説明

画像形成装置

【課題】省電力モード時には集積回路の電源を停止させることができ、消費電力を削減すること。
【解決手段】低圧電源99からASIC136への電力の供給を省エネモードにおいて停止し、通常モードにおいては電力の供給を開始するFET137と、画像コントローラ127とCPU135との間で、省エネモードから通常モードへの移行に関する通知を行う為の通信ラインと、を備え、CPU135は、通信ラインを介して、省エネモードから通常モードへの移行を画像コントローラ127から指示されたときに、ASIC136への電力の供給を開始するようにFET137を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、処理の高速化やコスト安化を目的に、画像形成に係る各種処理を集積回路に行わせる形態が良く知られ、中央処理装置(以下、CPU)と集積回路(以下、ASIC)とを共有する形態が良く知られている。またCPUとASICについてコスト安価を目的に共通の電源を使用する形態が良く取られる。また、そのときにASICと画像処理装置(以下、画像コントローラ)間には通信線が備えられており、画像形成に係る各種通信を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年の画像形成装置では、プリント時及びスタンバイ時(以下、通常モード)以外に消費電力を削減するための省エネルギーモード(以下、省エネモード)を備える形態が良く知られている。このような画像形成装置では、省エネモードから通常モードへ移行する際には、ASICと画像コントローラに接続された通信ラインを介して省エネモードへ移行するか通常モードに移行するかを判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−009401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では省エネモード時にもASICと画像コントローラとの通信を行う必要があったために、ASICの電源を常にオン状態にしておく必要があった。よって、省エネモード時にもかかわらず、ASIC分の消費電力が高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況のもとで成されたもので、省電力モード時には集積回路の電源を停止させることができ、消費電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するために、以下の構成を備える。
【0008】
(1)入力された画像情報の処理を行う画像コントローラと、中央処理装置と集積回路とを有し、前記集積回路により画像形成に係る前記画像コントローラとの通信を行うと共に、前記画像コントローラにより処理された画像情報に基づき画像形成部の動作を制御するエンジンコントローラと、前記エンジンコントローラに電力を供給する電源と、を備え、画像形成を行う状態又は待機状態である第一のモードから前記第一のモードより消費電力が少ない第二のモードに移行する画像形成装置であって、前記電源から前記集積回路への電力の供給を前記第二のモードにおいて停止し、前記第一のモードにおいては電力の供給を開始する切り替え手段と、前記画像コントローラと前記中央処理装置との間で、前記第二のモードから前記第一のモードへの移行に関する通知を行う為の通信ラインと、を備え、前記中央処理装置は、前記通信ラインを介して、前記第二のモードから前記第一のモードへの移行を前記画像コントローラから指示されたときに、前記集積回路への電力の供給を開始するように前記切り替え手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省電力モード時には集積回路の電源を停止させることができ、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の(a)画像形成装置の断面図、(b)画像形成装置のブロック図
【図2】実施例1の省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャート
【図3】実施例1の省エネモードから通常モードへ移行する際のフローチャート
【図4】実施例2の(a)画像形成装置のブロック図、(b)省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャート
【図5】実施例3の(a)画像形成装置のブロック図、(b)(c)省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャート
【図6】実施例3の省エネモードから通常モードへ移行する際のフローチャート
【図7】実施例4の画像形成装置のブロック図
