ222の検出信号と、レジストローラ対143の動作、排紙部15に設けられた排紙ローラ147を駆動する排紙モータの動作を示すタイミングチャートの一例を示したものである。
【0049】
これらのタイミングチャートによれば、給紙ローラ145の回転開始・停止のタイミングや、前記レジストセンサ222が用紙をどのタイミングで検出してどのタイミングで検出しなくなったのか等を把握することができる。
【0050】
ステータスログ記憶部202は、当該画像形成装置1の現在の状態をステータスログとして記憶するものである。当該画像形成装置1の現在の状態とは、例えば故障が発生しているか否かとか、用紙ジャムが発生しているか否か等である。
【0051】
キャリブレーション実行部203は、前記検出部22に備えられる各センサに生じる検出精度の経年変化に伴って生じる色ずれを補正するキャリブレーションの実行を、当該画像形成装置1の各部に指示するものである。
【0052】
キャリブレーションログ記憶部204は、前記キャリブレーション実行部203により実施された処理内容をキャリブレーションログとして記憶するものである。
【0053】
オプション検出部205は、後述するUSB挿入検出部207により前記USB挿入口の端子にUSBメモリMが電気的に接続されたことが検出されると、当該画像形成装置1に現在接続されているオプション機器を検出するものである。オプション検出部205は、当該画像形成装置1とオプション機器とが機械的に接続される端子の電気的な変化を検出することによりオプション機器の接続を検出する構成や、オプション機器が当該画像形成装置に接続されたときに、オプション機器に備えられるオプション制御部との間で、当該オプション機器と画像形成装置との接続を確立するための通信を通じてオプション機器の接続を検出する構成等を含む。
【0054】
前記オプション機器としては、例えば追加される用紙カセット141や、画像形成済みのシートに対して処理を施すための図略の後処理装置や、複数枚の原稿をセットして自動的に連続読み取りを行うための原稿自動送り装置等が一例としてある。
【0055】
オプションログ記憶部206は、オプション検出部205により検出されたオプション機器を示す情報をオプションログとして記憶するものである。
【0056】
USB挿入検出部207は、USB挿入部23にUSBメモリMが差し込まれたか否かを検出するものである。例えば、USBメモリMが前記USB挿入部23に差し込まれると、USB端子231の電位が変化するように構成されており、USB挿入検出部207は、USB端子231の電位変化の有無に基づいて、USB挿入部23にUSBメモリMが差し込まれたか否かを検出する。
【0057】
転送部208は、前記USB挿入検出部207により前記USB挿入部23のUSB端子231にUSBメモリMが電気的に接続されたことが検出されると、前記タイミングチャートログ記憶部201、ステータスログ記憶部202、キャリブレーションログ記憶部204及びオプションログ記憶部206にそれぞれ格納されている各ログをUSBメモリMに転送する処理を実施するものである。
【0058】
図4は、転送部208の転送処理を示すフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、前記USB挿入検出部207により、USB挿入部23にUSBメモリMが差し込まれたことが検出されると(ステップ♯1でYES)、転送部208は、まず、前記タイミングチャートログ記憶部201により記憶されているタイミングチャートログをUSBメモリMに転送する(ステップ♯2)。
【0060】
転送部208は、このUSBメモリMへのタイミングチャートログの転送が完了すると、次に、ステータスログ記憶部202に格納されているステータスログをUSBメモリMに転送するモードに移行し、前記ステータスログをUSBメモリMに転送する(ステップ♯3)。
【0061】
次に、転送部208は、このUSBメモリMへのステータスログの転送が完了すると、次に、キャリブレーションログ記憶部204に格納されているキャリブレーションログをUSBメモリMに転送するモードに移行し、前記キャリブレーションログをUSBメモリMに転送する(ステップ♯4)。
【0062】
更に、転送部208は、このUSBメモリMへのキャリブレーションログの転送が完了すると、制御部200は、オプションログをUSBメモリMに転送するモードに移行し、オプション検出部205は、現在当該画像形成装置1にオプション機器が接続されているか否かを検出し(ステップ♯5)、現在当該画像形成装置1にオプション機器が接続されている場合には(ステップ♯5でYES)、オプションログ記憶部206は、そのオプション機器を示す情報をオプションログとして記憶した後、オプションログ記憶部206に格納されているオプションログをUSBメモリに転送し(ステップ♯6)、一連の処理を終了する一方、現在当該画像形成装置1にオプション機器が接続されていない場合には(ステップ♯5でYES)、ステップ♯6の処理を行わずに一連の処理を終了する。
【0063】
以上のように、本実施形態では、タイミングチャートログ記憶部201により、前記駆動部21の動作タイミング及び前記検出部22の検出結果を示す情報をタイミングチャートログとして記憶し、USBメモリMが当該画像形成装置1に接続されると、前記タイミングチャートログ記憶部201に記憶されているタイミングチャートログを前記転送部208により前記USBメモリMに転送するように構成した。
【0064】
このように、不具合が発生すると、前記USBメモリMを当該画像形成装置1に接続することで、このタイミングチャートログを当該画像形成装置1から取り出すことができる。そして、前記USBメモリMを使って画像形成装置1から取り出したタイミングチャートログを解析することにより、従来のように発生した不具合を再現させる作業を要することなく、該不具合の原因を究明することができる。
【0065】
その結果、不具合の原因を究明するための作業をより簡略化することができる画像形成装置を実現することができる。
【0066】
また、前記タイミングチャートログの転送先として、携帯性を有するUSBメモリMを採用したので、タイミングチャートログの持ち運びが自由となる。したがって、当該画像形成装置1の基板にパーソナルコンピュータを接続し、不具合を再現させて、該パーソナルコンピュータでその不具合に関連するデータをとる従来技術では、不具合の原因を究明する作業の実施場所が画像形成装置の設置場所に制限されることとなるが、本実施形態では、不具合の原因究明作業の実施場所が制限されるということがなくなり、例えばサービスマンがタイミングチャートログを格納したUSBメモリMを会社等に持ち帰って不具合の原因究明作業を行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、ステータスログ記憶部202により、当該画像形成装置1の現在の状態を示す情報をステータスログとして記憶し、USBメモリMが当該画像形成装置1に接続されると、前記ステータスログ記憶部202に記憶されているステータスログを前記転送部208により前記USBメモリMに転送するようにした。
