説明

画像形成装置

【課題】一般使用者が印刷や複写をする際には、その使用目的に合わせてコントロールパネル中の設定用のキー操作を行い、所望の印刷等を行なう。その時、思わぬ操作ミスなどによって、通常モード以外の特殊モードに設定を間違える可能性が多々あり、それによって通常の機能が果たせなく印刷等ができなくなる問題があった。
【解決手段】画像形成手段を動作設定させる通常モードに設定するための通常モード設定手段と、特定者用の特殊モードに設定するための特殊モード設定手段とを備えた画像形成装置において、本体内に配置されて第1情報を出力する発信部と、前記第1情報の受信が可能な第1位置と前記第1情報の受信が不可能な第2位置に位置決めされる受信部と、前記受信部が第2位置で特定情報を受けると前記特殊モードの入力を有効とするモード遷移ロック手段とを含む画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の保守要員または設計者にその利用が限定される特殊モードを動作機能に持つ画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、プリンタ、ファクシミリ、MFPまたは複写機などの画像形成装置には、動作モードとして印刷そのものを行う通常運用機能モードと、その他に、保守要員用のメンテナンスモードや設計者用の自己診断モードといった特殊モードを備えたものが一般化されている。
【0003】
この特殊モードは、通常モードでは不可能な様々な動作条件が設定されている。例えば、装置が故障したり或いは整備する際に適用して、保守要員がその場で装置を元の正常な状態に復帰できるように設定さている。
【0004】
このような特殊モードにおいては、誤った動作条件の設定が行われた場合、故障や事故等の不利益が生じる可能性があるため、その防止策として、下記特許文献1に開示されているように、従来では装置の状況を診断するような特殊モードへの遷移の注意を促す表示をしたり、或いは、保守専用などの特殊キーの操作によって一般的通常操作とは異なる操作ができるようにしてある。すなわち、装置本体に備えられたパネルスイッチ内に診断モード起動キーを設け、必要に応じ、保守要員がこれを操作して当該装置を特殊モードへ遷移させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−16455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように、たとえ特殊キーを装置中に設けたとしても、その特殊キー自体が一般利用者の手の届く操作範囲にあれば、通常モード設定時の思わぬ誤操作や不注意によって、特殊キーに触れてしまう可能性がある。そのような不測の事態が生じると通常モードから特殊モードに移行してしまい、その結果、装置が停止したり、或いは正常な機能が果たせなくなってしまうといった運用上の問題があった。
【0007】
(発明の目的)
そこで本発明の目的は、上記の如き問題に鑑みなされたもので、一般利用者の間違った操作や不注意による通常の動作モードから特殊モードへの遷移といった不具合を回避することができ、運用上確実な保安が出来る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、下記の基本構成を具備する。
(構成)
本発明は、画像形成手段を動作設定させる通常モードに設定するための通常モード設定手段と、特定者用の特殊モードに設定するための特殊モード設定手段とを備えた画像形成装置において、本体内に配置されて第1情報を出力する発信部と、前記第1情報の受信が可能な第1位置と前記第1情報の受信が不可能な第2位置に位置決めされる受信部と、前記受信部が第2位置で特定情報を受けると前記特殊モードの入力を有効とするモード遷移ロック手段とを含む画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように構成することによって、一般利用者が運用モード操作中に間違って特殊モード用のキーを操作したとしても特殊モードへ遷移せず、装置が正常に機能しなくなる危険性を回避することができる。かつ、保守要員等の操作者用の外部発信部との通信によるロック解除ができ、従って、運用上、より確実な保安ができるといった利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1におけるプリンタ要部の断面図である。
【図2】同実施例1でプリンタのトップカバーを開けた状態を示す要部の断面図である。
【図3】同実施例1のブロック図である。
【図4】同実施例1の動作説明を示すフローチャートである。
【図5】本発明に実施例2におけるプリンタ要部の断面図である。
