説明

画像形成装置

【課題】現像剤保持部材上の残留現像剤をクリーニングローラとクリーニングブレードを用いてクリーニングする画像形成装置において、簡単な制御を行うだけで、長期放置後のブレードエッジに堆積したトナーの固着を除き、画像ノイズ発生を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置のスタートシーケンスにおいて、クリーニングブレードエッジ部のトナーが堆積する現像剤保持部材の表面部分を、回転によりクリーニングローラとのニップ部に移動させ、クリーニングローラを回転させて固着トナーを除くよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(像担持体)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリア液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
感光体上の潜像は上記現像剤薄層により現像され、液体現像剤によるトナー像を形成した後、例えば中間転写体に一次転写され、さらに記録媒体に二次転写され、定着器で定着されるといったプロセスを辿る。
【0006】
この過程で、感光体、中間転写体等の現像剤保持部材上には液体現像剤が残留し、次の画像形成等に悪影響を及ぼすことがある。そのため、適宜クリーニング装置が配置されている。
【0007】
クリーニング方法としては、一般にクリーニングブレードのエッジ部を圧接させた掻き取り方式が用いられる。
【0008】
またクリーニングブレードによる残留現像剤の除去をより確実にするため、ブレード部の上流にクリーニング液を付与する手段を設け、トナーを十分湿潤させて除去しやすくしたり、場合によっては発泡体のクリーニングローラを設け、圧接しながら回転させることで現像剤保持部材からトナーを剥離して、トナー付着力を低減したりすることも行われている。
【0009】
クリーニング液としては、通常、キャリア液を用いる場合が多い。
【0010】
トナーがキャリア液中に分散していることで、トナーの凝集や固着が防止され、除去しやすい状態を維持できる。
【0011】
しかしながら、残留現像剤に含まれるキャリア液が高揮発性の場合、クリーニングブレードを用いたクリーニング方式では、画像形成ジョブ間に放置されることにより、ブレードエッジ部に厚く堆積したトナーが現像剤保持部材上に乾燥して固着することが起こる。
【0012】
そのまま画像形成動作に入ると、乾燥固着したトナーがブレードエッジ部を通過し、画像ノイズとなる問題が生ずる。
【0013】
また低揮発性のキャリア液であっても、週末などの長期の装置停止期間の明けには、やはり乾燥のため、ブレードエッジ部に対向する現像剤保持部材上に固着トナーが生ずる。
【0014】
このような課題に対して、特許文献1には、現像剤保持部材としての中間転写体上の固着トナーを除去するために、ブレードを離間させ、中間転写体を通常より緩やかに回転させ、感光体からキャリア液を供給し、固着トナーの凝集を緩めてクリーニングする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−17585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のように、クリーニングブレードによるクリーニング方式では、長時間放置されることにより、ブレードエッジ部に厚く堆積したトナーが現像剤保持部材上に乾燥して固着することが起こる。
【0017】
対策として、特許文献1に記載のような方法も提案された。しかしながらこのような場合、固着トナーと感光体が接触することにより、感光体に固着トナーが付着し、感光体上でクリーニングができず、感光体を傷つけたり、画像ノイズになったりすることが起こり得る。
【0018】
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0019】
本発明の目的は、現像剤保持部材上の残留現像剤をクリーニングローラとクリーニングブレードを用いてクリーニングする画像形成装置において、簡単な制御を行うだけで、長期放置後のブレードエッジに堆積したトナーの固着を除き、画像ノイズ発生を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0021】
1.トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置において、
前記湿式現像剤の薄層を担持する現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材に残留した前記湿式現像剤を除去するために、該現像剤保持部材に対向して配置したクリーニングローラとクリーニングブレードと、を有し、
電源投入時またはスリープモードからの復帰時のスタートシーケンスにおいて、
前記クリーニングブレードのエッジ部が当接していた前記現像剤保持部材の表面部分を、当接する前記クリーニングローラとのニップ部に移動させ、該クリーニングローラを回転させるよう制御する制御手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0022】
