画像形成装置
【課題】 不要な描画対象の存在によって生ずる描画処理の遅滞を防ぐとともに、描画処理の性能や図形数に応じた描画処理によって画像処理の高速化を図る。
【解決手段】 後に描画される描画オブジェクトに先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを削除するオブジェクトリスト削除部104と、後に描画される描画プリミティブに先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを削除するディスプレイリスト削除部106と、ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行うページラスタライズ部107と、を備え、さらに、描画オブジェクト数、描画プリミティブ数、ハードウェア性能等にもとづいてオブジェクトリスト削除部104やディスプレイリスト削除部106の実行を制御する制御部108を備えた構成とする。
【解決手段】 後に描画される描画オブジェクトに先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを削除するオブジェクトリスト削除部104と、後に描画される描画プリミティブに先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを削除するディスプレイリスト削除部106と、ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行うページラスタライズ部107と、を備え、さらに、描画オブジェクト数、描画プリミティブ数、ハードウェア性能等にもとづいてオブジェクトリスト削除部104やディスプレイリスト削除部106の実行を制御する制御部108を備えた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画されない図形を予め処理対象から除外することにより描画処理の高速化を図る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやスキャナなどの画像形成装置においては、プロセッサの高速化、メモリの大容量化、データ圧縮技術の向上等によって処理速度が格段に向上している。
しかしながら、ハイエンドの画像形成装置は高価であるため利用者は限定的であり、現実には、高速化のメリットを受ける者は極めて少ないのが現状である。
【0003】
このため、描画前に形成される中間リスト(ディスプレイリスト)の記憶領域を減少させることによってビットマップ処理の速度向上を目的とした画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような画像処理装置によれば、従来の装置構成を踏襲しつつ高速化を実現することが可能となっている。
【0004】
図12は、特許文献1に係る画像形成装置に用いられる従来の描画処理を説明するための説明図である-。
同図に示すように、特許文献1に記載される画像処理装置は、先に描画される図形701の描画領域が、後に描画される図形702の描画領域に包含される場合には、中間リスト記憶手段から図形701の中間リストを削除するようにしている。
つまり、描画対象を減らすことによって高速化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−88367号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上のような画像処理装置においては、中間リストのすべてについて包含の有無を判定する必要があるため以下の問題が発生していた。
すなわち、対比する中間リストの数に比例して必要な処理数が相乗的に増加するため、中間リストの数が多い場合には処理速度が低下する現象が生じていた。
例えば、図13は、従来の描画処理における問題を説明するための説明図である。
ここで、同図に示す中間リストにおいては、図形801、図形802、・・・図形807の順に描画順序が設定されているものとする。
【0007】
このため、例えば、図形802に関しては、その図形が図形801を完全に包含するか否かの判定を行う。
また、図形803に関しては、その図形が図形801や図形802を完全に包含するか否かの判定を行う。
【0008】
したがって、n個の図形を描画する場合には、上記の包含判定をn・(n−1)/2回行う必要がある。
しかも、中間リストにおいては、対象図形が複雑な場合、演算の都合上、単純な基本図形(描画プリミティブ)に分割されるため、判定回数はさらに増加することとなる。
例えば、中間リストの一図形が図形803のような星形である場合、図形803a〜図形803eのそれぞれについて包含判定を行う必要があるため、その分処理負担が増えることとなる。
このように、描画処理の負担を軽減するために実施していた描画処理の簡略化が、その前処理にあたる判定処理によって負担が嵩み、かえって描画速度を低下させるものとなっていた。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、不要な描画対象の存在によって生ずる描画処理の遅滞を防ぐとともに、描画処理の性能や図形数に応じた適切な画像処理制御を柔軟に行うことによって、その効果をより大きなものとする画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、印刷データに含まれる一以上の描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応づけたオブジェクトリストを作成し、記憶するオブジェクトリスト作成手段と、先に描画される描画オブジェクトと後に描画される描画オブジェクトとを対比し、前記後に描画される描画オブジェクトに前記先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを前記オブジェクトリストから削除するオブジェクトリスト削除手段と、前記オブジェクトリストをなす描画オブジェクトを分割して得られる描画プリミティブを前記描画順序にしたがって対応付けたディスプレイリストを作成し、記憶するディスプレイリスト作成手段と、先に描画される描画プリミティブと後に描画される描画プリミティブとを対比し、前記後に描画される描画プリミティブに前記先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを前記ディスプレイリストから削除するディスプレイリスト削除手段と、前記ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行う画像形成手段とを備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、描画対象の形状のみならず、その数や装置性能に応じて効果的に描画速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るオブジェクトリスト作成部及びオブジェクト削除部の動作を説明するための模式図である。
【図3】描画オブジェクトの包含判定を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第一実施形態の包含判定の対象外となる特殊図形の例を示した図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るディスプレイリスト作成部及びディスプレイリスト削除部の動作を説明するための模式図である。
【図6】描画プリミティブの包含判定を説明するための模式図である。
【図7A】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第一のフローチャートである。
【図7B】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第二のフローチャートである。
【図7C】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第三のフローチャートである。
【図7D】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第四のフローチャートである。
【図7E】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第五のフローチャートである。
【図8】本発明の第二実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第二実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施形態に係るバンド処理を説明するための図である。
【図12】従来の描画処理を説明するための図である。
【図13】従来の描画処理における問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置の好ましい実施形態について図1〜図11を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、プリントデータ受信記憶部101と、PDL解析部102と、オブジェクトリスト作成部103と、オブジェクトリスト削除部104と、ディスプレイリスト作成部105と、ディスプレイリスト削除部106と、ページラスタライズ部107とを備えている。
【0014】
プリントデータ受信記憶部101は、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェースであり、図示しないホストコンピュータ等から通信ケーブル等を介して画像データを受信する制御ボードを備える。また、この制御ボードは、受信した印刷データをメモリ等の記憶媒体にバッファリングする処理も行う。
PDL解析部102は、プリントデータ受信記憶部101によってバッファリングされた印刷データを所謂インタープリタによって解析するための制御ボードを備える。
具体的には、印刷データから描画オブジェクトを抽出し、図示しない不揮発メモリ等に一時的に保持する処理を行う。
【0015】
オブジェクトリスト作成部103は、PDL解析部102によって解析され抽出された描画オブジェクトに基づいてオブジェクトリストを作成し、所定の記憶媒体に記憶するための制御ボードを備える。
具体的には、図2(a)に示すように、各描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応付け、これらをオブジェクトリストとして不揮発メモリ等に記憶する。(本発明のオブジェクトリスト作成手段の動作)。