【図8】実施例5の省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャート
【図9】実施例5の省エネモードから通常モードへ移行する際のフローチャート
【図10】実施例5の省エネモードから通常モードへ移行する際のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1(a)は電子写真プロセスを用いた画像形成装置の概略構成図で、例えばレーザビームプリンタの場合を示し、以下レーザビームプリンタ本体101(以下、本体101)の構成について説明する。カセット102は記録紙S(記録材)を収納し、カセット有無センサ103はカセット102の記録紙Sの有無を検知する。複数個のマイクロスイッチで構成されるカセットサイズセンサ104はカセット102の記録紙Sのサイズを検知する。給紙ローラ105はカセット102から記録紙Sを繰り出す。給紙ローラ105の下流にあるレジストローラ対106は記録紙Sを同期搬送する。レジストローラ対106の下流にある画像形成部108はレーザスキャナ107からのレーザ光に基づき記録紙S上にトナー像を形成する。画像形成部108の下流にある定着器109は、記録紙S上(記録材上)に形成されたトナー像を熱定着する。定着器109の上流には給紙した紙を検知するトップセンサ150、定着器109の下流には排紙部の搬送状態を検知する排紙センサ110、記録紙Sを排紙する排紙ローラ111、記録の完了した記録紙Sを積載する積載トレイ112が設けられる。ドア98は、本体内の記録紙が詰まったときに記録紙を本体101から取り出せるように設けられ、ドアの開閉の状態を検知するためのスイッチ140によりドア98の開閉検知を行う。
【0013】
本体101の内部電源を生成する低圧電源99は、後述する本体101の中央処理装置(以下、CPU)135や画像コントローラ127等を動作させる電源(例えば3.3V電源)や駆動系を動作させるための電源(例えば24V電源等)を生成し供給する。電源近傍には電源スイッチ141があり、CPU135は電源スイッチ141が押されたかどうかを検知する。
【0014】
レーザスキャナ107は、レーザユニット113、ポリゴンモータ114、結像レンズ115、折り返しミラー116等により構成される。レーザユニット113は画像コントローラ127から送出される画像信号(画像信号VDO)に基づき変調されたレーザ光を発光する。ポリゴンモータ114はレーザユニット113からのレーザ光を感光ドラム117上に走査する。画像形成部108は、公知の電子写真プロセスに必要な、感光ドラム117、一次帯電ローラ119、現像器120、転写ローラ121、クリーナ122等から構成される。定着器109は、定着フィルム109a、加圧ローラ109b、定着フィルム内部に設けられた発熱体を備えたセラミックヒータ109c、セラミックヒータ109cの発熱体毎の表面温度を検出するサーミスタ109dから構成される。
【0015】
メインモータ123は、給紙ローラ105には給紙ソレノイド124を介して、レジストローラ対106にはレジクラッチ125を介して、駆動力を与える。メインモータ123は、更に感光ドラム117を含む画像形成部108の各ユニット、定着器109、排紙ローラ111、搬送ローラ対145にも駆動力を与える。エンジンコントローラ126は、レーザスキャナ107、画像形成部108、定着器109による電子写真プロセスの制御、本体101内の記録紙の搬送制御を行う。なお、レーザスキャナ107、画像形成部108、定着器109などを一連の画像形成に係る部位ということで、纏めて画像形成部と呼ぶようにしても良い。
【0016】
エンジンコントローラ126内には制御を行うためのCPU135及び集積回路(以下、ASIC)136が設けられ、メインモータ123、ポリゴンモータ114等の駆動制御及び本体101の全般制御、濃度補正カーブ(γカーブ)等の各種演算を行う。ここでASIC136は、画像コントローラ127から、例えば給紙口の指定などの画像形成に係る各種コマンドを受信したり、紙無しや画像データ転送タイミング等の画像形成に係る各種ステータスを画像コントローラ127に通知する機能を備える。またASIC136は、モータドライバ機能も備えており、各種モータ駆動なども行う。一方、CPU135にはタイマ135a、メモリ135b、入出力ポート、A/Dポート等が内蔵され、ASIC136の制御や、複雑な各種演算や、入力情報の検知等を行う。なお、本実施例ではCPU135及びASIC136を別のパッケージで説明するが同一パッケージ中に搭載された構成でもよい。
【0017】
画像処理装置(以下、画像コントローラ)127は、パーソナルコンピュータ等の外部装置131と汎用のインタフェース(USB等)130で接続される。画像コントローラ127は汎用インタフェース130から送られてくる画像情報をビットデータに展開し、そのビットデータをVDO信号として、エンジンコントローラ126へ送出する。画像コントローラ127はコントロールパネル128とも接続され、ユーザがコントロールパネル128を押した際は所定の処理を行う。