2.前記スタートシーケンスにおいて作動させる前記クリーニングローラ以外に、
画像形成動作中に作動させる第2のクリーニングローラを有する
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0023】
3.前記スタートシーケンスにおける前記クリーニングローラの作動時に、該クリーニングローラにクリーニング液を付与するクリーニング液付与手段を有する
ことを特徴とする前記1または2に記載の画像形成装置。
【0024】
4.前記クリーニングローラは、
前記スタートシーケンスにおける作動時に、回転するとともに揺動する
ことを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、現像剤保持部材上の残留現像剤をクリーニングローラとクリーニングブレードを用いてクリーニングする画像形成装置のスタートシーケンスにおいて、クリーニングブレードエッジ部のトナーが堆積する現像剤保持部材の表面部分を、クリーニングローラとのニップ部に移動させ、クリーニングローラを回転させて固着トナーを除くよう制御する。
【0026】
これにより、簡単な制御を行うだけで、長期放置後のブレードエッジに堆積したトナーの固着を除き、画像ノイズ発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】湿式の画像形成装置の概略構成例を示す概略構成図である。
【図2】スタートシーケンス制御の制御関係の例を示すブロック図である。
【図3】スタートシーケンス制御の制御手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態を説明する。
【0029】
(画像形成装置の構成と動作)
図1は、本実施形態に係る湿式の画像形成装置の概略構成例を示す概略構成図である。まず図1を用いて、本実施形態に係る湿式の画像形成装置の概略構成と画像形成動作の例を説明する。
【0030】
図1において、ドラム状の感光体(像担持体)1の周囲には、感光体帯電器2、露光装置3、現像装置4、スクイズローラ46、中間転写体5、感光体クリーニングローラ82、感光体クリーニングブレード81が設置されている。
【0031】
中間転写体5の周囲には、転写ローラ6、中間転写体クリーニングローラ92、中間転写体クリーニングブレード91が設けられている。
【0032】
現像装置4は、液体現像装置であり、現像剤槽42に貯留された液体現像剤が供給され、現像ローラ41上に現像剤薄層を形成している。現像ローラ41は、対向する感光体1表面の潜像を現像する。また現像ローラ41に対向して現像クリーニング装置45が配置されている。
【0033】
上記のように、現像剤保持部材(感光体、中間転写体等)に残留した液体現像剤のクリーニング装置としてのクリーニングブレードとクリーニングローラが、それぞれの現像剤保持部材に対向するよう配置されている。またそれぞれのクリーニングローラには、クリーニング液付与手段が設けられている。クリーニング液付与手段は、必要に応じて省略してもよい。
【0034】
なおこれらのクリーニングに関わる装置の役割等については後述するが、本実施形態においては、装置の電源投入時、あるいはスリープモードからの復帰時に制御手段100によってスタートシーケンス制御が行われ、エッジ部の堆積トナーをクリーニングする。
【0035】
制御手段100によるスタートシーケンス制御の詳細は、後述する。
【0036】
次に、画像形成動作の例を説明する。
【0037】
感光体1の表面を感光体帯電器2により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置3により画像情報の露光を行い、感光体1の表面に静電潜像を形成する。
【0038】
次いで、感光体1の静電潜像は、液体現像装置4の現像ローラ41によりトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体1の表面にトナー像が形成される。この時、トナーだけでなくキャリア液も含む液体現像剤が感光体1の表面に付着する。余分なキャリア液はスクイズローラ46で除去される。
【0039】
次に感光体1上のトナー像は、中間転写体5に所定の電圧が印加されることよって、中間転写体5に一次転写される。中間転写体5にはトナーと逆極性の電圧が印加され、感光体1との電位差は300V〜3kVである。
【0040】
中間転写体5に一次転写された後、感光体1上に残存した液体現像剤は、感光体クリーニングローラ82、及び感光体クリーニングブレード81により除去され、感光体1は再び上記潜像形成に供される。
【0041】
中間転写体5に転写された液体現像剤(トナー像)は、転写ローラ6で記録媒体7に二次転写される。転写ローラ6にはトナーと逆極性の電圧が印加される。
【0042】
記録媒体7上のトナー像は、定着器12の熱ローラにより定着される。
【0043】
記録媒体7に転写された後、中間転写体5上に残存した液体現像剤は、中間転写体クリーニングローラ92、及び中間転写体クリーニングブレード91により除去される。