【図6】同実施例2のプリンタでトップカバーを開けた状態を示す要部の断面図である。
【図7】同実施例2の動作説明を示すフローチャート(その1)である。
【図8】同実施例2の動作説明を示すフローチャート(その2)である。
【図9】本発明の実施例3に係るプリンタ要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1及び図2は本発明の実施例1に係る画像形成装置を示し、プリンタに適用させた場合の構成例を表している。
【0013】
図1において、プリンタ1はプリンタ本体2と、このプリンタ本体2の上部一端で開閉自在に支持されるトップカバー3を有している。
【0014】
プリンタ本体2には、画像形成手段であるトナーカートリッジ4、イメージドラムユニット5及び転写ベルト6等が備えられている。これ等のトナーカートリッジ4、イメージドラムユニット5及び転写ベルト6は、図3に示すようなプリンタ本体各部と協働して所定の画像形成を行うように構成されている。
【0015】
トナーカートリッジ4は、例えばカラー用、黒用として4個のイメージドラムユニット5に夫々装着され配設されており、夫々のカートリッジ上部には、ユニットメモリ7が取り付けられている。なお、ここでのユニットメモリ7は、機器製造者(メーカ)がそのプリンタ1に対して、使用を認めている純正品トナーや推奨品トナーか否かを判断するためにその認識情報を記憶させたRFIDタグを利用している。ユニットメモリ7の所定の記憶領域7aにはその製造元或いは販売先やサービス業者といった仕向け情報が格納されている。
【0016】
そして、プリンタ本体2には、図3のブロック図に示すように、UI(UserI/F)部8、制御手段であるコントローラ部9、プリントエンジン部10及び本体メモリ11が備えられている。
【0017】
UI部8は、各種情報の表示及びユーザからの入力操作の受け付けを行う表示・入力モジュールであり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン、タッチ式等のコントロールパネル12である。
【0018】
UI部8では、一般使用者が印刷設定する場合の通常動作モードや管理者のメンテナンス用の特殊モードがコントロールパネル12を操作することによって設定又は設定変更ができる。
【0019】
コントローラ部9は、CPU13、ROM14、RAM15等が回路基板上に搭載された構成を有し、CPU13にはUI部8、本体メモリ11、プリントエンジン部10及びRFIDリーダライタ部(以下、単にリーダライタ部という)16が接続されている。このコントローラ部9によって、プリンタ全体の動作を制御している。通常の動作モードや特殊モードは、ROM14等の記憶媒体に格納されたプログラムにしたがってCPU13により実行される。
【0020】
ここでの通常の動作モードとは一般利用者の目的に応じた印刷が可能に設定されたプログラムに基づく制御モードであり、また、特殊モードとは保守要員等の管理者が機器メンテナンス用に設定されたプログラムに基づく制御モードで何れもROM14に格納されている。
【0021】
また、このコントローラ部9では、ユニットメモリ7とリーダライタ部16との通信を行う第1の通信モード(通常モード時)と、特定の操作者が保持する管理者用外部ユニットメモリ17(図2参照)とリーダライタ部16との通信を行う第2の通信モード(特殊モード時)が下記の通り設定されている。
【0022】
第1の通信モードは例えば0.33[W]の送信電力とし、第2の通信モードは1[W]の送信電力でリーダライタ部16が信号を送信できるように設定し、第2の通信モードは第1の通信モードに比べて約3倍の電力差を持たせてある。また、リーダライタ部16がユニットメモリ7及び外部ユニットメモリ17を検出している時間は2〜3[秒]であり、通信間隔は300[msec]で動作する。なお、各モードの送信電力は本実施例の設計的範囲内の変更によれば任意の値に変えることは可能である。
【0023】
プリントエンジン部10は、電子写真プロセスに従って、記録媒体に対し画像を印刷するために、LEDヘッド18、定着器、各種モータなどの制御手段やイメージドラムユニット5、転写ベルト6にバイアスを印加したり電力を供給する電源回路などによって構成されている。
【0024】
本体メモリ11は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリによって構成された記憶媒体である。この本体メモリ11内の所定の記憶領域11aに製造元ロック動作プログラム或いは仕向け情報ロック動作プログラムが格納されている。外部ユニットメモリ17の所定の記憶領域から読み出した製造元或いは販売先やサービス業者等が判断できるような仕向け情報と各ロック動作プログラムとの照合をCPU13にて行い、一致しない場合は、ロックされて通常モードだけの動作、一致した場合は特殊モードへの動作が可能(一致だけではロック解除まで至らない)となるように設定されている。
