画像形成装置
【課題】小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供する。
【解決手段】入力された印刷情報(画像面積等)をもとに画像面積(率)や平均画像面積(率)を算出し、記録手段と情報の入出力をしながら演算結果をもとに潤滑剤塗布モードの動作である潤滑剤塗布時間や潤滑剤塗布の実施を制御する。すなわち、印刷命令、または紙間、または印刷終了後に作像ユニットの平均画像面積と印刷枚数を取得し、取得した平均画像面積を逆転写トナー量を算出する式に代入し、潤滑剤塗布モード実行判断値を取得し、印刷枚数から潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する。両取得値で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。所定条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後、平均画像面積と印刷枚数を0にリセットする。
【解決手段】入力された印刷情報(画像面積等)をもとに画像面積(率)や平均画像面積(率)を算出し、記録手段と情報の入出力をしながら演算結果をもとに潤滑剤塗布モードの動作である潤滑剤塗布時間や潤滑剤塗布の実施を制御する。すなわち、印刷命令、または紙間、または印刷終了後に作像ユニットの平均画像面積と印刷枚数を取得し、取得した平均画像面積を逆転写トナー量を算出する式に代入し、潤滑剤塗布モード実行判断値を取得し、印刷枚数から潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する。両取得値で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。所定条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後、平均画像面積と印刷枚数を0にリセットする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、印刷機、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成は、光導電現象を利用して像担持体上に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成し、この静電潜像に着色した帯電微粒子(トナー)を静電力で付着させて可視像とするプロセスである。
【0003】
この電子写真方式の画像形成装置において、その主要部品である像担持体や中間転写体に、各種ワックスやフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)や高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛等)を潤滑剤として塗布する技術がある。この技術は電子写真のクリーニングプロセス、すなわち、像担持体や中間転写ベルトに残留したトナーや不純物をクリーニングブラシやクリーニングブレードで掻き取るというプロセスで起こる不具合を解消するために用いられるものである。
【0004】
潤滑剤塗布による不具合解消は、像担持体表面からのトナーのクリーニング性の向上である。潤滑剤を表面に塗布することにより、表面の摩擦係数が減少し、表面に付着した付着物を表面から容易に除去することができる。すなわち、紙等の最終的な記録材に転写しきれず像担持体や中間転写ベルト上に残留してしまった転写残トナーや上流の作像ユニットで形成された中間転写体上のトナー像が下流の作像ユニットの像担持体を通過する際に像担持体上に転写される逆転写トナーを、容易に除去することができるようになる。特に逆転写トナーは、帯電量の小さい弱帯電トナーや帯電極性が逆となる逆帯電トナーが多く含くむため像担持体との静電的な付着力が強いこと、トナーの平均粒径に対し小粒径トナーを多く含むために像担持体との物理的な付着力が強くなっていることでクリーニングし難くなっており、下流側の作像ユニットほど逆転写トナー量が多くなるため、クリーニング不良が発生しやすくなるという問題点がある。このような技術的背景からも、潤滑剤を用いることによるクリーニング性向上は、今後、更に重要な技術となると考えられる。
【0005】
さらに、潤滑剤塗布による不具合解消としては、像担持体表面の放電による酸化劣化を防止することである。像担持体に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成するためには帯電手段によって像担持体表面を一様に帯電させる必要がある。具体的な帯電手段としては、近年では帯電ローラ部材に高電圧を印加して像担持体に直接放電させて帯電させる手段がある。しかしながら、像担持体に対して直接放電するため、像担持体表面が劣化するという問題が発生する。特に帯電ローラ部材を像担持体に接触させない、いわゆる非接触帯電ローラ方式においてはローラ部材に交流電圧を印加する必要があり、像担持体表面が劣化しやすいことが分かっている。劣化した像担持体表面は主にクリーニング部材であるクリーニングブラシやクリーニングブレードとの機械的摺擦により、摩耗しやすくなることが明らかになっている。
【0006】
したがって、像担持体表面に潤滑剤を塗布する技術は放電による像担持体へのダメージを低減させるためにも重要な技術である。
【0007】
一般的に、潤滑剤は微量ずつ粉体の形態で像担持体表面に供給されるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って粉体とし、ブラシに保持した粉体状の潤滑剤を像担持体に接触させて塗布する方法がある。
【0008】
しかしながら、カラー画像形成装置など複数の作像ユニットを有する場合、作像ユニット個別に固形成形された潤滑剤を配置すると、画像形成装置を小型化することが困難である。さらに、複数の固形潤滑剤および塗布するための機構が必要となりコストが高くなってしまう。また、一般に使用されている高級脂肪酸金属塩は帯電の影響により潤滑性が低下してしまい、クリーニング部材をトナーがすり抜けて、クリーニング不良が発生してしまう。また、脂肪酸金属塩の塗布量過多となると脂肪酸金属塩自体が、帯電部材に飛翔して付着し、帯電部材汚染も引き起こしてしまう。逆に塗布量が不足すると感光体を保護する役割が果たせなくなり、フィルミングの発生に繋がる。このようなことから、潤滑剤塗布量のチューニングが重要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの問題を解決するために、特許文献1(特開2008−276103号公報)や特許文献2(特開2008−276083号公報)では、中間転写体からの潤滑剤を用いて複数の像担持体の表面摩擦係数を下げることで、複数の作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置させる必要のない構成としコスト低減と小型化を狙った構成を提案している。特許文献1では、複数の像担持体と中間転写をそれぞれ接離させる機構を有し、中間転写体上の粉体状潤滑剤を選択的に像担持体に供給するとしている。しかし、このような接離機構を有した場合には、装置構成が複雑となり低コスト化や省スペース化といった面で不利となる。特許文献2では、中間転写体上の粉体状潤滑材を像担持体と中間転写体間の静電的な力によって複数の像担持体に選択的に供給するとしている。しかし、この構成においては像担持体上に潤滑剤を供給したくない場合においても、粉体状潤滑剤が像担持体と中間転写体の接触部を通過する際には接触圧といった物理的な力によって像担持体上に供給されてしまい、下流側の像担持体に供給される潤滑剤量が減少してしまうことが分かっている。特許文献3(特開2009-186610号公報)では少なくとも疎水性有機化合物と無機微粒子と無機潤滑剤を含むものを使用することで、長期に渉り、トナークリーニングのすり抜けを防止することができるとしているが、潤滑剤塗布装置を作像ユニット備えた構成のため、作像ユニットが複数有する構成の画像形成装置においては、低コスト化や小型化に限界がある。
【0010】
そこで本発明では、中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を像担持体に供給する際に中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができ、これにより小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、該作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、該中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布装置により前記中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を前記作像ユニットの前記像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を制御する潤滑剤塗布モード動作制御手段を備え、該潤滑剤塗布モード動作制御手段は、前記中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させて制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布装置に備える潤滑材が、少なくとも疎水性有機化合物と、無機微粒子と無機潤滑剤を含む構成とし得る。
【0013】
本発明の画像形成装置は、作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、前記作像された画像の面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、前記作像した画像の面積または前記画像面積算出手段で算出した前記画像面積率から、前記作像した画像の面積平均値または前記画像面積算出手段で算出した画像面積率の画像面積率平均値を算出する平均値算出手段とを備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積、画像面積率、平均画像面積及び平均画像面積率、または、画像面積、画像面積率、平均画像面積と平均画像面積率から算出した演算値のいずれかを用いる構成とし得る。
【0014】
本発明の画像形成装置は、作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷枚数または該印刷枚数から算出された演算値を用いる構成とし得る。
【0015】
本発明の画像形成装置は、複数の印刷速度で動作可能とする駆動手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷速度を用いる構成とし得る。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いるとともに、さらに、記録材サイズを用いる構成とし得る。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段による前記潤滑剤塗布モードの動作の制御対象を、前記潤滑剤塗布装置が前記像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間とした構成とし得る。
【0018】
本発明の画像形成装置は、前記中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと、前記中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットとを備え、前記転写ユニットと前記クリーニングユニットを前記中間転写体から離間させて配置した構成とし得る。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モードを、前記作像ユニットでの作像前、作像後、または非作像時のいずれかで行う配置した構成とし得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、中間転写体に塗布された潤滑剤を像担持体に供給することで像担持体の表面摩擦係数を下げ、作像ユニットを複数備える構成の場合には全ての作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置する必要をなくせる。また、中間転写体を経由して作像ユニットに潤滑剤を突入させる方式の装置では、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができ、小型かつ低コストで、しかも装置構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】カラー画像形成装置の構成を示す図である(作像時)。
【図2】作像ユニットの構成を示す図である(作像時)。
【図3】潤滑剤塗布装置の構成を示した図である(作像時)。
【図4】中間転写体とブラシ部材の接触部の拡大図である(作像時)。
【図5】粉体潤滑剤が転写部材により感光体ドラムに転写され、クリーニング装置であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である(作像時)。