【0016】
オブジェクトリスト削除部104は、先に描画される描画オブジェクトが、後に描画される描画オブジェクトによって隠される否かを判定するとともに、その判定の結果によって隠されると判定された先の描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する制御ボードを備える(本発明のオブジェクトリスト削除手段の動作)。
例えば、図2(b)に示すように、先の描画される描画オブジェクト(m)と後に描画される描画オブジェクト(m+1)との包含判定を行い、その結果、描画オブジェクト(m)が描画オブジェクト(m+1)によって包含されると判定した場合には、描画オブジェクト(m)に対応するオブジェクトリストを削除する処理を行う(本発明のオブジェクトリスト削除手段の動作)。
【0017】
ここで、オブジェクトリスト削除部104の動作について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本実施形態における描画オブジェクトの包含判定を詳細に説明するための図である。
本実施形態では、バウンディングボックス領域と最大矩形領域を用いた図形の包含判定を行うこととする。
【0018】
バウンディングボックス領域とは、対象図形の全体を包含する最小の矩形領域をいう。
例えば、図3(a)左図に示す三角形の描画オブジェクト201の場合、この描画オブジェクト201に外接する最小の矩形領域202がバウンディングボックス領域に相当する。
最大矩形領域とは、各辺が交差せず、かつ、凹部及び凸部が存在しない対象図形の内部に形成される領域であって、この対象図形を形成する2つの平行辺とその端点を垂足とした垂線によって形成される矩形領域をいう。
例えば、図3(a)右図に示す台形の描画オブジェクト203の場合、この描画オブジェクト203に内接する矩形領域204が最大矩形領域に相当する。
そして、一の図形のバウンディングボックス領域が、他の図形の最大矩形領域に完全に包含される場合、当該一の図形は他の図形に包含されると判定することができる。
【0019】
本実施形態のオブジェクトリスト削除部104は、この判定手法を利用したものであり、具体的には、先の描画に係る描画オブジェクトのバウンディングボックス領域と、後の描画に係る描画オブジェクトの最大矩形領域とを対比し、そのバウンディングボックス領域がその最大矩形領域にすべて包含される場合に、先の描画に係る描画オブジェクトは後の描画に係る描画オブジェクトに包含されると判定する。
例えば、図3(b)左図の場合、描画オブジェクト201のバウンディングボックス領域202が、描画オブジェクト203の最大矩形領域204にすべて含まれるため、描画オブジェクト201は、描画オブジェクト203に包含されると判定する。
一方、図3(b)右図の場合、描画オブジェクト201のバウンディングボックス領域202が、描画オブジェクト203の最大矩形領域204にすべて包含されていないため、描画オブジェクト201は、描画オブジェクト203に包含されないと判定する。
そして、オブジェクトリスト削除部104は、このような包含判定の結果、先の描画に係る描画オブジェクトが、後の描画に係る描画オブジェクトにすべて包含されると判定された場合、当該先の描画に係る描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する処理を行う。
【0020】
なお、図4(a)に示すように、2つの平行辺を有しない図形、辺同士が交差している図形、凹部や凸部を有している図形等は、最大矩形領域を有さない。このため、このような図形は、上述した包含判定の内の他のオブジェクトを隠すオブジェクトの対象から除外する。
また、図4(b)に示すように、描画オブジェクトが混色や透過の属性を有する図形についても、他の描画オブジェクトを隠すオブジェクトの対象から除外するとともに、他の描画オブジェクトから隠されるオブジェクトの対象からも除外する。これは、図形が混色や透過の属性を有する場合、他の図形との重なり部分をその属性に応じて描画する必要があるためである。
このように、特殊な図形については、描画を省略できない可能性が高いため、予め包含判定の対象から除外することで、描画処理の安定性及び確実性を確保することとしている。
【0021】
ディスプレイリスト作成部105は、描画オブジェクトを簡易な形に分割した描画プリミティブ
にもとづいてディスプレイリストを作成し、所定の記憶媒体に記憶する制御ボードを備える。
具体的には、図5(a)に示すように、各描画プリミティブに対応するディスプレイリストをその描画順序にしたがって対応付け、これらを不揮発メモリ等に記憶する。(本発明のディスプレイリスト作成手段の動作)。
特に、本実施形態では、オブジェクトリスト削除部104によって不要な描画オブジェクトを削除された後のオブジェクトリストを対象としてディスプレイリストを作成する。
【0022】
ディスプレイリスト削除部106は、先に描画される描画プリミティブが後に描画される描画プリミティブによって包含されるか否かを判定するとともに、その判定結果によって特定された描画プリミティブをディスプレイリストから削除する制御ボードを備える。
例えば、図5(b)に示すように、先の描画される描画プリミティブ(n)と後に描画される描画プリミティブ(n+1)との包含判定を行い、その結果、描画プリミティブ(n)が描画プリミティブ(n+1)によって包含されると判定した場合には、描画プリミティブ(n)に対応するディスプレイリストを削除する処理を行う(本発明のディスプレイリスト削除手段の動作)。
【0023】
ディスプレイリスト削除部106の動作について図6を参照しながら詳細に説明する。
なお、図6(a)に示すように、ディスプレイリスト作成部105は、予め、先の描画に係る星形の描画オブジェクト300を分割し、これにより5個の描画プリミティブ(301〜305)を取得したものとする。
また、同図(b)に示すように、描画オブジェクト300(描画プリミティブ301〜305)の後に描画されるものとして描画オブジェクト400(すなわち、描画プリミティブ400)の存在があり、これらオブジェクトリスト図形の領域の一部が重複するものとする。
【0024】
ここで、ディプレイリスト削除部106は、描画プリミティブ単位で各図形を対比し、描画プリミティブ毎に包含判定を行う。
具体的には、描画プリミティブ301〜305の各バウンディングボックス領域と、描画プリミティブ400最大矩形領域とをそれぞれ対比する。
【0025】
そして、ディプレイリスト削除部106は、このような包含判定の結果、先の描画に係る描画プリミティブのうち、後の描画に係る描画プリミティブにすべて包含されると判定された描画プリミティブをディスプレイリストから削除する。
例えば、同図(b)の例では、描画プリミティブ301のバウンディングボックス領域が、描画プリミティブ400の最大矩形領域に完全に包含されることが判定されるため、この描画プリミティブ301をディスプレイリストから削除する処理を行う。
【0026】
図1に示すように、ページラスタライズ部107は、ディスプレイリストとして記憶されてある描画プリミティブをビットマップ化して画像形成する制御ボードを備える(本発明の画像形成手段の動作)。
このように、本実施形態では、不要な描画オブジェクト及び描画プリミティブを排除することによって、ページラスタライズ部107における画像処理の負荷を極力抑えて高速化を実現するものである。
【0027】
なお、プリントデータ受信記億部101、PDL解析部102、オブジェクトリスト作成部103、オブジェクトリスト削除部104、ディスプレイリスト作成部105、ディスプレイリスト削除部106及びページラスタライズ部107にそれぞれ備えられている制御ボードは、CPU(Central Processing Unit)やチップセット等の制御要素、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。各制御ボードは、互いに連携し、画像形成装置1のコンピュータを形成する。CPUは、プログラムに記述された処理を実行する演算処理装置である。また、ROMは、プログラムおよびデータを予め記憶した不揮発性のメモリである。また、RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムおよびデータを一時的に記憶して、作業領域として用いるメモリである。
プログラムが実行されることにより、各制御ボードは、CPU内に上記の各手段を機能ブロックとして構成し、各部のハード要素を、プリントデータ受信記憶部101,PDL解析部102、オブジェクトリスト作成部103、オブジェクトリスト削除部104、ディスプレイリスト作成部105、ディスプレイリスト削除部106及びページラスタライズ部107として機能させる。
【0028】
次に、本実施形態の画像処理手順について図7A〜図7Eを参照しながら説明する。
図7A〜図7Eは、本実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【0029】
図7Aに示すように、まず、本実施形態の画像形成装置1は、プリントデータ受信記憶部101が、図示しないホストコンピュータ等から印刷データを受信する(S11)。
そして、PDL解析部102が、受信した印刷データに記述してある描画命令を解釈し、印刷データから描画対象となる描画オブジェクトを抽出する(S12)。なお、抽出した描画オブジェクトは、不揮発メモリ等に一時的に記憶させておく。
【0030】
次に、オブジェクトリスト作成部103は、ページに含まれる描画オブジェクトからなるオブジェクトリストを順次作成する(S13)。なお、この処理は、所定のページ排出命令が発せられるまで行う(ループ2)。これにより、描画順序が付されたオブジェクトリストがページ単位で作成される。
ここで、オブジェクトリスト削除部104は、「不要なオブジェクトリストを削除する処理」(図7B〜図7C)に移行する(S14)。
【0031】
図7B乃至図7Cは、「不要なオブジェクトリストを削除する」手順を示したフローチャートである。
まず、オブジェクトリスト削除部104は、オブジェクトリストに対応する描画オブジェクトが、混色又は透過の属性をもつ図形か否かを判定する(S141)。
【0032】
S141の結果、対象の描画オブジェクトが混色図形又は透過図形であると判定された場合(S141:YES)、オブジェクトリスト作成部103は、その描画オブジェクトは他の描画オブジェクトを隠す対象でなく、また、他の描画オブジェクトから隠される対象でもないことを示す識別符号を、その描画オブジェクトに付してオブジェクトリストに記憶する(S142)。