【0025】
外部ユニットメモリ17は、例えば、保守管理者等が身体に取付ける社員証などに使用されるICカードであり、そのカード内に使用者が特定できる特殊モード情報が格納されている。この外部ユニットメモリ17を携帯した者がプリンタ1に近付きトップカバー3を開いた時にリーダライタ部16で受信した仕向け情報をCPU13が認識する。このとき、もし保守管理者がメンテナンスのためとして、トップカバー3を閉じてコントロールパネル12内の特殊モード移行のためのキー操作をすれば、この時だけロック解除されて特殊モードへの移行が可能になる。
【0026】
トップカバー3は、プリンタ本体2の上部に取付けられて、メンテナンス時に一方に開閉し本体内部を確認できる構造になっている。このカバー内にはユニットメモリ7との間で電気的に情報の読取が可能な通信手段である複数のリーダライタ部16が備えられている。
【0027】
各リーダライタ部16は各ユニットメモリ7の数やその位置に相対応させたカプラであり、図1に示すようにトップカバー3を閉めた状態の時、ユニットメモリ7と接近しその間の通信が可能となり読取が出来る。また、トップカバー3を閉めた状態で外部ユニットメモリ17を携帯した者がコントロールパネル12の特殊モードキーを操作し、既にロック解除キーが操作されていれば特殊モードになる。
【0028】
一方、図2に示すように、トップカバー3を開いている時は、ユニットメモリ7との間が離れることによって、その間の通信が遮断し各ユニットメモリ7の読取が不可能になり、通常モード、特殊モードの何れの制御モードにも至らないように設定されている。
【0029】
次に、上記のように構成される本実施例の動作手順について、図4のフローチャートを基に説明する。
【0030】
一般の使用者がプリンタ1で通常の印刷をする場合、印刷用紙のサイズや枚数といった印刷目的に見合ったモード設定が成される。このようなモード設定を通常モードとしてコントロールパネル12のキー操作によって指定した印刷ができる(S108)。その際には、トップカバー3は閉めた状態で使用する。
【0031】
この時、もしコントロールパネル12中の特殊モードキーを誤って押してもコントローラ部9中の遷移ロック設定によって特殊モードにはならない。即ち、トップカバー3が閉じた状態では、ユニットメモリ7の送信部から仕向け情報が出力され、リーダライタ部16がこの仕向け情報を受信して該情報をCPU13に出力する。CPU13は仕向け情報を受け、かつコントロールパネル12の特殊モードキーが押下されると、コントロールパネル12の特殊モードキーを常時無効と判定し、特殊モードへの遷移を停止し、遷移ロック状態を保持する。
【0032】
しかし、例えばプリンタ1に何等かのトラブルが生じ、紙詰り等の不測の事態となる場合がある。そうなると、使用者は詰まった用紙を取り出そうとしたり或いは状況を確かめる為にトップカバー3を開ける。このような状況でトップカバー3が開けられた場合(S100 YES)には、リーダライタ部16とユニットメモリ7との距離が開くことになり、その間の通信は遮断される。これによって、CPU13はリーダライタ部16に受信を一担停止(S101)指令を出す(ロック解除キーの操作が有るか否かを見る間)。
【0033】
次いで、CPU13では、特殊モードに遷移する操作を有効とするロック解除キーを押して解除情報を入力する操作がコントロールパネル12から実行されたか否かの判断(S102)が行われる。解除操作が行われた場合(S102 YES)、CPU13によってカバーオープンにより中断されたリーダライタ部16への受信動作を起動する(S103)指令が成される。
【0034】
一方、ロック解除操作が行われなかった場合(S102 NO)、CPU13はカバークローズの判断処理(S106)に移行する。
【0035】
また、カバーオープンの状態で、コントロールパネル12からロック解除のキー操作があると、リーダライタ部16の受信動作起動後、外部ユニットメモリ17からデータの受信ができるか否かの判断(S104)がCPU13によって成され、データの受信ができていない場合(S104 NO)例えば外部ユニットメモリを持っていない使用者や持っていても離れた場所にいた場合はタイムアウトとCPU13が判定(S105)する。タイムアウトしていない場合(S105 NO)は引き続きCPU13は受信データの確認処理(S104)を繰り返す。また、CPU13がタイムアウトを認識した場合(S105 YES)は、管理者用の外部ユニットメモリ17を保有していないユーザの操作と見なし、CPU13は、カバークローズの状態か否かの判定(S106)に移行する。
