説明

画像形成装置

【課題】画像読取部で何らかの異常が生じたときに、画像読取部のどこで異常が生じたのかが判る画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御部200は、光電変換素子12及び原稿サイズ検出センサ100が、発光ユニット120から照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、異常発生箇所が画像データ生成部201であると判定する。その一方で、制御部200は、光電変換素子12及び原稿サイズ検出センサ100が、発光ユニット120から照射された光によって生じた反射光を受け付けていないと判定したときに、原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が、その原稿サイズ検出センサ100の発光素子101から照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、異常発生箇所が光源531であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を表す画像データを記録紙上に形成する画像形成装置において、原稿を光学的に読み取って原稿の画像を表す画像データを生成する画像読取部が設けられていることが多い。特許文献1及び2には、この種の画像形成装置が例示されている。
【0003】
特許文献1には、自動原稿サイズ検知機能を用いる画像形成装置であって、自動原稿サイズ検知機能を実行する際に誤検知を防止することができる画像形成装置が記載されている。特許文献2には、原稿台に載置された原稿を露光走査するための露光ランプの断線故障を検知することができる画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−32225号公報
【特許文献2】特開平7−199747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像読取部を備える画像形成装置において、ある箇所で異常が生じたときには、その箇所で異常が生じたことを報知する機能が設けられていることが多い。
【0006】
ところが、この種の画像形成装置では、画像読取部で異常が生じたときには、単に、画像読取部で異常が生じたことが報知されるに過ぎず、画像読取部のどの箇所において異常が生じたかが報知されない。そのため、ユーザやメンテナンス業者が、画像読取部のどの箇所において異常が生じたかが判らないため、メンテナンス性が良いとは言えなかった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するために提案されるものであり、画像読取部で何らかの異常が生じたときに、画像読取部のどこで異常が生じたのかが判る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、読取対象物として原稿を載置するための原稿台と、発光素子及び受光素子を備え前記原稿台に載置された原稿のサイズを検出する反射型光センサで構成された原稿サイズ検出センサと、前記読取対象物に光を照射する光源を備えて、前記原稿台の副走査方向に移動することが可能な発光ユニットと、前記発光ユニットから照射された光が前記読取対象物で反射して発生した反射光の入射を受け付けて画素を表す電荷を生成し、前記電荷が有する電荷量に応じた電圧信号を出力する光電変換素子と、前記光電変換素子から出力された前記電圧信号から、画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、を備える画像読取部と、前記画像読取部における異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部が前記画像読取部における異常を検出したときには、前記画像読取部における異常発生箇所を判定する異常発生箇所判定処理を行う制御部と、前記制御部によって判定された前記異常発生箇所を報知する報知部と、を備えており、前記制御部は、前記異常発生箇所判定処理として、前記発光ユニットを、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けることが可能な位置に位置させた状態で、前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けているか否かを判定する第1の判定処理を行い、前記第1の判定処理で前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記画像データ生成部であると判定し、前記第1の判定処理で前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けていないと判定したときには、さらに、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光が前記読取対象物に反射して生じた反射光を受け付けているか否かを判定する第2の判定処理を行い、前記第2の判定処理で、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記光源であると判定することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この構成によれば、異常検出部が、画像読取部における異常を検出したときには、制御部によって、画像読取部のどこで異常が生じたかを判定する異常発生箇所判定処理が行われる。このような異常発生箇所判定処理では、まず、光電変換素子及び原稿サイズ検出センサが、発光ユニットから照射された光が読取対象物で反射して生じた反射光を受け付けているか否かが判定される(第1の判定処理)。