一方、S141の結果、対象の描画オブジェクトが、混色図形又は透過図形でないと判定された場合(S141:NO)、オブジェクトリスト作成部103は、その描画オブジェクトのバウンディングボックス領域Bを算出し、これをオブジェクトリストに記憶する(S143)。
ここで、最大矩形領域が求められない描画オブジェクトについては、他の描画オブジェクトを隠す対象ではないことを示す識別符号を付してオブジェクトリストに記憶する。
具体的には、図4(a)に示す描画オブジェクトが該当する。
【0033】
次いで、オブジェクトリスト作成部103は、描画オブジェクトの最大矩形領域Rを算出し、これもオブジェクトリストに記憶する(S144)。
なお、S141〜S144までの処理は、描画オブジェクトの数分だけ繰り返して実行する(ループ3)。
【0034】
次に、図7Cに示すように、オブジェクトリスト削除部104は、i番目(iは2以上の整数)に描画される描画オブジェクトが他の描画オブジェクトを隠す対象か否かを判定する(S145)。
具体的には、i番目の描画オブジェクトから、S142で付した識別符号が検出されなければ、その描画オブジェクトは、他の描画オブジェクトを隠す可能性がある対象と判定するものである。
【0035】
S145の結果、i番目の描画オブジェクトが、他の描画オブジェクトを隠す対象であると判定された場合(S145:YES)、次いで、オブジェクトリスト削除部104は、j番目(jは1以上の整数で、かつ、j<i)に描画される描画オブジェクトが他の描画オブジェクトに隠される対象か否かを判定する(S146)。
具体的には、j番目の描画オブジェクトから、S142で付した識別符号が検出されなければ、その描画オブジェクトは、他の描画オブジェクトから隠される可能性がある対象であると判定するものである。
【0036】
ステップS146の結果、j番目の描画オブジェクトが、他の描画オブジェクトから隠される対象であると判定された場合(S146:YES)、オブジェクトリスト削除部104は、このj番目の描画オブジェクトのバウンディングボックス領域Bjとi番目の描画オブジェクトの最大矩形領域Riを比較する(S147)。
【0037】
続いて、オブジェクトリスト削除部104は、最大矩形領域Riがバウンディングボックス領域Bjを包含するか否かを判定する(S148)。
この結果、最大矩形領域Riが、バウンディングボックス領域Bjを完全に包含すると判定された場合(S148:YES)、オブジェクトリスト削除部104は、j番目の描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する(S149)。
一方、S148の結果、最大矩形領域Riが、バウンディングボックス領域Bjを完全に包含すると判定されなかった場合(S148:NO)、オブジェクトリスト削除部104は、特段の処理(S149のような間引き処理)は行わない。
なお、S145〜S149は、他の描画オブジェクトを隠す描画オブジェクトの数に応じ、また、他の描画オブジェクトから隠される描画オブジェクトの数に応じ、それらのすべての組み合わせについて行う(ループ4,5)
これによって、「不要なオブジェクトリストを削除する」一連の処理は終了し、次いで、図7AのS15に移行する。
【0038】
図7Aに示すように、S15では、ディスプレイリスト作成部105が、ページのオブジェクトリストにもとづいて、ディスプレイリストを作成する(S15)。
次に、ディスプレイリスト削除部106は、「不要なディスプレイリストを削除する処理」(図7D〜図7E)に移行する(S16)。
【0039】
図7D乃至図7Eは、不要なディスプレイリストを削除する手順を示したフローチャートである。
これらの図に示すように、まず、ディスプレイリスト削除部106は、ディスプレイリストに対応する描画プリミティブが、混色又は透過の属性をもつ図形か否かを判定する(S161)。
【0040】
S161の結果、対象の描画プリミティブが混色図形又は透過図形であると判定された場合(S161:YES)、ディスプレイリスト作成部105は、その描画プリミティブは他の描画プリミティブを隠す対象でなく、また、他の描画プリミティブから隠される対象でもないことを示す識別符号を、その描画プリミティブに付してディスプレイリストに記憶する(S162)。
一方、S161の結果、対象の描画プリミティブが、混色図形又は透過図形でないと判定された場合(S161:NO)、ディスプレイリスト作成部105は、その描画プリミティブのバウンディングボックス領域Bを算出し、これをディスプレイリストに記憶する(S163)。
次いで、ディスプレイリスト作成部105は、描画プリミティブの最大矩形領域Rを算出し、これもディスプレイリストに記憶する(S164)。
ここで、最大矩形領域が求められない描画プリミティブについては、他の描画プリミティブを隠す対象ではないことを示す識別符号を付してディスプレイリストに記憶する。
なお、S161〜S164までの処理は、描画プリミティブの数分だけ繰り返して実行する(ループ6)。
【0041】
次に、図7Eに示すように、ディスプレイリスト削除部106は、k番目(kは2以上の整数)に描画される描画プリミティブが他の描画プリミティブを隠す対象か否かを判定する(S165)。
具体的には、k番目の描画プリミティブから、S162で付した識別符号が検出されなければ、その描画プリミティブは、他の描画プリミティブを隠す可能性がある対象と判定するものである。
【0042】
S165の結果、k番目の描画プリミティブが、他の描画プリミティブを隠す対象であると判定された場合(S165:YES)、次いで、ディスプレイリスト削除部106は、l番目(lは1以上の整数で、かつ、l<k)に描画される描画プリミティブが他の描画プリミティブに隠される対象か否かを判定する(S166)。
具体的には、l番目の描画プリミティブから、S162で付した識別符号が検出されなければ、その描画プリミティブは、他の描画プリミティブから隠される可能性がある対象であると判定するものである。
【0043】
ステップS166の結果、l番目の描画プリミティブが、他の描画プリミティブから隠される対象であると判定された場合(S166:YES)、ディスプレイリスト削除部106は、このl番目の描画プリミティブのバウンディングボックス領域Blとk番目の描画プリミティブの最大矩形領域Rkを比較する(S167)。
【0044】
続いて、ディスプレイリスト削除部106は、最大矩形領域Rkがバウンディングボックス領域Blを包含するか否かを判定する(S168)。
この結果、最大矩形領域Rkが、バウンディングボックス領域Blを完全に包含すると判定された場合(S168:YES)、ディスプレイリスト削除部106は、l番目の描画プリミティブをディスプレイリストから削除する(S169)。
一方、S168の結果、最大矩形領域Rkが、バウンディングボックス領域Blを完全に包含すると判定されなかった場合(S168:NO)、ディスプレイリスト削除部106は、特段の処理(S169のような間引き処理)は行わない。
なお、S165〜S169は、他の描画プリミティブを隠す描画プリミティブの数に応じ、また、他の描画プリミティブから隠される描画プリミティブの数に応じ、それらのすべての組み合わせについて行う(ループ7,8)
これによって、「不要なディスプレイリストを削除する」一連の処理は終了し、次いで、図7AのS17に移行する。
【0045】
図7Aに示すように、S17では、ページラスタライズ部107が、ページのディスプレイリストをラスタライズする(S17)。
なお、ループ2を含め、S13〜S17の処理を、所定のデータ終了命令が発せられるまで繰り返す(ループ1)ことで、本実施形態に係る一連の画像処理は終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置によれば、印刷データから抽出される描画オブジェクトについて、所定の包含判定にもとづく間引き処理を行うようにしている。
具体的には、先に描画される描画オブジェクトが後に描画される描画オブジェクトに完全に包含される場合には、先に描画される描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除するようにしている。これにより、関連するメモリ等のリソースを解放することができる。
さらに、残った描画オブジェクトを簡易な形状である描画プリミティブに分割し、各描画プリミティブに対しても同様の処理を行うようにしている。
そして、このようにして描画対象を相当数減らした上でビットマップ化処理を行って画像形成処理を行うようにしている。
すなわち、本実施形態の画像形成装置1によれば、オブジェクトリスト生成処理、ディスプレイリスト生成処理及びディスプレイリストのビットマップ処理を並列して実行することによって、画像処理量を極力抑え、描画処理時間を効果的に短縮するようにしている。
【0047】
また、単に描画対象となる図形そのものの比較を行うのではなく、簡単な矩形領域(最大矩形領域・バウンディングボックス領域)を基準として、その図形が他の図形を隠すのか、又は、他の図形から隠されるのか、といった包含判定を行うようにしている。
このため、単純な矩形領域にもとづく包含判定が可能となり、当該処理を迅速に実行することができる。
なお、最大矩形領域を有しない図形、混色・透過が設定されている図形といった特殊な図形については、包含判定の一部又は全部を省略するようにしているため、画像形成処理に係る負荷の軽減を図ることができる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る画像形成装置について図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、オブジェクトリスト削除部104又はディスプレイリスト削除部106の実行を制御する点において特徴を有する。
具体的には、第一実施形態では、不要な描画オブジェクト又は描画プリミティブを検出し、これらを間引くことで描画処理を高速化することとしているが、本実施形態では、CPUやメモリなどの画像処理に関する性能値や描画オブジェクトや描画プリミティブなどの図形数を、間引きの適否を決めるための要素として加え、それらの数値が所定の条件を満たす場合に限り、不要な図形の間引き処理を行うこととしている。
【0049】