【図6】感光体ドラムとクリーニング装置としてのクリーニング部材が接触している拡大図である(作像時)。
【図7】カラー画像形成装置の構成を示す図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図8】粉体潤滑剤が転写部材により感光体ドラムに転写され、クリーニング装置であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図9】感光体ドラムとクリーニング装置としてのクリーニング部材が接触している拡大図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図10】演算手段、記憶手段、制御手段等で構成される装置の概略図である。
【図11】画像面積と印刷枚数に基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図12】画像面積率と印刷枚数と記録材サイズに基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】画像面積率と印刷枚数と記録材サイズと印刷速度に基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
画像形成装置の作像ユニットで発生するクリーニング不良は、上流の作像ユニットで形成された中間転写体上のトナー像が下流の作像ユニットの像担持体を通過する際に転写される逆転写トナーがクリーニング装置に多く突入すると発生しやすくなることが分かっている。これは、逆転写トナーが帯電量が小さい弱帯電トナーや帯電極性が逆となる逆帯電トナーを多く含むため像担持体との静電的な付着力が強いこと、トナー平均粒径に対し小粒径トナーを多く含むために像担持体との物理的な付着力が強くなっていることでクリーニングし難くなっているためと考えられている。特に複数の作像ユニットを有する場合、下流側の作像ユニットほど逆転写トナー量が多くなりクリーニング不良が発生しやすくなる。また、クリーニング不良を抑制するためには像担持体の表面摩擦係数を下げることが有効である。
【0023】
このため、従来の画像形成装置においては、作像ユニットに潤滑剤を搭載することで像担持体に潤滑剤を塗布してクリーニング不良を抑制している。しかし、作像ユニットに潤滑剤を搭載することは設置スペースとコストの面で不利となる。
【0024】
そこで本発明は、中間転写体に塗布された潤滑剤を像担持体に供給することで像担持体の表面摩擦係数を下げることで、作像ユニットを複数備える構成の場合には全ての作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置させる必要をなくす。また、中間転写体を経由して作像ユニットに潤滑剤を突入させる方法は上流側の作像ユニットで潤滑剤が多く取られてしまい、逆転写トナー量が多いためにクリーニング不良が発生しやすい下流側の作像ユニットの潤滑剤供給量が少なくなってしまうという問題があったが、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができる。これより、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良が発生しないようにする。
【0025】
すなわち、本発明は、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置を備える画像形成装置において、中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置により中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を作像ユニットの像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させることで実施する。本発明では、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することで、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良が発生しないようにすることができる。
【0026】
また本発明は、長期に渉ってクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布装置に備えられる潤滑材が、少なくとも疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)を含む。疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)とを含む潤滑剤は潤滑性に優れ、クリーニング部材を摩耗することなく、長期に渉り、トナークリーニングのすり抜けを防止する。本発明は疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)とを含む潤滑剤を中間転写体を経由させて像担持体へ塗布することで、ステアリン酸亜鉛といった従来の潤滑剤よりも効果的に像担持体と中間転写体のクリーニング不良を防止する。
【0027】
また本発明は、印刷画像に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、この画像面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、作像した画像の画像面積または画像面積率からその平均値である画像面積または画像面積率を算出する平均画像面積(率)算出手段を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積、画像面積率、平均画像面積、平均画像面積率、もしくは、画像面積、画像面積率、平均画像面積、平均画像面積率から算出した演算値を用いる。クリーニング不良は逆転写トナーが多くクリーニング装置に突入することで発生しやすくなり、逆転写トナーは画像面積、画像面積率が大きい(高い)ほどその量が多くなることから、画像面積(率)が大きい(高い)印刷が多い場合には、少ない場合と比べて潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、画像面積(率)や平均画像面積(率)、もしくは画像面積(率)や平均画像面積(率)から算出した演算値を用いることで、印刷される画像面積(率)に起因する像担持体のクリーニング不良を防止し、これにより、印刷画像に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0028】
また本発明は、印刷枚数に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、印刷枚数もしくは印刷枚数から算出された演算値を用いる。クリーニング不良は逆転写トナーがクリーニング装置に蓄積することで発生しやすくなる。このことから、潤滑剤塗布モードは一定枚数間隔ごとに実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、印刷枚数、もしくは印刷枚数から算出された演算値を用いることで、印刷枚数に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、印刷枚数に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0029】
また本発明は、印刷速度に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、複数の印刷速度を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として印刷速度を用いることとする。クリーニング不良を抑制するために像担持体の表面摩擦係数を下げるために像担持体の表面に潤滑剤を塗布を実施している。塗布された潤滑剤は帯電装置による帯電ハザードにより劣化する。印刷速度を複数備える画像形成装置において、印刷速度が遅いほど一回の印刷で像担持体が帯電ハザードを受ける時間が長くなるため、印刷速度が遅い方が像担持体上の表面摩擦係数が高くなりやすい。このことから、印刷速度が遅い印刷が多い場合には、印刷速度が早い場合と比べて潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として印刷速度を用いることで、印刷速度に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、印刷速度に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0030】
また本発明は、記録材サイズに因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いる画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として記録材サイズを用いる。クリーニング不良は逆転写トナーが多くクリーニング装置に突入することで発生しやすくなる。逆転写トナーは画像面積率が高いほどその量が多くなる。また、画像面積率は同じ値であっても、記録材のサイズによりは画像面積としては異なる。画像面積率は同じでも画像面積として大きくなる場合には逆転写トナー量が多くなり、潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、画像面積率や平均画像面積率に記録材サイズを加味することで、印刷される画像面積率に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、記録材サイズに因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0031】
また本発明は、長期に渉ってクリーニング不良や異常画像の発生しにくい、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの動作の制御内容は、潤滑剤塗布装置が像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間であることとする。潤滑剤の塗布量が不足するとクリーニング装置の余裕度が低下し、潤滑剤の塗布量が多すぎるとクリーニング装置をすり抜けた潤滑剤が帯電装置を汚染し濃度ムラ等の異常画像が発生する。このことから潤滑剤の塗布を行う上で適正な量を塗布する必要がある。本発明では、塗布時間を制御することで像担持体に塗布する潤滑剤の量を適量とし、像担持体への潤滑剤の塗布量の過不足をなくすことができる。これより長期に渉って、クリーニング不良や異常画像の発生しにくい画像形成装置を提供する。
【0032】
また本発明は、小型かつ低コストで長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットを備える画像形成装置において、転写ユニットとクリーニングユニットを中間転写体から離間させることとする。潤滑剤塗布モードで中間転写体を逆転駆動させる場合に転写ユニットとクリーニング装置が当接させた場合、中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤が転写ユニットに転写することで転写ユニットが汚染されたり、クリーニング装置にクリーニングされてしまい潤滑剤の作像ユニットへの供給量が低下してしまう。このことから、潤滑剤塗布モード時には転写ユニットとクリーニング装置を離間させる必要がある。本発明では、潤滑剤塗布モード時に転写ユニットとクリーニング装置を離間させることで、転写ユニットを汚染することなく、作像ユニットへ潤滑剤を効率良く供給することができ潤滑剤塗布装置に備える潤滑剤の量を減らすことができる。これより小型かつ低コストで長期に渉ってクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供する。
【0033】
そして本発明は、長期に渉りクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの実行は作像前、作像後、作像間といった非作像時に行うこととする。潤滑剤塗布モードは中間転写体にトナー等の付着物が無いときに実施されることが理想である。これは中間転写体上に付着物が存在すると、付着物が潤滑剤塗布装置を汚染し、その結果、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下が生じるためである。このことから、潤滑剤塗布モードは中間転写体上に付着物のない非作像時に実施することが望ましい。本発明は、潤滑剤塗布モードを非作像時に実施することで、中間転写体上の付着物によって潤滑剤塗布装置が汚染されることを防止し、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下を抑制することができる。これより、長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【実施例】
【0034】
以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお本発明は図示の画像形成装置には限定されない。
【0035】
本発明の実施対象となるカラー画像形成装置の一例について説明する。