【0044】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤について説明する。液体現像剤は、溶媒であるキャリア液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0045】
キャリア液としては、絶縁性の溶媒が用いられる。一般に電子写真用現像液に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができるが、紙への残留防止を考慮して揮発性の液体が好ましい。揮発性液体としては、例えば、シリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、鉱物油等をあげることができる。
【0046】
トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。一般に電子写真用現像液に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。
【0047】
樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。トナー用結着樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を複数、混合して用いてもよい。
【0048】
また、トナーの着色に用いられる顔料及び染料も一般に市販されているものを用いることができる。例えば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0049】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0050】
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調製することができる。例えば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ロールミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体を例えばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末を例えば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。
【0051】
続いて、得られたトナーをキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。
【0052】
この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0053】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜40%程度が適当である。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。40%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0054】
(現像剤保持部材の残留現像剤のクリーニング)
上述したように、現像剤保持部材(感光体、中間転写体等)に残留した液体現像剤のクリーニング装置として、クリーニングブレードとクリーニングローラが、それぞれの現像剤保持部材に対向するよう配置されている。またそれぞれのクリーニングローラには、クリーニング液付与手段が設けられている。
【0055】
これらのクリーニングに関わる装置の役割について説明する。またそこにおける課題と、それを解決するためのスタートシーケンスにおける制御について説明する。
【0056】
なお、以下は感光体のクリーニングを例にして説明するが、中間転写体のクリーニングについても同様であり、説明は省略する。
【0057】
<画像形成時の残留現像剤のクリーニング>
既に述べたように、画像形成動作において、感光体1上に現像されたトナー像(液体現像剤層)は、中間転写体5に一次転写されるが、一部感光体1上に残留する。残存した液体現像剤は、感光体クリーニングローラ82、及び感光体クリーニングブレード81により除去され、感光体1は再び上記潜像形成に供される。
【0058】
転写残りのトナー像(液体現像剤層)は、まずクリーニングローラ82により感光体1に対するトナー付着力が弱められる。クリーニングローラ82を感光体1上の残留現像剤層に圧接し、感光体1の進行方向と逆方向に回転させることでトナー像(液体現像剤層)の付着力は弱められる。
【0059】
また、クリーニングローラ82には、トナー像転写後の感光体1の電位に近い電圧を印加して、いかなる極性のトナーでも引き付けたり、押し離したりしない設定が望ましい。
【0060】
クリーニングローラに直接的にクリーニング液を供給するクリーニング液付与手段83を設けることも望ましい。
【0061】
クリーニング液付与手段83としては、クリーニングローラ82の長手方向に数箇所、もしくはそれ以上のクリーニング液供給ノズルを含む形態で、ポンプによってクリーニング液をクリーニングローラ82上に供給する方式などが考えられるが、それ以外の形態であってもよい。
【0062】
クリーニング液は、感光体1から残留現像剤を洗い流したり、凝集したトナーを湿潤したりしてトナーの凝集力を弱め、クリーニングローラ82やブレード81で除去しやすくする。クリーニング液は、通常キャリア液がそのまま用いられる。