つまり、図形数が少ない場合や処理能力が高い場合には、特段の措置を採らずとも高速処理が可能となるため、このような場合、対象図形の間引き処理やその処理に関する一連のプロセスを省略するようにしたものである。他の構成要素は第一実施形態と同様である。
したがって、図8において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、本実施形態の画像形成装置1aは、制御部108をさらに備える。
図9は、制御部108の構成を示したブロック図である。
同図に示すように、制御部108は、所定の制御ボードを備えており、性能値保持手段1081と、図形数算出手段1082と、描画制御手段1083とを有している。
性能値保持手段1081は、画像形成装置1aの画像処理能力を保持する制御ボードを備える。
具体的には、画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量またはこれらの値から換算される所定の性能値を不揮発メモリ等に記憶して保持させておく。
例えば、この能力値は高いほど画像処理能力は高く、高速化が可能となる。
【0051】
図形数算出手段1082は、描画オブジェクトや描画プリミティブの図形数を計数する制御ボードを備える。
具体的には、オブジェクトリスト作成部103又はディスプレイリスト作成部105にアクセスして、ページ毎に描画対象となる描画オブジェクトや描画プリミティブの図形数を求める。
描画制御手段1083は、前記性能値と前記図形数にもとづき、これらが所定値又は所定の範囲である場合に、オブジェクトリスト削除部104若しくはディスプレイリスト削除部106又はその両方の実行を制限する制御を行う制御ボードを備える。
この所定値や所定の範囲は、変更可能である。このため、実際に使用しながら処理速度が最速となる適切な値や範囲に変更することが可能である。
【0052】
したがって、本実施形態の構成によれば、制御部108が、不要な描画対象を削除する処理を行った方が画像処理速度は速いと判断した場合に限り、オブジェクトリスト削除部104又はディスプレイリスト削除部106に対し、前述の間引き処理を実行させるようにしている。
つまり、上述した描画省略を行わない方がむしろ画像形成処理を速くできる場合があるため、本実施形態ではこのようなケースにも対応しうる機能を備えたものである。
【0053】
次に、本実施形態の画像処理手順について図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【0054】
図10に示すように、まず、本実施形態の画像形成装置1aは、プリントデータ受信記憶部101が、図示しないホストコンピュータ等から印刷データを受信する(S21)。
そして、PDL解析部102が、受信した印刷データに記述してある描画命令を解釈し、印刷データから描画対象となる描画オブジェクトを抽出する(S22)。なお、抽出した描画オブジェクトは、不揮発メモリ等に一時的に記憶させておく。
次に、オブジェクトリスト作成部103は、ページに含まれる描画オブジェクトからなるオブジェクトリストを順次作成する(S23)。なお、この処理は、所定のページ排出命令が発せられるまで行う(ループ12)。これにより、描画順序が付されたオブジェクトリストがページ単位で作成される。
【0055】
続いて、制御部108は、不要なオブジェクトリストを削除するか否かを判定する(S24)。
具体的には、性能値保持手段1081が保持する画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量を示す所定の性能値と、図形数算出手段1082が算出した描画オブジェクトの数にもとづき、不要なオブジェクトリストを削除するか、否かを判定する。
S24の結果、制御部108が、不要なオブジェクトリストを削除すると判定した場合(S24:YES)、「不要なオブジェクトリストを削除する処理」に移行する(S25)。
なお、この「不要なオブジェクトリストを削除する処理」は、第一実施形態における処理動作(図7B参照)と同様であるためその説明は省略する。
一方、S24の結果、制御部108が、不要なオブジェクトリストを削除すると判定しなかった場合(S24:NO)、若しくは、S25に続き、ディスプレイリスト作成部105は、ページのオブジェクトリストにもとづいて、ディスプレイリストを作成する。
【0056】
ここで、制御部108は、不要なディスプレイリストを削除するか否かを判定する(S27)。
具体的には、性能値保持手段1081が保持する画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量を示す所定の性能値と、図形数算出手段1082が算出した描画プリミティブの数にもとづき、不要なディスプレイリストを削除するか、否かを判定する。
【0057】
S27の結果、制御部108が、不要なディスプレイリストを削除すると判定した場合(S27:YES)、「不要なディスプレイリストを削除する処理」に移行する(S28)。
この「不要なディスプレイリストを削除する処理」は、第一実施形態における処理動作(図7C参照)と同様であるためその説明は省略する。
一方、S27の結果、制御部108が、不要なディスプレイリストを削除すると判定しなかった場合(S27:NO)、若しくは、S28に続き、ページラスタライズ部107が、ページのディスプレイリストをラスタライズする(S29)。
なお、ループ12を含め、S23〜S29の処理を、所定のデータ終了命令が発せられるまで繰り返す(ループ11)ことで、本実施形態に係る一連の画像処理は終了する。
【0058】
以上、本実施形態に係る画像形成装置1aによれば、装置のCPUやメモリといったハードウェアの性能を考慮し、また、オブジェクトの形状を形作るパスの数も考慮に入れ、そのまま描画処理を行うか、または、描画対象を削除する処理を行うか、を判断するようにしている。
すなわち、簡単な描画で、かつ、ハードウェア性能が十分に高い場合に、描画対象が隠されるか否かといった判定は行わずに、そのまま描画処理を行うことで、全体としてはより高速な処理を実現するものである。
【0059】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0060】
具体的には、本実施形態におけるオブジェクトリスト削除部104及びディスプレイリスト削除部106は、包含判定をページ単位で行うのではなく、バンド領域ごとに行ういわゆるバンド処理に対応することができる。
例えば、図11は、先に描画される図形602は、後に描画される図形によって完全に包含されないため、削除対象とはならないケースを例示するものである。
このような場合、ページ領域に含まれる各図形を一定のバンド毎に分割することによって、同図(b)に示すように、不要な図形として新たに図形604を削除対象として検出できるようになるため、さらに円滑な画像処理を可能とすることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、各構成部の制御ボードが互いに連携して画像形成装置のコンピュータを構成するものとしたが、画像形成装置1の例えばPD解析部102若しくは制御部108に主制御ボードを備えて、この主制御ボードによりコンピュータを構成し、各ハード要素を制御しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、プリンタ装置、コピー機、複合機等の画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
101 プリントデータ受信記憶部
102 PDL解析部
103 オブジェクトリスト作成部
104 オブジェクトリスト削除部
105 ディスプレイリスト作成部
106 ディスプレイリスト削除部
107 ページラスタライズ部
108 制御部
1081 性能値保持手段
1082 図形数算出手段
1083 描画制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画されない図形を予め処理対象から除外することにより描画処理の高速化を図る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやスキャナなどの画像形成装置においては、プロセッサの高速化、メモリの大容量化、データ圧縮技術の向上等によって処理速度が格段に向上している。
しかしながら、ハイエンドの画像形成装置は高価であるため利用者は限定的であり、現実には、高速化のメリットを受ける者は極めて少ないのが現状である。
【0003】
このため、描画前に形成される中間リスト(ディスプレイリスト)の記憶領域を減少させることによってビットマップ処理の速度向上を目的とした画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような画像処理装置によれば、従来の装置構成を踏襲しつつ高速化を実現することが可能となっている。
【0004】
図12は、特許文献1に係る画像形成装置に用いられる従来の描画処理を説明するための説明図である-。
同図に示すように、特許文献1に記載される画像処理装置は、先に描画される図形701の描画領域が、後に描画される図形702の描画領域に包含される場合には、中間リスト記憶手段から図形701の中間リストを削除するようにしている。
つまり、描画対象を減らすことによって高速化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−88367号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上のような画像処理装置においては、中間リストのすべてについて包含の有無を判定する必要があるため以下の問題が発生していた。
すなわち、対比する中間リストの数に比例して必要な処理数が相乗的に増加するため、中間リストの数が多い場合には処理速度が低下する現象が生じていた。
例えば、図13は、従来の描画処理における問題を説明するための説明図である。
ここで、同図に示す中間リストにおいては、図形801、図形802、・・・図形807の順に描画順序が設定されているものとする。
【0007】
このため、例えば、図形802に関しては、その図形が図形801を完全に包含するか否かの判定を行う。
また、図形803に関しては、その図形が図形801や図形802を完全に包含するか否かの判定を行う。
【0008】
したがって、n個の図形を描画する場合には、上記の包含判定をn・(n−1)/2回行う必要がある。
しかも、中間リストにおいては、対象図形が複雑な場合、演算の都合上、単純な基本図形(描画プリミティブ)に分割されるため、判定回数はさらに増加することとなる。