図1は、作像時のカラー画像形成装置の動作を示した図である。カラー画像形成装置は、複数の作像ユニット(a、b、c、d)と中間転写体eと潤滑剤塗布装置fを有している。作像ユニット(a、b、c、d)には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー色のトナーが充填され、フルカラーの画像を形成するが、作像ユニットのトナー色の順番は特にこれに限ったものでなくてもよい。
【0036】
複数の作像ユニット(a、b、c、d)により作像された各色のトナーは、図中矢印B方向に回転する中間転写体e上で重ねられ、複数色のトナーで形成された画像パターンとなる。中間転写体eには転写ユニット19が配置され、転写ユニット19に転写バイアスを印加することにより、図中矢印C方向に移動する紙などの記録材Pに中間転写体e上のトナー像が転写される。
【0037】
転写ユニット19は、弾性ローラ部材等の転写部材を用いることができ、中間転写体eの表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と中間転写体eとの間で転写ニップを形成する。この転写ニップで記録材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、中間転写体e表面上のトナー像を記録材P上へ転写させる。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは、図示していない定着装置へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、画像装置機外へ排出される。
【0038】
図2は、作像時の作像ユニットの動作を示した図である。
作像ユニット(a、b、c、d)は、図中矢印A方向に回転する像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のものである。
【0039】
この感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置2と、現像手段としての現像装置3、クリーニング手段としてのクリーニング装置4が配置されている。
【0040】
現像装置3は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ5と現像ローラ5にトナーを供給するトナー供給ローラ6を備えている。さらに現像装置の上部にはトナー充填部および廃トナー回収保持スペース部7を備えている。
【0041】
あらかじめトナー充填部7に充填したトナーが自重によって現像装置3下部に補給され、補給されたトナーが回転するトナー供給ローラ6に供給され、トナー供給ローラ6によってトナーが現像ローラ5に供給され保持される。現像ローラ5は、表面にトナーを担持しながら回転することによって、トナーを感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。現像ローラ5には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ5表面の電位と感光体ドラム1表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、トナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。
【0042】
本実施形態では、キャリアを用いないトナーのみからなる一成分現像剤を用いて説明している。特に一成分現像剤に限ったものではなく、キャリアとトナーを混合させた二成分現像剤を用いた現像装置を使用してもよい。
【0043】
帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置2は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させ、又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム1表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、弾性体からなる帯電ローラを用いることができる。
【0044】
クリーニング装置4は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の表面から除去するものである。クリーニング装置4としては、感光体ドラム1表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのクリーニングブレード部材を用いている。クリーニングブレード部材はポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものを用い、感光体ドラム1との当接方法は感光体ドラム1の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。クリーニングブレード部材に関しては感光体ドラム1からのトナー除去のみならず、記録材Pとして紙を使用したときの紙粉、帯電装置2によって感光体ドラム1を放電により生成する放電生成物、トナーに添加されている添加剤などの不純物を感光体ドラム1から除去する機能も有している。
【0045】
感光体ドラム1から除去したトナーは、トナー搬送部材8により作像ユニットの端部に搬送され、廃トナー回収保持スペース部7に搬送される。このとき除去したトナーは、一成分現像剤を用いた場合は再び現像するトナーとして使用しないが、二成分現像剤を用いた場合は再び現像トナーとして使用することが可能である。
【0046】
なおトナーに関しては、画質向上のために円形度が0.98以上の球形トナーを使用することが好ましい。ここで、「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150(ml)中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5(ml)加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5(g)程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1(万個/μl)となるようにしたものを上記分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法により形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたトナーなどを用いることができ、その製造方法に限定されない。
【0047】
図3は、作像時の潤滑剤塗布装置fの動作を示した図である。
潤滑剤塗布装置fは、図中矢印E方向に回転するローラ形状のブラシ部材9と、固形潤滑剤10と、固形潤滑剤10をローラ形状のブラシ部材9に押圧する押圧部材11を有している。さらに、潤滑剤塗布装置fは、中間転写体e表面の残留トナーおよび不純物を除去するためのクリーニングユニットとしてのブレード部材14を有している。中間転写体eは駆動ローラ15が図中矢印D方向に回転することにより、図中矢印B方向に移動する。
【0048】
図4は、作像時の中間転写体eとブラシ部材9の接触部の拡大図である。
ブラシ部材9は固形潤滑剤10と接触するように設置され、ブラシ部材9が矢印E方向に回転することにより固形潤滑剤10をブラシ毛の先端部のエッジ部で削り取る。このとき、粉体となった潤滑剤はブラシ部材9を構成するブラシ繊維毛表面に付着して保持され、中間転写体eに塗布される。ブラシ部材9は矢印E、中間転写体eは矢印B方向に回転する。つまり、ブラシ部材9と中間転写体eの回転方向は同じ方向に回転し、カウンタ方向で接触するようになっている。
【0049】
二つの部材を同じ回転方向にする効果について説明する。
ブラシ部材9は中間転写体eに対して、一定の間隔(食い込み量)で接触させる構成とすることで、ブラシ部材9と中間転写体eにはニップが形成される。このニップ部ではブラシ部材9のブラシ毛はブラシ部材9の回転方向Eとは異なる方向に倒れる。ニップ部で倒れたブラシ毛はブラシ部材9が回転していることから、やがてニップ部出口側で開放されることになり、ブラシ毛は元の状態に戻ろうとする。このときブラシ毛は復元力により激しくブラシ回転方向に移動する。(反発力で移動することになる。)この反発力によりブラシ部材9に保持していた粉状の潤滑剤がブラシ部材9から離れ、飛翔して中間転写体eに塗布される。
【0050】
ここで中間転写体eとブラシ部材9の回転方向が同じ方向のときは、ブラシニップ部出口側で中間転写体eに飛翔して塗布された粉状潤滑剤が再びブラシ部材9と中間転写体eのニップ部に進入するため、ブラシ部材9による均し効果が発揮され、中間転写体e表面での粉状潤滑剤の塗布ムラが発生しにくくなる。したがって、中間転写体eとブラシ部材9の回転方向を同じ方向とすることで潤滑剤の塗布ムラを改善することができる。
【0051】
ローラ形状のブラシ部材9としては、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリエステル、塩ビ等の樹脂繊維から構成されており、必要に応じては前述の樹脂繊維にカーボン等の導電付与剤を混ぜた導電繊維を使用してもよい。またローラ形状のブラシ部材9は、金属からなる芯金に長さ0.2〜20(mm)好ましくは0.5〜10(mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシをスパイラル上に巻き付けて構成したものを用い得る。ブラシ毛の長さが20(mm)以上では、中間転写体eの稼動時間とともに固形潤滑剤10およびブラシ部材9との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛し、固形潤滑剤10のかき取り性、中間転写体eへの潤滑剤塗布性が低下する。ブラシの毛の長さが、0.2(mm)以下では、固形潤滑剤10に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20(mm)好ましくは0.5〜10(mm)の範囲にすることが好ましい。
【0052】
中間転写体eに均一に塗布された粉体潤滑剤16は、図中矢印B方向に運ばれ、やがて各作像ユニット(a、b、c、d)の転写部に搬送される。
【0053】
図5は、作像時に粉体潤滑剤17が感光体ドラム1に転写され、クリーニング装置4であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である。
【0054】
本実施例では、感光体ドラム1を帯電手段2によりマイナスに帯電し、さらに、マイナスに帯電させたトナーを用いて現像装置3により感光体ドラム1に現像するため、転写部材18にはプラスの電圧あるいは電流を印加することにより、感光体ドラム1上のトナーを中間転写体eに転写させる。一方、中間転写体e上には潤滑剤塗布装置fから供給された粉状潤滑剤16も存在しており、粉状潤滑剤16が中間転写体eと感光体ドラム1の接触部を通過する際に接触圧によりと感光体ドラム1上に転写される。粉体潤滑剤17の感光体ドラム1上への転写には転写ローラ18へのバイアス印加により発生する電界の作用を用いても構わない。
【0055】
図6は、作像時に感光体ドラム1とクリーニング装置4としてのクリーニング部材が接触している拡大図である。クリーニング部材は感光体ドラム1上の残留トナー、不純物を除去するものであるが、本発明では粉状潤滑剤17を薄膜化する手段を兼ねている。クリーニング部材は上述したように、短冊形状の弾性体であるゴム部材を用いる。ゴム部材を用いることにより、感光体ドラム1にある量食込ませて(押し込んで)接触させることができ、クリーニング部材と感光体ドラム1はニップを形成することができる。粉状潤滑剤17はトナーと同じようにクリーニング部材のニップ部に滞留し、クリーニング部材からの圧力によって感光体ドラム1表面に薄膜潤滑剤20となって通過する。
【0056】
潤滑剤塗布装置fにより中間転写体e上に塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほどクリーニング部材により感光体ドラム1表面上に分子膜レベルで薄膜化できる。潤滑剤の皮膜化が進行することで潤滑剤はその潤滑性を十分に発揮できるようになる。逆に潤滑剤が粗い粉状態でクリーニング部材のニップ部に進入してくると感光体ドラム1上に膜化する量以上の余った潤滑剤が残留してしまい、やがてニップ部を粉状体ですり抜けて感光体ドラム1に付着し、帯電手段の汚染の原因となってしまう。さらには、感光体ドラム1表面の潤滑膜ムラが発生し、現像、転写、クリーニングに対して悪影響が発生する。
【0057】
以下に、潤滑剤塗布モード時の動作を説明する。
図7は、潤滑剤塗布モード時のカラー画像形成装置の動作を示した図である。潤滑剤塗布モード時は、中間転写体eが作像時とは逆方向となる図中矢印Y方向に回転することで、潤滑剤塗布装置fによって中間転写体e上に塗布された粉状潤滑剤が作像ユニットdと中間転写体eの接触部に突入する。突入した粉体状潤滑剤の一部は作像ユニットd内の像担持体上に転写し、残った粉体状潤滑剤は作像ユニットcと中間転写体eの接触部に突入する。粉体状潤滑剤は同様にして、作像ユニットbと作像ユニットaにも突入する。この時、中間転写体eに塗布された粉体状潤滑剤が転写ユニット19に転写することで転写ユニットが汚染されたり、潤滑剤塗布装置fに備え付けられたブレード部材14にクリーニングされてしまうことを防止するため、転写ユニット19とブレード部材14は中間転写体eから離間した状態とする。