【0018】
[エンジンコントローラ、画像コントローラ、低圧電源の構成]
図1(b)は本実施例のエンジンコントローラ126及び画像コントローラ127、低圧電源99の詳細を示す図である。CPU135の電源端子Vddには低圧電源99からの電力が供給される。より具体的には、電源VAが入力され、電源VAは画像コントローラ127にも入力される。ASIC136の電源入力端子Vddには電源VAをCPU135からオンオフ制御できるようにFET137を介した後の電源VBが接続される。CPU135からFET137をオンオフできるように、ASICOFF信号の信号線を抵抗138を介してFET137のゲートに接続し、プルアップ抵抗139を介して電源VAに接続する。このASICOFF信号をHレベルにすることでASIC136の電源VBをオフ(電力供給停止)でき、またLレベルにすることでASIC136の電源VBをオン(電力供給開始)させることができる。
【0019】
CPU135とASIC136間にはASIC136を動作させるためのクロック信号(ASICCLK)及びアドレスデータバス信号(ADB)、リード信号(RD)、ライト信号(WR)、リセット信号(ASICRST)等の信号線が接続される。CPU135とASIC136はこれらの信号処理を行うことでCPU135とASIC136間での通信を行う。ASIC136と画像コントローラ127間には双方向通信信号(SC)とクロック信号(CLK)の信号線が接続され、画像コントローラ127からASIC136へのクロック信号に同期してASIC136と画像コントローラ127との通信を行う。
【0020】
本画像形成装置は、プリント時(画像形成を行う状態)やスタンバイ時(待機状態)である通常モード(第一のモード)と、消費電力を抑えた省エネルギーモード(以下、省エネモード)(第二のモード)の2つのモード間を移行可能である。また、ASIC136への電力供給が行われる状態を通常モード(第一のモード)とし、ASIC136への電力供給が行われていない状態を省エネモード(第二のモード)とすることもできる。
【0021】
CPU135と画像コントローラ127間にはこれらのモード変化をお互いに知らせるための信号であるWAKEUP−A信号とWAKEUP−B信号の信号線(通信ライン)が接続される。画像コントローラ127とCPU135との間で、省エネモード(第二のモード)から通常モード(第一のモード)への移行や、通常モード(第一のモード)から省エネモード(第二のモード)への移行に関する通信(通知)が、該信号線を介して行われる。WAKEUP−A信号はCPU135から画像コントローラ127への出力信号であり、WAKEUP−B信号は画像コントローラ127からCPU135への出力信号である。これらの信号をHレベル又はLレベルに切り替えることで相手に対して省エネモードから通常モードへの移行を知らせることができ、その後の移行処理を行うことができる。そして、この通信ラインにより、省エネモード中に、通常モード時に画像コントローラ127との各種通信を行うASIC136への電力供給を停止し、より高度な省エネを実現できる。なお、本実施例ではこれらの信号は省エネモードではLレベル、通常モードではHレベルとしているが逆でもよい。また、WAKEUP−A信号やWAKEUP−B信号の通信を行う通信線のことを纏めてWAKEUP信号線などと呼ぶこともある。また、CPU135、画像コントローラ127の夫々には信号線(通信ライン)を介してのWAKEUP−A信号、WAKEUP−B信号の送受信を行う為の通信機能(通信手段)を備えているものとする。
【0022】
低圧電源内には電源スイッチ141が設けられ、電源スイッチ141の一方はGNDへ、もう一方はプルアップ抵抗143を介してVA電源へ、またオンオフ検知信号の信号線としてCPU135に接続される。エンジンコントローラ126にはドア開閉スイッチ140が設けられ、ドア開閉スイッチ140の一方はGNDへ、もう一方はプルアップ抵抗142を介してVA電源へ、またドア開閉検知信号の信号線としてCPU135に接続される。いずれもスイッチが押された場合にはLレベル信号がCPU135に入力され、スイッチが押されたことを検知することができる。CPU135は省エネモードから通常モードへの移行のきっかけとなるトリガ信号としてこれらのスイッチのどちらかがLレベルに下がったことを検知し、省エネモードから通常モードへの移行処理を開始する。なお本実施例では電源スイッチ141のオンオフ検知信号とドア開閉スイッチ140のドア開閉検知信号をトリガ信号としたが、これら以外の信号をトリガ信号としてもよい。
【0023】