例えば、中間リストの一図形が図形803のような星形である場合、図形803a〜図形803eのそれぞれについて包含判定を行う必要があるため、その分処理負担が増えることとなる。
このように、描画処理の負担を軽減するために実施していた描画処理の簡略化が、その前処理にあたる判定処理によって負担が嵩み、かえって描画速度を低下させるものとなっていた。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、不要な描画対象の存在によって生ずる描画処理の遅滞を防ぐとともに、描画処理の性能や図形数に応じた適切な画像処理制御を柔軟に行うことによって、その効果をより大きなものとする画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、印刷データに含まれる一以上の描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応づけたオブジェクトリストを作成し、記憶するオブジェクトリスト作成手段と、先に描画される描画オブジェクトと後に描画される描画オブジェクトとを対比し、前記後に描画される描画オブジェクトに前記先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを前記オブジェクトリストから削除するオブジェクトリスト削除手段と、前記オブジェクトリストをなす描画オブジェクトを分割して得られる描画プリミティブを前記描画順序にしたがって対応付けたディスプレイリストを作成し、記憶するディスプレイリスト作成手段と、先に描画される描画プリミティブと後に描画される描画プリミティブとを対比し、前記後に描画される描画プリミティブに前記先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを前記ディスプレイリストから削除するディスプレイリスト削除手段と、前記ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行う画像形成手段とを備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、描画対象の形状のみならず、その数や装置性能に応じて効果的に描画速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るオブジェクトリスト作成部及びオブジェクト削除部の動作を説明するための模式図である。
【図3】描画オブジェクトの包含判定を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第一実施形態の包含判定の対象外となる特殊図形の例を示した図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るディスプレイリスト作成部及びディスプレイリスト削除部の動作を説明するための模式図である。
【図6】描画プリミティブの包含判定を説明するための模式図である。
【図7A】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第一のフローチャートである。
【図7B】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第二のフローチャートである。
【図7C】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第三のフローチャートである。
【図7D】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第四のフローチャートである。
【図7E】本発明の第一実施形態の画像処理手順を示した第五のフローチャートである。
【図8】本発明の第二実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第二実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施形態に係るバンド処理を説明するための図である。
【図12】従来の描画処理を説明するための図である。
【図13】従来の描画処理における問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置の好ましい実施形態について図1〜図11を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、プリントデータ受信記憶部101と、PDL解析部102と、オブジェクトリスト作成部103と、オブジェクトリスト削除部104と、ディスプレイリスト作成部105と、ディスプレイリスト削除部106と、ページラスタライズ部107とを備えている。
【0014】
プリントデータ受信記憶部101は、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェースであり、図示しないホストコンピュータ等から通信ケーブル等を介して画像データを受信する制御ボードを備える。また、この制御ボードは、受信した印刷データをメモリ等の記憶媒体にバッファリングする処理も行う。
PDL解析部102は、プリントデータ受信記憶部101によってバッファリングされた印刷データを所謂インタープリタによって解析するための制御ボードを備える。
具体的には、印刷データから描画オブジェクトを抽出し、図示しない不揮発メモリ等に一時的に保持する処理を行う。
【0015】
オブジェクトリスト作成部103は、PDL解析部102によって解析され抽出された描画オブジェクトに基づいてオブジェクトリストを作成し、所定の記憶媒体に記憶するための制御ボードを備える。
具体的には、図2(a)に示すように、各描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応付け、これらをオブジェクトリストとして不揮発メモリ等に記憶する。(本発明のオブジェクトリスト作成手段の動作)。
【0016】
オブジェクトリスト削除部104は、先に描画される描画オブジェクトが、後に描画される描画オブジェクトによって隠される否かを判定するとともに、その判定の結果によって隠されると判定された先の描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する制御ボードを備える(本発明のオブジェクトリスト削除手段の動作)。
例えば、図2(b)に示すように、先の描画される描画オブジェクト(m)と後に描画される描画オブジェクト(m+1)との包含判定を行い、その結果、描画オブジェクト(m)が描画オブジェクト(m+1)によって包含されると判定した場合には、描画オブジェクト(m)に対応するオブジェクトリストを削除する処理を行う(本発明のオブジェクトリスト削除手段の動作)。
【0017】
ここで、オブジェクトリスト削除部104の動作について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本実施形態における描画オブジェクトの包含判定を詳細に説明するための図である。
本実施形態では、バウンディングボックス領域と最大矩形領域を用いた図形の包含判定を行うこととする。
【0018】
バウンディングボックス領域とは、対象図形の全体を包含する最小の矩形領域をいう。
例えば、図3(a)左図に示す三角形の描画オブジェクト201の場合、この描画オブジェクト201に外接する最小の矩形領域202がバウンディングボックス領域に相当する。
最大矩形領域とは、各辺が交差せず、かつ、凹部及び凸部が存在しない対象図形の内部に形成される領域であって、この対象図形を形成する2つの平行辺とその端点を垂足とした垂線によって形成される矩形領域をいう。
例えば、図3(a)右図に示す台形の描画オブジェクト203の場合、この描画オブジェクト203に内接する矩形領域204が最大矩形領域に相当する。
そして、一の図形のバウンディングボックス領域が、他の図形の最大矩形領域に完全に包含される場合、当該一の図形は他の図形に包含されると判定することができる。
【0019】
本実施形態のオブジェクトリスト削除部104は、この判定手法を利用したものであり、具体的には、先の描画に係る描画オブジェクトのバウンディングボックス領域と、後の描画に係る描画オブジェクトの最大矩形領域とを対比し、そのバウンディングボックス領域がその最大矩形領域にすべて包含される場合に、先の描画に係る描画オブジェクトは後の描画に係る描画オブジェクトに包含されると判定する。
例えば、図3(b)左図の場合、描画オブジェクト201のバウンディングボックス領域202が、描画オブジェクト203の最大矩形領域204にすべて含まれるため、描画オブジェクト201は、描画オブジェクト203に包含されると判定する。
一方、図3(b)右図の場合、描画オブジェクト201のバウンディングボックス領域202が、描画オブジェクト203の最大矩形領域204にすべて包含されていないため、描画オブジェクト201は、描画オブジェクト203に包含されないと判定する。
そして、オブジェクトリスト削除部104は、このような包含判定の結果、先の描画に係る描画オブジェクトが、後の描画に係る描画オブジェクトにすべて包含されると判定された場合、当該先の描画に係る描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する処理を行う。
【0020】
なお、図4(a)に示すように、2つの平行辺を有しない図形、辺同士が交差している図形、凹部や凸部を有している図形等は、最大矩形領域を有さない。このため、このような図形は、上述した包含判定の内の他のオブジェクトを隠すオブジェクトの対象から除外する。
また、図4(b)に示すように、描画オブジェクトが混色や透過の属性を有する図形についても、他の描画オブジェクトを隠すオブジェクトの対象から除外するとともに、他の描画オブジェクトから隠されるオブジェクトの対象からも除外する。これは、図形が混色や透過の属性を有する場合、他の図形との重なり部分をその属性に応じて描画する必要があるためである。
このように、特殊な図形については、描画を省略できない可能性が高いため、予め包含判定の対象から除外することで、描画処理の安定性及び確実性を確保することとしている。
【0021】
ディスプレイリスト作成部105は、描画オブジェクトを簡易な形に分割した描画プリミティブ
にもとづいてディスプレイリストを作成し、所定の記憶媒体に記憶する制御ボードを備える。