【0058】
また、潤滑剤塗布モードは中間転写体eを作像時と駆動方向に対して逆方向に駆動させるため、中間転写体e上に付着物が存在すると、付着物がブレード部材14でクリーニングされるよりも前に、状潤滑剤を中間転写体eに塗布するブラシ部材9に突入し、ブラシ部材9は付着物に汚染される。このことにより、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下の発生が懸念される。このため、潤滑剤塗布モードは作像前、作像後、作像間といった非作像時に実施する。
【0059】
図8は、潤滑剤塗布モード時に粉体潤滑剤17が感光体ドラム1に転写され、クリーニング装置4であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である。中間転写体e上には潤滑剤塗布装置fから供給された粉状潤滑剤16が存在しており、粉状潤滑剤16が中間転写体eと感光体ドラム1の接触部を通過する際に接触圧によりと感光体ドラム1上に転写される。粉体潤滑剤17の感光体ドラム1上への転写には転写ローラ18へのバイアス印加により発生する電界の作用を用いても構わない。この時、帯電手段2への粉体状潤滑剤の汚染を防止するため、帯電手段2へのバイアス印加を粉体状潤滑剤の帯電極性と同極性のバイアス印加を行う、またはバイアス印加を実施しないことが望ましい。
【0060】
図9は、潤滑剤塗布モード時に感光体ドラム1とクリーニング装置4としてのクリーニング部材が接触している拡大図である。感光体ドラム1は図中矢印Z方向に回転し、感光体ドラム1の粉状潤滑剤16はクリーニング部材と感光体ドラム1で形成されるニップ部に突入する。突入した粉体潤滑剤17はトナーと同じようにクリーニング部材のニップ部に滞留し、クリーニング部材からの圧力によって感光体ドラム1表面に薄膜潤滑剤20となって通過する。
【0061】
潤滑剤塗布装置fにより中間転写体e上に塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほどクリーニング部材により感光体ドラム1表面上に分子膜レベルで薄膜化できる。潤滑剤の皮膜化が進行することで潤滑剤はその潤滑性を十分に発揮できるようになる。
【0062】
本実施例で用い得る固形潤滑剤10としては、少なくとも疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)を含むもので、十分な潤滑性があるものである。
【0063】
疎水性有機化合物(A)の例としては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素類の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂やフッ素系ワックス類、ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂やシリコーン系ワックス類等が挙げられる。また前記のような脂肪酸金属塩、安定した疎水性金属塩が取出される代表的な脂肪酸には、カプロン酸、カプリル酸、エナンチル酸、ペラルゴン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデコイン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノンデサイクリック酸、アラキジン酸、ベヘン酸、スチリンギン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、ペテロセリニン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカニン酸、バリナリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、鯨油酸及びそれらの混合物がある。脂肪酸の代表的な安定した金属塩には、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。
【0064】
無機潤滑剤(C)とは、その物質自身がへき開して潤滑する、または内部滑りを起こすものを指す。この例としては、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト、などがあるがこれに限るものではない。例えば窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が、広い間隔で重なり、層と層とをつなげるのは、弱いファンデルワールス力のみであるため、その層間は容易にへき開し、潤滑する。
【0065】
それに対して無機微粒子(B)とは、物体と物体の間に挟まって、コロの役割はするものの、その物質自身での内部滑りや、へき開は起こさない粒子を指す。この例としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム等があるが、これに限る物ではない。また、これらを複数混合して使用してもよい。
【0066】
ここで図10以下を参照して本発明実施例における潤滑剤塗布モードの制御方法について説明する。
潤滑剤塗布モードの制御を実行する塗布モード制御手段として、例えば、画像形成装置において通常使用されている、画像形成のプロセス制御を行うために設けられた、演算手段42、記憶手段41、制御手段40等で構成される装置にその機能を担わせることができる。或いは、演算手段、記憶手段、制御手段等で構成される専用の装置を設けてもよい。何れにしても、潤滑剤塗布モードは画像形成のプロセス制御を行う装置と情報の入出力を行い連携して動作する。演算手段42は入力された印刷情報(画像面積、印刷速度、記録材サイズ)をもとに画像面積(率)や平均画像面積(率)を算出する算出手段であり、また印刷枚数カウントをするカウントする手段でもあり、記録手段41と情報の入出力をしながら行い、演算手段42の演算結果をもとに制御装置40によって潤滑剤塗布モードの動作である潤滑剤塗布時間や潤滑剤塗布を実施する作像ユニットが制御される。
【0067】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例1>
図11を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積(AY、AM、AC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積(AY、AM、AC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ3)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する(ステップ4)。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ5)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ6)。
【0068】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例2>
図12を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積率(RY、RM、RC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積率(RY、RM、RC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、演算値Z1を取得する(ステップ3)。さらに演算値Z1に記録材サイズによる画像面積を算出するための係数X1を掛け、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ4)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する(ステップ5)。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ6)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ7)。
【0069】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例3>
図13を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積率(RY、RM、RC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積率(RY、RM、RC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、演算値Z1を取得する(ステップ3)。さらに演算値Z1に記録材サイズによる画像面積を算出するための係数X1を掛け、演算値Z2を取得する(ステップ4)。さらに演算値Z2に印刷速度による逆転写トナー量への寄与を考慮した係数X2を掛け、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ5)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する(ステップ6)。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ7)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ8)。
【符号の説明】
【0070】
a、b、c、d:作像ユニット
e:中間転写体
f:潤滑剤塗布装置
P:記録材
1:感光体ドラム
2:帯電装置
3:現像装置
4:クリーニング装置
5:現像ローラ
6:トナー供給ローラ
7:トナー充填部および廃トナー回収保持スペース部
8:トナー搬送部材
9:ブラシ部材
10:固形潤滑剤
11:押圧部材
14:ブレード部材
15:駆動ローラ
16:粉体潤滑剤
18(a、b、c、d):転写ローラ
19:転写ユニット
20:薄膜潤滑剤
40:制御手段
41:記憶手段
42:演算手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特許第4238193号公報
【特許文献2】特開2008-195507号公報
【特許文献3】特開2009-186610号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、印刷機、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成は、光導電現象を利用して像担持体上に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成し、この静電潜像に着色した帯電微粒子(トナー)を静電力で付着させて可視像とするプロセスである。
【0003】
この電子写真方式の画像形成装置において、その主要部品である像担持体や中間転写体に、各種ワックスやフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)や高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛等)を潤滑剤として塗布する技術がある。この技術は電子写真のクリーニングプロセス、すなわち、像担持体や中間転写ベルトに残留したトナーや不純物をクリーニングブラシやクリーニングブレードで掻き取るというプロセスで起こる不具合を解消するために用いられるものである。
【0004】
潤滑剤塗布による不具合解消は、像担持体表面からのトナーのクリーニング性の向上である。潤滑剤を表面に塗布することにより、表面の摩擦係数が減少し、表面に付着した付着物を表面から容易に除去することができる。すなわち、紙等の最終的な記録材に転写しきれず像担持体や中間転写ベルト上に残留してしまった転写残トナーや上流の作像ユニットで形成された中間転写体上のトナー像が下流の作像ユニットの像担持体を通過する際に像担持体上に転写される逆転写トナーを、容易に除去することができるようになる。特に逆転写トナーは、帯電量の小さい弱帯電トナーや帯電極性が逆となる逆帯電トナーが多く含くむため像担持体との静電的な付着力が強いこと、トナーの平均粒径に対し小粒径トナーを多く含むために像担持体との物理的な付着力が強くなっていることでクリーニングし難くなっており、下流側の作像ユニットほど逆転写トナー量が多くなるため、クリーニング不良が発生しやすくなるという問題点がある。このような技術的背景からも、潤滑剤を用いることによるクリーニング性向上は、今後、更に重要な技術となると考えられる。
【0005】
さらに、潤滑剤塗布による不具合解消としては、像担持体表面の放電による酸化劣化を防止することである。像担持体に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成するためには帯電手段によって像担持体表面を一様に帯電させる必要がある。具体的な帯電手段としては、近年では帯電ローラ部材に高電圧を印加して像担持体に直接放電させて帯電させる手段がある。しかしながら、像担持体に対して直接放電するため、像担持体表面が劣化するという問題が発生する。特に帯電ローラ部材を像担持体に接触させない、いわゆる非接触帯電ローラ方式においてはローラ部材に交流電圧を印加する必要があり、像担持体表面が劣化しやすいことが分かっている。劣化した像担持体表面は主にクリーニング部材であるクリーニングブラシやクリーニングブレードとの機械的摺擦により、摩耗しやすくなることが明らかになっている。