【0036】
そして、もし外部ユニットメモリ17からリーダライタ部16を介してそのデータを受信した場合(S104 YES)、CPU13はその読み込んだ情報の内、仕向け情報が保守要員仕向けであるか否かを判断する(S109)。
【0037】
ここで、本体メモリ内に登録されている保守要員用仕向け情報とリーダライタ部16が認識した情報とが一致した場合(S109 YES)は特殊モードに遷移する操作を有効としてCPU13はロックを解除する(S110)。不一致の場合(S109 NO)には不正な外部ユニットメモリ17とCPU13が見なし、CPU13はカバークローズの状態か否かの判定(S106)に移行する。
【0038】
トップカバー3が閉じられている時や操作後閉じられた場合(S106 YES)、CPU13では特殊モードへの移行操作がコントロールパネル12から実施されたか否かの判断(S107)が行われ、操作が実施された場合(S107 YES)には、CPU13はロック解除動作判定(S111)に移行する。
【0039】
そして、操作が行われていない場合(S107 NO)は、通常動作モードに移行し、通常の印刷ができる。この時、CPU13ではロック解除動作判定(S111)と、トップカバー3が閉じられる前にロック解除が実施されたか否かの判断を行い、ロックが解除されていた場合(S111 YES)のみ、特殊モード(S112)に移行しメンテナンス等が実施できる。
【0040】
なお、ロック解除は一時的に有効となるようにCPU13内に設定されており、例えば、電源OFFで無効化されたり、或いはトップカバー3を開けば無効化するようにする。このように設定することによって、ロック解除忘れを防止することができる。
【0041】
CPU13でのロック解除動作判定(S111)において、ロック解除されていなかったと判定した場合、(S111 NO)は特殊モード移行操作は無効とし、通常モード動作(S108)に移行する。この状態で紙詰りが直れば、通常の印刷が可能である。
【0042】
また、トップカバー3が開いたままの状態の場合(S106 NO)、CPU13はロック解除方法を読み出すための操作が行われる否かの判断にフィードバックし、何れのモードにもならない設定としている。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、実施例1と同様、本発明の画像形成装置をプリンタに適用させた場合について説明する。
【0044】
図5及び図6は実施例2のプリンタの構成例であり、図5はトップカバー22が閉じた状態を示し、図6は開いた状態を示している。なお、図中実施例1と同じ構成部品等については同一符号を付してある。
【0045】
図5において、プリンタ20はプリンタ本体21と、このプリンタ本体21の上部一端で開閉自在に支持されるトップカバー22を有している。
【0046】
プリンタ本体21には、画像形成手段であるトナーカートリッジ23、イメージドラムユニット24及び転写ベルト25等が備えられている。これ等のトナーカートリッジ23、イメージドラムユニット24及び転写ベルト25は、実施例1同様、図3に示すようなその他プリンタ本体各部と協働して所定の画像形成が行なえるように構成されている。
【0047】
トナーカートリッジ23は、カラー用、黒用として4個のイメージドラムユニット24に夫々装着され配設されており、夫々のカートリッジ上部には、ユニットメモリ26が取り付けられている。なお、ユニットメモリ26は、機器製造者(メーカ)がそのプリンタに対して、使用を認めている純正品トナーや推奨品トナーか否かを判断するためにその認識情報を記憶させたRFIDタグを利用している。ユニットメモリ7の所定の記憶領域7aにはその製造元或いは販売先やサービス業者といった仕向け情報が格納されている。
【0048】
そして、プリンタ本体21には、実施例1同様、図3のブロック図に示すように、UI部8、コントローラ部9、プリントエンジン部10及び本体メモリ11が備えられている。
【0049】
UI部8は、各種情報の表示及びユーザからの入力操作の受け付けを行う通信モジュールであり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン、タッチ式等のコントロールパネル12である。このUI部8では、一般使用者が印刷設定する場合の通常動作モードや管理者のメンテナンス用或いは設計者用の自己診断モードの特殊モードがコントロールパネル12を操作することによって設定又は設定変更ができる。
【0050】