具体的には、図5(a)に示すように、各描画プリミティブに対応するディスプレイリストをその描画順序にしたがって対応付け、これらを不揮発メモリ等に記憶する。(本発明のディスプレイリスト作成手段の動作)。
特に、本実施形態では、オブジェクトリスト削除部104によって不要な描画オブジェクトを削除された後のオブジェクトリストを対象としてディスプレイリストを作成する。
【0022】
ディスプレイリスト削除部106は、先に描画される描画プリミティブが後に描画される描画プリミティブによって包含されるか否かを判定するとともに、その判定結果によって特定された描画プリミティブをディスプレイリストから削除する制御ボードを備える。
例えば、図5(b)に示すように、先の描画される描画プリミティブ(n)と後に描画される描画プリミティブ(n+1)との包含判定を行い、その結果、描画プリミティブ(n)が描画プリミティブ(n+1)によって包含されると判定した場合には、描画プリミティブ(n)に対応するディスプレイリストを削除する処理を行う(本発明のディスプレイリスト削除手段の動作)。
【0023】
ディスプレイリスト削除部106の動作について図6を参照しながら詳細に説明する。
なお、図6(a)に示すように、ディスプレイリスト作成部105は、予め、先の描画に係る星形の描画オブジェクト300を分割し、これにより5個の描画プリミティブ(301〜305)を取得したものとする。
また、同図(b)に示すように、描画オブジェクト300(描画プリミティブ301〜305)の後に描画されるものとして描画オブジェクト400(すなわち、描画プリミティブ400)の存在があり、これらオブジェクトリスト図形の領域の一部が重複するものとする。
【0024】
ここで、ディプレイリスト削除部106は、描画プリミティブ単位で各図形を対比し、描画プリミティブ毎に包含判定を行う。
具体的には、描画プリミティブ301〜305の各バウンディングボックス領域と、描画プリミティブ400最大矩形領域とをそれぞれ対比する。
【0025】
そして、ディプレイリスト削除部106は、このような包含判定の結果、先の描画に係る描画プリミティブのうち、後の描画に係る描画プリミティブにすべて包含されると判定された描画プリミティブをディスプレイリストから削除する。
例えば、同図(b)の例では、描画プリミティブ301のバウンディングボックス領域が、描画プリミティブ400の最大矩形領域に完全に包含されることが判定されるため、この描画プリミティブ301をディスプレイリストから削除する処理を行う。
【0026】
図1に示すように、ページラスタライズ部107は、ディスプレイリストとして記憶されてある描画プリミティブをビットマップ化して画像形成する制御ボードを備える(本発明の画像形成手段の動作)。
このように、本実施形態では、不要な描画オブジェクト及び描画プリミティブを排除することによって、ページラスタライズ部107における画像処理の負荷を極力抑えて高速化を実現するものである。
【0027】
なお、プリントデータ受信記億部101、PDL解析部102、オブジェクトリスト作成部103、オブジェクトリスト削除部104、ディスプレイリスト作成部105、ディスプレイリスト削除部106及びページラスタライズ部107にそれぞれ備えられている制御ボードは、CPU(Central Processing Unit)やチップセット等の制御要素、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。各制御ボードは、互いに連携し、画像形成装置1のコンピュータを形成する。CPUは、プログラムに記述された処理を実行する演算処理装置である。また、ROMは、プログラムおよびデータを予め記憶した不揮発性のメモリである。また、RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムおよびデータを一時的に記憶して、作業領域として用いるメモリである。
プログラムが実行されることにより、各制御ボードは、CPU内に上記の各手段を機能ブロックとして構成し、各部のハード要素を、プリントデータ受信記憶部101,PDL解析部102、オブジェクトリスト作成部103、オブジェクトリスト削除部104、ディスプレイリスト作成部105、ディスプレイリスト削除部106及びページラスタライズ部107として機能させる。
【0028】
次に、本実施形態の画像処理手順について図7A〜図7Eを参照しながら説明する。
図7A〜図7Eは、本実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【0029】
図7Aに示すように、まず、本実施形態の画像形成装置1は、プリントデータ受信記憶部101が、図示しないホストコンピュータ等から印刷データを受信する(S11)。
そして、PDL解析部102が、受信した印刷データに記述してある描画命令を解釈し、印刷データから描画対象となる描画オブジェクトを抽出する(S12)。なお、抽出した描画オブジェクトは、不揮発メモリ等に一時的に記憶させておく。
【0030】
次に、オブジェクトリスト作成部103は、ページに含まれる描画オブジェクトからなるオブジェクトリストを順次作成する(S13)。なお、この処理は、所定のページ排出命令が発せられるまで行う(ループ2)。これにより、描画順序が付されたオブジェクトリストがページ単位で作成される。
ここで、オブジェクトリスト削除部104は、「不要なオブジェクトリストを削除する処理」(図7B〜図7C)に移行する(S14)。
【0031】
図7B乃至図7Cは、「不要なオブジェクトリストを削除する」手順を示したフローチャートである。
まず、オブジェクトリスト削除部104は、オブジェクトリストに対応する描画オブジェクトが、混色又は透過の属性をもつ図形か否かを判定する(S141)。
【0032】
S141の結果、対象の描画オブジェクトが混色図形又は透過図形であると判定された場合(S141:YES)、オブジェクトリスト作成部103は、その描画オブジェクトは他の描画オブジェクトを隠す対象でなく、また、他の描画オブジェクトから隠される対象でもないことを示す識別符号を、その描画オブジェクトに付してオブジェクトリストに記憶する(S142)。
一方、S141の結果、対象の描画オブジェクトが、混色図形又は透過図形でないと判定された場合(S141:NO)、オブジェクトリスト作成部103は、その描画オブジェクトのバウンディングボックス領域Bを算出し、これをオブジェクトリストに記憶する(S143)。
ここで、最大矩形領域が求められない描画オブジェクトについては、他の描画オブジェクトを隠す対象ではないことを示す識別符号を付してオブジェクトリストに記憶する。
具体的には、図4(a)に示す描画オブジェクトが該当する。
【0033】
次いで、オブジェクトリスト作成部103は、描画オブジェクトの最大矩形領域Rを算出し、これもオブジェクトリストに記憶する(S144)。
なお、S141〜S144までの処理は、描画オブジェクトの数分だけ繰り返して実行する(ループ3)。
【0034】
次に、図7Cに示すように、オブジェクトリスト削除部104は、i番目(iは2以上の整数)に描画される描画オブジェクトが他の描画オブジェクトを隠す対象か否かを判定する(S145)。
具体的には、i番目の描画オブジェクトから、S142で付した識別符号が検出されなければ、その描画オブジェクトは、他の描画オブジェクトを隠す可能性がある対象と判定するものである。
【0035】
S145の結果、i番目の描画オブジェクトが、他の描画オブジェクトを隠す対象であると判定された場合(S145:YES)、次いで、オブジェクトリスト削除部104は、j番目(jは1以上の整数で、かつ、j<i)に描画される描画オブジェクトが他の描画オブジェクトに隠される対象か否かを判定する(S146)。
具体的には、j番目の描画オブジェクトから、S142で付した識別符号が検出されなければ、その描画オブジェクトは、他の描画オブジェクトから隠される可能性がある対象であると判定するものである。
【0036】
ステップS146の結果、j番目の描画オブジェクトが、他の描画オブジェクトから隠される対象であると判定された場合(S146:YES)、オブジェクトリスト削除部104は、このj番目の描画オブジェクトのバウンディングボックス領域Bjとi番目の描画オブジェクトの最大矩形領域Riを比較する(S147)。
【0037】
続いて、オブジェクトリスト削除部104は、最大矩形領域Riがバウンディングボックス領域Bjを包含するか否かを判定する(S148)。
この結果、最大矩形領域Riが、バウンディングボックス領域Bjを完全に包含すると判定された場合(S148:YES)、オブジェクトリスト削除部104は、j番目の描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除する(S149)。
一方、S148の結果、最大矩形領域Riが、バウンディングボックス領域Bjを完全に包含すると判定されなかった場合(S148:NO)、オブジェクトリスト削除部104は、特段の処理(S149のような間引き処理)は行わない。
なお、S145〜S149は、他の描画オブジェクトを隠す描画オブジェクトの数に応じ、また、他の描画オブジェクトから隠される描画オブジェクトの数に応じ、それらのすべての組み合わせについて行う(ループ4,5)
これによって、「不要なオブジェクトリストを削除する」一連の処理は終了し、次いで、図7AのS15に移行する。
【0038】
図7Aに示すように、S15では、ディスプレイリスト作成部105が、ページのオブジェクトリストにもとづいて、ディスプレイリストを作成する(S15)。
次に、ディスプレイリスト削除部106は、「不要なディスプレイリストを削除する処理」(図7D〜図7E)に移行する(S16)。
【0039】
図7D乃至図7Eは、不要なディスプレイリストを削除する手順を示したフローチャートである。
これらの図に示すように、まず、ディスプレイリスト削除部106は、ディスプレイリストに対応する描画プリミティブが、混色又は透過の属性をもつ図形か否かを判定する(S161)。
【0040】
S161の結果、対象の描画プリミティブが混色図形又は透過図形であると判定された場合(S161:YES)、ディスプレイリスト作成部105は、その描画プリミティブは他の描画プリミティブを隠す対象でなく、また、他の描画プリミティブから隠される対象でもないことを示す識別符号を、その描画プリミティブに付してディスプレイリストに記憶する(S162)。
一方、S161の結果、対象の描画プリミティブが、混色図形又は透過図形でないと判定された場合(S161:NO)、ディスプレイリスト作成部105は、その描画プリミティブのバウンディングボックス領域Bを算出し、これをディスプレイリストに記憶する(S163)。