【0010】
この第1判定処理において、光電変換素子及び原稿サイズ検出センサが、発光ユニットから照射された光が読取対象物で反射して生じた反射光を受け付けていると判定されたときには、画像読取部のうち画像データ生成部において異常が生じていると判定される。そして、画像データ生成部において異常が生じていることが報知部によって報知される。
【0011】
その一方で、光電変換素子及び原稿サイズ検出センサが、発光ユニットから照射された光が読取対象物で反射して生じた反射光を受け付けていないと判定されたときには、制御部によって、さらに、原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光が読取対象物に反射して生じた反射光を受け付けているか否かを判定する第2の判定処理が行われる。
【0012】
この第2の判定処理で、原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光が読取対象物に反射して生じた反射光を受け付けていると判定したときには、画像読取部のうち光源において異常が生じていると判定される。そして、光源において異常が生じていることが報知部によって報知される。
【0013】
結果として、画像読取部のうち、光源ではなく画像データ生成部で異常が生じるとその異常が第1の判定処理によって判定されるとともに報知部によって報知され、画像データ生成部ではなく光源で異常が生じるとその異常が第2の判定処理によって判定されるとともに報知部によって報知される。
【0014】
これにより、画像読取部で異常が生じたときに、単に画像読取部で異常が生じたことを報知する従来の画像形成装置と比較して、異常発生箇所が細分化されて報知される。したがって、画像読取部で異常が生じたときに、画像読取部のどこで異常が生じたのかが判り、メンテナンス性が向上する。
【0015】
また、画像読取部の複数の箇所、例えば、画像データ生成部、及び、光源の双方で異常が生じている状態では、第1の判定処理で画像データ生成部の異常が判定されるとともに報知部によって報知される。そして、メンテナンスによりその異常が解消されると、第2の判定処理で光源の異常が判定されるとともに報知部によって報知される。
【0016】
これにより、画像読取部の複数の箇所で異常が生じたときには、先に報知された異常がメンテナンスにより解消されても、他の箇所における異常が容易に判るので、次にメンテナンスすべき箇所が容易に判る。
【0017】
また、先に報知された異常がメンテナンスにより解消されない限り、画像読取部で何らかの異常が生じていることが異常検出部により検出されて、再度、その異常が判定されて報知されるので、その異常に対するメンテナンスが失敗していることが容易に判る。
【0018】
さらに、画像読取部の異常発生箇所が、制御部による第1及び第2の判定処理のみによって判定されるので、ソフトウェアを変更するだけで済み、ハードウェアを変更する場合と比較する場合と比較して製造コストが抑制される。
【0019】
上記構成において、前記画像読取部は、前記原稿台を覆う天板、前記天板が前記原稿台を覆っている状態を表す閉状態を検出する閉状態検出部をさらに備えており、前記制御部は、前記第2の判定処理で、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光によって生じた反射光を受け付けていないと判定したときには、さらに、前記閉状態検出部によって閉状態が検出されているか否かを判定し、前記閉状態検出部によって閉状態が検出されていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記原稿サイズ検出センサであると判定する構成とすることができる(請求項2)。
【0020】
この構成によれば、第1及び第2の判定処理によって、画像データ生成部及び光源のいずれの異常も判定されなかったときには、閉状態検出部によって天板の閉状態が検出されていることを条件として、原稿サイズ検出センサで異常が生じていることが判定される。
【0021】
結果として、画像読取部の複数の箇所、例えば、画像データ生成部、光源、及び、原稿サイズ検出センサの全てで異常が生じている状態では、第1の判定処理で画像データ生成部の異常が判定されるとともに報知部によって報知される。そして、メンテナンスによりその異常が解消されると、第2の判定処理で光源の異常が判定されるとともに報知部によって報知される。さらに、メンテナンスによりその異常が解消されると、天板が閉じられていることを条件として、原稿サイズ検出センサの異常が判定されるとともに報知部により報知される。