【0006】
したがって、像担持体表面に潤滑剤を塗布する技術は放電による像担持体へのダメージを低減させるためにも重要な技術である。
【0007】
一般的に、潤滑剤は微量ずつ粉体の形態で像担持体表面に供給されるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って粉体とし、ブラシに保持した粉体状の潤滑剤を像担持体に接触させて塗布する方法がある。
【0008】
しかしながら、カラー画像形成装置など複数の作像ユニットを有する場合、作像ユニット個別に固形成形された潤滑剤を配置すると、画像形成装置を小型化することが困難である。さらに、複数の固形潤滑剤および塗布するための機構が必要となりコストが高くなってしまう。また、一般に使用されている高級脂肪酸金属塩は帯電の影響により潤滑性が低下してしまい、クリーニング部材をトナーがすり抜けて、クリーニング不良が発生してしまう。また、脂肪酸金属塩の塗布量過多となると脂肪酸金属塩自体が、帯電部材に飛翔して付着し、帯電部材汚染も引き起こしてしまう。逆に塗布量が不足すると感光体を保護する役割が果たせなくなり、フィルミングの発生に繋がる。このようなことから、潤滑剤塗布量のチューニングが重要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの問題を解決するために、特許文献1(特開2008−276103号公報)や特許文献2(特開2008−276083号公報)では、中間転写体からの潤滑剤を用いて複数の像担持体の表面摩擦係数を下げることで、複数の作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置させる必要のない構成としコスト低減と小型化を狙った構成を提案している。特許文献1では、複数の像担持体と中間転写をそれぞれ接離させる機構を有し、中間転写体上の粉体状潤滑剤を選択的に像担持体に供給するとしている。しかし、このような接離機構を有した場合には、装置構成が複雑となり低コスト化や省スペース化といった面で不利となる。特許文献2では、中間転写体上の粉体状潤滑材を像担持体と中間転写体間の静電的な力によって複数の像担持体に選択的に供給するとしている。しかし、この構成においては像担持体上に潤滑剤を供給したくない場合においても、粉体状潤滑剤が像担持体と中間転写体の接触部を通過する際には接触圧といった物理的な力によって像担持体上に供給されてしまい、下流側の像担持体に供給される潤滑剤量が減少してしまうことが分かっている。特許文献3(特開2009-186610号公報)では少なくとも疎水性有機化合物と無機微粒子と無機潤滑剤を含むものを使用することで、長期に渉り、トナークリーニングのすり抜けを防止することができるとしているが、潤滑剤塗布装置を作像ユニット備えた構成のため、作像ユニットが複数有する構成の画像形成装置においては、低コスト化や小型化に限界がある。
【0010】
そこで本発明では、中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を像担持体に供給する際に中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができ、これにより小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、該作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、該中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布装置により前記中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を前記作像ユニットの前記像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を制御する潤滑剤塗布モード動作制御手段を備え、該潤滑剤塗布モード動作制御手段は、前記中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させて制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布装置に備える潤滑材が、少なくとも疎水性有機化合物と、無機微粒子と無機潤滑剤を含む構成とし得る。
【0013】
本発明の画像形成装置は、作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、前記作像された画像の面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、前記作像した画像の面積または前記画像面積算出手段で算出した前記画像面積率から、前記作像した画像の面積平均値または前記画像面積算出手段で算出した画像面積率の画像面積率平均値を算出する平均値算出手段とを備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積、画像面積率、平均画像面積及び平均画像面積率、または、画像面積、画像面積率、平均画像面積と平均画像面積率から算出した演算値のいずれかを用いる構成とし得る。
【0014】
本発明の画像形成装置は、作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷枚数または該印刷枚数から算出された演算値を用いる構成とし得る。
【0015】
本発明の画像形成装置は、複数の印刷速度で動作可能とする駆動手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷速度を用いる構成とし得る。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いるとともに、さらに、記録材サイズを用いる構成とし得る。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段による前記潤滑剤塗布モードの動作の制御対象を、前記潤滑剤塗布装置が前記像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間とした構成とし得る。
【0018】
本発明の画像形成装置は、前記中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと、前記中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットとを備え、前記転写ユニットと前記クリーニングユニットを前記中間転写体から離間させて配置した構成とし得る。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記潤滑剤塗布モードを、前記作像ユニットでの作像前、作像後、または非作像時のいずれかで行う配置した構成とし得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、中間転写体に塗布された潤滑剤を像担持体に供給することで像担持体の表面摩擦係数を下げ、作像ユニットを複数備える構成の場合には全ての作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置する必要をなくせる。また、中間転写体を経由して作像ユニットに潤滑剤を突入させる方式の装置では、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができ、小型かつ低コストで、しかも装置構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】カラー画像形成装置の構成を示す図である(作像時)。
【図2】作像ユニットの構成を示す図である(作像時)。
【図3】潤滑剤塗布装置の構成を示した図である(作像時)。
【図4】中間転写体とブラシ部材の接触部の拡大図である(作像時)。
【図5】粉体潤滑剤が転写部材により感光体ドラムに転写され、クリーニング装置であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である(作像時)。
【図6】感光体ドラムとクリーニング装置としてのクリーニング部材が接触している拡大図である(作像時)。
【図7】カラー画像形成装置の構成を示す図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図8】粉体潤滑剤が転写部材により感光体ドラムに転写され、クリーニング装置であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図9】感光体ドラムとクリーニング装置としてのクリーニング部材が接触している拡大図である(潤滑剤塗布モード実行時)。
【図10】演算手段、記憶手段、制御手段等で構成される装置の概略図である。
【図11】画像面積と印刷枚数に基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図12】画像面積率と印刷枚数と記録材サイズに基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】画像面積率と印刷枚数と記録材サイズと印刷速度に基づいて実行判断を行う潤滑剤塗布モードの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
画像形成装置の作像ユニットで発生するクリーニング不良は、上流の作像ユニットで形成された中間転写体上のトナー像が下流の作像ユニットの像担持体を通過する際に転写される逆転写トナーがクリーニング装置に多く突入すると発生しやすくなることが分かっている。これは、逆転写トナーが帯電量が小さい弱帯電トナーや帯電極性が逆となる逆帯電トナーを多く含むため像担持体との静電的な付着力が強いこと、トナー平均粒径に対し小粒径トナーを多く含むために像担持体との物理的な付着力が強くなっていることでクリーニングし難くなっているためと考えられている。特に複数の作像ユニットを有する場合、下流側の作像ユニットほど逆転写トナー量が多くなりクリーニング不良が発生しやすくなる。また、クリーニング不良を抑制するためには像担持体の表面摩擦係数を下げることが有効である。
【0023】
このため、従来の画像形成装置においては、作像ユニットに潤滑剤を搭載することで像担持体に潤滑剤を塗布してクリーニング不良を抑制している。しかし、作像ユニットに潤滑剤を搭載することは設置スペースとコストの面で不利となる。
【0024】
そこで本発明は、中間転写体に塗布された潤滑剤を像担持体に供給することで像担持体の表面摩擦係数を下げることで、作像ユニットを複数備える構成の場合には全ての作像ユニットに潤滑剤塗布装置を配置させる必要をなくす。また、中間転写体を経由して作像ユニットに潤滑剤を突入させる方法は上流側の作像ユニットで潤滑剤が多く取られてしまい、逆転写トナー量が多いためにクリーニング不良が発生しやすい下流側の作像ユニットの潤滑剤供給量が少なくなってしまうという問題があったが、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することができる。これより、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良が発生しないようにする。
【0025】
すなわち、本発明は、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置を備える画像形成装置において、中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置により中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を作像ユニットの像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させることで実施する。本発明では、中間転写体を逆転駆動させることにより、複雑な構成にすることなく下流側の作像ユニットにもクリーニング不良抑制に十分な量の潤滑剤を供給することで、小型かつ低コストかつ構成を複雑にすることなく長期に渉ってクリーニング不良が発生しないようにすることができる。
【0026】
また本発明は、長期に渉ってクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布装置に備えられる潤滑材が、少なくとも疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)を含む。疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)とを含む潤滑剤は潤滑性に優れ、クリーニング部材を摩耗することなく、長期に渉り、トナークリーニングのすり抜けを防止する。本発明は疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)とを含む潤滑剤を中間転写体を経由させて像担持体へ塗布することで、ステアリン酸亜鉛といった従来の潤滑剤よりも効果的に像担持体と中間転写体のクリーニング不良を防止する。