次いで、ディスプレイリスト作成部105は、描画プリミティブの最大矩形領域Rを算出し、これもディスプレイリストに記憶する(S164)。
ここで、最大矩形領域が求められない描画プリミティブについては、他の描画プリミティブを隠す対象ではないことを示す識別符号を付してディスプレイリストに記憶する。
なお、S161〜S164までの処理は、描画プリミティブの数分だけ繰り返して実行する(ループ6)。
【0041】
次に、図7Eに示すように、ディスプレイリスト削除部106は、k番目(kは2以上の整数)に描画される描画プリミティブが他の描画プリミティブを隠す対象か否かを判定する(S165)。
具体的には、k番目の描画プリミティブから、S162で付した識別符号が検出されなければ、その描画プリミティブは、他の描画プリミティブを隠す可能性がある対象と判定するものである。
【0042】
S165の結果、k番目の描画プリミティブが、他の描画プリミティブを隠す対象であると判定された場合(S165:YES)、次いで、ディスプレイリスト削除部106は、l番目(lは1以上の整数で、かつ、l<k)に描画される描画プリミティブが他の描画プリミティブに隠される対象か否かを判定する(S166)。
具体的には、l番目の描画プリミティブから、S162で付した識別符号が検出されなければ、その描画プリミティブは、他の描画プリミティブから隠される可能性がある対象であると判定するものである。
【0043】
ステップS166の結果、l番目の描画プリミティブが、他の描画プリミティブから隠される対象であると判定された場合(S166:YES)、ディスプレイリスト削除部106は、このl番目の描画プリミティブのバウンディングボックス領域Blとk番目の描画プリミティブの最大矩形領域Rkを比較する(S167)。
【0044】
続いて、ディスプレイリスト削除部106は、最大矩形領域Rkがバウンディングボックス領域Blを包含するか否かを判定する(S168)。
この結果、最大矩形領域Rkが、バウンディングボックス領域Blを完全に包含すると判定された場合(S168:YES)、ディスプレイリスト削除部106は、l番目の描画プリミティブをディスプレイリストから削除する(S169)。
一方、S168の結果、最大矩形領域Rkが、バウンディングボックス領域Blを完全に包含すると判定されなかった場合(S168:NO)、ディスプレイリスト削除部106は、特段の処理(S169のような間引き処理)は行わない。
なお、S165〜S169は、他の描画プリミティブを隠す描画プリミティブの数に応じ、また、他の描画プリミティブから隠される描画プリミティブの数に応じ、それらのすべての組み合わせについて行う(ループ7,8)
これによって、「不要なディスプレイリストを削除する」一連の処理は終了し、次いで、図7AのS17に移行する。
【0045】
図7Aに示すように、S17では、ページラスタライズ部107が、ページのディスプレイリストをラスタライズする(S17)。
なお、ループ2を含め、S13〜S17の処理を、所定のデータ終了命令が発せられるまで繰り返す(ループ1)ことで、本実施形態に係る一連の画像処理は終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置によれば、印刷データから抽出される描画オブジェクトについて、所定の包含判定にもとづく間引き処理を行うようにしている。
具体的には、先に描画される描画オブジェクトが後に描画される描画オブジェクトに完全に包含される場合には、先に描画される描画オブジェクトをオブジェクトリストから削除するようにしている。これにより、関連するメモリ等のリソースを解放することができる。
さらに、残った描画オブジェクトを簡易な形状である描画プリミティブに分割し、各描画プリミティブに対しても同様の処理を行うようにしている。
そして、このようにして描画対象を相当数減らした上でビットマップ化処理を行って画像形成処理を行うようにしている。
すなわち、本実施形態の画像形成装置1によれば、オブジェクトリスト生成処理、ディスプレイリスト生成処理及びディスプレイリストのビットマップ処理を並列して実行することによって、画像処理量を極力抑え、描画処理時間を効果的に短縮するようにしている。
【0047】
また、単に描画対象となる図形そのものの比較を行うのではなく、簡単な矩形領域(最大矩形領域・バウンディングボックス領域)を基準として、その図形が他の図形を隠すのか、又は、他の図形から隠されるのか、といった包含判定を行うようにしている。
このため、単純な矩形領域にもとづく包含判定が可能となり、当該処理を迅速に実行することができる。
なお、最大矩形領域を有しない図形、混色・透過が設定されている図形といった特殊な図形については、包含判定の一部又は全部を省略するようにしているため、画像形成処理に係る負荷の軽減を図ることができる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る画像形成装置について図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、オブジェクトリスト削除部104又はディスプレイリスト削除部106の実行を制御する点において特徴を有する。
具体的には、第一実施形態では、不要な描画オブジェクト又は描画プリミティブを検出し、これらを間引くことで描画処理を高速化することとしているが、本実施形態では、CPUやメモリなどの画像処理に関する性能値や描画オブジェクトや描画プリミティブなどの図形数を、間引きの適否を決めるための要素として加え、それらの数値が所定の条件を満たす場合に限り、不要な図形の間引き処理を行うこととしている。
【0049】
つまり、図形数が少ない場合や処理能力が高い場合には、特段の措置を採らずとも高速処理が可能となるため、このような場合、対象図形の間引き処理やその処理に関する一連のプロセスを省略するようにしたものである。他の構成要素は第一実施形態と同様である。
したがって、図8において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、本実施形態の画像形成装置1aは、制御部108をさらに備える。
図9は、制御部108の構成を示したブロック図である。
同図に示すように、制御部108は、所定の制御ボードを備えており、性能値保持手段1081と、図形数算出手段1082と、描画制御手段1083とを有している。
性能値保持手段1081は、画像形成装置1aの画像処理能力を保持する制御ボードを備える。
具体的には、画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量またはこれらの値から換算される所定の性能値を不揮発メモリ等に記憶して保持させておく。
例えば、この能力値は高いほど画像処理能力は高く、高速化が可能となる。
【0051】
図形数算出手段1082は、描画オブジェクトや描画プリミティブの図形数を計数する制御ボードを備える。
具体的には、オブジェクトリスト作成部103又はディスプレイリスト作成部105にアクセスして、ページ毎に描画対象となる描画オブジェクトや描画プリミティブの図形数を求める。
描画制御手段1083は、前記性能値と前記図形数にもとづき、これらが所定値又は所定の範囲である場合に、オブジェクトリスト削除部104若しくはディスプレイリスト削除部106又はその両方の実行を制限する制御を行う制御ボードを備える。
この所定値や所定の範囲は、変更可能である。このため、実際に使用しながら処理速度が最速となる適切な値や範囲に変更することが可能である。
【0052】
したがって、本実施形態の構成によれば、制御部108が、不要な描画対象を削除する処理を行った方が画像処理速度は速いと判断した場合に限り、オブジェクトリスト削除部104又はディスプレイリスト削除部106に対し、前述の間引き処理を実行させるようにしている。
つまり、上述した描画省略を行わない方がむしろ画像形成処理を速くできる場合があるため、本実施形態ではこのようなケースにも対応しうる機能を備えたものである。
【0053】
次に、本実施形態の画像処理手順について図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施形態の画像処理手順を示したフローチャートである。
【0054】
図10に示すように、まず、本実施形態の画像形成装置1aは、プリントデータ受信記憶部101が、図示しないホストコンピュータ等から印刷データを受信する(S21)。
そして、PDL解析部102が、受信した印刷データに記述してある描画命令を解釈し、印刷データから描画対象となる描画オブジェクトを抽出する(S22)。なお、抽出した描画オブジェクトは、不揮発メモリ等に一時的に記憶させておく。
次に、オブジェクトリスト作成部103は、ページに含まれる描画オブジェクトからなるオブジェクトリストを順次作成する(S23)。なお、この処理は、所定のページ排出命令が発せられるまで行う(ループ12)。これにより、描画順序が付されたオブジェクトリストがページ単位で作成される。
【0055】
続いて、制御部108は、不要なオブジェクトリストを削除するか否かを判定する(S24)。
具体的には、性能値保持手段1081が保持する画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量を示す所定の性能値と、図形数算出手段1082が算出した描画オブジェクトの数にもとづき、不要なオブジェクトリストを削除するか、否かを判定する。
S24の結果、制御部108が、不要なオブジェクトリストを削除すると判定した場合(S24:YES)、「不要なオブジェクトリストを削除する処理」に移行する(S25)。
なお、この「不要なオブジェクトリストを削除する処理」は、第一実施形態における処理動作(図7B参照)と同様であるためその説明は省略する。
一方、S24の結果、制御部108が、不要なオブジェクトリストを削除すると判定しなかった場合(S24:NO)、若しくは、S25に続き、ディスプレイリスト作成部105は、ページのオブジェクトリストにもとづいて、ディスプレイリストを作成する。
【0056】
ここで、制御部108は、不要なディスプレイリストを削除するか否かを判定する(S27)。
具体的には、性能値保持手段1081が保持する画像形成装置1aに搭載されるCPUの速度やメモリの容量を示す所定の性能値と、図形数算出手段1082が算出した描画プリミティブの数にもとづき、不要なディスプレイリストを削除するか、否かを判定する。