【0063】
最終的に、最下流のウレタンゴム製の、感光体1に圧接させたクリーニングブレード81のエッジ部でクリーニングローラ82から排出された現像剤を回収する。
【0064】
このため、クリーニングブレード81のエッジ部には、トナーが堆積する。堆積したトナーは、自重や、もしくは、堆積トナーを崩す手段を設けることによって、クリーニングブレード81のエッジ部から廃トナー貯留部(不図示)に移っていくが、ある程度のトナーは常にブレードエッジ部に堆積することになる。
【0065】
<長期放置時の課題>
画像形成のジョブ間や長期間の放置後においては、上記ブレードエッジ部の堆積トナーが問題となってくる。すなわち、放置期間に応じて、堆積トナーがブレードエッジ部において乾燥し、感光体1表面に強固に固着する。
【0066】
感光体1表面にトナーが固着したまま画像形成動作に入ると、乾燥固着したトナーがブレードエッジ部を通過し、画像ノイズとなる問題が生ずる。
【0067】
(スタートシーケンスの制御)
このため本実施形態では、長期放置後としての装置の電源投入時、もしくはスリープモードからの復帰時におけるスタートシーケンスとして、ブレードエッジ部の固着トナーを除去するための制御を行う制御手段100を有している。本実施形態におけるスタートシーケンスの制御について説明する。
【0068】
図2は、制御手段100によるスタートシーケンス制御の制御関係の例を示すブロック図である。図3は、制御手段100によるスタートシーケンス制御の制御手順例を示すフローチャートである。
【0069】
図2及び図3を用いて、本実施形態におけるスタートシーケンスの制御について、以下に説明する。
【0070】
<現像剤保持部材が感光体の場合>
装置の電源投入時、またはスリープモードからの復帰時に、以下のスタートシーケンス制御が開始される。
【0071】
図2の制御手段100が、関係する各動作部に対して、図3のフローにおける各ステップを実行制御する。
【0072】
ステップS1:必要に応じてクリーニングブレード81を感光体1表面から離間させる。後述するように、感光体1の回転方向によっては必須のステップではない。
【0073】
ステップS2:必要に応じてクリーニング液付与手段82により、クリーニングローラ82にクリーニング液を供給する。
【0074】
ステップS3:感光体1を回転させ、ブレードエッジ部の固着トナーをクリーニングローラ82の当接部まで移動させる。
【0075】
ステップS4:感光体1を停止して、クリーニングローラ82を所定時間回転させ、固着トナーを剥離する。
【0076】
以上でスタートシーケンス制御は終了する。
【0077】
以後、通常の画像形成動作に移る。剥離した固着トナーは、通常通り、クリーニングブレード81で除去される。
【0078】
上記のように、ブレードエッジ部の固着トナーを、感光体1を動かすことにより、クリーニングローラ82と感光体1のニップ部に移動させる。
【0079】
この時、通常の作像時と同じ方向に感光体1を回転させてもよいが、固着トナーによって、クリーニングブレード81のエッジが傷つく恐れがあるので、逆回転させるか、ブレードを退避させた後、移動させるのが望ましい。
【0080】
<現像剤保持部材が中間転写体の場合>
現像剤保持部材が感光体1ではなく、中間転写体5の場合も同様のことが言える。中間転写体5を通常と同じ方向に回転させた場合、感光体1とのニップ部を固着トナーが通過することになるので、感光体1に固着トナーが付着し、感光体1でクリーニングできず、画像ノイズになったり、感光体1を傷つけたりするという不具合が起こる。これを防止するため、中間転写体5を逆回転させるか、クリーニングブレード91と感光体1を離間させるのが望ましい。
【0081】
(クリーニングローラによる固着トナーの剥離)
上記移動により、クリーニングローラ82とのニップ部に到達した固着トナーに対して、クリーニングローラ82を回転、及び好ましくは遥動動作も加えてトナーの剥離を実行する。
【0082】
この時、感光体1は、停止していてもよく、固着トナーの堆積幅を考慮して、ゆっくり動かしてもよい。また、この時、クリーニング液をクリーニングローラ82に付与するとトナー剥離の効果は大きくなる。
【0083】
また、クリーニングローラ82は、セル径50μm〜800μm程度のものであれば、使用可能である。
【0084】
また、永久歪みを考慮して、クリーニングローラ82は作像動作終了後に、感光体1から退避しておいてもよい。この場合、ブレードエッジの堆積トナーを清掃する場合に、感光体1に接触させる動作が必要となる。
【0085】
また、通常の作像時に使用する第2のクリーニングローラを、装置の電源投入時、もしくはスリープモードからの復帰時に動作させるクリーニングローラ以外に有していてもよい。この二種類のローラは、クリーニングブレード81のエッジ部を考慮して、ローラ径を調節したり、硬度やセル径を変化させたりしてもよい。また、スタートシーケンスか通常の作像時かのモードによって、互いに退避しておくことが望ましい。
【実施例】