【0022】
これにより、画像読取部で何らかの異常が生じたときには、その異常発生箇所がさらに細分化して判定されて報知されるため、メンテナンス性がさらに向上する。
【0023】
上記構成において、前記制御部は、前記閉状態検出部によって閉状態が検出されていないと判定したときには、前記報知部によって、ユーザに対して前記天板を閉じることを要求する報知を行い、前記報知部によって、前記ユーザに対して前記天板を閉じることを要求する報知を行った後に、再度、前記閉状態検出部によって前記天板の閉状態が検出されているか否かを判定し、前記天板の閉状態が検出されていると判定したときには、前記異常発生箇所判定処理を再度行う構成とすることができる(請求項3)。
【0024】
この構成によれば、第2の判定処理が行われた後に、閉状態検出部によって閉状態が検出されていないと制御部によって判定されたときには、ユーザに対して天板を閉じることを要求する報知が行われ、その後、制御部によって、閉状態が検出されていると判定されたときには、異常発生箇所判定処理が最初から再び行われる。
【0025】
結果として、ユーザが、報知を受けて天板をきちんと閉じれば、天板が光源及び原稿サイズ検出センサからの光をきちんと反射することができる状態で異常発生箇所判定処理が行われるため、光電変換素子及び原稿サイズ検出センサの受光素子が、天板で反射して生じた反射光をきちんと受け付けることができる状態で異常発生箇所判定処理を行うことができる。したがって、異常発生箇所判定処理を精度良く行うことができる。
【0026】
上記構成において、前記異常検出部は、前記画像データ生成部によって、黒一色の画像を表す画像データが生成されたときには、前記画像読取部において異常が発生していることを検出することができる(請求項4)。
【0027】
画像読取部において、例えば、光源から光が照射されない異常が生じたときには、黒一色の画像データが画像データ生成部において生成される。この構成によれば、画像データ生成部によって、黒一色の画像を表す画像データが生成されたときには、画像読取部において異常が発生していることが検出される。これにより、画像読取部において異常が生じていることを検出する処理を具現化することができる。
【0028】
上記構成において、前記原稿サイズ検出センサは、前記原稿サイズ検出センサの発光素子から光を照射し、その光が前記読取対象物に反射して発生した反射光を前記原稿サイズ検出センサの受光素子で受け付けて、受け付けた反射光の光量に応じた電圧信号を出力する構成とされており、前記異常検出部は、前記原稿検出センサから出力される前記電圧信号の最大レベルが予め定められた閾値に満たないときには、前記画像読取部において異常が発生していることを検出する構成とすることができる(請求項5)。
【0029】
この構成によれば、異常検出部は、原稿検出センサから出力される電圧信号の最大レベルが予め定められた閾値に満たないときには、画像読取部において異常が発生していることを検出する。これにより、画像読取部において異常が生じていることを検出する処理を具現化することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、画像読取部で異常が生じたときに、画像読取部のどこで異常が生じたのかが判り、メンテナンス性が向上する。したがって、ユーザ及びメンテナンス業者の利便性を考慮した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る複写機の機械的構成を示す縦断面図である。
【図2】複写機の原稿台を上面から見た外観の一例を示す図である。
【図3】発光ユニットがホームポジションに位置している状態において、光源(冷陰極管)から出射された光の光路を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複写機の機能モジュールの一例を示すブロック図である。
【図5】異常発生箇所判定処理の概要の一例を示すフローチャートである。
【図6】判定された異常発生箇所の報知態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る複写機の機械的構成を示す縦断面図である。図2は、複写機の原稿台を上面から見た外観の一例を示す図である。
【0033】
この複写機Aは、大略的に、本体部32と、本体部32の上方側に配設される画像読取部33と、その画像読取部33の上方側に配設されるADF34とを備えて構成される。
【0034】
本体部32では、1または複数(図1では3個)のトレイ41,42,43や手差しトレイ44に装填された記録紙41a,42a,43a,44aの何れかが取込みローラ41b,42b,43b,44bで1枚ずつ取出され、レジストローラ45,46にてタイミング調整が行われた後、画像形成部47に搬送される。画像形成部47は、感光体ドラム47aの周囲に、図示しない帯電器、レーザ書込みユニット、現像器、転写ユニット47bおよび図示しないクリーニングユニット等が配置され、記録紙に電子写真方式で画像形成を行う。こうして記録紙に形成されたトナー像は、定着部48にて定着され、排出ローラ49,50から排紙トレイ51上に排出される。
【0035】