コントローラ部9は、CPU13、ROM14、RAM15等が回路基板上に搭載され、CPU13にはUI部8、本体メモリ11、プリントエンジン部10及びRFIDリーダライタ部(以下、単にリーダライタ部という)16が接続されている。このコントローラ部9によって、プリンタ全体の動作を制御している。
【0051】
通常の動作モードや特殊モードは、ROM14等の記憶媒体に格納されたプログラムにしたがってCPU13により実行される。
【0052】
なお、ここでの通常の動作モードとは一般利用者の目的に応じた印刷が可能に設定されたプログラムに基づく制御モードであり、また、特殊モードとは保守要員等の管理者が機器メンテナンス用に設定されたプログラムに基づく制御モード及びプリンタ設計者用のプログラムに基づく制御モードで、何れも本体メモリ11内のROMに格納されている。なお特殊モードは、常時はロックされた状態にてROM内に設定されている。
【0053】
このコントローラ部9では、ユニットメモリ26とリーダライタ部27との通信を行う通常動作モードと、特定の操作者、ここでは保守要員や当該プリンタの設計者が保持する管理者用外部ユニットメモリ28とリーダライタ部27との通信を行う特殊モードが設定されている。
【0054】
プリントエンジン部10は、電子写真プロセスに従って、記録媒体に対し画像を印刷するために、定着器、各種モータなどの制御手段やイメージドラムユニット24、転写ベルト25にバイアスを印加したり電力を供給する電源回路などによって構成されている。
【0055】
本体メモリ11は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリによって構成された記憶媒体である。この本体メモリ内の所定の記憶領域11aに製造元ロック動作プログラム或いは仕向け情報ロック動作プログラムが格納されている。外部ユニットメモリ28の所定の記憶領域から読み出した製造元或いは販売先やサービス業者等が判断できるような仕向け情報と各ロック動作プログラムとの照合をCPU13にて行い、一致しない場合は、ロックされて通常モードだけの動作、一致した場合は特殊モードへの動作が可能(一致だけではロック解除まで至らない)となるように設定されている。
【0056】
外部ユニットメモリ28は、例えば、保守管理者や或いは設計者等が身体に取付ける社員証などに使用されるICカードであり、そのカード内に使用者が特定できる特殊モード情報が格納されている。この外部ユニットメモリ28を携帯した者がプリンタ20に近付きトップカバー22を開いた時にリーダライタ部27で受信しCPU13が認識する。このとき保守管理者がメンテナンスのため、設計者が修理や自己診断の際にコントロールパネル12内のキー操作をすればその時だけロック解除されて特殊モードへの移行が可能である。
【0057】
トップカバー22は、プリンタ本体22の上部に取付けられて、修理やメンテナンス時に一方に開閉し本体内部を確認できる構造になっている。このカバー内にはプリンタ本体20内のユニットメモリ26との間で所定の電気的な情報の読取が可能な通信手段であるリーダライタ部27がその内部に備えられている。
【0058】
各リーダライタ部27は各ユニットメモリ26の数やその位置に相対応させ、図5に示すようにトップカバー22を閉めた状態の時、夫々のユニットメモリ26と接近し通信が可能となる。また、図6に示すように、トップカバー22を開いた時は、ユニットメモリ26との間が離れるため両者の通信は遮断し、各ユニットメモリ26の読取が不可能になり、通常モード、特殊モードの何れの制御モードにも至らない。
【0059】
この各リーダライタ部27は、特定の操作者、例えば、保守要員や設計者だけが保持する管理者用外部ユニットメモリ28を近づけた時、管理者が特定できるように、夫々専用に設定を変えて2種類に分けて設けてある。これによって、リーダライタ部27は、メンテナンスに必要な特殊操作だけが許される保守要員用仕向け情報又は自己診断モード等を含む全ての特殊操作が行える設計者用仕向け情報が記憶されている外部ユニットメモリ28と通信可能に設定さている。
【0060】
次に、上記のように構成される実施例2の動作手順について、図7のフローチャートを基に説明する。
【0061】
一般の使用者がプリンタ20で通常の印刷をする場合、印刷用紙のサイズや枚数といった印刷目的に見合ったモード設定が成される。このようなモード設定を通常モードとしてコントロールパネル12のキー操作によって指定した印刷ができる(S108)。その際には、トップカバー22は閉めた状態で使用する。この時、もしコントロールパネル12中の特殊モードキーを誤って押してもコントローラ9中の遷移ロック設定によって特殊モードにはならない。
【0062】