【0057】
S27の結果、制御部108が、不要なディスプレイリストを削除すると判定した場合(S27:YES)、「不要なディスプレイリストを削除する処理」に移行する(S28)。
この「不要なディスプレイリストを削除する処理」は、第一実施形態における処理動作(図7C参照)と同様であるためその説明は省略する。
一方、S27の結果、制御部108が、不要なディスプレイリストを削除すると判定しなかった場合(S27:NO)、若しくは、S28に続き、ページラスタライズ部107が、ページのディスプレイリストをラスタライズする(S29)。
なお、ループ12を含め、S23〜S29の処理を、所定のデータ終了命令が発せられるまで繰り返す(ループ11)ことで、本実施形態に係る一連の画像処理は終了する。
【0058】
以上、本実施形態に係る画像形成装置1aによれば、装置のCPUやメモリといったハードウェアの性能を考慮し、また、オブジェクトの形状を形作るパスの数も考慮に入れ、そのまま描画処理を行うか、または、描画対象を削除する処理を行うか、を判断するようにしている。
すなわち、簡単な描画で、かつ、ハードウェア性能が十分に高い場合に、描画対象が隠されるか否かといった判定は行わずに、そのまま描画処理を行うことで、全体としてはより高速な処理を実現するものである。
【0059】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0060】
具体的には、本実施形態におけるオブジェクトリスト削除部104及びディスプレイリスト削除部106は、包含判定をページ単位で行うのではなく、バンド領域ごとに行ういわゆるバンド処理に対応することができる。
例えば、図11は、先に描画される図形602は、後に描画される図形によって完全に包含されないため、削除対象とはならないケースを例示するものである。
このような場合、ページ領域に含まれる各図形を一定のバンド毎に分割することによって、同図(b)に示すように、不要な図形として新たに図形604を削除対象として検出できるようになるため、さらに円滑な画像処理を可能とすることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、各構成部の制御ボードが互いに連携して画像形成装置のコンピュータを構成するものとしたが、画像形成装置1の例えばPD解析部102若しくは制御部108に主制御ボードを備えて、この主制御ボードによりコンピュータを構成し、各ハード要素を制御しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、プリンタ装置、コピー機、複合機等の画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
101 プリントデータ受信記憶部
102 PDL解析部
103 オブジェクトリスト作成部
104 オブジェクトリスト削除部
105 ディスプレイリスト作成部
106 ディスプレイリスト削除部
107 ページラスタライズ部
108 制御部
1081 性能値保持手段
1082 図形数算出手段
1083 描画制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに含まれる一以上の描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応づけたオブジェクトリストを作成し、記憶するオブジェクトリスト作成手段と、
先に描画される描画オブジェクトと後に描画される描画オブジェクトとを対比し、前記後に描画される描画オブジェクトに前記先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを前記オブジェクトリストから削除するオブジェクトリスト削除手段と、
前記オブジェクトリストをなす描画オブジェクトを分割して得られる描画プリミティブを前記描画順序にしたがって対応付けたディスプレイリストを作成し、記憶するディスプレイリスト作成手段と、
先に描画される描画プリミティブと後に描画される描画プリミティブとを対比し、前記後に描画される描画プリミティブに前記先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを前記ディスプレイリストから削除するディスプレイリスト削除手段と、
前記ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行う画像形成手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
当該画像形成装置における前記各手段の実行能力の高さを示す所定の性能値を保持する性能値保持手段と、
前記性能値が所定値以上である場合に前記オブジェクトリスト削除手段及び/又は前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する描画制御手段と、を備える請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
描画対象となる所定図形の数を計数する図形数算出手段を備え、
前記描画制御手段は、前記図形の数が所定数未満である場合に前記オブジェクトリスト削除手段及び/又は前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記図形数算出手段は、前記オブジェクトリストとして記憶された描画オブジェクトの図形数を計数し、
前記描画制御手段は、前記描画オブジェクトの図形数が所定数未満である場合に、前記オブジェクトリスト削除手段の実行を制限する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記図形数算出手段は、前記ディスプレイリストとして記憶された描画プリミティブの図形数を計数し、
前記描画制御手段は、前記描画プリミティブの図形数が所定数未満である場合に、前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記オブジェクトリスト削除手段は、
前記オブジェクトリストとして記憶された描画オブジェクトのうち、ブレンド又は透過の属性を有する描画オブジェクトを前記対比の対象から除外する請求項1乃至5のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ディスプレイリスト削除手段は、
前記ディスプレイリストとして記憶された描画プリミティブのうち、ブレンド又は透過の属性を有する描画プリミティブを前記対比の対象から除外する請求項1乃至6のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項1】
印刷データに含まれる一以上の描画オブジェクトをその描画順序にしたがって対応づけたオブジェクトリストを作成し、記憶するオブジェクトリスト作成手段と、
先に描画される描画オブジェクトと後に描画される描画オブジェクトとを対比し、前記後に描画される描画オブジェクトに前記先に描画される描画オブジェクトが包含される場合に、当該先に描画される描画オブジェクトを前記オブジェクトリストから削除するオブジェクトリスト削除手段と、
前記オブジェクトリストをなす描画オブジェクトを分割して得られる描画プリミティブを前記描画順序にしたがって対応付けたディスプレイリストを作成し、記憶するディスプレイリスト作成手段と、
先に描画される描画プリミティブと後に描画される描画プリミティブとを対比し、前記後に描画される描画プリミティブに前記先に描画される描画プリミティブが包含される場合に、当該先に描画される描画プリミティブを前記ディスプレイリストから削除するディスプレイリスト削除手段と、
前記ディスプレイリストをなす描画プリミティブにもとづき画像形成を行う画像形成手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
当該画像形成装置における前記各手段の実行能力の高さを示す所定の性能値を保持する性能値保持手段と、
前記性能値が所定値以上である場合に前記オブジェクトリスト削除手段及び/又は前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する描画制御手段と、を備える請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
描画対象となる所定図形の数を計数する図形数算出手段を備え、
前記描画制御手段は、前記図形の数が所定数未満である場合に前記オブジェクトリスト削除手段及び/又は前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記図形数算出手段は、前記オブジェクトリストとして記憶された描画オブジェクトの図形数を計数し、
前記描画制御手段は、前記描画オブジェクトの図形数が所定数未満である場合に、前記オブジェクトリスト削除手段の実行を制限する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記図形数算出手段は、前記ディスプレイリストとして記憶された描画プリミティブの図形数を計数し、
前記描画制御手段は、前記描画プリミティブの図形数が所定数未満である場合に、前記ディスプレイリスト削除手段の実行を制限する請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記オブジェクトリスト削除手段は、
前記オブジェクトリストとして記憶された描画オブジェクトのうち、ブレンド又は透過の属性を有する描画オブジェクトを前記対比の対象から除外する請求項1乃至5のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ディスプレイリスト削除手段は、
前記ディスプレイリストとして記憶された描画プリミティブのうち、ブレンド又は透過の属性を有する描画プリミティブを前記対比の対象から除外する請求項1乃至6のいずれか一項記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−8689(P2011−8689A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153809(P2009−153809)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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