一方、画像コントローラ127では、省エネモードから通常モードへの移行のきっかけとなる動作として、ユーザがコントロールパネル128のスイッチを押した場合や、パーソナルコンピュータ等の外部装置131からプリント開始信号を検知した場合がある。画像コントローラ127がこれらを検知すると省エネモードから通常モードへの移行処理を開始する。
【0024】
[省エネモードから通常モードへの移行処理]
省エネモードから通常モードへの移行処理シーケンスについてタイミングチャートとフローチャートを用いて説明する。
【0025】
(画像コントローラ⇒CPU)
図2(a)、図3(a)は画像コントローラ127からCPU135への指示(通知)により、省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャート及びフローチャートである。画像コントローラ127はユーザがコントロールパネル128のスイッチを押した場合や外部装置131からプリント開始信号を検知した場合等、省エネモードから通常モードへのスリープ復帰トリガである移行トリガ信号が検知されたかどうか判断する(S10)。画像コントローラ127が移行トリガ信号を検知した場合は、CPU135に対して通常モードへの移行を指示するためにWAKEUP−B信号をLレベルからHレベルに切り替える(S11)。画像コントローラ127は内部で通常モードへの移行処理を開始する(S12)。
【0026】
CPU135はWAKEUP−B信号のLレベルからHレベルへの切り替えを検知したか判断し(S13)、切り替えを検知すればASICOFF信号をHレベルからLレベルに切り換えて電源VB、即ちASIC136の電源をオンする(S14)。CPU135は、、WAKEUP信号の信号線(WAKEUP信号線)を介して、省エネモードから通常モードへの移行を画像コントローラ127から指示されたときに、ASIC136への電力の供給を開始するよう、FET137を差動させる。
【0027】
そしてCPU135は内部タイマ135aをスタートさせ(S15)、タイマの時間Ttと電源VBが立ち上がるまでに必要な任意の所定時間Tr1とを比較する(S16)。CPU135はタイマの時間TtがTr1以上であると判断した場合にはASIC136との通信を行うための処理としてASICCLKを出力する(S17)。
【0028】
CPU135は更に内部タイマ135aをスタートさせ(S18)、タイマの時間TtとASIC136がASICCLK信号を受信してからリセット解除までに必要な所定時間Tr2とを比較する(S19)。CPU135はタイマの時間TtがTr2以上と判断した場合にはASICRST信号をLレベルからHレベルに切り替えてASIC136のリセットを解除する(S20)。CPU135は更に内部タイマ135aをスタートさせ(S21)、タイマの時間TtとASIC136がリセット解除してからADバスラインの信号受信を受け付けるまでに必要な所定時間Tr3とを比較する(S22)。CPU135は時間TtがTr3以上と判断した場合にはADB信号によりASIC136との通信を開始する(S23)。CPU135は更に内部タイマ135aをスタートさせ(S24)、タイマの時間TtとCPU135及びASIC136の通信前の初期化処理が終了するのに必要な所定時間Tr4とを比較する(S25)。CPU135が、時間TtがTr4以上と判断し、ASIC136に対して通信開始の指示をすると、ASIC136は画像コントローラ127とSC、CLK信号により通信を開始する(S26)。このような制御を行うことで省エネモードから通常モードへ移行することができる。
【0029】
(CPU⇒画像コントローラ)
図2(b)、図3(b)は本実施例のCPU135が電源スイッチ141の押下信号又はドア開閉検知信号などの移行トリガ信号を検知に応じて実行される省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャートとフローチャートである。CPU135はパワースイッチオンオフ検知信号又はドア開閉検知信号等、スイッチ信号の検知等、通常モードへの移行トリガ信号が検知されたかどうか判断する(S30)。CPU135が移行トリガ信号を検知した場合には画像コントローラ127に対して通常モードへの移行を知らせるためにWAKEUP−A信号をLレベルからHレベルに切り替える(S31)。画像コントローラ127はこの信号を検知すると内部で通常モード処理を開始する(S32)。なお、図3(b)のS33〜S45でCPU135又はASIC136が行う処理は、図3(a)のS14〜S26でCPU135又はASIC136が行う処理と同じなので、説明を省略する。このような制御を行うことで省エネモードから通常モードへ移行することができる。
【0030】
なお、省エネモード時にはCPU135の内部の動作クロックを通常よりも周波数の低い低クロックモードにしておき、通常モードに移行する際に周波数の高いクロックに変更して省エネモード時には消費電力を下げることもできる。