【0027】
また本発明は、印刷画像に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、この画像面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、作像した画像の画像面積または画像面積率からその平均値である画像面積または画像面積率を算出する平均画像面積(率)算出手段を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積、画像面積率、平均画像面積、平均画像面積率、もしくは、画像面積、画像面積率、平均画像面積、平均画像面積率から算出した演算値を用いる。クリーニング不良は逆転写トナーが多くクリーニング装置に突入することで発生しやすくなり、逆転写トナーは画像面積、画像面積率が大きい(高い)ほどその量が多くなることから、画像面積(率)が大きい(高い)印刷が多い場合には、少ない場合と比べて潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、画像面積(率)や平均画像面積(率)、もしくは画像面積(率)や平均画像面積(率)から算出した演算値を用いることで、印刷される画像面積(率)に起因する像担持体のクリーニング不良を防止し、これにより、印刷画像に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0028】
また本発明は、印刷枚数に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、印刷枚数もしくは印刷枚数から算出された演算値を用いる。クリーニング不良は逆転写トナーがクリーニング装置に蓄積することで発生しやすくなる。このことから、潤滑剤塗布モードは一定枚数間隔ごとに実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、印刷枚数、もしくは印刷枚数から算出された演算値を用いることで、印刷枚数に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、印刷枚数に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0029】
また本発明は、印刷速度に因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、複数の印刷速度を備える画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として印刷速度を用いることとする。クリーニング不良を抑制するために像担持体の表面摩擦係数を下げるために像担持体の表面に潤滑剤を塗布を実施している。塗布された潤滑剤は帯電装置による帯電ハザードにより劣化する。印刷速度を複数備える画像形成装置において、印刷速度が遅いほど一回の印刷で像担持体が帯電ハザードを受ける時間が長くなるため、印刷速度が遅い方が像担持体上の表面摩擦係数が高くなりやすい。このことから、印刷速度が遅い印刷が多い場合には、印刷速度が早い場合と比べて潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として印刷速度を用いることで、印刷速度に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、印刷速度に因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0030】
また本発明は、記録材サイズに因らずに長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いる画像形成装置において、潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として記録材サイズを用いる。クリーニング不良は逆転写トナーが多くクリーニング装置に突入することで発生しやすくなる。逆転写トナーは画像面積率が高いほどその量が多くなる。また、画像面積率は同じ値であっても、記録材のサイズによりは画像面積としては異なる。画像面積率は同じでも画像面積として大きくなる場合には逆転写トナー量が多くなり、潤滑剤塗布モードを頻繁に実施する必要がある。本発明は、潤滑剤塗布モードの動作を制御する印刷情報として、画像面積率や平均画像面積率に記録材サイズを加味することで、印刷される画像面積率に起因する像担持体のクリーニング不良を防止することができる。これより、記録材サイズに因らずに長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【0031】
また本発明は、長期に渉ってクリーニング不良や異常画像の発生しにくい、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの動作の制御内容は、潤滑剤塗布装置が像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間であることとする。潤滑剤の塗布量が不足するとクリーニング装置の余裕度が低下し、潤滑剤の塗布量が多すぎるとクリーニング装置をすり抜けた潤滑剤が帯電装置を汚染し濃度ムラ等の異常画像が発生する。このことから潤滑剤の塗布を行う上で適正な量を塗布する必要がある。本発明では、塗布時間を制御することで像担持体に塗布する潤滑剤の量を適量とし、像担持体への潤滑剤の塗布量の過不足をなくすことができる。これより長期に渉って、クリーニング不良や異常画像の発生しにくい画像形成装置を提供する。
【0032】
また本発明は、小型かつ低コストで長期に渉りクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供するために、中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットを備える画像形成装置において、転写ユニットとクリーニングユニットを中間転写体から離間させることとする。潤滑剤塗布モードで中間転写体を逆転駆動させる場合に転写ユニットとクリーニング装置が当接させた場合、中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤が転写ユニットに転写することで転写ユニットが汚染されたり、クリーニング装置にクリーニングされてしまい潤滑剤の作像ユニットへの供給量が低下してしまう。このことから、潤滑剤塗布モード時には転写ユニットとクリーニング装置を離間させる必要がある。本発明では、潤滑剤塗布モード時に転写ユニットとクリーニング装置を離間させることで、転写ユニットを汚染することなく、作像ユニットへ潤滑剤を効率良く供給することができ潤滑剤塗布装置に備える潤滑剤の量を減らすことができる。これより小型かつ低コストで長期に渉ってクリーニング余裕度の高い、高寿命、高信頼の画像形成装置を提供する。
【0033】
そして本発明は、長期に渉りクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供するために、潤滑剤塗布モードの実行は作像前、作像後、作像間といった非作像時に行うこととする。潤滑剤塗布モードは中間転写体にトナー等の付着物が無いときに実施されることが理想である。これは中間転写体上に付着物が存在すると、付着物が潤滑剤塗布装置を汚染し、その結果、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下が生じるためである。このことから、潤滑剤塗布モードは中間転写体上に付着物のない非作像時に実施することが望ましい。本発明は、潤滑剤塗布モードを非作像時に実施することで、中間転写体上の付着物によって潤滑剤塗布装置が汚染されることを防止し、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下を抑制することができる。これより、長期に渉ってクリーニング不良の発生しない画像形成装置を提供する。
【実施例】
【0034】
以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお本発明は図示の画像形成装置には限定されない。
【0035】
本発明の実施対象となるカラー画像形成装置の一例について説明する。
図1は、作像時のカラー画像形成装置の動作を示した図である。カラー画像形成装置は、複数の作像ユニット(a、b、c、d)と中間転写体eと潤滑剤塗布装置fを有している。作像ユニット(a、b、c、d)には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー色のトナーが充填され、フルカラーの画像を形成するが、作像ユニットのトナー色の順番は特にこれに限ったものでなくてもよい。
【0036】
複数の作像ユニット(a、b、c、d)により作像された各色のトナーは、図中矢印B方向に回転する中間転写体e上で重ねられ、複数色のトナーで形成された画像パターンとなる。中間転写体eには転写ユニット19が配置され、転写ユニット19に転写バイアスを印加することにより、図中矢印C方向に移動する紙などの記録材Pに中間転写体e上のトナー像が転写される。
【0037】
転写ユニット19は、弾性ローラ部材等の転写部材を用いることができ、中間転写体eの表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と中間転写体eとの間で転写ニップを形成する。この転写ニップで記録材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、中間転写体e表面上のトナー像を記録材P上へ転写させる。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは、図示していない定着装置へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、画像装置機外へ排出される。
【0038】
図2は、作像時の作像ユニットの動作を示した図である。
作像ユニット(a、b、c、d)は、図中矢印A方向に回転する像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のものである。
【0039】
この感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置2と、現像手段としての現像装置3、クリーニング手段としてのクリーニング装置4が配置されている。
【0040】
現像装置3は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ5と現像ローラ5にトナーを供給するトナー供給ローラ6を備えている。さらに現像装置の上部にはトナー充填部および廃トナー回収保持スペース部7を備えている。
【0041】
あらかじめトナー充填部7に充填したトナーが自重によって現像装置3下部に補給され、補給されたトナーが回転するトナー供給ローラ6に供給され、トナー供給ローラ6によってトナーが現像ローラ5に供給され保持される。現像ローラ5は、表面にトナーを担持しながら回転することによって、トナーを感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。現像ローラ5には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ5表面の電位と感光体ドラム1表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、トナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。
【0042】
本実施形態では、キャリアを用いないトナーのみからなる一成分現像剤を用いて説明している。特に一成分現像剤に限ったものではなく、キャリアとトナーを混合させた二成分現像剤を用いた現像装置を使用してもよい。
【0043】
帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置2は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させ、又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム1表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、弾性体からなる帯電ローラを用いることができる。
【0044】
クリーニング装置4は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の表面から除去するものである。クリーニング装置4としては、感光体ドラム1表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのクリーニングブレード部材を用いている。クリーニングブレード部材はポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものを用い、感光体ドラム1との当接方法は感光体ドラム1の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。クリーニングブレード部材に関しては感光体ドラム1からのトナー除去のみならず、記録材Pとして紙を使用したときの紙粉、帯電装置2によって感光体ドラム1を放電により生成する放電生成物、トナーに添加されている添加剤などの不純物を感光体ドラム1から除去する機能も有している。