前記レーザ書込みユニットに与えられる画像データは、画像読取部33にて読取られる。画像読取部33は、ガラス板等の板状の透明板からなる原稿台52の下部に、原稿台52を介して原稿(読取対象物)に照明光を照射し、その反射光を受光する走査部53と、走査部53で得られた反射光を更に反射するミラーユニット54と、ミラーユニット54からの反射光を集光する結像レンズ55と、結像レンズ55で結像された反射光を光電変換するCCD(Charge Coupled Device;光電変換素子)12とを備えて構成される。
【0036】
走査部53は、例えば図略のステッピングモータによって、副走査方向に駆動されるようになっている。そして、走査部53が速度Vで、ミラーユニット54が速度V/2で、図1の左右方向、すなわち副走査方向に移動することで、原稿台52に載置されたブック物や1枚物の原稿画像が、常に等しい光路長でCCD12に結像される。
【0037】
このような走査部53及びミラーユニット54は発光ユニット120(図3参照)を構成している。発光ユニット120は、発光ユニット移動制御部203(図3参照)によって、先述したように、副走査方向に駆動される。
【0038】
画像読取部33の上面には、図2に示されるように、先述された原稿台52及び読出窓72が配設されている。そして、原稿台52と読出窓72との間には、原稿ストッパ75が設けられている。また、原稿台52における原稿ストッパ75と隣り合う一辺には、原稿ストッパ76が設けられている。そして、原稿ストッパ75,76により、原稿サイズの指標を参照して、原稿の位置合せが行われるようになっている。
【0039】
図2において、原稿ストッパ75の内側のエッジが、副走査方向における原稿の端の位置を示している。また、原稿ストッパ76の内側のエッジが、主走査方向における原稿の端の位置を示している。
【0040】
また、原稿台52の下部には、副走査方向(図2における矢印方向)に移動する走査部53が設けられている。走査部53は、冷陰極管531(光源)と、冷陰極管531から放射された光を読取窓72や原稿台52の方向に反射する反射板532と、原稿から原稿台52や読出窓72を透過して得られた反射光をミラーユニット54へ反射するミラー533とを備えて構成されている。ここに、走査部53は、原稿の画像データを読取走査しないときには、ホームポジションP1に位置するよう構成されている。
【0041】
さらに、原稿台52の下部には、原稿台52に載置された原稿のサイズを検出する原稿サイズ検出センサ100が複数設けられている。これらの原稿サイズ検出センサ100の各々は、予め予想される原稿のサイズに対応して設けられている。例えば、原稿サイズ検出センサ100の各々は、それぞれ、A4サイズの原稿の後端、及び、A3サイズの原稿の後端に対応して設けられている。
【0042】
これらの原稿サイズ検出センサ100の各々は、反射型光センサで構成されている。そして、原稿サイズ検出センサ100の各々は、原稿台52へ向けて光を照射する発光素子101、及び、発光素子101から照射された光が原稿台52に載置された原稿の後端で反射して発生した反射光を受光する受光素子102を備える。
【0043】
このような原稿サイズ検出センサ100の各々は、受光素子102が、発光素子101から出射された光が原稿台52上の原稿又は天板(読取対象物)110で反射して生じた反射光を受け付けたときには、光電変換処理を行う。これにより、受光素子102が受け付けた反射光の光量に応じた電圧信号が得られるので、この電圧信号を原稿サイズ検出センサ100の各々は、制御部200(図4参照)に出力する。これにより、制御部200は、原稿サイズ検出センサ100の各々の受光素子102が反射光を受光したのか否かが判る。
【0044】
ところで、原稿サイズ検出センサ100の各々が、それぞれ、A4サイズの原稿の後端、及び、A3サイズの原稿の後端に対応して設けられているときには、原稿台52に載置された原稿のサイズは、例えば、以下に示されるように検出される。すなわち、A4サイズの原稿の後端に対応する原稿サイズ検出センサ100の受光素子102のみが、その原稿サイズ検出センサ100の発光素子101から照射された光が原稿後端で反射して生じた反射光を受光したときには、制御部200は、原稿のサイズがA4サイズであると検出する。また、A4サイズの原稿の後端に対応する原稿サイズ検出センサ100、及び、A3サイズの原稿の後端に対応する原稿サイズ検出センサ100の受光素子102の各々が、これらの原稿サイズ検出センサ100の各々の発光素子101から照射された光が原稿後端で反射して生じた反射光を受光したときには、制御部200は、原稿のサイズがA3サイズであると検出する。
【0045】
以上に示される原稿サイズの検出処理は、例えば、原稿台52に原稿が載置され、自動原稿送り装置34及び排出トレイ71が一体となった天板110の状態が、開状態(天板110が原稿台52を覆っていない状態)から閉状態(天板110が原稿台52を覆っている状態)に変化するまでの間に行われる。このような原稿サイズの検出処理を可能とするために、画像読取部33の適所には、天板110が開状態であることを検出するセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサが開状態を検出しなくなったことを制御部200が判定すると、原稿サイズの検出処理が行われる。