【0068】
これにより、不具合が発生すると、前記USBメモリMを当該画像形成装置1に接続することで、このステータスログを当該画像形成装置1から取り出すことができる。そして、前記USBメモリMを使って画像形成装置1から取り出したステータスログを解析することにより、従来のように発生した不具合を再現させる作業を要することなく、該不具合の原因を究明することができる。
【0069】
また、本実施形態では、キャリブレーション実行部203の指示に基づき、前記検出部22の検出精度の変化に応じたキャリブレーションが実施されると、前記キャリブレーションログ記憶部204により、その実施されたキャリブレーションの処理内容を示す情報をキャリブレーションログとして記憶し、前記USBメモリMが当該画像形成装置1に接続されると、前記転送部208により、前記キャリブレーションログ記憶部204に記憶されているキャリブレーションログを前記USBメモリMに転送するようにした。
【0070】
したがって、不具合が発生したときに、前記USBメモリMを当該画像形成装置1に接続することで、このキャリブレーションログも当該画像形成装置1から取り出すことができる。そして、前記USBメモリMを使って取り出したキャリブレーションログを参照することで、それまでに実施された前記キャリブレーションの処理内容を知ることができ、このキャリブレーションログを用いることで、該不具合の原因究明に役立つ情報を得ることが可能となる。
【0071】
また、本実施形態では、USB挿入検出部207により前記USB挿入部23のUSB端子231にUSBメモリMが接続されると、当該画像形成装置1に現在接続されているオプション機器を検出し、検出されたオプション機器を示す情報をオプションログ記憶部206によりオプションログとして記憶し、前記USBメモリMが当該画像形成装置1に接続されると、前記転送部208により、前記オプションログ記憶部206に記憶されているオプションログを前記USBメモリMに転送するようにした。
【0072】
したがって、不具合が発生したときに、前記USBメモリMを当該画像形成装置1に接続することで、このオプションログも当該画像形成装置1から取り出すことができる。そして、前記USBメモリMを使って取り出したオプションログを参照することで、該不具合が発生した時点で当該画像形成装置1に接続されていたオプション機器を知ることができ、該不具合の原因究明に役立つ情報を得ることが可能となる。
【0073】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0074】
[1]タイミングチャートログ記憶部201、ステータスログ記憶部202、キャリブレーションログ記憶部204及びオプションログ記憶部206は、同一のRAMで構成してもよいし、そうでなくてもよい。
【0075】
[2]前記実施形態では、前記記録装置としてUSBを想定したが、これに限られるものではない。
【0076】
[3]画像形成装置1として複写機が採用されているが、画像形成装置1は、複写機に限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
21 駆動部
22 検出部
221 用紙ジャムセンサ
222 レジストセンサ
223 フィードセンサ
23 USB挿入部
231 USB端子
200 制御部
201 タイミングチャートログ記憶部
202 ステータスログ記憶部
203 キャリブレーション実行部
204 キャリブレーションログ記憶部
205 オプション検出部
206 オプションログ記憶部
207 USB挿入検出部
208 転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
当該画像形成装置に備えられる被駆動体を駆動する駆動部と、
前記記録媒体に正常に画像を形成するための検出動作を行う検出部と、
前記駆動部の動作タイミング及び前記検出部の検出結果のうち少なくとも一方を時系列に示す情報をタイミングチャートログとして記憶するタイミングチャートログ記憶部と、
情報を記憶する記録装置との間で情報の授受を行うべく該記録装置が接続される接続部と、
前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、前記接続部を介して前記タイミングチャートログ記憶部に記憶されているタイミングチャートログを前記記録装置に転送する転送部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
当該画像形成装置の現在の状態を示す情報をステータスログとして記憶するステータスログ記憶部を更に備え、
前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記ステータスログ記憶部に記憶されているステータスログを前記記録装置に転送する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出部の検出精度の変化に応じたキャリブレーションを当該画像形成装置に備えられる各部に実施させるキャリブレーション指示部と、
前記キャリブレーション指示部により実施されたキャリブレーションの処理内容を示す情報をキャリブレーションログとして記憶するキャリブレーションログ記憶部と
を更に備え、
前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記キャリブレーションログ記憶部に記憶されているキャリブレーションログを前記記録装置に転送する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像形成装置に接続されたオプション機器を検出するオプション検出部と、
前記オプション検出部により検出された前記オプション機器を示す情報をオプションログとして記憶するオプションログ記憶部と
を更に備え、
前記転送部は、前記記録装置が当該画像形成装置に接続されると、更に、前記オプションログ記憶部に記憶されているオプションログを前記記録装置に転送する請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録装置は、USBメモリであり、
前記接続部は、前記USBの規格に基づく接続部である請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−286536(P2010−286536A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138178(P2009−138178)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】