【0045】
感光体ドラム1から除去したトナーは、トナー搬送部材8により作像ユニットの端部に搬送され、廃トナー回収保持スペース部7に搬送される。このとき除去したトナーは、一成分現像剤を用いた場合は再び現像するトナーとして使用しないが、二成分現像剤を用いた場合は再び現像トナーとして使用することが可能である。
【0046】
なおトナーに関しては、画質向上のために円形度が0.98以上の球形トナーを使用することが好ましい。ここで、「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150(ml)中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5(ml)加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5(g)程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1(万個/μl)となるようにしたものを上記分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法により形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたトナーなどを用いることができ、その製造方法に限定されない。
【0047】
図3は、作像時の潤滑剤塗布装置fの動作を示した図である。
潤滑剤塗布装置fは、図中矢印E方向に回転するローラ形状のブラシ部材9と、固形潤滑剤10と、固形潤滑剤10をローラ形状のブラシ部材9に押圧する押圧部材11を有している。さらに、潤滑剤塗布装置fは、中間転写体e表面の残留トナーおよび不純物を除去するためのクリーニングユニットとしてのブレード部材14を有している。中間転写体eは駆動ローラ15が図中矢印D方向に回転することにより、図中矢印B方向に移動する。
【0048】
図4は、作像時の中間転写体eとブラシ部材9の接触部の拡大図である。
ブラシ部材9は固形潤滑剤10と接触するように設置され、ブラシ部材9が矢印E方向に回転することにより固形潤滑剤10をブラシ毛の先端部のエッジ部で削り取る。このとき、粉体となった潤滑剤はブラシ部材9を構成するブラシ繊維毛表面に付着して保持され、中間転写体eに塗布される。ブラシ部材9は矢印E、中間転写体eは矢印B方向に回転する。つまり、ブラシ部材9と中間転写体eの回転方向は同じ方向に回転し、カウンタ方向で接触するようになっている。
【0049】
二つの部材を同じ回転方向にする効果について説明する。
ブラシ部材9は中間転写体eに対して、一定の間隔(食い込み量)で接触させる構成とすることで、ブラシ部材9と中間転写体eにはニップが形成される。このニップ部ではブラシ部材9のブラシ毛はブラシ部材9の回転方向Eとは異なる方向に倒れる。ニップ部で倒れたブラシ毛はブラシ部材9が回転していることから、やがてニップ部出口側で開放されることになり、ブラシ毛は元の状態に戻ろうとする。このときブラシ毛は復元力により激しくブラシ回転方向に移動する。(反発力で移動することになる。)この反発力によりブラシ部材9に保持していた粉状の潤滑剤がブラシ部材9から離れ、飛翔して中間転写体eに塗布される。
【0050】
ここで中間転写体eとブラシ部材9の回転方向が同じ方向のときは、ブラシニップ部出口側で中間転写体eに飛翔して塗布された粉状潤滑剤が再びブラシ部材9と中間転写体eのニップ部に進入するため、ブラシ部材9による均し効果が発揮され、中間転写体e表面での粉状潤滑剤の塗布ムラが発生しにくくなる。したがって、中間転写体eとブラシ部材9の回転方向を同じ方向とすることで潤滑剤の塗布ムラを改善することができる。
【0051】
ローラ形状のブラシ部材9としては、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリエステル、塩ビ等の樹脂繊維から構成されており、必要に応じては前述の樹脂繊維にカーボン等の導電付与剤を混ぜた導電繊維を使用してもよい。またローラ形状のブラシ部材9は、金属からなる芯金に長さ0.2〜20(mm)好ましくは0.5〜10(mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシをスパイラル上に巻き付けて構成したものを用い得る。ブラシ毛の長さが20(mm)以上では、中間転写体eの稼動時間とともに固形潤滑剤10およびブラシ部材9との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛し、固形潤滑剤10のかき取り性、中間転写体eへの潤滑剤塗布性が低下する。ブラシの毛の長さが、0.2(mm)以下では、固形潤滑剤10に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20(mm)好ましくは0.5〜10(mm)の範囲にすることが好ましい。
【0052】
中間転写体eに均一に塗布された粉体潤滑剤16は、図中矢印B方向に運ばれ、やがて各作像ユニット(a、b、c、d)の転写部に搬送される。
【0053】
図5は、作像時に粉体潤滑剤17が感光体ドラム1に転写され、クリーニング装置4であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である。
【0054】
本実施例では、感光体ドラム1を帯電手段2によりマイナスに帯電し、さらに、マイナスに帯電させたトナーを用いて現像装置3により感光体ドラム1に現像するため、転写部材18にはプラスの電圧あるいは電流を印加することにより、感光体ドラム1上のトナーを中間転写体eに転写させる。一方、中間転写体e上には潤滑剤塗布装置fから供給された粉状潤滑剤16も存在しており、粉状潤滑剤16が中間転写体eと感光体ドラム1の接触部を通過する際に接触圧によりと感光体ドラム1上に転写される。粉体潤滑剤17の感光体ドラム1上への転写には転写ローラ18へのバイアス印加により発生する電界の作用を用いても構わない。
【0055】
図6は、作像時に感光体ドラム1とクリーニング装置4としてのクリーニング部材が接触している拡大図である。クリーニング部材は感光体ドラム1上の残留トナー、不純物を除去するものであるが、本発明では粉状潤滑剤17を薄膜化する手段を兼ねている。クリーニング部材は上述したように、短冊形状の弾性体であるゴム部材を用いる。ゴム部材を用いることにより、感光体ドラム1にある量食込ませて(押し込んで)接触させることができ、クリーニング部材と感光体ドラム1はニップを形成することができる。粉状潤滑剤17はトナーと同じようにクリーニング部材のニップ部に滞留し、クリーニング部材からの圧力によって感光体ドラム1表面に薄膜潤滑剤20となって通過する。
【0056】
潤滑剤塗布装置fにより中間転写体e上に塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほどクリーニング部材により感光体ドラム1表面上に分子膜レベルで薄膜化できる。潤滑剤の皮膜化が進行することで潤滑剤はその潤滑性を十分に発揮できるようになる。逆に潤滑剤が粗い粉状態でクリーニング部材のニップ部に進入してくると感光体ドラム1上に膜化する量以上の余った潤滑剤が残留してしまい、やがてニップ部を粉状体ですり抜けて感光体ドラム1に付着し、帯電手段の汚染の原因となってしまう。さらには、感光体ドラム1表面の潤滑膜ムラが発生し、現像、転写、クリーニングに対して悪影響が発生する。
【0057】
以下に、潤滑剤塗布モード時の動作を説明する。
図7は、潤滑剤塗布モード時のカラー画像形成装置の動作を示した図である。潤滑剤塗布モード時は、中間転写体eが作像時とは逆方向となる図中矢印Y方向に回転することで、潤滑剤塗布装置fによって中間転写体e上に塗布された粉状潤滑剤が作像ユニットdと中間転写体eの接触部に突入する。突入した粉体状潤滑剤の一部は作像ユニットd内の像担持体上に転写し、残った粉体状潤滑剤は作像ユニットcと中間転写体eの接触部に突入する。粉体状潤滑剤は同様にして、作像ユニットbと作像ユニットaにも突入する。この時、中間転写体eに塗布された粉体状潤滑剤が転写ユニット19に転写することで転写ユニットが汚染されたり、潤滑剤塗布装置fに備え付けられたブレード部材14にクリーニングされてしまうことを防止するため、転写ユニット19とブレード部材14は中間転写体eから離間した状態とする。
【0058】
また、潤滑剤塗布モードは中間転写体eを作像時と駆動方向に対して逆方向に駆動させるため、中間転写体e上に付着物が存在すると、付着物がブレード部材14でクリーニングされるよりも前に、状潤滑剤を中間転写体eに塗布するブラシ部材9に突入し、ブラシ部材9は付着物に汚染される。このことにより、潤滑剤の塗布ムラや塗布効率の低下の発生が懸念される。このため、潤滑剤塗布モードは作像前、作像後、作像間といった非作像時に実施する。
【0059】
図8は、潤滑剤塗布モード時に粉体潤滑剤17が感光体ドラム1に転写され、クリーニング装置4であるブレード部材により薄膜化される一連の動作を示した図である。中間転写体e上には潤滑剤塗布装置fから供給された粉状潤滑剤16が存在しており、粉状潤滑剤16が中間転写体eと感光体ドラム1の接触部を通過する際に接触圧によりと感光体ドラム1上に転写される。粉体潤滑剤17の感光体ドラム1上への転写には転写ローラ18へのバイアス印加により発生する電界の作用を用いても構わない。この時、帯電手段2への粉体状潤滑剤の汚染を防止するため、帯電手段2へのバイアス印加を粉体状潤滑剤の帯電極性と同極性のバイアス印加を行う、またはバイアス印加を実施しないことが望ましい。
【0060】
図9は、潤滑剤塗布モード時に感光体ドラム1とクリーニング装置4としてのクリーニング部材が接触している拡大図である。感光体ドラム1は図中矢印Z方向に回転し、感光体ドラム1の粉状潤滑剤16はクリーニング部材と感光体ドラム1で形成されるニップ部に突入する。突入した粉体潤滑剤17はトナーと同じようにクリーニング部材のニップ部に滞留し、クリーニング部材からの圧力によって感光体ドラム1表面に薄膜潤滑剤20となって通過する。
【0061】
潤滑剤塗布装置fにより中間転写体e上に塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほどクリーニング部材により感光体ドラム1表面上に分子膜レベルで薄膜化できる。潤滑剤の皮膜化が進行することで潤滑剤はその潤滑性を十分に発揮できるようになる。
【0062】
本実施例で用い得る固形潤滑剤10としては、少なくとも疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)を含むもので、十分な潤滑性があるものである。
【0063】
疎水性有機化合物(A)の例としては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素類の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂やフッ素系ワックス類、ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂やシリコーン系ワックス類等が挙げられる。また前記のような脂肪酸金属塩、安定した疎水性金属塩が取出される代表的な脂肪酸には、カプロン酸、カプリル酸、エナンチル酸、ペラルゴン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデコイン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノンデサイクリック酸、アラキジン酸、ベヘン酸、スチリンギン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、ペテロセリニン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカニン酸、バリナリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、鯨油酸及びそれらの混合物がある。脂肪酸の代表的な安定した金属塩には、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。
【0064】
無機潤滑剤(C)とは、その物質自身がへき開して潤滑する、または内部滑りを起こすものを指す。この例としては、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト、などがあるがこれに限るものではない。例えば窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が、広い間隔で重なり、層と層とをつなげるのは、弱いファンデルワールス力のみであるため、その層間は容易にへき開し、潤滑する。
【0065】
それに対して無機微粒子(B)とは、物体と物体の間に挟まって、コロの役割はするものの、その物質自身での内部滑りや、へき開は起こさない粒子を指す。この例としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム等があるが、これに限る物ではない。また、これらを複数混合して使用してもよい。