【0046】
また、後述される異常発生箇所判定処理を可能とするために、画像読取部33の適所には、閉状態検出センサ(閉状態検出部)202が設けられている。閉状態検出センサ202は、例えば、天板の適所(例えば、複写機Aの前方(図1の紙面垂直方向)側に設けられた発光素子(受光素子)と、複写機Aの後方(図1の紙面垂直方向とは逆の方向)側の発光素子(受光素子)と対応する位置に設けられた受光素子(発光素子)とで構成することができる。このような構成によれば、天板110が閉状態とされて天板110が原稿台52を覆った状態となると、発光素子から照射された光が受光素子で受け付けられ、受光素子において光量に応じた電圧値の電圧信号が出力される。これにより、制御部200が、受光素子から出力された電圧信号を受け付けて、天板110の閉状態を検出する。
【0047】
そして、原稿サイズ検出センサ100の各々は、その受光素子102が、走査部53がホームポジションP1に位置している状態で、光源(冷陰極管)531からの光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を受光できる位置に設けられている。
【0048】
図3は、発光ユニット120がホームポジションP1に位置している状態において、光源(冷陰極管)531から出射された光の光路を説明するための図である。尚、本明細書において、“発光ユニット120がホームポジションP1に位置している”ことは、“走査部53がホームポジションP1に位置している”ことと同義である。
【0049】
図3に示されるように、光源(冷陰極管)531は、厳密には、原稿台52に対して垂直に光を出射するのではなく、原稿台52に対して放射状に光を照射する。そして、原稿台52に対して放射状に出射された光の一部は、光路L1(光源531からの光が、原稿面又は天板110に向かい、さらに、原稿面又は天板110で反射してミラー533へ向かう光路)を進んで、ミラー533、ミラーユニット54で反射されてCCD12に向かう。また、原稿台52に対して放射状に出射された光の一部は、光路L2(光源531からの光が、原稿面又は天板110に向かい、さらに、原稿面又は天板110で反射して原稿サイズ検出センサ100に向かう光路)を進んで、光路L2に設けられた原稿サイズ検出センサ100に向かう。
【0050】
ここで、必ずしも原稿サイズ検出センサ100の各々は、走査部53がホームポジションP1に位置している状態で反射光を受光できる位置に設けられている必要はない。後述される異常発生箇所判定処理が行われる際に、走査部53を、いずれかの原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が反射光を受光できる位置まで移動させれば、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が反射光を受光することができるからである。
【0051】
シート原稿を順次取り込んでゆくADF34では、原稿トレイ61に積層された原稿62は、取込みローラ63によって1枚ずつ取出され、湾曲搬送路64へと供給される。そして湾曲搬送路64に設けられた搬送ローラ65,66,67,68によって、主走査方向に延びるガラス板等の板状の透明板からなる読出窓72へと搬送され、読出窓72に走査部53が臨んだ状態で、順次原稿画像が読取られた後、排出ローラ69,70によって排出トレイ71上へと排出される。
【0052】
また、図1において、原稿台52と読出窓72との間には、走査部53側に白基準板11が配設されている。この白基準板11は、例えば、画像データに混入するノイズを除去する際に用いられる。画像読取部33が白基準板11の画像を表す画像データを生成して、後段の回路が、白基準板11の画像データを用いて、画像データに混入するノイズを除去する。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係る複写機Aの機能モジュールの一例を示すブロック図である。複写機Aは、画像読取部33、制御部200、異常検出部204、画像形成部47、及び、報知部206を備える。
【0054】
この複写機Aにおいて、発光ユニット120、発光ユニット移動制御部203、CCD12、画像データ生成部201、原稿サイズ検出センサ100、閉状態検出センサ202、画像形成部47、及び、報知部206の各々は、制御部200にバス接続されている。尚、この複写機Aにおいて、画像形成部47の機能は先述された通りであるため、説明を省略する。
【0055】
画像読取部33は、光源(冷陰極管)531を備える発光ユニット120、CCD12、画像データ生成部201、原稿サイズ検出センサ100、閉状態検出センサ202、及び、発光ユニット移動制御部203を備える。尚、発光ユニット120、原稿サイズ検出センサ100、及び、閉状態検出センサ202の機能については先述された通りであるため、説明を省略する。
【0056】