【0031】
本実施例によれば、省エネモード時にはASICの電源をオフでき、消費電力を抑えることができ、省電力化に有効となる。
【実施例2】
【0032】
実施例1ではCPU135と画像コントローラ127間にWAKEUP−A信号又はWAKEUP−B信号といった省エネモードから通常モードへの移行信号の信号線を2つの別の信号線として構成した。本実施例では双方向バッファを用いて1つの信号線として構成する。
【0033】
図4(a)は本実施例のエンジンコントローラ126及び画像コントローラ127、低圧電源99の詳細を示す図である。実施例1との違いとして、省エネモードから通常モードへの移行信号をWAKEUP信号として1線での双方向バッファを使用した構成とする。図4(b)は画像コントローラ127からCPU135への通知又はCPU135から画像コントローラ127への通知により、省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャートである。実施例1同様、画像コントローラ127又はCPU135が、省エネモードから通常モードへの移行が必要であると判断した場合に、画像コントローラ127又はCPU135はWAKEUP信号の出力を相手先に知らせるためにLレベルからHレベルに切り替える。WAKEUP信号をCPU135が検知した場合には実施例1の図3(a)のS11からの動作を、画像コントローラ127が検知した場合には実施例1の図3(b)のS31以降と同様の動作を行う。
【0034】
本実施例によれば、省エネモードから通常モードへの移行トリガ信号の信号線を一線でも構成させることができ、省エネモード時にはASICの電源をオフでき、消費電力を抑えることができる。
【実施例3】
【0035】
実施例1、2では省電力モードから通常モードに移行する移行トリガ信号及び画像コントローラ127からの通常モードへの移行トリガ信号をCPU135の通常のI/Oポートに接続して検知していた。本実施例ではこれらの信号接続を割り込みポートに入力して検知する。これによりCPU135が省エネモード時に、より消費電力を下げるために内部の動作クロックを停止させるクロック停止モードにした場合でも通常モードへの移行動作ができる。
【0036】
図5(a)は本実施例のエンジンコントローラ126及び画像コントローラ127、低圧電源99の詳細を示す図である。省電力モードから通常モードへの移行トリガ信号を検知するためのCPU135の入力ポートを、通常のポートではなく、CPU135のクロック停止モード状態でも検知できるように割り込みポートに入力する。ここでトリガとなる信号は、実施例1同様CPU135のパワースイッチオンオフ検知信号やドア開閉検知信号等のスイッチ信号である。また、WAKEUP−B信号についてもCPU135の割り込みポートに入力する。なお、割り込みポートを利用しているので、省エネモード時にCPU135をクロック停止モード状態にでき、よりCPU135の消費電力を下げることができる。
【0037】
(画像コントローラ⇒CPU)
図5(b)、図6(a)は画像コントローラ127からCPU135への指示により、省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャートとフローチャートである。S50〜S52までの画像コントローラ127又はCPU135が行う処理は、図3(a)のS10〜S12と同じなので説明を省略する。CPU135はWAKEUP−B信号がLレベルからHレベルへ切り替わったかどうか判断する(S53)。本実施例のCPU135は、省エネモード時にはクロックを停止しており、WAKEUP−B信号がHに切り替わるとその情報は割り込みポートに入力され、内部のCLK動作を開始し、通常モードに移行するための処理を開始する(S54)。CPU135は内部タイマ135aをスタートさせ(S55)、タイマの時間Ttと所定時間Tr5とを比較する(S56)。ここで所定時間Tr5は、CPU135の起動時の初期化処理に必要な時間である。CPU135は時間Ttが所定時間Tr5以上になったと判断すると、ASICOFF信号をHレベルからLレベルとしてASIC136の電源VBをオンする(S57)。以降、S58〜S69までのCPU135又はASIC136が行う処理は、図3(a)のS15〜S26の処理と同じなので説明を省略する。このような制御を行うことで、CPU135がクロック停止モード状態にあっても省エネモードから通常モードへ移行することができる。
【0038】
(CPU⇒画像コントローラ)