【0066】
ここで図10以下を参照して本発明実施例における潤滑剤塗布モードの制御方法について説明する。
潤滑剤塗布モードの制御を実行する塗布モード制御手段として、例えば、画像形成装置において通常使用されている、画像形成のプロセス制御を行うために設けられた、演算手段42、記憶手段41、制御手段40等で構成される装置にその機能を担わせることができる。或いは、演算手段、記憶手段、制御手段等で構成される専用の装置を設けてもよい。何れにしても、潤滑剤塗布モードは画像形成のプロセス制御を行う装置と情報の入出力を行い連携して動作する。演算手段42は入力された印刷情報(画像面積、印刷速度、記録材サイズ)をもとに画像面積(率)や平均画像面積(率)を算出する算出手段であり、また印刷枚数カウントをするカウントする手段でもあり、記録手段41と情報の入出力をしながら行い、演算手段42の演算結果をもとに制御装置40によって潤滑剤塗布モードの動作である潤滑剤塗布時間や潤滑剤塗布を実施する作像ユニットが制御される。
【0067】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例1>
図11を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積(AY、AM、AC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積(AY、AM、AC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ3)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する(ステップ4)。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ5)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ6)。
【0068】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例2>
図12を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積率(RY、RM、RC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積率(RY、RM、RC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、演算値Z1を取得する(ステップ3)。さらに演算値Z1に記録材サイズによる画像面積を算出するための係数X1を掛け、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ4)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する(ステップ5)。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ6)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ7)。
【0069】
<潤滑剤塗布モードの制御手順の例3>
図13を参照しつつ説明する。印刷命令、または紙間、または印刷終了後(ステップ1)にY、M、Cの各作像ユニットの平均画像面積率(RY、RM、RC)とこれまでの印刷枚数Nを取得する(ステップ2)。取得した平均画像面積率(RY、RM、RC)を逆転写トナー量を算出する式に基づいた演算式に代入し、演算値Z1を取得する(ステップ3)。さらに演算値Z1に記録材サイズによる画像面積を算出するための係数X1を掛け、演算値Z2を取得する(ステップ4)。さらに演算値Z2に印刷速度による逆転写トナー量への寄与を考慮した係数X2を掛け、潤滑剤塗布モード実行判断値Zを取得する(ステップ5)。以上の計算によって求められた判断値Zとこれまでの印刷枚数Nから潤滑剤塗布の有無と塗布時間を判断する(ステップ6)。本実施例においては、「Z>45→20s」、「Z>35→15s」、「A>25→10s」、「Z>15→5s」、「Z>10→3s」、「Z>5→0s」、「N>100→10s」、「N≦100→0s」としている。ZとNの両方で潤滑剤塗布が有りとなった場合は塗布時間が長い方を優先する。上述した条件に従い潤滑剤の塗布を実行した後に(ステップ7)、平均画像面積と印刷枚数を0リセットされる(ステップ8)。
【符号の説明】
【0070】
a、b、c、d:作像ユニット
e:中間転写体
f:潤滑剤塗布装置
P:記録材
1:感光体ドラム
2:帯電装置
3:現像装置
4:クリーニング装置
5:現像ローラ
6:トナー供給ローラ
7:トナー充填部および廃トナー回収保持スペース部
8:トナー搬送部材
9:ブラシ部材
10:固形潤滑剤
11:押圧部材
14:ブレード部材
15:駆動ローラ
16:粉体潤滑剤
18(a、b、c、d):転写ローラ
19:転写ユニット
20:薄膜潤滑剤
40:制御手段
41:記憶手段
42:演算手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特許第4238193号公報
【特許文献2】特開2008-195507号公報
【特許文献3】特開2009-186610号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、
該作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、
該中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置と、
を備える画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置により前記中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を前記作像ユニットの前記像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を制御する潤滑剤塗布モード動作制御手段を備え、
該潤滑剤塗布モード動作制御手段は、前記中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させて制御を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置に備える潤滑材は、少なくとも疎水性有機化合物と、無機微粒子と無機潤滑剤を含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、
前記作像された画像の面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、
前記作像した画像の面積または前記画像面積算出手段で算出した前記画像面積率から、前記作像した画像の面積平均値または前記画像面積算出手段で算出した画像面積率の画像面積率平均値を算出する平均値算出手段と、を備え、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、
画像面積、画像面積率、平均画像面積及び平均画像面積率、
または、
画像面積、画像面積率、平均画像面積と平均画像面積率から算出した演算値、
のいずれかを用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、
作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、
印刷枚数または該印刷枚数から算出された演算値を用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
複数の印刷速度で動作可能とする駆動手段を備え、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷速度を用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いるとともに、さらに、記録材サイズを用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段による前記潤滑剤塗布モードの動作の制御対象を、前記潤滑剤塗布装置が前記像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間とした、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと、
前記中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットとを備え、
前記転写ユニットと前記クリーニングユニットを前記中間転写体から離間させて配置した、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モードを、前記作像ユニットでの作像前、作像後、または非作像時のいずれかで行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
少なくとも像担持体と現像装置と帯電装置とクリーニング装置からなる複数の作像ユニットと、
該作像ユニットで作像されたトナーを転写して画像を記録材へと搬送する中間転写体と、
該中間転写体に配置された潤滑剤塗布装置と、
を備える画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置により前記中間転写体に塗布された粉体状潤滑剤を前記作像ユニットの前記像担持体に突入させる潤滑剤塗布モードの動作を制御する潤滑剤塗布モード動作制御手段を備え、
該潤滑剤塗布モード動作制御手段は、前記中間転写体を作像時の駆動方向に対して逆転駆動させて制御を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置に備える潤滑材は、少なくとも疎水性有機化合物と、無機微粒子と無機潤滑剤を含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
作像された画像の面積を計算する画像面積算出手段と、
前記作像された画像の面積の記録材に対する比率である画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、
前記作像した画像の面積または前記画像面積算出手段で算出した前記画像面積率から、前記作像した画像の面積平均値または前記画像面積算出手段で算出した画像面積率の画像面積率平均値を算出する平均値算出手段と、を備え、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、
画像面積、画像面積率、平均画像面積及び平均画像面積率、
または、
画像面積、画像面積率、平均画像面積と平均画像面積率から算出した演算値、
のいずれかを用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、
作像された画像の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段を備え、前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、
印刷枚数または該印刷枚数から算出された演算値を用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
複数の印刷速度で動作可能とする駆動手段を備え、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、さらに、印刷速度を用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段によって前記潤滑剤塗布モードの動作を制御するための印刷情報として、画像面積率、平均画像面積率を用いるとともに、さらに、記録材サイズを用いる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モード動作制御手段による前記潤滑剤塗布モードの動作の制御対象を、前記潤滑剤塗布装置が前記像担持体に潤滑剤の塗布を行う潤滑剤塗布時間とした、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記中間転写体上のトナー像を記録材へ転写する転写ユニットと、
前記中間転写体上をクリーニングするクリーニングユニットとを備え、
前記転写ユニットと前記クリーニングユニットを前記中間転写体から離間させて配置した、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布モードを、前記作像ユニットでの作像前、作像後、または非作像時のいずれかで行うことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−145575(P2011−145575A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7809(P2010−7809)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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