画像読取部33において、CCD12は、光源531から照射された光が原稿で反射して発生した反射光を受け付けて画素を表す電荷を生成し、その電荷が有する電荷量に応じた電圧信号を出力する。
【0057】
画像データ生成部201は、CCD12から出力される電圧信号をデジタル変換して、デジタル信号で表される画像データを生成する。発光ユニット移動制御部203は、例えば、ステッピングモータなどで構成されており、発光ユニット120を、原稿台52の副走査方向に移動させる。
【0058】
制御部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成されており、画像形成装置Aを統括的に制御する。制御部200は異常検出部204を備える。異常検出部204は、画像形成装置Aの各所に配置されたセンサからの信号を受け付けて、各所で生じた異常を検出する。例えば、異常検出部204は、画像読取部33及び画像形成部47で生じた異常を検出する。報知部206は、例えば、液晶画面や音声メッセージ出力部で構成される。報知部206は、例えば、後述される異常発生箇所判定処理で判定された異常発生箇所を報知する。
【0059】
以上に示される画像形成装置Aは、画像読取部33で異常が生じたときには、異常発生箇所判定処理を行う。図5は、異常発生箇所判定処理の概要の一例を示すフローチャートである。
【0060】
すなわち、異常検出部204が画像形成装置Aにおける何らかの異常を検出したときには(ステップS1のYES)、制御部200は、その異常が画像読取部33で生じているか否かを判定する(ステップS2)。ここに、ステップS2の処理は、例えば、異常検出部204が、画像読取部33から、黒1色のみの画像データが制御部200に到来したことを検出したときに、画像読取部33で異常が生じたことを検出することで実現できる。
【0061】
また、ステップS2の処理は、異常検出部204が、原稿サイズ検出センサ100が、その発光素子101から照射される光による反射光をその受光素子102で受け付けて、受け付けた反射光の光量に応じて出力する電圧信号の最大レベルが、予め定められたレベル(閾値)に満たないことを検出したときに、画像読取部33で異常が生じたことを検出することでも実現できる。
【0062】
ステップS2において、制御部200は、異常が画像読取部33で生じていないと判定したときには(ステップS2のNO)、画像形成部47で異常が生じている状態であるため、画像形成部47で異常が生じていることを報知する所定の異常報知を報知部206によって行う(ステップS3)。所定の異常報知は、例えば、画像形成部47で異常が生じていること、及び、解決手順を教示するガイダンスを表示することで行われる。
【0063】
一方、ステップS2において、制御部200は、異常が画像読取部33で生じていると判定したときには(ステップS2のYES)、発光ユニット120を移動させてホームポジションP1に位置させる(ステップS4)。
【0064】
ここに、発光ユニット120をホームポジションP1に位置させる理由は、先述されたように、原稿サイズ検出センサ100の各々が、発光ユニット120がホームポジションP1に位置している状態で、光源(冷陰極管)531から照射した光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を受光できる位置に設けられていることによる(図2参照)。
【0065】
尚、異常が画像読取部33で生じていると判定されたタイミングが、発光ユニット120がホームポジションP1に位置しているときであれば、発光ユニット120を移動させる必要はない。
【0066】
そして、制御部200は、光源(冷陰極管)531からの光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を、CCD12及び原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が受光しているか否かを判定する(ステップS5;第1の判定処理)。ここに、ステップS5の処理は、例えば、制御部200が、CCD12から出力される電圧信号と、原稿サイズ検出センサ100から出力される電圧信号とを受け付けることができているか否かを判定することで実現することができる。
【0067】
ステップS5において、制御部200は、CCD12及び原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が反射光を受光していると判定したときには(ステップS5のYES)、異常発生箇所が画像データ生成部201であると判定する(ステップS6)。
【0068】
このように、CCD12及び原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が反射光を受光しているときに、異常発生箇所が画像データ生成部201であると判定する理由は、CCD12が反射光を受光して電圧信号を出力する機能、及び、原稿サイズ検出センサ100が反射光を受光して電圧信号を出力する機能には異常がなく、画像データ生成部201がCCD12からの電圧信号をデジタル信号に変換するデジタル変換処理に異常があると推測されることに基づく。
【0069】