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置(図1参照)を用いて、スタートシーケンスの制御を実施して、その効果を確認した。
【0087】
感光体を現像剤保持部材として、感光体クリーニング装置に関して制御を実行した。
【0088】
<実験手順>
(1)ベタ画像を1000枚通過させて、クリーニングブレードのエッジにトナーを充分堆積させる。
【0089】
(2)装置停止動作を行い、大型の休日などを想定して10日間の放置後スタートシーケンス制御を行って(比較例では行わず)、画像ノイズの発生を観察した。
【0090】
<制御条件>
以下の制御条件で、上記実験手順を実施した。
比較例1:電源投入時のブレードエッジのクリーニング(スタートシーケンス)なし。
実施例1:電源投入時のブレードエッジのクリーニング(スタートシーケンス)あり、
感光体は停止してクリーニング、
クリーニングローラのセル径は100μm、ローラ線速は600mm/s、
クリーニング液付与手段によるクリーニング液付与量は30ml/min。
実施例2:電源投入時のブレードエッジのクリーニング(スタートシーケンス)あり、
感光体は停止してクリーニング、
クリーニングローラのセル径は100μm、ローラ線速は600mm/s、
クリーニング液付与手段によるクリーニング液付与量は30ml/min、
ローラ遥動幅は1cm、ローラ遥動周期は370回。
【0091】
<実験結果>
クリーニングローラ回転時間を3通りに変えて、実験した結果を表1に示す。
【0092】
結果としては、画像のイズの発生で評価した。
【0093】
画像ノイズ発生なしを特に良好(○)、微かに発生とも見られるが許容範囲内を良好(△)、画像ノイズ発生ありを不良(×)と目視判定した。
【0094】
実施例は何れも良好または特に良好であった。比較例は画像ノイズが発生し、不良であった。
【0095】
【表1】

【0096】
上述してきたように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、現像剤保持部材上の残留現像剤をクリーニングローラとクリーニングブレードを用いてクリーニングする画像形成装置のスタートシーケンスにおいて、クリーニングブレードエッジ部のトナーが堆積する現像剤保持部材の表面部分を、回転によりクリーニングローラとのニップ部に移動させ、クリーニングローラを回転させて固着トナーを除くよう制御する。
【0097】
これにより、簡単な制御を行うだけで、長期放置後のブレードエッジに堆積したトナーの固着を除き、画像ノイズ発生を抑制することができる。
【0098】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
1 感光体
2 感光体帯電器
3 露光装置
4 現像装置
5 中間転写体
6 転写ローラ
7 記録媒体
12 定着器
41 現像ローラ
42 現像剤槽
45 現像クリーニング装置
46 スクイズローラ
81 感光体クリーニングブレード
82 感光体クリーニングローラ
83 感光体クリーニング液付与手段
91 中間転写体クリーニングブレード
92 中間転写体クリーニングローラ
93 中間転写体クリーニング液付与手段
100 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーをキャリア液に分散させた湿式現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する画像形成装置において、
前記湿式現像剤の薄層を担持する現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材に残留した前記湿式現像剤を除去するために、該現像剤保持部材に対向して配置したクリーニングローラとクリーニングブレードと、を有し、
電源投入時またはスリープモードからの復帰時のスタートシーケンスにおいて、
前記クリーニングブレードのエッジ部が当接していた前記現像剤保持部材の表面部分を、当接する前記クリーニングローラとのニップ部に移動させ、該クリーニングローラを回転させるよう制御する制御手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スタートシーケンスにおいて作動させる前記クリーニングローラ以外に、
画像形成動作中に作動させる第2のクリーニングローラを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記スタートシーケンスにおける前記クリーニングローラの作動時に、該クリーニングローラにクリーニング液を付与するクリーニング液付与手段を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングローラは、
前記スタートシーケンスにおける作動時に、回転するとともに揺動する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−209374(P2011−209374A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74656(P2010−74656)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】