図5(c)、図6(b)はCPU135が電源スイッチ141の押下信号又はドア開閉検知信号等、割り込みポートによりユーザがアクセスしたと検知された場合のタイミングチャートとフローチャートである。CPU135は省エネモードから通常モードへの移行トリガ信号が検知されたかどうか判断する(S70)。CPU135は省エネモード時には内部クロックを停止しているが、検知信号は割り込みポートを介して入力され、スイッチ信号の検知等通常モードへの移行が必要であると判断した場合には内部クロック停止からクロック動作を開始する(S71)。CPU135は内部タイマ135aをスタートさせ(S74)、タイマの時間Ttと所定時間Tr5とを比較する(S73)。CPU135は時間TtがTr5以上と判断した場合にはASIC136の電源VBをオンさせるためにASICOFF信号をHレベルからLレベルに切り換えてASIC136の電源VBをオンする(S74)。CPU135は画像コントローラ127に対して通常モードへの移行を知らせるためにWAKEUP−A信号をLレベルからHレベルに切り替える(S75)。S76〜S87までにCPU135又はASIC136が行う処理は、図3(b)のS34〜S45と同じなので説明を省略する。このような制御を行うことで、CPU135がクロック停止モード状態にあっても省エネモードから通常モードへの移行を行うことができる。
【0039】
なお、本実施例の動作は実施例1のように通常モードへの移行信号として2線式で行う場合において説明したが、実施例2のような1線式で行うこともできる。
【0040】
本実施例によれば、割り込みポートにこれらのトリガ信号及び通常モードへの移行信号の信号線を接続させることで、省エネモード時にCPU135のクロックを停止状態にした場合でも通常モード移行することができる。そして省エネモード時により消費電力を下げることができる。
【実施例4】
【0041】
本実施例は定着器の温度を検知する素子(サーミスタ等)の温度検知手段の電源をCPU135と同じ電源に接続させる構成である。CPU135は、先に説明した低クロックモードで動作し、A/Dポートの入力を検知可能で動作しているものとする。
【0042】
図7は本実施例のエンジンコントローラ126及び画像コントローラ127、低圧電源99の詳細を示す図である。定着器109の温度を検知する素子であるサーミスタ109dの一方がGNDへ接続される。サーミスタ109dのもう一方はプルアップ抵抗209を介してCPU135の電源であるVAに接続され、また、CPU135内のA/Dポートに接続される。CPU135はサーミスタ109dと抵抗209とで分圧された電圧を、サーミスタ109dの検知結果の信号としてA/Dポートに入力し検知することにより発熱体の表面温度の検知を行うことができる。図7のように構成することで、ASICOFF信号に従うFET137のスイッチングにより、ASIC136への電力の供給が停止された場合でも、サーミスタ109dは電源VAに接続され、発熱体の表面温度の検知が省エネモード時も可能となる。
【0043】
なお、画像形成を行うという意味では、サーミスタ109dのプルアップ抵抗209を電源VBに接続しても、通常モードにおいて当然のことながら定着器を作動させることが出来る。しかし、電源VBに接続した場合には、省エネモード中に電源VBが供給されず、サーミスタ109dの電圧を検知できず、例えば発熱体の表面温度が高くなっている異常等を検知できず、安全性が低下してしまう。これに対し本実施例によれば、サーミスタ109dのプルアップをCPU135と同じ電源VAに接続することで、上記実施例1、2等の機能を実現しつつ、省エネモード時に定着器109の温度を検知することができる。そして、温度が高い等の異常があった場合に所定の処理を行う等、安全性を高めることができる。また、FET137を介した後の電源VBでサーミスタ109dをプルアップすると電源VAに対してFET137のオン抵抗分の電圧が降下してしまうが、電源VAに接続することでドロップ電圧が無く、精度の高い温度検知ができる。
【実施例5】
【0044】
本実施例は実施例1、2、3とほぼ同じであるが、省エネモードから通常モードへ移行する際に双方向の信号のやりとりをした後に通常モードへ移行する構成とする。これにより省エネモードから通常モードへの移行信号の信号線の断線並びにCPU及びASICのエラー、画像コントローラのエラーを検知することができる。
【0045】
(画像コントローラ⇒CPU)