一方、ステップS5において、制御部200は、CCD12及び原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が反射光を受光していないと判定したときには(ステップS5のNO)、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101が発光した光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が受光しているか否かを判定する(ステップS7;第2の判定処理)。ここに、ステップS7の処理は、例えば、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101を発光させ、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102で受光して得た電圧信号を、制御部200が受け付けているか否かを判定することで実現することができる。
【0070】
ステップS7において、制御部200は、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101が発光した光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が受光していると判定したときには(ステップS7のYES)、異常発生箇所が光源(冷陰極管)531であると判定する(ステップS8)。
【0071】
このように、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101が発光した光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が受光しているときに、異常発生箇所が光源(冷陰極管)531であると判定する理由は、以下に示される通りである。
【0072】
すなわち、原稿サイズ検出センサ100が、その発光素子101から照射して発生した反射光をその受光素子102で受光できているので、その原稿サイズ検出センサ100には異常がないと推測される。それにも関わらず、ステップS1の第1の判定処理で、その原稿サイズ検出センサ100が光源531による反射光を受光できていない。その理由は、光源531から光が照射されていないからと推測される。
【0073】
一方、ステップS7において、制御部200は、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101が発光した光が原稿又は天板110で反射して発生した反射光を、その原稿サイズ検出センサ100の受光素子102が受光していないと判定したときには(ステップS7のNO)、閉状態検出センサ202が天板110の閉状態を検出しているか否かを判定する(ステップS9)。
【0074】
ステップS9において、閉状態検出センサ202が天板110の閉状態を検出しているときには(ステップS9のYES)、制御部200は、異常発生箇所が原稿サイズ検出センサ100であると判定する(ステップS10)。
【0075】
このように、ステップS9において、閉状態検出センサ202が天板110の閉状態を検出しているときに、異常発生箇所が原稿サイズ検出センサ100であると判定する理由は、以下の通りである。すなわち、天板110が原稿台52を覆っていれば、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101による反射光をその受光素子102が受光できるはずである。それにもかかわらず、原稿サイズ検出センサ100の発光素子101による反射光をその受光素子102が受光できていない。その理由は、原稿サイズ検出センサ100に異常があると推測される。
【0076】
以上に説明されたステップS5、S7、S9の判定処理によって、制御部200が異常発生箇所をそれぞれ判定すると、制御部200は、判定された異常発生箇所の各々を報知部206によって報知する(ステップS11)。図6は、判定された異常発生箇所の報知態様の一例を示す図である。図6に示されるように、表示部で構成される報知部206は、例えば、「画像データ生成部でエラー発生です」といったメッセージを表示する。その後、制御部200は、ステップS1の処理に戻る。
【0077】
一方、ステップS9において、閉状態検出センサ202が天板110の閉状態を検出していないときには(ステップS9のNO)、制御部200は、報知部206によって、天板を閉じることを要求する報知を行う(ステップS12)。
【0078】
そして、制御部200は、ユーザによって天板110が閉じられるまで待機し(ステップS13のNO)、閉状態検出センサ202が天板110の閉状態を検出すると(ステップS13のYES)、ステップS5以下の処理を再度行う。
【符号の説明】
【0079】
A 複写機
12 CCD(光電変換素子)
33 画像読取部
47 画像形成部
52 原稿台
100 原稿サイズ検出センサ
101 発光素子
102 受光素子
110 天板
120 発光ユニット
200 制御部
201 画像データ生成部
202 閉状態検出センサ
203 発光ユニット移動制御部
204 異常検出部
206 報知部