しかし、プリンタ20が紙詰り等の不測の事態となって、使用者か或いは保守要員に依頼してトップカバー22が開けられた場合(S200 YES)には、リーダライタ部27とユニットメモリ7との距離が開くことになり、その間の通信は遮断される。これによって、CPU13はリーダライタ部27に受信を一担停止(S101)の指令を出す(ロック解除キーの操作が有るか否かを見る間)。
【0063】
次いでCPU13では、特殊モードに遷移する操作を有効とするロック解除情報を入力する操作がコントロールパネル12から実行されたか否かの判断(S202)が行われる。保守要員か或いは設計者によってパネル操作が行われた場合(S202 YES)、CPU13によってカバーオープンにより中断されたリーダライタ部27の受信動作を起動する(S203)。
【0064】
一方、操作が行われなかった場合(S202 NO)には、CPU13はカバークローズの判断処理(S212)に移行する。
【0065】
また、カバーオープンの状態で、コントロールパネル12からロック解除のキー操作が成された場合、CPU13はリーダライタ部27の受信動作を起動し、外部ユニットメモリ28からデータの受信ができるか否かの判断(S204)が成される。データの受信ができていない場合(S204 NO)例えば、外部ユニットメモリ28を持っていない者や持っている者でも離れた場所にいた場合はCPU13はタイムアウトと判定(S205)する。タイムアウトしていない場合(S205 NO)にはCPU13は引き続き受信データの確認処理(S204)を繰り返す。また、CPU13がタイムアウトを認識した場合(S205 YES)は、管理者用の外部ユニットメモリ28を保有していないユーザの操作と見なし、CPU13はそのままカバークローズの判断処理(S212)に移行する。
【0066】
この状態において、外部ユニットメモリ28からリーダライタ部27を介してそのデータを受信した場合(S204 YES)、その読み込んだ情報のうち、仕向け情報が設計者用仕向けであるか否かの判断(S206)がCPU13によって成される。
【0067】
本体メモリ内に登録されている設計者用仕向け情報とリーダライタ部27が感知した情報とが一致した場合(S206 YES)は、CPU13において、2番目のリーダライタ27bで受信したものか否か判断(S207)し、もし、2番目のリーダライタ27bで受信した場合(S207 YES)は、CPU13において、自己診断モード操作(全ての操作が許容されるモード)のロックを解除(S208)指令が成され、カバークローズの判断処理(S212)に移行する。
【0068】
一方、2番目のリーダライタ27bが受信していない場合(S207 NO)には、CPU13は1番目のリーダライタ27aで受信したものか否か判断(S210)し、もし1番目のリーダライタ27aが受信した場合(S210 YES)は、CPU13はメンテナンスモード操作(保守要員用にメンテナンスに必要な特殊操作だけが許容されるモード)のロックを解除(S210)指令し、カバークローズの判断処理(S212)に移行する。
【0069】
また、メモリ内に登録されている保守要員仕向け情報とリーダライタ27aが感知した情報とが不一致の場合(S210 NO)には、CPU13は不正な外部ユニットメモリと見なし、そのまま、カバークローズの判断処理(S212)に移行する。
【0070】
上記動作の後でトップカバー22が閉じられた後(S212 YES)は、CPU13はコントロールパネル12により、自己診断モードへの移行操作が実施されたか否かの判断(S213)を行い、コントロールパネル12からの操作が実施された場合(S213 YES)は、CPU13は自己診断モードロック解除動作判定(S218)に移行する。そして、操作が行われなっかた場合、(S218 NO)には、CPU13はメンテナンスモード移行操作判定(S214)に移行する。
【0071】
CPU13の自己診断モードロック解除判定(S218)において、パネル操作による自己診断モードのロック解除が成されていた場合(S218 YES)は、CPU13は自己診断モード動作(S219)に移行する。一方、自己診断モードの解除が成されていなかった場合(S218 NO)は、通常モード動作(S215)に移行する。
【0072】
CPU13のメンテナンスモードへの移行操作判定(S214)においては、コントロールパネル12からメンテナンスモード移行操作が実施された場合(S214 YES)は、メンテナンスモードロック解除動作判定(S216)に移行し、操作が行われなかった場合(S214 NO)には、通常モードに移行する。
【0073】
CPU13のメンテナンスモードロック解除判定(S216)において、メンテナンスモードロック解除操作が成されていた場合(S216 YES)は、メンテナンスモード動作(S217)に移行する。メンテナンスモードロックの解除操作が成されていなかった場合(S216 NO)は、通常モード動作(S215)に移行する。