図8(a)、図9は本実施例での画像コントローラ127からCPU135への指示により、省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャートを示す。画像コントローラ127は通常モードへの移行トリガ信号が検知されたかどうか判断する(S110)。画像コントローラ127は移行トリガ信号を検知した場合にはCPU135に対して通常モードへの移行を知らせるためにWAKEUP−B信号をLレベルからHレベルに切り替える(S111)。画像コントローラ127は、CPU135からのWAKEUP−A信号がLレベルからHレベルに切り替わった、即ちCPU135から返答があるかどうか判断する(S123)。CPU135が、WAKEUP−B信号の切り替わりを検知したあとにWAKEUP−A信号をHレベルに切り替えるのは、CPU135が正常に動作していることを画像コントローラ127に通知するためである。S123で画像コントローラ127はWAKEUP−A信号がHレベルに切り替わったと判断したら、即ちCPU135から返答があればS112へ進む。WAKEUP−A信号がHレベルに切り替わっていなければCPU135はタイマ135aをスタートさせ(S124)、タイマの値Ttがエラー検出時間Terr以上かどうか判断する(S125)。画像コントローラ127は時間TtがTerr未満であれば再度WAKEUP−A信号がLレベルからHレベルに切り替わったか判断し(S126)、切り替わっていなければS125へ戻る。WAKEUP−A信号がHへ切り替わっていればS112へ進む。
【0046】
S125でCPU135は時間Ttがエラー検出時間Terr以上と判断した場合には、画像コントローラ127とASIC136を接続している通信信号であるSC信号及びCLK信号の信号線を介してASIC136との通信を開始する(S127)。CPU135はASIC136との通信が可能かどうか判断し(S128)、通信が可能と判断するとWAKEUP−A信号が断線エラーであると判断する(S129)。CPU135は通信ができないと判断するとWAKEUP−B信号又はSC信号又はCLK信号の信号線の断線エラー又はCPU135不具合又はASIC136不具合が発生したと判断する(S130)。CPU135はS129、S130のようなエラーが発生したと判断した場合は、通常モードへの移行を行わず、省エネモードを継続する(S131)。
【0047】
S123又はS126で、画像コントローラ127がWAKEUP−A信号がLレベルからHレベルに切り替わったと判断すると、内部で通常モードへの移行の処理を開始する(S112)。S113〜S126までにCPU135又はASIC136が行う処理は図3(a)のS13〜S26と同じなので説明を省略する。このようにWAKEUP−B信号をLレベルからHレベルへ切り替えた後にWAKEUP−A信号からの返答を待つ構成とする。これによりWAKEUP−A信号、WAKEUP−B信号、SC信号、CLK信号の各信号線の断線又はCPU135、ASIC136の不具合を検知することができる。
【0048】
(CPU⇒画像コントローラ)
図8(b)、図10は本実施例のCPU135が電源スイッチ141の押下信号又はドア開閉検知信号などの移行トリガ信号を検知に応じて実行される省エネモードから通常モードへ移行する際のタイミングチャートとフローチャートである。CPU135は通常モードへの移行トリガ信号が検知されたかどうか判断する(S210)。CPU135は移行トリガ信号を検知した場合には画像コントローラ127に対して通常モードへの移行を知らせるためにWAKEUP−A信号をLレベルからHレベルに切り替える(S211)。画像コントローラ127が正常に動作していることを確認するために、CPU135はWAKEUP−B信号がLレベルからHレベルに切り替わった、即ち画像コントローラ127から返答があるかどうか判断する(S225)。ここで画像コントローラ127から返答があればS212へ進む。CPU135はWAKEUP−B信号がHレベルに切り替わっていないと判断するとタイマ135aをスタートさせ(S226)、タイマの値Ttがエラー検出時間Terr以上かどうか判断する(S227)。CPU135は時間TtがTerr未満であると判断すると再度WAKEUP−B信号がLレベルからHレベルに切り替わったか判断し(S228)、切り替わっていなければS227へ戻り、切り替わっていればS212へ進む。
【0049】
S227でCPU135は時間Ttがエラー検出時間Terr以上と判断した場合には、S229〜S241でASIC136の電源VBをオンし、CPU135とASIC136間、ASIC136と画像コントローラ127間の通信を開始する処理を行う。S229〜S241の処理は図3(b)のS33〜S45の処理と同じなので説明を省略する。
【0050】
CPU135とASIC136間、ASIC136と画像コントローラ127間の通信が開始され、CPU135がそれぞれの通信が可能かどうかを判断し(S242)、通信可能と判断すればWAKEUP−B信号の信号線の断線エラーと判断する(S243)。S242でCPU135が通信可能でないと判断したらWAKEUP−A信号の信号線の断線エラー又は画像コントローラ127の不具合によるエラーと判断する(S244)。CPU135はASICRST信号をHレベルからLレベルに切り替えてASIC136のリセットを行う(S245)。CPU135はASICCLK信号を停止し(S246)、ASICOFF信号をHレベルからLレベルに切り替えてASIC136の電源をオフする(S247)。CPU135は通常モードへの移行を行わず省電力モードを継続(保持)する(S248)。S225又はS228でCPU135がWAKEUP−B信号がLレベルからHレベルに切り替わったと判断した場合には画像コントローラ127は内部で通常モードへの移行の処理を開始する(S212)。以降、S213〜S225までにCPU135又はASIC136が行う処理は、図3(b)のS33〜S45と同じなので説明を省略する。