531 光源(冷陰極管)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物として原稿を載置するための原稿台と、
発光素子及び受光素子を備え前記原稿台に載置された原稿のサイズを検出する反射型光センサで構成された原稿サイズ検出センサと、前記読取対象物に光を照射する光源を備えて、前記原稿台の副走査方向に移動することが可能な発光ユニットと、前記発光ユニットから照射された光が前記読取対象物で反射して発生した反射光の入射を受け付けて画素を表す電荷を生成し、前記電荷が有する電荷量に応じた電圧信号を出力する光電変換素子と、前記光電変換素子から出力された前記電圧信号から、画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、を備える画像読取部と、
前記画像読取部における異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が前記画像読取部における異常を検出したときには、前記画像読取部における異常発生箇所を判定する異常発生箇所判定処理を行う制御部と、
前記制御部によって判定された前記異常発生箇所を報知する報知部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記異常発生箇所判定処理として、前記発光ユニットを、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けることが可能な位置に位置させた状態で、前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けているか否かを判定する第1の判定処理を行い、
前記第1の判定処理で前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記画像データ生成部であると判定し、前記第1の判定処理で前記光電変換素子及び前記原稿サイズ検出センサが、前記発光ユニットから照射された光によって生じた反射光を受け付けていないと判定したときには、さらに、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光が前記読取対象物に反射して生じた反射光を受け付けているか否かを判定する第2の判定処理を行い、
前記第2の判定処理で、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光によって生じた反射光を受け付けていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記光源であると判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像読取部は、
前記原稿台を覆う天板、前記天板が前記原稿台を覆っている状態を表す閉状態を検出する閉状態検出部をさらに備えており、
前記制御部は、
前記第2の判定処理で、前記原稿サイズ検出センサの受光素子が、その原稿サイズ検出センサの発光素子から照射された光によって生じた反射光を受け付けていないと判定したときには、さらに、前記閉状態検出部によって閉状態が検出されているか否かを判定し、前記閉状態検出部によって閉状態が検出されていると判定したときには、前記異常発生箇所が前記原稿サイズ検出センサであると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記閉状態検出部によって閉状態が検出されていないと判定したときには、前記報知部によって、ユーザに対して前記天板を閉じることを要求する報知を行い、
前記報知部によって、前記ユーザに対して前記天板を閉じることを要求する報知を行った後に、再度、前記閉状態検出部によって前記天板の閉状態が検出されているか否かを判定し、前記天板の閉状態が検出されていると判定したときには、前記異常発生箇所判定処理を再度行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常検出部は、
前記画像データ生成部によって、黒一色の画像を表す画像データが生成されたときには、前記画像読取部において異常が発生していることを検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記原稿サイズ検出センサは、
前記原稿サイズ検出センサの発光素子から光を照射し、その光が前記読取対象物に反射して発生した反射光を前記原稿サイズ検出センサの受光素子で受け付けて、受け付けた反射光の光量に応じた電圧信号を出力する構成とされており、
前記異常検出部は、
前記原稿検出センサから出力される前記電圧信号の最大レベルが予め定められた閾値に満たないときには、前記画像読取部において異常が発生していることを検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−49855(P2011−49855A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196920(P2009−196920)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】