【0074】
なお、ロック解除は、一時的に有効となるもので、例えば、電源OFFやトップカバー22をオープンすることにより無効化されるものとし、本体メモリ11には記憶しないよう設定されている。このように設定することによって、キーの解除忘れを防止することができる。
【0075】
また、トップカバー22が閉められなかった場合(S212 NO)は、キー解除方法を読み出すための操作が行われるか否かの判断(S202)にフィードバックされる。
【実施例3】
【0076】
上記実施例1及び実施例2においては、ユニットメモリがトナーカットリッジに取り付けられているRFIDタグを利用して構成されたものであるが、ここでは、バーコードを、例えばシール等に明記することによってユニットメモリ33とし、そのユニットメモリ33を図8に示すように、プリンタ30の本体側に適宜配設する。例えば、トップカバー31近くの本体側壁32に取付ける。
【0077】
そして、これらメモリ33に対応させたトップカバー31側の通信手段34には、画像形成に悪影響の無い光学的手段で構成し、ユニットメモリとは接触又は非接触で通信できるようにしたものである。
【0078】
その他の構成については上記各実施例と同様であり、このように構成することによっても、トップカバー31の開閉を利用し通常モードと特殊モードの遷移を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の画像形成装置として、プリンタ以外に、ファクシミリ、MFP又は複写機にも適応可能できる。
【符号の説明】
【0080】
1 プリンタ
2 プリンタ本体
3 トップカバー
4 トナーカートリッジ
7 ユニットメモリ
16リーダライタ部
17外部ユニットメモリ
20プリンタ
22トップカバー
26ユニットメモリ
33リーダライタ部
34外部ユニットメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成手段を動作設定させる通常モードに設定するための通常モード設定手段と、特定者用の特殊モードに設定するための特殊モード設定手段とを備えた画像形成装置において、
本体内に配置されて第1情報を出力する発信部と、
前記第1情報の受信が可能な第1位置と前記第1情報の受信が不可能な第2位置に位置決めされる受信部と、
前記受信部が第2位置で特定情報を受けると前記特殊モードの入力を有効とするモード遷移ロック手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発信部は、前記画像形成手段であるトナーカートリッジに設けられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信部は複数設けられ、本体に設けられる複数のそれぞれの発信部との通信を可能とする機能を有し、本体外部の発信部と通信することによって、複数の異なる特殊モードのモード遷移ロックを夫々個別又は同時に解除可能とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モード遷移ロックの解除設定は複数の管理者用外部発信部と通信することにより、複数の特殊モードを夫々個別又は同時に解除可能とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロック解除の設定は、請求項3、請求項4の手段を組み合わせ、複数の特殊モードの解除を可能とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記特殊モード時の通信モードは前記通常モード時の通信モードに比べて略3倍の送信電力であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記特殊モード時の通信モード及び前記通常モード時の通信モードは前記発信部又は外部発信部の信号を検出している時間が2〜3[秒]、通信間隔が300[msec]で通信動作が行われることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載に画像形成装置。


















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−39364(P2011−39364A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188109(P2009−188109)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】