【0051】
このようにWAKEUP−A信号をLレベルからHレベルへ変更させた後にWAKEUP−B信号からの返答を待つことでWAKEUP−A信号、WAKEUP−B信号の信号線の断線又は画像コントローラ127の不具合エラーを検知することができる。また、不具合が発生した場合は通常モードへ移行せずに省電力モード状態を保持することができる。
【0052】
また図8の説明では電源VBの立ち上がりを待機する前に、WAKEUP−A信号やWAKEUP−B信号を通知するよう説明してきたが、通信開始前までの各種準備処理が終了したことに応じて通知するようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
99 低圧電源
127 画像コントローラ
135 CPU
136 ASIC
137 FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像情報の処理を行う画像コントローラと、
中央処理装置と集積回路とを有し、前記集積回路により画像形成に係る前記画像コントローラとの通信を行うと共に、前記画像コントローラにより処理された画像情報に基づき画像形成部の動作を制御するエンジンコントローラと、
前記エンジンコントローラに電力を供給する電源と、を備え、
画像形成を行う状態又は待機状態である第一のモードから前記第一のモードより消費電力が少ない第二のモードに移行する画像形成装置であって、
前記電源から前記集積回路への電力の供給を前記第二のモードにおいて停止し、前記第一のモードにおいては電力の供給を開始する切り替え手段と、
前記画像コントローラと前記中央処理装置との間で、前記第二のモードから前記第一のモードへの移行に関する通知を行う為の通信ラインと、を備え、
前記中央処理装置は、前記通信ラインを介して、前記第二のモードから前記第一のモードへの移行を前記画像コントローラから指示されたときに、前記集積回路への電力の供給を開始するように前記切り替え手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通信ラインを介して、前記中央処理装置から前記画像コントローラに対して、前記第二のモードから前記第一のモードへ移行する通知が行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通信ラインは、前記中央処理装置の割り込みポートに接続されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通信ラインは、双方向に通信可能な1の信号線であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像コントローラは、前記通信ラインにより前記中央処理装置に対して前記通知を行った後に、前記中央処理装置から前記画像コントローラに対して前記通信ラインを介しての通知がなかった場合には、前記第二のモードを継続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中央処理装置は、前記通信ラインを介して前記画像コントローラに対して前記通知を行った後に、前記画像コントローラから前記中央処理装置に対して前記通信ラインを介しての通知がなかった場合には、前記第二のモードを継続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、記録材上に形成された画像を定着させる定着手段の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記温度検知手段は、前記切り替え手段により前記集積回路への電力の供給が停止された場合でも、前記電源からの電力供給を受け、該温度検知手段による検知結果である信号は前記中央処理装置に入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−76014(P2011−76014A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230030(P2009−230030)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】